あなたが好きと言ったから

    作者:飛翔優

    ●目標マイナス……
     日が昇ったばかりの遊歩道、静かに響く熱い吐息。冷涼な風に抱かれ走るのは、高校一年生の少女ケイ。
     痩せるため。
     恋人好みの姿になるために、ケイは遊歩道を駆け続ける。
     すでに、概ね十割の確率で痩せていると評される体格だけれども。
     すでに、足元もおぼつかなくなっているけれど。
     足りないと、まだまだ絞れるはずだ……と、ケイはただただ朝日に向かっていく。
     そのために、日頃好きな食べものを我慢しているのだから。
     食事制限もしているのだから……。
    「……」
     それでも、視線を落としてしまう事はある。速度を緩めてしまう事もある。
     何故? と心に問いかけるたび、ただただ喜ぶ姿を見たいからやっているんだと言い聞かせる。思考を打ち切り、ただただ前だけを目指して駆けて行く。
     ……永遠に、終わることはないのだけれど。
     この世界は、ケイの見ている夢の中。ダークネス、シャドウの作り出した悪夢なのだから……。

    ●夕暮れ時の教室にて
     灼滅者たちを出迎えた倉科・葉月(大学生エクスブレイン・dn0020)は、玉城・曜灯(紅風纏う子花・d29034)の予想によって導き出された事件があると前置きし説明を開始した。
    「今回は、シャドウに囚われた高校一年生の少女、ケイさんを救い出してきて欲しいんです」
     本来、ダークネスにはバベルの鎖による予知能力があるため、接触は困難。しかし、エクスブレインの導きに従えば、その予知をかいくぐり迫ることができるのだ。
    「とはいえ、ダークネスは強敵。ソウルボード内のシャドウといえど、です。ですのでどうか、全力での戦いをお願いします」
     続いて……と、葉月は地図を取り出した。
    「この一軒家が、ケイさんが住んでいる家になります。鍵などを用意しておきましたので、侵入に関しては特に気にすることなく行うことができるでしょう」
     そして、ソウルボードに侵入する事になる。
     ソウルボード内に広がる光景は……。
    「それを含めて、ケイさんについて説明しますね」
     ケイ、高校一年生女子。明るく活発だが思い込みが激しいフシがある。今回も、恋人の痩せた人が好き、との言葉を大きく受け取り、過剰なダイエットを行っている。……恋人はさり気なく辞めるように促しているのだが、大丈夫だと意地を張って頑張っている。
    「といっても、すでにケイさんは十人が見れば十人が痩せている……という程度には痩せているのですけれど……」
     ともあれ、ケイはまだ足りないと自分を追い込むようなダイエットを行っている。そんな無理している状態を、シャドウに突かれたのかもしれない。
     ケイは夢世界の中、遊歩道やスポーツセンターなどでダイエットを行っている。ときおり足を止めたくなることはあるけれど、自分を叱咤し続けている状態だ。
    「皆さんが赴く頃には……恐らく、河川敷で走っているかと思います。ですので、まずはそこで声をかけてあげて下さい。内容はお任せしますが……そうですね。過剰なダイエットは辞めるきっかけになれば……と」
     そしてケイの説得に成功したならば、悪夢を邪魔された事に腹を立てたシャドウがやせ細った女性形の配下を二体引き連れてやってくる。
     シャドウの力量は、配下が居る状態で灼滅者八名と五分。
     妨害・強化面に秀でており、太って見える幻影によって歩みを止めさせる、ケーキの幻影で誘惑する、闇に身を浸し力を高める……といった行動を取ってくる。
     一方、配下は攻撃特化。骨のような腕から繰り出される打撃で加護を砕く、自らの力を高めながらショルダータックルを放つ……と言った行動を取ってくる。
     また、シャドウは戦っているうちに頭が冷えるのか、配下が片方でも倒されたらその三分後には逃げてしまうだろう。
    「以上で説明を終了します」
     葉月は地図などを手渡し、締めくくりへと移行した。
    「痩せたい……という思いはわかります。しかし、それは適切であってこそ魅力に繋がる……そう思います。ですのでどうか、ケイさんに正しい導きを。何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」


