荒くれる鬼たちの宴

    作者:天木一

    「何が破門だ! 人を襲ってはいけないだの、小うるさい事ばかり言いやがって、やってられるか!」
    「本当だぜ、俺達は好き放題できると思ったから下についてたってのによ」
    「もう天海大僧正なんぞ落ち目だぜ、これからは安土城怪人様の時代だ!」
     道端で怒鳴り散らしている3人のごつい男達が止まっているバイクや車を腹いせに蹴り飛ばした。
    「だがこれで清々した。言われなくてもこっちから縁を切ってやるっつーんだよ!」
    「ああ、これからは好きに暴れまわってやるぜ」
    「なんたって俺達には安土城怪人様がついてるんだからな!」
     3人は馬鹿騒ぎしながら道を歩く。
    「おい、まずは腹ごしらえしてこうぜ」
    「そうだな、ったく精進料理なんて食ってられるかってんだ」
    「あそこにファミレスあるな、店のモン全部食っちまおうぜ!」
     指差す先にはお昼時の客で賑わうファミリーレストランがあった。
    「いいねぇちょうど肉が食いたかったんだ」
    「俺はまずは酒だな」
    「それじゃあ入るぜ」
     男がドアを蹴破って中に侵入する。
    「ヒャッハー、おらおら、ここは今から俺らの貸切だ!」
    「出て行くか、ぶっ飛ばされるか好きなほうを選べや!」
    「さーて、楽しいパーティーといこうか!」
     反抗する人間を殴り蹴飛ばし、ファミレスを占拠した男達の宴が始まる。
     好き放題する男達の頭部には、鬼の如き角が生えていた。

    「闇堕ちした刺青羅刹の『依』から再び学園に連絡が入ったみたいだね」
     教室に集まった灼滅者を前に、能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が新たな事件について話始める。
    「天海大僧正は『人間の殺害の禁止』『人間を苦しめる行為の禁止』『灼滅者と遭遇時は戦わずに逃走する事』という命令を配下に出したようなんだけど、それを不満とする粗暴な羅刹達が、天海大僧正勢力を離反してしまい、安土城怪人勢力に寝返ってしまったみたいなんだよ」
     呆れたように溜息を吐く誠一郎。
    「離反した羅刹は破門されたんだけど、人を襲う可能性が高いという情報だったんだ。それを元に調べた結果、羅刹達が暴れる事件を特定できたんだよ。それをみんなの力で未然に防いで欲しいんだ」
     今ならば羅刹が一般人に被害を出す前に阻止する事が出来る。
    「敵は街中のファミリーレストランを襲うみたいでね、お昼時だからお客さんも沢山いるし、このままだと死傷者も出るような事態になってしまうんだ」
     敵が現れる前に現場に到着できる。待っていれば敵が現れるだろう。
    「羅刹は3体、個々の能力は高くないから、みんなの力を持ってすれば倒す事ができる相手だよ」
     どれも粗暴で、暴力行為を好む鬼達だ。特に弱い者をいたぶるのを好むので、一般人が巻き込まれないように気を配る必要がある。
    「天海大僧正が学園との停戦の為に出た離反者だからね。こちらと無関係という訳でもないし、放っては置けないよね。みんなの力で退治してきて欲しい」
     誠一郎の言葉に灼滅者達は頷く。得た情報を無駄にしない為にも、被害が出ないように作戦を練り始めた。


    参加者
    神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)
    高峰・紫姫(辰砂の瞳・d09272)
    本田・優太朗(歩む者・d11395)
    大御神・緋女(紅月鬼・d14039)
    月光降・リケ(月虹・d20001)
    菊月・笙(神さまの愛し子・d23391)
    凪野・悠夜(朧の住人・d29283)
    深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)

