子爵襲来~蝙蝠とサラリーマン

    作者:るう

    ●三重県、津市内
     洋館から、無数の何かが発ってゆく。黒く、禍々しい模様を持ったそれは……蝙蝠だ。
     それは二つ、四つ……幾つもの塊に別れ、次第に津市の全域へと広がって……そのうちの一団が、路上に連れ立つ人影を見つけて舞い降りてゆく。

    「いやー、いい料理だったねぇ!」
    「でしょう! 部長がお好きだって言うから、こりゃ連れてかなきゃ出世に響く! ……なんちゃって!」
     既に一杯引っかけてきたらしいサラリーマン二人。その頭上に……蝙蝠たちは音もなく忍び寄る。
     ふと部長は、頭皮に風圧を感じて空を見上げた。すると、視界一杯に広がる眩惑的な模様が……!

    ●武蔵坂学園、教室
    「最近のタトゥーバット事件について調べてくれて嬉しいぜエブリバディ! お蔭で、その黒幕が判ったぜ!」
     桜庭・照男(高校生エクスブレイン・dn0238)の話によると、バット達の拠点は三重県津市の洋館であるらしい。ヴァンパイアの子爵が彼らを使役していたのだ。
    「そこで館への突入作戦をするつもりなんだが……困った事に、その前に、市民虐殺の命令を受けたバットが拡散しちまいそうでな。エブリバディには拡散したバット自体もどうにかして欲しいんだぜ!」
     ただ幸いにも、彼らは、妨害が入ればそれを先に排除するようにも命令されている。それを利用して被害を食い止めるのが今回の灼滅者の任務だ。

    「エブリバディに助けて貰いたいのは、オレのビューティフォーな髪型とは正反対の、髪型の不自由なサラリーマン二人だぜ! バットは繁華街を襲撃する際、不幸にも路上にいて最初に襲われちまう!」
     すなわち、ここでバット達を取り逃せば、彼らはサラリーマンを襲撃した後は手近な深夜営業の店を襲撃してしまう。ここで全滅させなければ悲劇は防げない。
    「けれども敵の数は十二体! ヴァンパイアが『邪魔者を確実に排除できる数』と考えて送り込んできただけあって、数の暴力が厄介だ、ってとこだな!」
     タトゥーバットの能力は、超音波による擬似呪文詠唱と、体の呪術模様による催眠効果。速やかに数を減らさなければ、特に後者の対処が面倒な事になるだろう。

    「ま、ビューティフォーなオレが頼んでる以上、エブリバディならズバッと解決してくれると思ってるけどな! 虐殺なんて絶対にさせない……そうだろエブリバディ!」


    参加者
    巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)
    椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)
    武野・織姫(桃色織女星・d02912)
    阿剛・桜花(年中無休でブッ飛ばす系お嬢様・d07132)
    鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・d13709)
    三和・悠仁(偽愚・d17133)
    高嶺・円(餃子白狼・d27710)
    安藤・ジェフ(夜なべ発明家・d30263)

