魔人生徒会~超銭湯へようこそ

    作者:彩乃鳩

    ●魔人生徒会からの誘い
    『スーパー銭湯ってのがあるらしーんですよ。なんかでかいやつ』
     飄々と。
     人を食ったような声が、学園全体に響き渡る。
     各教室や、通路になどに設置された各モニターには謎の人物が映り込んでいた。武蔵坂学園の学生達は、何事かと注目する。
    『ものによっちゃ、ちょっとしたアミューズメント施設みてーな感じまでいくみてーなんですけど。色々、グループで行っても個人で行っても楽しめるんじゃねーですかね?』
     女子制服に、露出部は包帯。
     顔は意図的に画面からズームアウトされていた。
     皆はピンと、くる。これは魔人生徒会からの、誘いなのだと。どうやら、巨大なスーパー銭湯のタダ券が大量に用意されているらしい。俄かに校内が活気づいた。
    『温泉は敷居たけーですけど、どうです?』

    「私もいましがた行ってきましたけど、良いお湯でしたよ」
     頬を上気させた野々宮・迷宵(高校生エクスブレイン・dn0203)が、楽な格好で皆に感想を伝える。魔人生徒会が招待する、スーパー銭湯はテーマパークのような場所だという。
    「露天風呂に、電気風呂に、滝があるお風呂、薔薇が浮かぶお風呂、牛乳風呂なんて物もありましたね。用意されているお風呂に全部入り切るだけで一日はかかると思います」
     各種の風呂や、ゲルマニウム温浴、サウナが用意されているのは勿論のこと。
     アカスリやリラックスマッサージサービスなども受けられる。
     メニューが豊富なレストランや宴会場もあるから。お風呂の後は、好きな物が食べ放題。ゆったりすることも、騒ぐことも出来る。
    「大きなプールもありましたし、卓球やゲームセンターなんかも揃っていましたから。遊ぶのにも不自由はしないと思います」
     次第に風が冷たくなってきた、この季節。
     温まって、食べて、遊んで、ムームーを着て……味わいつくすのはどうだろう?


    ■リプレイ


    「銭湯かー。皆のお風呂だねっ」
     水着は今年のワンピ。
     シェレスティナ・トゥーラス(欠けていく花・d02521)は、髪はかっちりと結い上げて湯につかないようにしておく。
    「あんまり湯船に浸かる習慣ないのでプールじゃないのは新鮮だねー」
     あっつ。あっつうう。
     うーん……広いお風呂もいいねえ。
    「魔人生徒会からスーパー銭湯へのお誘いですか? 何を意図しているか? はあまり考えない方が良いのでしょうね……」
     遠い目。滑川・蛍(富山県の特別天然危険物・d13440)は設備の充実度に満足していた。
    「地元のスーパー銭湯も見習ってほしいですね」
     ……ああ、源泉かけ流しの温泉まであります。他と比べて「値段は安め」「サウナが3つ以上ある所が殆どない」「ここと勝負できるのは一部施設の泉質位」等、存分に語りあった。捕まった者――魔人生徒会も、うんうんと頷く。
    「ニホンのお風呂、しかも皆で入れるくらい大きなのは殆ど初めてですの、しかもお友達と!」
     女湯では、シャーリィ・グレイス(五行の金・d30710)がはしゃぐ。
    「ちゃんと、流してから入るの」
     吉武・智秋(秋霖の先に陽光を望む・d32156)が色々説明した。
    「こういう、大きなお風呂って、なんだかわくわく……するよね。ゆっくりと、お風呂に浸かっているとすっごく、あたたかくて。のぼせる前に、洗いに、いかなきゃ……」
    「……作法に自信が無いので、ちぃちゃんを真似しますのね。折角一緒に来たのですし、洗いっこするですのー……」
     二人で洗いっこ。
    「他の人洗うのって、力加減難しいですのね。痛くないかな、くすぐったくないかな……って」
     髪と背中、しっかりしっかり、洗ってみる。
    「ちぃちゃん、お肌綺麗ですのー」
    「ひゃっ!? え、わ、くすぐら、ないで……」
     ちょっと悪戯心でシャーリィが智秋をこしょこしょっと。笑っちゃって、息が結構大変。洗った後は、もう一回湯に浸かる。
    「お湯に肩まで浸かってー、100まで数えてー、って。にーさまに教わりましたの……」
    「100まで数えて、しっかり温まって……うんうん、ゆっくりつかろ」
    「あったかいから、なんだか、のぼせちゃいそうですの……」
    「わ、わわ……りぃちゃん、大丈夫?」
     のぼせた友人が歩くのを手伝う。
    「水、汲んでくるね」
     狩野・翡翠(翠の一撃・d03021)とリアナ・ディミニ(不変のオラトリオ・d18549)は色々なお風呂を楽しむ。
    「あっ、今度は牛乳風呂に入りましょう♪」
    「これだけいろんなお風呂があると、楽しいね」
    「ですねー。気分で選び放題で楽しいです♪」
     リアナは巻いていたタオルを外す。
     あまり見られると恥ずかしいけど。牛乳風呂なので見えにくいし。
     ……ちょっと安心、などと思っていた翡翠に。
    「ふぇ? リアナさん?」
     後ろからぎゅーっとリアナが両手を回す。
    「気持ち良いですけど疲れませんか?」
    「翡翠を感じてると疲れなんて吹っ飛ぶんだよ、私は」
    「ふえっ? ……えっと、でも、上がったらマッサージも受けましょうね?」
    「だいじょーぶ、ちゃんとマッサージまで堪能するつもりだよー、わかってるわかってる」
     抱き締めてのほほんぬくぬく。
    「後で髪の毛も洗いあいましょうねー?」
     口元までしっかり浸かる。
    (「そうしたらリアナさんも肩まで温まるでしょうし?」)
     薔薇の湯にて。
     ジヴェア・スレイ(ローリングエッジス・d19052)は、茂多・静穂(千荊万棘・d17863)に抱きつく。
    「最近も大変な出来事が続いているねぇ。でも、ジヴェアたち灼滅者の力で乗り越えようよ!」
    「はい。いつでも私がやる事は変わりません。人々の痛みをこの身に引き受け、ダークネスに償わせる。それだけです」
     その後のプールではジヴェアが緑のセクシーなビキニを、静穂が青い競泳水着を着用した。クロールしたりと満喫して泳ぐ。
    「やっぱり楽しいのっていいよね!」
    「ええ! 一緒に思いっきり泳ぐのも楽しいですね!」


