かつての残滓に縋りて

    作者:ねこあじ


    「ハァッ……ハァッ……」
     鬱蒼とした茂みを掻き分けると視界が開けた。
     前方に橋を視認するのと同時に沢の音が聞こえてくる。どこか癒しをもたらすその音色に耳を傾け――ている暇は、無い。
     異常はないかと周囲を見回し、男は橋に向かって駆けた。
     気持ちの悪い虫に襲われた時、かろうじて逃げ出したが、他の者たちは無事だろうか。
     と、頭の隅で考える。
    (「いや、今は向かわなければ」)
     そんな気がして、何かへ縋るようにとある方向へ走り続けている。
     橋の中ほどまで来た時、男は異様な音を耳にする。風を叩く――飛来音。
    「……ッ」
     降下とともに体当たりされ、男は橋から叩き落とされた。
    「でけぇなぁ、おい。俺の中身でちまうぜ……!」
     苦し紛れに軽口を叩く男が、上に乗ったままの芋虫を殴るも、すぐに地面の影が男を斬り裂いた。
    「ぐ、うっ」
     三メートル弱にまで成長した蛾の羽を持つシャドウが一方的に男を攻撃しだす。
     やがて意識を失った男を、シャドウは連れ去るのだった。


    「アンブレイカブルにベヘリタスの卵が植え付けられて羽化する事件が発生していましたが、四津辺・捨六(伏魔・d05578)さん達の追跡により、逃走したアンブレイカブルの状況を知ることができました」
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)が教室に集まった灼滅者たちへと説明を始めた。
     今のところ、逃走したアンブレイカブルたちは日本海側の北側に向けて山中を移動しているようだ。
    「ですが、今回、この格闘家のアンブレイカブルを三メートル程度まで成長した羽虫型のベヘリタスが、襲撃することが予知されました」
     このまま放置すれば、格闘家アンブレイカブルはKOされ、羽虫型のベヘリタスに連れ去られてしまう。
     恐らくは、ベヘリタスの卵の苗床にするのだろう。
     ダークネス同士の争いなので一般人の被害などはないが、ベヘリタスの動きを放置することはできない。
    「そしてこのアンブレイカブル――名を園崎というのですが、園崎の向かう方角からして……」
     軍艦島。園崎が軍艦島のダークネスに合流するというのならば、こちらも灼滅したほうが良いかもしれないが……。
    「皆さんの判断にお任せします」
     と、姫子は言った。
    「園崎と羽虫型ベヘリタスが接触する場所に先回りすることができますので、この事件の解決をお願いします」
     大きさが三メートルほどまで成長した羽虫型ベヘリタスはかなり強い。
     シャドウハンターと影業相当のサイキックを使用し、ポジションはクラッシャーだ。
     いっぽう、一度は苗床にされる前に逃げたものの、園崎の消耗は激しく、追っ手である羽虫型ベヘリタスと比べればかなり劣る戦闘力。
     ストリートファイターとバトルオーラ相当のサイキックを使う。ポジションはディフェンダー。
    「戦闘となる場所は、山中の橋付近です。橋から川までの高低は三階建ての建物くらいはあります。水の流れる幅はそこまでは無いのですが、大きな岩などが多く広い場所となっています。
     左右岸は鬱蒼とした茂みに覆われた崖で、降りる場がかろうじてある程度」
     現場に到着したあとは、園崎がやってくるまで隠れて待機する必要があると姫子が言った。
    「この時、バリケードや罠を仕掛ける、または派手に騒いだりすれば園崎はその場に近付かずに別の場所を通って移動してしまいます。
     どこか分からない他の場所で戦闘が発生することとなるので、どうか注意してください」
     説明を終えた姫子は灼滅者ひとりひとりを見、力づけるように頷く。
    「どうか皆さん、気をつけて向かってください。
     成長した羽虫型ベヘリタス……ベヘリタス勢力の戦力もかなり大きくなっているのでしょうか、嫌な予感がします。
     そして、格闘家アンブレイカブルの師であった、業大老を軍艦島のダークネスたちがサルベージしようとしているという情報もありましたから、今回の園崎の行先も、何か関係があるかもしれませんね」


