様々なボールが跳ねる音がする。学生達の雑談の声も聞こえる。
ここは市民が自由に使用できる広い体育館だ。バスケットやテニス、サッカーなどのコートがあり、普段から学生達が沢山利用している。
だが、今は少し事情が違っていた。何故か誰も体育館から出ることができないのだ。とは言え、利用者は元気な学生達だ。気持ちを切り替えて遊んだり、友達とだらだら雑談したりと、今は比較的平和に時間が過ぎている。
そんな中、一人の女子学生――青丹・美花(あおに・よしか)が、手にしたバスケットボールをくるくる回しながら考えていた。
(「でも、早く、ここから、出たい。どうしたら出られる?」)
彼女の周りには、見知ったチームメイト達の姿がある。
(「みんな、危機感、なさすぎ。私が、しっかり、しなくちゃ。えっと、あれ?」)
ボールの回転が止まった。
「あ、そうか。みんなを殺せば、私だけは出られる、かも」
美花は立ち上がり。手にしたボールを、振り上げる。
「だ、だめ。だめ。殺す? そんなの、だめ」
殺したい。殺したくない。けれど、殺せばきっとここから出ることができる。美花は殺人の衝動に駆られながら、ボールを強く握り締めた。
●依頼
「みんな、新たな六六六人衆の密室事件が発生している事は、もう聞いた?」
千歳緑・太郎(中学生エクスブレイン・dn0146)が話を切り出した。
神宮寺・柚貴(不撓の黒影・d28225)らの調査により、新たな六六六人衆の密室事件が発生していることが判明した。
今までの密室と異なり、中にいる六六六人衆も密室に閉じ込められ脱出できないらしい。
密室に閉じ込められた六六六人衆は、同じく閉じ込められた人間を殺戮しようとしているようだ。
密室は中から外に出られないだけで、外からは簡単に中に入ることができるし、予知も可能であると言うことである。
「今回分かったのは、市民体育館の密室だよ。中に閉じ込められているのは、闇堕ちしたばかりの六六六人衆なんだ。青丹・美花ちゃんって言う、中学生の女の子だよ」
美花は闇堕ちしたばかりでまだ殺人を犯していない。密室体育館の中で、殺人衝動に抗っている。しかし、脱出するためには殺戮をしなければならないと重い殺人を行おうとしている。
そのように説明した後、太郎は皆を見てこう言った。
「だから、まだ彼女が殺人を犯していない今なら、闇堕ちから助ける事ができるかもしれないんだ。もし、彼女が、灼滅者の素質を持つのであれば闇堕ちから救い出して欲しいんだよ」
青丹・美花が居るのは、密室化した市民体育館の中にあるバスケットコートだ。広めの館内には、多くの学生達が閉じ込められている。幸い、学生達はあまり現状を悲観せず、遊びながら過ごしているようだ。
体育館には自由に入る事ができる。バスケットコートへ向かうと、ボールを手に殺人衝動に抗って苦悩している美花と出会えるだろう。
「出会えば戦いになるよ。美花さんは殺人鬼相当のサイキックで攻撃してくるんだ。もし彼女を助けるのなら、戦いながら声をかけてあげてね。美花さんは、元の人間としての意識を遺しているんだ。ダークネスの力を持ちながらも、ダークネスになりきっていない状況だよ」
館内には、美花のチームメイトもいる。
バスケットの楽しさや、このまま殺人を犯してしまえば取り返しが付かなくなる事、他彼女の心に上手く訴え、共感や信頼を得る事ができれば、彼女の力を減少させる事もできるだろう。
「あとは、一般の学生達も気になるよね。もし、みんなを戦いに巻き込みたくないなら、まずは美花さんがいるバスケットコートから人払いをしたほうがいいかもしれないね」
そこまで説明し、太郎はくまのぬいぐるみをぎゅっと握り締めた。
「この密室は、美花さん自身が作成したものでは無いようなんだ。うーん。もしかしたら、新たな密室殺人鬼を生み出すためかもしれないね。あ、それはともかく、みんな頑張ってきてね」