    「きゃっほーい! でっかいお風呂ー!」
    「わんこさん混浴なんですから水着!!」
     野良・わんこ(世界大紀行・d09625)は、全裸なのを止められて。マイクロビキニを着て風呂に入る。通りすがりの蛍が「湯船に入る前にかけ湯をする!」「タオルは湯船につけない!」と銭湯のマナーを注意。
    (「なんと、わんこさんは時々しかお風呂入らないというのです! わんこさんの背中をお流しましょう」)
     李白・御理(玩具修理者・d02346)は預かって来たタワシを構える。青のビキニのエリス・メルセデス(泡沫人魚・d22996)も同様だ。
    「……わんこさん、の……体……綺麗に、洗います……」
    「ええっ! 御理ちゃんとエリスちゃんが洗ってくれるんですか!? こ、これが噂のソープランド!?」
    「……普段から……ちゃんと洗わないと、だめですよ……? ……もう……♪」
    「ふっふっふ、苦しゅうない、苦しゅうないですよ」
     ドヤ顔で決めるわんこ。
     だが。
    「ぎゃあああーーー!! たわし、それたわしじゃないですか! うおおお、わんこの玉のお肌がー!」
    「わわ、あんまり暴れると、転んでは危ないです……じっとしていてくださいね……!」
     思わず逃げ出し、犬のようにわしゃわしゃ。
    (「本物のわんこを洗ってるような感じで楽しいです……」)
     御理はエリスと一緒にわんこを丸洗い。
    「わんこさんが終わったらエリスもきれいにしましょうか? 髪も、洗わせてもらってもよろしいです? わんこさんもお手伝いしてくださいね」
    「……あわわ……御理……洗って……くれるんですか……? ……ありがとう、ごさいます……♪ ……御理も……よければ……お背中……流しますよ……♪」
     全員で背中を流し合う。
     綺麗になったら、ゆっくりお風呂に浸かる。
    「……のんびり……まったり……♪」
     霧亜・レイフォード(黒銀の咆哮・d29832)は露天風呂でまったりする。滝がある風呂では、なんとなく滝行っぽいのを。サウナでも座禅を組み暑さの限界にチャレンジ。
    「!」
     サウナから出て、水風呂へ浸かる。
     その解放感たるや、筆舌に尽くしがたし。
     テティス・アルテリア(凪ぎし滄海の癒者・d31332)は、腹を割って話をする良い機会だと藍降・つばな(クリミナルヴォーカリスト・d01626)を誘っていた。
    (「ふ、普段あまり話さない間柄、なんですが……今日は何だか気合が入っている、様な……?」)
    「今日は女同士裸の付き合いです! 銭湯ってこういうものなんですよね? テレビで見ました」
    (「あれ、温泉って水着着用じゃなきゃいけないんじゃ……あ、女湯なら大丈夫なんですか」)
     浴槽の中、テティスが口火を切る。
    「先輩、以前研究室で話した事についてなんですけど」
     どうやら、自分はライバルと見なされているようだが。
     その真意は?
    「うっ……その事ですか……羨望、嫉妬、色々綯い交ぜになってしまった結果、ですか、ね……」
     つばなも何か言いたいことがあるようだった。
    「せ、せっかくですから、私もテティスさんに、少し……どうして、武蔵坂に来たんですか……?」
    「わたしは、姉様のように広い世界を見たくて、学園へ。先輩は……?」
    「……私はテティスさん程立派な理由じゃないです、逃げた、だけですから」
    「家庭の事情で、逃げるように……大変でしたね。わたしも、家督のことで姉様と疎遠になってしまって……似てますね、私達」 
    「あ、あはは……ごめんなさい、友達が居なくって……こんな事、話せる人なんて、いなくて……」
    「……友達がいない? わたしがいるじゃないですか!」
    「え……? と、友達……? そ、その……不束者ですが……あうう……」
     