    参加者
    赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)
    ユエファ・レィ(雷鳴翠雨・d02758)
    泉・火華流(自意識過剰高機動装甲美少女・d03827)
    上名木・敦真(大学生シャドウハンター・d10188)
    紅羽・流希(挑戦者・d10975)
    竜崎・蛍(レアモンスター・d11208)
    片倉・純也(ソウク・d16862)
    ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877)

    ■リプレイ


     岩に進みを阻まれ、うねる川の水がざあざあと音を立てて流れていく。
     隠された森の小路を使って快適に歩いてきた竜崎・蛍(レアモンスター・d11208)は、鬱蒼とした山から開放感溢れる川の景色に、着いたどー! という感じに両手を挙げた。
    「……で、どこで待つんだっけ?」
    「この対岸から園崎が現れるとのことですから、あの位置から見えない場所での待機になります」
     上名木・敦真(大学生シャドウハンター・d10188)の丁寧な説明に、蛍が頷く。きょろきょろと、どこか楽しげな表情で隠れ場所を探した。
     橋片側の木立、橋下の茂みや岩陰にと姿を隠す灼滅者たち。
     まず気付いたのは、DSKノーズを展開させている片倉・純也(ソウク・d16862)だった。
     彼の様子に、灼滅者たちは一様に耳を澄まし、時を待つ。
     かなり薄い「業」を持つアンブレイカブル・園崎は、やや時間をかけたのち橋を渡り始めたようだ。
     ――くる。
     次の業を、はっきりと嗅ぎ分けた純也――三十メートルという距離は数秒で埋まった。
    「……まぁ、なんていうか気持ち悪さが増したわね……」
     上空からグンと近付いた羽虫を見て、泉・火華流(自意識過剰高機動装甲美少女・d03827)が思わず呟いた。
     打撃音とともに橋から投げ出されたかのような男の姿と、一瞬反って上へと滞空した大きな羽虫が男を組み伏せるべく降りてくる。
     木の上で待機していた紅羽・流希(挑戦者・d10975)が大きく跳躍し、三メートル弱のシャドウを見据えた。
     空を蹴り、降下進路を補正する。
    「逃げろ! これは貸しだぞ!」
     敵の背中に着地した流希は抜刀し、揺らぐ敵の体躯へと一閃を放つ。食い込む刃に己が身を預け、一時の安定を得た瞬間、シャドウを蹴り間合いから脱する。
     すぐに純也の音波が敵を襲った。
    「これはアンブレイカブルの修行の一環か。誰かに師事しているのなら、過激な指導者だな」
    「はあぁ!?」
     冗談はよしてくれという声色で叫ぶアンブレイカブル。
    「え、超強そうじゃん」
     でっか! と呟いた蛍。フェイダルアンカーで真上に放った矢が自身へと落ち、超感覚が呼び起こされるなか、巨大なそれを背負った。
     いきなりの攻撃、上方、左右と囲うように現れた灼滅者たちに戸惑ったのか、シャドウが僅かに動きを止めた。
     その一瞬。園崎がやや後退し、ユエファ・レィ(雷鳴翠雨・d02758)が拳に宿した闘気を下から撃ち込む。
     雷とも思える一撃がシャドウの胴にめりこみ、その弾力を直に感じるユエファ。
    (「……中々グロテスクな事なるしてます、ね」)
     ベヘリタスの羽虫関連の情勢含め、そんなことを思う。
     とはいえシャドウの狙いは園崎。
     炎纏う蹴りを放つ、ラススヴィ・ビェールィ(皓い暁・d25877)の影と交差し、不自然に動くベヘリタスの影。
     半円を描く炎が転進し、離脱するラススヴィがついでとばかりに園崎の服を掴み彼我の距離を作らせる。
     引っ張られ、容易く体の軸がぶれた園崎の疲労具合が知れた。
     影がサアッと広がるなか、敦真がエネルギー障壁を展開すると同時にシャドウへと叩きつけた。
    「……灼滅者が、なんでこんなトコにっ」
     ようやく状況を飲み込んだらしい園崎へ、緋色の残滓を引きシャドウの間合いから抜けた赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)が声をかける。
    「あの羽虫を倒しにきたんだよ。業大老んトコにいきてぇなら好きにしろ」
     その言葉に園崎が胡乱げな考えるような目をした時、火華流の黙示録砲がシャドウを撃つ。
    「上は押さえたわよ……これで袋の鼠……というより、この場合、虫篭の虫……ってところかしら?」
     胴をひねり、羽虫型ベヘリタスは火華流を見た。


