流れてはイケナイ物!

     東雲・菜々乃(読書の秋なのですよ・d18427)は、こんな噂を耳にした。
     『流れるプールで流れてはいけないものが流されるらしい』と……。
     その噂が流れていたのは、都内某所にある室内プール。
     このプールは年中無休で流れるプールもあるのだが、そこで流されてはいけない物が流されているようだ。
     しかも、あまりにも危険すぎるモノなので、モザイクが掛かっており、どんなものなのか、まったく謎!
     だが、それを目の当たりにした者達が、思わず吐いてしまうほどアレなモノのようである。
     その上、都市伝説は全身モザイクにまみれた危険な存在。
     触れる事すら躊躇ってしまうほどヤバイ奴なので、色々な意味で注意が必要になるだろう。
     そう言った事も踏まえた上で、都市伝説を灼滅する事が今回の目的である。


    参加者
    久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)
    土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)
    若生・めぐみ(歌って踊れるコスプレアイドル・d01426)
    鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)
    村雨・嘉市(村時雨・d03146)
    ルナ・ノース(小さき月光・d23379)
    大須賀・エマ(ゴールディ・d23477)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「あぁ、まさかそんな……、みんなの憩いの場であるべき流れるプールに、あんなものが流れるなんて……!」
     セトラスフィーノ・イアハート(夢想抄・d23371)は青ざめた表情を浮かべながら、仲間達と共に都市伝説が確認された場所に向かっていた。
     都市伝説は都内某所にある室内プールに出没しており、そこで流れてはイケナイ物を流しているらしい。
     それが原因で客が減っているらしく、色々な意味で問題になっているようだ。
    「何でこんな噂が広まっているんだよ。……明らかに営業妨害じゃねーか!」
     久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)が、気まずい様子で汗を流す。
     事前に配られた資料には、流れてはイケナイ物が何なのか、詳しく書かれていないのだが、おそらく……いや、間違いなく、アレだろう。
    「……たく! 1年中、流れるプールが流れているから、そう言った噂が出てきたか。あるいは、悪意ある噂か……」
     鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)が、険しい表情を浮かべた。
     どちらにしても、施設側にとっては、迷惑な話である。
    「……ひどいモノね。……いや、どんなモノなのか、よくわかってないけどさ。なんとなーく察してる人もいるみたいだけど、私はよくわかんないわね。……まあ、いいわ。楽し……い……? プール掃除と行きましょうか……」
     ルナ・ノース(小さき月光・d23379)が水着姿で、室内プールに足を踏み入れた。
     都市伝説が現れたせいで、室内プールは貸し切り状態。
     わずかに客がいるものの、それは事情をまったく知らない一般人。
     それ故に、流れてはイケナイ物が現れた途端、パニック状態に陥る事は確実だろう。
    「……と言うか、流れちゃいけねえものって……。一体、どんな恐ろしいもんが流れてんだ……。想像するのも恐ろしいが、ここできちっと始末してくるぜ」
     村雨・嘉市(村時雨・d03146)が、何となく気合を入れる。
     何が流れているのか、まったく想像する事も出来ないが、おそらく恐ろしいモノなのだろう。
     それが何なのか分かったところで、物凄く後悔しそうなので、知りたいような、知りたくないような、複雑な気持ちに陥っているようだ。
    「とりあえず、エマは楽しくプールで過ごすわ」
     そんな中、大須賀・エマ(ゴールディ・d23477)が今年の夏に買った水着に着替えて、大きな浮き輪を持ってざぶんとプールに飛び込んだ。
     その途端、流れてはイケナイ物が、モザイクにまみれて、ドンブラコッコと流れてきた。
    「……アッ――――あ――あ――あ――あ――――。こ、これは直視するのも危険なのですね!!」
     それを目の当たりにした土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)が、表情を凍りつかせる。
     見てはイケナイ物だが、決して目を離す事が出来ないほどの危険なブツ。
     そんな物がモザイクにまみれて、プールにプカプカと浮いていた。
    「流されてはいけない物って、やっぱり茶色いあれですよね……。運命って酷ですよね」
     その横で若生・めぐみ(歌って踊れるコスプレアイドル・d01426)が、ガックリと肩を落とす。
     それと同時に、まわりにいた一般人達が悲鳴を上げて、次々とプールから上がると、競い合うようにして逃げていった。

