真灼滅者講座:魔人編纂室

    作者:七海真砂

    「皆さん、お集まりくださって、ありがとうございます」
     集まった生徒の前に立ったのは五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)だった。
    「実は、お願いしたい事があるんです。皆さん、『魔人編纂室(まじんへんさんしつ)』はご存知でしょうか?」

     魔人編纂室は、『これまでの武蔵坂学園』についての記録を保管するための部屋だ。
     ダークネスとの戦いの歴史や、他の組織の情報、これまで学園で起こった出来事など、様々な事についての動画や音声データ、書類などを整理し、収納している。

    「しばらく魔人編纂室の整理をしていなかったので、最近の出来事をまとめて収納したいと思うのですが、私1人では大変なので……皆さんにお手伝いをお願いしたいんです」
     最近の出来事と一口に言っても、たくさんの出来事があった。たとえばダークネスの情報をまとめるにしても、様々な種族や組織ごとにバラバラに活動している彼らの動向を、全部完璧に把握できているという人は、あまりいないはずだ。
     しかし、みんなで協力して情報を持ち寄ったり、手分けしながら整理を進めていくことができれば、作業はぐんと効率よく進むだろう。
    「だから皆さんには、『自分の得意分野』や『自分が詳しいこと』などについての情報を、まとめていくお手伝いをお願いしたいんです」
     ぜひ力を貸して下さい、と姫子は皆に呼びかける。

    「もちろん、皆さんの中にはこの学園に来たばかりだという人もいると思いますし、最近の出来事や学園のあゆみなどに、あまり詳しくない方も多いと思います」
     そんな皆さんにも、ぜひお願いしたいことがあるんです、と姫子は言う。
    「武蔵坂学園のことや、これまでの出来事などで何かわからないこと、知りたいこと、確かめておきたいことなどを、ぜひこの機会に質問して欲しいんです」
     わからないこと、知りたいことを積極的に発言するのは、とても大切なことだ。
     魔人編纂室は『何か知りたいことがある』時に使う部屋なので、実際に誰かが詳しく知りたいと思ったことを重点的にまとめておけば、今後、同じような疑問を持った他の生徒達にも、より『わかりやすくて役に立つまとめ』になってくれるだろう。気になる事があれば、どんな内容でも遠慮なく、ぜひ聞いて欲しいと姫子は告げた。

    「これまでの学園のあゆみについて再確認をしたり、より詳しく理解する良い機会になると思います。今後の活動にも役立つと思いますから、お時間のある方は、ぜひ参加していただけると嬉しいです」
     みんなで楽しく情報をまとめながら、いろいろな事に詳しくなって、今後に生かしていけたらいいですね……と、そう笑いかける姫子だった。


    ■リプレイ

     昨年11月に行われた整理作業以来、灼滅者達は久々に魔人編纂室を訪れていた。
    「さて、今回も学びにきました。姫子先輩はいつもお疲れ様です。ありがとうございますわ」
     そう挨拶をしながら、部屋に入ってくるのは、ルウ・イエリヴァル(音探し・d25942)。今回は組織ごとに誰がどう所属しているのか等を知るために来たようだ。
    「へんさんしつ……? なるほど、わたしのように情勢がさっぱりな人間にはもってこいなのです」
     蓬野・榛名(陽映り小町・d33560)のように、初めてこの部屋に入る者は少なくない。
    「この学園にはこんな部屋もあるのか。……そういや、俺この部屋に来るのは初めてだな。こんだけの量一日じゃ読み切れねえよなあ……」
     鷹群・烈火(百火繚乱・d31747)もまた、その一人。烈火は興味深そうに棚に入っていた書類を手にする。
    「前回はボクが学園に来たばかりの頃にやってたんだよね。もう一年来るのかー。学園での日々は、あっという間に過ぎてくね」
     パソコンの前に陣取る本間・一誠(禍津の牙・d28821)は、渡されていく書類をパソコンで入力し、情報の整理を担当している。
    「レコーダーも用意したし、これでいいわね。斬さん、ちょっとこの書類見てくれるかしら?」
     初心者に対して、わかりやすいよう、簡単なQ&Aの書類にしてまとめているのは、里谷・結衣(高校生魔法使い・d34873)。
    「これだな……なるほど、図も入れてわかりやすくしているのか。良いと思うぜ」
     クラスメイトの大和・斬(高校生人狼・d35366)がそう言って、確認した書類を結衣に手渡した。
    「遺言に従って入ったはいいけど、まず初めの仕事が記録整理かよ。はあ~、面倒だろこれ………」
     念のため埃が入らないように愛用のゴーグルをつけて、書類を整理し始めるのは、七華・鈴(光の追憶・d35343)。鈴の気になる情報を中心に見ているようだ。
    「……相変わらずとんでもない量だコレ。とにかく、まずは、手っ取り早く最新の情報だけ纏めてしまおう」
     月村・アヅマ(風刃・d13869)の呼びかけで、集まった灼滅者達は、まずは最新の情報から纏めて行くことにしたのだった。

    ●絆のべヘリタス事件
     最近の事件の中でも、特に灼滅者達の注目を集めているのは、四大シャドウ『べヘリタス』にまつわる事件だ。
    「最近はシャドウたちの動きも活発になってきているけれど、そうだね、ボクが注目しているのはやはりボクと同じクラブのスート……ベヘリタスかな?」
     どうやら、墨染・暗時(ハウンドティンダロス・d27393)も気になっているようだ。
    「四大シャドウの一角、けど、分割存在になった存在……とだけ認識していたけど。思えば学園が邂逅したブレイズゲートのときから、印象的な言葉を言っていたんだっけ?」
     そう指摘するのは、久我・成海(デモノイド空手家・d29542)。
    「分割存在になった哀れな存在……というわけでもないの、かな」
     どうやら、サミル・ローレック(天の毒・d33612)も気になっている様子。
    「4大シャドウのうち、ザ・クラブである絆のベヘリタスは、人の『絆』を奪って卵を産み付ける」
     そう答えるのは、華槻・灯倭(月灯りの雪華・d06983)。
    「左様。拙者が知る限り『一般人のソウルボードで卵が植えつけられる事件』『アンブレイカブルのソウルボードで孵化する事件』『羽虫型ベヘリタスがアンブレイカブルを襲う事件』そして『羽虫型ベヘリタスがアイドル淫魔を襲う事件』が存在するでござる」
     べヘリタスの事件を追っていた阿久沢・木菟(八門継承者・d12081)がいくつか起きた事件について指摘した。
    「『宇宙服の少年』が、人と人との絆を喰って孵化するベヘリタスの卵を植え付けていくという事件は以前から起きていましたが……」
     黒瀬・夏樹(錆塗れの手で掴むもの・d00334)がそう言うと。
    「うんそうだね。今までに一般人の絆を奪って、孵化しようとするような事は何度もあった。僕もその案件に臨んだことがあるしね」
     村瀬・一樹(ユニオの花守・d04275)が頷く。その事件で灼滅者達は、絆を奪われた人々と新たな絆を結ぶことによって、卵から孵化したべヘリタスを倒して回っていたのだ。
    「この宇宙服の少年が、光の少年タカトなのでしょうか?」
     思わず、黒鐵・徹(オールライト・d19056)が首を傾げる。
    「確定情報ではないが、多くの者が見た予兆から、そう思って良いだろう」
     そう告げるのは、駆堂・駆(赤い疾風・d13783)。
     とにかく、『一般人のソウルボードで卵が植えつけられる事件』は今年の6月以降起きなくなっていたのだが、それは事件の終わりではなく、新たな事件の始まりだったのは言うまでもない。

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    【マスターからの解説】
     ベヘリタスの卵については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●ベヘリタスの卵
     http://tw4.jp/html/world/story/st_behegg.html
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    「まあ、そりゃ昔『寄生虫野郎』って罵ったことあるけどさ」
     そう口を開くのは、レオン・ヴァーミリオン(鉛の亡霊・d24267)。
     ベヘリタスの『羽化』にまつわる事件は、2015年8月、彩瑠・さくらえ(望月桜・d02131)が、ベヘリタスの卵から生まれたと思われる『芋虫に羽の生えたような姿のシャドウ』による事件の発生を突き止めたことから思わぬ発展を見せる。
    「ららは先輩たちと一緒に卵から孵った芋虫シャドウを追ったよ。一般人のソウルボードに入りこんだ所を現実世界に引きずり出してやっつけたんだけど、30匹くらいの子シャドウが蜘蛛の子を散らすように産まれてきて、思い出しただけでも鳥肌がたっちゃう」
     関連する依頼に参加していたようだ、椋來々・らら(恋が盲目・d11316)がそう言って身震いしている。
    「不思議な事にダークネスなのに、人間の闇堕ちを介して増えるのではなく、卵から沢山羽化して一気に増えてるんです。普通のダークネスが増える為の法則から離れている上に、一気に増え、成長しています。規模が大きくなりつつあるこの勢力、早く抑えないといけないですね」
     そう神乃夜・柚羽(燭紅蓮・d13017)が指摘する。
    「ダークネスには余り同情しない方だけれど、卵を植え付けられたアンブレイカブルは、何だか気の毒だったなあ」
     『アンブレイカブルのソウルボードでベヘリタスが孵化する事件』の事を思い出したのか、シェリー・ゲーンズボロ(白銀悠彩・d02452)はそう呟く。
    「シン・ライリー派のアンブレイカブルがベヘリタスの卵を植え付けられて、孵化しちゃって……しかも宿主になったアンブレイカブルは死んじゃうーって事態が続いてる。だんだん相手方の動きも活発になってきてるみたいだねー」
     と、初食・杭(メローオレンジ・d14518)が聞いている者へと話していく。
    「最近巨大なものも出てきたそうですが……」
     この事件で現れた羽虫のスケッチを描きながら指摘するのは、土屋・筆一(つくしんぼう・d35020)。灼滅者達によって救出されたアンブレイカブルもいるが、そうしたアンブレイカブルが再び、今度は3m程度にまで成長した羽虫型ベヘリタスに狙われる事件も起きている。筆一はそのことを指摘しているようだ。また、襲撃を受けたアンブレイカブル達は、北へ向かっていたようだ。
    「私は先日、ベヘリタスに卵を植え付けられたアンブレイカブルに、遭遇しました。状況的な判断からこのアンブレイカブルを助けています。彼は去り際に『共闘』という言葉を残しており、もしかしたら戦う以外の道が、彼らとの間には残っているのかも知れません」
     アルファリア・ラングリス(蒼光の槍・d02715)は、そう一つの可能性を示唆している。
    「詳しい事は調査中だけれど、アンブレイカブルに関しては、以前の獄魔覇獄で関わった業大老が関係あるかも、と言われているよ」
     そう言って、灯倭が締めくくった。

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    【マスターからの解説】
     ベヘリタスとアンブレイカブルについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●『繁殖』するベヘリタス
     http://tw4.jp/html/world/story/st_beheuka.html
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    「ところでラブリンプロダクションの彼らは、今どうしているのやら……」
     撫桐・娑婆蔵(鷹の目・d10859)は前に見た予兆が気になるようだ。
    「予兆でみえた、宇宙服着た人って怪しいなぁ。うん、悪い人かもなの! よくわからないけど、学園にとって『おんじん』のラブリンスターおねーさんをさらったんでしょ? うん、なんとかしないとね!」
     リディア・アーベントロート(お菓子好きっ子・d34950)は、助けに行きたいようだ。
    「宇宙服の少年によって、ラブリンスターが行方不明。彼女の管轄だった淫魔達がベヘリタスに襲われている……と。この少年の目的がいまいちわからないのもそうだが…今後、ラブリンスターが敵対者として出てくる可能性も否めないのが不穏だな。単純に『ラブリンスター救出しましょう』で済むものかね、この問題は」
     そう懸念を指摘する石動・悠吏(人間万事塞翁が馬・d25572)。
    「ラブリンスターは武蔵坂と比較的友好関係とは言え、強大な力を悪用されると、何だかそのうちロクな事にはならないだろうなと言うのは分かるのですが……むむ」
     ミーア・アルバーティ(猫メイドシスターズ・d35455)もまた、難しい問題に頭を悩ませているようだ。
    「絆を奪うのかわからんが、軒並み強力なダークネス達がやられてる。ラブリンも無事だといいんだが」
     そういって炎導・淼(ー・d04945)はふと、天井を仰いだ。

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    【マスターからの解説】
     ラブリンスターと『宇宙服の少年』の予兆については、以下のページをご確認ください。

