集結する光の軍勢~スイカの上京

    作者:泰月

    ●ハイジャック事件(凶器はスイカ)
    「わしは一体、どうすれば……」
     鳥取県、北栄町。海岸砂丘帯の先に人知れずぽかりと空いた洞穴の中で、割と困った様子で体育座りしているスイカ怪人の姿があった。
     そんなスイカ怪人の視線の先に、突如、光が現れた。
     外から差し込んだ光ではない。もっとまばゆくて――。
    「……そう、か……。そうだな。わしは、タカトの為に……」
     じっと光を見ていたスイカ怪人は、急に洞穴を飛び出して行った。
    「ちょっと待ったぁ!」
     そして、たまたま近くを通りがかった白いワゴン車を、全力でスイカをぶつけて無理やり停止させた。
    「な、何しやが――」
    「東京に大事な用があってな。車の中までスイカ塗れにされたくなかったら、『新宿橘華中学』まで乗せてって貰おうか」
     スイカ頭の醸し出す凄みに運転手は逆らえず、スイカ怪人を乗せた車は一路、東京へと走り出したのだった。

    ●集結を阻止せよ
    「いつもより少し長い話になるわ」
     集まった灼滅者達に、夏月・柊子(高校生エクスブレイン・dn0090)はそう前置きしてから、話を始めた。
     ベヘリタスの卵の事件で暗躍していた光の少年と、アンデッド化して白の王配下となったクロキバとの戦い。
     そこに介入した灼滅者達が、見事クロキバを討ち取った。
     それは白の王セイメイの計画に致命的なマイナスとなるだろう。
     最期に正気を取り戻したクロキバから、クロキバの継承者の出現と言う情報も得る事が出来た。大殊勲といってよいだろう。
    「だけど、白の王の計画にダメージを与えたと言う事は、敵対していた光の少年『タカト』が有利になったと言う事よ。その結果、多くのダークネスが、『新宿橘華中学』に集まろうとしているわ」
     『タカト』は少し前、ラブリンスターも拉致している。その力を利用して、多くのダークネスを無差別篭絡術を利用して配下に組み入れようとしているのだ。
    「光の少年の力なのか、この作戦についての予知は断片的になってしまうものが多いわ。だけど、予知出来る事件もあるの」
     それは、武蔵坂学園と大なり小なりの関わりがあったダークネス。
    「全てを阻止できないけれど、予知できた分だけでも、光の軍勢に加わるのを阻止して欲しいの」
     さて、肝心のダークネスだが。
    「鳥取の大栄スイカ怪人よ」
     『え、誰だっけ?』と言う空気が漂いかける。
    「日本海に面した海岸砂丘帯で、世界征服を目指してスイカ売りをしようとしてたんだけど……多分売れなかったんでしょうね。活動止めて、予知できなくなっちゃってたの」
    「そう言えば……スイカ売りをしてるかもって予想したかも?」
     柊子の説明を聞いたマリーゴールド・スクラロース(中学生ファイアブラッド・d04680)と抱えたナノナノの菜々花が、首を傾げる。
     関わりって、面識なくても良いんだ。
    「まあ関わりの深さはともかく、予知出来た以上、阻止する意味はあるわ。ハイジャック事件も起こすし」
     通りがかった車にスイカぶつけて、新宿まで乗せてけ。車以外の被害はないが、いい迷惑である。
    「そうなると、何とか車を止める必要があるのか_」
    「あ、それはね。都内に入った所で、ガソリンスタンドに寄るのが予知出来たわ」
     上がった疑問に、柊子があっさりと答えた。
     そこで運転手と同乗者の2人を救助すれば、後は怪人の灼滅を考えるだけで良い。
    「怪人の戦闘能力は、ご当地サイキック3種と、ハンマー代わりのスイカ。振り回して投げたりして遠くまで届くから、気をつけてね」
     『タカト』が軍勢を増やし、集結させている理由は不明だが、何か大きな作戦を行おうとしているのだろう。
    「ここで、少しでも戦力を減しておかなければ、光の少年『タカト』の作戦を阻止する事ができなくなってしまうかもしれないわ。そんな事にならない為に、よろしくね」