    ■リプレイ

    ●巧妙なる誘導
    「ひえぇぇぇっ!?」
    「部長ぅぉぉぉ!?」
     思わずその場にうずくまったサラリーマン二人組。けれども彼らが待てど暮らせど、蝙蝠たちは降りてはこなかった。
     ちら、と恐る恐る空を見上げる。すると小さな光の輪が明滅しつつ、押し寄せる蝙蝠の群れを押し留めている。
    「何ですかねこれ、部長……」
    「さあ……」
     顔を見合わせる二人。けれどもその瞬間に、深夜の繁華街には場違いな少女の声が彼らへと浴びせかけられた。
    「はやく逃げて!」
     切羽詰った武野・織姫(桃色織女星・d02912)の声は、光輪のバリアが長くは保たないだろう事を本来は物語っている。けれども現実離れした光景が、二人に足を動かすという事を忘れさせてるのだった。
    「私たちの後ろから逃げて下さいまし!」
     銃弾の嵐を蝙蝠たちに浴びせかけ、唸るガトリングよりもなお声を張り上げて、阿剛・桜花(年中無休でブッ飛ばす系お嬢様・d07132)が二人へと命じる。ようやく、二人は『逃げる』という行動を思い出し立ち上がる……けれども。
    「遅いですね……」
     安藤・ジェフ(夜なべ発明家・d30263)はくいと眼鏡を持ち上げて、周囲を冷静に見回した。
    「彼らは混乱し、逃げる方向も覚束ない様子。僕の計算によれば、二人が戦場から完全に離脱するまで残り十数秒、といったところですか。僕も結界を張ってはおきましたが、どれだけ時間を稼げるでしょう?」
     それから眼鏡を光らせて、ジェフは片手を静かに上げた。呼応して、鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・d13709)の『ラウンドフォース』が蝙蝠の群れに突っ込んで、彼らを散り散りに攪乱する!
    「鬼さんこちらなのよ。サラリーマンなんて襲ってる暇はあげないのよ」
     機銃とガトリングを乱射する琥珀へと、蝙蝠たちが狙いを変える。流石にこの数は厄介なのよね、とうんざりしつつ、琥珀は上体を機体に近付けるとラウンドフォースを加速した。
     徐々に当初の標的から離れてゆく敵。だが、サラリーマン達の方はといえば、いまだ灼滅者たちの視界内でもたついているばかり。だから椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)は精一杯、冷たい猫撫で声を作って彼らに声をかけた。
    「さあ、おじさま方。そろそろご帰宅のお時間ですよ?」
     満面の笑みに、厳しい皮肉。背中に冷たいものが流れ落ち、サラリーマン達の足取りも加速する。
     遠ざかってゆく背中を見送ると、紗里亜は蝙蝠たちに向き直った。緑の拳法着に八卦刀。拳法使いの魔術師は、次々と襲い来る敵を踊るように捌きつつ、徐々に後退を繰り返してゆく。

     傍目では、蝙蝠たちは灼滅者たちを、一棟の雑居ビルの方へと追い込んでいるように見えた。サラリーマン達を虐殺しようとしたのと全く同じ残虐さをもって、彼らは灼滅者たちを追い詰める。
     だが……実際にはそれは、単に灼滅者たちに誘われているだけに過ぎない。
    「……癪に障るな」
     執拗な彼らの動きを雑居ビルの入口付近から眺めながら、三和・悠仁(偽愚・d17133)は思わず独りごちた。
     欲望のために、無差別虐殺をも厭わぬダークネス。それに対し悠仁は、『正義のため』ではなく『気に食わないから』でしか動けない。けれども根暗なりに、矮小なりに。その薄汚い底意地を見せてやるのがこれから起こる出来事のはずだ。
     一人、また一人と、灼滅者たちは、ぽっかりと暗い穴を覗かせる雑居ビルの中へと飛び込んでゆく。そして蝙蝠たちに確実にその後を追わせるように、大きな雄叫びが夜の町の中に響き渡る!
    「来い……! 俺たちをここで始末できなきゃ、お前たちの主の計画は台無しになるぞ!」
     獣の如く咆哮すると、巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)は悠仁と並ぶように、ビルの階段へと駆け込んでいった。さらに狼の遠吠えが、冬崖に応えるかのように天を突く!
    「餃子白狼……降臨っ! こんなマトモじゃない事は、絶対にここで食い止めてみせる! わたしの魂の中に流れる、宇都宮餃子の力に賭けて!」
     スサノオの力を宿した高嶺・円(餃子白狼・d27710)の両腕が、宇都宮は百目鬼の伝承を纏う!
    「宇都宮ご当地の畏れをとくと見よ!」

