Trick or Treat?

    作者:四季乃

    ●Accident
     森には魔女が住んでいる。
     その血を厭われ不吉ゆえに世人から無残な仕打ちを浴びた魔女が、深緑の森でひっそりと生きている。何に感化されたのか、小学生の娘は学校から帰るなり真っ青な顔で、そう訴えた。
     曰く、魔女は人間が嫌いだから、ハロウィーンの夜に乗じて復讐にやって来るのだ、と。彼女はそう信じているようだった。どうやら月末に行われる町のハロウィーンパーティーに、本物の魔女が紛れ込むのだと思っているらしい。
     ハロウィーンの予備知識として魔女やそれにまつわる魔女狩りの事も聞かせてしまったのが、不味かっただろうか。魔女の衣装を着ることを、あんなに楽しみにしていたのに。
    「きっと今頃、毒りんごを作っているんだわ」
     可愛らしい発想に苦笑を零しつつ娘を抱き上げ、震えるその背中を優しく撫でてやった。

    ●Caution
    「その森には『魔女の家』をコンセプトにしたカフェがあるのです」
     しかし深い森の奥に位置すること、静かな雰囲気を味わってもらうためにメディアはお断りしていること、そして店主が大の魔術好きと云う事も相まって、子供たちの間では本物の魔女が住んでいると噂されてる。
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)は頬に手を当てると「店主さんはとても美人なのですが、小さな子が来ると魔女になりきってしまう演技派なのです」と小さく苦笑を零して笑った。
     そもそもカフェは子供たちだけで行けるような場所ではない事と、店主の演技も完璧すぎたために、彼女を本物だと思う子は少なからず居る。そういった子たちの囁きと、知らぬ子供たちの現実と物語の混同による恐怖が都市伝説を生んでしまった。
    「みなさんにはその魔女の都市伝説を、灼滅してもらいたいのです」

     その都市伝説は黒いドレスに三角帽子を被った若い女の姿をしているらしい。大きな木の杖を片手に、風や火、氷を操ったりして攻撃を仕掛けてくるようだ。
    「今回は森のカフェーー魔女の家に赴きましょう。皆さんには仮装をしてもらい、お菓子を貰いに来たパーティー参加者を装うのです」
     何も知らない子供たちがやって来たとなれば、魔女は嬉々として現れるだろう。あるいは魔女を怖がったり、挑発的な態度を取って誘き出すのも手だと思われる。
     ただし、カフェには店主の女性が一人、仕込みを行っている筈だ。店と厨房は隣り合って行き来出来るものの別々の建物になっている。少し離れて表からは見えないようになっているものの、被害が及ばないように、くれぐれも注意してほしい。

    「幸いこの都市伝説による被害者はまだ居りません。子供たちが安心してハロウィーンを楽しめるように、どうか皆さん灼滅をお願いします」
     姫子は小さく微笑んだのち、深く頭を下げた。


    参加者
    花籠・チロル(みつばちハニー・d00340)
    九湖・鐘(祈花・d01224)
    望月・心桜(桜舞・d02434)
    草那岐・勇介(舞台風・d02601)
    堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)
    ジグバール・スィーラ(永久に満ちぬ柘榴・d15196)
    莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)
    アルルーナ・テンタクル(小学生七不思議使い・d33299)