そう言って、話を終えた。
参加者 | |
---|---|
ユエファ・レィ(雷鳴翠雨・d02758) |
十三屋・幸(一欠の名は殲滅を望む・d03265) |
久織・想司(錆い蛇・d03466) |
内山・弥太郎(覇山への道・d15775) |
三和・悠仁(偽愚・d17133) |
琶咲・輝乃(あいを取り戻した優しき幼子・d24803) |
犬良・明(中学生人狼・d27428) |
七夕・紅音(痛みを探す者・d34540) |
●
「まさか、完全に堕ちている訳でない方まで、密室に閉じ込められるされてると、思うしませんでした……よ」
密室化した体育館を、ユエファ・レィ(雷鳴翠雨・d02758)は見上げた。
入る事はできる。けれど、中から誰も出てこない。そう言う場所だ。
これは六六六人衆絡みの事件。密室の中で、一人の少女が苦しんでいるはず、と。灼滅者達は表情を引き締めた。
「誰の犠牲を無く終わらせてあげたいですね」
内山・弥太郎(覇山への道・d15775)が言う。おかっぱ頭にしている黒髪が、風に吹かれ揺れた。
体育館はとても大きな印象を受けた。館前の案内図を見てみると、いくつものコートが設置されている様子が分かる。使用している土地も、かなり広いようだ。
ユエファが頷いた。
「密室を仕掛けるしてる奴は、相当に性格悪そです……ね」
いずれは、この密室を止めなければならないだろう。まずは、一つ一つ、目の前にある密室を止めようと思う。
「バスケか……懐かしいな」
三和・悠仁(偽愚・d17133)がポツリと呟いた。
(「灼滅者になる前は、俺も……」)
今密室に居る少女は、バスケットボールが好きだと言う。
彼女はこれからもバスケを続けていけるのだろうか。非日常の世界へと入っても、日常を失わずに。
いや、それを見届けるためにも。
「救わねぇと、な」
真剣な表情で、悠仁は体育館へと向かった。
そして、十三屋・幸(一欠の名は殲滅を望む・d03265)もまた、バスケットボールに複雑な思いを抱いていた。
幸は元々バスケットボールプレイヤーだった。だが、灼滅者になってしまった事で『普通のバスケ』が出来なくなってしまった事が悩みになっている。
だからこそ。
(「……ダークネスになるのはもってのほか。でも、灼滅者になってまで生きる事が幸せなのか、僕には分からない」)
混乱する。
(「でも……人を殺すよりは、ずっとマシだ」)
――マシな、はずだ、と。
「それじゃあ、行こうか」
犬良・明(中学生人狼・d27428)が皆に呼びかける。
幸は、はっと顔を上げ、周りの仲間達を見た。
仲間達が体育館へと足を進める。
聞いていた通り、館内へは難なく侵入する事ができた。コートがいくつも見える。あちらこちらで学生達が遊んでいた。
「混乱は起きていないんだね」
周囲を見渡し、琶咲・輝乃(あいを取り戻した優しき幼子・d24803)が確認するように言った。
テニス、サッカー、そしてバスケット。
各コートを順に見て行く。
「彼女が美花さんね」
バスケットコートの片隅で、ボールを握り締め俯く女子学生が居た。
七夕・紅音(痛みを探す者・d34540)が言うと、皆がそちらへ目を向ける。
その通り、彼女が青丹・美花に違いない。
「そうですね」
久織・想司(錆い蛇・d03466)が伏目がちに頷いた。灼滅者への覚醒をきっかけに、日常を壊してしまった。多かれ少なかれ、皆、自分の過去を思い出してしまう。
想司は仲間に囲まれた美花を見て思う。同じ殺人鬼、しかし彼女には帰る場所がある。それは、嫉妬にも似た羨望だった。
そして、自分と同じにはさせないという思いを抱き、美花の居るコートへ向かった。
●