    ●飛鼠たちの歌
     蝙蝠たちがいや増しに騒ぐ。百の瞳に見つめられ、ある者は自らの翼の瞳で睨み返し、またある者は金切り声で悲鳴を上げる。
    「うっ……この音はオオカミの耳にはキツいんだよう……」
     思わず耳を塞いでへたり込みそうになった円を、琥珀がラウンドフォースの上まで引っ張り上げた。
    「私たちにはまだやる事があるのよ」
     そして一気に三階にまで駆け上ると、円をそこに下ろしてターンを決める。
    「さてと、ここから先は通行禁止なのよ」
     少し遅れて、織姫が円の隣まで辿り着いた。自分より下にいるのが桜花だけになった事を確認すると、琥珀はラウンドフォースと並んで立つとガトリングガンを構え、自ら人間バリケードとなる。
    「阿剛先輩は?」
     円が訊きつつ階下に目を遣った瞬間、バチバチと雷光がほとばしった!
    「家族のために日夜頑張るサラリーマンさんを襲うなんて言語道断! 私達が相手になりますわ!」
     桜花の声だ。蝙蝠どもは言葉など判らぬだろうが、そんな事などお構いなしに指を突きつけ断罪の言葉を紡ぐ。そして言いたい事を言い切った顔で、彼らを千切っては投げ、千切っては投げ。
     そんな彼女を援護すべく、織姫の『Tachyon † ring』が飛来して守った……サラリーマン達を最初に助けた、あの光輪だ。
    「わたしがみんなを助けるの……だって、仲間のことも守れない人が、繊細なお馬さんを守るなんてできないのです!」
     力強い意志。それを厄介だと判断したか、タトゥーバット達はぎろりと翼の瞳で織姫を見つめる……けれどもそのうちの一体が、瞳を翼ごと切り裂かれて落下した。
     円の仕業だ。既に桜花が存分に痛めつけてあった蝙蝠は、円の竹槍の前に為す術もない。
     けれども敵は、すぐにその穴を埋めるように押し寄せてくる。今度の蝙蝠は、随分と翼の紋様が眩惑的な個体だ。
    「キリがないよう!?」
     円の悲鳴が、階段室にこだました。

    ●挟撃!
     円が悲鳴を上げる、少し前に遡る。
     もしも外から戦場となったビルを見上げる者がいたならば、ビルの非常用侵入口が内側から開かれて、中から四人の人影が飛び出してくるのが見えただろう。
     ずん、と大地を震わせて、最初にアスファルトを捉えたのは冬崖の両足だ。ラグビー部でフォワードを務める大柄な彼のこと、決して小さくはない衝撃があったはずだが、冬崖はあたかも何事もなかったかのように、そのまま戦場へと向けて階段を駆け上がる。持ち上げるだけでも全身の筋肉を痛めつける、悪魔のごとき鎚を軽々と抱え。
     ほとんど直立不動のポーズで、ジェフも地上に降り立った。もちろんそんな姿勢では、着地と同時、足元から頭の天辺まで衝撃が伝わってゆくのだが。
    「ジェフさん、大丈夫ですか?」
     悠仁を箒の後ろに乗せて舞い降りた紗里亜が声をかけた。けれどもジェフは彼女のほうを振り向きもせず返事して、ウイングキャットの『タンゴ』と共に、急ぎ足で冬崖を追ってゆく。
    「問題ありません。痛みは確かにありますが、『バベルの鎖』のお蔭で僕の仕事に支障はありません」
     痩せ我慢である事は間違いなかった。が、同時にその言葉は真実でもある。なら援護は期待していいですね、と微笑むと、紗里亜も箒ごと再度ビル内へ。
    「ハァッ!」
     乗り捨てるように箒から飛び降りるや否や、紗里亜は裂帛の気合いを吐き出すと共に、八卦刀で蝙蝠の一匹を斬りつけた。蝙蝠は慌てて紋様を蠢かせ、受けたばかりの傷を繋ぎ止めようとするものの……その直後。魔術が生んだ雷撃の直撃を受け、そのまま丸焦げにさせられる!
     突然の階下からの急襲に、蝙蝠たちは驚き戸惑っている。その慌てぶりを存分に堪能すると、悠仁はいまだ棘の間にスパークを放つモーニングスターを、片手で弄んでみせた。空気が……その凶悪な見た目の武器に耐え切れずに澱む。