    ●【予兆】東京都・渋谷の路上
     http://tw4.jp/html/world/story/ex/151013main_ex01.html
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    ●ヴァンパイア組織『朱雀門高校』
     続いて、話は『朱雀門高校』に移る。
    「ヴァンパイアで現在、有力な者……勢力を付けている集団とか、今は居ないのでしょうか?」
     そう尋ねるのは鴻上・玲奈(怜悧なる一輪の花・d35700)。
    「えーっと、この資料によると、『朱雀門高校は、ヴァンパイアの組織ではあるが、戦力を補うため、他の種族も傭兵的な立場で雇い入れている』ってあるね。確か、『本国』と『生徒会長派』と『副会長派』があるんだよね?」
     皿屋敷・花耶(”十枚目”・d04703)が、大量にある資料からその情報を拾ってきたようだ。
     だが、その組織も最近になって、内部分裂が起きているらしい。
    「予兆によると朱雀門の生徒会長の狙いは『古き吸血鬼達』の潰えた先にあるらしい。俺達の動きも計算に入っていそうだな。穏健派の瑠架に対して、会長は手段を選ばぬ男の様だ」
     そう指摘するのは、鈍・脇差(ある雨の日の暗殺者・d17382)。
    「言われてみれば、朱雀門の内部では、副会長の朱雀門・瑠架が義の犬士ラゴウと共に離脱するという大きな動きがあった。でも生徒会長はそれすらも予想の範囲……というような態度だった。こいつらの関係、一体何なんだろうな」
     咬山・千尋(高校生ダンピール・d07814)もそう頷き、考察を重ねる。
    「生徒会長派と副会長派の関係は、今はどうなっていますの?」
     そう、蒼月・薊(蒼き槍を持つ棘の花・d17734)に指摘され、灼滅者達は組織に所属しているメンバーを箇条書きに纏めて行った。
     現在、『生徒会長派』には、刺青羅刹『鞍馬天狗』『鈴山・虎子』、デモノイドロード『ロード・クロム』、ASY六六六を率いていた『本織・識音』などが、こちらに所属していると目されている。
     一方、『副会長派』は、『義の犬士ラゴウ』と竜種イフリート『ファフニール』が同行しているようだ。

    「今みたいに明確に分裂した直接のきっかけは、春から夏ごろ芦屋で活動してたHKT六六六の本織・識音が、一部の幹部の情報置いて朱雀門に戻って、その情報でボクたち武蔵坂学園がその幹部を襲撃したからだよね?」
     そう確かめるのは、淡白・紗雪(六華の護り手・d04167)。
    「HKT六六六系列のASY六六六を率いていた『本織・識音』って奴のアジトに、朱雀門幹部の動静が書かれたメモがあったのが始まりっすね。本織は自分で情勢を動かせるほどのタマじゃなくて、朱雀門高校生徒会長の指示だったと後に判明してるっす。そのメモを元に、ラゴウ、ファフニール、ロード・パラジウムへの襲撃が実行され、ロード・パラジウムが灼滅されやした。事情を知ったラゴウは、生徒会副会長朱雀門瑠架とファフニールを連れて朱雀門高校から離反。独自の勢力を築き始めてるっす」
     その言葉を受けて、ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)が解説していく。
    「そもそも、この襲撃はASY六六六の調査を行う中で得られた情報。どうにもきな臭い、仕組まれたものだった疑いがあるのでござる。……そしてパラジウムの死を悼むかのように、彼奴の配下だったデモノイド達が暴れ出している……敵討ちといえばそれまでだけれど、拙者の目には、あの連中は浮遊戦力のようにも映るでござる」
     そう所感を述べる、四方祇・暁(天狼・d31739)。
    「そういえば、予兆で生徒会長が気になることを言っていたな。確か、『瑠架のようなダークネスが正しいとされる世界』を実現するためには『古き吸血鬼達』は全て潰えねばならない、だったか?」
     気になる話だと紅・光牙(闇を砕く牙とならん・d27302)も指摘する。
    「ラゴウもこの出来事が終わった後、瑠架に対して『僕自身の復讐』って言ってましたし、そちらも気になるところです」
     緑風・玲那(緋閃葬翼・d17507)もラゴウについて、気になる点があることを告げる。
    「解せぬは朱雀門たる組織を脱退、本国対立を招くこの行為。仮にも組織の長たる立場、斯様な行動取るは不自然、何かしらの因果在りしか……。動向注視し、本国、朱雀門高校、そして新勢力の思惑測る必要あろうな」
     卜部・泰孝(大正浪漫・d03626)はそう瞳を閉じた。

     ふと、思い出したように朝永・詩音(満月の申し子・d21523)が言う。
    「そういえば、最近、タトゥーバットが時々現れてるね。今は、三重県津市の方で事件が起きてるんだっけ?」
    「ええ、瑠架さんを救うべくストーカー……こほん、瑠架さんを大好きな『子爵』さんがタトゥーバットを人里にばらまいているようです」
     琴鳴・縁(雪弦フィラメント・d10393)が解説を加えながら、頷く。その呼称からも、『子爵』が爵位級ヴァンパイアである可能性は高いと見られていた。
    「以前に起きていたタトゥーバットの事件は、どうも自己顕示的というか、『子爵』が自身の存在を知らしめようとした事件であったようじゃの。一般人を標的とした無差別な虐殺を仕掛けるという、許しがたいものであったぞ」
     しばらく学園を離れていた神楽・美沙(妖雪の黒瑪瑙・d02612)も話に加わる。
     朱雀門高校に関しては、津市での戦いが一つのターニングポイントとなるかも知れない。

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    【マスターからの解説】
     朱雀門高校や朱雀門幹部襲撃、タトゥーバットの事件については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●朱雀門高校その3
     http://tw4.jp/html/world/story/st_suzakumon3.html
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    ●灼滅者の戦争
     最近の重要事件をひとまず纏め終えた灼滅者達。
     続けて、昨年11月に行われた魔人編纂室での情報まとめ以降に起きた事件に関する情報の編纂に移る。
    「私たちは、戦争の知らせがあるたびに直前に現地へ向かい、その内情を暴き地の利を我が物にする……その事前調査業務をずっと担当してきたのです。ええ、戦争に関しての情報は私達調査隊がお任せです」
     鷹合・湯里(鷹甘の青龍・d03864)が、これまで灼滅者達が戦争で訪れた場所の情報を提示した。昨年末から、灼滅者達が経験した大きな戦いは3つある。
    「2014年12月22日に横須賀市で行われた武神大戦獄魔覇獄。
     2015年3月1日に長崎県の端島(通称軍艦島)で行われた軍艦島攻略戦。
     2015年7月5日に札幌市で行われた札幌迷宮戦。この3つですね」
     それぞれが殲術再生弾を発動しての、大きな戦いであったと、参戦した灼滅者達は戦いを振り返る。

    ●武神大戦獄魔覇獄
     2014年12月22日に横須賀市で行われた武神大戦獄魔覇獄。
    「事件に関わったダークネスの数だけで言えば、恐らくこれが最大ですよね」
     そう情報を提供するのは、浅井・洋佳(皆さんに平和を・d33491)。
     前哨戦を経て行われた決戦の内容は、『獄魔大将』を擁する勢力同士による、ラグナロク遥神・鳴歌の争奪戦であった。
     参戦した獄魔大将は全部で8名。灼滅者達は、その名を挙げていく。

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    1.武蔵坂学園と何度か共闘しているガイオウガ派イフリートのクロキバ。
    2.元スキュラ八犬士のシン・ライリー。
    3.スサノオの姫ナミダ。
    4.四大シャドウ『歓喜のデスギガス』配下の将軍アガメムノン。
    5.殺人企業『斬新コーポレーション』社長、斬新・京一郎。
    6.眷属ブエル兵を率いるソロモンの悪魔、ブエル。
    7.ハルファス軍に雇われ獄魔大将として参戦した、元スキュラ八犬士カンナビス。
    8.武蔵坂学園の灼滅者、猫乃目・ブレイブ(灼熱ブレイブ・d19380)。
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    「その中にはアンブレイカブルのシン・ライリーもいました」
     鳳仙・刀真(一振りの刀・d19247)は、そう参加した勢力について解説を加えた。
     そして、最終的にラグナロクは武蔵坂学園のものとなったが、それが確定した瞬間、ラグナロクから膨大なサイキックエナジーが放たれる。
    「その目論見は……アンブレイカブルの重鎮・業大老の復活! ダークネス各勢力同士を戦わせてサイキックエナジーを集中させ、それを利用して復活してやろうと考えてたみたい」
     水走・ハンナ(東大阪エヴォルヴド・d09975)がそう付け加える。
    「あの時、受け入れるとは思ってませんでしたよ」
     当時の戦いを振り返りながら、牧野・春(万里を震わす者・d22965)はそう付け加える。
     そう、業大老の思惑は、猫乃目・ブレイブが、闇堕ちすることを承知でサイキックエナジーを自らに受け入れたことで破綻した。
     その後、最強の獄魔大将と化したブレイブを灼滅者達は元に戻し、戦いは終結を迎えたのだ。
    「結局業大老はどうなっちゃったのかしらね?」
    「しばらく後にタカトによって絆を奪われ、海深くへ沈んでいった……そうした予兆がありましたね」
     鳳仙・刀真(一振りの刀・d19247)が、年末に見た予兆を語るが、業大老の生死は、今なお不明である。

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    【マスターからの解説】
     武神大戦獄魔覇獄については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●武神大戦獄魔覇獄
     http://tw4.jp/html/world/event/035war/035war_141221main.html
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    ●軍艦島攻略戦
     2015年3月1日に起きたのは、軍艦島攻略戦だ。
    「当時の軍艦島は、地下に要塞が築かれた、刺青羅刹を率いる『うずめ様』の拠点とされていましたわ。そしてそこには灼滅者『七不思議使い』が囚われ……彼らの救出のため、私達は島へと乗り込む事となったのです。結果、七不思議使いの救出は成功しましたが、島内の攻略はそこそこで、主要な敵複数を残す結果となりましたわ」
     そう説明するのは、安田・花子(クィーンフラワーチャイルド廿・d13194)だ。
    「そんな出来事が起きていたのですね……」
     メモ帳とペンを片手に、蓬莱泉・桜音(桜の旋律・d35492)はしっかりと話を聞きながら、当時の戦いのことを学んでいるようだ。
    「戦果としては、朱雀門高校から派遣されていたソロモンの悪魔、美醜のベレーザを灼滅したのが一つ。また、六六六人衆の集団『HKT六六六』の最強メンバー『ゴッドセブン』との交戦も発生していますね。それと、軍艦島最深部の巨大定礎石で行われていた儀式は、日本のご当地幹部『ザ・グレート定礎』を復活させるものだったことも忘れてはいけません」
     星空・みくる(お掃除大好きわん子・d13728)は精一杯、解説を加えていく。
    「この戦いで知ったことといえば、『ザ・グレート定礎』に挑んだ灼滅者の皆さんが伝えてくれた、彼の頭部の内部に隠された、一枚の紙片……『ダヴィンチ・コード』の存在ですね」
    「『ダヴィンチ・コード』、か……」
     みくる達の話を聞きながら、自分のノートに軍艦島攻略戦のことを記録していた神城・愛(罪を背負う咎人・d27362)が思わず呟く。
    「日本のご当地幹部なのになぜ、ダヴィンチコードが組み込まれていたのでしょうか? ダヴィンチコードはイタリアのレオナルド・ダ・ヴィンチの図面の印象ですけど……レオナルド・ダ・ヴィンチもダークネスなのでしょうか?」
     九重・朔楽(花と在る・d34203)が疑問を呈するが、それに答えられる者はいない。
     レオナルド・ダヴィンチが、なぜ日本のご当地幹部と関係があるのか。
     いずれにせよ、重大な秘密が隠されているのは間違いなさそうだった。

