喰らうは浮世を儚む恋

    作者:悠久


     叶わぬ片恋に胸震わせたたおやかな娘は、やがて1本の桜の木へ姿を変えた――。

     山奥に整備された公園の一角。湖を望む広場に、まるで張り出すように生えた1本の桜。
     その傍らでは、トレンチコート姿の1人の女性がしげしげと木を見上げていた。
     今宵は月夜。木々の梢を避けるように差し込む月の光と、幾分か整備された街灯だけが周囲を照らし出している。
    『……叶わぬ恋に身を焦がすなら、この桜に近付いてはいけないよ。いずれ散る恋の定めならばこそ、桜はお前を憐れんで、共に咲く花になろうと身も心も絡め取るだろう……ふふ』
     長い黒髪を夜風に遊ばせ、女性はまるで歌うように言葉を紡ぐ。
     それは、山の麓で言い伝えられている物語。
     叶わぬ恋に世を儚み、桜に姿を変えた女性が、同じように恋に悩む人間を喰らってしまうという都市伝説。
    『嗚呼、素敵だわァ……。この、胸が締め付けられるような切なさ。やっぱり、恋っていいものねェ』
     うっとりとそう呟くと、女性は桜の木を抱きしめるようにそっと幹へ両手を添わせた。
     と――ばきん、と。凄まじい音を立てて、桜の木が無残にへし折れる。
     およそ女性のものとは思えない行い。折れた木の枝は、まるで悲鳴を上げるようにざわざわと揺れた。
     だが、女性は意に介する様子も見せず、木の枝をぱきりと折ると、プレッツェルスティックでも食べるかのように口元へ運び、それを喰らった。
    『さァ……貴女の素敵な物語、たっぷりとワタクシに味わせて頂戴な……ふふ、うふふふふ……』
     女性は笑う。ありったけの悦楽と愉悦を塗り込めたかのような顔で。
     女性は手繰る。傍ら、トレンチコートの懐に隠した黒い手帳の頁を、愛でるように指で撫ぜる。
     女性は喰らう。都市伝説を。何故なら、彼女は――。


    「タタリガミの出現を予測したよ」
     教室に集まった灼滅者達を見回し、宮乃・戒(高校生エクスブレイン・dn0178)は開口一番にそう告げた。
     タタリガミはトレンチコートを着た黒髪の女性の姿をしており、月夜の晩、山奥の公園に存在する都市伝説を喰らうのだという。
    「君達に、このタタリガミの灼滅をお願いしたいんだ」
     灼滅者達が介入できるタイミングは、タタリガミが都市伝説を喰らった直後となる。
     真夜中のため、山奥の公園に一般人の姿はない。照明は乏しいなりに設置されているが、月の光と合わせても心許ないことだろう。余裕があれば持ち込んだ方がいいかもしれない。なお、周囲は戦闘に十分な広さがある。
     出現するタタリガミは女性1人。どうやら、恋にまつわる都市伝説を好んで捕食しているようだ。
     使用サイキックは七不思議使い、バトルオーラに似たもの。ポジションはクラッシャー。灼滅者8人と互角の強さを持つため、油断せず相対することが重要だ。
    「叶わぬ恋を喰らう、か……。いくら都市伝説とはいえ、哀しい最期を迎えると知るのは、あまり気分のいいものではないね」
     そう呟いて、戒はそっと目を伏せた。


    参加者
    不動・祐一(幻想英雄譚・d00978)
    犬塚・沙雪(黒炎の道化師・d02462)
    鏡・瑠璃(桜花巫覡・d02951)
    咬山・千尋(高校生ダンピール・d07814)
    夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)
    丹下・小次郎(神算鬼謀のうっかり軍師・d15614)
    鹿島・悠(赤にして黒のキュウビ・d21071)
    富芳・玄鴉(語り部フォーさん黒カラス・d33319)