     蝙蝠たちを取り巻く雰囲気の変化は、すぐに階上の四人にも伝わった。
    「もう、遅いですわよ! もう少しで全部倒しちゃうところでしたわ♪」
     桜花が得意げに声を張り上げた。もっとも、それは蝙蝠の一匹を鬼の拳で叩き潰しながらだったとはいえ、随分と大言壮語の部類に入る言葉ではあったが。
     キィキィと騒ぐ蝙蝠たちの集団を間に挟んでもなお、桜花の声は辛うじて階下へと届いていた。だが……この時にそれが意味する事に気が付いていれば、あるいは、結果はもう少し違ったものになっていたのかもしれない。

    ●背負いすぎた責務
     再び前線に開いた穴を、新たな蝙蝠が埋めてゆく。けれども、新たな蝙蝠の超音波が桜花を苛まんとすれど、琥珀の盾はその波動を吸収し、桜花をそれから守り抜く。
    「結構、振動が腕にくるのよね」
     そんな感想を洩らしつつ、琥珀は全身に広がってゆく高周波をオーラの力で掻き消した。
     その後も蝙蝠たちは翼を広げ、呪紋を灼滅者たちに見せつける。今度はラウンドフォースが跳び上がり、紋様から仲間たちの視線を覆うことで彼女らを守り抜く……が。
     紋様を浴びたラウンドフォースのギアが、不自然な音を立て始めた。すぐに織姫がその事に気付き、光輪を飛ばしてギアの異常を直す。
     だが、そのために前方を見た瞬間……呪紋の瞳と、織姫の目が合った。
     途端に目の焦点の合わなくなった織姫に気が付いて、円は織姫の顔を覗き込む。
    「武野さん、大丈夫?」
    「大丈夫です……これくらいはへっちゃらなの!」
     にっこりと笑ってみせる織姫。とはいえメディックの仕事は騎手と同じで、自分が万全であってこそ。だから、すぐに光輪を自分のところへ呼び戻そうと……。
     ……したはずだった、のだが。
     伸ばした指先が、眩惑の影響で僅かにぶれる。受け取るはずだった光輪は……勢いをそのままに、織姫の首筋を撫でるように裂く。
    「あ……」
     自らの責務を果たせなくなる恐怖に泣きそうな織姫。それを、蝙蝠たちが超音波の声で囃し立てる。桜花が慌てて清めの風を吹かせるが……到底、攻撃の手を緩ませた分に勝る効果ではない。
     ならば琥珀が戻るのは? ……さらなる悪手だ。前線に穴を開けるわけにはゆかないし、事実上、時間の浪費にしかならないだろう。
     部隊を分けた弊害が、こんなところで灼滅者たちを蝕んでいた。
     来るべき助けはいまだ階段の下。それよりもずっと織姫に近い場所にいるというのに、円は何一つ彼女にしてやれない。
     無力だった。宇都宮餃子怪人の人造灼滅者の義理の娘でありながら、仲間の危機一つ助けられない。
     キッ、と円は蝙蝠たちを睨みつける。
    「わたしが、宇都宮ご当地人造人狼の誇りを失わないためには、武野さんの分まで頑張るしかない!」
     円の全身から餃子の香のオーラが立ち昇り、周囲に宇都宮餃子型の気弾を形作る。
    「ええ……このお礼、存分にして差し上げますわ。せいぜい後悔なさる事ですわね!」
     桜花の拳に闘気の雷が宿る。押し寄せる敵全てを叩き潰さんと。
     ただならぬ決意。階上から響いてきたその声を聞きつけ、ようやく階下の灼滅者たちは彼女らの切迫した状況に気付くのだった。

