●秋の芸術発表会
「親愛なる学友諸君、今年も武蔵坂学園の秋を彩る『芸術発表会』の準備が始まるぜ!」
勢いのままに仰々しく宣言するのは、プリントの束を小脇に抱えた白椛・花深(高校生エクスブレイン・dn0173)だ。
武蔵坂学園のPTA向けパンフレットにも一大イベントとして紹介されている、芸術発表会。
11月初頭から発表会当日までの間は、芸術科目の授業全てと、特別学習の授業の大部分が芸術発表会の準備に充てられるのだと、花深は得意気に説明し始める。
「授業だけじゃねーぜ。ホームルームや部活動も、芸術発表会向けの特別活動に変わってんのさ。つまりこの期間、俺たち学生はありったけの青春を芸術の秋に注ぎ込めるってわけだ!」
――自習時間が作れて教師が楽になったりだとか、出席を取らない授業が増えて色々と誤魔化せて便利だとか、そう考える不届き者がいたり、いなかったり。
少なくとも表向きは『青春』に相応しいイベントであることに間違いはないのだ。拳を力いっぱい握って、花深のテンションは更に高まる。
「全8部門があるんだぜ。プリントのここにも載ってるだろ?」
彼にそう言われて示されたプリントを確認すると、そこには。
『創作料理』『詩』『創作ダンス』『人物画』『書道』『器楽』『服飾』『総合芸術』
この8つの芸術を磨き上げ、一つの作品を作り上げるのだという。
「それぞれの種目ごとに、それぞれの方法で芸術の火花を散らす……! これが、武蔵坂学園の秋の風物詩って奴だぜ!」
――みんな、頑張ろうな!
そう声を掛け、花深は次々にプリントを皆へ配るのだった。
●想いは何色?
「まあ、純粋に絵を描ける部門もあるのね。人物画、どんな人を題材にして描けばいいのかしら……?」
じっくりプリントを読み耽り、ぽつりと疑問をこぼすのはジョバンナ・レディ(中学生サウンドソルジャー・dn0216)だ。
そこへひょっこりと花深が顔を出して、何かに気づいたように「あっ」と声をあげる。
「そうか。ジョバンナは知らないんだったよな……人物画部門の裏ルール」
「裏……ルール?」
なにかしら、と訊ねる前に、ふとプリントを裏返すと、そこには――。
『人物がコンテストの作品は、恋人の肖像画でなければならない』
「~~~~~ッ!?」
まさに文字通りの『裏』ルール。薔薇の花のように顔を真っ赤に染め上げて、ジョバンナは硬直する。
「そういうこった。勿論、いま恋人同士じゃなくても、この機会に友達から恋人へ――なんてのも参加条件を満たすんだぜ。せっかくだし、気になる奴を絵のモデルに誘ってみるのも良いんじゃねーかな」
ニヤニヤと楽しげに語り出す花深。ある意味、恋愛に縁のない少年だからこそ平然としていられるのかもしれない。
一方のジョバンナはあれから多少落ち着いた様子で、薄紅の眸をきらきら輝かせて想いを馳せる。
「そ、そうよね……! キャンバスを立て掛けて、パレットに色とりどりの絵の具を並べて。大切なあの人を想い浮かべながら、絵筆でそっと輪郭をなぞって――ああ、なんてロマンチックなのかしら」
単純な上手い下手よりも、相手に対する『想い』をどこまで表現できるかが優秀賞を手に入れるコツなのかもしれない。
好きな表情、ときめく仕草。相手の姿をじっくり観れる絶好の機会だからこそ、また新たな魅力を発見できるだろう。
「今だったら、空き教室を借りて二人きりになることもできるでしょうしね。ふふっ、なんだか楽しみになってきちゃった」
みんなの想い人を描いた作品、楽しみにしているわ。そう、ジョバンナは顔を赤らめながらそっと微笑んだ。
●想いの色は褪せることなく
「去年は俺が樹の絵を描いたから、今年はお互いの絵を描こうか」
拓馬がそう誘えば、「絵は苦手なんだけど、それでもいい?」と樹ははにかんで応えた。