    「スーパー銭湯って温泉にはない楽しみがあるんですよね。それがこのいろいろな浴槽! やっぱり全てのお風呂を制覇しなくちゃです」
     でも、混浴まで回っちゃうと、せっかくのお風呂がゆっくりできなくなるから、今回は女湯だけ。四刻・悠花(高校生ダンピール・d24781)は、立ち湯や歩行湯など深いお風呂に入っていく。
    「食べ放題らしいし、そこはちゃんと休憩しなくちゃですよね。水分補給も大事です」
     澤村・民子(ストロークス・d03829)は、先に上がっていたエルメンガルト・ガル(草冠の・d01742)と待ち合わせる。
    「超~いいお湯でした! 満喫しまくったけど待たせたー?」
    「大丈夫大丈夫、待ってる間に色々見てきたから。みっつくらい入ったら茹だっちゃったしさ」
     二人とも、ほかほかだ。
    「卓球とか楽しそうだったな」
    「卓球ー? じゃあ折角だから勝負しよ。負けた方がアイス奢りな」
     さっさく卓につき。
     ラケットを構えるものの。
    「あたし卓球超苦手だったわ。勝てる気がしねーんだけど」
    「卓球は体育でやったくらいだけど、民ちゃんよりは出来そうな気配を……感じる! 元々そんなに運動神経は悪くない筈だし。ほらね? ほらね? オレ結構強いだろ?」
    「あ、ムカつく」
     調子に乗るエルメンガルトを民子は、軽く蹴った。
    「このまま負けても当然すぎて面白くねーから。アレやろ、ホッケー! これは得意~。リーチ違うけど、負ける気はしない」
    「イイけどさ……またオレが勝つと思うよ……オレのが色々長いし」
    「調子乗んな」
     更に蹴った。
    「これは有名なシューティングアクションゲームだね。一緒にやってみない?」
    「あまりやったことないですけど、いいですね。負けませんよ!」
     横ではジヴェアと静穂が仲良くゲーム。
    「これで勝負つかなかったら……足つぼマッサージどっちが耐えられるでしょー! かな。ほらレッツゴー」
    「足つぼマッサージ? あれってマッサージだろ耐えるものじゃなくない? 足の裏の皮もオレのが厚いと思うよ!」
    (「舐めてるエルはめっちゃ強くしてもらお」)