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    【マスターからの解説】
     軍艦島攻略戦については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●軍艦島攻略戦
     http://tw4.jp/html/world/event/038war/038war_150301main.html
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    ●札幌迷宮戦
    「そういえば、俺がこの学園に来てすぐ……7月の頭ごろだったか、札幌でダークネスさん等と大規模な殴り合いをしたが、あれはいったい何だったのかを知りたい。来たばっかりでいきなりだったからな。本当に、何が何だかよく分かっていなかった」
     そう尋ねるのは茶倉・紫月(影縫い・d35017)。
     その言葉に従い、2015年7月に起きた札幌迷宮戦についてまとめていこうと、灼滅者達は整理を始める。
    「小腹空いた方へ札幌発祥のラーメンサラダを提供しますね! 私の手作りです! 胡麻ドレッシングで召し上がれ☆」
     若林・ひなこ(夢見るピンキーヒロイン・d21761)から提供されたご当地グルメを堪能しながら、札幌で起きた事件を振り返っていく。
    「俺が関わったのは札幌の地下鉄が突然ダンジョン化して、アンデッドが出没するようになる事件だったな。電車が走ってない深夜の時間に起こるから直接的な被害は出なかったけど、放っておいたら被害が出るかもしれなかったから退治に向かったんだ。
     地下鉄の線路内がRPGとかのゲームとかに出てくる木や石でできたダンジョンそのものになっていたり、隠れたところからアンデッドが出てくるのを警戒しながら探索したりと、まるでゲームの登場人物になった気分になったな。……あまりこういう感じで味わうのは勘弁だけど」
     事件の発端をそう話すのは、自身も事件解決に加わったという、中崎・翔汰(赤き腕の守護者・d08853)。
    「まあ、実際はノーライフキング『北征入道』がダンジョン事件を起こしてたんだけど……手助けするってことで、今度は白の王セイメイが援軍を送ろうとしてたんだよ。俺が阻止に回ったのは『女郎花』ってやつ。なんかやけに高圧的で気に食わない奴だったなー」
     敵のことを思い出し、悔しそうに話す神威・天狼(十六夜の道化師・d02510)。
    「北征入道さんの目的はね、自らが見つけた『ラグナロク』を利用する事で、札幌の地下鉄のみならず、札幌市全域を、バベルの鎖の予知が及ばない『蒼の迷宮』と化すことだったのでございます」
     そう、マナクル・スレイヴ(子供のボクと奴隷の私・d23286)が、先輩風を吹かせながら説明する
    「なるほど。そういえば、そうでしたね」
     ダンジョンについての資料を纏めていた薛・千草(パワースラッガー・d19308)がぽんと手を打って、すっきりしたような表情を見せていた。

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    【マスターからの解説】
     深夜の札幌地下鉄ダンジョンについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●深夜の札幌地下鉄ダンジョン
     http://tw4.jp/html/world/story/st_sapporochika.html
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    「札幌迷宮戦前の事件の中でも、印象に残ってるのは、札幌テレビ塔の事件、かなぁ」
     そう話し始めるのは、栄・弥々子(砂漠のメリーゴーランド・d04767)。
    「札幌の地下鉄駅と、テレビ塔と、テレビ塔周辺で同時に3つの作戦が展開された、んだよ。弥々子は斬新社長さんの作戦に参加した、けど……たくさんの強い六六六人衆さんを前にするのは、やっぱりいつもより怖かった、の……」
     そんな弥々子の言葉に。
    「ドウモ、皆様。札幌迷宮戦第1ステージボスでございマス♪」
     そのときに闇落ちして、のちに救われた霧渡・ラルフ(愛染奇劇・d09884)が合いの手を入れる。
    「その後の戦争で助けられたのはとっても嬉しかった、よ」
     そう弥々子に言われ、ラルフは少し照れくさそうに笑みを浮かべていた。
     後のことを考えれば、事前に札幌テレビ塔での儀式を阻止していなければ、『贖罪のオルフェウス』はラグナロクの体を乗っ取り、現実世界に完全復活していた危険すらあったのだろう。

    ====================
    【マスターからの解説】
     札幌テレビ塔強襲作戦については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●贖罪のオルフェウス
     http://tw4.jp/html/world/story/st_shokuzai.html
    ●斬新コーポレーション
     http://tw4.jp/html/world/story/st_zansin.html
    ●ゴッドセブン
     http://tw4.jp/html/world/story/st_godseven.html
    ====================

    「そして札幌を戦場にして戦争がはじまりました~。負ければ札幌が迷宮化されてしまう負けられない戦いにゆみか達は勝ち、2年間捕われていたラグナロク桜庭・照男ちゃんを救出したのですぅ! まさか実家や馴染みの場所が戦場になるとか思いませんでした~……油断ならないのですぅ」
     夢野・ゆみか(サッポロリータ・d13385)がそう、札幌迷宮戦のことを話していく。
    「確か、ラグナロクを闇堕ちさせずに、サイキックエナジーの供給源にされてたんだっけ」
     資料を運びながら、城・漣香(焔心リプルス・d03598)がそう確認する。
    「当時は今まで名の知れたダークネスも多く現れ、それらはとても強敵であった。特にシャドウが現実に現れるのを防げたのは僥倖、出現を許せば大きく戦況を返されてしまうからな」
     そう解説するのは、黒影・瑠威(二律背反の闇と影・d23216)。
    「俺は武蔵坂学園の灼滅者の一部が突然闇堕ちした事件が特に印象に残ってるな……。確か四大シャドウの『ザ・スペード』である『贖罪のオルフェウス』の仕業なんだっけ? そんで救出した仲間から情報を得て、現実世界への完全出現っていうオルフェウスの目論見をこの『札幌迷宮戦』で阻止したんだよな」
     柏木・イオ(凌摩絳霄・d05422)の言葉に、皆が頷く。
    「斬新コーポレーションやSKN六六六の打倒もそうだけど、何といってもハルファスの灼滅だよ! ハルファスの灼滅はボク達人造灼滅者の悲願だったもんね!」
     そう興奮気味に戦況を伝えるのは、シルフィード・イェーガー(風の狩人・d30393)。
    「相手の目的は蒼の迷宮と呼ばれる、バベルの鎖の予知が不可能になる結界を作ろうとしていて、もし作戦が失敗していたら、参加していた灼滅者は帰れなくなってしまうというリスクがあったかな」
     そう思い出しながら、皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)が付け加える。
    「とにかく、結果は迷宮化の阻止とラグナロクの救出、共に完遂だ! 斬新コーポレーション、ハルファス軍、SKN六六六の3勢力が消滅することとなったんだ。おまけに、『贖罪のオルフェウス』の現実世界復帰も防げたぜ」
     不渡平・あると(相当カッカしやすい女・d16338)はにっかと笑みを浮かべながら、そう結果を伝える。
    「ちなみに……救われたラグナロク、桜庭・照男はあの凄いリーゼントのあいつよ」
     ついでにと言わんばかりに貴船・紅葉(オカルトヒーロー・d22052)が救われたラグナロク桜庭・照男について、付け加えた。
    「その他にもセイメイの命を受けた楢山御前まで参加するほど、ノーライフキング達にとっては大きな動きとなった。この戦争の後は静かにしているけど、油断はできないね」
     ライラ・ドットハック(蒼き天狼・d04068)は、そう懸念を告げる。

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    【マスターからの解説】
     札幌迷宮戦については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●札幌迷宮戦
     http://tw4.jp/html/world/event/046war/046war_150705main.html
    ====================


     最近起きた重要な事件や、大規模な3つの戦いについてのまとめを終え、一息ついた頃。飲み物を運んできたミラ・ベラトリックス(ステラノヴァ・d18332)がやってきた。
    「それにしても、書類を纏めてばかりじゃ疲れないかい? 飲み物を用意するから少しだけ休憩しようよ」
    「根の詰め過ぎもいけないでありますから、適度に息抜きティーブレイク! 或いは珈琲ブレイクですよー」
     ヴィント・ヴィルヴェル(旋風の申し子・d02252)も一緒に給仕を始める。
    「なんで和菓子に執事服なんだ? ……と悪いな。全員お疲れさん、ちょっとした息抜きにどうかな」
     黒い執事服でやってくるのは天風・昴(高みより空を望む・d25329)。昴の運ぶ銀のトレーには和菓子が乗せられていた。
    「モンブランタルトとパンプキンタルトです。和菓子とどちらがお好み?」
     一方のクロア・ルースフェル(十字路の死神・d27662)は、洋菓子と紅茶を配っている。
    「あ、勿論、レモンは広島産だから」
     崇田・來鯉(ニシキゴイキッド・d16213)は、いろいろな餡やクリーム、チョコなどを添えた特製の広島名物もみじ饅頭と、ミルクティーにホットはちみつレモンを配っている。
     他にも持ってきたお菓子や飲み物を用意している者達がいるようだ。彼らが先導して、編纂室にいるメンバーひとりひとりに配っていく。
    「あ、私は緑茶でお願いします。……はい、温めで。猫舌なんですよね」
     守部・在方(日陰で瞳を借りる者・d34871)は、温めのお茶を受け取り、ふーふーしながら飲んでいる様子だ。

    ●天海大僧正と安土城怪人
     休憩をはさんで、活力を得た灼滅者達は、次に主要な人物について纏めて行くことにした。これから纏めるのは、天海大僧正と安土城怪人についてだ。
    「現在の天海と安土城怪人は対立しているのですか?」
     さっそく逢魔・歌留多(黒き揚羽蝶・d12972)が尋ねる。
    「畿内では安土城怪人と天界大僧正のにらみ合いが続いている。この勢力の争いは他の勢力をも巻き込んだ形になっていたが、我々が琵琶湖の戦いで両軍へ等しくダメージを与えたことのより……泥沼だね、いや泥沼になったというところか」
     そう話すのは、丹下・小次郎(神算鬼謀のうっかり軍師・d15614)だ。
     天海大僧正と安土城怪人は、2013年10月の『琵琶湖大橋の戦い』が灼滅者達の介入によって有耶無耶になって以来、小競り合いを続けていた。
     だが、2014年5月、両者は再び多くの同盟者を集めて会戦を行った。
    「なるほど、地獄合宿の一環として介入した戦いが、あの『小牧・長久手の戦い』なんですね」
     歌留多は皆から教えられながら、そのことについて纏めて行く。
     その『小牧・長久手の戦い』で、灼滅者達が天海大僧正への攻撃を多く行った結果、安土城怪人が勝利を収めることになった。
     当時の灼滅者達の選択の背景としては、天海大僧正が朱雀門高校と結んでいたことが大きかったようだ。
     この勝利で天海大僧正の勢いは弱まり、逆に勢いづいた安土城怪人は勢力を伸ばしていくことになる。

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    【マスターからの解説】
     琵琶湖の戦い、小牧・長久手の戦いについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●琵琶湖の戦い
     http://tw4.jp/html/world/story/st_biwako.html
    ●地獄合宿~戦いは続く
     http://tw4.jp/adventure/replay/?scenario_id=14478
    ====================

    「妾が説明するとなると安土城怪人が城をご当地怪人に与え、自分の配下に招こうとしておる案件かのう。この案件はご当地怪人が強化され、強固な拠点を持つという事で只でさえ厄介じゃったが、其処に更に北征入道という輩が協力した関係で城の迷宮化という状態になりかねん事態になっておっての」
     そう安土城怪人の状況について話し始めるのは、カンナ・プティブラン(小学生サウンドソルジャー・d24729)。
    「実際に何回かその城を攻略しに行きましたけど、最近はノーライフキング……さっき話に出た北征入道とも手を組んで、城を迷宮化しているみたいですね。余計に攻略が難しくなりそうです……」
     丹羽・愛里(幸福を祈る紫の花・d15543)は地元愛知で起きた事件に心配している様子。
    「最近見てないけど、グレイズモンキーどうなったろうね。一番最後に確認されたのは予兆で、もっともいけないナースと接触してたんだっけか? あれだよね、その場にいるダークネスはなぜか言葉がわかる、らしいけど、予兆を通して、しかも灼滅者である私たちにはフェンフェン聞こえるだけで何を言ってるのかさっぱりだよね」
     七時雨・智兎良(夢喰う獣・d25941)のいう、グレイズモンキーは、安土城怪人勢力の重要な幹部であるシャドウだ。
     また、その後の事件により、安土城怪人は刀剣怪人や淫魔レプラコーンなどといった者達を配下に加えているようだ。
     これまで武蔵坂学園との大規模交戦はしていないが、警戒すべき勢力の一つだろう。

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    【マスターからの解説】
     安土城の事件や淫魔レプラコーン等については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●安土城怪人VS天海大僧正
     http://tw4.jp/html/world/story/st_aduchivstenkai.html
    ====================