互いの椅子の傍に、台と花瓶を設置する。相手に似合う花を一つ選び、その花を持っているイメージで描こうという、拓馬の提案は何ともロマンチックなものだった。
「俺は白百合を選ぶよ。無垢な純白の花は、樹の髪によく映えると思うんだ」
そう言って、拓馬は花瓶に白百合の花を活ける。美しい金糸の髪に、純潔をあらわす白の花弁。神聖な美しさは、樹に相応しいと思うから。
一方で、拓馬くんなら勿論これだと樹が選んだのはカンパニュラの花だ。
一昨年のクリスマスプレゼントを想い出す。蜂蜜色と蒼色、二輪のカンパニュラが寄り添う髪飾り。
こうして長い月日が経った今もなお、変わらぬ愛情を注いでくれる彼を見つめ、樹は微笑む。
「わたしにくれたプレゼントだったけど、とても嬉しかったのよ。誠実で、いつもそばにいてくれる感謝も込めて……わたしはこの花を選ぶわ」
花を活け、向い合って座り、二人は筆をとる。花と共に笑うきみは、誰よりも何よりも魅力的だと想いながら。
「ゆうすけ、気合入ってるわね?」
イーゼルを組み立てながら、曜灯はそう言って勇介へ微笑みかける。
今日の勇介はデートの為の勝負服姿だ。黒のワイシャツにワインレッドのベストを合わせるなど、ユニセックス風味に着こなしている。
中でも特に注目するのが、足元の黒いショートブーツだろう。造花をあしらったガーリーテイストで、今日の勝負服にはぴったりだ。
そしてそれは、学園祭での二人の想い出の品。曜灯は思わず、蜜色の瞳を嬉しそうに細めた。
「それじゃ、そこで立った姿勢でお願いね」
「う、うんっ! ……こんな感じで良いかな?」
勇介にお願いしたのち、手際よく描き進める曜灯。
この日の為に、幼馴染の姉や茶飲み友達の少年にモデルを頼み、デッサンやクロッキーをひたすら続けていたのだ。
スケッチブックも2冊全ページを描き潰し、モチーフ慣れもした。今なら勇介を見ても照れずに描ける――はず!
その一方で勇介は、凛とした眼差しでキャンバスと向き合う彼女に見惚れていた。
料理やお茶など、様々なものを難なくこなす曜灯。けれどこれ程までに真剣な表情する曜灯を見たのは初めてだった。
けれどずっと見つめ続けて――勇介は或ることに気づく。
(「あれ、曜灯、ちょっと紅くなってる?」)
それもそのはず。描き手側の曜灯も、勇介の細かな所作をじっくり見続けているうちに心臓が高鳴り始めたのだ。
けれど、以前から練習して良かったと心から思う。彼をこうしてしっかり見て、描くことができるのだから。
頬をほんのり赤く染めたまま、勇介を見つめて曜灯は囁いた。
「ゆうすけ、格好いいわよ」
「藍ちゃんに合うのは、どんな花と宝石かな~?」
うーん、と思案しながら、寛子は筆をとる。
藍と寛子が描く今年のテーマは『華と宝石』なのだという。
(「寛子ちゃんはピンクなイメージだけど藍色に染めてみようかな」)
情熱の意を持つ宝石のアウィナイト。花はオンシジュームを選び、可憐なイメージで。
この二つの意味合いを織り交ぜたドレスをオリジナルで考え、藍はキャンバスの中の寛子を魅力的に飾る。
下絵を描き進めたのち、藍は色紙をちぎって貼り絵でドレスをかたどる。立体感があらわれ、オリジナリティ溢れる作品へと仕上がってゆく。
寛子を見つめながら描き進めているうちに、色んなイメージが次々に浮かぶ。思わず藍は顔を綻ばせた。
「どうしたの? 藍ちゃん」
「ううん、別になんでもないよ」
その様子を見て、寛子もえへへ、と微笑む。寛子は可愛さをとにかく追求して、柔らかめの萌え絵で彼を描いた。
寛子の気持ちが藍ちゃんに伝わるように、そしてこの絵を見てくれる皆にもわかってもらえるように――心をこめて。