    ■リプレイ


     桜の木の下には、死体が埋まっている。
    「……なんて話がありますが」
     夜空には煌々と輝く月。木々の梢を揺らす風に黒髪を散らし、鏡・瑠璃(桜花巫覡・d02951)はふと肩を竦めた。
    「実際はそんなものが埋まってたら枯れてしまうという話ですね。デリケートですので」
     所詮はただの与太話だ。けれど、どうしてそんな言葉が唇に上ったかといえば。
     山奥の公園の一角、都市伝説と化した1本の桜。そして、それを喰らうダークネス――タタリガミ。
     その出現の予測を受け、灼滅者達は事件現場へと向かっていた。
     公園に設置された街灯は、夜を照らすには少しばかり心許ない。
    「伝説の桜。なんてものもありましたね、そういえば」
     そう瑠璃が話せば、頷く咬山・千尋(高校生ダンピール・d07814)の頬が仄かな灯りに照らされる。
    「せっかく綺麗な桜なんだからさぁ、そういう不吉な噂よりも恋愛成就の噂とかを流したほうがいいと思うんだよなあ。観光スポットにもなるし」
     もっとも、そうして人を呼ぶ場所になったところで、今のところ千尋に縁のない場所には変わりないのだが。
    「都市伝説には人の思いが伝わるうちに変化していっても、その思いは変わらずに残るものもあります」
     夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)は、どこか複雑そうな表情でそう口にして。
    「できるなら、そういった思いを大切にしてくれる人に回収していってほしいですね」
     タタリガミの欲望のまま食い散らされるなんて、もってのほか。
     ふわりと眉を寄せた炬燵の横、不動・祐一(幻想英雄譚・d00978)は頑丈なランタンを地面へ置きつつ、後頭部を軽く掻いた。
    「あー、いるいる、こーいうの。お菓子食いながら恋愛小説やらマンガやらドラマやら見てんのな」
     呆れた声を響かせながら、祐一の視線は既に目的地へと向かう。光源の向きを微調整すれば、そこに照らし出されたのは、今まさに桜の木を手折るトレンチコート姿の女だ。
    「不粋とはこういうことを言うのかね」
     丹下・小次郎(神算鬼謀のうっかり軍師・d15614)も既にカンテラの設置を終え、桜の枝を口へと含む女の姿をどこか苦い表情で見やる。
    「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿という諺があるんだけどなぁ」
     もっとも、目の前の女に『粋』などを求めても、野暮というものかもしれない。
     タタリガミ。己の欲望のまま都市伝説を生み出し、喰らい、進化するダークネス。
     灼滅者達の目に映るその姿は人間の形をしているものの、ひどく醜悪な雰囲気を醸し出していた。
    「恋にまつわる都市伝説の蒐集者、ですか……」
     鹿島・悠(赤にして黒のキュウビ・d21071)が腰に吊るした光源を点ける。
    「後学のため、他にどんな都市伝説があったか、くらいは聞いておきたいものですが、さて……」
     果たして、会話が成立する余裕はあるだろうか、と。
     恋物語に興味を示す悠の横、頭部にライトを装着した犬塚・沙雪(黒炎の道化師・d02462)の全身から殺気が生まれ、周囲を覆うように膨れ上がった。
     沙雪が相手を見据える。タタリガミと戦うのは初めてだが、やることはいつもと変わらない。
     ただ、灼滅あるのみ。
    「桜木を手折るのに鯖折りはいけやせんなぁ。風情がありやせん」
     富芳・玄鴉(語り部フォーさん黒カラス・d33319)は芝居めいた口調で言葉を紡ぎ、おもむろに首を横に降る。
    「抱きしめ生気を吸い静かに枯らすのが風流かと思いやす。そうそう、桜と言えば、以前あっしが……」
     流れるように語る言葉は百物語。人を遠ざけ静けさ満ちる月夜の下、灼滅者達に気付いた女が桜の枝を飲み込み、微かに笑う。
    『……もしかして、ワタクシの邪魔をしようというのかしらァ?』
     快楽に蕩けたその顔に殺意が閃く頃には、既に、灼滅者達はそれぞれの武器を構えていた。


