牛野・ショボリ(歌牛・d19503)は、こんな噂を耳にした。
『高知アイスクリン怪人がビキニにアイス盛っている』と……。
高知アイスクリン怪人は夏場に許可なく海の家を始め、ビキニにアイスを盛って大儲けをしていたようだが、それは夏だけの話。
あっという間に廃れて、今では閑古鳥が鳴いているようである。
それでも、諦める事無く戦闘員達にリヤカーを引かせ、ビキニアイスを売り込んでいたようだが、まったく売れずに困り果てているようだ。
その上、『ビキニアイスが売れないのは、正義のヒーローが邪魔をしているせい』だと決めつけ、八つ当たり気味に一般人を襲っているらしい。
しかも、高知アイスクリン怪人はビキニアイスを買ったら、良い人。
買わなかったら、正義のヒーローの手先だと決めつけ、フルボッコにしているようである。
そう言った意味で、高知アイスクリン怪人を放っておく事は危険。
その事を踏まえた上で、高知アイスクリン怪人を倒す事が今回の目的である。
参加者 | |
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風雷・十夜(或いはアヤカシの血脈・d04471) |
セラフ・ジェヴィーチ(ヴァローナ・d10048) |
火土金水・明(総ての絵師様に感謝します・d16095) |
空木・亜梨(虹工房・d17613) |
安藤・ジェフ(夜なべ発明家・d30263) |
坂東・太郎(もう寮母さんでいいです・d33582) |
藤花・アリス(淡花の守護・d33962) |
蒼峯・祈里(銀の探索者・d35327) |
●高知県某所
「10月に入ってから、めっきり寒くなりましたね。これでは、例えアイスを売ったとしても、まったく売れないと思うのですが……」
空木・亜梨(虹工房・d17613)は寒そうに身体を震わせながら、仲間達と共に高知アイスクリン怪人が確認された高知県某所の海岸にやってきた。
既に海の家は撤去された後らしく、現場には何も残っていない。
ただ冷たい海風だけが吹いていたため、アイスよりも何か温かい物が食べたくなった。
そう言った意味でも、アイスが売れる訳もなく、わざわざアイスを買うような物好きがいるとも思えなかった。
「普通に考えても、夏が過ぎれば海でアイスは売れねェだろ。ごく普通のアイスを真冬にコタツでってんなら、まだ解るけどよ。そもそもビキニアイスって、どんなんだ?」
風雷・十夜(或いはアヤカシの血脈・d04471)が不機嫌な表情を浮かべて、事前に配られた資料に目を通す。
ビキニアイスとはビキニトップを器にしてアイスを持ったもので、一部の客に受けていたようである。
しかし、アイスがよく売れるのは、夏だけ。
その上、誰も泳いでいない海の家で売っていたのだから、売り上げが激減するのも当然の事だろう。
「おそらく、最初は高知名物のアイスクリンを広めようとしていたんでしょうね。それがどうしてビキニを器にする事になったのか、まったく分からないのですが……」
安藤・ジェフ(夜なべ発明家・d30263)が、困った様子で答えを返す。
もしかすると、高知アイスクリン怪人なりに、グッドアイデアだと思って始めたのかも知れないが、万人受けするアイスとは思えない。
「それに付き合わされている戦闘員さんも、かわいそうですね」
火土金水・明(総ての絵師様に感謝します・d16095)が、戦闘員達に対して同情をする。
戦闘員達の中にも不満を持っている者もいそうだが、それを口にする事が出来る状況ではないという事だろう。
「アイスはちょっと季節ハズレかも知れませんが、私はまだまだ食べたい気分ですわ!」
そんな中、セラフ・ジェヴィーチ(ヴァローナ・d10048)が、キッパリと言い放つ。
その途端、高知アイスクリン怪人が戦闘員達と一緒にリヤカーを引きながら、セラフ達の前に現われた。
高知アイスクリン怪人はアイスクリンを擬人化させたような姿をしており、この寒空の中でビキニ姿であった。
しかも、まわりにいる戦闘員(男)も、ビキニを着用しており、色々な意味で近寄り難い雰囲気が漂っていた。
「なんにせよ、迷惑な怪人は片付けちゃおうか」
それに気づいた坂東・太郎(もう寮母さんでいいです・d33582)が、スレイヤーカードを構える。
「……って、ちょっと待て! 俺達はただアイスクリンを売りに来ただけだ! 別に戦いたいわけじゃない!」
すぐさま、高知アイスクリン怪人が、両手を上げて首を振る。