    「露天に滝風呂、泡風呂等色々楽しみね」
    「やはり、こう、大きいお風呂、と言うのはよいですね。一人でボーっとするのとはまた別の楽しみが……ふふ」
     黒岩・りんご(凛と咲く姫神・d13538)に加奈氏・せりあ(ヴェイジェルズ・d00105)は色々な湯を体験。赤城・扶桑(扶桑樹に見る胡蝶の夢は・d23635)も、打たせ湯で修験僧の真似事を。
    「わ……すごい、です……お風呂、こんなに……スーパー銭湯、は……初めて、なので……色々……入って、みたい……です、ね」
     そんな中、白臼・早苗(静寂なるアコースティック・d27160)は仲間に悩みをこっそり打ち明ける。
    「この水着、今年買ったばっかりなのに……最近温泉依頼続きだったから、縮んだ……、わけじゃないか」
     胸周りがきつくて悩ましい……すると、事態は思わぬ方向に。
    「あら、皆さん少し育ったんじゃありません?」
    「育ったというかなんというか、いい加減止まってほしいというか……」
    「測定する必要ありそうですね。わたくしには揉めばサイズがわかるという特技がありましてね?」
    「んひゃぁっ!? こら、揉まない、揉まない! こらー!! もお!」
    「……何、を……されてるんで……胸囲、測定……? え……ボク、も――うひゃ、ぁ!?」
    「もちろん1cm刻みで正確にサイズ言い当てますよ?」
    「な、なんで……サイズ……わかるんです、かぁ……!? ふわ……力、抜け……はふぅ……」
     魔王に抜かりなし。
     天原・京香(信じるものを守る少女・d24476)もゆっくりしていたが。
    「……何か騒がしいわねぇ。またりんごさんがセクハラしてるの? 全くもう……。何やってるんだか。そんな事やって楽しいのかしらねえ」
    「京香さんも気になります?」
    「……りんごさん、なんでこっちを見てるの? ってちょっと何でこっちに来るの!? き、興味なんかあるわけないでしょ!?」
     逃がさない様にがしっと捕まえ、念入りに♪
    「ちょ、ちょっとー!? き、気持ち良くなんかないんだから……バカ……」
    「……お望みならもっとしてあげますよ?」
     くすり。
    「やはり手足の伸ばせる大きな風呂はいいな。気分が落ち着く」
    「なんかこの感触が素敵♪」
    「ほうほう、牛乳風呂? これは贅沢な……」
     支倉・椿(爆撃姫・d00486)、持戸・千代(大正浪漫チヨコレヰトモツチア・d33060)、タシュラフェル・メーベルナッハ(白茉莉昇華セリ・d00216)は牛乳風呂へ。香祭・悠花(ファルセット・d01386)もお肌をスベスベにすべく加わる。
    「牛乳風呂へGO! お、千代さんとタシェさん椿さんも一緒ですね♪ ちゃぷちゃぷっとのんびり浸かるのもいいですねー♪」
    「……ここでマッサージとかしたら、イロイロと解れるんじゃないかしらね?」
     タシュラフェルは椿と千代に触れ始める。
    「では悪いが頼もう。トレーニングや試合をしているとどうしてもあちこちにがたが来てしまってな」
    「およ? タシュラフェル殿がマッサージをするのか。よっし、では一挺頼むぞいーっ♪」
     わきわき。
    「おお……確かにこれは気持ちいい……ん? 何やらだんだん動きと揉む場所が変わってきたような……」
    「椿は流石に鍛えられてるわよねぇ、でも女の子らしい柔らかさもちゃんとあって……特にこの辺とか♪」
    「お、おい? 何処を触って、のわぁっ!?」
     腕、肩、腰ときて。おもむろに胸をマッサージ。
    「ち、ちょっと待て! そこは違っ、確かに気持ちいいが……ってそうではない! 力が抜けるから、やめぇ!?」
    「千代は……ふふ、やっぱりもっちもちね♪ 何処もかしこも柔らかくって素敵……♪」
    「……ひょいっ!? ちょ、待った! 何を揉んでるのじゃ!?」
     背後から抱きつき全身堪能……主に胸を。
     うっかり体を許したらセクハラの罠に!
    「……おぉ……やっぱりそうなるの? 椿さんが餌食になるのは予想外でしたが」
     傍観していた悠花も参戦である。
    「やっぱりもっちあがいる以上もっちあしないと失礼ですよね! うふふー、千代さん覚悟ー! もっちあもっちあー!」
    「ちょ、他にも色々花園のツワモノが……お助けー!!」
    「タシェさん、わたしもマッサージお願いしていいですか? なんならわたしとマッサージし合っちゃいます? うふふ、気持ち良くなりましょ♪」
    「……ふふ、気持ち良くしてね♪」
    「あわわわ……牛乳風呂の、方も……すごいこと、に……マッサージ……って、なんでしたっけ……」
    「うう」
     早苗などは、のぼせて浮いていた。
     そんな女子群の声が、壁越しにアルヴァン・ルティック(青い月を求めて・d21573)へと届く。
    「たーまには、ひとりでのんびりもいいよなー」
     ――いや、隣の女湯から聞こえてくるきゃっきゃうふふが気にならないとは言わないけど、覗きとかナンパ師の風上にも置けねぇじゃん?
    「狙うなら風呂上がりの、こうほんのり紅潮した女の子たちを……なんか不吉を未来予知したから、のんびり浸かるだけにしておくぜ……」

    作者:彩乃鳩 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月10日
    難度:簡単
    参加:27人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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