集結する光の軍勢~篭絡された白の王配下

    作者:彩乃鳩

    「うん?」
     白の王セイメイの配下たるノーライフキング。
     ブラムは自身が築いた迷宮の奥で、有り得ない事態に戸惑っていた。固く閉ざされた場所であるにもかかわらず。どこからか、まばゆい光が視界を覆わんばかりに輝き出したのだ。
    「なんだ、この光は……」
     髑髏の顔をしたノーライフキングは、何気なく光を見つめる。
     そう、見つめてしまった。
     瞬間、これまでとは全く異なる思考が全身を支配する。
    「……そうだ。タカト様のために、新宿橘華中学に向かわねば」
     それは、白の王セイメイの配下として有り得ぬ発言。
     だが、ブラムは頓着した様子もなく自分の迷宮から動き出す。早く地上へと出て、目的の場所へと向かわねば。まるで、今までの全てが塗り替えられたように、水晶の身体は疑問も持たず湧き上がる本能に従う。
    「タカト様のために……」
     完全に籠絡されたダークネスは、何度もそう呟いた。

    「ベヘリタスの卵の事件で暗躍していた光の少年と、アンデッド化して白の王配下となったクロキバとの戦いに介入した灼滅者たちが、見事クロキバを討ち取る事に成功しました」
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)は、灼滅者達に説明を始める。
    「これにより白の王セイメイの計画に致命的なダメージを与える事ができたでしょう」
     最後に正気を取り戻したクロキバは、自分が灼滅された事で、新たなクロキバの継承者が出現すると言い残している。クロキバを継承する者が誰になるかは判らないが、大殊勲といってよいだろう。
    「しかし、クロキバを失った白の王の弱体化により、白の王と敵対していた、光の少年『タカト』達の積極攻勢にも繋がってしまったようです」
     光の少年『タカト』は、拉致したラブリンスターを利用し、多くのダークネスを無差別篭絡術を利用して配下に組み入れようとしているのだ。おそらく、集結させた軍勢を利用して、何か大きな作戦を行おうとしているのだろう。
    「皆さんには、光の軍勢に加わろうとしているダークネスの撃退をお願いします。ここで、戦力を減らすことができなければ、光の少年『タカト』を阻止する事ができなくなるかもしれません」
     今回の相手の名はブラム。
     白の王セイメイの配下であったノーライフキングだ。
    「このノーライフキングは、迷宮の奥から単身地上に出てきます。そして、通りすがりの大型バスをジャックして移動し始めます」
     介入するのは、ブラムが車で移動している最中となる。
     バスには運転手や乗客が二十人ほどいる。バスで移動するダークネスの前に立ち塞がり、一般人を救出した後に戦闘を開始するという流れが基本になるだろう。また、周囲は大勢の人がたむろしている大通りだ。下手をすると、相当な被害が出かねない。
    「どうも、嫌な予感がします。ノーライフキングは危険な相手ですが、どうかよろしくお願いしますね」


    参加者
    リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)
    立花・銀二(黒沈む白・d08733)
    華槻・奏一郎(抱翼・d12820)
    中川・唯(高校生炎血娘・d13688)
    御神楽・フローレンス(高校生エクソシスト・d16484)
    ヴィタリー・エイゼンシュテイン(ヴェリシェレン・d22981)
    浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451)
    ディエゴ・コルテス(未だ見果てぬ黄金郷・d28617)

    ■リプレイ


     作戦場所の横。
     リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)は、人ごみの中で監視についてオペラグラスでさっと窓から敵の姿を確認する。だが、逃げられないまま恐怖の時を過ごしていたであろう乗客の様子を見た瞬間に、昔の嫌な思い出に触れて怒りメーターが微量の上昇を示した。
    (「昔のことを思い出すわね……」)
     灼滅者達は、件のバスを捕捉。
     二つのチームに分かれて、タイミングを図っていた。一つが前方から突入する班。もう一つが車両の天井から突入する、リュシール達の班である。
    「タカトって奴も、大概面倒な事してくれやがんなぁ……ま、操られてる云々抜きで、バスジャックなんざ食い止めにゃだけどな」