本当に戦うつもりがないのか、戦闘員達も『まあまあ』と言わんばかりに行く手を阻む。
「えっと、また来年になったら……売れると思います、です。でも……売る為に場所を使う許可はちゃんと取らないと、めっ、です」
藤花・アリス(淡花の守護・d33962)がうさぎのぬいぐるみを抱き締め、申し訳なさそうにサウンドシャッターを使う。
「来年じゃ駄目なんだっ! 考えてもみろ。世界征服は待ってくれないんだぞ!」
高知アイスクリン怪人が、納得のいかない様子で叫ぶ。
彼にとっては、時間との勝負。
今やらなくて、いつやるかと言わんばかりの勢いで、意味もなく熱く語っていく。
「自慢の品に賭ける情熱は買うけど、売れないことを人のせいにするより、もっと売れる戦略を立てることに力を費やしたほうがいいんじゃないかな? 秋冬でも暖かいところとか、テナントを構えてみるとか……」
蒼峯・祈里(銀の探索者・d35327)が百物語を使った後、自分なりの考えを述べる。
「だから、こうやってリヤカーを引いて、わざわざこんなところに来ているんだろうがっ! それでも、売れない物は売れないんだっ!」
高知アイスクリン怪人が、不機嫌そうに答えを返す。
戦闘員達も必死になってビラ配りをしているようだが、ビキニを器にしているという時点でアレなので、客層がかなり限られているようである。
そのため、ひとつでも多く売ろうと、必死なようだった。
●ビキニアイス
「なあ、ビキニアイスって、どういうモンなんだ?」
十夜が純粋に興味を持って、高知アイスクリン怪人に問いかけた。
「おっ、欲しいのか?」
その途端、高知アイスクリン怪人が上機嫌な様子で、クーラーボックスの中にしまってあったビキニアイスを取り出した。
アイスクリンはビキニトップの中に入っており、値段は500円ほど。
意外と量が多いので、値段的には妥当なのかも知れないが、色々な意味で食べづらそうである。
「あー、なるほど……こういうヤツか」
太郎が納得した様子で、ビキニアイスを眺めた。
値段的には妥当な気もするのだが、わざわざ買うほどの物でもない。
おそらく、買う事があったとしても、興味本位か、面白半分と言ったところだろう。
「日本にもこのようなジョークがあるのですね。日本というとクソ真面目な印象だったのですが……」
ジェフが興味津々様子で、ビキニアイスを眺めた。
雪花(ビハインド)も興味津々のようだが、食べられないため、その気持ちは複雑なようである。
「ですが……いりません!」
そう言って明がプリンセスモードを使い、くるりと回って普通のメイド服から華やかなメイド服に華麗に変身した。
「わたしも、ビキニアイスは買いません……です」
アリスもうさぎのぬいぐるみをギュッと抱き締め、高知アイスクリン怪人に答えを返す。
「な、何故だっ! これほどまでに素晴らしいものを、何故欲しがらないっ!」
高知アイスクリン怪人が、納得の行かない様子で叫ぶ。
戦闘員達も『だったら、興味を持つなよっ!』と言わんばかりに嘆く。
「せっかくですから、ひとついただけますか」
そんな中、亜梨がビキニアイスを注文する。
「……マジか!?」
これには高知アイスクリン怪人も驚き、亜梨を思わず二度見した。
戦闘員達も『ようやく一個売れた』と言わんばかりに肩を抱き合って泣いている。
ある意味、今日は戦闘員達にとって、最良の日。
そして、最悪の日でもあった。
「だからと言って悪事は許しませんの! 『もう俺たちの夏は、終わったんだ』ですわ!」
そんな中、セラフがキッパリと言い放つ。
「いや、まだ何も終わっちゃいない。何も終わってなどいない!」
高知アイスクリン怪人が、納得の行かない様子で答えを返す。
「寒いからぱぱっと片づけようね!」
だが、祈里は全く気にせずスレイヤーカードを使い、戦闘員達に攻撃を仕掛けていった。
●高知アイスクリン怪人
「時期外れの商売は難しいですよ。だいたい、夏以外に海辺で商売をするのが間違ってます。人が来ないですから。あなたにはご当地怪人の才能が無いと思いますが……」
ジェフがウイングキャットのタンゴと連携を取りつつ、高知アイスクリン怪人に攻撃を仕掛けていく。
「そんなはずはない。そんなはずは……」
そう言いつつも、高知アイスクリン怪人は戸惑っていた。
「さっさと片すぞ」
十夜が右手の槍を一回転させてから右半身に構え、ウイングキャット のゼファーに一声。
それに合わせて、ゼファーが十夜と同じようにポーズを決め、戦闘員達に対して肉球パンチ!