    ■リプレイ

    ●お昼時
     お腹が減るような料理の香りが漂うファミレスは、昼食をとる人々で賑わっていた。
    「急遽、避難訓練を、行う事に、なりました。お客さんにも、協力していただく、ようにと、本部からの通達、です」
     関係者を偽った神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)が店長に伝える。
    「ええ? そんな連絡急に言われましても、今からですか?」
    「本部の人間が、近くで、きちんと、みています。……ボクの言葉を、信じるか、信じないか。……そこも、評価、項目、にあります、から……」
     渋る店長を説き伏せ、店長に避難訓練を始めさせる。
    「それでは始めましょうか」
     闇を纏って一般人の視界から姿を消した本田・優太朗(歩む者・d11395)が厨房に忍び込み、発炎筒を使って煙を起こす。それと同時に非常ベルが店内に鳴り響いた。
    「申し訳ありません、これから避難訓練を始めます。お客様はゆっくりと外に移動してください!」
     ベルを止め、店長が客に頭を下げて説明を繰り返す。
    「うぬぅ、みにすかーとは足がすーすーするのぅ」
    「離反した羅刹たちの横暴……なんとしても止めないといけませんね……」
     ウエイトレス姿となった大御神・緋女(紅月鬼・d14039)は短いスカートを気にしながら、同じく深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)はおどおどとどう働けばいいのか周囲を窺いながら店員として紛れこんでいた。2人はその身からフェロモンを発散する。
    「こっちじゃ、気をつけて移動するのじゃ」
    「あのっ、お客様、申し訳ないですけど、避難していただけないでしょうか……」
     手招きして声を掛けると、緋女と樹は周囲の人々が目を釘付けにして出入り口に向かわせる。
    「はいはーい、抜き打ちの避難訓練だよ。慌てないでゆっくり避難する様にね?」
     気さくに声を掛ける凪野・悠夜(朧の住人・d29283)は、人々が疑問に思う暇を与えぬように指示を与えていった。
    「大丈夫ですから、慌てずに外に出てください」
     高峰・紫姫(辰砂の瞳・d09272)が子連れの母親に安心するように笑みを浮かべて誘導した。
     客の大半が外へ出たところで、流れに逆らい逆に店に入ってくる男達が現れる。
    「ヒャッハー、おらおら、ここは今から俺らの貸切だ!」
    「ああん? えらい人が少ねぇな」
    「俺達の為に貸切にしてくれてんじゃねぇの!」
     店員を押し倒し、我が物顔で男達が出入り口を塞ぐ。
    「ただ暴れたいだけの子供みたいな相手ですね、そんな者に治安を乱されるわけにはいきませんよ」
     月光降・リケ(月虹・d20001)が鋭い視線を向けて羅刹達の前に出る。そして手にした槍を突き出した。穂先が羅刹の腹に突き刺さる。
    「あ? な、何してやがるぁ!?」
     驚いた顔で槍を引き抜き、羅刹が怒鳴り飛ばす。
    「見て分からないんですか? ゴミ掃除ですよ」
     冷静ながらもそのリケの声には嫌悪を含んだ冷たさがあった。羅刹達は取り囲むようにリケに近づく。
    「ちょっと怖い思いさせてまうけど……堪忍してな」
     リケが注意を引いている間に、菊月・笙(神さまの愛し子・d23391)が全身から殺気を放つ。すると店員達も逃げるように動き出した。逃げる人々の背中を守るように笙は羅刹の前に立ち塞がった。

