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裂峰・桜。2本の巨大なチェーンソーを使い人々を可能な限り凄惨な死体に変える事をライフワークとする、六六六人衆序列六六三位の女である。
普段から大して頭を使わずに適当に殺人をして生きていた桜だったが、この日は珍しく考え事をしていた。
「何でこんな事になっちゃったのかなー……今日は何となく人が多そうな遊園地で秋のドキドキ肉塊祭りをやろうと思っただけなんだけどなー。全っ然出られないわー……空はあんなに青いのになー。あ、もう赤いや」
桜はコーヒーカップの縁に座りグルングルンと回転させられながら空を仰ぎ、現状を確認していた。
「とにかく私はこの遊園地に閉じ込められた。何だか知らないけど全然外に出られない。チェーンソーで壁ぶった斬ってもゴーカートで突進してみても全然出られない。なんだかなー……これからどうしよっかなー」
そして桜はピョンとコーヒーカップから飛び降りると、赤と黒のチェーンソーをそれぞれ手に持つ。
「ま、よく考えたら私達のやる事なんて1つしかないわよね。考えすぎてた自分がアホに思えて来たわ……よーし、肉塊祭りだーー!!!」
急にテンションが上がった桜は両手のチェーンソーをフル駆動させると、けたたましいエンジン音と共に爆走する。
「はいオマエ肉塊! アンタも肉塊! そちらの家族連れもカップルもまとめて肉塊! 逃げようとしてるそこのガキも肉塊! 死に晒せこの血袋共!!」
目に付く一般人を片っ端から切り刻み、遊園地はあっという間に地獄絵図へと変わる。
「先の事なんか知った事じゃないわ! まずは全員血祭りにしてから考える! ハハハハゲッホハハハハハ!!」
大量の返り血をシャワーの様に浴びながら、桜は狂笑を上げ続けていた。
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「賽子の出目は全てを語るわ……密室と化した遊園地。閉じ込められた無力な人々。そして鋸を振るう狂える殺戮者……事件よ、みんな」
ラグナロクにしてエクスブレインの鳴歌は集めた灼滅者達を前に、事件の説明を始める。
「ゴッドセブンのアツシが灼滅されたのはそこまで昔の話じゃないけど……神宮寺・柚貴(不撓の黒影・d28225)さん達の調査によって新たな六六六人衆の密室事件が発生していることが判明したわ。そして私の占いにも、その密室の1つが引っ掛かった」
その密室は今までの密室とは多く異なる点がある。
「中にいる六六六人衆も密室に閉じ込められ脱出できない。但し密室は中から外に入れないだけで、外からは容易に潜入が可能。しかもエクスブレインの予知も届く……こんな所ね。皆はこの密室に突入し、中の六六六人衆を灼滅して欲しいの」
幸い灼滅者達が六六六人衆に接触する段階ではまだ殺戮が始まっておらず、上手くいけば被害者を0にする事も可能だと鳴歌は言う。
「殺戮を行う六六六人衆の名は、裂峰・桜。チェーンソーを使った殺人技で、人々を惨殺する事を好む悪趣味な六六六人衆よ。まあ良い趣味の六六六人衆なんていないでしょうけど」
灼滅者達は、桜がコーヒーカップのアトラクションの上に座ってグルグルと回り続けている所に、接触を図る事となる。
「桜は自身が閉じ込められ、容易に脱出できないという現状を把握しているし、灼滅者達の事を甘く見てもいない。この状況で、現れた皆を無視して一般人に襲い掛かる事に時間を割く様な馬鹿ではないわ。後真っ向勝負の形になる筈よ。最低限の人払いはしておくべきだと思うけどね」
そして鳴歌は、桜の戦闘能力の説明に入る。
「当然、桜の得物は手にした2本のチェーンソー。自身が編み出したチェーンソー殺戮術で、多人数との戦闘にも対応している。攻撃力・回避性能もかなりの物。だけど防御はやや弱めみたいね。それでも十分強いけど」
そこまでの説明を終え、鳴歌は改めて灼滅者達と向き合った。