    参加者
    天津・麻羅(神・d00345)
    古海・真琴(占術魔少女・d00740)
    鹿嵐・忍尽(現の闇霞・d01338)
    マリーゴールド・スクラロース(中学生ファイアブラッド・d04680)
    野々上・アキラ(レッサーイエロー・d05895)
    丹羽・愛里(幸福を祈る紫の花・d15543)
    雷電・憂奈(高校生ご当地ヒーロー・d18369)
    高嶺・楠乃葉(餃菓のダンプリンフィア・d29674)

    ■リプレイ

    ●西からの来訪者
     空の色が変わり始めた明け方。
    「オーライ、オーライ。こちらにどうぞ」
     店員に扮した雷電・憂奈(高校生ご当地ヒーロー・d18369)の誘導で、鳥取ナンバーのワゴン車がガソリンスタンドに入ってきた。
    「へえ。セルフなのに店員さんいるのか。さすが東京が近いな」
     運転席から降りてきた男は意外そうにしながらも、プラチナチケットのおかげで特に警戒する事無く、給油の準備を始める。
    「灰皿と車の掃除、しましょうか? 随分汚れてますけど……」
    「したいのは山々なんだが、早くしろってうるさいのがいてな」
     助手席から降りてきた男は、憂奈からの申し出に苦笑を浮かべる。
    (「たまたま通りかかっただけで、巻き込まれるなんて……」)
     そのやり取りを物陰で聞きながら、丹羽・愛里(幸福を祈る紫の花・d15543)はスイカ塗れの車の姿にこっそり溜息を漏らした。
     だが、中にいる筈の大栄スイカ怪人が降りてくる様子はない。
    「給油しておきますので、ちょっと休憩して来て良いですよ」
     マリーゴールド・スクラロース(中学生ファイアブラッド・d04680)が、運転手達の手を引いて車から引き離そうとする。
    「おい、そいつらをどこに連れて――」
    「スイカ怪人よ、これを見るでござる」
     それに気づいて車から顔を出したスイカ怪人の前に、積み上げたタイヤに偽装し隠れていた鹿嵐・忍尽(現の闇霞・d01338)がスイカを手に飛び出した。
    「この時期に貴重な一個玉……おっと、手が滑ったでござる! これは無駄に砕けるでござるな!」
    「させるかぁぁぁっ!」
     忍尽の手から離れて放物線を描いたスイカを、怪人はズザーッと滑り込んでスライディングキャッチャ。
     その周辺に隠れていた灼滅者達が飛び出し、怪人を取り囲む。
    「お、おい。あいつら何を……」
    「大丈夫です。ちょっと危ないから、ここから離れててください。車も無事に返せるように頑張りますので」
     騒ぎに気づいた2人を、マリーゴールドがラブフェロモンも使って説得に掛かる。
    「お前、知ってるぞ。売れないスイカ売りだな」
     そんな2人をスイカ怪人から隠すように、紙のスイカの被り物(自作)をかぶった野々上・アキラ(レッサーイエロー・d05895)が立ち塞がる。
    「何だと? さてはお前もスイカ売りか!」
    「ああ、そうだ。関東じゃ、スイカと言えば神奈川の三浦だ。鳥取のスイカなんて売れないぜ? 帰った方がいいんじゃねーの?」
     怪人の注意を引くため、その勘違いを否定せずにアキラは言い返す。
     ついでに薄く殺気を放ち、辺りに人が寄らない様にするのも忘れない。
    「ボッタクリでスイカ売ってた事、ボク達は知ってるのよ」
     高嶺・楠乃葉(餃菓のダンプリンフィア・d29674)も気を引こうと、口を開く。
    「売れないとかボッタクリとか……さてはそう言ってスイカを値切るつもりだな! そうはさせんぞ」
    「え、いらないし。もうそろそろ、ミカンが欲しくなるというのに。仮面だって、もうハロウィンが終わっちゃってるのに、流石に勘弁を」
    「今からの時期にスイカはあまり食べたくはないですね……」
     更に勘違いを重ねる怪人に、古海・真琴(占術魔少女・d00740)が挑発するように言い返し、それに愛里も小さく頷く。
    「この時期に食べられるスイカなんて存在せん。どうせ売れ残りのスイカ……もうスイカとは呼べぬ、生ごみなのじゃ!」
    「な、生ごみだとぉぉぉぉっ!?」
     天津・麻羅(神・d00345)の尊大で傲慢な挑発に、怪人の瞳に怒気が篭る。
    「ゴミは掃除せねばのう……悔しかったら掛かって来い!」
    「良かろう。わしのスイカパワー、思い知らせてやる!」
     麻羅の挑発に、怪人は掌を車に向ける。すると車の中から飛び出したスイカが、その掌にピタリと収まった。
    「指し示せ、真琴の誠!」
    「餃菓……転化!」
     それを見た真琴はカードを開放しながら音を立つ力を広げ、楠乃葉はチョコ餃子の頭を持つご当地怪人『ダンプリンフィア』の姿に変わる。
     戦いの火蓋は、落とされた。