     前方から突入する班であるヴィタリー・エイゼンシュテイン(ヴェリシェレン・d22981)は、猛スピードで走行するバスの進行方向に先回り。チームの面々と頷き合い――予定通り、車の前へと躍り出る。
    「何だ、人が飛び出したぞ!」
     人が多い通りでのことである。
     傍から見れば無謀なこの行為に、通行人の人々が血相を変える。何より、問題のバスの方は一切スピードを緩める気配がなかった。
    「普通にブレーキを踏んでくれれば良かったのですが、こうなれば力づくでも止めます」
     同じくバスの前方へと飛び出した御神楽・フローレンス(高校生エクソシスト・d16484)が怪力無双を発揮する。正面から大型車を受け止めて、地面を踏みしめる。
     それは、一般人から見たら顎が外れそうな光景であったろう。車に衝突した高校生の少女が一歩、二歩、三歩……と後ろへ下がったところで、ジャックされたバスはその歩みを完全に停止したのだ。
    「最悪、サイキックをぶつけてでもと思っていましたが……そうなる前に止まりましたね」
     フローレンスの方はと言えば、そんなことを言っている始末。
     ともあれ。間を置かずに前方突入班は、バスの正規入口から、車内へと駆けこむ。
    (「俺達は正面から突入して、ブラムの気を一瞬こちらに向けさせる」)
     ディエゴ・コルテス(未だ見果てぬ黄金郷・d28617)が先陣を切り。浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451)は、一般人をかばうような形で前に出る。
    「バスジャック犯です。逃げて下さい」
     乗客に呼びかけて避難を促す。それぞれ席に座っていた客達は、突然の事態にどう対応したら良いか分からぬような態だった。なかなか避難してくれない様子に、ちょっと強引にでもバスの外に誘導する。
    「なんだ……貴様等は?」
     最も後ろの座席に陣取っていたダークネス。
     髑髏と水晶の身体を持つノーライフキング……ブラムは低い声を出して虚空の両眼を灼滅者に向けてきた。
    「わりぃが、ちぃと相手してもらうぜ?」
     ヴィタリーが一気に飛び越えて、一般人とブラムの間に入り螺穿槍を放つ。一般人の避難が終えるまでの時間稼ぎ。ダメージではなく牽制目的の攻撃だった。
    「乗客は二十人程度に間違いないようだな」
     同時に、もう一つのチームも動いている。
     前方班が気を引く際に、華槻・奏一郎(抱翼・d12820)は窓からバスの様子を確認し大体の人数を把握しておく。
    「敵は一番後ろの席だね、リュシールちゃん」
    「ええ。中川さん、行きましょう」
    「唯君、お願いします。落ちないように気をつけますね」
     立花・銀二(黒沈む白・d08733)は猫変身、リュシールは蛇変身でそれぞれ動物に変化。中川・唯(高校生炎血娘・d13688)の右肩に猫が、左腕に蛇が巻き付き。外から敵の詳細位置を確認して、後部席側へと向かう。
    「今だ。来い、唯」
    「華槻先輩、先に行きます」
     奏一郎が仲間の足を手に乗せて、押し上げてジャンプさせる。サポートを受けた唯の身は、バスの天井より高く打ち上がった。
    (「うっかり落ちたらナノナノに運ばせますし、最後にのぼる奏一郎君の足場が悪ければナノナノが足場になってふまれますから!」)
     銀二もフォローする気満々であった。
     唯が天井に上がったのを確認してから奏一郎も、ダブルジャンプを使って後を追いかけ……幸いにもと言うべきか。スムーズに事は運び、今回はナノナノの安全は保たれる。
    「セイメイもムカつくけどタカトのがもーーっとムカつく」
     今回の事件の心情を込め。
     上空から敵の真上部分に落下しつつ、ガントレット状の縛霊手に炎を纏わせて。
    「ぶん殴ってやる」
     唯はレーヴァテインの一撃を放ち、バスの天井を外側から破壊して穴を開ける。派手な音と共に貫通した場所には、ノーライフキングが鎮座していた。
    (「このまま相手めがけて落ちる!」)
     リュシールは変身解除し、そのまま敵へと飛びついて押し倒す。ダークネスの髑髏が、間近で嘆息するような仕草を見せる。
    「やれやれ。前から、上から……騒がしい!」
    「っ」
     至近距離で鋭い閃光が輝き、灼滅者は物理的な衝撃を受けて引き剥がされる。だが、すぐにヴィタリーが攻撃に繋げ。リュシールも敵が起きれば、また組み付き倒して。足と座席前方への射線を徹底的に封じに行く。
    「乗客が全部降りるまであなたはこの席よっ!」
     攻撃手段は元から全部至近打撃。
     狭さを味方に……マウント殴り。膝蹴り。十字架の柄打ちに、パイルを叩き付ける!