戦闘員達も頑張っているようだが、圧倒的にゼファーの方が強い。
「ヒーローの手先めっ!」
高知アイスクリン怪人が、悔しそうに唇を噛む。
その間に戦闘員達が立ち上がったものの、恐怖で両足が震えていた。
「さて、どうでしょう?」
明が左目を閉じ、唇に左手の人差し指を軽く当てて、答えをはぐらかす。
「それじゃ、行くよおおおおおおお」
次の瞬間、祈里が勢いよく学園制服を脱ぎ捨て、白の競泳水着姿になって、まわりにいた戦闘員達を蹴散らしていく。
戦闘員達はアイスを売る事に力を入れていたせいで、戦いには不慣れ。
為す術もなく吹っ飛び、あっという間に、ばたんきゅー。
「き、貴様らあああああああ」
これには高知アイスクリン怪人も、激しく怒りに体を震わせ、近くにいたセラフ達に攻撃を仕掛けていく。
そのせいでセラフの服は、ボロボロ。
色々な意味で危ない状態になっているのだが、セラフはまったく気にしていない。
「ひ、怯むなっ! や、やれ!」
高知アイスクリン怪人があからさまに動揺しつつ、残っていた戦闘員達を嗾けた。
その途端、戦闘員達が『えっ? 本当に!?』と言わんばかりに、高知アイスクリン怪人を二度見したが、命令を逆らうわけにもいかないので、嫌々ながら襲い掛かっていく。
「ごめんなさいです、けれど、撃退します、です」
アリスが申し訳なさそうにしながら、ウイングキャットのりぼんと連携を取って、残っていた戦闘員達を蹴散らした。
「こんな現実……、認めん! 認めんぞおおお!」
高知アイスクリン怪人が悔しそうな表情を浮かべて、捨て身の覚悟で攻撃を仕掛けていく。
「……いい加減にしろ!」
次の瞬間、十夜が高知アイスクリン怪人の懐に潜り込み、トラウナックルを叩き込む。
その一撃を食らった高知アイスクリン怪人が断末魔を響かせ、大爆発を起こして消滅した。
「戦って汗をかいた後はアイスを食べたくなりますわね……。先に買っておけばよかったですわ……」
セラフが残念そうに溜息をつきながら、クーラーボックスに入っていたビキニアイスに視線を送る。
高知アイスクリン怪人が、クーラーボックスを開けたままにしていたせいで、中に入っていたアイスはドロドロ。
とても食べられたものではない。
「それにしても……何故これでボロ儲けできたのか……謎だ……」
太郎が気まずい様子で汗を流す。
これでも夏場は売れていたらしいので、何か惹かれるものがあったのだろう。
「とりあえず、何かあったかいものでも食べて帰ろうか……」
そう言って太郎が苦笑いを浮かべる。
「出来れば飲み物と一緒に買えるようなところがいいですね……。スーパー銭湯とかいいんじゃないすか?」
そして、亜梨達はその足で食事も出来るスーパー銭湯に向かうのだった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年10月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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