すてきなマッサージ

    作者:さめ子

    ●いけない癒し手
    「ほ、ほんとにこれで治るんですかぁ?」
     治療のための小さなベッドに横たわっている、不安げな顔の少女。その体は戦いによって傷つき、疲れ果てていた。少女の頭には、黒い角。安土城怪人と天海大僧正との間に起きた抗争で怪我をした、羅刹だった。まだ深く残る傷に、白魚のような手が伸びてきた。そっと触れられて、少女の体がぎくりと強張る。
    「かわいそうに、こんなに傷ついて……」
     ナース服に身を包んだ女性が、憐憫と慈愛と、それ以上の色気をたっぷりと含ませた笑みを浮かべた。
    「わたくしが、たっぷりサービスして、心も体も癒やして差し上げますわ♪」
     たおやかな手つきは、迷わず羅刹の体の隅々まで癒やしてゆく。柔らかな微笑みと、容赦なく振るわれる高度なテクニック。不安を浮かべていた少女の顔は、いつの間にか天にも昇るような表情に変わっていた。
    「あっあっあっ! なにこれぇ~~! すごいですぅ~~!」
    「うふふ」
     ふみふみと柔らかい手付きで、時に強く、時に優しく揉み解される。
    「あ~~っ! そんなことまでぇっ! いけないぃ~~!」 
    「お客様には、もっともぉっと、いっぱい気持ちよくなってもらいますね♪」
    「いけないですっ! これ以上はっ! いけないですぅぅ~~」
     
    「……だめですっ! は、はれんちですっっ!!」
     教卓を両手で叩いた園川・槙奈(大学生エクスブレイン・dn0053)のお下げが、びょんと跳ねた。耳まで赤く茹で上がった槙奈が、ぶんぶんと勢いよく頭を振る。お下げも左右に揺れた。リンゴよりも赤い頬に手を当てて、しばらくうつむいていた槙奈だったが、教室に集まった灼滅者達を見渡して慌てて咳払いをした。
    「……え-、ごほん、その……、皆様ご存じの通り、琵琶湖周辺に『いけないナース』達が現れています」
     彼女たちは、いけないマッサージ店に改装したマンションの一室にて、安土城怪人と天海大僧正との抗争で怪我をしたダークネスを癒やしているらしい。もちろんこのまま放っておく訳にはいかない。しかし、いけないナース達はとても警戒心が強く、戦闘不能な怪我を負った者以外が近づくとすぐに逃げてしまう。
    「なので、あの、皆さんには、2グループに分かれて戦ってもらいたいんです」
     灼滅者同士で戦い、戦闘不能になった側がマッサージ店に客として潜入する。一方がマッサージを受けている所に乗り込み、いけないナースを灼滅するという作戦だ。
    「淫魔である『いけないナース』の戦闘力は、普通のダークネスよりも少し弱めです。それに治療中の灼滅者達を守ろうとするみたいです」
     この習性を利用すれば、逃走を防ぐ事も容易いだろう。使用してくるのはサウンドソルジャーと殺人注射器のサイキックだ。灼滅者四人程度でも十分互角に戦える相手、倒すのにさほど苦労はしなくて済みそうだ。
    「とはいえ、本当の怪我でないとマッサージ店には潜入できませんから……灼滅者同士の戦いの方が、激しい戦闘になるかもしれません」
     困ったように、心配そうに槙奈が眉を下げた。
    「もしもこのナース達がどこかの組織に所属してしまうと、大きな脅威になってしまうかもしれません。そうなる前に、どうか灼滅をお願いします」


    参加者
    久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)
    柳谷・凪(お気楽極楽アーパー娘・d00857)
    真白・優樹(あんだんて・d03880)
    風雷・十夜(或いはアヤカシの血脈・d04471)
    神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)
    レイチェル・ベルベット(火煙シスター・d25278)
    赤松・美久(いまいち萌えない小悪魔・d34175)
    上無・綾(束縛のヒト斬り・d35094)