     迷いが園崎の足を止めた。
    「園崎、お前は誰の庇護下にあるんだ? シン・ライリーの名前を覚えているか」
    「シン・ライリー、という人物は知っている――俺は下にいたらしい、が」
     ラススヴィの問いかけへの返答は、どうにも曖昧なものだった。信頼や信用が欠けた声。絆を奪われたあと、一度会っているのだろうか。
     だが、と園崎は続けた。
    「先の答えは、俺が向かう先にある気がする。俺自身、そう思う理由はわからねぇが……ッ」
     行かなければならない。
     ――園崎が一瞬でも足を止めた理由はこれにあった。この衝動の、情報を知りたいが故だ。
     次ぐ問いをラススヴィは呑みこんだ。かわりに屍鬼刀を振るい、寄る羽虫に立ち向かう。
     園崎は、そのままの意味で目的地を知らない。そう悟った。
     シャドウは灼滅者たちを振り切ってでもという勢いでアンブレイカブルを見るのだが、質量を持った影は敦真へ向かい、斬り裂く。
     踏み込む敦真。
     影にのった鮮血が入り混じり、目前のシャドウのような赤黒さとなった。
    「そのまま、意識をこちらに向け続けてくれると良いのですがね」
     敦真が突きつけたクロスグレイブの銃口が聖歌とともに開き、その零距離故、砲弾は閃光となりシャドウを撃つ。
     三メートル弱という体躯を持つシャドウが暴れ、勢いそのまま一度羽を動かせば、巨体が地面から離れる。灼滅者を飛び越し、アンブレイカブルのもとへ向かうつもりなのだろうか。
     先の展開を見越し、敦真の護りを鎧の如く固める純也が、左右へ揺らぐシャドウを見据えた。
    「体勢を整えるまで、羽ばたき三度というところか」
    「その前に落とす!」
     橋の上へと舞い戻っていた流希が羽を狙って、集めた自身のオーラを放った。
     同じく羽を狙い撃つのは火華流だ。ガトリングガンの轟音を耳にしつつ、常にシャドウの意識がどこに向かっているのかを捉え、行動を注視している。
    「園崎が撤退してからが、本番ってところかしらね」
     体勢を崩したシャドウが地に降りると同時に撃ちつくし、バレルが放熱に空回った。
     防護を厚くするために動く回復手の純也がいるので、今は攻撃に参加する布都乃が園崎へと言う。
    「行く先に軍艦島のダークネスがいる筈だ。武蔵坂と雌雄を決するのもイイが、ベヘリタスの対策でそれどころじゃねえならオレ達との共闘も考えろ――そう言ってくれねえか」
     跳躍とともに流星の力と重力を宿した脚を蹴り上げる布都乃。
    「軍艦島……か」
     武蔵坂学園の持つ情報は多い。
     そうとは知らずとも、灼滅者と相対したダークネスが、それを使える情報か否かを判断する時もあるだろう。今の園崎はそれだった。
     ベヘリタスの影が迫り、園崎が後退する。何度か対峙したのだろうと分かる動きだった。
    「……伝えることを約束しよう。無事に辿り着いたら、の話だけどな」
     羽虫型ベヘリタスとの攻防はこれから先もあるのかもしれない。どこか覚悟したように園崎が一歩を踏み出す――シャドウの方へ。
    「武人ならば最後まで足掻くものだと思っていたがな。助けられた借りぐらいはその場で返して行け」
     シャドウに肉迫するラススヴィの言葉に煽られたのか、園崎はクッと笑んだ。
    「それはツケといてくれ! 先にキモ虫に一撃返さねぇとな!」
     渾身の抗雷撃、それがベヘリタスへと入る。