    「む」
     捨て身とも言える積極的攻勢に、ノーライフキングも呻きを上げる。その隙に、他の面々も素早く対応。銀二は変身解除して、着地点周辺の者達とブラムとの間に割り込み急いで避難指示を行う。
    「出来る限りブラム君をバスの奥に閉じ込める形にします」 
     人のいない座席を攻撃で巻き込みバリケードを作り上げる。奏一郎は一般人を窓から脱出させながら、ブラムから危害を加えられそうになったら身を挺して庇う心積もりだ。
    「巻き込まれねェうちに、さっさとどっかに行っちまいな」
     奇襲班が突入したのに合わせて、ディエゴはラブフェロモンを使って避難をサポートした。灯乃人のウイングキャットも、主人の指示を受けて一般人を優先して助けに入る。
    (「優先順位は人の安全。それは間違えない」)
     第一に、乗車している一般人の安全確保。
     流れ弾から皆を庇いながら、唯は避難誘導する。クリエイトファイアの炎によって敵の視線をさえぎって、少しでも攻撃の妨害をする。
    「ちっ、灼滅者共が! 我の行く道を邪魔するとういことは、タカト様の邪魔をするのも同じこと!」
    「結局お前は、セイメイの部下なのか? タカトの部下なのかい?」
     灼滅者達の行動に、業を煮やしたノーライフキングは激昂し。
     ヴィタリーの軽い煽りに言葉ではなく、車体ごと貫く光条によって返答する。まとわりつく灼滅者達と、作られたバリケードや、自由の効かない視界によって、その動きは大きく制限されていた。
    (「19、20……うん、これで全員だね」)
     皆が必死に時間を稼いでいる間にも、退避は進み。乗客の数を数えながら避難誘導を行っていた灯乃人は、全員が逃げたことを確認。仲間にも無事に事が済んだことを合図で伝える。リュシールは頷き、周囲の座席をサイキック余波に巻込む。
    「……やりたい放題にやってくれたものだな、武蔵坂」
     座席は薙倒され。
     車両の中には、開けた場所が空いた。


    「んじゃま、本番おっぱじめようか?」
     乗客の避難は完了した。後はダークネスを倒すことに集中できる。妖の槍を手にしたヴィタリーが、螺旋の如き捻りを加えて攻撃力を上げ。敵を穿ちにかかる。
    「さあ、これでやりやすくなったわ」
     リュシールは抗雷撃の拳を振るう。人払いがなされ、席も取り払われたことにより出来た戦闘空間に。闘気を雷に変換したアッパーカットが、燦然と輝いた。
    「……急いでいるというのに。まさか、このような邪魔を受けるとはな」
    「タカトの狙いは分かんねェが、合流させるわけにはいかねェな」
     まずは、レイザースラストで狙いを定めて命中率を補う。ディエゴはガンガン攻撃していく構えだ。
    「私たちが相手だよ!」
    「くっ。忌々しい……」
     ノーライフキングの水晶の身体を彩るように、灯乃人のグラインドファイアの炎が飛ぶ。敵をバスの外に出さないよう、奥の方に抑えこんだまま通路を塞ぐように立ち回った。
    「骨のくせに交通機関使ってんじゃねーですよ! ちゃんと運賃はらいましたか!」
     銀二は制約の弾丸を撃ち込み行動阻害を狙い。サーヴァントのナノナノは、初動でしゃぼん玉で攻撃して牽制する。
    「ふん、幾らでもくれてやるさ。我が目的地たる新宿橘華中学に、辿り着けるのならばな!」