    ●飛び交うスイカ
    「この地の民を誑かす邪神めが。高天原の神である、このわし、天津麻羅が成敗してやるのじゃっ!」
     言い放った麻羅は、きつい目つきで怪人を睨みつけた――つもりだった。
     実際の所は、何か可愛い感じになっていたのだが。
    「必殺! 神ビ~ムッ!」
    「にゃっ」
     麻羅の掌から光が放たれるのに合わせて、背中から顔を出した折れ耳のウイングキャット・メンチが魔法を放つ。
    「関東に着いたばかりで、邪神呼ばわりとはな!」
    「長旅お疲れ様にござるな。然し貴様の旅はここが終点にござるよ」
     言い返す怪人のスイカ頭を、横から飛び出した忍尽の雷気を纏った拳が打ち上げる。
    「どうだ、みっちり詰まった高級スイカの重みは」
     だが、怪人は拳を受けると同時にスイカで忍尽の頭を強烈に叩いていた。
     すぐに霊犬・土筆袴が癒しの視線を忍尽に向けるが、怪人は足でスイカを転がし、怒りの篭った視線を向けて麻羅に掴みかかる。
    「必殺、大栄スイカ割りダイナミック!」
     投げ落とした麻羅の頭が、怪人の転がしたスイカと激突した。
     砕け散ったスイカで、辺りが真っ赤に染まる。
    「ナノ~」
    「今更スイカ割りって……うん、ちょっと季節外れでがっかり感満載だよね。スイカの押し売りとかしなかったみたいだし、ちょっと良い怪人さんかもだけど」
     運転手達の避難を終えて戻ったマリーゴールドと菜々花が目にしたのは、丁度、スイカが砕け散って辺りが赤く染まった瞬間。
     スイカ割りさながらで季節感無視の光景だが、威力は馬鹿に出来ない。
    「でも、そんな事言ってる場合じゃないらしいし、容赦なくささっと倒しておやつでも買って帰ろうね」
    「ナノ♪」
     マリーゴールドは一気に距離を詰めて、赤い輝きを放つ標識を怪人に叩き付ける。
     菜々花はその場に留まり、頭を(スイカで)赤く染めた麻羅にハートを飛ばす。
    「押し売りをしなかった? 何を言っている。しても売れなかっただけだ。1つ10万円のスイカを買えない貧乏人しかいなくてな!」
     標識を跳ね除け、怪人が自信たっぷりに告げる。
    「10万って……育てたスイカには問題はないと思いますけど、変に高い値段をつけるから売れなくなるんですよ」
     そんな正論を押し通すように、愛里は樹の生命力の篭った緑の槍を螺旋に回し、真っ直ぐに突き込んだ。
    「どうかな? 東京には金持ちが多いと聞くぞ!」
    「東京でもスイカ1つに10万は、ボッタクリなのよ」
     無駄に希望を抱く怪人に、楠乃葉がきっぱりと告げる。
    「しかも次はスイカでセコイ脅し方してハイジャック。自分で自分のご当地を貶めている事に気づかないのも……マヌケな話だと思うのよ」
     三色の煌きと重力を纏った足で、楠乃葉は怪人の頭を蹴り飛ばした。
    「そこまでわしを新宿に行かせたくないとは、やはりいるのだな。金持ちが!」
     空中で回転して着地した怪人の両目が、ギラリと輝く。
    「確かめさせる気はねぇよ。こっから先は通行止めだぜ!」
     霊犬のツガルさんと並んで走るアキラの標識が、赤い光を放つ。
    「甘いっ!」
     しかし怪人は振り下ろされた標識を頭の丸みで滑らせて受け流し、足元に迫る霊犬の刃も下がって避けてしまう。
    「動きを鈍らせる方が、先決ですね」
     その動きを見て、真琴は放とうとしていたタロットをしまう。
     次の瞬間、真琴の影が悪魔を思わせる幾つもの黒い腕に変わって怪人に絡みつき、そこにウイングキャットのペンタクルスも魔法を放つ。
    「そうですね。それに、出来る限りガソリンスタンドに攻撃が向かないようにしないと。爆発したら大変ですからね」
     頷いて、憂奈も影を触手のような形に変える。
     ガソリンスタンドの地下には、大抵ガソリンタンクがある。
     分厚いコンクリートに覆われているとは言え、ダークネスが本気で壊そうとすれば絶対に安全とは言えない。
     万が一の事態にならない為に、憂奈の影は力強く怪人に絡みついた。