「これで、占いの情報は全部よ。恐らく桜はこの密室の作成に全く関わっていない。多分誰かに閉じ込められたんでしょうね。この時期にこんな事件が起きたとなると……もしかしたら、誰かが新たな密室殺人鬼を生み出そうとしてるのかもしれないわ。占いじゃないけど、私の勘がそう言っている。まあとにかく、今は目の前の事件の解決に努めて頂戴。気をつけてね」
参加者 | |
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伊舟城・征士郎(弓月鬼・d00458) |
久織・想司(錆い蛇・d03466) |
九条・るい子(鋭利な子猫・d04214) |
西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504) |
乃木・聖太(影を継ぐ者・d10870) |
紅羽・流希(挑戦者・d10975) |
ルコ・アルカーク(騙り葉紡ぎ・d11729) |
天草・日和(深淵明媚を望む・d33461) |
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六六六人衆裂峰・桜と多くの一般人が閉じ込められた遊園地密室。
灼滅者達は、桜の手によって引き起こされる殺戮を阻止すべくこの密室に自ら足を踏み入れていた。
「あー……どうしよっかなー……」
コーヒーカップでグルングルンと回されながら、桜は空を見上げていた。
そして不意に、視界を回転させ続けていたカップが急停止する。
「前の密室もそうでしたが、猛獣と羊を一緒の檻に閉じ込めて放置ですか……良い趣味ではありませんねぇ……」
裏で電力供給を断ち切った紅羽・流希(挑戦者・d10975)はそう呟き、一般人の人払いを開始した。
「さっさとコーヒーカップから離れろ! さもなくば人体模型的なボディペイントが施されたパンイチ変態おっさんがやって来るぞ!」
天草・日和(深淵明媚を望む・d33461)は謎な百物語を語りながら一気に人々を誘導する。ついでに公共の場でおかしな事を叫ぶ事を少し愉しんでいた。
「凶器を持った頭のおかしい女性がいます。対処は我々に任せて出来るだけ遠くに逃げて下さい!」
「そうだ! それはもうおかしくて危ない奴だぜ! ……人体模型の方じゃ無くてチェーンソーの方な!!」
ルコ・アルカーク(騙り葉紡ぎ・d11729)と九条・るい子(鋭利な子猫・d04214)が、プラチナチケットを使用しつつ避難を更に後押しすると、周辺の一般人は全て別の場所に避難していった。
カップ周囲の一般人が少なかった事もあり、避難に当たっていた灼滅者達はすぐに桜との戦闘に合流できるだろう。
「…………機械がぶっ壊れた? いや、違うか……誰よあんたら」
機械が止まった後もぼうっと空を見ていた桜だったが、不意に周囲を見渡すとそこには4人の灼滅者達が立っていた。
「やあひとごろし。あなたも災難でしたね。ここが袋小路だなんて」
「……へえ」
久織・想司(錆い蛇・d03466)のその言葉に、桜はニヤリと笑みを浮かべた。目の前の相手が誰なのか、何となく見当がついたのだろう。
その直後、西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504)の足元の影が、無数の人の腕の様に蠢き桜に襲いかかる。
「ク、ク……貴様も我等も同じ血袋。我等は我等が怨敵の血潮が殊の外好きでなあ……この場であれば互いに退けぬ。存分にその血潮を味わわせて貰おうか……」
「ハ、私1人の血なんかよりも、その辺の血袋何も考えずに潰しまくって肉塊祭りした方が楽しいでしょうに」
放たれた影を刃で掻き消した桜は一気にカップから飛び降り、織久に向け斬撃を放つ。
しかしそこに割り込んだ伊舟城・征士郎(弓月鬼・d00458)が、刃を身体で受け止めた。
「確かに。先のコトを考える必要はありません――裂峰桜様。貴女をココで灼滅します」
征士郎は、目の前の桜にそう言い切った。
「ここは完全に閉ざされた空間よ。あんたらも死ぬ覚悟出来てるんでしょうね?」