    ■リプレイ

    ●ナイトメア
    「魔女なんていない…ダヨね…?」
     濃密な闇夜の海に浮かぶ、チェシェ猫の口のような月を背にしたその建物を前にして、花の妖精さんに変じた花籠・チロル(みつばちハニー・d00340)は、ひらひらなスカートの裾をぎゅうっと握りしめて呟いた。
     前も後ろも分からなくなってしまうほどに、森の奥へ奥へと誘われた少年少女たちを出迎えたのは、妖しく挑発的な表情をしたジャック・オ・ランタンと、土壁に引っ付くヤモリ、そして軒先にぶら下がるコウモリたちだった。
     店先には何故か大きな鉄のポットが腰を据えており、覗き込んでみればランタンの灯りを緑色に照り返す得体のしれないものが煮えたぎっている。
    「魔女とか、超怖いんじゃよ! 人を白鳥に変えちゃったりするんじゃよー、嫌じゃー!」
     時計兎の仮装をしたナノナノのここあを抱きしめ、アリス服に身を包む望月・心桜(桜舞・d02434)は、春を思わせるピンク色の髪を振り乱し、扉から離れようと後ずさる。
    「日本のおばけは怖いからやだ」
     それに倣うかのように、そっと建物から距離を取ったのは、ツギハギだらけのメイクに牧師姿をしたジグバール・スィーラ(永久に満ちぬ柘榴・d15196)だった。心桜が怖がるたびに揺れるカボチャのランタンの灯りを浴びて、伏しがちの睫毛が落とす影に一層の陰りが増している。傍らにはビハインドのルイードが居て、頭にネジが貫通しているゾンビの姿に変じていた。
    「大丈夫。魔女なんて仮装に決まってる、から」
     怖がる子たちに優しげな笑顔を浮かべ、皆を励ます黒いドレス姿の九湖・鐘(祈花・d01224)は、頭に被った魔女帽子の鍔を少し持ち上げて、「魔法だって使えないに決まってるわ」と安心させるように、けれど内心ドキドキしている風に胸に手を当てた。
    「えー……今時魔女とか古いですにゃん。そんなのいるわけないですにゃん」
     猫耳をちょこんと揺らし、ミニスカ状にアレンジが施されたしっぽ付きの着物を召したアルルーナ・テンタクル(小学生七不思議使い・d33299)が、肩を竦めてみせる。
    「魔女とかお店の宣伝だろ? あんなの信じてるなんてさ」
    「そうやって怖がってる人の所へ出てくるのかもね~?」
     すると、ちょっと生意気な言葉に、からかいの言を重ねられた。
     その方を振り返ると、ピーターパンの仮装をした草那岐・勇介(舞台風・d02601)と、お化けカボチャの被り物をした堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)が居て、勇介はスイッと視線を建物へと向けると、「お店なんだから、宣伝に良いお菓子くれるよな、きっと!」と、どこか嬉しげな色を滲ませて唇の端を持ち上げた。
     紫のマントにカボチャ風のショートパンツを身に着けている朱那は、一歩前へと踏み出し、魔女の家――カフェの扉の前に立つと、
    「もし出たってヘーキ、あたしが追い返しちゃうから!」
     と、胸を張った。
     ――ギィィィ……。
     その時、だった。

    ●フィアー
     全身の骨を軋ませるような鈍くて重い音に、はたと誰もが口を閉ざす。室内から漏れる明かりが、じわじわと彼女たちの足元を、身体を、顔を照らし、辺りに束の間の眩さが立ち込めた。
     背中に感じる人の気配に気付き、朱那が恐る恐る背後を振り返った、その瞬間。
    「いらっしゃい」
     白粉を塗っているのかと見紛うような血の気のない白い肌。とりわけ目を引くワインレッドの紅が引かれた唇が、にぃ、と三日月を描いていく。
     漆黒のドレスに大きな鍔の三角帽子を被ったその女性は、酷く艶っぽく、微笑んだ。
    「でたあああああ!」
     魔女の姿を見とめて、その場から弾かれるように逃げ出した心桜の叫び声に反応し、顔を真っ青にした勇介もあとに続く。
    「あ、待って…!」
     鐘がそのあとを追いかけていく姿を見やり、それまで怖がっていない人たちの背に隠れていた莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)は、逃げるタイミングを完全に失ってしまった、と眉を下げた。
    「えと、お菓子を貰いに来ましたって、ひっ」
     何とか怖い思いを打ち消そうとして、お菓子をねだろうとしたものの、薄氷のような冷たい双眸が己に落とされ、そのあまりの無感情さに肩を震わせる。
    「お菓子はやっぱり要らんから、ち、近付かないで」
     アルルーナの背に隠れるようにして逃げると、チェーンが揺れるドクロとハートのイヤリングが、きらりとランタンの灯りを跳ね返す。
     彼女を庇うように一歩前へと出たアルルーナは、丸めた右手で頬を擦るような仕草をしてみせると、己よりうんと背の高い魔女に向かって、にやりと挑発的な笑みを浮かべてやる。
    「魔女ならこっちで魔法見せてくださいにゃん、できへんやろけどにゃん!」
     途端。
    「小さなお化けさんたちは、合言葉を知らないのかしら?」
     風も吹いていないのに、銀色に煌めく腰まで伸びた髪が、ぶわりと広がり、アカシアの木で作られた古びた杖を握りしめる。その真っ黒に塗りつぶされた長い爪を見、赤い舌が覗く笑みを浮かべた唇を見、
    「こ、こんなの何かのトリックだよ! あたしは怖くないんだから!」
     じりじりと後ずさっていた朱那が駆け出したのを合図に、その場に居た者たちは建物から離れるように森へと逃げ込んだ。

