魔人生徒会~フォーチュン・ウエディングベル

    作者:志稲愛海

    ●魔人生徒会主催・予行結婚式
     武蔵坂学園に存在するという、謎の『魔人生徒会』。
     その生徒会で、ある企画がまたひとつ、持ち上がる。
     それは――。
    「前に予行結婚式、ってあったじゃないですか?」
     そう口を開いたのは、武蔵坂学園の女子制服を纏った、素肌に包帯を巻いた人物。
     おそらく、誰も正体を知らない、魔人生徒会の一員であると思われる。
     そして前回行なわれた模擬結婚式の資料片手に。こう、続けられたのだった。
    「予行結婚式、あれ、もう一回やってみません?」
     そんな提案にあがるのは、沢山の賛成の声。
    「あれからカップルも増えたでしょうし、せっかくハロウィンも近いですから。結婚式の仮装、ってのもええと思うんですよ、私」
     仮装してイチャイチャするもよし、と。包帯から覗く瞳がそう再び皆を見回して。
     それに再び大きく頷く、魔人生徒会の面々。
     というわけで早速、魔人生徒会による、新しい企画が進められる。
     十人十色、千差万別。参加者それぞれが作り上げる――合同予行結婚式の開催に向けて。

    ●予行結婚式開催のお知らせ!
    「あ、ねぇねぇ、これ見て見てー! 魔人生徒会のからの新しいイベント!」
     そんな飛鳥井・遥河(高校生エクスブレイン・dn0040)の声に、綺月・紗矢(中学生シャドウハンター・dn0017)と伊勢谷・カイザ(紫紺のあんちゃん・dn0189)もふと、魔人生徒会からのお知らせが張られた掲示板に目を向ける。
    「なになに、『フォーチュン・ウエディングベル』開催のお知らせ……予行結婚式が、また開催されるんだな」
    「予行結婚式か。ラブラブなカップルは勿論だけど、参列者として参加してもいいし、グループで参加してもいいし、仮装感覚で楽しむ感じでいいのか。サーヴァント相手でも可能なんだな」
     今回、魔人生徒会が企画したのは――そう、予行結婚式。
     恋人同士で、憧れのチャペルウェディングを体験してみるのは勿論。
     参列者として式に参加するも良し。相棒のサーヴァントと参加するのも良し。グループでドタバタ結婚式劇を展開するのも、また良し!? 
     ハロウィンも近いし、仮装感覚で参加できる結婚式イベントだという。
    「わたしは相手はまだいないけど、綺麗なウエディングドレスを着て結婚式をする体験とか……その、やはり女子としては、憧れるな」
     ちょっぴり照れながらも、そう呟いた紗矢に。
    「いーんじゃない? オレとかカイザとかでよければさ、相手がいないけど結婚式を体験してみたいっていう女の子のお手伝い、喜んでするし! ねっ」
    「えっ、俺も?」
     へらりと笑う遥河に巻き込まれて一瞬慌てるも。まぁ構わないけどな、と満更でもなさそうに呟くカイザ。
     そんなカイザに笑んだ後、遥河は続ける。
    「カップルでイチャイチャ予行結婚式を挙げるのは勿論だけど。余興で盛り上げたりとか、参列者として参加したりとか、あとは、音楽を演奏したり歌を歌う奏者とかで参加もできるみたいだね! グループでドタバタ結婚式劇をやるのも楽しそうかもっ。せっかく魔人生徒会が企画してくれたんだからさー、リア充でも非リア充でも、みんなで予行結婚式を盛り上げて、楽しく作りあげられたら、きっと幸せだよね!」
     大切な人と一緒に、自分たちだけの憧れの結婚式を体験してみるのも良し。サーヴァントと参加するもまた良し。
     参列者や音楽奏者、その他式を盛り上げる役割で参加するも良いし。
     不特定多数のカップルの邪魔をするような野暮な行為は、魔人生徒会から即退場させられるが。グループで賑やかな式を楽しんでも良し。
     折角の機会、西洋風のチャペルで、それぞれが思い描く結婚式を体験してみて欲しい。

     ロマンティックなウエディングベルが響く中。
     貴方も、そんな幸福のひとときを、過ごしてみませんか。


    ■リプレイ


    「結婚式しよう?」
     勇人を卒倒させかけたのは、さやかの直球のお誘い。
     まだ中学生なのに結婚式!? 大丈夫、予行ですから!