    ●羅刹の宴
    「おい、今からここは俺達が宴会するんだよ! 邪魔すんじゃねぇ!」
    「そうだ! これからここで好き勝手に飲み食いするんだよ、さっさと食い物と酒持って来い!」
    「さぁ、パーティーの始まりだー!」
     騒がしく羅刹達は好き勝手にわめき散らし、暴力を見せ付けるようにあたりの机や椅子を叩き壊す。
    「……つくづく、身勝手な、羅刹たち、ですね……。……安土城怪人も、よく、こんなのを、受け入れ、ました、ね……」
     呆れたように蒼(大地に咲く旋律・d03337)は鬼達の堕落した行動に眉を寄せた。
    「い、いらっしゃいませっ」
     樹がビクッと脅えたように声を出す。
    「いらっしゃいませ。こちら、メニュー表になります」
     優太朗が恭しくメニュー表を差し出す。するとひったくるように羅刹が受け取る。
    「なかなか殊勝な態度じゃないか、あーん、なになに……って何だコリャ! 水しかねーじゃねぇか!」
    「水しかないとかふざけてんのか? あ?!」
    「酒出せ酒!」
     羅刹はメニュー表を破り捨てて睨みつけた。
    「水以外? ええ、ありますよ……カレー……粉風味のお水が」
     そう言いながら優太朗は水を掛け、視界を奪った隙に帯を飛ばして羅刹の体に突き刺した。
    「ぐわぁっ」
    「客に対してよくも! こうなったらここに居る奴、全員皆殺しだ!」
    「血祭りに上げてやるぁ!」
     殺気を撒き散らしながら羅刹達が襲い掛かってくる。
    「天海大僧正の件は引っかかっているんですけど……」
     刺青羅刹の『依』の事を思い出し、紫姫は羅刹に対して複雑な気持ちを抱きながらも、今は目の前の悪い鬼達をどうにかしようと動き出す。
    「無関係の一般人に危害を加えさせるわけにはいかないから……」
     紫姫は漆黒の翼の形をした縛霊手を展開し、羅刹達の周囲に結界を張り巡らせる。その結界にぶつかり羅刹の動きが止まった。
    「天海大僧正に破門されて、腹いせですか? 低レベルですね」
     そこへリケが魔力を込めたロッドを振り抜き、羅刹は腹を打たれてくの字で吹き飛ぶ。
    「この女!」
     横から羅刹が巨大化させた腕で殴り掛かってくる。
    「悪鬼よ、覚悟せい。この紅月鬼の緋女がいざ参る!」
     名乗りを上げた緋女が符を飛ばし羅刹の腕を防ぐ。その間にリケは身を躱す。
    「テメェらぶっ殺してやんぞ! 覚悟はできてんだろうな!」
     起き上がった羅刹が風を巻き起こして傷を癒していくと、2人の鬼が一斉に襲い掛かって来る。
    「さて……コッチの用意は万端だ、派手に戦ろうじゃねぇかッ!」
     好戦的に表情を変えた悠夜は、口元に笑みを浮かべながら殺気を放つ。視認できるほどのどす黒い殺気が羅刹達を包み込んで怯ませた。
    「向こう方からの情報っていうんが怖いな。普段なんの理由があるにせよ戦うんはあんまり好まへんけど……今回ばかりは力のない一般のひとを腹いせにいたぶるなんて許せへん」
     その隙に笙が風の刃を放つ。空気を切り裂き風が羅刹を袈裟切りに傷つけた。
    「この餓鬼!」
     殺気を振り払い拳を固めた鬼が迫る。振り下ろされる拳を樹が帯を巻きつけた腕で受け止める。
    「仲間を傷つけさせませんっ!」
     樹は小さな体でありながら、羅刹の拳を押し返す。
    「……舞い狂え……」
     そこへ蒼が帯を撃ち込んで伸ばした腕を貫いた。
    「この餓鬼どもが! ぶっ飛べぇっ」
     その隣から全身の筋肉を膨らませ一回り大きくなった羅刹が体当たりしてくる。紫姫が正面に立ち黒翼を盾にして受ける。だが鬼の突進は止まらずに吹き飛ばされた。
    「私が立っている限り、仲間は倒れさせたりしないし、無関係の人たちに危害を与えさせたりはしません」
     紫姫と鬼の間に糸が繋がる。接触の瞬間霊糸を巻きつけていたのだ。ピンと糸が伸び、紫姫は空中で止まると引っ張って鬼の懐に戻る。そして縛霊手の一撃を叩き込んだ。
    「ぐぅっこの小娘が!」
     鬼はその腕を引っ張って振り回し、壁に叩き付けた。
    「そのキタネェ手を離しやがれッ」
     悠夜が鈍色の鋏で紫姫を掴む手首を半分ほど切断し、更にもう一鋏みして手首を完全に切断してしまう。
    「げぇっ俺の手が!」
     血が吹き出て手がぼとりと落ちると、紫姫の体は自由になった。
    「任せとけ! そんな攻撃なんざ幾ら食らってもすぐに元通りだ!」
     またもや風を起こして癒そうとする後方の鬼に優太朗が踏み込む。
    「お代わりですね?」
     腕を刃に変え鬼の腹を貫いた。
    「ごぼっ、おがわりも、何も、まだ頼んでねぇ!」
     口から血を吐きながら腕を振り回して優太朗を弾き飛ばし、自らの治療を施そうと手で止血する。
    「清めの風よ、癒しとなれ」
     緋女の周囲から穏やかに風が吹き抜け仲間達の傷を癒していく。
    「回復なんぞさせるか!」
     鬼が大きなテーブルを掴んで緋女に向けて投げ飛ばす。
    「させませんっ!」
     割り込んだ樹が腕を鬼の如く異形化させて振り抜き、飛んでくるテーブルを叩き割った。
    「まずは一匹」
     槍を手にしたリケが負傷した鬼に近づき貫こうとする。
    「それはこっちの台詞だっ! まずぱお前が死ねぇ!」
     だがそれと同時に横から巨大な拳がリケに打ち込まれる。脇腹に受けた鉄球のような拳が肋骨を砕く。だがそれでも攻撃の手を止めずに、槍は羅刹の胸を貫き、捻るような回転が傷口広げて心臓を潰して風穴を空けた。
    「ごふっ」
     白目を剥き鬼は絶命して仰向けに倒れた。
    「肋骨がいってもうたようやな、でも大丈夫や、すぐに元通りにしたるで」
     笙の周囲から風がふわりと吹き、怪我を治療していく。