    ●ナイトメア
     肌が粟立つような吐息をうなじに感じた。
     ゾッとするほど至近に居るのではないかと思うほどの気配に、朱那は青い瞳を僅かに細くする。
     仲間たちに前を走らせ、並走していたアルルーナと目配せをした彼女は、背にしたマントを勿体ぶるようにバサリと翻し、その場で反転。
    「Trick than Treat! 遠慮せずドーゾ!」
     地を蹴ると、瞬時に出現させたバベルブレイカーをギリリと握りしめ、その巨大杭打ち機に目を見開いている黒い魔女の胴体へと、ドリルの如く高速回転させた杭を打ち込んでやった。
    「ギャッ!」
     腹部を貫く、容赦のない一撃に、魔女の口から首を絞められた獣のような呻き声が飛び出した。
     咄嗟にその場で後方へと飛び退いた魔女――都市伝説は、唇を噛み締めると、トン、と地面にバベルブレイカーを突いた朱那を睨め付ける。
     しかし。
    「トリック・オア・トリートじゃ!」
     真っ先に逃げたはずの心桜が姿を現し、彼女から放たれた縛霊撃が魔女の横っ面を殴りつけると同時に、背面に妖冷弾のつららが突き刺さる。ぐ、と込み上げるものをこらえ、魔女が振り返ると、月光を透かして神秘的な光を散りばめる羽を背負ったチロルが居て、視線が重なり合うと、
    「ハロウィン、は邪魔させない、ダヨ!」
     と、宣言されるものだから、たまらず魔女の喉が鳴る。
     あらかじめ心桜のサウンドシャッターで、これらの音は遮断されている。魔女と対峙したからには、全力で灼滅あるのみだ。
     よろけながらも、まだたっぷりと余力の感じられる魔女は、乱れた前髪の隙間から覗く双眸をしならせて笑うと、ガツン、と突き立てた杖の底で大地を抉るような仕草をしてみせた。すると、肌が焦げるような熱が一気に充満。瞬く間に辺りには、全長二メートルはありそうな炎の壁が立ち上った。
    「う、わっ」
     目の前に広がる炎の海から逃れた勇介は、敵の視線が前衛たちに向いている事に気が付き、その隙を逃すまいと妖冷弾を撃ち出せば、長いしっぽをくるりとしならせ、両手で交通標識を握りしめたアルルーナと鐘が、魔女を左右から挟み込むように思い切りフルスイング。
    「最近の魔女は蹴って殴って交通標識も武器にするの」
     ゴッ、と鈍い音を立てて二つの攻撃が決まると、天を仰ぐような形で固まった魔女が視線を巡らせ、その瞳に『いじわる禁止』の赤色標識を振りかぶった鐘を映し、それから不適な笑みを浮かべるアルルーナを映すと、ギロリと鋭い眼光を光らせた。
    「痛いですやろ、にゃん?」
     にぃ、と笑ってやれば、魔女はカッと目を見開き、アカシアの杖を振りかぶる。
     だがそこへ、闇夜を切り裂くような煌めきを帯びたスターゲイザーが命中。繰り出したジグバールが華麗に着地を決めると、息つく暇すら与えぬとばかりにルイードが霊撃を撃ちこみ、敵が膝を突いた瞬間、想々が殲術執刀法にて、胸部へ斬撃を叩きこむ。
     暗い青を基調としたミニスカワンピと黒のエプロンを重ね、膝丈靴下と揃いの大きなリボンカチューシャを付けた、ダークなアリス服をひらりと靡かせ、血の赤へと変色させた瞳に魔女を映して想々は唇を結ぶ。
     視界の端では、ここあがふわふわハートで朱那を癒しており、魔女もそれに気が付いたらしく、細い手が杖を振り上げるとそれまで柔らかだった夜風が突如暴風のようにうねりを上げた。
    「まだこれからよ」
     血塗れた唇をぺろりと舐めあげ、魔女が杖を振り下ろすと、目を開けていられない暴風が巻き起こる。
     咄嗟に腕を持ち上げ、目を眇める灼滅者たちであったが、その攻撃の矛先がペトロカースを放った鐘へ向かっている事を察知すると、そこへ割り込むように勇介がスターゲイザーを繰り出し、続いたチロルがディーヴァズメロディの歌声で敵を翻弄する。
     しかし。
    「じゃあこれはどうかしらね」
