飛騨の山奥深くに、ひっそりとたたずむご当地怪人の訓練場。
幾重もの打ち込みに破壊された『ほだ木人』が並ぶ回廊を抜けると、3人のご当地怪人たちが、円形闘技場で鍛え抜かれた拳をぶつけあっていた。
「絶空! シイタ拳!」
「審! エノキタ拳!」
「震空シメジ旋風脚!」
それぞれ渾身の奥義がぶつかりあい、炸裂する。
巻き上がった砂埃が収まると、三人は闘技場の中央で、ひしと肩を抱き合っていた。
「シイシイシイ、我らキノコ三人衆、嗚呼ついに修行成れり!」
「エノエノエノ、思えば夏の盛りより、長きに渡る切磋琢磨!」
「シメシメシメ、力を得たからには、恐るるべきものはなし!」
その目には男泣きの涙が光る。感極まった彼らは、ともに拳を天に届けと突き上げた。
「我ら編み出しし秘拳により!」
「民草の食卓にキノコを届け!」
「秋の味覚による世界征服を!」
「「「全ては、グローバルジャスティス様のために!」」」
キノコたちの笑いが、山中にこだまする――。
「では、今回の作戦内容をお伝えいたしますわ」
教室に灼滅者たちを集めた鷹取・仁鴉(中学生エクスブレイン・dn0144)。その隣には、ラシェリール・ハプスリンゲン(白虹孔雀の嬉遊曲・d09458)の姿があった。
「私たち武蔵坂学園の皆様も、多くの戦いを経て力をつけてまいりました。敵となるダークネスも、より強力なものが現れ始めています。
ですが、全てのダークネスが、そこまで強力というわけでもありませんの。中には力の弱いダークネスもおりますわ。
そういった弱小ダークネスたちは、徒党を組むことで生き延びようとしているらしく、協力して活動をし始めているらしいですの――ではラシェリール様、目撃証言をどうぞ」
促され、ラシェリールが話を継ぐ。
「うん。皆でキノコ狩りに行きたいなって思って現地で色々調べてたら、偶然訓練場のような施設を見つけてね。一応近づかずに帰ってきたけど、気になって仁鴉にその話をしたら、どうもご当地怪人が関わっているらしいという予知が出てきたんだってさ」
「ですの。その訓練場にいるのは、『飛騨シイタケ怪人』『飛騨エノキタケ怪人』『飛騨シメジ怪人』の3体ですわ。彼ら飛騨キノコ三人衆が訓練を終え、山を降りてくる今が絶好の襲撃チャンスとなりますので、皆様にはそちらへの対応をお願いいたします」
飛騨キノコ三人衆と接触できるのは、彼らが訓練所を離れ、近くの山道に出てきてからとなる。それ以前、訓練所にいる間だったり、あるいはふもとの町に入ってしまってからでは、こちらの行動が察知されてしまう。
こちらが灼滅者とわかれば、三人衆は問答無用で戦闘を仕掛けてくる。サイキックは『ご当地ヒーロー』に相当する効果を持つものに加え、それぞれが秘拳と呼ぶ技も使用するようだ。そのどれもが『追撃』を持っている。
三人衆の実力としては、1体につき武蔵坂学園の灼滅者3人分くらいの戦力を持つ。
また、山道は無人ではない。三人衆は積極的に人質をとるようなことはしないが、危険が及ぶ可能性はある。なんらかの対策が必要となるだろう。
「訓練を終えたとは言いますけれど、単体としてみるならばそれほど強力なダークネスではありませんの。ただ数が多いので、その点は油断できませんが。
強くなるとはどういうことか、その辺をきっちりご教示してさしあげてくださいませ。皆様のご活躍を応援しておりますわ」
参加者 | |
---|---|
桐谷・要(観測者・d04199) |
南風・光貴(黒き闘士・d05986) |
ラシェリール・ハプスリンゲン(白虹孔雀の嬉遊曲・d09458) |
蓮条・優希(星の入東風・d17218) |
成田・樹彦(紅い夢・d21241) |
浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451) |
田中・良信(宇都宮餃子の伝道師・d32002) |
南野・まひる(猫と猫と猫と猫と猫と猫美少女・d33257) |
●
立ての看板の前で、数人の子供達が首を捻っている。
「あ、あり……? これ読めねーよ、むずすぎ!」
「しまった、子供にゃ難しかったか……」
そんな彼らを相手にしていたのは、田中・良信(宇都宮餃子の伝道師・d32002)だ。
「これはな、『有害鳥獣駆除実施中!』って読むんだ。この先で色々やってるから、こっから先に行っちゃダメだぜーってこと」