     最近の天海大僧正の動向を語る際に真っ先にあげられる事件はといえば、
    「天海大僧正勢力との同盟の件ですね」
     荒谷・耀(護剣銀風・d31795)の言葉に、他の灼滅者達も同意を示す。
    「闇堕ちした学園の灼滅者……今は『依』と名乗る刺青の羅刹が使者としてやってきました。これについて、学園では意見を纏めるべく投票を行いましたが、見事に意見が対立。かなりの僅差で、同盟を蹴るまたは保留するという結果になりましたね。私はどこかしらに偏るかなと思ってたので、結構びっくりでした」
     灼滅者達にとっても、それだけ悩む案件だったということだろう。
    「結局申し出は拒絶したけど……いったい何が目的だったんだろう? まさか武蔵坂学園と本気で同盟を結ぼうってわけでもないだろうし……」
     そう考え込むのは、セレーネ・フローライト(百鬼夜行の元主・d28654)だ。
    「一回申し出を断ったわけですけど、こっちに義理立てる動きをしてる天海さんの真意は気になるのです。また何かしらの交渉はあるんでしょうかねぇ? せめて闇堕ちした人がどうなったかわかるといいんだけど」
     桜井・優日(月夜を想う・d31811)もまた、気になる様子。
     とにかく、その天海大僧正の申し出を断った後に起きた事件が、『金時山封鎖作戦』だ。
    「この事件は神奈川県の金時山において、天海配下の羅刹が其処から出ようとしている眷属を出さないように結界を張っているという事件です。現状、何故眷属が其処から抜け出そうとしているのか、羅刹が何故其れを山から出さないようにしていたのかは判りません。ですが……」
     そこで区切ってから、ホテルス・アムレティア(斬神騎士・d20988)は、一つの可能性を提示する。
    「この事件が起きる前、朱雀門高校の義の犬士ラゴウが、戦力を集めるという予兆を多くの人が見ています。この事を踏まえると眷属はラゴウの配下かと」
     ラゴウは、天海大僧正と対立中の安土城怪人と同じく、大淫魔スキュラの『八犬士』だった過去がある。
     そういえばと、次に遠間・雪(ルールブレイカー・d02078)が語り始める。
    「小牧長久手の戦い以降、安土城怪人の勢力は増し、天海大僧正の勢力は劣勢に追い込まれていく中で、天海大僧正の配下は安土城怪人の勢力に鞍替えしようとする者が現れてきたにゃ! それを阻止しようと天海大僧正は配下のスサノオ壬生狼組を派遣して、そのダークネスを殺害、その後で傀儡化しようとしたにゃ! その後で一般人を殺害しようとしたためにアタシ達の介入を招いたわけだけど、その後も壬生狼組を妨害しようと、刀剣怪人や武者アンデッドなどの安土城怪人の勢力も介入してきて大変だったにゃ!」
     雪の言う事件もまた気がかりな内容だ。
     また、現在も、『依』から天海大僧正の元を離反したダークネスが事件を起こす前にと連絡が届いたりしている。
     どちらにせよ天海大僧正が、その名の通り江戸時代から生き続けているダークネスなら、その策謀は侮るべきではないだろう。

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    【マスターからの解説】
     刺青羅刹「依」が持ってきた申し出については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●天海大僧正の申し出
     http://tw4.jp/html/world/event/049/049_rep.html
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    ●イフリート『クロキバ』
     次に纏めるのは、『クロキバ』についてだ。
    「聞こえてくる噂じゃ、最近クロキバはなんか変なことになってるらしいよね」
     八絡・リコ(火眼幼虎の葬刃爪牙・d02738)が心配そうにそう告げる。
    「クロキバ殿は、うずめ勢力の手を借りてアフリカンパンサー勢力に戦争を仕掛けに行ったそうだ。その戦闘で敗北し傷を抱えたまま敗走する事になった……。そして、傷も治らぬまま最終的に白の王セイメイに敗北し、その後の消息は、彼の残り僅かな仲間を含めて分からず仕舞いだ……」
     リコの言葉に、十文字・瑞樹(ブローディアの花言葉のように・d25221)が解説を加えていく。瑞樹の言う通り、クロキバは敗北し、アンデッドダークネスになってしまったらしい。
    「クロキバはアンデッドダークネスでセイメイに捕まっちゃったけど、黒牙が継承されてないって事は、クロキバはまだ死んでなくて、アンデッドダークネスの呪い(?)を解く事ができれば、元に戻せるのかなあ?」
    「蒼の技術によって、セイメイの手で、『アンデットダークネス』になってるんでしたっけ? その際の予兆で、クロキバの持つ『黒牙』の系譜が受け継がれること、それは王の転生を喰らう事が判明して。もうこれ、クロキバさん正気に戻しても『俺を殺して黒牙を……!』展開しか正直思い浮かばない。なんとか助けれたらいいんですけど」
     水瀬・裕也(高校生ファイアブラッド・d17184)と須賀・夜月(無自覚性善説主義者・d15283)はクロキバを助ける手立てを考えているようだった。

    「クロキバは、ゴッドセブン『もっともいけないナース』も道後温泉で接触していましたね。その後、すぐに決別しましたが……」
     霧月・詩音(凍月・d13352)が指摘するのは、軍艦島でアフリカンパンサーに負けた後の話である。その後、クロキバはセイメイに敗北し、アンデッドダークネスにされてしまったのだ。

     また、スサノオの姫『ナミダ』と共にブレイズゲートの力を回収して回る予兆を見たと語る灼滅者もいる。
    「そういえばクロキバって、今はナミダ姫と行動してるのだったかしら?」
     メモを取りながら、そう呟くのは東郷・時生(天稟不動・d10592)。
    「クロキバさんは、セイメイの眷族にされた後、ナミダ姫と行動を共にしていたようですね」
     少し寂し気な表情で鷹嶺・征(炎の盾・d22564)が頷いた。
     そして現在、クロキバは光の少年タカトとの戦いに挑まんとしている。
     その戦いがいかなる結末を迎えるかは、事件に介入せんとする灼滅者達次第だろう。

    「変わった中で竜種ってのがいるけどそっちはあんまり学園と接触のあるのはいない。朱雀門のファフニールってのがそれにあたるけど、裏切られたりしてたし今はもしかしたら別行動とってるかも。基本的に頭よろしくないけど竜種は輪をかけて話が通じないしなー」
     そう話すのは、淳・周(赤き暴風・d05550)。
     ガイオウガ勢力のうち、強硬派のイフリート達が『竜種』イフリートの力を得ようとしたこともあるが、これは灼滅者達によって阻止されている。その後、竜種『ファフニール』によって召集された竜種イフリートたちを共闘して灼滅したこともあった。
     いずれにせよ、クロキバと同じく、勢力としては弱小というべき立場に陥った強硬派の、今後の見通しは明るいとは言いがたいのかもしれない。

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    【マスターからの解説】
     イフリート「クロキバ」については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●獄魔大将クロキバ
     http://tw4.jp/html/world/story/st_nora.html
    ====================

    ●軍艦島勢力
    『軍艦島攻略戦』の後、軍艦島が移動要塞化したことが2015年5月の地獄合宿で判明した。
     現在、軍艦島には、以下のような勢力が乗っていると推測されている。

    =======================================

    1.刺青羅刹『うずめ様』 軍人のような、統率のとれた強化一般人を無尽蔵に作り出すことが出来る。何らかの予知能力を持つらしいとも言われる。
    2.ご当地幹部『アフリカンパンサー』 アフリカのご当地幹部。ガイオウガの力を宿した「ガイオウガボーンロッド」を持つ。クロキバの攻撃を受けたが、これを撃退した。
    3、ご当地幹部『ザ・グレート定礎』 日本のご当地幹部。頭が定礎石になった定礎怪人達を率いる。

    =======================================

     この『軍艦島勢力』が関わった事件が、今年の夏に日本海を襲った『アフリカン熱波事件』だ。
    「えっと私が特に印象に残っているのは……やっぱり、日本海に謎の熱波が押しよせてきてたことかな。だって超暑いんだよ!ただでさえ夏は暑いっていうのに熱波って!」
     神谷・蒼空(揺り籠から墓場まで・d14588)が、あの暑さを思い出すのも嫌だと言わんばかりの表情で言った。
    「まあ、謎っていうか『アフリカン化』を目論むアフリカンパンサーの仕業だったわけだけど」
    「普通って言っていいのか知らないけど、ご当地怪人達が『アフリカン化』で半ば野生化して日本語まで話せなくなったのにはチョイ驚いたよなー?!」
     三國・健(真のヒーローの道目指す探求者・d04736)が、ノリよく応じる。
    「その熱波の発生源は、佐渡ヶ島各地の廃坑道! 謎の地下洞窟『アガルタの口』と化して噴き出した熱風だったってわけだ」
    「臨海学校では、その対策に追われたな。……臨海学校とは、そのようなものだっただろうか」
     遠い目をする雪峰・響(雪風に潜む白兎・d19919)。
     ヴァーリ・マニャーキン(本人は崇田愛莉と自称・d27995)が、
    「でまあ、其処まで強くなかったんだが、『アガルタの口』を守っていた眷属を排除して、それから気温が元に戻るのを確認して学園に帰ったんだが、其の間に海を泳いだりビーチバレーをしたりして楽しんだ、と」

     軍艦島勢力が、佐渡島を軍艦島と同様の移動要塞化する計画だったのだろう。
     灼滅者達は、『臨海学校』として佐渡島に乗り込み、アガルタの口を塞ぐことで、佐渡島が支配されることを防ぎ、軍艦島は佐渡ヶ島への接近を止めた。

    「ええっと――そうだわ。夏の終わりに見た予兆を、あたしよく覚えているの」
     メモを取っていた重音・愛(愛死のオフェリア・d31841)が顔をあげた。
    「うずめ様とグレート定礎が、業大老をサルベージ……日本海溝から引き上げよう、って話をしていたの」
     愛と同じ予兆を見たという灼滅者は、他にも何人もいた。
     軍艦島の行方は分からなくなっていたのだが、独自に調査を行った灼滅者達が手がかりを掴んでいる。調査に期待したいところであろう。

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    【マスターからの解説】
     アフリカン熱波事件については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●アフリカン熱波事件
     http://tw4.jp/html/world/story/st_african.html
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    ●『序列』の謎
     久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)は、六六六人衆に関する情報を改めて確認する。
    「俺ら殺人鬼の宿敵は六六六人衆。常に六六六人を保つ殺人集団だな」
     彼ら六六六人衆は、殺人技能が高くなれば高くなるほど序列が上になると言われている。
    「とはいっても俺達ってまだ大抵600~500しか相手にできねーんだよな……俺らが10人弱集まって、やっとこさその序列相手と戦えるんだよ……」
    「……何か変な気もしますけどね」
     三六瀬・炬(殺して愛されたい・d34738)が、目当ての六六六人衆の手がかりがないかと記録を漁りながら言った。
    「何がだ?」
    「記録が正しいなら、下位の六六六人衆の強さが随分上がってませんかね」
     何年も前でも、今と同じようなランクの者達と戦って同じように苦戦していたりするものがある。灼滅者が当時よりもずっと強くなっているにも関わらずだ。
     もっとも、挙げた殺しの成果で序列が変動することがあれば、近い序列の六六六人衆間でも、その強さが大きく違う時もある。
     この場では必ずしも序列と強さが一致しないのだろうとひとまずの結論をつけるしかなかった。
    「大体、あの序列はどうやって決まっているんでしょう……序列六位『ランキングマン』というのが関わっているんでしょうか?」
     有城・雄哉(高校生ストリートファイター・d31751)が、予兆で聞いた名前を思い出しながら首を傾げる。

    ====================
    【マスターからの解説】
     『ランキングマン』が言及された予兆は、以下のページで詳しく確認できます。

    ●【予兆】千葉県・松戸市
     http://tw4.jp/html/world/story/ex/150919main_ex01.html
    ====================