    ●砕けるスイカ
     憂奈が振り下ろした緋色を纏った剣が、ガッ、と固い音を立てる。怪人のスイカ頭に刃の半ばまで食い込んだ所で止まっていた。
    「そう簡単にわしのスイカ頭は切れん!」
    「なら、これでどうだ!」
     剣を弾き飛ばした怪人に、アキラが刃が見当たらない剣を振り下ろす。
    「吼えよ……龍鱗餃……神霊剣」
     ほぼ同時に、楠乃葉は3色の淡い光に変わったご当地聖剣を真っ直ぐになぎ払った。
    「ぬぐっ」
     スイカ頭の表面に新たな傷は付いていないが、怪人が短い呻きを上げる。
     2人の非物質の刃は、怪人の精神を切り裂いていた。
    「お返しだ!」
     まるで見えない鎖が付いているかのように、怪人の放った2つのスイカが弧を描く。
    「通さぬでござる!」
    「そんな旬を外し過ぎてるスイカの攻撃なんて、全然怖くないよ!」
     アキラと楠乃葉の背中に迫るスイカの軌道に、忍尽とマリーゴールドが割り込んで体で受け止める。
    「ナノナノ~!」
     背中に菜々花のハートを受けながらマリーゴールドが指輪から放った制約の魔力を込めた光が、怪人を撃ち抜く。
    「タカトとやらの呼び出しに応じて、一体何をするつもりでござるか」
     忍尽は両手で印を組み、意志持つ帯を己に巻きつけながら、怪人に問いかける。
    「そうですね。新宿橘花中学へ向かって、どうするのでしょう?」
     愛里も魔力を練りながら、怪人に問いを重ねる。
    「この大栄スイカ怪人の力を必要とされていると言う事は、きっと世界征服だろう!」
    「あ、世界征服は忘れてないんですね」
     ある意味変わらない怪人の答えに軽い驚きを感じながら、愛里はそれを表に出さずに手にしたロッドを振り上げる。
     ズガァンッ!
     真横に走った雷光に吹っ飛ばされて体勢を崩した怪人の頭を、メンチとペンタクルスの2匹の肉球がぺしっと叩く。
    「ちっ。邪魔をするな! わしは早く新宿橘花中学へ着かねばならんのだ!」
    「邪神に新宿の土は踏ませんのじゃ!」
     怪人がスイカを振り上げ、麻羅が鋭利な鋏を振り回す。
     削り取られた怪人のスイカ頭の欠片を鋏の刃が喰らい、強烈に叩き付けられたスイカが鈍い音を立てて砕け散る。
    (「三浦スイカ・ビームは……まだ当てるのは難しいか。けど!」)
    「通行止めだって言っただろうが!」
     倒れる麻羅を飛び越えて、アキラは赤い輝きを放つ標識を怪人に叩き付けた。
    「死神、悪魔、塔……これがあなたの運命ですよ」
     真琴が引き抜いた3枚のタロットを告げて、怪人に投じる。
     終局や破綻、災いを意味する3枚のカードが、怪人の頭に張り付いた。
    「畳み掛けるでござるよ!」
     片手で印を組んだ忍尽の縛霊手から結界が広がり、それに囲まれた怪人に黒い毛並みの霊犬が咥えた刃で斬りつける。
    「折角だからスイカを貰って帰ってあげますし、安心して灼滅されてください」
    「ナノナノ」
     さらにマリーゴールドも赤く輝く標識を重ねて叩き込む。
    「だが断る!」
     まだ力強い声を上げる怪人だが、その体は、腕は、小刻みに震えていた。
    「な……何故だ。上手くスイカを持てない!?」
     灼滅者達が重ねた攻撃によって、怪人の体は痺れていた。
    「少しは頭を冷して下さい!」
     そこに語気を強めた愛里が、緑の槍に集めた冷気から氷柱を作り出す。
     冷たく鋭い氷は牙の様に怪人に突き刺さり、スイカ頭を凍らせる。
    「これで終わりなのよっ!」
     地を蹴って跳び上がった楠乃葉が、空中でくるりと回る。
     回転の勢いも乗せて振り下ろされた3色の光を纏った餃菓の力を持つ斧が、凍ったスイカ頭を砕いて叩き斬った。
    「お、おのれ……タカトに栄光あれぇぇぇ!」
     半分残った頭でそう言い残し、スイカ怪人は爆散したのだった。