    ■リプレイ

    ●本気の模擬戦
     ここは、いけないナースの怪しいマッサージ店……の近くの河川敷である。
    「やれやれ……いけないナースも面倒な事相変わらずやってんな……」
     長身の久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)が、ため息をついた。吹きすさぶ冷たい風に灰色の髪がかき乱される。
    「ま、ある意味本能なのかもしれないが……な」
     柔和で誠実そうな表情を浮かべている、その内側に秘めた本性は苛烈だ。今はまだ、伊達眼鏡の向こうに隠れているが。
    「自分の思い……いや、彼女達の場合は欲望か? に忠実と言うか」
     思案の最中にいる神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)は、静かに口を開く。
    「ダークネス専門で癒す事をしているかと思えば……けがさえしていれば灼滅者でも受け入れるとはね。しかも襲撃が有れば患者の身を守ろうとする。ナースとして有る意味尊敬に価するな」
     風に煽られた黒髪の間から、どこか感心したような色を浮かべた赤い瞳がのぞく。
    「来るもの拒まず、敵であっても怪我人を治療する、その志だけみれば立派に見えるけど……いけない治療法が色々台無しにしてる感じだね」
    「治療してくださるのはありがたいですが、放置する訳には行きません」
     枷を付けた少女、上無・綾(束縛のヒト斬り・d35094)の表情は一見優しげだが、続く言葉は不穏だった。
    「……ので、その首を貰い受けるつもりです」
     もちろん、任務のためだ。ただ、単純に首を斬りたいという綾の中にある隠しきれない衝動も、緩やかに顔をのぞかせているが。
    「なんつうか、難儀な相手だよなあ、主に性質的な意味で」
     副産物のガチバトルは純粋に楽しみだけどな、と続けたのは風雷・十夜(或いはアヤカシの血脈・d04471)。
    「マンガみてェな展開だがせっかくだ、全力でやるぜ」
     やる気は十分、なにせ滅多にない機会だ。 
    「さ~て始めっか。よろしく頼むぜ!」
     河川敷に集まった灼滅者達が、あらかじめ相談していたように赤組、白組の2チームに別れて向かい合う。と、ここで、人数が偏っている事に気がついた。怪我をして潜入、という目的には支障が無いが、ガチンコ勝負にはちょっと不向きだ。
    「……そうだな、煉、赤組に来てくれ」
     翔の手招きに従い、煉が移動した。これでレベル的にもちょうど良くなる。改めて模擬戦開始だ。
    「灼滅者同士の戦い、わくわくしますね」
     白組側の綾が、静かに、どこか嬉しそうに言った。
    「さ、気合入れてくよ十夜さん」
     空の色そのもののような青い瞳を明るく輝かせた真白・優樹(あんだんて・d03880)が、やる気満々で拳を構える。恋人である十夜と初めて一緒の任務のせいか、ちょっぴり心が弾んでいる。
    「おう、優樹もな」
     にやり、と笑った十夜が、握った拳を優樹のそれに軽く当てた。一瞬視線で頷き合い、戦闘態勢に入る。縛霊手を構える十夜の頭の上では、ウイングキャットの『ゼファー』がそっくりおなじポーズできりっ、と構えていた。
    「折角だから全力で行くんだよ。勝っても負けても恨みっこなしなんだよ」 
     ウイングキャットがいっぱいいる光景に、猫好きの柳谷・凪(お気楽極楽アーパー娘・d00857)の気合いも増量中……かどうかは分からないが、どことなく猫っぽい笑顔を浮かべて日本刀を構える。その足下には、霊犬『マトラ』が控えている。
    「ふははは! やるからには、勝つぜ!」
     こちらは赤組側のレイチェル・ベルベット(火煙シスター・d25278)。重たそうなガトリングガンを難なく構えて高笑いとともに宣言する。
    「手加減は出来そうにないのでちょっと怖いですが……」
     そう言って、赤松・美久(いまいち萌えない小悪魔・d34175)が困ったような笑みを浮かべて戦闘態勢を取る。のエアシューズにエナジーが集まり出し、青いツインテールが煽られて、煌めいた。翔も、眼鏡を外し胸ポケットに入れた。瞬く間に翔の表情は一変し、獲物を追うかのように、前傾姿勢で両手をだらりと垂れ下げている。覆い隠していた殺人鬼の本性が解放されたのだ。
     向き合った両者の緊張が高まってゆく。凪が構えた日本刀が、カチャリと鳴る。それが戦闘開始の合図となった。
     