「当然だ。そして、その台詞をそのままお前に返そう」
乃木・聖太(影を継ぐ者・d10870)はそう言いながら、闘気の塊で桜の身体を打つ。
そしてこのタイミングで、人払いを行っていた灼滅者達が戦闘に合流する。
「ま、とにかくアンタらみたいな連中が居たら楽に殺しも出来ない……よーし、肉塊祭り前哨戦だー! オマエら全員血袋役な!!」
桜はそう言って2本のチェーンソーをフル駆動させ、灼滅者達と相対する。
そして戦いが始まった。
●
「さあ切り刻んでやるわ、さっさと死になさいクズ共が!!」
桜は灼滅者達に突撃すると、身体を超高速回転させながら激しすぎる斬撃の応酬を灼滅者達に放つ。
「荒々しくて、馬鹿みたいに強烈な斬撃だな。だが、若干動きが大雑把だ」
迫りくる斬撃を、流希は闘気を纏わせた手刀で弾き返す。
そして巨大な大鎌を構えると、動き回る桜との間合いを一瞬で詰める。
「箱の中に閉じ込めてシュレディンガーの猫ならぬ、殺人鬼実験ってか? 笑えねぇな」
流希が振り下ろした大鎌は桜の肩を抉り、治しがたい傷を刻み込んだ。
「それは私の知った事じゃないわ。私を閉じ込めた奴がいるならそいつを殺してやりたいわ。まあアンタ達を殺してからね!!」
「させねえよ。お前はここで俺達が殺す。こんな密室を作り上げた誰かさんも、いずれな」
流希は日本刀『掘川国広』を居合いの型で構えると、桜の動きを静かに見定める。
「ここだ」
一閃。
流希が放った斬撃は、一瞬にして桜の身体を斬り伏せた。
「肉塊祭りとかぶっそーな事考えるな、ホント。ホラー映画みたいな事はさせないぞ!」
そこに飛び出したるい子が盾を振り降ろし、桜の脳天に一撃を加える。
「クク、ク……二度は外さぬぞ」
更に畳み掛けるように桜に突撃した織久が黒き大鎌を振り下ろすと、桜の防護と命が一気に削り取られた。
「チッ……やっぱそこそこ強いわね、灼滅者。でもこの程度で私の肉塊祭りは終わらない!!」
そう叫び、桜は激しいモーター音を灼滅者達に放つ。
「侮るなよ六六六人衆……私達は貴様より強い!!」
日和はそう言って桜に接近し、重い十字架で桜の身体を叩き伏せる。
そしてビシッとポーズを取ると桜を指さし、日和は堂々と言い放つ。
「私はチェーンソーなんかに負けやしない!」
「そこまで言うなら私のチェーンソー殺戮術を喰らうといいわ!! 死ね!!」
桜はチェーンソーを掻き鳴らしながら日和に接近し、その身体をズタズタに斬り裂いた。
「ひぎぃ! ズタズタ気持ちイイのぉ!!」
そして嬌声を上げながら倒れ、頬を赤く染める日和。あまり理解したくないがどうやら喜んでいるらしい。
「うお、なによコイツ……流石の私もドン引きだわ……こいつがディフェンダーじゃなくて良かった……」
六六六人衆にすら引かれる始末だが、日和は全く気にしない。
「ふう……中々の腕だな。次は私の番だ!!」
再び表情をキリっとさせた日和は、ふざけてるのかと思いきや案外強烈な斬撃で、桜のチェーンソーと腕に傷を入れた。
「時間はある。確実に追い詰めていこう」
続いて飛び出した聖太が変形させたナイフを突きだすと、深い傷を刻むと同時に桜の動きを大きく鈍らせた。
「うざったいわ……さっさと1人位死んでくれてもいいんじゃない?」
桜はチェーンソーの刃に炎を纏わせると、力任せに振るう。
「させませんよ。何度だって、止めて見せましょう」
征士郎は激しく震える刃を剣で受け止め、そのまま剣先を逸らして斬撃を流す。
「私の役目は、戦線を維持させる事です」
そう言って征士郎が剣を振るうと、そこから放たれた柔らかな浄化の風が灼滅者達の傷を癒した。
それとほぼ同時に、征士郎のビハインド『黒鷹』が桜の背後に回り込んていた。
そして黒鷹が放った霊力の一撃が、桜の背を穿つ。
「この……!!」
「桜様。敵は1人ではありませんよ?」
桜が黒鷹に目をやり刃を振り上げるが、桜よりも征士郎が早く動いた。
征士郎はエアシューズの駆動で一気に桜の懐まで潜り込み、渾身の力を込める。
「失礼します」