    ●斬新コーポレーションの崩壊
     六六六人衆の中でも、2015年の前半に活動が目立ったものの一つが、札幌迷宮戦で滅ぼした殺人企業『斬新コーポレーション』だ。
     社長の『斬新・京一郎』は、武神大戦獄魔覇獄で戦った、獄魔大将の一人でもある。
    「……オレ、結局最後までアイツ等の斬新さが理解できなかった……」
     ウゴゴゴと呻いている狂舞・刑(暗き十二を背負うモノ・d18053)。
    「斬新コーポレーションに、乗り込んだのは……七不思議使いが来た後だから、3月ごろか。学園内資金が少し潤ったのが、記憶にまだまだ新しいぞ」
     狼姫・兎斗(白闇バーチカル・d01087)が、春の戦いを振り返る。
     問題の戦いで本社を滅ぼしたものの、社長の斬新・京一郎をはじめとした主要社員は、既に北海道に向かった後だった。
     その後は、北征入道との協力関係を築き、札幌地下鉄沿線で、六六六人衆の力を制限しての闇堕ちゲームを主催。その際に灼滅された六六六人衆をアンデッドダークネス化に結び付けるなど、札幌迷宮戦に深く関わることになる。
     戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)が、斬新・京一郎の姿を思い出す。
    「斬新・京一郎とは札幌の大通駅で直接相対しましたが、異様にクレバーな男でした。本質的には殺人位階の序列が目的だったと思いますが……最も特筆すべきは、殺人のために自社を起業する程のバイタリティだったのではないでしょうか」
    『札幌迷宮戦』での戦いの末に、灼滅者達は社長である斬新・京一郎の灼滅に成功した。
     斬新・京一郎以外には統制を取れる幹部もおらず、彼が死ぬと残党が暴れたりすることもなく消滅している。
     蔵乃祐の感じた印象も、外れていないのかも知れない。

    ====================
    【マスターからの解説】
     斬新コーポレーションについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●斬新コーポレーション
     http://tw4.jp/html/world/story/st_zansin.html
    ====================

    ●HKT六六六
    「では、HKT六六六のことをご説明しますね」
     花園・桃香(はなびらひとひらり・d03239)が言った。
    「博多を中心に活動していたHKT666は、現在は7つの組織に分裂しています」
    「軍艦島攻略戦の後、HKT六六六は軍艦島を出たみたいだな」
     四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805)が、そう確認した。
     軍艦島を出た後のそれらのHKT六六六最強の『ゴッドセブン』。

    「ゴッドセブンについておさらいしてみたよ」
     レビ・カーター(あんごらー・d05899)が、ゴッドセブンの名前をまとめた紙を見せると、他の灼滅者達が組織名と現状を書き加えた。

    ===========================

    ナンバー1「アツシ」(六六六人衆) MAD(松戸)六六六/灼滅済
    ナンバー2「もっともいけないナース」(淫魔)DOG(道後温泉)六六六/健在
    ナンバー3「本織・識音」(ヴァンパイア) AST(芦屋)六六六/朱雀門に帰還
    ナンバー4「黒髪・螺子子」(六六六人衆) 軍艦島で灼滅済
    ナンバー5「スマイルイーター」(六六六人衆) KSD(国際通り)六六六/灼滅済
    ナンバー6「アリエル・シャボリーヌ」(淫魔) SKN(すすきの)六六六/灼滅済
    ナンバー7「博多・ザ・リッパー」(六六六人衆)軍艦島で灼滅済

    ===========================

    「ここ半年で言うと、スマイルイーターにアツシ……ゴッドセブン2人を灼滅できたのは大きいところですね」
     寺見・嘉月(星渡る清風・d01013)が戦いを振り返る。
    「一応、アリエル・シャボリーヌもですか……」
    「まあ、シャボリーヌ殿は、もののついでじゃよな」
     山羽・明野(音狼・d28366)が遠い目で言った。
     札幌迷宮戦に、半ば巻き込まれる形で灼滅されたアリエルには、明野も不憫さを覚えるのを禁じ得ない。

    「あの爆弾魔スマイルイーターの事件は記憶に残っているわね」
     多くの人々を巻き込み、あまつさえ自分の配下すらいたぶって手駒にしていたスマイルイーターのことを思い出す苑田・歌菜(人生芸無・d02293)。
    「大量殺人をもくろむわ、各地に爆弾を仕掛けるわ、最終的には30人がかりで沖縄脱出するところで叩いて、ようやく倒せたからな」
     困難な相手だったと敷島・雷歌(炎熱の護剣・d04073)が振り返る。

    「『DOG六六六』……今は草津温泉で活動しているので、もう『もっともいけないナース勢力』と呼んだ方が正確でしょうが、淫魔いけないナースの集団ですね」
     現在、唯一組織を維持している『もっともいけないナース』の活動に関して、羽柴・陽桜(こころつなぎ・d01490)は、最近の情報を踏まえて報告する。
    「彼女達の活動は『相手を癒す』ことに重点を置いているように思えます。相手を癒して籠絡させて自分の勢力に引き入れることで、勢力拡大を狙うようです。今は安土城怪人の勢力圏で敵味方関係なく癒すことをしているみたいですね」
     もっともいけないナースと、配下のいけないナース達は、道後温泉でダークネス達の治療を行ってファンを増やした後、現在は天海大僧正と安土城怪人の小競り合いが続く草津温泉で、勢力を問わずマッサージなどをして癒しを与えているようだ。
    「警戒心が強いから普通に近づいたら逃げちゃうんだ。だからみんなで全力で戦って、怪我人を作った上で治療中に踏み込むという方法を取ったんだよ」
     武月・叶流(夜藍に浮かぶ孤月・d04454)が説明する。
    「最近いけないナースを騙し討ちしに行ったんスけど、思ったより好戦的でないもんで拍子抜けしちゃって。ダークネスは皆倒すべき敵と思ってたけど……そうでない奴もいるのかなって」
    「……正直言うとな、あのナースさんにゃ、罪悪感があるんだよな。しゃあねえんだけどよ。ダークネスにもああいう人が居るんだって目の前で見てさ」
     シグルス・グラム(獅子焔迅・d26945)や厳流・要(溶岩の心・d35040)も困惑気味だ。
    「悪い人ばかりじゃないと思うんだけどね! まぁ私達も絶対に妁滅させないとまずいわけだし!」
     仮夢乃・蛍姫(小さな夢のお姫様・d27171)が、迷いを振り切るように言った。

     現在も生き残っているゴッドセブンのもう一人、『本織・識音』が率いていた『ASY六六六』の活動に関しては、草那岐・勇介(舞台風・d02601)が説明する。
    「『ASY六六六』は兵庫県芦屋市内に数ある高級住宅地エリアを拠点に社長クラスに取り入り、悪質な一般人に朱雀門の戦力を提供してた」
    「『本織・識音』は、本拠地にしていた芦屋をあっさりと引き払って朱雀門高校に戻って行ったようですが、結局、現場にまったく姿を見せませんでしたし、真の狙いは何なのか……」
     暁文・橙迦(小丸好日・d24339)は、朱雀門高校の資料と合わせて首を捻る。
    「どっちにしろ、俺の地元を土足で踏みにじった本織詩音と朱雀門、HKTは絶対に許さない。これから、意地でも食らいついてやる!」
    「フクミミー……いやミスター宍戸は何してるんだろうなー……」
     芥川・真琴(焔と共に眠るもの・d03339)が、予兆で見たHKT六六六のプロデューサー、『ミスター宍戸』の濃い顔を思い出しながら呟いた。

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    【マスターからの解説】
     ゴッドセブンについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●ゴッドセブン
     http://tw4.jp/html/world/story/st_godseven.html
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    ●密室殺人鬼~MAD六六六『アツシ』と新たな事件
     ゴッドセブンの中でも、千葉県松戸市で殺戮を繰り広げた『アツシ』に関しては、灼滅者達も記憶に新しい。
    「ゴッドセブンのナンバー1『アツシ』は、『MAD六六六』を率いて千葉県松戸市で大規模な『密室』を作り出して殺戮を行っていたんですよね」
     東堂・時雨(悠久に降りしきる雨・d32225)が、『アツシ』の起こした事件のあらましを振り返る。
     アツシは脱出不能な空間を作る、『密室殺人鬼』と呼ばれるタイプの六六六人衆だ。
    「『密室殺人鬼』……一番初めは『縫村委員会』だったか? 初めて『密室』と呼ばれたのは、去年末の予兆だったはずだ。『小松市密室』……」
     狼川・貢(ボーンズデッド・d23454)が、予兆のことを思い出しながら口にする。

     アツシをはじめとして、『密室殺人鬼』と呼ばれる六六六人衆は脱出不可能な閉鎖空間を構築し、一般人や、時にはダークネスまでをも閉じ込める。
     2013年に起きた『縫村委員会』事件で多くの犠牲者を出した六六六人衆『縫村・針子』も、それに類する一人だったとみて間違いないだろう。

     関島・峻(ヴリヒスモス・d08229)は、松戸市の八柱霊園地下で『密室』を発見したときのことを振り返る。
    「アツシは、松戸市の各地に『密室』を幾つも形成した。密室には多くの人々が閉じ込められ、ダークネスによって命を脅かされていた。……いかにも六六六人衆の好みそうな話だよな。一体、合計でどれだけの人間が捕らわれていたのやら……」
     アツシの『密室』の位置はエクスブレインにも捉えることが難しく、灼滅者達は松戸市に潜入し、『密室』の位置を特定するための調査を行い、これに対処していた。
     そんな中で、灼滅者ハレルヤ・シオン(ハルジオン・d23517)が贖罪のオルフェウスによって闇堕ちし、MAD六六六の幹部となってしまう。
     灼滅者のやり口を知っているハレルヤがMAD六六六についたことで、一時は事件への対処が難航した。
    「だが、二度に渡る戦いを経て、灼滅者達はハレルヤを闇堕ちから救うことに成功した。あの救出成功には、驚いた者も多かったようだな」
     綱司・厳治(窮愁の求道者・d30563)が、当時の学園の様子を振り返る。
    「ハレルヤさんの救出は、アツシの灼滅に大きく影響しましたね」
     時雨は、ハレルヤ救出が事件解決に及ぼした影響を評価する。
     ハレルヤ救出により、それまでの困難な『密室』捜索から一転、アツシの作った全ての『密室』に関する情報は灼滅者達の知るところとなった。
     そして、灼滅者達は全ての『密室』を一斉に攻略。全密室を消さないと辿り着けないアツシの『密室』へと辿り着き、戦いに挑んだ。
    「アイツは強かったなぁ」
     アツシと直接交戦した槌屋・康也(荒野の獣は内に在り・d02877)や只乃・葉子(ダンボール系アイドル・d29402)が、ライブハウスでの戦いを振り返る。
     戦いの末、灼滅者達はアツシを灼滅し、松戸市密室事件は解決した。
    「殲術道具『断斬鋏』はゴッドセブン『アツシ』の武器を元にしたものらしいな。あの武器は中々いい、今後使ってみたいものだ」
    「ちょっと癖のある武器だと思うよ、個人的には」
     影月・銀(銀の月影・d34402)に、神守・狛次朗(狛犬系男子・d13901)が使用感を言う。

    「けど、アツシを倒したと思ったら、また別の密室事件が増えてるんすよね。今度のはアツシが作ってたのと違って、エクスブレインも予知できりゃ、スルッと潜入も出来ちまうモノばかり……」
     首を振る黒鐘・蓮司(グリムリーパー・d02213)に、宮瀬・冬人(イノセントキラー・d01830)が事件への怒りも露わに応じる。
    「あの新たな密室事件は気に入らないね。殺人衝動を持っている身としては、あんな風に殺人衝動に耐えている人を無理矢理追い詰めるのは許せないよ」

     最近起きているのは、『密室』に閉じ込められた人々の中から、六六六人衆が現れてしまう事件だ。
     問題の『密室』は、六六六人衆が灼滅か説得されるかしないと解けず、それ以外の手段では誰一人出ることが出来ない。
    「六六六人衆エンドレス・ノットが関係しているとも、言われていますが、どうなのでしょう」
     梓奥武・風花(雪舞う日の惨劇・d02697)が、予兆に現れた六六六人衆の名を挙げる。
     この新たな事件を起こしている密室殺人鬼の狙いは不明だが、その凶行を止めねばならないだろう。