    参加者
    椎木・なつみ(ディフェンスに定評のある・d00285)
    黒咬・昴(叢雲・d02294)
    長姫・麗羽(シャドウハンター・d02536)
    中島九十三式・銀都(シーヴァナタラージャ・d03248)
    船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)
    栗元・良顕(にんげん・d21094)
    水無月・詩乃(稟武蒼青・d25132)
    玉城・曜灯(紅風纏う子花・d29034)

    ■リプレイ

    ●本当のダイエット
     差し込み始めた陽射しを浴びて、世界が徐々に熱を帯び始めていく朝方。流れ行く川に冷やされた風が吹き抜けていく静寂に満ちた遊歩道に、灼滅者たちは降り立った。
     朝日の綺麗な時間なのに、散歩する者はいない。生物の気配すら感じられない、草花が風に揺れる光景だけが瞳に映る寂しげな世界。これが恋人好みの姿になるため過度なダイエットを行っている少女・ケイが見せられている悪夢の中。
     灼滅者たちは頷き合い、そっと耳を済ませていく。
     朝日の方角から軽快な足音が聞こえて。
     灼滅者たちは頷き合い、音のした方角へと向かっていく。
     朝日を背負うかのようにして一人の少女が……ケイが、駆けて来た。
     船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)はバスケットに詰めたお菓子片手に進路を塞ぐように歩み出て、マイペースな調子で語りかけていく。
    「おはようございますぅ。ケイさん、で良かったですよねぇ?」
    「?」
     小首を傾げながら、立ち止まっていくケイ。
     表情を読ませぬ瞳で見つめながら、亜綾は言葉を続けていく。
    「どんなに痩せてても、それは外見的は話でぇ、中身までは誤魔化せないのですぅ」
    「……え」
     驚いたような顔をされても、構わず続けた。
    「それに彼氏さんと付き合いだしたとき、痩せてましたぁ?」
     記憶を辿らせるため。
     余計な思考を振り払わせるかのように。
    「つまりぃ、外見とか気にしない方だったんですよぉ、実は」
     言葉なき様子が思考が思考を巡らせた証だと判断したか、亜綾は締めくくり身を引いた。
     代わりに、本を読んでいたらしい栗元・良顕(にんげん・d21094)が顔を上げ、肩をすくめながら口を開く。
    「もっとも、ここは夢のなか。ここで頑張っても仕方ないよ」
     現状を認識させるため。
     再び走りだしてしまう事のないように。
    「まあ、痩せたいなら好きにダイエットしてれば良い気もする……自分のなりたい体型を目指すのは自由だと思うし」
     もっとも……。
    「でも、目標は違う、痩せることじゃなくて恋人の好みの体型になることなんだし……相手がどう感じるかなんだし……あんまり、一人で進めて行ってたら目標からずれちゃうと思う、かな……」
     畳み掛けるように告げた後、ぼんやりとした瞳で顔を伏せるケイを見つめていく。
     ケイは拳を握りしめた。
     風の訪れとともに、首を小さく横に振った。
    「外見を気にしない、って優しい言葉。でも、だからこそ甘えたくない」
     亜綾へ視線を向けた後、良顕へと向き直る。
    「それに、目標はきっと同じはず。彼の……」
    「好みの女性になるためにダイエットか、泣かせるねぇ」
     半ばにて、中島九十三式・銀都(シーヴァナタラージャ・d03248)が口の端を持ち上げながら切り込んだ。
    「けど、痩せればいいってもんじゃないだろう」
     視線を受け止めた上で鏡を取り出し、真っ直ぐに差し出していく。
    「この鏡に映った自身は笑っているかい?」
     毎日ダイエットに体を動かし、食事を制限し、甘いものを我慢し……頑張ってきたケイの表情は、暗い。
     今の彼女に、笑顔はない。
    「彼の言葉には続きがあったのだ、痩せている人が好みだが、君は特別だとか。一番なのは性格と、そして笑顔なんだよ」
    「……」
     ケイは瞳を伏せながら、鏡から視線を逸らしていく。
     静かなため息を吐きだして、首を横に振っていく。
    「そんなこと、わからない。あなたは彼じゃない。彼は……彼は……」
     向かった先は思考のループ。
     出口のない思考の迷宮。
     導くため、黒咬・昴(叢雲・d02294)が元気いっぱいに語りかけた。
    「ダイエット凄く頑張ってるのね! おねーさんは何かの為に頑張る女の子は好きよ? でも、ちょっと頑張りすぎてないかしら?」
     彼のため、ダイエットを頑張っているケイ。
     過度に自分をいじめてしまっている、ケイ。
    「私から見ると貴方は十分痩せているのにそれを超えて体に無理させてるように見えるわ」
     すでに、誰もが痩せている、と断言できるほどにケイは痩せている。これ以上を目指すのであれば、脂肪よりも筋肉の低下が気になる……骨が浮き出てしまうのではないかという程だ。
    「女の子に限らず心も体も余裕のある子のほうが好かれるんだから! もう少し自分のことを大事にしてもいいんじゃないかしら?」
     自分を追い込み続けてきたケイに、余裕はない。
     今なお、今の自分から目をそらしている程に。だから……。
    「……」
     長姫・麗羽(シャドウハンター・d02536)は手鏡を取り出して、鏡面を下にして差し出した。
    「今の自分の姿・表情を見て、彼がどう思うか今一度考えて欲しい」
     自らの手で自分の姿を写せるように。
     決意のもと、自分を向き合うことができるように。
    「……」
     瞳を伏せたまま顔を上げたケイは、震える腕で手鏡を受け取った。
     鏡面が上を向くことはない。
     ケイは手鏡を握りしめたままうつむき続け……。