     トレンチコート姿の女――タタリガミ目掛け、真っ先に戦場を駆け抜けたのは沙雪。
     その顔に、常ならば戦の際に装着する仮面はない。灯りの足りない場所での戦闘において、視界を奪われることを懸念したためだ。
     沙雪は冷静な戦士の表情で敵を見据え、傍らに携えた槍を螺旋の如く突き出す。女のトレンチコートが巻き込まれるように破れ、ぱっと布片を散らした。
     だが、タタリガミは不気味な笑みと共に破れたトレンチコートの裾をたなびかせ、灼滅者達へと迫る。
    『楽しみを邪魔されたのは興醒めだけれど、食事前の準備運動も悪くないわァ』
     タタリガミはまるで愛しい相手を抱きしめるかのような仕草で、沙雪目掛け幾重もの拳を繰り出して。
     千尋がすかさず、二人の間に体をねじ込むようにしてそれを受け止めた。
    「お前か、伝説を勝手に捻じ曲げて楽しんでいるヤツは」
     次撃に備えタタリガミが後ろに飛び退った隙を逃さず、千尋は素早くサーベルを抜き放ち、一閃。破邪の光は敵へダメージを与えると共に、仲間を守る盾たる千尋の守護を強化していく。
    「悲恋が好物なんだってな。そりゃ、胸焼けしそうで、消化に悪そうだ」
     千尋の脇をすり抜けるように、走る小次郎がそう言い放つ。
     ヘッドライトで女を照らし、小次郎は火遠理を大きく振り回した。打ち付け、突き出し、叩き潰して。乱暴な格闘術で、相手を足止めする算段だ。
     小次郎と入れ替わるように飛来したのは、祐一が刻むソニックビート。うねるような低音の波が、タタリガミ目掛け響き渡る。
    「恋愛ごとが好き、大いにけっこーけっこー。ただそれで満足しないんだよな、お前らは」
     憧れ、焦がれ、集めた末、待ち受ける結末はどこまでも破滅的だ。
     ――だから、止めるさ。唇だけでそう呟いて、祐一は焔笊をかき鳴らした。霊犬、迦楼羅も斬魔刀で主に続く。
    「では、台無しにしましょう」
     と、瑠璃はピックを指で弾いてキャッチ。それを合図とするように、舞うような足取りで女へ急接近する。
    「幻想が現実に追い付く前に、潰えろッ!」
     叫んだ勢いのまま、瑠璃は鬼神の如く変化した腕を叩き付けて。
     次撃に備え後方へ下がる瑠璃と入れ替わるように、炬燵の伸ばした影の触手がよろめく敵を縛めた。
    「好き勝手に動いたらいけませんよ」
     炬燵のポジションはジャマーだ。影縛りは幾重もの捕縛を敵に与え、急速に敵の動きを鈍らせていく。
    「さて、貴女の好む話はどんなものにございやすかねぇ」
     タタリガミの隙を突くように、後方、玄鴉がレイザースラストを射出する。
     正確に狙い定めていくその口元には微かな笑み。滑らかに紡がれるのは、『物語』る言葉。
    「ボクとしては、あなたが集めたという恋物語に興味があるんですが」
     玄鴉に続いて攻撃を仕掛けた悠は、刃片手にタタリガミに肉薄しつつ、そう話しかけた。
    「参考までに、あなたのお気に入りの物語など聞かせてもらえませんか?」
    『あらァ、勉強熱心ねェ。そういうお年頃なのかしらァ?』
     破邪の白光放つ刃を片手で防ぐと、タタリガミはニィ、と笑みを浮かべる。
    『そうねェ。わたくしが纏うこの女の物語は傑作だけど……聞きたァい?』
     タタリガミは捕食した都市伝説と同じ姿になれる。よほどのお気に入りなのだろう、女の口調はどこか嬉しそうで、楽しそうで――しかし。
    『裏切られた女は愛する男を追って、追い続けて、やがて……ふふ、うふふ!』
     タタリガミの言葉が怪しげな力を纏う。それが執着する怨念――攻撃だと悟った瞬間、悠の体は自然に反応していた。
     悠が女の力を受け止めると同時、その背後から飛び出したビハインドの十字架が、霊撃による攻撃を仕掛ける。
     どうやら、あまりゆっくり話す余裕はないようだ。少しばかり残念そうに肩を竦め、悠は再度、武器を構えた。
     ――戦いは、まだ始まったばかり。