    「恨みっこなしで思いっきり行くよ!」
     気合いと共に、優樹の縛霊手・荒王から祭壇が展開される。狙い違わず赤組の前列へと除霊結界が構築された。お返し、とばかりに煉が振るう長剣から、ブレイドサイクロンが放たれる。一歩、二歩後退しながらも十夜が不適な笑みを浮かべた。
    「まだまだぁ!」
     気合いと共に地面を蹴る。一直線に向かった先、対戦相手に選んだ美久へと縛霊撃で躍りかかる。挑まれた美久も負けじとエアシューズで飛び上がり、重力を宿した蹴りを炸裂させる。空中で二人が激しくぶつかり合うすぐ側を、夜霧隠れにて正体を虚ろにした翔が駆け抜ける。獲物へと飛びかかる獣のように素早く綾へと肉薄し、躊躇いなくナイフを閃かせる。バニースーツを深く切り裂かれながらも、なんとか飛び退いた綾が無敵斬艦刀を構える。今度はこちらの番だとばかりに、巨大な鉄塊の如き刀を振るった。
    「ゆけミケ、肉球アタック!」
    「……ニャ」
     レイチェルのかけ声で、ウイングキャットの『ミケランジェロ』がしなやかに宙を舞う。強烈な肉球を受ける灼滅者の顔はしかし、少しばかり嬉しそうだ。ダメージよりカワイイが勝る事だってある。可愛い物好きの灼滅者が、ちょっぴりうらやましそうな表情になってしまうのもまた、仕方の無い事だ。ゼファーも灼滅者の間を飛び回り、情け容赦ない肉球パンチを振るう。そしてもう一匹のウイングキャット『ハルにゃん』が猫魔法を放つその横を、美久が地面を蹴って、飛び出してゆく。エアシューズが炎を纏い、青い髪が、燃え上がる赤い炎を受けて不思議な色に揺らめいた。
     混戦状態になりながら、少しずつ、しかし確実にお互いの力を削いでゆく。潜入のためには本気の怪我が必要だ、容赦はない。
     ついに綾が、かくりと膝を着いた。
    「やはり格上ですね……」
     息も絶え絶えながら、静かに呟いた。すぐ側をライドキャリバーの『スチームダディ』がうなるような音を立てて疾走し、機銃掃射を赤組に向けて浴びせかけた。激しい攻撃に足止めされた美久をまっすぐ捕らえ、優樹のクロスグレイブ『名もなき信仰の鉄槌』がその銃口を開く。次の瞬間には、強烈な光の砲弾が叩き込まれた。さらに死角から伸びた凪の斬弦糸が絡みつき、トドメとばかりに鋭い切れ味を見せる。
    「流石に強いなーみんな……頼もしいぜ」
     滴る冷や汗をぬぐいながらも、レイチェルの口元には笑みが浮かんでいた。向けた銃口の先にいるのは十夜だ。エアシューズを煌めかせ、翔に飛び蹴りを炸裂させた、その瞬間にレイチェルの構えたガトリングが再び火を噴いた。浴びせられた弾丸を受けて、ついに十夜が悔しそうに膝を折る。
    「煉ちん、行くんだよ」
     凪が、後衛へ向かって弾丸のように突撃する。振りかぶった刃の煌めきは、しかし煉まで届かない。対する煉のウロボロスブレイドが宙を舞い、迎え撃つ。
    「ああっ」
    「く、ここまで、みたいだね……」
     打つ手を無くして足下をふらつかせる優樹の元へ、同じくらい満身創痍の、だがそれを感じさせない速度で疾走した翔のナイフが襲いかかった。
    「悪く思うなよ」
     こうして模擬戦は、赤組の勝利に終わった。
     