    「えへへ、似合うかな」
    「うん、とっても、似合ってると思うよ」
     互いの晴れ姿を瞳に焼付け、祭壇へと一緒に歩みを進めて。
     誓いの言葉を交わせば……予行も終わり?
     いいえ、式の仕上げは――花婿を卒倒させた、花嫁からの不意打ちのキス。
     磨き上げたメイク技術をいざ駆使!
     ミカを金髪美女女神な花嫁に仕立てる利戈。
     そして、結婚しよう! と。婚約しているけど、興奮度マックス!
     ミカは少し背徳感や恥ずかしさを感じつつ、タキシード姿の利戈を見て。
    「ふふ、似合ってるよ。狩家さんのウエディングドレス姿も見たかったけど」
    「それはほら、あれだ。後のお楽しみという事で……」
     男装似合う格好良い女子が――途端に、乙女に。
     今回は素直に、白のタキシード纏う夏樹とドレス姿のリコ。
     純白のマレットドレスからはレースの薔薇咲く太腿がチラッ。そして耳元には赤い薔薇。
     リコはくるっと、晴れ姿を見せびらかした後。
     『貴方は私のもの』――飛び込んだ彼の胸に、黒薔薇を。
     そんな想いに笑顔を宿した夏樹も。
     今度は男らしく堂々と、花嫁の唇に誓いを――夫婦で交わすような、深いキスを。
     ウエディングドレスを着て、隣には白のタキシードのタージ。少し照れるくるみだけど。
     指輪交換の後、記念撮影……しようとした、瞬間。
    「はいチーズ……きゃっ!」
    「いつも可愛いけど、今日は格段に綺麗だよ。初めて出会った時に、ふたりでここまで来るとは思いもしなかったよ」
     彼の囁きが、恥ずかしいけれど嬉しくて。
     大好きですよ♪ ――ふわり、お姫様だっこされたまま、彼に想いを。
     白のタキシードがビシッとキマった戒士は、桃子自慢の彼氏で。
    「……すっごく綺麗だ。天使みたい」
     そう言ってしまうほど綺麗な、大きな胸もぴったりの純白プリンセスドレス姿の桃子。
     バクバク鳴る心臓を落ち着かせ……られないから、このまま結婚していい気持ちだけど。
     やっぱり、本番までお預け。でも――これくらいはいいはず。
    「……桃子。愛してる」
     誓いの言葉とキスの、フライングくらいは。
     本番は父の手を離れこの道を歩むのだろうかと。
     緊張しつつ思う言葉を待つのは、動きが少し固い純白タキシードの久遠。
     着慣れぬ正装も特別だからこそ。そして、とても綺麗だと、伝えた後。 
    「愛しているぞ、言葉」
     この誓いをいずれきちんと形にと……久遠が贈るのは、証の指輪。
    「私も、久遠を愛してる。……共に歩んで、添い遂げさせてね」
     そして言葉も彼へ証を――その時を待ってるね、と。
    「どれがいいかしら……ね、翼はどれが好き?」
     迷うディアナに、翼が選んだドレスの色は……自分の黒スーツに合った白。
     色々意識しドキドキするディアナと、勝手が違う正装に少々調子が狂う翼だけど。
     ドレスの感想ではない――式の前に言う、『大切な言葉』。
     翼は5分程考えて。そして、彼女へと告げる。
    「ディアナ、お前を絶対幸せにして見せるからな」

     ぼんやり眺める天からふと、扉へと遊が視線を向ければ。
     天国の父に見守られる様に月明かり降る、純白の愛おしい花が。
     恋すら知らなかった少女が知ったのは、好きな人と一緒になれる嬉しさ。そして一歩ずつ大人に近づく様に、桃香は遊の元へ歩んで。
     煩いほど鳴る心臓音、少し震える緊張……花嫁がそっと、瞳を閉じれば。
    「あー、コホン……愛してる」
     末永く、共に歩む未来に――誓いのキスを。
     予行したいと強制連行されたサーシャは、胸元大胆なドレスの悠花に見惚れるも……自分は七五三みたい?
     そして並んで、誓いの儀式を。
    「サーシャ君、まだちょっと背が小さい?」
     そう頬へされたキスに赤面しながら、早く大きくなりたいと思いつつ。
     にこっとさり気なく、サーシャは悠花に告げる。
    「次は、お姉ちゃんと本番の式をしてみたいな」
    「ふぇっ!?」
     その時の誓いは……やっぱり、唇に?
