ディープなキス!

     日野森・翠(緩瀬の守り巫女・d03366)は、こんな噂を耳にした。
     『キスで相手をくったりさせてしまう都市伝説が現れた』と……。
     この都市伝説は金髪爆乳美女で、ディープキスをする事で、相手をくったりさせてしまうようである。
     そのため、都市伝説が確認された繁華街では、呆けた表情を浮かべたまま、くったりとしている男女の姿が確認されており、色々な意味で問題になっているようだ。
     しかも、都市伝説にキスをされると、どんな相手でも骨抜きになってしまうため、要注意。
     そういった事を踏まえた上で、都市伝説を灼滅するのが、今回の目的である。


    参加者
    ティセ・パルミエ(猫のリグレット・d01014)
    ミルドレッド・ウェルズ(吸血殲姫・d01019)
    神楽・慧瑠(戦迅の藍晶石・d02616)
    マルティナ・ベルクシュタイン(世界不思議ハンター・d02828)
    日野森・翠(緩瀬の守り巫女・d03366)
    神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)
    篠宮・一花(妄想力は正義・d16826)
    戒道・蒼騎(ナノナノ毛狩り隊長・d31356)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「わーお、ど直球の変態キタコレ……。挨拶のキスならともかく、ディープなのとかないわー……。やっぱアレかな、男子妄想全開な感じ……。『経験ないの……? お姉さんが教えて、あ・げ・る』みたいな……? ……てか、こういうエロエロな都市伝説出てくると、なんかウェルカムしそうな人いそうだよね、男子とか……」
     マルティナ・ベルクシュタイン(世界不思議ハンター・d02828)は事前に配られた資料を読みながら、仲間達を連れて都市伝説が確認された繁華街に向かっていた。
     この都市伝説は金髪爆乳美女で、ディープキスをする事で、相手をくったりさせてしまうようである。
     そのため、チェリーなボーイ達がハジメテを求めて、街を彷徨っているようだ。
     そう言った意味で、都市伝説の存在は厄介なので、早めに灼滅しておく必要があるだろう。
    「まさか、本当に存在していたなんて……」
     日野森・翠(緩瀬の守り巫女・d03366)が、気まずい様子で視線を逸らす。
     確かに、そんな噂を聞いた事があったものの、実在しているとは夢にも思わなかったようである。
    「これはボクが翠の唇を守らないと……」
     ミルドレッド・ウェルズ(吸血殲姫・d01019)が、拳をギュッと握り締めた。
     都市伝説がどれほどの力を持っているのか分からないが、どんな事があっても翠だけは守るつもりでいるようだ。
    「で、でも、キスとかそんなの、ダ、ダメだよね!? そういうのは一花には、まだ早いっていうか、なんていうか……。興味はあるけど、こんなところで初めては嫌っていうか……。今回は本気で何とかしないと色んな意味で危険だよ」
     篠宮・一花(妄想力は正義・d16826)が、恥ずかしそうに口を開く。
     想像するだけでも、耳まで真っ赤。
     そのため、妙にあたふたとしており、落ち着きもないようである。
    「ディープキスとか、大人すぎて想像もつかないよ。あれってこう、舌と舌が……、うーん、どうなるんだろ?」
     ティセ・パルミエ(猫のリグレット・d01014)が、ハテナマークを浮かべた。
     ウイングキャットのすあまも、一緒になって首を傾げている。
    「本当に都市伝説は何がしたいのか良く分からない奴が、時々……いや、結構多いな。今回も誰かの噂か、キスに余程拘りがある誰かの思念の賜物なんだろうけど……困ったものだ。……しかし、キスか……。オレ、したこと無いんだけれど、コイツの被害に遭ってしまったら、コイツがファースト。……さ、流石にそれは避けたいところだぞ」
     神代・煉(紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756)が、ダラダラと汗を流す。
     だが、都市伝説は問答無用。
     油断すれば、むちゅーっとやられてしまう事は、確実である。