     今度は杖を逆手に持って突き出すと、その切っ先から鋭さを伴うクリスタルのような輝きと美しさを閉じ込めたつららが飛び出した。襲いかかる巨大なそれに、ギョッとして飛び退いた心桜だったが、その攻撃が朱那に向かっていることに気が付くと、咄嗟に前へ出て庇い、受け止めた。
    「悪戯魔女さんはちゃんと退治しちゃうのじゃよ」
     夜の森を抱きしめる暗闇の中でもはっきりと分かる心桜の強い眼差しに、魔女は憎々しげに眉間に深い皺を刻み込んだ。
     トッ、と双方が距離を取り、清めの風を放って己を含む前衛たちの回復を計る心桜の邪魔をさせはしまいと、ここあがしゃぼん玉を放つ。その傍らを追い越して行った朱那が、次の攻撃態勢に入りきれていない魔女へと殺人注射器を真正面から突き刺すと、ついでにエネルギーも奪い取ってしまう。
    「折角の楽しいお祭りが、怖い思い出にならないようにしなくちゃネ!」
     苛立ちの舌打ちを零した魔女であったが、しかし杖で大地を突こうと五指に力がこもる。どうやらあの炎の壁を再び作り出すようだ。
    「楽しい事を奪うのはいけないな」
     ハロウィンは一年に一度しかないんだ、と穏やかな口調でそう囁いたジグバールの言葉を理解するより早く、身を叩きつける霊障波の一撃。ぐるりと視線を巡らせ、己に向かって攻撃を放ったらしいルイードを見つけて、邪魔をされた事にギリと唇を噛んだ魔女が、そちらへ再度攻撃を仕掛けようとした、そこへ。
     クロスグレイブを構えたジグバールの黙示録砲が命中。聖歌と共に解き放たれた光の砲弾に目が眩み、その勢いに吹き飛ばされた躯体へ、今度はアルルーナのレイザースラストが脇腹を貫いた。
     噴き出す真っ赤な血が、木々からはらりと落ち行く木の葉を濡らし、不気味な跡を残す。
    「く、ぅぅ…」
     苦しげに咳を零す魔女へと一歩近付き、
    「それじゃあ、貴女の怖いものは?」
     己の足元に落ちる影を蠢かし、その身を丸飲みにしてやった想々は、そんな風に問うたが、魔女からの返事はない。どうも本人は、もうそれどころではないようであった。
     キョロキョロと灼滅者達を見渡すのは、どこかに抜け道がないだろうかと探る視線だろう。小刻みに震える唇は、紅が落ちて白く戦慄いている。
    「万節祭の精霊は斯く語る! 今が目覚めの時と!」
     今しかない、と勇介が南瓜お化け、魔女、白い浮遊霊、三体で一つの七不思議――悪戯っ子たちの怪談を口にすると、腰が抜けている魔女の双眸が大きく見開かれた。
    「約束は果たすよ、暴れておいで!」
     彼の口から語られる七不思議奇譚のそれは、既に立つことすらままならぬ魔女の耳朶から滑り込むと、その身を大きく震わせる。
    「ふふ、悪戯っ子さんたち楽しそう」
     その様子に、満面の笑みを浮かべた鐘は、黒のドレスからちらりと足を覗かせると、その場から軽やかに駆け出した。
    「ハロウィーン、私も大好き。沢山の可愛いお菓子と飾りで溢れて、みんなが色々な仮装をして、本当にお化けの町になったみたいなの」
     だから。
     目の端をちらつく、眩い光の粒。夜空を駆け抜ける星たちのようにきらきらとした瞬きを引きつれた鐘の片足が繰り出すそのスターゲイザーは、魔女の胸部へ狙いを定めると、一気に飛び上がり――。
    「ッッ!」
     声にならぬ声が、天を突く。
     胸部を真っ直ぐに蹴り抜かれた魔女は、遂に五指を広げると杖を取りこぼし、その場に崩れ落ちた。ゲホゲホと、苦しげな咳を血と共に吐き出し、ゆるやかな動きで倒れ込むと、重たい瞼の隙間から灼滅者達を見据えて、諦めの吐息を漏らした。
     その姿を見たアルルーナは、タタタッと傍へ駆け寄るとその場にしゃがみこみ、黒いカラスの影となって消えてゆく魔女に向かって手を伸ばす。するとそのカラスの影たちは、くるりと方向を転換し、彼女に向かってするすると溶け入るようににして、消えていった。どうやら吸収に成功したようだ。
    「どうぞ、良い二度目の生を。魔女さん」
     その様子を見守っていた勇介は、右手を横に、帽子を持つ左手を胸に当てて一礼をした。