     マーメイドラインのドレスに、髪に咲く花のラリエット。
     そんな朱梨に見惚れ、ハッとするも。
     ガチガチだけど気を落ち着かせ、花嫁の手を引いてエスコートする椿は。
     すっごくすっごくかっこいいよー! と、きらきら自分を見上げる朱梨へと、返す。
    「良く似合ってるよ、惚れ直しちゃったよ」
     そして記念撮影しつつ、改めてドレスを見下ろした朱梨の頬が再び染まる。
     照れくさいけれど……とっても幸せな色に。
     どんな時も共に歩み、何処までも永久に添い歩く――そう誓い合い、細波揺れる清姫纏った花嫁のヴェールを上げた御理は。
     エリスへと、告げる。
    「これは練習。じゃなくて本番で、いいですよね」
     そして妻となる彼女の、真っ直ぐな視線と微笑みを受けて。
    「ずっとずっと、愛してます。エリス」
    「私も、愛してます、御理……♪」
     皆が祝福する中――予行ではない、愛を込めた誓いの口付けを。
     すぐ傍にいるのは、リボンや花に囲まれた綺麗な花嫁。
    「まるで……御伽噺のお姫様の様です……」
     その大切な大切な宝物を、ぎゅっと抱き締める正流。
     髪をアップにした彼女の姿が……嬉しくて、愛しくて。
     そして律希が生涯唯一の愛を捧げる花婿は、勇ましくてちょっぴり不器用な騎士様。
     そんな相棒へと律希は紡ぐ――最後まで傍にいてください、と。
     すっかりこの心を、攫っていったのだから。
     見慣れぬ心桜のドレス姿に目を泳がせ、緊張気味な明莉だけど。
     ウエディングドレスを着たら婚期が遅れる!? ――いいえ、心配無用。
    「……いや、ま、俺が貰うんだけど」
     むしろ、にししと笑みを取り戻した明莉に。
    「わらわ、明莉先輩を永遠にいただくことを誓います!」
     心桜が宣誓!?
     そして、いつまでも一緒にと――重なる、誓いの唇。
     そんな二人の愛の証人は。
    「なの!」
     そう、ここあ神父さん!
     花嫁を染める彩は、大好きな花婿の瞳の色。
    「俺だけの、月色の花束ノようだな」
     お手をどうぞお姫様、そうシェリーは七狼にエスコートされながら。
     胸元に咲く青薔薇に、同じこと考えて居て嬉しい……と。
     そして祭壇で、優しくベールが上がれば、可愛い顔が。
    「いや……綺麗だよシェリー」
     指に光る環を愛し気に、誓い合い……そして二人は重ね合う。
     愛を込めた、甘く優しい誓いのキスを。
     すごく、綺麗だ――目の前の花嫁にそう、思わず息を飲む篠介。
     その傍に駆けたいのを堪えつつ。ドレス姿の依子は、緊張気味な彼の元へ。
     誘ってくれた事が嬉しくて、隣に並べる幸せ。
     緊張するのう、と笑う彼に、少し震える手を見せ依子も笑って。
     終わった参列席で、感謝と共に、彼女の手を握る篠介。
     そして、何時か幸せを本当に出来るようにと……喉まで出掛かった言葉は、もう少し先の未来の為に。


     ドキドキする予行結婚式。
     その気持ちに拍車をかけるのは……着慣れぬ上質なスーツと、現われた花嫁。
     純白のドレスを纏い、アップの髪にマリアヴェールが大人っぽくて。
    「すごく、綺麗だよ……」
     思わずそう零すジン。
     そして祝福の音楽と厳かな雰囲気の中、見つめ合い、自然と近づく距離。
     でも……唇が重なる寸前。我に返った二人は思わず俯く。
     お互い、真っ赤に染まった顔で。
    「……巧、さあエスコートを」
     純白のドレス纏うライラに見惚れながら、まいりましょうか、と。
     微笑みと共に、花嫁へ手を差し出す巧。
     そして祭壇でヴェールを上げて……。
    「い、いや、さ、さすがに、そ、それは、ま、まだ」
     誓いのキスを待つライラを前に、ヘタレる巧。