    「ねぇ、痩せてるってどれくらいの事を言うのかしらね?」
     決意へと導くため、玉城・曜灯(紅風纏う子花・d29034)が静かに問いかけた。
     無言という返答を受け取りながら、曜灯は更に尋ねて行く。
    「骨が浮き出て骸骨みたいになりたいの? そんなスタイルのケイを見て彼氏は喜ばないし心配するわよ」
    「……」
     一呼吸分の間を挟んだ後、ケイは首を横に振った。
     だから曜灯は笑みを浮かべ、言葉を畳み掛けていく。
    「スラリとしてても、健康的で女の子らしくって方が喜ばれると思わない? 元気で彼氏に笑いかけれる方が良いと思わない?」
     明るく笑い合える未来を想像させるため。
     ダイエットの方向性を正すため。
    「食事も、制限するより栄養とかバランスを調節する方が効果的よ。レシピあとで教えてあげる」
     ダイエットそのものを否定するのではなく、手段が間違っていたと伝えるため。
     しばしの沈黙。
     ケイは恐る恐る顔を上げ、すがるような瞳を曜灯へ向けた。
     思考の迷宮から抜け出し始めているのだと判断し、水無月・詩乃(稟武蒼青・d25132)が言葉を投げかけていく。
    「先程も皆さんが仰ってましたが……無理に身を削り続ける貴女ではなく、痩せ細った貴女ではなく、健康で幸せに笑う貴女こそが本当に恋人の求める姿のはずですよ」
     痩せている人が好き。ケイの彼氏が言った言葉。
     だからケイは今まで頑張ってきた。
     これからも頑張っていくつもりだった。
     けれど……過ぎればそれは、毒になる。
     今、悪夢へ囚われてしまっているように……。
    「貴女はもう十分過ぎるほど頑張りました。きちんと休んで、しっかり食べて、健康で綺麗な姿で、彼のもとに行きましょう?」
     健康的に痩せること。そんな方法があることも、曜灯が元気に語ってくれた。
     だから詩乃は身をかがめ、下からケイを覗き込む。
     ケイは唇を震わせた後……くるりと、手鏡を上へと向けた。
    「……」
     手鏡の中、写り出された自分の姿。
     見つめたまま、ケイは口を開いていく。
    「……ほんと、辛そうな顔。でも、辛くなきゃいけないって思ってた。彼のためだもの、こんなことどうってことないって。でも……そうじゃない道もあるのなら……そうじゃない可能性も在るのなら、私は……」
    「はっ、結局は元の木阿弥。堕落してぶくぶくと太るのがオチじゃわい」
     全てをぶち壊しにするような声音が、橋の方角から聞こえてきた。
     灼滅者たちはケイを守るように布陣しながら、橋の方角を見つめていく。
     中心に生まれた闇の中から三つの影が。
     痩せこけた女性を二人従えているシャドウが、憎々しげな表情を浮かべながら立っていた。
     恨みがましい視線を受け止めながら、椎木・なつみ(ディフェンスに定評のある・d00285)は宣言する。
    「さあ、始めましょう」
     ケイを悪夢から開放するために。
     シャドウを灼滅するために……!