    ●アフター?
    「甘いものくれる魔女さんじゃったらよかったのにのう」
     カフェから漏れる賑やかな明かりを盗み見て、ここあを抱き締めていた心桜は唇を尖らせた。
    「今度はちゃんとカフェに遊びに来たい、わ。店主さんの完璧な魔女演技、見てみたい…♪」
    「折角の良い雰囲気のカフェ。ちゃんとお客として魔女な店主さんに会ってみたいな」
     後片付けを終えて一息ついたのか、にこりと微笑んだ鐘と朱那が口にすると、勇介もうんうんと頷き、「内装も素敵だったし、営業時間にまた来たいな」とレースカーテンからちらりと覗く、あたたかそうな木のぬくもりに包まれるカフェを見つめて呟いた。
     その様子を見ていたチロルとジグバールは、ちらりと目配せをしあうと、優しげに微笑み、
    「実はこっそりお菓子持ってきた、ダヨー」
    「よいハロウィンを。みんなも、な。」
     ジグバールは用意したカボチャ顔のクッキーを持ち上げ、紳士の振る舞いを見せつつもどこか熱を出したように子供たちにお菓子を配ってゆく。わいわいと楽しげな笑い声が満ちる中、ただ一人。
    「あかん、今更恥ずかしくなってきた……もうしばらくにゃんにゃん言わへん……」
     先ほどまでの自分を振り返り、顔を真っ赤にして悶えるアルルーナが居て、そんな彼女の小さな背中にくすりと笑みをこぼした想々は、つと虚空を振り仰ぐと、子供達にとって楽しい日になるのを願って、そっと瞼を閉じた。

    作者:四季乃 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 0
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