「えー!? オレたちこれから探検なんだけ……ど……」
「帰ろーぜてっちゃん、行こ行こ。何か気味悪いよ」
と、彼らが素直に帰り出す本当の理由を、良信は知っている。
後方、仲間たちのいる所でのことだ。
「お聞き下さい、『チャーハンを作る猫のお話』。チャーハン職猫の朝は早い――」
南野・まひる(猫と猫と猫と猫と猫と猫美少女・d33257)の語るクラフト系怪談が、その不思議な作用で周囲の雑霊をざわめかせていた。
ハイキング日和の山道に、すると半径300メートルくらいの無人空間ができあがる。ここに出入りできるのはもはや、灼滅者とダークネスのみだ。
「そろそろ来てもおかしくないよね」
浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451)は道端の木陰から気配を探る。他の灼滅者たちも、ライドキャリバー『餃子武者』で帰ってきた良信も、近くに潜んでいた。
「でもきのこ……きのこかぁ……。特訓とか、必殺技っていうのはかっこいいのに」
「いやいや、かっこいいなんて気軽に言っていいのかな浅巳さん。典型的食べ物系ご当地怪人って、なんていうかこう――癖が強いというか」
成田・樹彦(紅い夢・d21241)の言葉に、灯乃人はそれもそうだね、と頷く。樹彦は次いで、隊列を同じくするもう一人の仲間、南風・光貴(黒き闘士・d05986)の居場所を確認した。
地元特産品、飛騨牛のメンチカツを食べていた彼が、やおら立ち上がる。
彼の睨みつける先、山道の坂上には――。
「シイシイ」
「エノエノ」
「シメシメ」
――和気藹々と談笑しながら降りてくる、典型的食べ物系ご当地怪人たちの姿があった!
光貴が、そして灼滅者たちは、その行く手に続々と立ち塞がる。
「ぬ! 見よ兄弟! 前方の刺客あり!」
「応! 我ら三人衆と知っての奇襲か!」
「ハッ、小癪な! 名を名乗れ灼滅者!」
「情けない……飛騨の大地は、お前たちに何と言った!」
先陣を切る光貴の肉体に、チャージしたばかりの飛騨ご当地パワーがみなぎった。
「大地の嘆きを蔑ろにし、破壊のみを求めるのなら、この浪花ライダー……いや! 『飛騨』ライダーブラックが! お前たちを成敗してくれる!」
「「「ほざくな! 貴様らこそ返り討ちにしてくれるわ!」」」
光貴の見事な啖呵に、負けじとハモる三人衆。ババッ、と効果音つきで構えた彼らの一人一人には、敵ながら過酷な修行をしてきたのだろうと思わせる、ある種の凄みがあった。
ラシェリール・ハプスリンゲン(白虹孔雀の嬉遊曲・d09458)は微笑む。
「うん、いいね。強い者と戦うのは俺にとっても良い特訓にもなる。お手合わせ願おうか」
彼のウイングキャット・ロードも、シメジ怪人相手にシャドー猫ボクシングをするなど、気合十分のようだ。
「ところで三人衆。始める前に1つ聞きたいんだが――松茸は?」
「シイタケこそ最多である。なんとなれば、栽培技術の驚異的な発展ゆえ」
「エノキタケこそ最親である。なんとなれば、あらゆる鍋の友であるゆえ」
「シメジこそ最旨である。なんとなれば、香り松茸・味シメジであるゆえ」
「「「最薫たる松茸に、しかし食卓の席なし。なんとなれば、高価に過ぐゆえ」」」
ラシェールの問いに即答する三人衆。その様子に桐谷・要(観測者・d04199)は、ふうん、と構えを解かずに呟く。
「答える位の余裕はあるのね。それとも――ま、いいわよ何でも。肝心なのは、私たちに油断は無いってことだから。
だから悪いけど、お前たちにも食卓の席は無いわ。観念なさい」
そう言い放つと、要の契約の指輪が淡い燐光を放ち始めた。一触即発の空気が張り詰める中で、蓮条・優希(星の入東風・d17218)は一人、物欲しげな視線で怪人達を眺めている。
「じー」
「如何にした少年。我らに問答望むと見受けるが」
「いやその……友達はさ、ご当地怪人相手にすると、色々会ってよく土産貰ってくるんだけど、お前らはそういうのないのかなって」
優希の言葉に、三人衆はキノコヘッドを揺らし。
「我らに協力すれば手土産くらい持たせてやろう」
「はは、冗談キツいぜ、それ」
「左様、戯れである。今更貴様らを逃す気は――」
ふっ、と、その姿が消えた。
「「「無い!」」」
またたく間もなく、彼らは『間合い』に現れる!
