奪われた偶像の絆

    作者:彩乃鳩

    ●襲撃されるラブリンスター配下の淫魔
    「ワン、ツー、スリー、ワン、ツー、スリー!」
     アイドル淫魔のニナは、ガラス張りのビルの前でダンスのレッスンに励んでいた。昔から、ここで練習していたこともあり。最も集中できる場所だ。
    「次のステージまでに、完璧にしないと……」
     鏡に映った自分の動きを熱心に確認。長いツインテールが揺れ続けて、頬は上気する。ずっと動き続けたせいか、スポーツウェアは汗でびっしょりだ。
     ほとばしる情熱と集中力……だからこそ、ニナは気付けなかった。
     自分の背後から忍び寄る巨大な羽虫の姿に。
    「ギギギギギ!」
    「……! ベヘ、リタス!?」
     3m弱ほどまでに成長した羽虫型ベヘリタスが、飛来して牙を向けてくる。反応が遅れたニナは、成すすべもなく捕縛されてしまう。
    「っ……あの方に、連絡を……?」
     反射的に、非常事態を報せようとして。
     その手が止まる。
     あの方……あの方とは、誰のことだったか?
     自分は強力な組織に所属しており、アイドル活動をして安全に暮らしてきた。そのことは分かっている。
     だが、何か大切なものがぽっかり欠けてしまっていた。
     頭が混乱して、激しい頭痛に襲われる。
     ……ラブリンスター配下の淫魔。ニナは最後まで己が主のことを、思い出せぬまま気を失った。

    「大変です。『宇宙服の少年』が、都内で路上ハグ会を開いていたラブリンスターを襲撃、その絆を奪って連れ去ってしまいました」
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)が灼滅者達に説明を始める。
    「星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158)さん達が、いち早く気づいてラブリンスターの行方を追いましたが、羽虫型ベヘリタスに邪魔されて足取りは不明です」
     更に、絆を奪われて混乱するラブリンスター配下の淫魔達を、羽虫型ベヘリタスが誘拐する事件が発生している。これを阻止して撃退して欲しいというのが、此度の依頼だった。
    「ダークネス同士の争いなので一般人の被害などは無いのですが、ベヘリタスの動きを放置する事はできません。ラブリンスターの行方も気になりますが、まずはベヘリタスの攻撃を迎え撃つことが必要でしょう」
     問題の敵は、羽虫型ベヘリタス。
     出現数は1体だが、3m弱まで成長しており戦闘力もかなり強力だ。
    「攫われる予知が出ているのは、ラブリンスター配下のニナという淫魔です。ビルの前で、ダンスのレッスンをしている所を狙われるようですね」
     この淫魔を守り、ベヘリタスを撃退しなくてはいけない。もし、上手くニナを説得出来れば共闘と言う形で戦闘は楽になるだろうが……。
     介入するタイミングは、シャドウが現れる直前だ。
    「成長した羽虫型ベヘリタスを見る限り、ベヘリタス勢力の戦力はかなり強大になっていると思われます。それに、ラブリンスターを拉致するとは、タカトはどれほどの力を持っているのでしょうか……」
     俯いた姫子は顔を上げ、灼滅者一人一人と目を合わせて頷いた。
    「皆さん、どうかお気をつけて。健闘をお祈りします」


    参加者
    上代・絢花(忍び寄るアホ毛マイスター・d01002)
    一橋・智巳(強き魂に誓いし者・d01340)
    明鏡・止水(高校生シャドウハンター・d07017)
    ジオッセル・ジジ(ジジ神様・d16810)
    泉明寺・綾(とにかくアレ・d17420)
    船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)
    莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)
    枉名・由愛(ナース・d23641)