    ●潜入、マッサージ店
    「うふふ、可哀想な怪我人ちゃんたち……い~っぱいサービス受けていってくださいね♪」
     怪我を治す事が本懐だからか、あるいは単にいけないマッサージをしたいだけなのか。嬉しそうにはしゃいだいけないナースの声がマンションの一室に響く。
    「悪ィ。身体が言う事きかねェんだ。頼む」
     十夜の演技に、疑う事無くナースは何度も大きく頷く。
    「もちろんですわ! たっぷりしっかり癒やして差し上げますわっ」
     怪しい笑みを浮かべて十夜に近づくナースに、優樹の視線が刺さる。ドスドスと。これがサイキックならば視線だけで倒せそうだ。嫉妬にも似た感情が優樹の中でふつふつと沸き上がる……と同時に、今後に生かす為にもしっかり観察することも忘れない。
    「さあて、それでは皆さま、存分に癒やされてくださいな♪」
    「……、く……っ!」
    「あぁ、そ、そこ、いいにゃぁぁぁ」
    「何これ、やばい、気持ちいい……」
     次々陥落してゆく灼滅者たち。凪が日向でとける猫のような悲鳴をあげ、優樹もまた微妙に湧いていた嫉妬心を忘れそうになりながらため息をつく。そして平静な表情を変えなかった綾も、ついには頬を赤く染めて思わずこぼした。
    「……気持ちいい」
    「うふふふ、かわいい子たちには、たくさんサービスですわぁ~♪」
     そのとき、バンッと勢いよく戸口が開いた。
    「とどめ刺しに来たぜ、うおー」
     どうも棒読み感があるレイチェルの雄叫び(?)が響く。
    「ふははは! 灼滅者達よ、ここが貴様らの墓場だぜ! なむさんー!」
    「なっなんですの?!」
     なだれ込んできた新たな灼滅者たちを見て、ナースがうろたえた声を上げた。眼鏡を外した翔が冷たい眼差しを向けた。
    「俺達の目的はそこの奴らだ。邪魔するなら、テメェからぶっ殺すぞ」
    「まあっ! 大切なお客様には指一本触れさせません!」
     挑発にあっさりと引っかかったいけないナースが、怪しい空気から一転、巨大な注射器を構えて戦闘態勢に入る。
    「ヒーラーは潰すのが常道。……恨みは無いが、灼滅だぜ」
     不適な笑みを浮かべたレイチェルのガトリングが火を噴いた。銃撃の合間を縫って飛び出した美久が、縛霊手をはめた腕を大きく振りかぶって殴りつける。ナースの体を捕らえて縛り付けたところで、解体ナイフを構えた翔が容赦無く切り刻み、さらにナイフを捻って傷口をえぐる。
    「くううっ、ま、まずいですわ」
     じり、と後退仕掛けたナースに、すかさず潜入組が声を張り上げる。
    「わああんっナースさん助けて! 怖いよー!」
    「うお、危ねェ。こっちはロクに動けねェんだぞ?!」
    「きゃー、助けてナース様~」
    「ああっ落ち着いてくださいお客様っ、お、お客様ぁあ?!」
     宥めようとしたナースだったが、凪に背中からがばっと抱きつかれて豊かな胸がぽよんぽよん弾む。おなじくらい豊かな凪の胸が背中にぎゅうぎゅうと押しつけられているが、いけないナースは残念ながらそれどころではない。逃げ道はいつの間にか失われている。焦りがピークに達し、ナースが悲痛な眼差しを灼滅者達に向けた。
    「待ってくださいな、わたくし、ただ治療を」
    「残念だが命乞いは聞けねえぜ。……色仕掛けはもっとダメだぜ」
     これでも彼女持ちなんで、浮気はいかん。そう、レイチェルがばっさりと切り捨て追撃する。
    「よそ見してる暇はねぇぞ!」
     翔が、炎を纏ったナイフを閃かせ飛びかかった。ナースの体を焼き焦がす炎に照らされ、どこか壊れたような笑い声を上げる。もう逃げられない。そう悟ったいけないナースが、ぞくりと背筋を振るわせた。その隙を逃がさず、バイオレンスギターを構えた美久が、容赦ない一撃をたたき込む。治療を受けていた綾も、その首を狙おうとナイフを構える。敵に囲まれ、よろけたナースの元へと己の片腕を半獣化させた煉が瞬く間に肉薄した。
    「何故、灼滅者と分かっていても治療し、守ろうとまでする?」
     攻撃の前に、煉は問いかけた。どうしても、灼滅されてしまう前に聞いておきたかったのだ。
    (「何処かに取り込まれると驚異となると言うことは、武蔵坂に取り込む事が出来れば力となる。答えによっては協力関係を結べないものだろうか?」)
     そんな思いを知ってか知らずか、いけないナースはにこりと笑った。
    「うふふ、それがわたくしの愉しみだから、ですわ……」
     かろうじて攻撃を受け止めては見せたものの、その体に負ったダメージは深い。
    「悪いな、いけないナースさん。せめて一思いに、逝かせてやるぜ!」
    「敵とはいえ騙すようで心苦しいのですが……覚悟決めます!」
     レイチェル、そして美久が逃がすまいと立ちはだかった。
    「どうやら、ここまでのようですね……」
     ゆらり、と立ち上がったいけないナースが笑う。その覚悟に応えるように、灼滅者たちの攻撃がナースの体へと叩き込まれた。
     