    「それにしても、また随分と露骨で破廉恥な都市伝説でございますね。このような女性は、実際にはそうお目にかかることはないお相手なのですが……。だからこそなのかも知れませんね。男性の妄想が呼び出した都市伝説というのであれば、特に不思議には感じないところでございます」
     神楽・慧瑠(戦迅の藍晶石・d02616)が、自分なりに納得した。
     おそらく、男性達がスケベ心丸出しで、噂を広めていったのだろう。
     そのせいで、都市伝説が生まれてしまい、余計に被害が出てしまったのかも知れない。
    「……とは言え、美少女達のキスシーンを拝みたいという男心を抑えながら戦うのは、苦労しそうだな。俺自身は全力で拒否だぜ」
     そう言って戒道・蒼騎(ナノナノ毛狩り隊長・d31356)が深い溜息をもらして、都市伝説を探し始めるのであった。

    ●恐怖のキス魔
    「きゃああああああああああああああ! 誰かあああああああああああ!」
     それからしばらくして、青ざめた表情を浮かべた女性が、這うようにして灼滅者達の前に現われた。
     女性はぺたんと尻餅をつくようにして腰を抜かし、自分が逃げてきた方向を震える手で指差した。
     その方向にいたのは、都市伝説。
     都市伝説は女性の彼氏と思しき男性に抱き着き、見せつけるようにしてディープキスをしていた。
    「いくよ、翠。こんなのは速攻で片付けないと!」
     すぐさま、ミルドレッドが翠と連携を取りつつ、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
    「はい、ミリーさんっ!」
     続いて翠も都市伝説に攻撃を仕掛けようとしたが、傍にいた男性を盾代わりにして自らをガード。
    「……って、ちょっと! あたしは別に悪い事は何も……!」
     都市伝説が驚いた様子で、言い訳をし始める。
     その間に唇を奪われた男性は、フラフラとしながら、女性に連れられ、その場を後にした。
    「そんな事を知って、私達を油断させる気だなっ! くっくっく、こんなこともあろうかと、用意しておいたものがあるのだ! 蒼刃の魔王である私が準備に手抜かりなどあるわけがない」
     一花がマントをぶわさっとやりながら、フルフェイスのヘルメットを被る。
    「いや、あたしだって、強引にキスをする訳じゃないのよ」
     都市伝説が身体をクネらせながら、一気に間合いを詰めてきた。
    「……あぶないっ! 翠の唇はボクがっ……!」
     それに気づいたミルドレッドが、翠に覆い被さるようにして庇う。
     そのまま、翠を押し倒すようにして、互いの唇を重ね合わせた。
    「なんだか……、ちょっとだけ都市伝説の熱に当てられたかもしれないね」
     こうなると自分の意思ではどうにもならず、求め合うようにして唇を重ねていく。
    「だったら、別の相手を狙うだけよっ!」
     都市伝説もサクッと気持ちを切り替え、煉の唇を強引に奪う。
    「なるほど、あれが大人のキス……、すごい大人なのです」
     ティセが興味津々な様子で仲間達を観察する。
     煉も必死に抵抗しているようだが、都市伝説のキスから逃れる事が出来なかった。
    「うふふふふふ、御馳走さま」
     都市伝説が満足した様子で、クスクスと笑う。
    「ぁ……ぅ……くっ!? よくも……やってくれたな……」
     その途端、煉が頭をクラクラさせながら、ガックリと膝をつく。
    「怪我をするタイプでないのが救いではありますが、迷惑の度合いは極めて酷い都市伝説で困りものでございますね。……とは言え、もしもこちらに来るようなら、全力で潰しますわ」
     慧瑠が警戒した様子で、スレイヤーカードを構えた。
    「うふふふ、そんなに怖がる必要はないのよ。何も、ね」
     都市伝説が思わせぶりな態度で、舌舐めずりをする。
    「愛を信じるならキスされても問題ないよな、白豚」
     蒼騎が身の危険を感じて、ナノナノの白豚を盾にした。
    「……!!」
     それに気づいた白豚が速攻で逃げ出そうとしたものの、ハンマーの鎖に繋がれているため、逃げ出す事が出来なかった。
    「ま、アホくさいけど対処はしないとね……。やっぱ誰かがシールドやるしかないよね……? ……というわけで、権三郎さん……」