「折角絵が描けると思ってたのに、カップル限定なんて制限があるなんてずるいです」
「限定とか細かいことを気にするこたーないさ。描きたいものを思いっきり描けばいいと思うぜ」
頬をちょっぴり染め上げながら画材を抱きかかえる柚澄に対し、ファルケはそう声を掛けながら画材の運搬を手伝う。
そしてファルケと向かい合い、柚澄はイーゼルを立て、そこにキャンバスをかける。彼女が描くのは油絵だ。
ジッとしてるのは性に合わないと、ファルケもモデルになりながら小さいキャンバスで絵を描き始めた。
何を描くのか――それは当然、恋人たる柚澄だ。
筆を滑らせながら、ふと柚澄は考える。相手の顔を描くということはつまり……ファルケをしっかり見ないといけない。
「ああ、あ、ファルケさんそんなに見つめないで! あ、でもそれじゃあ描けないし……!」
「てーか、恥ずかしがるなよ。じっと見つめなければ描けないって」
ちら、とファルケを見たかと思えばすぐにキャンバスで顔を隠す柚澄。
そんな彼女にツッコミを入れつつ、ファルケもまたキャンバスとにらめっこ。絵に自信はないけれど、思いの丈を叩きつけるという所は歌と同じだ。
ふと、想い出すのは今年の2月14日――柚澄から告白され、そして付き合った日のことだ。
あの時も最初は今のように、向かい合っていた状態だった。懐かしく感じながら、さらに描き進めて。
お互いの絵が完成して、いよいよ見せ合いっこ。
ちょっぴり恥ずかしく思うファルケに対し、柚澄は笑顔でいっぱいだ。
きっと理想どおりの――カッコいいファルケの姿を描くことができたのだろう。
今回は互いに『好きな仕草』を描いてみようと、提案したのは雪緒だ。
それに清十郎も頷いて、最初は彼の方が『食事をあーんして食べさせてくれる』シーンを選んで雪緒を描き始めた。
モデルの雪緒が、清十郎の希望を聞いてポーズをとる。手にスプーンか何かを持つフリで、口元まで差し出すような仕草だ。
「あーんしてって、こんなかんじでしょうか」
そう訊ねながら、ふわりと優しく微笑む雪緒。
いつも二人で食事をしている時のように、思わず清十郎は「あーん」と口を開いてしまって。けれどこの可愛い雪緒はあくまで絵のモデル。何も食べられない理不尽さに対して清十郎は思いをぽつりと零す。
「雪緒……、コレ終わったら何か食べて帰ろう」
「……ですね、物凄く賛成なのです」
二人とも食欲を刺激されながらもなんとか描画を一段落させ、次は雪緒が描き手にまわる番に。
好きな仕草が沢山あるなかで一つを選ぶのに悩みながらも、彼女が選んだのは『手を差し伸べて微笑んでくれた時』の清十郎だ。
「確かにこうして雪緒を誘う事が多かったかな?」
雪緒の希望どおり、清十郎は手を差し伸べるポーズをとりながら、彼女に微笑みを向ける。
その笑顔にドキリ、と胸が高鳴り、雪緒は彼の手を取りたくなるけれど――この手は今は筆を握っているからと、衝動を抑える。
「むう……誘惑の多い部門です。でも気持ちを込めて描くのですよ」
けれどその分、想いはキャンバスいっぱいに込めて。仕上げをすれば……ほら、出来上がり。
二つのキャンバスに描かれた、愛する人の優しい笑顔。まるで想い出の1シーンを切り取ったように、色鮮やかな姿だった。
「こうして描いてもらうのも、3回目っすか。年中行事みたいになってるっすね」
そう言って、今年もまたモデルになる菜々は式へ笑みを向ける。
大好きな人の絵を描くのは、すごく楽しい――改めてそう想いながら、式は手慣れた様子で筆を滑らせた。
菜々の一番好きな表情は……あえて今回は描かない。彼女の一番好きな所は、誰にも見せたくないから。
だから、今回描く表情は2番目に好きな普段の表情。
