駆逐系味噌ラーメン怪人を駆逐しよう

    作者:東条工事

     夜の寒さが少しずつ厳しくなり始めたこの時期。
     とある高架下にラーメン屋台が一台。
    「はぁ……あったまるね~」
     さっぱりとした塩ラーメンをスープまで飲み干し、お客の一人は満足げに呟く。
    「やっぱ美味いね、大将のラーメンは。塩だからさっぱりしてて、スープも全部飲めちゃうよ」
    「あんがとよ。そう言って貰えると嬉しいね。と、そっちのお客さんの海鮮トッピングお待ち」
     雑談しながらアサリとわかめの入った塩ラーメンを渡す。
     受け取ったお客が食べようとする、その時だった。
    「駆逐、してやる」
     顔がラーメン丼の形をした怪人が現れた。
    「ちょっ、なんだあんたっ!」
     突然の事に塩ラーメンを持ったまま声を上げたお客に、
    「うるさい驚くな貴様っ!」
     怪人は問答無用で殴りつける。
    「痛っ熱っ!」
     殴られた挙句に手にしたラーメンのつゆを被り転げるお客。そんなお客に怪人はビシッと指を突き付けながら
    「騒ぐな! 塩ラーメンなんぞ食ってる貴様が悪い!」
    「なに訳の分からんこと言ってんだあんた!」
     屋台のオヤジとその他のお客も騒ぎ始めるが、
    「黙れ! 塩ラーメンなんぞ作ったり食ったりしてる貴様らが悪いのだ! ただでさえラーメンは味の種類が多いというのに、これでは味噌ラーメンが頂点を取るなど夢のまた夢! 豚骨と醤油の二大巨頭の前に、まずは塩ラーメンから駆逐してくれる!」
    「無茶苦茶だ!」
     叫ぶ屋台のオヤジに、
    「貴様は塩ラーメンの代わりにワンタンでも作ってろ!」
     理不尽な事を言いながら、お客や屋台のオヤジをぶっとばし、挙句に屋台も粉砕する怪人であった。


    「いらんことする前に、駆逐したらなあかんな、この怪人」
     白木・衛(ふしぎなホイル焼き・d10440)の言葉に、
    「本当に。放っておくと、エスカレートして死傷者も出かねませんし、今の内に駆逐しておきたい所です」
     東雲・彩華(高校生エクスブレイン・dn0235)は返すと、集まってくれた灼滅者達に説明を始める。
    「白木・衛さんからの情報により、塩ラーメンを駆逐しようとする味噌ラーメン怪人に関する行動予測を行いました。灼滅をお願いします」
     彩華は資料を渡しながら更に続ける。
    「今回の怪人は午後九時、資料にある高架下で営業をされていた屋台を襲います。この屋台と、ある程度のお客さんが居なければ怪人はやってきませんので、あらかじめ屋台を他の場所に移しておくといった作戦は行えません。そのため戦闘の際には、屋台のご主人とお客さん達を逃がしてあげる必要があります。今回、対応としては大きく分けて二つあります」
     一息つくような間を開けて、対応法を説明する。
    「一つ目は、あらかじめお客さん達の中に皆さんも交じって貰い、怪人が現れると同時に避難や戦闘の対応をして頂くやり方です。怪人が現れる三十分ほど前に屋台に訪れて頂きます。こちらのやり方ですと、皆さんがお客さんとしている分、他の一般人のお客さんは減ることで避難させる人数を減らせます。
     二つ目は、怪人が現れるまで周囲に潜んで頂き、怪人が現れると同時に襲撃して頂く方法です。怪人は塩ラーメンの駆逐に気をとられていますので、余程目立たない限り隠れていても見つかりません。こちらのやり方ですと、巧く行けば不意打ちを行えますが、避難に手間取ります。また、避難に手間取る間に怪人は一般人の方達を人質に取ろうとしますので、そういった点でも注意が必要です。
     一般人の方達を逃がす事が出来ましたら、その場で本格的な戦闘をお願いします」
     そこまで言うと、怪人の戦力に関して説明する。
    「今回の怪人は、ご当地ヒーローとバトルオーラに相当するサイキックを使ってきます。ポジションはディフェンダー。それなりの攻撃力と防御力を持っています。戦闘力としては油断さえしなければ大丈夫だと思いますが、近くに一般人が居れば積極的に人質に取ろうとしてきますので、その点はお気を付け下さい。一時的に、避難に動く班と怪人を抑える班に分かれて動く事になりますが、その際の人数の配分にも気を付けて下さい」
     ここまで言うと、最後に激励を口にする。
    「今の皆さんの実力なら、きっと打ち勝つことが出来る筈です。ですが油断だけはお気を付け下さい。皆さんが怪我もなく戻られる事を願っております」