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    【マスターからの解説】
     アツシの密室事件、六六六人衆「エンドレス・ノット」については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●松戸密室掃討作戦
     http://tw4.jp/html/world/story/st_madsoutou.html
    ●【予兆】千葉県・松戸市
     http://tw4.jp/html/world/story/ex/150919main_ex01.html
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    ●アンブレイカブル
     押出・ハリマ(気は優しくて力持ち・d31336)らは、有力なアンブレイカブルに関する情報をまとめていた。
    「武神大戦獄魔破獄の前にアンブレイカブルに闇堕ちする事件が各地であったけど、その首謀者はシン・ライリーだと言われているっす」
     獄魔大将の一人シン・ライリーは、スキュラ八犬士の一人、仁の犬士だったアンブレイカブルである。
     彼が獄魔大将になるのと前後して、少年少女が闇堕ちする事件が起きていた。
    「アンブレイカブルが集まる武人の町を率いたりケツァールマスクと戦ったり、色々と動きがあるらしいけど最近の目立った動きはベヘリタス関連っすね」
    「やはりアンブレイカブルの動きを見ていると、どうしてもベヘリタスと宇宙服の少年……光の少年タカトの動きが関係して来ますね」
     鴨川・拓也(修練拳士・d30391)は、武神大戦獄魔覇獄の黒幕であったアンブレイカブル『業大老』に関して、武神大戦獄魔覇獄後に見えた予兆のことを語る。
    「昨年末の予兆によると、武神大戦獄魔覇獄の裏で糸を引いていた業大老は宇宙服の少年によって絆を奪われました」
     拓也はそこで、一度話を区切る。
    「その後、シン・ライリー派のアンブレイカブルがケツァールマスク派を引き抜こうとする抗争が起きました」
    「今ではケツァールマスク配下のアンブレイカブルたちはシン・ライリー派に狙われ殲滅されたか、引き抜かれたか……いずれにせよ、動けるのはケツァールマスクのみになったようじゃな」
     館・美咲(四神纏身・d01118)が言うように、この事件ではシン・ライリー派が勝利している。
    「その後、9月に入って起きたのが、羽虫のようなベヘリタスによって、シン・ライリー配下だったアンブレイカブル達が食われる事件ですね」
     ケツァールマスク派から移籍した者達も、犠牲者の中には含まれているのかも知れない。
    「ケツァールマスクのところって現状の戦力とか目的とかどうなってるんだろうね?」
     リリアナ・エイジスタ(オーロラカーテン・d07305)はそう疑問を抱くが、未来予測できているのが個人で行動しているアイドルレスラーだけというのが現状だ。
     全体の戦力が、どの程度かを想像するのは困難を伴うだろう。

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    【マスターからの解説】
     シン・ライリーとケツァールマスクについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●獄魔大将シン・ライリー
     http://tw4.jp/html/world/story/st_kakutoubg.html
    ●ケツァールマスク
     http://tw4.jp/html/world/story/st_quetzal.html
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    ●滅びたハルファス軍
     ミシェル・ジェレシード(見習い魔法使い・d34403)が口を開いた。
    「私のルーツ、魔法使いの宿敵『ソロモンの悪魔』について知りたいな。札幌迷宮戦で『ハルファス軍』が完全消滅したって聞いたんだけど、ハルファス軍が今までどんなことをしてきたのか、わからなくって」
    「そうね、少し前から振り返ってみましょうか」
     アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)がそう応じる。
    「アモン一派が壊滅し、灼滅者組織『病院』が学園に合流したことで、『ハルファス軍』というソロモンの悪魔の軍勢になったわ」
    「二年前にオルフェウス討伐目指して戦力集中させてた病院を奇襲して大打撃与えてきたねー。八犬士のカンナビスとも繋がりあったみたい」
     饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・d28385)の補足を受けて、アリスは続ける。
    「ここには百識のウァプラという悪魔もいたけれど、彼は『武神大戦獄魔覇獄』で灼滅したわ」
     武神大戦獄魔覇獄での敗北と幹部であった『百識のウァプラ』の灼滅喪失に加え、安土城怪人やラブリンスターが勢力を伸ばした影響によって、ハルファス軍は北海道に追いやられた。
    「札幌迷宮戦では裏で動いてる感じだったソロモンの悪魔のハルファスが、直接『無尽の武器庫(インバルネラブル・ウォーアームズ)』を開けて参戦してきたんだよね。武器庫の攻略では『軍』最強の武器庫の番人サブナックがいたり、なかなか大変だったね」
    「しぶとい相手だったわね」
     黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134)とマリー・オリオール(名も無き歌姫・d24705)が、札幌での戦いを振り返る。
    「俺としては、ハルファスを灼滅できたことが一番大きな成果だと思っているよ。この手で直々に借りを返せなかったのが、少し残念だけどね。とりあえず、『病院』を襲撃された際に、仲間を奪われたことに対する落とし前は付けられた」
     ロスト・エンド(青碧のディスペア・d32868)は、『病院』が襲撃を受けた際のことを思い返し、息をついた。
     この時の最大の戦場となった那須殲術病院はブレイズゲートと化しており、灼滅者達の中にも、探索に赴いた者は少なくない。
    「ハルファス軍は、同じソロモンの悪魔のブエルよりは強さはそこまでじゃなかったけど武器とか戦闘関係に関しての研究は凄かったみたい。『交通標識』とか『クロスグレイブ』とか、劣化版とはいえスキュラの闇堕ち結界も再現してたし」
    「そういえば……このクロスグレイブはハルファスの所で見つけた、でした?」
     樹斉の言葉に、ベルンハルト・エルフリーデ(迷い星・d29927)が持ち込んだクロスグレイブを示す。
     大淫魔スキュラの遺した結界は、形成される瞬間に闇堕ちさせる恐るべき魔術だ。ハルファス軍を滅ぼしたことで、この技術が他に流出する心配もなくなっただろう。

    「……病院出身の連中にとっちゃ、奴らは因縁の敵だったろうな。ハルファス軍の獄魔大将だったカンナビスなんざ、病院の人造灼滅者の死体を配下に作り替えるくらいだ。神経逆撫でじゃ済まねぇくらい憎い敵共だったろうぜ」
     玄獅子・スバル(高校生魔法使い・d22932)が言う。
     人造灼滅者とハルファス軍の間には、人造灼滅者が生まれる以前からの因縁があったことも判明していた。
     九形・皆無(僧侶系高校生・d25213)が、ブレイズゲートで得られた情報を示す。
    「人造灼滅者の霊子強化ガラスを作った人についての『噂』がありましたね。やはりというか、昔から人の身でありながらバベルの鎖やダークネスに抗うために色々研究をしていた人はいたようで」
    「神奈川県横須賀市の秘密基地ですね。GHQによって建造されたそうですけど」
    「多大な犠牲の下に人造灼滅者は生まれたんだ。……ついでに、あの頃からハルファス軍には危険視されてたんだな」
     烏丸・碧莉(黒と緑の・d28644)が、ブレイズゲートで得た情報をまとめる。
     月崎・地獄極楽丸(魔法使い人造・d31734)は、ブレイズゲート『旧GHQ基地』で得た『殲術兵士』に関する情報を整理していた。
    「人造灼滅者の魂を保護する『霊子強化ガラス』は、ダークネスの脅威を知り、対抗しようと足掻いた研究者がその基礎技術を作り上げたようでござる。『殲術兵士』はちょうど拙者たち人造灼滅者の先輩に当たるでござるな」

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    【マスターからの解説】
     ハルファス軍については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●ハルファス軍
     http://tw4.jp/html/world/story/st_halphas.html
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    ●ソロモンの悪魔ブエル
    「俺は…戦争後、東京の何処かで力を蓄えてるソロモンの悪魔、『ブエル』が気になるっすよ」
     月原・煌介(月梟の夜・d07908)が、別のソロモンの悪魔の名前を挙げる。
     ソロモンの悪魔『ブエル』と、その眷属である『ブエル兵』の存在は無視できない。
    「最初は一般人の知識を元に実体化してて、途中から知識が豊富で、その大事にしていたものを捨てられたりひどい扱いを受けた一般人がブエル兵になったりもして……」
     椿森・郁(カメリア・d00466)が、武神大戦獄魔覇獄の前に起きた事件を振り返る。
     武神大戦獄魔覇獄に獄魔大将として参戦したブエルは、そのまま敗退した。
     その説明を、九重・優太(本の虫・d30450)が引き継いだ。
    「武神大戦獄魔覇獄で敗退したブエルが、眷属であるブエル兵を用いて図書館を襲撃、知識を蓄えようとする事件が起こりましたね」
    「あ、そういうのもあったね」
    「その後、一時期ブエル兵が、知識を取戻す為に、あちこちのサーバを荒らしまわってたっすよね……」
    「ぱったりと収まってしまったがな」
     ニコ・ベルクシュタイン(花冠の幻・d03078)の言うように、それ以降のブエルの動向は不明だ。
    「ブエルさん、どこおるんやろねぇ」
     雲・丹(てくてくにーどるうにのあし・d27195)が地図を広げて眉を寄せる。
    「裏で何か画策していたりするのかもしれないから、一応注意は必要かな」
     柿崎・法子(それはよくあること・d17465)が、そうまとめた。

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    【マスターからの解説】
     ブエル兵事件については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●ブエル兵事件
     http://tw4.jp/html/world/story/st_buelhei.html
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    ●四大シャドウ
    「四大シャドウの動きについて確認しておこうか」
    「最近は四大シャドウっつーとベヘリタスが活発に動いている訳だが、他の連中についても警戒を怠らないようにしておきたいね」
     海弥・障風(阻む風・d29656)と物部・暦生(迷宮ビルの主・d26160)が、四大シャドウ勢力の動きを洗いなおす。
     ベヘリタスに関しては、既に確認した通りだ。

    「おさらいすると、四大シャドウは次の4体だな」

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     コルネリウス・ザ・ハート(慈愛のコルネリウス)
     オルフェウス・ザ・スペード(贖罪のオルフェウス)
     ベヘリタス・ザ・クラブ(絆のベヘリタス)
     デスギガス・ザ・ダイヤ(歓喜のデスギガス)

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     慈愛のコルネリウスの軍は、武神大戦獄魔覇獄では、ソウルボードから獄魔大将アガメムノンの軍を攻撃。
     それに合わせて灼滅者達がアガメムノンに奇襲を仕掛けたことで、強力なアガメムノン軍は一気に勢力を弱め、事実上戦いから脱落した。
     行野・セイ(オブスキュラント・d02746)は、その後の経緯を振り返る。
    「武神大戦獄魔覇獄の後で、慈愛のコルネリウスの勢力はアガメムノン……歓喜のデスギガスの勢力から襲撃を受けました。理由は獄魔覇獄での奇襲の報復ですね」
     戦場となるソウルボードが荒廃する恐れから、武蔵坂学園はこのダークネス同士の戦いに介入している。

     一方、2015年4月には、コルネリウスがダークネスの残留思念を送り込んでいるプレスター・ジョンの国で、絞首卿ボスコウ、ゲルマンシャーク、大淫魔スキュラが復活しかけるという事件が起きた。
     この事件の原因は、武蔵坂学園の教師『大津・優貴』のラグナロクとしての力の暴走だった。
     灼滅者達が復活しようとしたダークネス達を倒し、優貴先生が『契約』からサイキックエナジーを吸い出されたことで事件は収束している。

     内裏・戒人(シャドウスナイパー・d33570)が、『贖罪のオルフェウス』が引き起こした事件を振り返る。
    「贖罪のオルフェウスは、人々から罪の意識を奪い、闇堕ちさせる。一般人だけでなく、灼滅者すら強制闇堕ちさせ、配下に加えていたな」
    「あの事件は、数多くの事件の中でも脅威だったと思いますね」
     勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)の言葉に、天城・翡桜(碧色奇術・d15645)がオルフェウスの悪夢によって起きた事件を振り返る。
    「……私も、贖罪のオルフェウスに闇堕ちさせられた中の一人です。私が助け出されなかったら複数のダークネスによって、ラグナロクに関する陰謀が働いていたことでしょう」
    「翡桜さんのように敵幹部として迎えられた仲間も居る中、その多くが救出できたのは素晴らしい戦果でしょう」

    「オルフェウスは、先の札幌迷宮戦では現実世界に現れようともした。幸い出現は防げたが、もし奴が現実世界で活動すればどうなっていたか想像もつかん」
     戒人の言葉に、セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)がテレビ塔での戦いを思い返す。
    「しかしオルフェウスも色々と謎が多い事を口にしていたな、赤の王とかデスギガスとかタカトとか」

    『我が力、我が策、及ばずか……。
     だが、時は迫っている。光の少年、デスギガス、赤の王。
     奴らが動き出す前に……』

     オルフェウスが言い残したうち、光の少年は動き出している。
    「他のデスギガスや赤の王も、本格的に動き出す日が来るのかも知れぬでござるな」
     エイジ・エルヴァリス(邪魔する者は愚か者・d10654)は、過去の資料を閉じつつ、そう言った。ソウルボードで動くシャドウの活動は、捉えづらい側面がある。ベヘリタスの派手な動きが目立っているが、他の勢力の動きも見逃さないようにせねばなるまい。