    『むかァし、婚礼の前日に身投げした花嫁がいたそうよォ。何故かって? それはねェ……』
     タタリガミの声が不気味な震えを帯びれば、言葉は毒へと変じ、灼滅者達の体を蝕んでいく。
     ひらり、神楽を舞うが如く巫女服の裾をひるがえし、瑠璃は清めの風を呼んだ。ざっと舞い散る桜吹雪。風が仲間達の傷を癒し、体内の毒を清めていく。
    「演じること。夢見ること。そして疲れ果て、捨てられたそれらが行き着いた場所……といったところでしょうか」
     タタリガミの紡ぐ物語は凄惨であり、物悲しくもあり。その言葉はたびたび灼滅者達を痛めつけていた。
     瑠璃の生み出した風の中、霊犬、迦楼羅が戦場を走り回り、傷ついた灼滅者を浄霊眼で癒す。
    「それが恋である……などと、僕は思いませんよ」
     前衛で守護に立つ悠が、不意にぽつりとそう呟いた。大切な人の面影が、脳裏に優しく、温かく描き出される。
     刹那、悠の手に装着されたWOKシールドが仲間達を包むように展開された。
     ――戦いは佳境を迎えていた。ここまで、灼滅者達とタタリガミはほぼ互角に渡り合っている。
    「っ……! 少しはその口を、閉じろ!」
     仲間を庇いタタリガミの攻撃を受け止めた千尋が、瞬時に断斬鋏を閃かせた。女の髪がジャキン! と音を立てて断たれ、そのまま鋏へと吸収される。
    『嗚呼、酷いことをするのねェ。自慢の黒髪が台無しだわァ』
     ニタリと笑うタタリガミを、千尋は鋭く睨みつけた。同時に、仲間を守り、負った傷が、鋏から吸収された力によって少しずつ癒えていく。
     と、不意にタタリガミの懐、力が急速に収束して。
     放たれたオーラキャノンはまっすぐに後衛の玄鴉へと向かった。だが、ビハインドの十字架が素早く射線へ割り込み、身を挺して攻撃を受け止める。刹那、その姿がふっと掻き消えて。
     玄鴉は感謝を示すように、帽子を押さえ悠へと一礼。それから、片腕を蒼い異形の刃へと変じ。
    「身を切る悲しい悲恋の物語、お好みで?」
     問いかけと共に、玄鴉がタタリガミの胴を深々と切り裂く。
     返す刃でもう一撃。不可思議に交錯する視線は、しかし、女の後退と共に絶たれた。
     深手を負った体を癒すため、タタリガミは幾度目かも分からない言霊を紡ぐ。同時に、蓄積されていた行動阻害も解除されていく――が、それが、今まさに勝敗の明暗を決定付けようとしていた。
     灼滅者達は初手から行動阻害を積み重ね、敵は定期的にそれをキュア。その繰り返しが、少しずつではあるものの灼滅者達の攻撃の手番を増やし、また、解除し切れない行動阻害が相手を追い詰めていたのだ。
    「さぁ、そろそろ大人しくしてくださいね」
     ふわりとそう口にした炬燵。その指先から放たれた制約の弾丸が、敵の体をさらに強固に麻痺させて。
     動きの鈍った女へ、小次郎もすかさず地を滑るように接近。鋭く繰り出された蹴りは、流星の煌めきを纏い、敵の腹部へ深々と刺さる。
     女の口から、不気味な笑みではなく空気の抜けるような悲鳴が漏れて。小次郎はくい、と眼鏡を指で押し上げた。
    「そろそろ、十分に効く頃でしょう?」
     小次郎のヘッドライトで照らされる女。動きは鈍り、ダメージも継続的に重なり。それでも、破れたトレンチコートを引きずるように、なおも灼滅者達へと敵意の言霊を紡ぐ、その姿。
    「燃えるような恋もしびれるような辛さも俺は知らない」
     祐一の流した血が炎を帯び、夜の闇を照らした。
    「けど、身を燃える熱さと、痺れる痛みなら教えてやれる」
     炎はやがて武器へと伝い、敵を焼き尽くさんと激しく燃え盛る。言葉と共に祐一が叩き付けた一撃が、タタリガミの体を炎で包み込んだ。
     上がったのは――絶叫。
     愛も恋も、相手がいるからこそ成立しうるものだ。
     だが、たった1人、それを好き勝手に喰らい尽くすというのなら。
    「お前にはこっちの方がお似合いだよ、一人身女」
     祐一のその言葉は、果たして女の耳に届いたか。それは誰にもわからない。
     ただ、激しく苦しみ悶えるタタリガミの姿を好機を見据え、沙雪は抜き身の刃の如き鋭さで戦場を駆けた。
    「炎一閃!」
     燃え盛る炎を槍に纏わせ、沙雪は強烈なまでの刺突を敵目掛け繰り出した。
     手ごたえは重い。炎は流し込まれるようにタタリガミの体を包み込み、また、槍の先端は相手を深々と穿つ。
     それが、致命の一撃となった。
     女の絶叫は激しく大気を揺らし、そのうちふっと途絶える。
     静まり返った夜の下、女の形をした炎の塊が、ぱたりと地面に倒れ込んだ。
    「我が槍に貫けぬもの無し!」
     動きを止めた女を背に、沙雪は槍に纏った炎を振り払った。
     

