餅を生み出すモノ!

     聖刀・凛凛虎(不死身の暴君・d02654)は、こんな噂を耳にした。
     『大量の餅を生み出す都市伝説が存在する』と……。
     この都市伝説は餅を擬人化させたような姿をしており、繁華街にいる一般人達に襲い掛かって、むりやり餅を食べさせているようである。
     この餅は口の中で噛んでいると塊になりやすく、喉に詰まってしまう危険性が高いため、食べた一般人の大半が病院送りになっており、そのうちの半数近くが命を落としているらしい。
     しかも、この餅はとても美味しく、一気に飲み込んでしまいたいような衝動に襲われるため、ある意味で食べる事は自殺行為。
     そういった事も踏まえた上で、都市伝説を灼滅する事が今回の目的である。


    参加者
    聖刀・凛凛虎(不死身の暴君・d02654)
    神楽・武(愛と美の使者・d15821)
    ライン・ルーイゲン(ツヴァイシュピール・d16171)
    魅咲・狭霧(中学生神薙使い・d23911)
    浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451)
    シェスティン・オーストレーム(小さなアスクレピオス・d28645)
    上里・桃(生涯学習・d30693)
    禰・雛(ありのひふき・d33420)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「またよく分からない都市伝説が出てきたわねぇ。食べさせて何なのかしら。……と言うか、何の噂が元になってるのか、よく分からないワ。んー、お餅は喉に詰まりやすいからよく咬んで、とかそういう方向? その割には被害が酷いから、そういう被害で亡くなった身内でもいて、お餅なんてーとか毛嫌いしてる方かしら。ま、被害が結構出ちゃってるわけだし、さっさとなんとかしないとネ」
     神楽・武(愛と美の使者・d15821)は自分自身に言い聞かせながら、仲間達と共に都市伝説が確認された繁華街に向かっていた。
     都市伝説は餅を擬人化したような姿をしており、自由自在に餅を操る事が出来るようだ。
    「まさか、大量のお餅を生み出して、むりやり食べさせる都市伝説さんが存在するなんて……。普通に食べさせてあげれば、みなさんに感謝されるのに……」
     魅咲・狭霧(中学生神薙使い・d23911)が、悲しげな表情を浮かべる。
     どうやら、都市伝説は相手に餅を食べさせて、死に至らしめる事を目的にしているらしく、それが原因で沢山の一般人が命を落としているようだ。
    「それに、お餅って気をつけて食べないと、喉に詰まっちゃって危険だよね。ただでさえ危ないのに、それを無理矢理食べさせようとするなんて、絶対だめ!」
     浅巳・灯乃人(スターダスト・d26451)が不機嫌な表情を浮かべて、殺界形成を発動させた。
     その影響でまわりから人気がなくなり、辺りがシーンと静まり返る。
    「そういえば、聞いた事があります。お餅が喉に詰まって、毎年何人もの人が亡くなっていると……」
     上里・桃(生涯学習・d30693)が、険しい表情を浮かべる。
     おそらく、そのうちの何人かは、都市伝説に襲われて、命を落としてしまったのだろう。
     それを証明するための手段はないものの、その可能性が非常に高かった。
    「うーん、お餅は好きだがなぁ。たくさんはいらない、というのが正直なところだ。それに、死因がそれでは何か気の毒だしな」
     禰・雛(ありのひふき・d33420)が、深い溜息をもらす。
     しかも、都市伝説が作り出す餅は口の中で塊になりやすく、喉に詰まりやすいため、救急車が到着する頃には手遅れだったようである。
    「そういった意味で、割と本気で危ない奴だな」
     聖刀・凛凛虎(不死身の暴君・d02654)が、警戒した様子で辺りを見回した。
     先程、殺界形成を使った影響で、辺りに人気はないのだが、何やら嫌な空気が纏わりつくようにして漂っていた。
    「個人的には、お餅は日本でも屈指の食べ物っていうか、『超ウマッ!』って思うだけに、こういう事件は残念ねぇ」
     神楽・武(愛と美の使者・d15821)が、残念そうにどこか遠くを見つめる。
    「ぬわっはっはっはっ! ならば、お前に食わせてやろう! 俺特製の特上餅を、な!」
     次の瞬間、都市伝説が思わせぶりにポーズを決め、武の前にズシンと落下した。
    「おもちはおいしいですけど、詰まらせたら困りますね……。みなさんの安全のためにもここは倒しておきましょう。……シャル、美味しそうだけど食べたら駄目よ?」
     ライン・ルーイゲン(ツヴァイシュピール・d16171)が間合いを取りつつ、ナノナノのシャルに釘を刺す。
     その途端、シャルがビクッと身体を震わせ、自信がなさげに小さくコクンと頷いた。
    「はははははっ! 遠慮はするなっ! 食え、食え! 食えええええええええええ!」
     それと同時に都市伝説が弾丸の如く勢いで、次々と餅を投げていく。
    「あいつ、本気で餅を食わせるだけかよ! ちょっとハプニングを期待した俺が馬鹿だった!?」
     凛凛虎がハッとした表情を浮かべ、その場から飛び退いた。
     地面に落下した餅は、ドロドロに溶けて、地面に吸収されていく。
     この様子では、都市伝説が作り出す餅は、餅であって餅ではない何か。
     迂闊に食べれば、腹痛になるのは、確実なモノ。
    「美味しそうなのに、詰まる……詰まるけど、美味しそう……うーん、凄く、悩ましい、です……」
     それに気づいたシェスティン・オーストレーム(小さなアスクレピオス・d28645)が複雑な気持ちになりつつ、少しずつ間合いを取っていくのであった。