バスケットコートで遊んでいた学生達が、紅音の殺気を受けてコートから遠ざかっていく。体育館からは出ることはできないが、館内は広い。他のコートや廊下に出る事は十分可能だ。
コートから逃げる学生に、できるだけバスケットコートから離れておく事、なるべく物陰などに隠れておく事などを悠仁が言い含めた。
バスケットコートから学生達が引くのを見計らい、明がサウンドシャッターを発動させる。一般人を退避させ戦いの音も遮断する。戦う準備が整った頃、ぽーんと、一つ、大きくボールが跳ねる音が響いた。
コートから遠ざかっていく学生達を見て、美花が立ち上がったのだ。
美花は片手でバスケットボールを跳ねさせ、手に取り、また跳ねさせる。
それから探るような目つきで灼滅者達を見た。
「あなた達、誰? どう言う、事?」
灼滅者達は慎重に美花を囲みながら武器を構えた。
「こんにちは、美花。いきなりこんなことをして、ゴメンね」
輝乃がダイダロスベルト『虹翼の守護帯』の帯を伸ばす。
「でも、あなたやあなたの友達達をここから出すために必要なことなんだ」
「は、あ? 私は、言われなくても、ここから出る! そ、そう。皆を、こ、殺して!」
美花から、底冷えのするようなどす黒い殺気が放たれた。
「鋼鉄の狼、みんなを守って」
明が急ぎライドキャリバー鋼鉄の狼に、仲間を庇うよう指示を出す。
「そ、そうだ。殺さなきゃ。殺さなくちゃ」
殺気に襲われながらも、紅音は思う。美花の殺意を、殺人衝動を、否定する心算はない。けれど、本当に殺してしまったらきっと、バスケットを楽しむ事もできなくなる、と。
「美花さんは『独り』で、この密室から出たいの? それは寂しいでしょう?」
霊犬の蒼生に仲間の回復を指示し、自身は片腕を半獣化させる。
寂しいと聞かされ、美花がバスケットボールを抱き少し後ずさった。
紅音は鋭い銀爪をつき立て、相手の肉を引き裂く。
「ぐ、そ、そんなの、出来るはず、ない」
傷口を押さえ、美花が走った。きゅっきゅと、バスケットシューズが鳴る。その動きは素早い。なるほど、バスケットをしているだけの事はある。
彼女の動きに合わせるように、幸がステップを踏んだ。
フェイントを踏んで、右に左に短くターンを繰り返し、美花の前へ躍り出る。
「え?」
「ねえ。君。ポジションどこ? 僕はシューティングガードだったよ」
「え? 4番か3番だけどって、え?」
正面を取られたことに驚いたのか、美花が驚いた顔で幸を見た。
幸は構わず影を伸ばし美花を飲み込む。
「誰も殺さなくても出られるよ。ちょっと頑張らなきゃだけど」
「そ、それは」
「……その衝動に抗えるなら、大丈夫」
ダメージを受け、転がるように逃げる美花。彼女を追い幸も再び走り出した。
「たとえ周囲の人間を殺めて外に出ることが出来たとしても、今度は美花さんがこの場所へバスケットをしに帰ってくることはなくなるでしょう」
美花は今なおバスケットボールを握り締めている。ドリブルをするのでもなく、それを投げつけて攻撃するのでもなく。体力を削られても、吹き飛ばされても、放さずしっかりと抱えている。
その姿を見て弥太郎は声を上げた。
霊犬のサイゾーと共に、攻撃を繰り出す。
「殺せばもう取り返しがつかない」
「それは、でも」
「しかしここから出る方法は他にもあります」
サイゾーが斬魔刀を振るい、続けて弥太郎が左手に持った日本刀を上段から真っ直ぐ振り下ろした。
今、弥太郎の髪は白髪に変わっている。耳と尻尾が生え、完全に戦う姿になった。
その一撃は重い。
再び美花の身体が床を転がった。
「まだまだ、こちらも行きますよ」
続けて想司が閃光百裂拳を繰り出す。
「外に出て貴女は何をしたいのでしょ……か。ここにいる皆を殺して、1人になるして……」
たった一人で外に出て、それが何になると言うのか。