     そう言って、マルティナが霊犬の権三郎さんをガシィッと掴む。
    (「ちょっ! 何、掴んでるのッ!? 嫌な予感しかしないッ!?」)
     権三郎さんが気まずい様子で汗を流す。
     嫌な予感はしていたが、やはりこういう展開になってしまったようである。
    「まぁまぁ、落ち着くの……。これは大きな意味を持つ任務だよ……。いたいけな乙女達の唇を、あんなエロエロな奴に穢させていいと思う……? ……というわけで、権三郎さんのドMモードで総受け、よろしこ……」
     マルティナが権三郎さんに反論する隙すら与えず、グイグイと前に押し出していく。
    (「いい話っぽいかと思ったら結局それかよッ!?」)
     権三郎さんが納得の行かない様子で暴れるが、マルティナは気にせず、都市伝説めがけて、勢いよくぽいっと放り投げる。
    「あら、可愛い」
     それを都市伝説が受け止め、むちゅーっとキスをした。
     権三郎さんは何が起こったのか分からぬまま、酔っ払いの如く頭をクラクラさせる。
     これには、すあまもガタブル状態。
    「あたしはすあまにそんな危険な事させられないよ」
     それに気づいたティセが、すあまと鼻チューをして和むのだった。

    ●都市伝説
    「うふふふ、次のどの子にしようかしら」
     都市伝説が含みのある笑みを浮かべて、ゆっくりと辺りを見回した。
    「……って、皆さん! ぼ~っとしてないで、正気になってくださいっ」
     それに気づいたティセがセイクリッドウインドを使って、仲間達を勝機に戻す。
    「骨を抜かれるのは勘弁だぜ」
     すぐさま、蒼騎がマルチスイングでロケットハンマーに鎖で繋いでおいた白豚を、都市伝説の顔面にぶち当てた。
    「……ぶはっ!」
     その一撃を食らった都市伝説が、華麗にぶしゅっと鼻血を噴く。
    「ともあれ、公序良俗に反しますし、大変迷惑な存在ですから早々に排除致しましょう」
     慧瑠が都市伝説をジロリと睨み付け、レイザースラストを仕掛ける。
    「ちょっ、ちょっと、あたしが何をしたってワケ!?」
     都市伝説が納得の行かない様子で悲鳴を上げた。
     彼女からすれば、とてもイイ事をしただけなので、どうして自分が命を狙われているのか、まったく理解する事が出来ないようである。
    「さっきの落し前、確りと付けさせて貰おうか……。砕け散れっ! この……ヘンタイ!!」
     次の瞬間、煉が都市伝説めがけて、幻狼銀爪撃を放つ。
    「う、嘘……」
     その一撃を食らった都市伝説が、信じられない様子で口をパクパクさせる。
    「翠、2人でトドメさすよっ」
     それに合わせてミルドレッドが翠に声をかけ、都市伝説にトドメをさす。
     都市伝説は断末魔を響かせながら、最期まで納得の行かない様子で消滅した。
    「は、はぁはぁ、なんだかある意味では今までで一番怖い相手だった気がするよ……」
     一花が疲れた様子で、ぺたんとその場に座り込む。
     何だかよく分からないが、色々と疲れた気がする。
    「都市伝説相手だし、ノーカンだよな……」
     煉がどこか遠くを見つめながら、今日の出来事を記憶から抹消する。
     おそらく、あれはファーストキスではない……はずだ。
     そう自分に言い聞かせる事によって、何とか気持ちを落ち着かせた。
    「権三郎さん、また変態に染まっちゃってまぁ……。どんどん変な方向に開発されてくね……」
     マルティナが権三郎さんの頭をヨシヨシと撫でる。
    (「誰のせいだッ!? つか、開発とかされてねぇ!」)
     権三郎さんが思わずツッコミを入れたが、マルティナの心には届いていないようだった。
    「ふぁーすときす、でしたのですよ?」
     そんな中、翠がミルドレッドの袖をクイッと引く。
    「ボクも初めてだったから……。それに、翠が相手でよかったかも」
     そう言ってミルドレッドが答えを返し、恥ずかしそうに頬を染めるのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月1日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