そして放たれた強烈な蹴りが、桜の身体を勢いよく吹き飛ばした。
「おっと、こっちに来ましたか……よっと」
吹き飛ばされた先に立っていた想司が、盾の様に展開させた闘気で更に殴り吹っ飛ばした。
「ルコさん、そっち行きましたよ。クレバーに抱きしめてやるといい」
「抱きしめるには品が無さすぎなんだよ」
想司の言葉に軽い口調で応えたルコは、拳に闘気を纏わせ待ち構える。
そして勢いよく拳を振り降ろし、桜の身体を地面に叩き付けた。
「グハッ!! ……誰が品の無い女だコラ細切れにしてやろうか!」
「じゃあがさつで品の無い鋸女でどうですか」
「死ね!!」
桜は叫び、物凄い勢いの回転斬りを後衛に放つ。
「……おっと、中々キツそうな攻撃放ってくるじゃねえか」
しかしルコはその攻撃の軌道を冷静に見定め、手に光を集めて一気に放出する。
放射状に放たれた眩い光が、ルコに向けて放たれた斬撃の威力を殺した。
「……まあまあ、そんなに怒らないで。あまり叫びすぎると早死にしますよ?」
そしてルコは装着した盾を大きく展開させると、瞬く間に仲間の傷が癒えていった。
「どうです俺の巧みな回復術! 斬った傍から敵の傷が癒えていく心境は如何です?」
「なんかムカつく」
「貴重なご意見どうも」
灼滅者も六六六人衆も、互いに相手に致命的なダメージは与えられていない。
闘いはまだ続く。
●
「さあ次はあたしが出るぞ! お前みたいな奴はちゃちゃっと片づけてやるぜ!」
るい子はエアシューズを駆動させると、一気に桜目がけて駆け出した。
「誰がアンタらみたいな連中に殺されるか。死ぬのはアンタらよ!!」
「それはどうだろうな……ここだ!!」
そしてるい子が放った重い蹴りが、桜の足を打ち砕いた。
「ほらほら来いよ、裂峰。一緒に遊ぼうぜ! あたしらが肉塊祭りより楽しい経験させてやるぜ!」
るい子がそう言って笑うと、桜もそれに応える。
「ハッハッハ! あれより楽しい事なんてこの世にありはしないわ! 私を楽しませたかったら大人しく斬られてる事ね!」
「そいつは勘弁だな。やっぱ全然趣味合わねえなあたし達!」
るい子は両手で構えた杖に己の魔力を込めながら、桜に接近する。
「あたしの全力受けてみな!」
そしてるい子が杖をフルスイングすると、桜は鳩尾を思いきり殴られて地面を転がり、程なくして体内が爆発した。
「順調順調。さ、次は誰が出る?」
「私が出ましょう」
るい子の呼びかけに応えた征士郎が続き、炎を纏わせた蹴りで桜の背を抉る。
「更に私がもう一撃だ!」
日和も影を放ち追撃すると、桜の全身を飲みこみ精神に打撃を与えた。
「グググ……ぬおあああ!!」
品の欠片も無い雄叫びを上げ影から這いだした桜は、鋭い目つきで灼滅者達を睨む。
「クク……どうした。貴様も我が怨敵ならば、その程度の痛みどうと言う事はないだろう?」
織久は低く笑うと、赤黒い鋼糸『闇器【夜伽】』を桜に向けて放つ。
暗念が込められた糸は瞬く間に桜の全身に食い込み、皮膚を裂く勢いで締め上げる。
「グ……殺気だけは立派ね……!!」
全身の皮膚を裂かれた桜は、狂気じみた笑顔を浮かべ、全身から血を流しながら織久に突撃する。
そして桜が突きだした刃は織久の身体を貫通し、痛々しい音と共にその中身が削り取られる。
「クク、ク……ヒハハハハハハ!!」
「何で笑ってんのよ。頭でもイカレた?」
「貴様から近づいてくれるとは、有難い事だ……怨敵を殺す為なら、内蔵の1つ位くれてやろう……!!」
口から血を流しながら狂笑を浮かべた織久は、血色の炎を宿した大鎌を大きく振りかぶる。
「しまっ……!」
桜が避けようとしたときには既に遅く、織久が振り下ろした灼熱の刃は、圧倒的な殺意と共に桜の身体を引き裂いた。
身体を斬られ身を焦がされた桜は、流石に苦しげに後ろに退がった。
「グオ、ア……!! 痛い痛い、これは流石に痛いわこの野郎!! オマエ後で絶対に殺してやるからな!!」
荒々しい口調で叫んだ桜は己のやる気を高め、気合で傷を癒した。