いつも見ている彼女の表情だけれど、それを見ていられるのが一番大切な時間なのだろう。
この幸せな時を十二分に噛みしめて、式はキャンバスに菜々の姿を大きく描く。
「お疲れ様。今年も良い出来だと思うよ」
筆を置いて、菜々の隣へと席を移す式。すると菜々はさらに笑顔をいっぱいに咲かせて、式の頬へと口づける。
「ありがとうっすよ」
それは自分を描いてくれた彼への、感謝の気持ち。
驚きながらも幸せそうに口許を緩め、式は自分の膝をぽんぽんと示して膝枕の用意を。
「いつも迷惑かけちゃってゴメンね。ゆっくり休んで」
お互いを労り、感謝を伝えて。きっと二人の気持ちは色褪せることなく続いてゆくだろう――。
空き教室から、元気な犬の鳴き声が響く。
それは朔楽の霊犬『伊勢』のもの。伊勢を抱いている朔楽を描くのは、彼の大切な人である花音だ。
まずはイメージを固めようと、花音は考えこむ。朔楽といえば故郷奈良の桜……桜といえば、春。
ピン、ときて、花音は顔いっぱいに笑みを咲かせた。
(「桜のように綺麗な朔楽さんと、タンポポの綿毛みたいな伊勢さんっ」)
さっそく画材を用意して、描画を始める。使うのは水彩絵具とクレヨンだ。
パレットにはたっぷりの白い絵の具に、ちょっぴりの赤を混ぜて――桜の花弁のような朔楽の髪の色を作り出す。
そして笑顔の朔楽を、じっと観察する。目が何度も合って照れてしまうけれど、恥ずかしがらずちゃんと彼を見つめて。
手際よくキャンバスを彩っていく花音の姿に、朔楽は関心しながらも思わず見惚れてしまう。
めくるめく魔法のように色を帯びるキャンバスだけでなく、真剣な表情で描き進める花音もまた非常に魅力的だった。
(「……あの綺麗な絵は、花音さんが見ている『僕』なんだよな」)
伊勢をぎゅっと抱きしめながら、朔楽は幸せそうに柔らかく笑う。
――嗚呼、なんて僕は幸せなんだろう。花音さんも幸せだといいな。
その想いはキャンバス越しに、彼女にも通じているようで。
――朔楽さんの笑顔が大好きです。描いてる間、ずっと見れるなんて幸せですっ。
キャンバスに紡がれた麗らかな春のひだまりは、二人の心をも優しく照らしていた。
人物画の裏ルールが恋人限定だなんて知らなかったなぁ――そう言って、へらりと笑うエドアルド。
そして傍らのアレクシアの顔を覗き込んで。
「ということで……アレク、一緒に描きっこしない?」
その誘いにアレクシアは頷いて、手を繋いで空き教室へと共に行く。
(「素敵な絵になるよう……一生懸命頑張ります……!」)
グッと小さく拳を握って、気合は充分。けれど焦らず、絵を描く時はゆったりと。
エドアルドが気を利かせ、落ち着いた曲調の音楽を流して。二人は筆をとり、ゆっくりと描き進める。
いつもは余り見せない真剣な表情のエドアルドも魅力的で描いてみたいけれど――今回アレクシアが選んだのは、いつも見せてくれる笑顔のエドアルドの姿だ。
(「……その明るく、……太陽のように……優しい笑顔に……。……僕は、……『恋』という……感情を、……憶えた……から……」)
自分が夜に息衝く月であるならば、彼は暖かな日差しを運ぶ太陽だ。
その優しい笑顔に惹かれ、『恋』を憶え、今はこうしてキャンバスに想いを込めることができる。
描く最中に長く美しい白の髪をかき分け、アレクシアはじっと彼を見つめる――その姿を、当のエドアルドは描き納めていた。
真剣な眼差しも、仕草も、何もかも全てが大好きで愛おしい。柔らかな水彩で仕上げて、互いに描き終えることができた。
「上手く上手くないは……まあ、ご愛嬌ってとこかな。でも、絵も料理と一緒だね」
――きっと愛情を注げは、分かる人は分かってくれるはず。
想いがいっぱい納められた、二人の肖像画。技術よりも、愛情。それが何よりも伝わってくる絵が出来上がった。