    ●救援
    「……僕の予想が正しければ、上の四人はかなり危険な状況にあります」
     けれども、いかなジェフの頭脳といえども、騒がしい蝙蝠たちが階上班との間にひしめき合っていては、具体的に誰がどのようになっているかまでは推測しきれない。
     今はただ、蝙蝠の群れを突破する事を考えるしかない。
    「言われなくても判って……っ!」
     だが、そのためにハンマーを振りかぶった冬崖が、突如、そのハンマーを取り落とした。
    「畜生め……こんな時に!」
     鬼のような形相で、額に脂汗を浮かべて胸を掻き毟る冬崖。まただ……二度の闇堕ちでは飽き足らず、冬崖の中の闇はまたもや彼を苦しめるのか。
     階段の中ほどで棒立ちになった冬崖を格好の餌食と、蝙蝠たちが群がってゆく。だが、それを好機に変えられなければ、灼滅者たちに道はない。
    「動かなければ、灼滅しろと言っているようなものですよ!」
     八卦刀だけでは足りないと、紗里亜は逆の手に槍を持ち突き出している。捻りを加えて繰り出された槍が、冬崖ばかりを気にしていた蝙蝠の胴体を捉え、そのまま地面へと引き摺り降ろす。
     それを……ぐちゃり。劣等感と殺意の綯い交ぜになったオーラを踵に纏わせて、これでもかというほどに踏みにじる悠仁。確かに弱った相手に止めを刺したはずなのだが……それでも、悠仁の心は何故か、晴れない。
    「そういえば、上には鏃さんがいましたか……」
     思わず、口に出してみる。琥珀は同じ部の後輩である。だからどうした、今は関係のない話だ……とは思うのに、心に何か黒いものがわだかまる。
    「早く助けてあげないといけませんよね……おっと」
     冬崖からあぶれて来た蝙蝠を、紗里亜は舞うような身のこなしで避けた。その蝙蝠に、苛立ち紛れに悠仁が雷撃をぶつけると、今度は紗里亜が息の根を止める役割をする。
    「あと少しで、上の様子が見られるでしょう」
     冬崖へと、浄化の光を撃ち続けるジェフ。冬崖も応えて、大柄の体を張り蝙蝠たちの行く手を阻む。たとえ蝙蝠の一部がジェフへと洩れ出したとしても、痛みを堪え、彼もまたジェフと同じ光を彼へと放つ!

     そして四人は……とうとう、最後の踊り場にまで辿り着いた。

    ●紙一重の勝利
     踊り場から見えた三階の様子は、実に惨憺たるものだった。
     織姫は、祈るような格好で壁に背を預けて眠っている。
     桜花は片手に蝙蝠の死骸を握り締めたまま、円は片翼を失った蝙蝠に噛み付いたまま、それぞれ床に臥している。
     誰もが幾らか、蝙蝠たちに肉を食い千切られていた。恐らく最後まで仲間たちを守っていただろう琥珀は……特に酷い。もし、階下の四人まで敗北していたらと思うとぞっとする。
    「もう、これ以上は誰も傷つけさせません!」
     残り僅かまで数を減らしていた蝙蝠の一匹を、紗里亜の刀が切り捨てた。
    「そうだ……俺は弱い。それで満足か? ダークネス」
     顔に飛び掛かってきた別の蝙蝠を、何の前触れも見せずに叩き潰す悠仁。

     しばらくの後、全ての蝙蝠が動きを止めた。数の不利を跳ね返しての勝利……けれど。
    「……計算が甘かったようですね」
     ジェフの表情は光る眼鏡に隠され、誰からも窺い知る事ができない。紗里亜が可能な限りの応急処置を施し、悠仁が淡々と学園へと状況を報告する。
    「くそ……!」
     冬崖が拳を叩きつけた壁が、蜘蛛の巣状にひび割れた。
     戦闘中、あれほど彼を苛み続けた闇は……今はもう、何も語ってはくれない。

    作者:るう 重傷:武野・織姫(桃色織女星・d02912) 阿剛・桜花(年中無休でブッ飛ばす系お嬢様・d07132) 鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・d13709) 高嶺・円(蒼鉛皇の意志継ぐ餃子白狼・d27710) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月6日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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