    ====================
    【マスターからの解説】
     四大シャドウについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●プレスター・ジョンの国へ
     http://tw4.jp/html/world/story/st_prester.html
    ●贖罪のオルフェウス
     http://tw4.jp/html/world/story/st_shokuzai.html
    ●『繁殖』するベヘリタス
     http://tw4.jp/html/world/story/st_beheuka.html
    ●歓喜のデスギガス
     http://tw4.jp/html/world/story/st_kanki.html
    ====================

    ●ノーライフキング
     アビゲイル・ダヴェンポート(スカイクリスタルラーヴァ・d23703)が資料をめくりながら言う。
    「月日が経つのは早いわね。『コーイン矢のゴトゴトし』だったかしら?」
    「光陰矢のごとし?」
    「それよ、それ」
     資料を分類していた御納方・靱(茅野ノ雨・d23297)の言葉に、アビゲイルは我が意を得たりとうなずく。
    「この半年だと……。あたしは『ノーライフキング』が印象に残ってるかしら。その中でも、『北征入道』ね。札幌迷宮戦でも、北征入道自身には会ってないの。それが心残りかしら」
     『札幌迷宮戦』の首謀者と言っていい立場の北征入道だが、灼滅者達とはまだ直接遭遇したことはない。
    「そう言えば、安土城怪人配下のご当地怪人の城もいくつか攻略したけど、北征入道が介入してきて、城が迷宮化したりもしてたね。北征入道の腹の中の『御子』っていうのも気になるな」
     北海道で強い力を示した北征入道は、複数のダークネス勢力と関わり合っていることが判明している。ダークネス勢力同士の関わり合いは難しいと、靱は首を振った。
    「ところであの入道って、やっぱり弁慶で、彼のいう御子は義経なんでしょうか?」
     黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)はそう疑問を呈するが、皆も首をかしげるばかりだ。

     ノーライフキングでは、北征入道以上に皆の警戒を集めているのが、謎の『王』の名を冠されたダークネスの一人、『白の王セイメイ』だ。
     茨木・一正(鬼気怪解の駄菓子売り・d33875)は、【旗会社】の仲間たちと共に、セイメイの情報を纏めなおす。

     武神大戦獄魔覇獄の後、斬新コーポレーションが白の王セイメイとの提携を模索したことがあったが、この計画は灼滅者達が阻止した。
     その後、『札幌迷宮戦』では、セイメイから北征入道の元へ援軍が送られている。
     クロキバを降した『憑竜碑』とアンデッドダークネス化の技術は、この援軍として現れた『楢山御前』を通じて得たようだ。
    「僕はもう『白の王セイメイ』を殴りたくて殴りたくて堪らないんだけど……アイツなかなか尻尾を見せてくれないよね」
     廣羽・杏理(ソリテュードナルキス・d16834)の溜息も、自然と深くなる。
     白の王セイメイと武蔵坂学園は、幾度かの交戦を経ており、セイメイ側も痛手を受けている。それ故に武蔵坂学園への警戒も強いのだろう。

    ====================
    【マスターからの解説】
     北征入道や白の王セイメイについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●深夜の札幌地下鉄ダンジョン
     http://tw4.jp/html/world/story/st_sapporochika.html
    ●白の王セイメイ
     http://tw4.jp/html/world/story/st_seimei.html
    ====================

    ●淫魔勢力の動向
     水野・真火(水炎の歌謡・d19915)と北条・葉月(独鮫将を屠りし者・d19495)は、淫魔の情報を纏めていた。
    「淫魔がいろんなとこに顔出し過ぎて辛いです」
    「とは言え、淫魔関係に絞るとあんまり目立った動きってないんだよな」
     淫魔として活動が確認されているのは、HKT六六六の『もっともいけないナース』、そして淫魔アイドル『ラブリンスター』である。
    「札幌迷宮戦で灼滅したアリエル・シャボリーヌは……まあいいか」

     活動中の両者のうちでも、灼滅者達へのラブリンスターへの注目度は高い。
    「ラブリンスターさまが! ラブリンスターさまが! ラブリンスターさまがたいへんなのですー!!! すずのの大切なお友だちなのです! 今すぐにでも助けにいきたいのです!」
     綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)のように、タカトにさらわれた彼女の身柄を案ずる者も少なからずいる。ラブリンスターがダークネスであることを考えれば、それは驚異的と言っても良いだろう。

     ラブリンスターは武蔵坂学園に対して好意的な、淫魔アイドルだ。
     昨年の『サイキックアブソーバー強奪計画』以来で武蔵坂学園に味方して絞首卿ボスコウと対決したりと、協力者的な立場に収まっている。
    「サイキックアブソーバー強奪計画でボスコウと戦って大きな打撃を受けて以降、ラブリンスター勢力は、大きな組織からはぐれたダークネスを勧誘することで戦力を回復させる動きが続いていましたね」
     睦沢・文音(インターネットノドジマン・d30348)が情報をまとめつつ言う。
     その影響で一時は戦力を大きく減らしていたが、他の組織から逸れたダークネスや、斬新コーポレーションなどの他の組織のダークネスに勧誘をかけることで、勢力の回復に努めていた。
     その過程で、流浪していたデモノイドロード『ロード・ビスマス』を傘下に加え、関東にあった七不思議使いの組織を仲間に加えている。
    「お陰で九州で七不思議使いの組織がうずめ様によって制圧されて、タタリガミに闇堕ちさせられていることを知ることができたからね。それがなかったら、彼らを救出することができなかったかもしれない」
     雨月・葵(木漏れ日と寄り添う新緑・d03245)が、九州での戦いを振り返る。
    「七不思議使いの宣伝で知名度が上がった結果、他のダークネスがラブリンスター配下のアイドル淫魔達の、ライブ会場に乱入して来るようなケースもありましたね」
     比較的最近の事件を、白臼・早苗(静寂なるアコースティック・d27160)がまとめながら言う。
    「敵対していない貴重なダークネス組織ですから、しっかりと存在を認識しておきたいですね」
     だが、最近は、ラブリンスターが光の少年タカトに誘拐され、ラブリンスター配下もベヘリタスに襲われるなど、受難が続いている。

    「たしかラブリンスターに宇宙服の少年が接触して、ラブリンスターの絆を奪ったのでしたね。大淫魔を連れ去るだなんて彼は何者かしら」
    「ラブリンスターさんの呼びかけで闇堕ちしかけたこともありますから、ちょっと複雑な心境ですけど……助けてあげたいですね」
     籠野・美鳥(大学生サウンドソルジャー・d15053)が言う。
    「ラブリンスターのいう絆って何だろう? 淫魔の力の源が誰かとの絆や繋がりなのだとしたら、俺たちはまだラブリンスターに対する絆は切れてないよな……」
     月翅・朔耶(天狼の黒魔女・d00470)は灼滅者達に疑問を向ける。タカトに絆を奪われた者は、その『絆を奪われた者』に関する記憶を失うようなのだが、灼滅者達は例外的に記憶を失ったりはしていない。
    「『人に忘れられる』事を極端に嫌うラブリンスターさんの根源の願いは何なのか? 『無差別籠絡術』とは何なのか……?」
     姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)は資料をまとめながら言う。
    「思えば、わたくし達は彼女の事を知らなさすぎました。彼女を救う為にも、ひいては彼女を狙ったタカトの目的を暴く為にも、彼女の事を知る時が来たのかもしれません」

    ====================
    【マスターからの解説】
     ラブリンスターについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●淫魔アイドル「ラブリンスター」
     http://tw4.jp/html/world/story/st_loverinstar.html
    ====================

    ●デモノイドロード
     天乃・柯白(仮面とナイフとデモノイド・d25821)は持参した【デモノイド・レポート】の冒頭を読む。
    「デモノイドとは、元々は人類の中に眠るダークネスを一般人からも生み出す事を目的とし、ソロモンの悪魔【アモン】が新たに作り出したダークネスである」
     本来は魔術儀式を用いる事で【魂に眠るダークネスをデモノイド寄生体に変異させる】させる事で誕生する。
     デモノイドはデモノイド寄生体に体を乗っ取られた理性のない巨躯の怪物である。直属の創造主がいる場合は創造主の命令に従う」
     諫原・楓(誰そ彼と君に問う・d17134)は、複雑な内心をその表情に浮かべつつ言う。
    「デモノイドは兵器としても使われる事が多い。だから、他の勢力の中にいることが多いよな。デモノイドロードは、逆に他の勢力を利用したいのかもしれねえけど」
     『軍艦島攻略戦』で美醜のベレーザが灼滅されたことで、ソロモンの悪魔『アモン』が遺したデモノイド開発技術が無闇に拡散するのは防がれた。
     だが、朱雀門高校は、今もデモノイドを戦力化している。
     それを実現しているのは、知性あるデモノイド、デモノイドロードの存在だ。

    「デモノイドロードは人間の姿ではデモノイドヒューマンの力と同等の力を持ち、デモノイドの姿になることで全力を出す事ができる。また、【デモノイドの姿でも理性を持っている】が、理性を保っていられるのは【悪の心】を維持しているからとされ、それ故【悪の心】を失ったデモノイドロードは理性なきデモノイドとなるとされている」
     東・啓太郎(独り歩き・d25104)が、レポートを諳んじる。
    「……こんな感じだね。灼滅者の素質がなければ、人の心への呼びかけは敵を弱体化させる戦術にしかならないデモノイドだけど、こいつらは更に救いようが無いねぇ」
     サイラス・バートレット(ブルータル・d22214)が溜息をついた。
    「朱雀門高校のロード・クロムはクロムナイトの量産実験にご執心みてぇだったな」
     『ロード・クロム』。
     かつてはロード・ゲシュペンストという名だったが、後天的にレアメタルナンバーの力に目覚めたデモノイドロードだ。
    「クロムナイトっていうじっけんたいが、いっぱい、ぼくたちとたたかうために、うみだされたんだよね」
     ソイ・ラテに息を吹きかけて冷ましながら、一宮・紘都(罪を漱ぐは蒼の奔流・d34270)はロード・クロムの行動に嫌悪感をにじませる。
     ロード・クロムはデモノイドに後付で武装を施す能力を持つ。そうして強化された『クロムナイト』と、灼滅者達はたびたび交戦していた。

     話を進める一同に、ニキータ・グーリエフ(ドゥエート・d34625)がカタコトで尋ねる。
    「確か、偉いのも、打ち取られた、ニキータ、聞いた」
    「レアメタルナンバーのロード・パラジウムだな」
     どうしても朱雀門高校の事情に流れていく思考を感じながら、サイラスは言った。
     パラジウムの灼滅と、及ぼした影響に関しては、朱雀門高校に関する資料に詳しい。
    「ロード・パラジウムさんの灼滅直後、配下のデモノイドさんたちが町中で暴れ始める事件があったよね」
     山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)の確認に、皆が頷き資料を確認する。
    「そのときにロード・パラジウムさんの配下だったデモノイドさんたちを鎮圧して回っていたのは、ロード・クロムさんの配下のクロムナイトさんたちだったんだ」
     その際にもロード・クロムは前線に出ず、クロムナイトは現場の判断で行動している。
    「造られたばかりということもあって、もしかしたら彼らは凄い速度で成長しているのかもしれないね」
     透流はそう危惧を述べる。井之原・雄一(怪物喰いの怪物・d23659)が、深刻な空気を改めるように言った。
    「他の活動中のレアメタルナンバーって、クロムの他はビスマス?だっけ? 確かラブリンスターのところにいたんだよね」
    「ああ、ビスマスの野郎はいつの間にかラブリンスターの傘下に入ったみてぇだな。ケツァールマスクとも関わりがあるようだが……表立っては動いてねぇ、のか?」
     ケツァールマスクと協働し、アイドルレスラーを作っていたビスマス。
     あまり害はないような気もするが、そもそもケツァールマスクとの共同作戦がラブリンスターの指示とも思い難いので、何をするかの予測はかえって難しい。
     ラブリンスターとの『絆』がタカトによって奪われた今、ビスマスはどうしているのだろうか。

    ====================
    【マスターからの解説】
     ロード・クロムとロード・パラジウムについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●朱雀門高校その3
     http://tw4.jp/html/world/story/st_suzakumon3.html
    ====================