●
「そうくるよね……けど、読めてたよ!」
エアシューズを走らせ、スタートを切っていたのは灯乃人だ。赤々と燃えるわだちの先に、摩擦炎が滑らかに弧を描く。
「エノエノエノ! 常在戦場、感心なり!」
「先手必勝、グラインドファイアっ!」
身長差をものともしない灯乃人のハイキックが、飛騨シメジ怪人の側頭部を捕らえた。ガードの上からも貫通する衝撃と炎とが、謎素材のコスチュームに広がっていく。
「うんうん、キノコっていうと調理しなきゃダメだからねー好きじゃないけど。特にシメジ」
続けてまひるが間合いを詰める。足元もとい手元には『ねこ・ざ・ぐれゐと』も一緒だ。
「シメシメシメ! 栄養不足も道理なり!」
「いや普通に花粉症だからねこれ――」
などと交わす間に、まひるは語りを遂行した。現れた美丈夫の侍が、腰の大小を閃かせる。
「――おいで、つつじのクン! みじん切りにしちゃえっ!」
ザザザザザザン!
冴えた刀技の先で、しかし怪人は未だ健在であるらしく。ならば、と、ライドキャリバー『バトルキャリバー』に騎乗する光貴が、ダイダロスベルトをたなびかせ、吶喊する!
「バトルキャリバー、フルスロットル!」
エンジンが吠えた。機体限界に迫るほどの速度に、光貴は目を細めて。
「喰らえ、レイザースラスト!」
すれ違う刹那、全てを開放し……加速した視界の中、見事な回し受けで捌ききり、呼吸を整える怪人の姿を、光貴は確かめた。
キノコヘッドの中ほどにある、キノコ色した目が光る。
「シイシイシイ! 奥義開帳、刮目せよ!」
飛騨の山々がまるで物理的に震えているかのような、この圧迫感は!
「来るね、鷹取さんの言っていた『秘拳』が……!」
樹彦の額に汗が落ちる。戦況を見定めようとしていると、一本の大竜巻が立ち上がった。
その頂点から、シメジ怪人が急降下を仕掛ける。キノコヘッドを上にしたドリル回転の周囲には、密生するシメジを思わせる高密度の蹴りが展開していた。
「我、自ら爆ぜん! 震空シメジ旋風脚!」
「うわ……わわあっ!」
優希のガードが強制的に弾かれ、その隙に何発もの直撃を受けてしまう。バランスを崩した彼の懐に、続けてエノキタケ怪人がするりと入り込んだ。
「させっかよ!」
間一髪、良信が立ち位置を優希と入れ替える。
「真っ向勝負! かかってきやがれ!」
エノキタケ怪人の頬に、笑みが浮かんだ。
「その意気や良し! 審! エノキタ拳!」
何の変哲も無いダブルアッパーカット――だが。
「こ、この力は……ぐあああぁぁぁっ!」
まともに食らってしまった良信は、足元の地面が離れていく光景と、そこから雄々しく育つエノキタケの幻想とを垣間見た。
「余所見は拙いな! 絶空! シイタ拳!」
豪ッ!