     そして本番までお預け、と。おでこに口付けを。
     そんな彼に、ライラは微笑みを返す――相変わらずだけど、それもいい、と。
     うん、綺麗だ、と。ファルケは、お気に入りのドレスを着た柚澄と行進した後。
     交換するのは、夜店で買ったガラス玉の指輪――本番までの、約束の証。
     そして今日は「さん」付けで呼ぶ彼女への、誓いのキスは。
    「ファルケさん……その、ボク、初めてなので、えっと……」
    「大事なものは本番に……な」
     そっと、真っ赤な頬に。
     大好きですと告げる柚澄をお姫様抱っこして――堂々と未来へ。
     胸元が少し大胆だけど、王道な純白のドレス。
    「どう……かな、似合ってる?」
     そんな千尋の姿に、ゲイルは我慢できなくて――不意に抱き寄せ、唇を重ねて。
     ふわり、花嫁を抱き上げ、ギュッと密着する彼女とチャペルへ。
    「あはは、高ーい!本当にお姫様みたいだ♪」
    「慣れないでしょうからこのまま行きましょう、転ばれても困りますからね」
     ほら、何か理由をつけないと……気恥ずかしいから。
     赤のガンマンスタイルと黒基調の礼装を兼ねた戦闘服。
     武流とメイニーヒルトは、対になる仮装で予行結婚式を。
     俺の命と俺に与えられた時間を捧げたい――武流が宣言するのは、誓いを交わした一昨年の学園祭の時と、変わらぬ想い。
     そしてメイニーヒルトも、彼と己自身に願う。生涯を、生命を彼の為に捧げ、未来を共に歩み……永遠に、伴にある事を。
     証を込めて優しく与えられた――キスに誓って。
     まるで、時が止まったかの様に。
     流の目を一瞬で奪ったのは、ブルースターで飾られた花嫁。
     そして差し出された彼の手は、少し震えているけれど。
    「……ニーナ、何を懸けても絶対に幸せにしてみせる」
     祭壇の前で必死に搾り出された、愛の宣言。
    「こら。一緒に、しあわせになるのだろう?」
     ……でも。そういうところも、すき、と。
     溢れる愛しさいっぱいのスヴェンニーナも、永久の誓いを。
     純白のドレス纏う実に、ステキだぜっ♪ と笑んでから。
     祭壇の手前で、ふとタキシード姿のアルレットは訊ねる。
    「これでよかったの?」
     でもすぐに、不安がときめきに変わるほど。
    「本番の結婚式は、本来の性別でいきましょうね」
     そんな言葉と笑顔が嬉しくて。
     実のヴェールをあげて――濃厚な、誓いキスを。
     そして。
    「ん……♪ きゃっ」
     今日だけ『花婿』のアルレットが、実をお姫様抱っこ!
     純白のドレスに、髪を飾る青い薔薇。
     そんな花嫁の由乃を祭壇へエスコートし、誓うジョシュア。
    「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、お前を愛し、お前を敬い、お前を慰め、お前を助け、この命ある限り、真心を尽くすことを誓おう」
     由乃も……長くて覚えられないけど。まるっと引っ括めて、誓います!
     ――ずっと一緒にいよーね? と。
     智百合が今纏うのは、憧れの混じり気ない白のドレス。
     璃々華は智百合を祭壇へとエスコートして。
    「生涯変わらず愛し続ける事を誓います」
     嘘偽りない、誓いを。
     それを肯定した刹那……智百合の瞳から涙が溢れて。
    「リリカ……大好き、っ……!」
    「僕もちゆりの事が好きだよ」
     ヴェールをあげ、涙を拭って――誓いのキスを。
     模擬でも本番でも変わらない。桜花姉さんが見守る前で、永遠の誓いを。
     人前はお互い慣れてるはずだけど。緊張しつつも、ひかりをリードする杏子。
     そして誓いの言葉を紡いだ後。誓いのキス……をするには、キツい身長差!?