「当然の報いだな。お前がやって来た事を考えれば、これでも生温い位だ」
流希は傷を癒した桜との距離を一気に詰めると刀を振るい、早速新しい傷を刻む。
「戦いが始まってから結構の時間が経ったね……そろそろ効き始める頃かな。いや、もう一押ししておくか」
聖太は手裏剣型に折り込んだ護符を左手に構え、冷静に狙いを定める。
「この程度の相手に、本物の手裏剣を使うまでも無い」
そして聖太が投擲した護符は、吸い込まれるように桜の首に命中し、その精神を大きく蝕む。
「灼滅者……あんまり調子に乗ってんじゃないわよ。格下なのはどう考えてもアンタらの方よ!」
桜は目標を聖太に定めると、炎を纏わせた刃を携えながら突撃する。
そして刃を振るうと、一気に聖太の首を掻き切った。
と、桜は思った。
「…………は?」
しかし瞬き1つすると、目の前の聖太は全く傷ついておらず、自分の足が鋸によって抉られているのみだった。
「自慢のチェーンソーの味はどうだい?」
「……流石私のチェーンソーよね。マジで痛いわ。クソが」
聖太がかけ続けていた催眠によって自らの足を斬り裂いた桜は、尋常では無い痛みと炎の熱さに膝を付く。
「言ったろ? 本物の手裏剣を使うまでもないってさ……何度も言ってきた事だが改めてもう一度言う。お前は、ここで終わりだ」
そして聖太が波打つ刃を振るうと、桜の身体は抉られ更に肉体と精神が蝕まれていった。
「あのお嬢さんはもう終わりだ。決めてやれよ」
そしてルコは仲間の傷を癒しながら、想司にそう投げかけた。
「言われなくともそうするさ」
想司は足に強固な闘気と炎を纏わせながら、桜に飛び掛かる。
躊躇無く放たれた炎の蹴りは桜の鳩尾を打ち、地面に叩き付けた。
「これはまっずいわね……普通ならもうとっくに逃げてる所だわ。誰なのよこの場所をこんな風にした奴は」
桜は傷を抑えながら立ち上がり、恨めし気に呟く。
「何も知らない様子ですが一応聞いておきましょう。最近怪しい殺人鬼的な誰かと接触したりしませんでしたか。特徴とか教えてくれたらおれが代わりにぶっ飛ばしておいてあげますよ」
「正直、私を閉じ込めた奴とアンタらに対するムカつき度はほぼ同じ水準よ。知ってても誰が教えるか。死ね」
「……やっぱり口が悪いですね。まあそれならそれで、早くもう終わりにしましょう」
想司はそう言うと闘気を片腕に集束させ、巨大な刃の様な形で纏わせる。
「663位さん。特に興味はありませんが、最後に言い残す事はありますか」
「お前ら全員何の意味も無く死ね」
想司の問いにそう応え、桜は満身創痍の状態で灼滅者達に突撃して斬撃の嵐を放つ。
灼滅者達は桜の斬撃を避け、あるいは受けきり、一斉に攻撃を叩きこんだ。
日和が振り下ろした刀が腕を斬り、
るい子が放った流星の如き跳び蹴りが顎を打つ。
征士郎が放った炎の蹴りが全身を焼け焦がし、
聖太が放った護符の手裏剣が魂を惑わす。
織久が無数の糸で桜の全身を縛り動きを封じ、
流希が一瞬にして放った居合い切りで桜を斬る。
ルコが放った重い拳が鳩尾を打ち、
想司はその隙に桜の死角まで回り込む。
「終わりです」
死角から放たれた斬撃は、桜の首筋を一瞬にして斬る。
「グフ……こんな所で終わるなんてね。もっともっと人を斬りたかったわ……」
「それは生憎でしたね。あなたは何も答えてくれませんでしたが……まあ、あなたをここに閉じ込めた奴はいつかぶっ飛ばしておいてあげますよ」
「……その時は、派手に痛みを与える感じで殺しといて。私がやるみたいに」
そして桜はチェーンソーを地面に落とすとバタリと倒れ、二度と起き上がる事は無かった。
愛用の2本のチェーンソーが、跡形も無く砕け散った。
作者:のらむ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年10月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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