    ●流れてはイケナイ物
    「わ、わたしよ、冷静になるのだ……。そう、近づかなければよいのだ。……見たくないけどね」
     璃理が自分自身に言い聞かせながら、現実逃避をするようにして、空飛ぶ箒に飛び乗った。
     全体的にモザイクが掛かっているため、よく分からないが、おそらくアレ。いや、間違いなく、アレである。
    「……普通、モザイクってのは放送出来ないものを隠したりするもののはずだから、モザイクが目視できるっておかしくね? ……これはもう何て言うか新しい力じゃね? 『汚物力』とか」
     翔が呆れた様子で、頭を抱えた。
     そのおかげで、モザイクの向こう側に何があるのか分からなくなっているので、逆に感謝すべき事なのかも知れないが……。
    「ひょっとして……、アレですかね。モザイクにまみれて、よく分かりませんが……」
     そんな中、巧が口元を押さえて、都市伝説を指さした。
     都市伝説の身体はモザイクにまみれていたが、スライム状の……何かが怪しく蠢いていた。
    「うげっ!」
     その途端、璃理が青ざめた表情を浮かべ、空飛ぶ箒に乗ったまま、うぷっと吐いた。
     それはキラキラと輝く星になり、彼女のライドキャリバーに降りかかる。
    「やっぱり、めぐみはこいつの呪縛から逃げられないって……くすん」
     めぐみが魂の抜けた表情を浮かべた。
     ナノナノのらぶりんも、放心状態。
     目の前のアレと戦わなければいけないため、色々な意味でげんなりしているようである。
    「……て、さ。わたし、アレがなんだか理解できてないんだけど、ひょっとしたら、頭が理解を拒んでるだけかもしれないけど……。でも、たぶんこのまま、何も考えずにことを終えるのが幸せなんだろうな……。ここまで無心で挑みたいって思った依頼は、はじめてなんだよ」
     セトラスフィーノが、乾いた笑いを響かせた。
     おそらく、知るべきないモノ。見てはいけないモノ。
     それはある意味、深淵を覗き込む行為に他ならない。
     そんな事をして、無事でいられるわけもないので、都市伝説の力に救われたといっても、大袈裟ではなさそうだ。
    「いや、ありゃ見えなくていいモンだ。なんか知っちゃいけねぇ気がすんだわ」
     エマが鍛え抜かれたスルー力が軽く流す。
     その間も都市伝説はウネウネと身体を蠢かせ、モザイクにまみれた身体をぷるんと揺らす。
    「何だか、とんでもねえもんを見ちまったような気もするが、灼滅者の精神力をなめてもらっちゃ困るってもんだ」
     嘉市が若干たじろぎつつ、必死に平静を装った。
    「……ところで、この都市伝説……攻撃してくるの? ……っていうか、そもそも動くの? ますます、よくわかんない……」
     色々な意味で恐怖を感じながら、ルナがジリジリと後ろに下がっていく。
     次の瞬間、都市伝説がルナ達を威嚇するようにして、モザイクにまみれた塊を飛ばしてきた。

    ●都市伝説
    「らぶりん、今回は上空から支援して。絶対水に入らないでね」
     めぐみがその場から飛び退き、らぶりんに対して、警告混じりに呟いた。
     らぶりんもそれだけですべてを理解したのか、力強くコクコクと頷いた。
    「初っ端はレーヴァテインで燃やしにかかるぜ。ほんとはあんま触れたくはねえけど……ほら、やばいもんは加熱消毒って言うだろ。あとこんなおぞましいもんはさっさと燃えかすにしちまうに限る」
     嘉市が都市伝説をジロリと睨み、ゴクリと唾を飲み込んだ。
     その間も都市伝説は意味ありげに身体を揺らし、いつでもモザイクまみれの何かを飛ばす準備が整っているようだった。
    「……あれ、処分するの? 直接、触れて? ……嫌だな。さっさと消えないかしら」
     ルナが汚物を見るような目で、都市伝説に視線を送る。
     都市伝説は見るからに、触るな危険。
     出来る事なら、このままスルーしたいところであった。
    「さらばライドキャリバー」
     璃理がほろりと涙を流しながら、ライドキャリバーをビシィッと見守った。
     それと同時にライドキャリバーが都市伝説に突っ込み、モザイクの中に飲み込まれていった。
     そこで何があったのか分からないが、しばらく触れたくないというのが、本音であった。
     それに合わせて、翔が夜霧隠れを使った後、前傾姿勢で両手をだらりと下げ、大型のナイフを持ったまま、都市伝説の懐に潜り込み、都市伝説の身体を切り裂いた。
     その拍子に大型のナイフがモザイクにまみれ、異様な臭いがもわんと全身に纏わりついた。
    「汚物は消毒だ、ヒャッハー!」
     これには翔も精神崩壊気味に叫び声を響かせ、都市伝説めがけてレーヴィテインを仕掛ける。
     その一撃を食らった都市伝説が悲鳴にも似た叫び声を響かせ、モザイクまみれになりながら消し炭と化した。
    「はあ……、疲れた……」
     エマが倒れこむようにして、プールサイドのチェアに座る。
     その勢いで何か注文しようとしていたが、すでにまわりに誰もいなくなっているため、仕方がなさそうに溜息をついた。
    「これは、もう使えませんね」
     めぐみがモザイクにまみれた殲術道具を見つめ、残念そうに深い溜息を漏らす。
    「それにしても……いやな……事件でした……」
     巧が乾いた笑いを響かせ、クリーニングを使う。
     仲間達もモザイクまみれになっているため、クリーニングを使って奇麗にした。
    「とりあえず、後始末は清掃員さんにお願いしないとね……」
     そう言ってセトラスフィーノが、辺りに散らばったモザイクまみれの何かから、気まずい様子で視線を逸らすのだった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月8日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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