    ■リプレイ


    「こんにちは。わたしぃ達、ニナさんのファンですぅ」
     最初は軽く自己紹介。
     ファンであると告げる船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)に。真剣な表情でトレーニングしていた淫魔は、すぐに営業スマイルに切り替えて応対した。
    「ええ、本当にー? いつも応援、ありがとうね!」
    「それでニナさん、ストーカーに狙われているんですよお」
     ここで力を示せば相手も襲ってこない。
     その手伝いに来たと、共闘を申し入れる。
    「ベヘリタス、知ってますか? 時間が無くて詳しくは話せませんが、今からそいつが来ます」
    「……ベヘリタス?」
     続く莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)の言葉に、ニナの笑顔がすっと消える。
    「狙いはニナさんです。今逃げても必ず追ってきます。生き延びたければ私達と共に戦って下さい。必ず、貴方を守るから」
    「……」
    「ベヘリタスは淫魔を連れ去ろうとしているの。わたし達は危害を加える意思はないから」
     枉名・由愛(ナース・d23641)は、敢えてラブリンスターの話題を避けた。
     相手を戦闘前に混乱させないためだ。
    (「ラブリンスターのことを覚えていない。これがうずめの言っていた関連性の迷宮から滑落……ということなのかしら。大切なものを思い出せない、その辛さは身を以って知っているわ。ニナさんに、思い出させてあげることができると良いのだけれど」)
     色々気になることはあるが、今は置いておく。一橋・智巳(強き魂に誓いし者・d01340)も、ラブリンスターの点には配慮しつつ要点を簡潔に説明して共闘を提案した。
     逃げても追って来る。生き残りたくば戦え……と。
    「この台詞を言うのも久しぶりか? 何が正しいかは自分の魂で決めなッ!」
    「……貴方達は、味方だというの?」
    「俺たちが味方かどうか、ね。逆に聞くが、お前はどう思う? 俺たちが味方だって言ったら信用するのか?」
    「……」
    「そうさ、自分の魂で決めな」
     共闘を放棄し逃げ出したとしても、それはそれ。
    (「シンプルにベヘリタスVS灼滅者ってだけの話だ」)
     と智巳は思っている。
     ニナは考え込みながら、灼滅者達を観察して判断の材料を探しているようだった。だが、そんな余裕は元よりない。
    「ギギギギ!」
    「――来たでござる」
     戦闘前のニナへの説得は他の者に任せ。周囲を警戒をしていた上代・絢花(忍び寄るアホ毛マイスター・d01002)が、真っ先に飛来するベヘリタスへと気付く。ジオッセル・ジジ(ジジ神様・d16810)が前に出る。亜綾はサウンドシャッターを展開した
    「うちらのターゲットはあれだけや! 倒すの手伝って! アイドル続けたいんでしょっ!」
     泉明寺・綾(とにかくアレ・d17420)が、釘バットを構えて淫魔に目配せする。
    「うちらはこの羽虫を追ってる。そして、ニナさんが狙われてるっぽい。成長するダークネスだからここで倒さないとうちらの手にも負えなくなる。チャンスは今しかないんや」
    「ギギギ!」
     初手は螺穿槍で、羽虫へと飛び込み。
     攻撃力を上げ。ニナが撤退を選ばないように、言葉を選んだ。
    「ニナを倒しに来たんじゃない……連れて行かれた後、どうなるか分かってるから放っておけない」
     助ける理由は、前にラブリンスターに助けて貰ったから。
    (「恩は恩で返さないと、な。それに俺達も、あの蟲は倒したい」)
     高速で鋼糸を繰り。
     明鏡・止水(高校生シャドウハンター・d07017)は敵を斬り裂きにかかる。
    「何よりも、学園が存続できた最大の協力組織だし、礼は返さないとな。細かいことは、あの蟲を倒した後で話す」
     灼滅者達は、ニナを守るように陣取り。
     ベヘリタスと向かっていく。
    「一般人の皆さんは危険だから、離れてね」
     周囲の者の安全を最優先に行動。
     声を掛け逃走を促すと共に、由愛は胸元からスレイヤーカードを取り出して淫魔形態に変身。殺人注射器を片手にベヘリタスと相対した。
    「さあ、楽しみましょう?」
    「ギギ! ギッギ!」
     激しくギターをかき鳴らし音波を放ち。敵をこちらへと引き付ける。それが避難までの時間を稼ぐことに繋がる。絢花はグラインドファイアで迎撃。ジオッセルは九眼天呪法を使用する。
    「ギギギ、ギギ!」
    「嗚呼、こんなに肥大化して」
     想々は忌々しげに虫を見遣り。
     その瞳が血の赤へ変色、髪も土茶に染まる。戦闘態勢に入った証左だ。
    「それだけ誰かの絆が奪われた事実が許せない。例え、ダークネスの絆でも」
     敵とニナの間に割り込む立ち位置を意識し、攫われない様にし。いつでも、消耗している仲間を庇う構え。イエローサインで仲間にBS耐性を付与していく。
    「狙い撃つですぅ」
     亜綾は予言者の瞳で相手の行動を予測。
     フリージングデス、バスタービームで相手を牽制し行動を抑制する。智巳は抗雷撃を繰り出した。
    「ギギ!?」
     灼滅者達の猛攻を受け、ベヘリタスの身体が思わず吹き飛ぶ。先手を上手く制した形だ。
     しかし、ここで予想外のことが起こった。
     運悪く。羽虫の飛んだ先に、逃げ遅れた小さな女の子がいたのだ。今までビルの陰に隠れて、見落としていたらしい。
    「っ! 子供が!」
    「危ない!」
     このままでは、正面衝突して大参事となる。
     灼滅者達が一斉に動くが、間に合わないタイミング――で。
    「ソニックビート!!」
     衝撃波がベヘリタスに命中。
     軌道が女の子からずれて、羽虫はビルへとぶつかった。
    「ニナさん!」
     綾を始め、皆が救いの主へと視線を向ける。
     深紅のバイオレンスギターを手にした、淫魔へと。
    「……まあ、一応ファンを名乗ってくれる子の頼みだし。今は、自分の魂とやらに従うとするわ」
     亜綾や、智巳、一人一人を鋭く見据えてから。
     淫魔は一転して、天真爛漫に微笑んだ。
    「いくよー! 灼滅者の皆とニナちゃんで虫退治だー!」 