「!」
さらにシイタケ怪人の側面攻撃が、後衛の樹彦に襲い掛かる。豊富な旨み成分を持つシイタケが食材として持つ圧倒的存在感を、そのまま遠当てとしたかのような恐るべき衝撃――!
――だが、見事! 灼滅者たちは怒涛の攻勢を耐え切った!
「この、程度なら!」
樹彦は脂汗を流しながらも、己にエンジェリックボイスを歌う。龍砕斧を盾に、呼吸を整えた。
「お返しだ……秘技! 焼きたて餃子ビーム!」
良信が即座に反撃を狙い、腕に餃子皿を乗せたポーズを取る。今、最も狙うべきは……!
「シメシメ、我を狙うとは通好みであるな」
「なぜそう言いきれるのか、理解に苦しむわね」
シメジ怪人に向け、鋭く打ち込まれる白光の飯テロパワー。残光の消えぬうちに、要は指輪をはめた指を走らせ、制約の弾丸を生成する。
「あと、どうせキノコ怪人を名乗るなら」
要が身を翻すと、魔法弾は一気にシメジ怪人へと発射された。
効果的命中を見届け、言葉を繋げる。
「シメジだけ語呂合わせになってないわ。それくらい考えて事を起こすべきだと思うのだけれど」
「エノエノ、ご忠告痛み入るが是非もなし」
「シイシイ、我らの大儀は唯世界征服ゆえ」
味方が集中攻撃されていても、不気味な余裕を見せる怪人たち。それは修行を共にした味方への信頼か、それとも。
「人の話は聞いとくもんだぜ、オッサン!」
と、妖の槍『碧風』を構えた優希が、シメジ怪人に突っかけていく。人槍一体、銘の通り吹き付ける強風となったかのような突撃。
「冬の先駆け、ならいに巻かれて星になれっ!」
「鍋の季節に、ならばそれも一興――しかしッ!」
対するシメジ怪人は、仲間に助けを求めるようなことを一切しないでいる。その瞳の底に、はたして優希は何を見たか。
インパクトを殺しきれず、ついにシメジ怪人は膝をつく。ふと顔を上げると、そこには後ろ足で立ち、肉球を振りかぶるキノコ好きの猫・ロードがいた。
「ロード、シメジに夢中なのはいいけど、回復もしっかりな」
「にゃあ……ぁぉぉん!」
すぱーん、と。
綺麗な右ストレートが、キノコヘッドを打ち貫いた。倒れてもさらにはたき続けるロードを、ラシェリールは心中複雑ながらも嗜めておく。
「……食べるなよ。腹を壊すぞ?」
「にゃん、にゃんにゃ」
「フ、食欲に負けるならそれも本望である……シメーッ!」
妙な断末魔と共に、シメジ怪人は溶解して消えていった。
●
「シメジが逝ったか――あれは我らの内でも一番の味自慢」
「美味しい死に方をしたものよ。吉報、涅槃食卓にて待て」
「ねー。仲間が志半ばに倒れたんだけど、それって悲しくないのかな?」
ぐれゐとをブンブンさせながら、まひるは問うた。
「強き者よ。その意識には確かに、キノコが植わったであろう」
「いずれその胞子は目覚め子実を成し、キノコ道へと回帰せん」
「うーわ、意外に深謀遠慮……」
かどうかはさておき。
残る2体、できれば逃したくはない相手である。灼滅者たちは包囲陣形を取り、確実に敵の体力を削り取っていった。
「ハ。確かにキノコは美味いけど、それだけが俺の支えという訳じゃない」
優希が跳ぶ。槍の先端に生み出した氷刃を振るい、エノキタケ怪人に撃ち放った。
「キノコは単体でバター焼きにしても良いが、サーモンのホイル焼きに添えてもまた良しだ。ま、主役だけ張ろうだなんてのは、もったいないぜ?」
「その不利を、不利と知って通すまで!」
半身を氷塊に覆われ、なおもエノキタケ怪人は前進する。
「熱いな……怪人となり果ててしまったのが惜しいくらいだ!」
良信の意気に、餃子武者も震えた。その心強いエンジン音を背景に、今こそ放つは究極奥義!