    ●鬼退治
    「馬鹿な! 俺達羅刹がこんな簡単にやられるだと!? まさかお前等灼滅者か!」
    「くそったれ! ここは灼滅者のシマだったってことか! だが鬼の力を舐めるなよ!」
     2体の鬼がその身を筋肉質に膨らませ、息を合わせて左右から攻撃してくる。大振りの腕が全てを薙ぎ倒すように迫る。
    「こちらは私が止めます!」
    「ならこっちは任せてくださいっ!」
     紫姫と樹が左右に別れて攻撃の前に立つ。紫姫は青い剣を構え、樹は黄色い標識を突き立てる。鋼のような腕がぶつかる。衝撃が伝わり力負けして吹き飛ばされそうになるのを、緋女と笙が風を送って癒す事で踏み止まる。
    「何ぃ!?」
    「俺達のフルパワーに耐えるだぁ? ならもっとパワーを上げてやるぁ!」
     筋肉を盛り上げて鬼達は押し切ろうと力を込める。
    「……暑苦しい、です……」
     そこへ蒼が獣のように腕を変化させて背後から後頭部に叩き付けた。鬼はバランスを崩して前のめりに手をつく。
    「いいのか? そこは俺の間合いだ」
     悠夜の足元から伸びた影が鬼の下に届いていた。影が伸び上がり刃となって鬼の腕を斬り裂く。続けて近づいた悠夜が鋏で襲い掛かる。
    「クソがぁ!」
     鬼は腕を振るって牽制し、更に追撃して来る影を弾きながら飛び退いた。
    「パワー勝負がお好みでしたら、受けて立ちましょう」
     もう1体の鬼に向けて優太朗がフルスイングでロッドを振り抜く。
    「舐めるなぁ!」
     対して鬼は拳をぶち当てた。拮抗したのは僅かな間、鬼の拳が打ち勝ち優太朗が衝撃を受ける。だがその反動を活かし、逆回転してロッドを腕に叩き込み骨を折った。
    「下衆な戦い方ね。この程度の傷で倒せると思わないで」
     そこに傷を癒したリケが近づき、反対側の腕にロッドを叩き込み腕をへし折った。
    「次はこちらを倒しましょう」
     そのままもう一振りしようとするが、鬼は蹴りを放ってロッドで受けるリケを蹴り上げる。
    「腕が折れたくらいでもう勝った気にでもなったか!」
     そして落ちてくるリケに頭部から生えた鋭い角を向けた。だがその先端が届く前に鬼が姿勢を崩す。
    「アホみたいに上ばっかり見とったら、足元がお留守やで」
     下を見ればスライディングした笙が足を刈っていた。
    「邪魔するな!」
     踏み潰そうと鬼が足を上げる。だがその前に腹から刃が突き出た。
    「紅蓮の如く燃え散るがよい、灰も残さぬ」
     背後から緋女が刀に炎を纏わせ、鬼の内臓を焼き尽くす。
    「があああああ!」
     鬼は大きく口を開け、燃え盛る息を吐きながら息絶えた。
    「嘘だろ、こんな簡単にやられちまうなんて……灼滅者って奴はこれほど強かったのか?」
     驚愕に顔を歪ませ、失った手首の傷を押さえながら鬼は灼滅者達を見渡す。そして視線が出入り口へと向けられた。
    「やってられるか!」
     そして逃げようと一気に駆け出した。
    「逃さんのじゃ! 神なる風よ薙げ、刃となれ」
     緋女が腕を振るうと風が刃となって鬼を襲う。鬼は腕で受け止めながら出口を目指す。
    「ダークネスのくせに情けないやっちゃな」
     笙も同じく風の刃を放ってその背中を斬りつけた。
    「後悔するくらいなら、最初から人に迷惑をかけないでください」
     紫姫の影が黒猫となって駆け、大きく広がり鬼を呑み込んだ。
    「お帰りですか? なら御代を置いていってもらいましょうか」
     そこへ優太朗が剣を振り下ろし、刃が肉体ではなく魂を斬り捨てた。
    「待て、待ってくれ、俺は安土城怪人様の配下だぞ? 安土城怪人様を敵に回すつもりなのか? 今逃してくれたらこのことは無かったことにしてやるよ」
    「人間扱いする必要ないですよね? 鬼畜生は灼滅あるのみ」
     命乞いする鬼にリケが冷たい視線を向け、拳の連打を叩き込む。
    「ぶげっ」
     吹き飛ばされながらも、その勢いを利用して出口に向かう。
    「ハッ、逃がさねぇよッ!」
     悠夜が低く駆け、すれ違い様に鋏で足首を切り落とした。
    「残った方の足ももらおうか」
     ターンして悠夜が残った足をも狙う。
    「がぁっ俺の足をよくも!」
     もう逃げられるぬと、開き直った鬼は悠夜目掛けて拳を繰り出す。
    「これ以上暴れさせません。その力、崩しますっ!」
     樹が振り下ろされる拳を受け流し、カウンターで腹に異形化した拳を打ち込んだ。それと同時に悠夜はもう片方の足を深く鋏み切り、骨が覗いた。
    「……これで、終わり、です……粛清の、炎……」
     ローラーダッシュで駆け寄った蒼はその勢いのまま跳躍し、炎を纏わせた足で顔面を蹴りつけた。
    「ご来店ありがとうございました」
     ふらりとよろめく鬼に、優太朗が刃と化した腕を突き立て、命を絶ち切った。