    「その羽もぎ取ったるのや!」
     綾の釘バットが火を吹く。
     己の片腕を異形巨大化させ、凄まじい膂力で殴打する。
    「ギギ!」
    (「絆のベヘリタス。その名前とは裏腹に、大切な物を壊して……守りきろう、彼女を」)
     BS耐性を配布し終えたおかげもあって、何とか戦線は維持されている。想々が、ニナへと迫るベヘリタスの進路を塞ぎ。盾となって守護して、反撃に移った。
    (「解ってる、こいつ一匹を倒しても無意味だと」)
     だけど言わずには居られない。
    「彼女達の絆を、返せ」
     己の瞳と同色のオーラを武器に宿す。
     紅蓮斬に想い乗せて、敵の生命力と魔力を奪い取る。
    「魔法忍者の実力を見せるでござる」
     絢花のメイド服が揺れた。
     忍者刀はスカートの中、鋼糸は袖の中に仕込んでいる。巧みな動きで相手を翻弄。デッドブラスターの弾丸を、指弾の要領で打ち出して精密に当てる姿はまさしく忍だ。
    「周りにいた人達の避難は、大体完了したようね」
     由愛は、周囲を確認して安堵の息を吐く。
     ベヘリタスの注意も充分に、こちらに向けることが出来た。ようやくメディックとして本腰に入れる。殉教者ワクチン、リバイブメロディを使い分けて適宜仲間を治療する。
    「ギ、ギギギッツ!」
    「流石に、中からって言うホラー仕様の誕生は、気持ちのいいもんじゃない」
     ベヘリタスの毒牙を、止水が鋼糸ではじいて回避。
     そのまま流れるように糸を敵に巻き付け、その動きを封じる。
    「喰らいなっ」
     そこへ、智巳がクラッシャーとして火力を発揮。
     障破裂甲――古の雷の王の名を宿す、紫のパイルバンカー。ジェット噴射で懐に飛び込み、空を割る雷の牙を思わせるパイルで敵を貫く。
    「ギ!?」
    「効いてますぅ。烈光さん、わたしぃ達も頑張るですぅ」
     団長代行猫烈光さん。
     それが、亜綾の霊犬の名である。サーヴァントは回復支援を主に担当。主人の方は、バスターライフルを発砲。狙いすまして、敵を射抜く。
    「あ、ニナさん。ベヘリタスがそっちへ行ったですぅ」
     また、亜綾は後方視点より戦況を把握し、隙の無い行動を呼びかける。特に淫魔の行動に留意し、相手に攻撃されないよう注意した。
    「オーケイ……さあ、思いっきり歌っちゃうよー!」
     アイドル淫魔の、神秘的な歌声が響く。
     ニナは攻守共に、心強い戦力となってくれていた。シャドウ相手にも、灼滅者達は引けを取らず主導権を握り続ける。
    「うちの前に立ったのが運の尽きや!」
    「ギ、ギギ!?」
     毒に冒されてもお構いなし。
     自称天才釘跋娘の熱い気迫に、ベヘリタスも押されるように後退。釘バットから流された魔力によって内部から爆発する。
    「シン・ライリーの次はラブリンスター……どれだけの絆を、奪う気なの」
     想々は攻撃を共に、回復も担当。味方の体力を見極めて、列の回復はイエローサイン。個人にはラビリンスアーマーを使う。
    「ギギギギギ!」
    「来るわよ。灼滅者の忍者さん」
    (「万が一ニナどのが危険になったら身を挺してでも庇うでござる」)
     絢花は覚悟を秘め、忍刀たる音切をスカートから抜く。中段から、まっすぐに素早い斬撃を振り下ろし、敵の牙ごと断ち切った。
    「ギ……ッギギッツ」
    「エンチャントは除去しないとね」