    ●ナースの消えた後で
    「皆お疲れ様なんだよ」
     静けさを取り戻したマッサージ店で、凪がにこりと笑う。
    「LHより熱かったのだ」
     満足げな笑顔でそう言うと、凪は足下に控えているマトラを撫でる。見事に目的を達成できた灼滅者達は、ようやく緊張を解いた。
    「お疲れさん」
     十夜がゼファーと、それから優樹ともハイタッチを交わす。再び伊達眼鏡をかけた翔は、いつもどおりの穏やかさをまとう。寸前までの殺気は嘘のように収まった。
    「はあ、楽しかったけどなんかなーだぜ。……怪我なんてするもんじゃねーな」
     レイチェルが肩をすくめる。隣に立つ綾が、鎖をじゃらりと鳴らして部屋の中を振り返る。
    「治療……ありがとうございました」
     ぽつり、今はもう居ないナースへ向けて静かに呟いた。綾の言葉は、届くだろうか。
     美久も、静かに目を閉じて祈った。
    (「……今度生まれ変わったら……素敵な整体師でお願いします」)
     もしそうなれば、とんでもないかもしれないけれど、すてきな手腕を存分に発揮できるだろう。
     静かなマンションには、もう彼女の気配はない。これは完全に個人的な感情なんだけど、と前置きしてから、煉は静かに胸の内を言葉にした。
    「ダークネス=灼滅と言う考えにオレは至れない。甘い考えだと言う自覚は有る。全てのダークネスと共存出来るとも思っていない。人間同士ですら儘ならないのだから……」
     切なそうに、やりきれない思いを瞳に浮かべて、ナースの居た空間を見つめた。
    「それでも共存出来ないか考えてしまうんだ。彼らの否定は自身の否定にも繋がるのだから」
     灼滅者たちの思いは様々だ。少なくとも、今ひとつの脅威の芽を摘むことができた。平和が戻ったことを確かめ、灼滅者達はその場を後にした。

    作者:さめ子 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月17日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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