    ●後始末
    「今回の事件の一端が、元こちらの生徒だということを考えると……何とも申し訳ない気持ちになりますね」
     申し訳なさそうに優太朗が消えた鬼達に視線を向け、頭を下げた。
    「天海大僧正、……本当は、何が、狙い、なの、でしょうね……」
     自らの配下を減らすような行動に、蒼はその真意が何なのかを考える。
    「私はどちらかというとスキュラに興味があるので、安土城怪人にも会って情報を得たいですね」
     今回の事件には全く関係ないですけどと、紫姫は苦笑するように笑う。
    「もう着替えてもいいのじゃろ? すーすーして落ち着かないのじゃ」
    「あ、私も着替えます!」
     もじもじと緋女はスカートを触りながら更衣室へ向かうと、樹もそれに続いた。
    「少し店を荒らしてしまいまいたが、人的被害は出さずに済みましたね」
     着替え組みが戻ってくる前にと、リケは周囲を見渡して簡単な後片付けをする。
    「……やっぱ羅刹は粗暴なのが多いね。天海陣営のはそうでもないみたいだけど……だからこいつら破門になったのか」
     いつもの穏やかな表情に戻った悠夜もそれを手伝い、手早く直せるものは直してしまう。
    「よかったらごはん行きませんか?……あと、よかったらこれ今回のご縁ってことで!」
     笑顔で笙がカラフルな飴ちゃんを皆に渡しながら誘う。
    「……賛成、です……」
     蒼はお腹に手を当てて手を伸ばし、他の灼滅者達も賛成して飴を受け取った。ファミレスを後にし、どこに行こうかと話しながら歩き出すのだった。

    作者:天木一 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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