     ノーライフキングの身体から、プリズムのような材質で出来た輝ける十字架が出現する。十字架は内部から無数の光線を放ち、灼滅者達に襲いかかった。
    「さてさて――」
     メディックとして回復をメインに。
     奏一郎はすぐに、祭霊光で回復にかかる。複数の列単位で、仲間を回復させる場合は清めの風だ。
    (「無差別にダークネスを配下に組み込むとはタカトは何を考えてるのでしょうか? ベヘリスタの卵を植えつけるためでしょうか?」)
     同じくメディックのフローレンスも、今回の件に疑問を抱きながらも回復に専念する。列攻撃にリバイブメロディで対応しながら、霊犬のシェルヴァも浄霊眼で回復を手伝う。
    「タカトはお前のなんなの??」
     炎真爛漫発動。
     炎のオーラを纏い接敵。飾らず自然のままに明るく光り輝く力は、皆の心を照らす中川唯、其の者也。
    「愚問だな。タカト様は仕えるべき、我が主……それだけのこと」
    「あっそ」
     唯はいつもと違い、口数が少なく必要最低限。それは怒りを抱いている証拠であった。きつく敵をにらみつけて、黒死斬の一撃を振るう。
    「搦め手は抜きにして、シンプルにぶっ飛ばさせてもらうぜ」
    「面白い、やってみるが良い」
     闘気を雷に変換して拳に宿し、ヴィタリーが己の言葉を体現せんとする。だが、ダークネスも黙ってはいない。水晶の身体に影を帯び、灼滅者達へと負の呪力を叩き付ける。どちらも退かぬ苛烈な攻防は、容易に優勢が決まらない。
    「移動したいだけなら乗客は降ろしちゃえば良かったのに、わざわざ抑え付けて……どうもあなたは容赦しなくていい相手っぽいわね」
     十字架戦闘術を振るい、スターゲイザーを炸裂させて。リュシールは敵を足止めしながら、火力を発揮する。
    「ふん。脆弱な人間共など、大人しく我に傅くのがお似合いというものだ」
    「引きこもりが巣穴から出てきたと思ったら、碌な事ァしねェな」
     黄金郷のヒーロー。
     ディエゴは自身のオーラで黄金に輝き。尖烈のドグマスパイクで敵を突き刺し、グラインドファイアの激しい炎を放つ。
    「猫さん頑張って!」
    「サーヴァント風情が小癪な!」
     灯乃人のウイングキャットは、まだ名前は決まっていない。だが、大事な友達で心の相棒だ。主人に応えるように、サーヴァントはリングを光らせて仲間を回復し。ディフェンダーとして盾となり、敵の攻撃を引き受ける。
    「操られるだけの躯ですか……いやいや哀れですね」
     制約の弾丸を軸に、銀二は攻撃に専念。敵がエンチャントすれば神霊剣でブレイク。自身の体力が心許なくなったら、紅蓮斬でのドレインを図る。
    「貴様等に哀れまれる筋合いなどない!」
     武器は細身のクルセイドソード、主に刺すタイプ。
     盾は――ナノナノ。ノーライフキングの一撃を、鳴き声を上げながら受け止める。銀二のサーヴァントは、基本的に回復に努めていたが。何とも、この主従の関係を良く表しているようでもあった。
    「タカトの目的も気になりますが、今は戦いに集中ですね」
    「だね」 
     フローレンスは味方の体力、命中補正と防御補正の掛かった度合を常に把握。適宜、必要な効果を加味して、ラビリンスアーマーと癒しの矢を使い分ける。奏一郎も回復を重視しつつ、機会があれば鬼神変を振るってEN破壊で相手のエンチャント対策をした。
    「ええい、鬱陶しい!」