正面には愛する人がいる。けれど、本当は目を瞑っていたって彼を描くことはできる。
目の前にいる恭輔を見つめながら、リィザは慣れた手つきで筆を走らせてゆく。
恋をしてから、いつもいつも、彼のことばかりを考えて――何度もこうしてキャンバスに描き続けてきたのだ。
やんちゃに跳ねた茶色いくせっ毛。琥珀のような瞳は、明るいのに落ち着いた不思議な色をしていて。私の髪を梳いてくれるその指先は、何よりも優しくて。
――その瞳の奥に棲みつく野性と、影だって。
(「……すごくすごく、大好きです」)
想いをぜんぶ、このキャンバスに描くには空白があまりに足りなすぎるけれど、それでもギュッと詰め込んで。
一方、モデルの恭輔は特にやることもなく、キャンバスと向かい合うリィザの姿を目で追っていた。
きらびやかなブロンドの髪は長く、毛先にはふんわりとしたクセがついていて。真っ白なその肌は、今ではちょっぴり頬に絵の具がついている。
彼女がキャンバスへ注目すると、口許を引き締めて力が入るからか、仄かに朱を帯びる唇。
そして最後に、美しく輝くルベライトのような瞳。こちらとキャンバスを交互に見るたび色合いを変える。
神秘的で、不思議な色だ。どうしてこうも惹き込まれるのだろう――と、考えた所で。
ああ、そうか。口許を緩め、恭輔は思わず想いを零す。
「俺、リィザの目が好きだな」
その声に「えっ?」と声をあげて筆を止めるリィザ。その後も恭輔は自然と続けて、
「その他の部分も好きだけれど、目が一番好きだ」
唐突で、それでいて嬉しい発見。彼が告げた素直な気持ちを受け取り、リィザはルベライトの眸を細める。
――あなたの瞳には、私の瞳がうつっていたんですね。
「やっぱり描き合いじゃなくて、私はモデルだけでもいいかしら?」
誘われようとなかろうと、エルにしか描いてもらう気はないから――そう言って、絵里琉は小さく笑ってみせた。
自分を描かれるのは照れてしまうけれど、ノエルに描いてもらった自分はどんな姿なのだろう? 完成を心待ちにしながらも、ポーズをどうとるべきか考える絵里琉。
(「――相手が絵里琉さんである以上、妥協はなしだ」)
恋人がモデルになってくれるということで、ノエルは真剣にキャンバスと向き合う。
好きだよ。という言葉だけでは伝えきれないこの想いをあらわすには、この人物画部門への参加は絶好の機会だろう。
ノエルは筆を走らせながら、絵里琉への愛しさを囁く。
たとえば、艶やかな黒髪が、翡翠のような瞳が、雪のようなその白い肌が、大好きであると。
「はにかむ笑顔が、照れる仕草が、優しい声が……」
流れるように紡がれる言葉に、モデルであることを忘れないよう絵里琉は平常心を心がける。
話しかけられ、照れてしまうけれど――こうしている時は二人きりの特別な時間なのだ。
彼の愛を受け止め、満足のいく作品に仕上がるよう、絵里琉はモデルとしてノエルと向かい合う。
この時間を心から大事にしているのは、ノエルも同じだ。
白く区切られた枠の中に、どれだけの愛を詰め込めるだろう。
ひと筆を大事に、描き終わるまでの時間を惜しむように――彩り豊かなこのひとときを、たっぷりと味わおう。
そうして甘い時間を過ごし、仲睦まじく、作品は次々と完成されていった。
作者:貴志まほろば |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年11月13日
難度:簡単
参加:20人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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