     でも膝をつけば、合わせた黄色の特注ドレスがだめになりそうだから。
    「あんこちゃん……っ……!」
    「ふぁ!? ん、むぅううっ……♪」
     ひかりは、がばっと杏子を抱き上げて――大胆で濃厚な、誓いのキスを。
     そして最後の退場も、お姫様抱っこで。

     お互い纏う色は、紅花希望の白。
    「来たか」
     えへへと満面の笑顔宿す彼女を、普段通り首の動きで促しつつ。
     以心伝心……レオンは、紅花を肩に乗せて祭壇へ。
     そして向き合い、誓いの言葉を交わした後も、仏頂面は変わらないけれど。
    「レオンさん大好きっ」
     ぎゅっと、届いた首筋に抱きつく紅花が嬉し気だから……きっと正しい判断だと。
     レオンはひょいっと無自覚なお姫様抱っこをして、退場を。

     ずっと一緒にいたいから、強い男になると。
     そして、いつまでも彼の隣を歩きたいから。
    「愛するリュカと幸福を分かち合いながら、二人で共に生きていくことを誓います」
    「幸せな時も、困難な時も、真人を愛し、ずっと傍にいることを誓います」
     誓いと指輪を交換し、純白のベールを上げて。
     人前で照れるけれど……いつか本当の結婚式が挙げられたらと。
     真人はリュカへと――愛を誓う、優しいキスを。
     アルヴァンに誘われた今日のデートは……結婚式!?
     用意周到な彼にドレスを着せられ、祭壇へとリードされたもいかだが。
    「しょうがないわね……。今回だけだから……!?」
    「お姫様、少しだけお静かに」
     ふいに唇を塞いだのは――アルヴァンの、誓いのキス。
     そんな突然のファーストキスに、もいかは表情を二転三転させて。
    「って、ぐはぁっ!?」
     真っ赤な顔で返したのはやはり、ぐーぱんです!
     大胆なピンクのウエディングドレスを纏って。
    「愛浩く~ん、覚悟決めてねぇ? 恥ずかしがっちゃだめよぅ?」
     愛浩の腕を、ぎゅっと胸に押し付けるみかん。
     その感触に上ずった声で返事をした後、愛浩は祭壇で誓いの言葉を。
     そして。
    「?!?!」
     みかんの――サプライズな、キスが。
     そんな初めてのキスに硬直する愛浩だけど。
     でも彼女から与えられた愛も、彼女へのこの想いも……本物だから。
     真剣に選んだAラインのドレスを着るのは、キャロルの方。
     そんなお姫様に手を差し出す王子様は、白のタキシード姿の狛。
     プロポーズした告白の時を思い出しつつも、フィアンセにエスコートされるキャロル。
     そしてふと、狛がほくそ笑んだ……瞬間。
    「ヨイショッ! ……と。こうすればもっと絵になりますよね」
    「わぁい♪」
     満面の笑顔を宿すお姫様を、文字通り――ふわり、お姫様だっこ。
     誓いの儀式で交わされるのは、永遠の愛。
     ずっとずっと愛しているよ――そう紡がれた誉の言葉に、シュガーも宣言を。
    「……ふふ、僕もずっと、とっても愛しています」
     互いの指に嵌められる、誓いの円環。
     そして。
    「……綺麗だよ、シュガー」
     このまま浚ってしまいたいほどに――綺麗で愛しい人と交わし合う、誓いのキス。
     本物の結婚式を挙げるいつかの未来を、共に描きながら。

     まだ学生だし、これは予行だけど――いつかは、だから。
    「どう、かな……似合ってるかな?」
    「……あ、うん! 綺麗だな……って」
     好きになったあの時と同じ様に、綺麗だと、そう思いながらも。
     花嫁の手を取って赤絨毯を進んで。
     錬は少し照れつつも、陽菜の額へと、誓いのキスを。
     そんなところも――大好きだけど。
     一歩踏み出し手を伸ばして。背伸びした陽菜の、お返しの誓いは……彼の唇に。
    「舞、綺麗だよ」
     聖書の朗読が耳に入らないのは、緊張と……隣の花嫁が、何度見ても可愛い所為。
     青羽だけでなく、舞も緊張と幸福感でいっぱいで。
     頬を染め、誓いの言葉を述べた後。指輪を交換して――心臓がバクバク鳴る中、誓いの口づけを。
     そして幸せそうに頬を緩めた青羽は、舞をお姫様抱っこして。
    「本番までに、その、頑張らないとね」
     ふと気付いた顔の近さに、お互い再び、顔を真っ赤に。
     顔が熱いのは着慣れぬ正装のせいか、可愛らしい花嫁のせいか。
     いつも余裕なアンリのそんな赤い顔に、沙耶々も嬉しくなって。