    「代わりに、これをくれてやる」
     たまらず羽虫が、癒しの鱗粉で回復と強化を行うが。すかさず、メディックの由愛が注射器を持ってブレイクを狙う。止水は斬弦糸で、ジャマー行為を畳み掛ける。敵は、さぞや気の休まる暇もないことだろう。
    「ギギギギギギギギギ!?」
     もちろん、ベヘリタスとて黙ってやられているわけではない。高火力のブラストで一帯を薙ぎ払い。猛毒の鱗粉で、灼滅者達を苦しめる。現実世界のシャドウは充分な強敵だ。
    「なかなかやるな。お前は、大丈夫か?」
     自身をドラゴンパワーで回復していた智巳だが。万一の保険として、淫魔を治癒する備えもある。
    「まだ平気よ……ありがとうね、サングラスのお兄さんっ! そっちこそ、大丈夫ー?」
     どうも、この淫魔はオンオフが激しい。
     とりあえずは心配はないようだ。
    「う、身体が痺れる……誰か回復、お願い」
    「あははっ。痺れてる、バットを救う、淫魔かな!」
    「俳句は……詠める?」
    「今の、俳句なのでござるか?」
     リズムに乗って、ニナが適当に口遊みながらギターを弾く。すると綾だけでなく、灼滅者達のパラライズがキュアされた。ツッコミながら、絢花は自分でもシャウトを使用。止水は自分にはブラックフォーム、仲間へはヒーリングライトを使った。
    「後の回復は、わたしに任せて。さあ、あと少しよ」
     由愛が仲間を鼓舞して、身心ともに支える。
     態勢を整えた灼滅者達は、頷いて猛攻を仕掛けた。想々の殲術執刀法による、正確な斬撃が繰り出される。ジオッセルの、除霊結界が決まった。
    「ギ、ギギギ!!」
    「ニナ、ガードを固めて」
     破れかぶれといった具合に、襲いかかってくるベヘリタスの動きを感じ取り。止水は淫魔に注意を伝える。羽虫の身体は、彼が蓄積したバッドステータスによって蝕まれていた。
    「最後に爆発せいっ!」
     綾が釘バットでラッシュを重ね。影のバットを振るい。螺旋の如き捻りを加えて突き出し、敵を穿つ。総力戦に、双方ともに被害は広がっていく。
    「行け、ニナ。お前の出番だ」
    「……え? でも」
    「大事なモン、失くしたまま消えたいか!? 戦え! それが大事な『絆』なら、その手で取り戻せ!」
     智巳の言葉を受けて。
     淫魔は笑った。営業スマイルのようで、そうでもないような。微妙な笑みだった。
    「よく分からないけど。じゃあ、声援に応えて……皆、やっちゃうよー!」
     ニナのギターと歌声が。
     今日一番の力を宿しながら高らかに反響する。
     そして、ほぼ同時。二人の灼滅者が動く。
    「止めでござる」
     音切が一閃。
     納刀状態から絢花が一瞬にして抜刀し。音をも切り捨てんばかりの、剣閃が走った。
    「いきますよぉ、烈光さん」
     呼び戻したサーヴァントをむんずと掴んで。
     亜綾は投球モーションに移行。豪快にぶん投げ、相手の顔面にへばりつかせ視界を覆う。
    「ギ!?」
     その隙に空飛ぶ箒で上空へ移動。
     重力加速度を加えて頭上から突撃をかけ。
    「必殺ぅ、烈光さんミサイル、グラヴィティインパクトっ」
     そのまま一呼吸おいてトリガーを引く。
    「ハートブレイク、エンド、ですぅ」
     間断なき連弾。
     必殺の威力をもつ三連打が炸裂し。
     ベヘリタスは、流星のごとく跡形もなく四散した。