    ●都市伝説
    「戦いの美学、やはりどんな時でもキメる事を忘れちゃいけないわネ☆」
     武がキリッとした表情を浮かべて、思わせぶりにポージング。
    「だから、どうしたァ!」
     都市伝説が殺気立った様子で、続けざまに餅を投げていく。
    「まったく、ポージングの最中に餅を投げるなんて野暮ねぇ」
     武が深い溜息をもらして、都市伝説が投げた餅をキャッチ。
     餅は手の中でネバつき、にゅるんと糸を引いている。
     しかも、むりやり剥がそうとすればするほど糸を引き、まるで蜘蛛の巣のようになっている。
    「ところで、どうやって餅を生み出しているんだ? よく見せてくれないか」
     雛が興味津々な様子で、都市伝説に問いかけた。
    「……断るっ!」
     だが、都市伝説は雛の要求を拒否すると、その口を封じる勢いで餅を投げてきた。
    「……食べ物を投げたらダメですよ」
     それに気づいた狭霧が困った様子で、都市伝説が投げた餅を避けていく。
     少し勿体ない気もするが、油断すれば口の中に入ってしまう。
     その事が分かっているため、避けるしかないようである。
    「はははははっ、遠慮をするな。食え、食え! どんどん食え!」
     都市伝説が面白がって、さらに餅を投げていく。
     その間もシャルは、都市伝説を見つめたまま、動かない。
     何とかして、餅を食べようとしているのか、それとも偶然を装って餅を食べようとしているのか分からないが、どちらにしても餅に興味があるようだった。
    「食べられないわよ?」
     それに気づいたラインが、シャルに再び釘をさす。
    「……」
     しかし、シャルは餅を諦める事が出来ないらしく、再び都市伝説に視線を送る。
    「おなかが痛くなるかもしれないのよ?」
     そのため、ラインがシャルを諭すようにして呟いた。
     それでも、シャルは我慢する事が出来なかったらしく、都市伝説が投げた餅を向かっていく。
    「……!!」
     次の瞬間、餅がベチャっとシャルの顔に広がり、チューインガムの如く膨らんでいった。
    「……シャル!」
     すぐさま、ラインが顔についた餅を剥がしたものの、シャルは放心状態。
     色々な意味でトラウマになったのか、ブルーな気持ちになっている。
    「……おっと! これはすまない事をしたな。だが、次は外さねぇ!」
     都市伝説がニヤリと笑って、再び餅を飛ばしていく。
    「お餅、危ないですから、一口サイズに切るのが安心、ですね……。それか、煮込みましょうか……?」
     シェスティンが都市伝説の餅に避けつつ、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
    「そもそも飲み物の無い状態でお餅をたくさん食べさせられるのが問題ですから、飲み物がほしい人は言ってくださいね」
     その間に桃がドリングバーを使い、仲間達のために栄養ドリンクを用意した。
     しかし、普通の餅とは異なるため、どこまで効果があるのか分からない。
     それでも、何もないよりはマシとばかりに、準備を整えているようだ。
    「でも、お餅って焼いたら、おいしくなるよね。こんがり焼いちゃうよ!」
     灯乃人がグラインドファイアを放ち、都市伝説が投げた餅を焼く。
     その途端、餅がジュッと嫌な音を立て、あっという間に消し炭と化した。
     これにはウイングキャットも警戒したのか、餅からひょいっと遠ざかっていく。
    「……飽きた。そろそろ飽きたぞ」
     雛が深い溜息をもらした後、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
    「うぐっ……! こ、こいつ……強い!」
     それに驚いた都市伝説が、餅を投げる事を止めて、自らの身を守る事に専念した。
    「お餅の塊なんて、もう凶器でしかないんだからね。お餅を食べる時はちゃんと一口ずつ食べないとだめなんだから」
     続いて、灯乃人が都市伝説を叱りつけるようにして、ティアーズリッパーを放つ。
    「ぐわっ! やめ、やめろ!」
     その一撃を食らった都市伝説が、悲鳴を上げてよろめいた。
    「オラオラオラオラオラァァァッ! 調子こいてんじゃねぇぞウルァァァァァッ!!」
     それと同時に武が餅をネバつかせながら、力任せに都市伝説を殴っていく。
    「これで終わりだ。正月になるまで寝てろってんだ」
     次の瞬間、凛凛虎が一気に間合いを詰め、都市伝説に抗雷撃を叩き込む。
     その一撃を食らった都市伝説が断末魔を響かせ、ドロドロに溶けるようにして消滅した。
    「さよなら、です」
     シェスティンが都市伝説に対して別れを告げる。
     都市伝説が消滅した事によって、仲間達の体にこびりついていた餅も、綺麗さっぱり消えさった。
    「も、餅が……」
     狭霧が驚いた様子で目を丸くした。
     やはり、都市伝説が作り出した餅は、普通の餅とは似て非なるモノだったようである。
    「どちらにしても、食べなくて正解だったようですね」
     そう言って、桃が苦笑いを浮かべて、その場を後にするのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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