     祭壇で交わす誓いの口づけと温もりは――特別。
     そしてもっと熱い誓い交わす未来を心に描きながら。
    「ほら、左脚を出して」
     少し恥ずかしいけれど……沙耶々のガーターを口で外したアンリは。
     せーの! と、ガータートス――故郷の欧州のやり方で、幸せのお裾分けを。
     純白のドレスを着た望の髪に咲くのは、アネモネの花。
     エクルはそっと、そんな彼の顎を上げて。
    「ボクの命が許す限り、君と添い遂げよう」
     そう優しく語りかけた後……静かに、誓いのキスを。
     そして、ふわりとお姫様だっこされた望は、恋する乙女のように。愛おしげに頬を撫でる彼へと、告げる。
    「これからもずっと愛してます……えくるん……♪」
     心から嬉しそうな――幸せ咲く、穏やかな表情で。
     交わした誓いやキスは「フリ」で。結婚とか、正直分からないけれど。
    「病める時も健やかなる時も。ほんとに……愛してますから、ね?」
     そう囁いたリィザに、オーバーなことを言う子だねと恭輔は呟くも。
    「少なくとも今は、君のことをかけがえのない大事な人だと思っているよ」
     その心に、密かに未来を描いて。
     お姫様だっこされたリィザは、彼の首を抱き寄せ、重ねる。
     「フリ」とは違う――本当のキスを。
    「私達も今年で卒業! 大学生になるねー♪」
     そうはしゃぐタキシード姿の黒曜と、チャペルで改めて向き合う藍晶。
    「なんだか変な感じね……年齢だけならもう実際にできるからおかしくはないのだけれど」
     そんな純白のドレスを着た彼女の指に光るのは、誕生日に彼から貰った指輪。
     そして、いかなる時でも愛していくと。
     そう二人で、愛の宣誓をし終えた後――交わされるのは、誓いの口づけ。
     本番は、ずっと先だけど。レンタルした白のドレスを着た絵里琉へと差し出されたのは。
    「いつか本物を渡すから、これは約束の証として受け取ってほしいな」
    「エル、もしかしてそれ……指輪?」
     ノエルがこっそり用意した、サプライズ。
     そして誓いの指輪を彼女へとはめたノエルは、少し背伸びをしながらも……誓いのキスを。
     見守る皆にも分かるくらい堂々と。大好きなこの気持ちが、伝わるように。
     結婚式にはしゃぐ緋凍に、も、もう、疑似的な物ですから……と口にするも。
     真っ白なドレス着た瑠羽奈の胸元に光るのは、Crescent Azureの三日月の輝き。
     そんな彼女をエスコートする緋凍の左腕にも、ブルーフレイムブレスが。
     そして辿り着いた十字架の前で、互いに誓い合う。
     ――辛い時も悲しい時も、楽しい時も幸せな時も、ずっと一緒に。
     二人で分かち合って、共に――と。
     カティアの格好は、初めて位の男物のタキシード。
     ドレス纏った今日の詩音は――そんな彼の、お嫁さん。
     そして、カティアにエスコートされた詩音は。
    「こんな、仮初の、どっちつかずの月じゃない、私に。いつか、私が私になれた時、またこうやって隣を歩いてくれますか?」
    「えーと、ですね……えいっ」
     ぎゅっと抱き着いて、返答を。
     離れないで居て頂けるなら。私はずーっと一緒ですよ――と。
     白無垢姿の葉月は参加者の多さに気圧され、隅に寄っていくも。
     あーんと、紫妃が持って来たケーキを、要と食べさせあいこ。
     でも――次の瞬間。
    「ぁ、わ、要、こんな人前でこんなこと恥ずかしい……」
    「そうか?」
     そう意地悪く笑む彼にされたのは、壁ドン。
     そして葉月は要のキスに応えながらも、気絶してしまって。
     紫妃が見守る中、むしろ皆に見せつけるように――要は葉月を、お姫様抱っこ。


     何処ぞのヤクザ的なタキシード姿の花婿の両手には、白と黒の花嫁。
     白なんて柄じゃないと言う雪紗に。
     「何もない白」だったのが「これから何にだってなれる白」に……智巳は、一層「白」が似合うようになってると告げて。
    「……そうか、ボクはもう「人間」に為れたんだね」
     雪紗に宿る、超いい笑顔。
     かたや聖の黒のドレスへの感想は適当!?
     そして、自分が雪紗を嫁にして、智巳が自分を嫁にすれば、万事解決! と。
    「ずっとこれからも家族を愛し続けますか?」
     雪紗へと聖が紡いだ……誓いの言葉という魔法。
     そして何故かハブられた智巳も。
     3人で何処までも「家族」――誓いのキスは、がっつりと!