    ●そして、朝が来る
     ガソリンスタンドを出た白いワゴン車が、入ってきたのと同じ方向――西へ向かって去って行く。
    「鳥取の人たち、ごめんなさいぃぃぃ!」
     それを見送りながら、アキラは被り物を取って全力で謝罪の叫びを上げていた。
    「ホントは東京でも鳥取のスイカは人気あるんだけど! アイツを怒らせて気を引かないといけなかったから! 仕方なかったっす!」
     あと、東日本のスイカ産地と言えば千葉と山形だと思うけどガイアチャージしに行く暇がなかったとか、色々心の叫びがあるようだ。
    「しかし、こんな季節外れな怪人まで呼び寄せるとは。かなりの数が動いているようでござるな……」
     土筆袴の黒い毛並みを手で梳いて労いながら、忍尽が呟く。
    「普通のご当地怪人まで篭絡出来るとは、ラブリンさんの力が凄いという事ですね」
    「やっぱりラブリンちゃんが凄いって事なのよね。何だか嫌な予感がするのよ」
     憂奈の言葉に、楠乃葉も首を小さく縦に振る。
    「何か大きい事件が起きるかもしれませんね。用心しておきましょう」
    「そうですね。ラブリンスターも気になりますが、クロキバさんもいなくなっちゃいましたし、パワーバランスが崩れて来ているのが気になります」
     愛里の言葉に頷きながら、真琴は鞄から手帳を取り出す。
     敵の勢力図を書き始めるが、数分後には怪しげな計算式やら○や△や×とかの記号の羅列がごちゃごちゃと書かれる事になるのだが。
    「取り合えず、スイカも貰えたし帰ろう。季節外れだけど、エアコンで部屋を暑くしてから食べれば美味しいかも?」
    「ナノナノ」
     マリーゴールドの抱えたスイカの上で、菜々花が楽しげな声を上げる。
     朝日が昇り始めた中、灼滅者達は戦利品のスイカを1人1個持って、学園への帰路に着いたのだった。

    作者:泰月 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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