ユエファも、雷を宿した拳でアッパーカットを叩き込んだ。
「そうしたら、貴女の好きなバスケットはもう出来ないのです……よ?」
「でも、私は、殺したいと、思って、しまって」
「今はまだ、誰も見ていません」
想司が周囲を見ながら手を広げた。
いつの間にか、美花はコートの隅へ追いやられている。
灼滅者達は、彼女を壁に追い込むよう布陣し、できるだけ他の学生の目に触れない様動いていたのだ。
それを知り、美花は腕の中のバスケットボールを強く抱きしめた。
●
「私は、戻れるの? 私は、殺さなくて、いいの?」
震えるような声に答えるようにユエファが頷く。
「ここから出るには、貴女の中の闇を倒す必要あるします」
「私の、中の、闇?」
「貴方が立ち向かうべきは……その闇です、よ!」
美花が再び殺気を立ち上らせる。だが、その殺気はゆるく燻り前衛の灼滅者達の身体を撫でた。ダメージは軽微だ。
「この、闇。そう、私は、殺したい」
目を閉じ、美花はボールを床に落とし跳ねさせ、また抱える。
「……バスケ」
悠仁は殺刃鋏を振るいながら、じっと美花の動きを見ていた。
練習を重ねてきたシュートが本番で上手く決まった時。
ディフェンスをきっちりと行えて相手のボールを奪えた時。
一試合終えて、クタクタになりつつも充実感を感じた時。
「楽しいですよね」
「うん、とても」
斬り刻まれながら美花は、口元だけ少し笑った。
「バスケを続けられなくなるばかりか、その楽しささえも……歪んでしまうかも、しれないから」
「そう、なんだ」
受けた傷を気にする事無く、美花は片手でボールをドリブルし始める。それから、何度か跳ねたボールを手に取り、両手で持ち上げた。
膝を曲げ、ジャンプし、ボールを放り投げる。
美花の放ったボールは真っ直ぐリングに向かい、吸い込まれるようにシュートが決まった。
「ナイシュー」
綺麗なフォームだと幸は思った。戦いの最中だけれど、掛け声が口から漏れる。
「ボールを、真っ直ぐ、飛ばすのが、好き。これが、歪むのは、イヤだなぁ」
ボールが遠くへ転がっていく。
美花が困ったように笑って髪をかき上げる。
その身体から、力が溢れ出ているようだった。
「バスケの事も、皆で帰る事も――頼むから、諦めないでくれ!」
幸が叫び、攻撃を繰り出す。何とか彼女を助けたいと思っているのだ。
「闇に、負けてはいけない。貴女自身を、強く持って」
悠仁も声をかけながら、相手との距離を測り走る。
「大丈夫。ボクらは、そう簡単には死なないよ」
代わりに、輝乃が距離を詰めた。
「だから、美花、あなたが必死に抑えているその衝動、全部ぶつけてきて」
「いいの?」
「全力で受け止めるから」
あなたが自分にとって大切な人たちを、その手で殺さないようにと。輝乃はマテリアルロッド『星輝扇』に込めた魔力の塊を叩き込んだ。
「今は僕たちに委ねさせてください!」
まだ迷っている美花に、弥太郎も声をかけ続ける。同時に、炎を纏ったエアシューズで、激しい蹴りを放った。
美花の身体が吹き飛び、壁にぶつかる。
すぐに起き上がった彼女に想司が近づく。それから、身体をずらし、逃げていった学生達の姿を少しだけ見せた。
「見えていますか」
「……」
「あなたがそちらに行けば、この日常には二度と帰れませんよ」
返事は無くても、彼女が動揺しているのが分かる。想司は話を続けた。
「帰る場所があるあなたが自らそれを棄てるなど断じて許しません。そして安心してください。おれ達はあなたの日常をあなたから守ります」
同じ殺人鬼だけれど、彼女にはまだ帰る場所があるのだから。
「バスケットボールをプレイして、喜びも悲しみも一緒に感じたチームメイト達も殺せるのですか?」
明も説得に加わった。
みんなを殺したら体育館を出ることが出来るという考えは間違っていると。