     一撃ののち下流へと離脱したアンブレイカブル、後を追おうとするベヘリタスを囲うように動く灼滅者たち。
    「背中向けるしたらバッサリ真っ二つですけれど、よろしい……ね?」
     ここからが本番だ。
     長柄を幅広く握り、ユエファが腰を落とした。
     やや斬り上げ、厚みのある弾力に負けぬよう渾身の力をこめて銀雷を振るう。
     人型ダークネスとは違う、敵の大きな体躯に灼滅者側の動きもやや大きくなる。遠心を利用し横へと移動するユエファ。
     持っていかれた腕の動きが戻ったその瞬間、長柄を握りこみ石突きで払い敵の体を押さえにかかる。
    「追っても園崎と私達に挟撃される事なるだけです……よ。脳の成長がよろしないのでしょ……か?」
     忌々しげな様子をシャドウは見せた。
     敵の背後を意識して飛び回る布都乃のウイングキャット、サヤが猫魔法を撃つ。
    「とーうっ」
     サヤの横、ユエファの対角から、大きな岩を使って跳んだ蛍が影を宿し、落ちてくる。
     降下の勢いとともに殴る蛍。
    「いつの間に外にシャドウ出てきたんだろ」
     しかも虫だし、と蛍が言う。
    「殺虫剤みたいな武器、開発してくれないかな」
     蛍の言葉に、ユエファは心の中で一度頷いた。


     シャドウの影がざわりと蠢く。
     ほとんどの攻撃を敦真へと向けていたベヘリタスだったが、この時は様子が違った。
     深淵に潜む暗き想念、灼滅者を蝕むそれが球となり真っ直ぐに上へと向かう。
    「泉!」
     布都乃の声。
    「くっ……」
     複数の漆黒の弾丸が火華流を掠め撃ち、武器を抱え前のめりになった彼女はそのまま地を蹴った。下に向かって。
     落とされる前に降りる。
     宙でくるりと回転した火華流は、流星の煌きと、より加重された蹴りを落とした。
     その直前、既に敵の片羽を斬り落とし、接近戦へと入った流希が下段に構え、蝙蝠の嘆きを振るう。
    「ダークネスを突き破って現れた蟲が良く育ったもんだ。よほど、栄養状態のいい奴から生まれたんだな。おぞましくて反吐が出る」
     断罪の刃がベヘリタスの胴を裂く。火華流が着地とともに攻撃したこの時、ベヘリタスの重みが増し、流希の刃が食い込んだ。
     シャドウの背で二歩、三歩目には跳躍し大きな岩に着地した火華流は滑り降りてそれを背にクロスグレイブを手にする。
     じわりと蝕む想念を、布都乃の撃つ祭霊光が浄化していく。
     ここへ来る前に明らかになったラブリンスター襲撃のことを考えた。
    (「幾つも勢力を食荒らして余りある……脅威なんてモンじゃねえ」)
     一体から約三十体のベヘリタスが生まれることが分かっている。一体でも逃せば、爆発的な増加となることは明らか。
    (「好き勝手しやがって。オレが一番嫌いなタイプだぜ」)
     旋回し、場を見るサヤが再び猫魔法を放った。
     障壁を展開させたまま、注意を向かせ続ける敦真。
    「全てに対処はできないのはわかっていましたが、やはり厄介な存在に成長しましたね……これ以上ベヘリタスに力を与えるのは阻止したいです」
     以前ベヘリタスの羽虫と対峙した敦真は、幼生の灼滅時のことを思い出し、そう言った。
     ダメージの重なる前衛、特に盾として動く二人とサーヴァントに回復が飛び始める。
    (「この交戦も、べヘリタスは贄の絆とするだろうか。だが接敵という絆を次への糧に出来るのは其方だけではない」)
     今を、繋がるであろう先を見ようとする者、純也。
     駆ける蛍は、シャドウの背後へと回り込む。
    「これだけ大きいと死角いっぱいあるじゃん」
     黒死斬で懐に入り込み、腕を大きく横一文字に薙いだ。
     蛍が背面、シャドウの前に出たのはラススヴィ。人狼形態の腕が巨大な刀を支え、素早く敵の腹部を斬り払う。屍鬼刀が粉砕するが如くの勢いでシャドウの肉を抜けるその瞬間、刃先に若干の軌道修正を加え遠心をおさえた。
     ラススヴィの目が捉える。今回、腹部で蠢くものはいないようだ。
     赤く揺らめく炎を灯したユエファの蝋燭から炎の花が飛ぶ。
     更に延焼を促す炎の攻撃に、宙の花を覆うほどの影がベヘリタスから広がった。
     ユエファの髪が揺らぐ――すり抜けていきそうな影を止めるべく、流希の前に立ちはだかる。
    「させるない、よ」
     影に覆われようとも炎の花がそこにあった。