     きっちりキメた正装の昴が、神前で宣言したのは。
    「卒業したら結婚しよう」
     自分が今思っている、言葉。
     純白のドレス纏う深雪は彼のプロポーズに、驚き照れるけど。
    「不束者ですが、よろしくお願いします」
     やっぱり凄く嬉しいのは――身も心も捧げられる位、大好きだから。
     そして婚約指輪を交換し、誓いのキスを交わす二人を、心から祝福するも。
     ふと自身を省みたエルザの表情は、どこか寂しげ。
     ……でも。
    (「そのくせ『気になる存在』とここに居る私は、何なんだろうな……」)
     心の中の、複雑な想い。
     そんな彼女と共に参列した既濁も、幸せ満ちるこの場所で思う。
    (「隣にいる者と、出来れば、いつか……」)
     そのくらいは――夢を見たって悪くはないだろうと。
     そして、上品な華やかさを感じる隣の彼女の装いに。
    「にしても綺麗だなやっぱ、服も結構良い感じだし」
     つい、そう零してたり……した、かも?
     いざ着たウエディングドレスに、少し気恥ずかしい冥と如月・水花だけど。
    「2人とも、とってもキレイだよっ♪」
     どっちも幸せにしてあげたいから……2人の大好きなお嫁さんと、歩は贅沢な予行結婚式。
    「……ってやだ、歩ちゃん。やめてよ……ドキドキが止まらなくなるじゃない」
     そんな言葉に鼓動を早めつつ、冥と水花は、彼と祭壇に上がって。
     誓いの儀式で3人は宣言する――はい、誓います、と。
     そしてその後は……誓いのキス。
     躊躇わず積極的な彼のキスを、2人は照れつつも、しっかりと受け入れて。
    「歩ちゃん……愛してるよっ」
     模擬でも本気。だって、大好き……いや、愛してるから。
     どっちから誘ったか、もう定かではないけれど……乗り気だったのは、確か。
     でも、気恥ずかしさが上回ってしまう、まぐろ。
     プリンセスラインの白いドレスを着ても、頭の中はパニック!
     仲次郎と祭壇に上がっても、緊張でガチガチ……だったけど。
     耳をくすぐったのは、彼の優しい声。
    「綺麗ですよー」
     一瞬本気で言葉を失ったほど綺麗な、大好きな人への言葉と――彼女の緊張を溶かす、不意のキス。
     それを受け、ようやく吹っ切れたまぐろは。
    「ありがとう、あーる」
     次は緊張しないように頑張らなくちゃと思う。次の……本当の、結婚式の時は。
     そして、煌びやかで荘厳な空気を感じながら。
    (「ふわぁ……団長、普段とは全然違った顔しとる。あれが恋する女の子の顔なんやなぁ」)
    「わぁ! まぐろ団長めっちゃ綺麗やー! おめでとー!」
     キラキラした瞳で見つめる乃麻は、二人に、ライスシャワーの祝福を!
    「あ、あの、私変じゃないでしょうか?」
     そう訊ねた琥珀は、琥珀も白夜も似合ってるぜと笑むカイザと並んで。
     幸せそうな皆を眺めながら、私にも訪れると良いな……と。
     恥ずかしくてむずむず、花嫁さんの予行練習を。
     幸せそうな花婿花嫁に拍手と祝福を送りつつ。
    「真珠もああいうのに憧れるのか?」
     ふと訊いた咲哉は、頬を染め頷く真珠の花嫁姿を思い、ついつい笑顔に。
     彼女と、より絆が深まる……そう遠くない未来を描きながら。
    「こんなデザインや着こなし方がありますのね」
     カップル達に祝福を送りつつ、花嫁のドレスをチェックする桐香。
     彼女も、女の子の憧れには興味があるし。
     自分の変化を自覚しつつも、目標を心に……あの人と並べるような、私になりたいと。
     華やかな結婚式には、ご馳走が付き物!
    「リクエストがあれば、何でも作りますよ……」
     予行を終えた人達に腕をふるう料理人の流希は。
     目出度い席で作られる料理を、ヴァイキング形式に。
     教会で新郎新婦を祝福するのは、深海・水花が奏でるオルガンの旋律。
     ふと感傷的になる一瞬もあるけれど……演奏に集中して。
     交代で休憩する水花に、カイザは労いと感想を。皆が幸せになりそうな音色だな、と笑んで。
     桃夜もクリスと結婚! のはずが。
    「うーん、じゃあ今度……二人きりでね」
     そうピアノを弾くクリスに、しくしくめそめそ。
     クリスは式を旋律で彩りながら、嫉妬に燃えつつもバッチリ楽譜を捲る彼に礼を言った後。
    「ね、トーヤ。ちょっとキスしよっか?」
     ――みんなこっちは見てないし……さ?