仲間を庇いながらも、明は攻撃を繰り出した。
「『みんな』で出ましょう? 私たちはその為に、此処に来たのだから」
紅音は、仲間を回復させながら、そう言う。
「みんなで、いっしょに」
バスケットコートの外には、チームメイト達が居る。体育館には他にも球技を楽しんでいた学生達が居る。そして、皆には、きっと美花も含まれる。
美花はしっかりと立ち上がり、心を決めたように頷いた。
●
「分かった。あなた達を、信じるよ」
美花が拳を見つめる。それからゆっくりと視線を上げて、真っ直ぐに灼滅者達を見た。
そして、飛び上がる。
「お願い、私を」
ジャンプとステップを繰り返し、一気に距離を詰めた。
「私を、助けて!」
指先をピンと伸ばし、手刀を輝乃に叩き付けて来る。
その間に明が滑り込んだ。
「勿論です」
全身で攻撃を受け止め、明は大きく頷く。
「信じてくれる……ありがたい、です……よ!」
ユエファが美花に向かった。強烈な斧の一撃を放ち、その身体を吹き飛ばす。美花と明の距離が開いたのを見て、紅音が蒼生に回復の指示を出す。
「貴女を、この密室から、出すします!」
吹き飛んだ美花に、ユエファは言葉を重ねる。きっと、届く。そう信じて。
「もう少しよ」
紅音はそう言いながら断斬鋏で美花を断ち斬り、喰らわせる。
仲間達も、一斉に攻撃を叩き込んだ。
殺人衝動に抗っていた彼女を助けたい。
彼女に大切な仲間を殺させたくない。
彼女に自分と同じ思いを味合わせたくない。
それぞれが、思いを乗せ、畳み掛ける。
「美花さん、こちらへ戻ってきてください」
弥太郎が美花の名前を呼んだ。
美花はふらふらと立ち上がり、立ち尽くす。すでに体力はギリギリで、しかしその瞳には灼滅者を信じる輝きがあった。
「とりあえず助けるから!」
幸が美花を斬り裂く。
「ボクらを信じてくれたんだ。さあ、一緒に、ここを出よう」
庇ってくれた明に礼をして、輝乃が異形化した腕で鬼神変を叩きつけた。
「帰りましょう、美花さん。あなたはそちらに行くべき人間じゃない」
想司も、皆に続けてオーラで斬り裂く。
手応えがあったと、確かに感じた。
「……うん」
美花が小さく頷く。
既に攻撃の意思は無く、後はただ、信じた者達の攻撃を受けるのみ。
激しい音を立て、美花の身体が壁に叩き付けられた。
納得した表情で、彼女は沈んだ。
コートの隅に転がっていたバスケットボールを悠仁が拾い上げる。
くるくるとボールを手元で遊ばせ、軽くパスを出した。
ボールは一度バウンドし美花の両手で受け止められる。
「フリースローの得点で、一勝負でも……どうかな」
悠仁が言うと、美花が立ち上がった。
「そう、だね。とても頭がすっきりして気持ちいい。でも、女の子なんだからハンデは頂戴ね」
ボールをぎゅっと抱え美花は笑う。
「なかなか言いますね」
それを聞いて想司が小さな声で呟いた。
「お菓子に飲み物もあるよ」
さて、輝乃はそれらを差し出しながら、武蔵坂学園について説明をした。弥太郎は美花を労い、明は目立った傷の手当をしてやる。
一通り説明を受け、美花は決心したように灼滅者達を見た。
「私を、助けてくれて、ありがとう。私、みんなと一緒に行きたい」
「灼滅者への道を、行くんだよね」
少々複雑な思いを抱きながら、幸が聞く。
「行く」
美花はしっかりと頷き返した。
こうして、新たな仲間を迎え、灼滅者達は学園に帰ってきた。
作者:陵かなめ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年11月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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