    ●幻影を打ち破れ!
     ケイを離れた場所へと逃がした上で、なつみは大地を蹴り駆け出した。
     シャドウの右側前方に位置する配下の懐へと踏み込んで、盾領域を広げた腕による正拳突きを放っていく。
    「っ!」
     ボディに撃ち込んだ直後、振り下ろされた肘鉄。
     額で受け止めながら力を込め、配下をシャドウの側へと弾き飛ばした。
    「あなた方の相手は、私が勤めます」
     メガネの位置を直し、シャドウの左側前方に位置する配下へと視線を向けていく。再び盾領域を展開し、腕を包み込んでいく。
     シャドウを確実に仕留めるため、配下たちの気を引き時間を稼ぐこと。
     それこそが、己に課した役目なのだから。
     同様に配下たちを抑える役目を担うのだと、昴は結界を展開し配下たちを閉じ込めた。
    「さぁて、ここを通りたければ壁を超えてもらうわよ! このおねーさんという壁をね!」
    「今のうちにシャドウを灼滅してしまうのですよぉ。行きますよぉ、烈光さん」
     呼応し、亜綾は礼犬の烈光さんをシャドウへと向かわせながらライフルを構えた。
     トリガーを引くとともに放たれたビームは斬魔刀をかわしたばかりのシャドウを的確に捉え、二歩、三歩と後退させる事に成功する。
    「ぐ……だが、この程度ではやられん! 食らえ!!」
     姿勢を正したシャドウは、烈光さんに向けて腕をかざした。
     烈光さんの前に出現した、太った幻影。
     心を惑わす力を、灼滅者たちは逐一治療した。
     なつみと昴が配下の行動を抑えたため被害も散らず……切れ目のない攻撃を仕掛けることができていた。
     全力攻撃をし続けることができるよう、麗羽は歌う静かにたおやかに。
     穏やかな調べは幻影に揺らぎを持たせ、打ち破る隙を作り出す。
     自らの力があまり功をなしていない事に苛立ったのだろう。シャドウが麗羽を睨んできた。
    「はっ、お前達が全力で救ったところでどうする。結局は元に戻るだけ、それが……」
     ――過ぎたるは及ばざるが如し。
     断ち切るように、麗羽は想いを詩に乗せた。
     スタイルが悪いよりはいい方が良いのはわかるけど、スタイルの良さばかりを追って、笑顔を失ってちゃ元も子もない。
     好きなこの笑顔は、スタイルなんかより余程素敵な物。
     ダイエットは、今の魅力を失わないよう、焦らずゆっくりと。
     それがきっと、綺麗になる秘訣……!
    「……」
     反論の言葉を失ったかはたまた反論する余裕がなくなったのか、シャドウは口を閉ざした。
     だから麗羽は視線を走らせ、大きなダメージを受けている者がいない事を確認。
     警告を促す交通標識を掲げ、抗うための力を強化する。
     打ち破らんと、シャドウが再び腕を掲げた。
     即座に良顕が踏み込んで、腕を弾きながら喉元に注射針を突き刺していく。
    「……」
    「ぐ……」
     命を吸われ、呻くシャドウ。
     その、うつむきかけた体に、影が差す。
     すかさず注射針を引き抜き退く良顕。
     直後、曜灯のつま先がシャドウの額に突き刺さった!
    「毎回毎回女の子の気持ちを弄んで……。許さないわよ」
     曜灯は仰け反るシャドウを足場に飛び上がり、足に紅蓮のオーラを走らせる。
    「女の敵、その元凶。ここで消えてもらうわ」
     着地とともにシャドウを蹴りあげた!
    「ぐは……」
    「決めてしまいましょう」
     追いかけるように、詩乃は飛ぶしなやかに。
     身動きのできないシャドウの頭上へと到達し、閉じた和傘の先端を脳天へと突きつけた。
     軽い衝撃を与えた直後、爆発する魔力。
     シャドウは大きな音を立てて地面に激突し、体中を震わせていく。
     その足元に、銀都が踏み込んだ。
    「俺の正義が真紅に燃える、悪夢を終わらせろと無駄に叫ぶっ」
     両腕には、巨大な剣。
     赤々と燃える炎を走らせた……。
    「食らいやがれ、必殺! 燃やせ青春! ど根性ふぁいやーっ」
     まっすぐに振り下ろし、呻くシャドウを両断する。
     シャドウは炎に抱かれたまま、断末魔も上げられずに消滅した。
     残されたのは、なつみたちが抑え続けていてくれた配下だけ。
     灼滅者たちは頷き合い、殲滅へと向かっていく……。