    「歌って踊ってHAKAIもできるスーパー釘跋娘綾ちゃんやでっ!」
     記憶探しにと。
     綾は『ドキドキ☆ハートLOVE』を熱唱してみせた。
    「なんか思い出さない?」
    「……いえ。ただ、何でだか頭が痛い」
     楽しそうに歌って踊る姿に、拍手するニナだが。
     次第に、額を押さえ始める。
    「ラブリンスターのこと、思い出せないかい? アイドル活動をしていて、君達のボス。ベヘリタスのこと、一番最初に誰に伝えないといけないと思ったのか、そこから思い出してもらえれば……」
     止水が言葉にも、反応は芳しくない。
     灼滅者達は出来得る限り、丁寧に事情を話してみたがラブリンスターの記憶は欠落したままだった。
    「ベヘリタスについては、どの程度知っているの?」
    「さっきの虫のこと……と言う程度ね」
     由愛の問いに、淫魔は頭を振る。
     その顔色は次第に悪くなっていた。
    「このままじゃ危なっかしいし学園に来なよ!」
    「……せっかくだけど遠慮する。個人はともかく全体的に見れば、灼滅者はダークネスの天敵なの」
     無差別籠絡術を持つラブリンスターが、学園と交渉してくれる安心感がないと――やはり淫魔達も、武蔵坂学園と気軽に付き合う気分にはなれないようだ。
    「ラブリンスターと交流があった、七不思議使い達の現況を調べては……」
    「七不思議使い……うっ。どうして仲間になったんだっけ?」
     質問を重ねるごとに、ニナは苦しみ出す。
     これ以上は限界のようだった。
    「大丈夫だ。たとえ記憶を奪われたって、魂の絆までは消せやしねぇよ。あんたが大事に思う限り、きっとお前の魂が、大事なものへと導いてくれるさ」
    「あまり、無理をしないで。何かあれば連絡してください」
    「行く当てがなかったら遊びに来いよ。あんたの主もフラっと来てたぜ」
     智巳が、安心させるよう頷き。
     こちらの連絡先を、想々は渡した。
    「予兆で、ラブリンスターが『タカト』って言う宇宙服みたいなモノを着た奴に連れて行かれた。組織の仲間達も狙われる可能性が高いから、気を付けるよう伝えて欲しい」
    「……出来るだけのことはしてみる」
     主のことを思い出せないニナは。
     今一つピンと来ていない様子で去っていく。
    「タカトが何を企んでいるかは解らないでござるが、どうせろくでもない事でござろう。絶対に阻止してラブリンスターを救出するでござる!」
    「ラブリン救出できたら、コンサート開催してもらうかい?」
     それぞれの決意を、胸に秘め。
     灼滅者達は、肩を落とした淫魔の背をそっと見送った。

    作者:彩乃鳩 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月23日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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