「だが止めてみせる! 必殺! 餃子3種盛り合わせ蹴り!」
焼き、水、揚げ3種の宇都宮餃子パワーが、燃える両足に集中する。三度巡る連続蹴が、強かにエノキタケ怪人の身体を打ち据えた! しかし――。
「余所の名物には余計負けられぬわッ!」
必殺の打撃を受け、なおもエノキタケ怪人は前進する!
その行く先にいたのは。
「え、私?」
まひるであった。ぐれゐとの額が青ざめる。
「無念も悲哀も何もかも、この拳にこそ置いて行く! 審――」
「させるかーっ。てい」
ぽいっ、と。ぐれゐとを身代わりに投げるまひる。
それではご覧頂こう。これが、主人を守ってぶっとばされる運命を可能な限り前向きに受け入れた、ぐれゐと渾身の作り笑いである……!
「――エノキタ拳!」
「ギニャアアアアア!」
さらば、ぐれゐと。とはいえちゃんと無事ではあるが。
そして、負傷を押して秘拳を放ったエノキタケ怪人にも限界が来たようだ。要の七不思議『口裂け人間』を前に、口角を吊り上げて。
「ふふ……その大口、さぞ多くのキノコを食べたゆえであろう」
「違うけど」
要は全くクールに切り返した。魔導書の表紙を一度叩いて、語りを完成させる。
「幕引きは油断無く万全に。語られた物語には、それができる」
「え、エノーーーッ!」
シメジとは違うのか、エノキタケ怪人は灼滅されると同時に爆散した。さすがのシイタケ怪人にも、その表情には焦りが見られる。
「ぬう……しかし撤退叶わず、か」
「その通りだな。さて、俺にも本来の目的があるから、ここは手早く終わらせるとしよう」
ラシェリールが仕掛けた。手にしたマテリアルロッドに魔力を通し、励起させる。
「俺はこの山に、普通のキノコ狩りをしに来たんだ」
「シイシイ、ならば――」
「君たちとはまるで関係なく、ね」
シイタケ怪人が差し出す手を無視して、ラシェリールはロッドを突き当てた。弾き飛ばされる怪人は、やぶれかぶれに秘拳の構えを取る。
「せめて一人、我らが涅槃食卓への道連れとしてくれる! 絶空、シイタ拳!」
超高速のシイタケ気弾は、隊列を飛び越えての攻撃が可能だ。それを熟知している灯乃人は、後衛に居ながらも決して警戒を怠らない。
「その技、打ち砕いて私の糧にするからね!」
灯乃人は巨大なバベルブレイカーを振り回し、気弾に杭をぶち当てる!
パァアアアアン!
タイミングを見切った上での射出を行い、結果無反動の相殺を成し遂げた。灯乃人の身体は、終わってからの達成感に震える。
「でき、ちゃった……手負いとはいえ格上相手に……!」
まぎれもなくあれは、大物食いの一瞬・一打。まだ名前の無い灯乃人のウイングキャットが、主を祝福するようにリングを光らせる。
「く……我が秘拳、未熟であったか!」
「ショックを受けている今がチャンスだよ。――ヴァンパイアミスト!」
歯噛みするシイタケ怪人を見て、樹彦は紅霧を展開した。その膨大な量の魔力が、余すところなく光貴の中へと吸い込まれていく。
「僕の全力も、持って行ってくれ」
「おう! 確かに受け取った!」
光貴の纏う黒のライダースーツに、パンプアップされた筋が浮かぶ。握り締めたクルセイドソードは、今こそあらゆるパワーを一身に受け、輝きだした!
「この土地が、仲間が、力を与えてくれる……! 俺を導け! バトルキャリバー!」
「死中に活……く、朽木に命を!」
立ち塞がるシイタケ怪人の意地を、正面から断つ!
「飛騨流、キノコぶったぎりスラーッシュ!」
ザンッッッッ!
「グローバスジャスティス様に、栄光あれ! シイーーッ!」
そして光の中に、シイタケ怪人はその身を蒸発させていくのであった!
作者:君島世界 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年10月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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