     そう、そっと瞳を閉じて。
    「皆も幸せになれるといいね~♪」
     祝福の旋律響く中……桃夜の唇が、クリスのものと、重なった。


     夕焼け色の教会には、星を纏うアルコと紫鳥、二人きり。
     そして交換するのは――誕生日に贈った『pair pinke ring』。
     そのダイヤ光る銀環にアルコは誓う。
    「オレは、一生鴛水……いや、紫鳥の事を大切にするぜ」
     誓いの言葉と……勇気を出した彼の、泣きそうな笑顔。
     紫鳥はその口端をむにーっと摘みつつも返す――幸せにしてくださいね、と。
     アルコはそんな花嫁の瞳を覗いて……そっと、目を閉じた。
     夕暮れ時の静かな教会で。純白の花嫁へ向けた微笑みで動揺を隠すギーゼルベルト。
     そんな彼に見惚れ、照れながらも並ぶフローズヴィトニルだが。
     ふいに腰に手を回され、引き寄せられた刹那。
     与えられたのは――ブーケに隠された、秘密のキス。
     そして頬を染めつつ……今だけは、騙されてあげる。
    「……照れてないからな、夕日でそう見えるだけだっ!」
     そんな彼の、幸せでバレバレな嘘に。
     運命の出会いは――2年前の1月。
     双調を闇から救ったのは、同じく闇に堕ち、戻ってきたばかりの空凛の声で。
     似た者同士の二人の距離が縮まったのは必然で、あっという間だった。
     将来を誓い合ったのは、翌年のクリスマス。そして式の日取りも決まっているけれど。
     純白のドレスと燕尾服を着て二人、心構えの予行結婚式を。
     綺麗な月が見守る下、いずれ来る日々の為に……心を合わせて、誓いを。
     夜のチャペルに降る、月と星の祝福の中。
     神父の様な聖職服で予行結婚式に臨む、リヒトとカイリ。
     祝福するほうの服装では? なんて、可笑しく笑みながらも。
     生涯ともにいたいと、そう望むカイリと。
     リヒトが交換する誓いは――指へと落とした、指輪代わりのキス。
    「これからもずっとあなたのそばにいます」
     永遠に変わらぬ愛をこめて……共に夜空を見上げる愛しい人の小さな手を、握り締める。
     仄かな月灯りの中、二人だけの秘密の結婚式。
     すごく綺麗だ……と。月に照る花嫁につい漏らした威司は。
     そっと耀を抱き寄せて――誓いのキスを。
    「私の心も体も全部……あなたに捧げます。絶対に、離さないでくださいね?」
    「何があっても、絶対に離さない。一生、一緒に居よう」
     一緒についてきてくれ……そう告げた彼に耀も誓う。
     あなたと一緒なら、何処へでも――ふわり、抱えられながら。
     夜のチャペルで、二人きりの予行結婚式。
     純白のドレス着た静夢の瞳に映るのは――ダイヤの輝き。
    「先渡しになっちまうけど、これを付けてくれるか?」
    「えっ、指……輪……?」
     渡された誓いの指輪に一瞬驚いた静夢だけど。
     彼女の指にリングを嵌め、溢れる涙を拭ってあげてから。
     リェータが次に与えたのは――誓いのキス。
    「バァカ、泣くなよ、笑わせたくて用意したンだからよ」
     そんな彼へと静夢が咲かせるのは……幸せの笑顔。
     夜の教会で挙げる、二人だけの予行結婚式。
     優志は現れた海色の花嫁へ手を差し伸べ、そして告げる。
    「卑怯なの承知で言うけど……人生の終焉までご一緒に。で、同じ墓に入ろう?」
     確約できない約束は苦手だけど。
    「そうあれるよう、努力はする……」
     彼へと、そっと抱きつく美夜。
     たとえ闇に飲まれても――迎えに行くと囁かれた約束にも笑って応えられる今が。
     忘れないぬくもりが、あると知れたから。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年12月6日
    難度:簡単
    参加:116人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 23/キャラが大事にされていた 4
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