    ●明るい未来へ
     程なくして配下の殲滅も完了し、戦いは終わった。
     シャドウが消滅した場所へと視線を向け、銀都は小さく言い放つ。
    「今度はてめぇがダイエットする番だな」
    「あ、もう大丈夫ですよぉ」
     一方、亜綾は離れていたケイを手招きした。
     迷う素振りを見せながらも、確かな足取りで近づいてきてくれたケイ。
     瞳には不安げな色を浮かべながら、けれども明るい表情を見せてくれているケイに対し、なつみが荷物を取り出していく。
     中にはバゲットと、温かいスープが入っている水筒。
    「お疲れ様でした。よければ、こちらを……」
    「あ、ありがとう!」
     ケイはスープだけを受け取り、少しだけ冷ましながら口に含んだ。
     頬に赤みがさしていく。
     目元が優しく緩んでいく。
    「暖かい……とても……」
     心穏やかに微笑むケイ。
     昴も優しく微笑んだ。
    「もう、大丈夫そうね」
    「はいっ」
     元気な返事に、出会った時の辛さは感じられない。これからもダイエットを続けていくのだとしても、きっと正しい方法で行っていくのだろう。
     確信めいた想いを抱きながら、詩乃もまた穏やかに微笑みながら語りかけていく。
    「目覚めたら……というのも妙ですが、ゆっくり休んでしっかり食べて、健康的な貴女で再び彼の前へ行きましょう」
    「そのためにもこれを……は、枕元の方がいいかな?」
     曜灯はレシピを提示して、正しくダイエットしようと勧めていく。
    「それから……自分で作ってみて腕を磨いて、料理上手になったら……彼氏ももっと喜ぶんじゃないかしら?」
    「はい!」
     元気な返事が、迷いのない証。
     ケイが、悪夢から抜け出すことができた証なのだろう。
     気づけば日が登っていた。
     世界が明るい熱に抱かれ始めていた。
     眩い太陽を眺めた後、麗羽は静かに促していく。
    「それじゃ、帰ろうか」
    「そうだね」
     本のページを眺めていた良顕が何気ない調子で返答し……別れの時が訪れる。
     灼滅者たちはケイの笑顔に見送られ、あるべき世界へと帰還する!
     きっとケイと彼氏の未来は明るいはず。
     輝きに満ち始めた、この世界のように!

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月12日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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