     ブラムは、灼滅者を振り払い漆黒の弾丸を放つ。唯は仲間を守り。周りを確認して回復サポートも積極的に行いながら、剣を振るった。今回のクルセイドソードは狭い車内に対応する為、短めの直刀だ。
    (「誰も死なせない。誰かが死ぬくらいなら……」)
     不退転の決意を乗せた剣戟。
     灼滅者達の一撃一撃が、重さを増して相手を次第に追い詰めていく。
    「く! 馬鹿な、何故我が……灼滅者如きに」
    「強制的に従わされた奴には芯がねぇ。そんな野郎に負けてたまるかってんだ」
     ――オレだって昔暴れてた時期に彼女との出会いで変わったもんだが……それと一緒にされたらたまんねぇしな。
    「本心からってんなら、もっと熱くなってみせろやぁ!!」
    「っ!」
     ヴィタリーのフォースブレイクによる追撃が、敵を内側から盛大に爆破する。よろめくノーライフキングに、足止めはもう充分とリュシールが尖烈のドグマスパイクを叩き込む。
    「邪魔を……我の邪魔をするな!」
    「この先には行かせないよ!」
     逃れようとする敵に対して。
     灯乃人が車外に脱出させまいと立ち塞がる。
    「どけ、小娘が!」
    「何を企んでるのかは分からないけど、作戦の実行を阻止する為にもここで絶対に倒してみせるんだから!」
     ダークネス相手に一歩も退かず。シャウトで耐えながら、精確に相手を削り続け。ディエゴが黄金のご当地ビームをぶつけて、意識をこちらに向けさせた。
    「灼滅者共が! こうなれば、先に血祭りにあげてやるわ!」
    「良いでしょう、導いてあげますよ!」
     銀二が細見の剣で、鋭く相手を刺し。フローレンスも好機を逃さず、レイザースラストとソニックビートで攻撃に転ずる。
    「お前さん、大分辛そうだね」
    「ぬ!」
     敵は最後の攻勢に出るが。
     奏一郎の橙の瞳は、終わりが近いことを見抜く。
    (「オレはもっと強くなりてぇンだ。その為にゃ、てめぇ如きに躓く訳いかねぇんだよ!」)
     咆哮。
    「鋭く、もっと鋭く……オレの槍は、簡単に塗り替えられたてめぇなんざ……ぶち抜く!!」
     ヴィタリーの渾身の一撃が敵を貫き。縫い止められた相手に、ディエゴの黄金の力を宿した蹴りが直撃する。
    「タカ、ト……様」
    「テメェも運が悪かったな……」
     終焉まで心を籠絡されたまま。ダークネスの水晶の身体は四散した。灯乃人はウイングキャットをぎゅっと抱きしめて、相手の最期を見届ける。
    「早く逃げましょう、警察が来ちゃうと凄く面倒です」
    「むむむ、これは……イイワケできるカンジじゃないです?」
    「さくっと撤収っと……いけるかな?」
     感慨に耽ってもいられない。
     外を見やれば、結構な騒ぎになっている。リュシールは再度蛇に変身して仲間の懐へと潜った。
    (「目立った怪我人はいないようね」)
     仲間も一般人も、深手を負った者は見当たらない。その点は、喜ばしいことだが……どうやら無事に帰るのは骨が折れそうだ。 
    「あー、ちょっとすっきり。けど、まだまだ」 
     皆が顔を見合わせる中、唯は大きく伸びをした。

    作者:彩乃鳩 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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