    ●スサノオの姫ナミダ
    「スサノオって、まだ分からないことだらけ……だよね。自分のなかにいるのに……知らないことのが、多いって、不思議」
     人狼である梢・藍花(白花繚藍・d28367)は、そう思う。
    「ナミダ姫は、武神大戦獄魔覇獄で敗退してフラフラしてるときに武蔵坂の灼滅者と接触してウイングキャットとかに関するいくつかの情報をのこした後、セイメイと手を組んだみたいね!」
     千歳・桜(大口ノ真神・d30451)の言うナミダ姫……『スサノオの姫ナミダ』は、武神大戦獄魔覇獄に、スサノオの獄魔大将として参戦したスサノオだ。
     彼女はスサノオの姫と名乗り、白の王セイメイらにも一定の敬意を払われている様子がある。
     とはいえ、その姫という呼び名がどこから来ているのかは不明だ。
    「古の畏れを持ち運べたり、スサノオの力を寄り集める特別な人、だね。今は白の王……セイメイさんと協力関係にあるの……かな?」
    「白炎換界陣での恩義で協力する事にしたようですが、具体的な協力内容は『憑竜碑をセイメイに渡す』『ブレイズゲートを食らう』の2点でしょうか」
    「『憑竜碑』は札幌迷宮戦で現れたノーライフキング『楢山御前』が持っていたものですね」
     ストレリチア・ミセリコルデ(白影疾駆の呑天狼・d04238)の言葉に、上里・桃(生涯学習・d30693)はそう補足する。
    「楢山御前は自分の氷像を眷属にしていました、これは彼女本人の力なのか憑竜碑の力なのか……後者のような気もしますね」
     その『憑竜碑』が使われたことでクロキバは敗れ、アンデッドダークネスにされている。
    「と……ブレイズゲートを『食べた』のは……おひめさまだからできたこと、だと思うよ」
    「んー、ブレイズゲートを喰っているという事は力を蓄えているのでしょうか? もしかしたらブレイズゲートを全て喰ってスサノオ大神になろうとしているんですかねぇ?」
     木津・実季(狩狼・d31826)がそう意見を述べる。
     実際にどうなのかは、推測するしかない。
    「……セイメイさんとの関係は絶対の信頼で結ばれたものじゃなさそう、だし。もう一度、お話できる機会…持てたら、いいな」

    ====================
    【マスターからの解説】
     スサノオの姫ナミダについては、以下のページで詳しく確認できます。

    ●スサノオの姫ナミダ
     http://tw4.jp/html/world/story/st_namida.html
    ====================

    ●学園の得た力
     学園は、新たな力を得て来ている。
    「新たなブレイズゲートや武器が発見されるのと同じように、サーヴァントも新しく見つかる事がありますなのです」
     伊勢・雪緒(待雪想・d06823)が、意気込んでいう。
    「サーヴァントは皆様もご存知の通り、灼滅者の内に眠る潜在能力『ポテンシャル』が具現化した存在ですね。長らく『ナノナノ、霊犬、ビハインド、ライドキャリバー』の4種だったのですが、ウイングキャットさんがお目見えしたのですよー!」
     掌を蝶のようにパタパタと振る雪緒。
     橘・清十郎(不鳴蛍・d04169)が、自分のサーヴァントであるウイングキャット『塩鯖』を指して言う。
    「ウイングキャットは今年の初めに発見されたサーヴァントで平和を愛する心から現れている。元々はスサノオの姫ナミダが、その平和の心を解き放つ為にイフリート達に撒いた事が切欠だったんだが、その存在を知った学園の生徒達が皆で協力して、学園に迎え入れたんだ」
     2015年2月頃、闇堕ちしかけた人の心が、猫のサーヴァントの姿となって、闇堕ちした自分自身の悪行を止めようとする事件が発生。
     灼滅者達は、このサーヴァントを助け、闇堕ちしかけた人を救い、助けられた人たちが学園に加わったことで、サーヴァント『ウイングキャット』の力を得ることになった。
    「だからこれから先も、何かが切欠となって、また新しいサーヴァントが発見される可能性は十分にあるんだ。それを見つけるのは俺かも知れないし、君達の誰かかも知れない」

    ====================
    【マスターからの解説】
     ウイングキャットが学園に来ることになった事件については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●猫のサーヴァント
     http://tw4.jp/html/world/story/st_wingcat.html
    ====================


     颯・十牙(九牙の殲術道具収集家・d06240)達は、自分の持つ殲術道具の知識を整理していく。
    「……前回からは5種が新たに見つかっていたな……」
     前回の編纂室以降、新たに見つかった殲術道具は、
    (1)交通標識:武神大戦獄魔覇獄にてカンナビス軍から入手された
    (2)ダイダロスベルト:武神大戦獄魔覇獄にて斬新・京一郎軍から入手。
    (3)怪談蝋燭:『七不思議使い』の加入によりもたらされた。
    (4)クロスグレイブ:札幌迷宮戦にてハルファス軍から入手。
    (5)断斬鋏:松戸密室掃討作戦においてゴッドセブンのアツシを灼滅し入手。
     以上の五種となる。

    「最新の殲術道具はコレなんだおっ!」
     マリナ・ガーラント(兵器少女・d11401)が断斬鋏をチョキチョキと鳴らす。
     エリーゼ・ティルピッツ(沈まずのトーチカ・d28716)がうなずいた。
    「クロスグレイブと断斬鋏の二つは、どっちも元々ダークネス側で開発したり使っていたものを、私たちが見つけて殲術道具として使えるようにした物……なのよね」
    「何がどうなるとアタシたちでも使えるようになって、どうだと使い物にならないのかしら。ほら、やっぱり強い武器があれば戦いも楽になるし、だったら開発に力入れたいっていうのも人情じゃない?」
     神楽・武(愛と美の使者・d15821)が言うが、武器を持っているダークネスの中にも、殲術道具を使っているもの、殲術道具でない普通の武具で無理やりサイキックを使っている者、果てはサイキックやESPで独自の武器を作る者や、武器が肉体の一部という者までいる。
    「結局、試してみるしかないのかしらね」
    「身近な物に武器が隠されてたり、依頼とかブレイズゲートにヒントがあるかもだから、怪しいと思ったら推理してみると良いかもなんだおっ!」
     まだ殲術道具の扱いに慣れない者には、楯無・聖羅(悪魔を狩る悪魔・d33961)が取り扱いを教えていく。
    「武器を自身の手足のように扱ってこそ、初めて一人前の灼滅者と言える。たとえ訓練であっても実戦と同じ気持ちでいろ」
     武器を入手し、扱いに熟達することは、灼滅者達の使用できるサイキックが増加することにも繋がる。増やしていきたいところだろう。

    ●『王』達の謎
     羽場・武之介(滲んだ青・d03582)や御手洗・流空(誰ソ彼迷猫・d06024)をはじめとした灼滅者達は、『王』と呼ばれるダークネス達についての情報をまとめていた。
     今回の魔人編纂室で灼滅者達がまとめた情報の中にも、『王』の名は頻繁に現れる。

    「ノーライフキング、蒼の王コルベイン。
     ノーライフキング、白の王セイメイ。
     ご当地幹部、緑の王アフリカンパンサー。
     コルネリウスやオルフェウスが口にしていた赤の王。
     朱雀門・瑠架の血縁者とされる黒の王……この5人でしょうか。人型か分からないものもいますが……」
    「そして予兆を信じるなら、クロキバは『王』の転生を喰らう『黒牙』の系譜だね」
    「王は、他のダークネスとは違うようです。力が強いのは無論ですが……そういう単純な問題でもないのです」
     流空の言葉を聞きながら、武之介は考えを巡らせる。

    「蒼の王は『サイキックハーツ』に到達した。
     そして簒奪者達は裁かれたかと問いかけていた。
     白の王は自分を縁(えん)の簒奪者にして業(カルマ)の蒐集者と言っていた。
     ならば、蒼の王が言っていたのは彼なんだろうか?」

     直接問いただしたところで、あのセイメイがまともに答えるとも思えないが。
     語るときにはろくでもない事が起きるに決まっている。
    「今更ながら、『サイキックハーツ』って何なんだろうね」
     その疑問に、答えられる者はいなかった。

    ●武蔵坂学園の出来事
     事件ばかりでなく、学園での生活も、灼滅者達にとっては重要事だ。
    「でも、そういえば、学園の行事はけっこうキツイものも多いよね? ほら! 地獄合宿とか運動会とかマラソン大会とかっ! MUSASHIなんてもう運動会の域を超えてたし!」
     椹野・海(ゆらめく灯光・d31973)の言葉に、灼滅者達は苦笑する。
     臨海学校のように、学校行事と言いつつ、敵と戦いに行くこともあったりするので油断ならない。
     フリル・インレアン(小学生人狼・d32564)が、地獄合宿のことを振り返る。
    「地獄合宿では、青函トンネルをマラソンしたようですね。それも、札幌地下鉄ダンジョンにかかわっていたようで」
     2015年の地獄合宿は、後に迷宮化した青函トンネルの攻略、小牧長久手の戦い、軍艦島の捜索と、様々な事件と関わることになった。

     学園に来て日の浅い猫田・清春(中学生殺人鬼・d35924)が問う。
    「沖縄への修学旅行もあったんだよな? イリオモテヤマネコとか会えちゃったりしたのかな? 来年は俺も行ってみたいぜ!」
     華槻・奏一郎(抱翼・d12820)もまた、行事について話し出す。
    「7月には毎年多いに盛り上がる学園祭があったね。色んなクラブがそれぞれクラブ企画を出し合って、食べ物からゲーム、体験学習まで楽しむことが出来たよ」
    「色々とお土産も頂きましたね」
     苔石・京一(こけし的な紳士・d32312)も思い出しながらうなずいた。
    「そうそう、生徒主催以外に学園主催の企画もあるのですよ。例えば水着コンテストなど……私も今年は参加させて頂きました。あっ、そのときの写真がありますので、よろしければ参考にどうぞ?」
     京一は覆面姿の写真を見せていく。
    「そしてもうすぐマラソン大会と同時にハロウィンの仮装行列も開催予定、と」
     稲荷坂・里月(迷子の殺人鬼・d13837)がまとめる。
    「まぁ、灼滅者でいるためには日常が大切、なんだっけか? なら、目一杯楽しまなくちゃね」

    ====================
    【マスターからの解説】
     武蔵坂学園の行事については、以下のページで詳しく確認できます。

    ●武蔵坂学園
     http://tw4.jp/html/world/2-3school.html
    ●武蔵坂学園のあゆみ
     http://tw4.jp/html/world/4-4ayumi.html
    ====================

    「……はっ!? ね、寝ていたわけじゃないぞ!?」
     明らかに寝ていたと思われる神守・狛次朗(狛犬系男子・d13901)がむくりと起き上がり、傍にあった武器に関するファイルを開きだす。
     崇田・悠里(旧日本海軍系ご当地ヒーロー・d18094)は今までのことをまとめた資料を印刷したものをファイルに纏めている。
    「後はこれを運んで……ととと」
     よろける悠里に手が差し伸べられる。
    「気を付けて。それと、資料の整理は手伝うよ」
     手伝いを申し出た高坂・透(だいたい寝てる・d24957)も加わり、ファイルの整理も早く終わりそうだ。
    「一度にこれだけの情報を聞いて、消化不良起こしてないかい?」
     そう微笑みながら、疲れた顔を見せる灼滅者達に声をかけるのは、神鳳・勇弥(闇夜の熾火・d02311)。
    「気になることは後でクラブの皆にも聞いてみると良いよ。クラブによっては更にツッコんだ考察もしてたりするし、興味があるなら覗いてみると良い。それに、クラブの仲間がいれば、これから何があっても乗り越えていける……そんな絆を築いていくのも、学園生活で重要じゃないかな」
     そうアドバイスをしているようだ。
    「アタシ、前々から思ってるけどここの情報整理好きよ。図書館みたいなところに皆でいることが楽しくてわくわくするわ」
     そう感想を述べるのは、空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・d00766)。しかし、長時間拘束されるのは、耐えられなかったようだ。
    「青春は! 待ってくれない! だから私は!! この扉を開けて走って行くわ!」
     扉を開けて、いち早く出て行ってしまった。
     今回もまた、今までの出来事や各組織についての状況、そして、武蔵坂学園のことについてをまとめることができた。
     それは、この編纂室にかかわった者達の努力の結晶とも言えるだろう。
     全ての資料を纏め棚に収めた灼滅者達は、ゆっくりと編纂室の扉を閉め、これからのことを考え始めるのであった。

    作者:七海真砂 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月28日
    難度:簡単
    参加:1533人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 11/キャラが大事にされていた 32
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