     急速に消滅していくタタリガミを、祐一は静かに見やり。
    「ってことで、帰るとするか」
    「そうですね。いつまでもここにいる必要はありません」
     ひとつ頷く小次郎。
    「そうと決まったら、さっさと片付けよう」
     千尋の言葉を号令に、灼滅者達は撤収の準備を始めた。用意した照明器具を片付け、戦闘の余波で荒れた周囲を軽く整える。
     と、不意に悠の視線が公園の奥、都市伝説の桜が生えていた場所を捉えて。
    「当然ではありますが、桜の木が消えてしまうというのは、少し物悲しい気もしますね」
     悲恋の桜に限らず、タタリガミは戦いの中、数々の恋物語を七不思議の如く語っていった。
     それらは、悠の心の中、後学のための知識となっただろうか。
    「恋、悲恋に纏わり人の命に係わることもあるとは言え、捕食されるというのは……何というか、ある意味可哀想といえば可哀想だったのかな」
     沙雪はふと柔らかに眉を寄せ、消えてしまった桜――悲恋の都市伝説を想った。
    「歪みし理は……潰えるが道理」
     ぽつり、そう呟いた瑠璃が爪弾く音色はレクイエム。物悲しい音色が、夜の静寂に響き渡る。
    「では、帰りましょうか」
     片付けを終えた炬燵が、懐中電灯を片手に暗い帰り道を先導した。
     歩き出した仲間達を横目に、玄鴉は静まり返った公園を振り仰いで。
    「……それでは皆様、お耳を拝借。これより語りますは、桜に恋し桜に愛され桜と共に散る、儚き女の物語」
     俗世の酸いも甘いも噛み分けるように、明朗な語り口が物語を紡ぎ出す。
    「怖い話? いいえ、これはそう……悲しい話」

     そうして、ひとつの幕が下りる。

    作者:悠久 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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