     敦真とユエファ、そしてサヤが攻撃を受ける率がやはり高い。
     特に敦真の体力の削がれ方は激しく、長期戦に持ち込まれれば危うい――そんなさなか、ベヘリタスの動きが急激に鈍った。
     すでに両羽も失われ、芋虫のように動くベヘリタス。もぞりと半円を描くように動くも、その範囲は広い。
     あと、少し。悟った灼滅者たちが、敵の動きを注視し、避けて一斉に攻撃を放つ。
     敵間近へと滑り込んだ布都乃が拳を振り上げた瞬間、武器と緋色のオーラが出現し、シャドウの胴に深く入り込む。
     起点から右腕をデモノイド寄生体に覆わせた純也が生成した強酸性を放った。
     瞬間、羽虫型ベヘリタスは奇声をあげ続け、その身を腐食させていく。延焼し続けた身が崩れ落ちる。
     ハウリングのように、谷間で虫の断末魔が響き渡り、止まるとともにその巨体が倒れた。
     数瞬の静寂ののち、ようやくざあざあと流れる水の音が灼滅者の耳に届く。
    「うぐぐ……耳がきーんとする」
     フェイダルアンカーを地面に刺して蛍が耳をおさえていた。
    「終わったわね」
     ポニーテールの髪を払い、火華流がベヘリタスの仮面を見る。なんともいえない不気味な感じだ。
    「上名木、ユエファ、傷は」
    「ええ、まあ、何とか……」
     大きな岩に体重を預け、呼吸を整える敦真へと布都乃が声をかけ近づく。
     ユエファもまた頷いた。
     敵の攻撃八割が守り手に向かい、そのぶん回復対象も散漫になることなく、敵に集中して攻めることもできた。
    「……なんとも、謎が残る依頼ですよ……。蟲はダークネスに寄生して数を増やす、そこまでは解りますが、無差別では無いようですねぇ……」
    「だと良いのだが」
     武装解除し、のんびりとした雰囲気になった流希にラススヴィが応じる。
     懸念はある。
    「シン・ライリーやその絆の有無の影響と言うのであれば、かつての拠点は今は閑散としているのだろうか」
     純也のふとした言葉に、各個人が思い出すは武人の町。力を持たない者もいたはず……。
    「園崎さんも業大老の下に向ってどうすると言うのでしょうか……。大事に至らなければ良いのですが……」
     下流へと目を向ける流希。
     秋風が場を抜けていく。
     彼らの行き着く先に、未来に、何があるのだろうか。ふと、そんなことを考えた。

    作者:ねこあじ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月22日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