    参加者
    桃野・実(水蓮鬼・d03786)
    白木・衛(ふしぎなホイル焼き・d10440)
    央・灰音(超弩級聖人・d14075)
    東堂・八千華(チアフルバニー・d17397)
    九条・御調(宝石のように煌く奇跡・d20996)
    糸木乃・仙(蜃景・d22759)
    雪風・椿(南海闘姫・d24703)
    茨木・一正(鬼機解開の非リア充・d33875)

    ■リプレイ

     怪人への不意打ちよりも避難させる人数が少なく済む方法を取った灼滅者達は、怪人が訪れるまで屋台のお客として現地に居た。

    「オヤジ、トッピング全部麺大盛りで!」
     白木・衛(ふしぎなホイル焼き・d10440)の元気の良い注文に屋台のオヤジは手早く応える。
    「はいよ。特盛トッピング増し増しスペシャルお待ち!」
     大きな丼に麺が隠れるほどのトッピング。熱々の麺はお腹の中から体を温め、さっぱりとした塩味がするすると楽しめる。箸休めも兼ねてトッピングに手を伸ばせば、蒸し鶏あさりにチャーシュー煮卵、どれも美味かった。
    「やっぱ、塩ラーメンは美味いな!」
     見ているだけで美味しさが伝わってくる衛に、
    「本当に。熱くて美味しいです。……ん。だしもいい感じです」
     九条・御調(宝石のように煌く奇跡・d20996)は、塩バターラーメンわかめトッピングを味わい頷くと、
    「平打ちつけ麺の辛味噌だれにもはまっているのですけれど、塩ラーメンも大好きです♪」
     笑顔でお喋りも楽しみながら一緒に食べていく。
     そうして美味しく食べているのは糸木乃・仙(蜃景・d22759)も。
    「うん。さっぱりとして美味しい」
     仙はあさりと海苔とあおさの海鮮トッピングに、味のアクセントの蒸し鶏。さっぱりとした塩味を楽しみながら、時折蒸し鶏で味を変え美味しく食べていく。
     それに屋台のオヤジは喜ぶ。
    「美味しく食べて貰えると嬉しいね。良かったら水餃子はどうだい? おまけするよ」
    「ありがとうございます」
    (「怪人を倒した後に機会があれば、是非」)
     仙は礼を返しながら、静かに怪人への闘志を燃やしていた。そんな仙に屋台のオヤジは人の良い笑顔を浮かべると、他の灼滅者達にも次々ラーメンを渡して行く。
     それを茨木・一正(鬼機解開の非リア充・d33875)は受け取り、
    「ありがとう。さて、いただきます」
     一正が頼んだのは、煮卵二つに蒸し鶏肉マシマシトッピング。さっぱりとしたラーメンにしっかりとした味の具材がアクセントになる。
     そうして食べつつ、一正は避難させる時の事を考え、さりげなく椅子や机の確認。
     そうする中、持って来ていた白米一杯のどかべんと共に食べているのは央・灰音(超弩級聖人・d14075)。
    「ラーメンライス食法、極意『乱汁乱麺乱飯乱汁』! 要するにガツガツズルズルサバサバやるべし! とにかくやるべし!」
     勢い良く食べる灰音にオヤジは楽しそうに、
    「若い子は食べっぷりが良いね。ほい、おかずにおまけだよ」
     蒸し鶏や煮卵を小皿に入れ渡す。灰音は、巨大十字架で長い牙持ちの吸血鬼を殺せる聖人になりそうな勢いで、普段は自分で聖別したパンとぶどうジュース以外、白米が中心だが、食べられなければ仲間に渡せば良いという事もあり、折角の好意なので受け取る。
     そうしてオヤジがおまけを渡したのは桃野・実(水蓮鬼・d03786)も。
    「あ……美味しい。食べさせたい子がいるんだけど……塩分控えめの蒸し鶏、お土産にできますか?」
     蒸し鶏を食べ、美味しさに自分の霊犬・クロ助にも食べさせたいと思った実が言うと、
    「お、その子にあげるのかい? ちょっと待ってくれな」
     いつの間にか実の足元で、尻尾を振りながら見上げていたクロ助に、
    「味付け前の蒸し鶏だから、これなら大丈夫。こいつおまけな。あげとくれ」
     小さな小皿に味付けしていない蒸し鶏を渡し、更にお土産用に包んでいく。
    「ありがとうございます。クロ助、お食べ」
     かわいらしく鳴き声をあげ、尻尾をふりふり食べるクロ助。そうして相棒たるサーヴァントに御馳走するのは東堂・八千華(チアフルバニー・d17397)も。
    「うん、美味しい。煮卵もチャーシューも味が濃厚で、さっぱりとした塩ラーメンに合うね」
     見ているだけで楽しくなるほど幸せそうに卵とチャーシュー増しの塩ラーメンを食べている八千華は、人目が無い時を見計らって、味の薄い蒸し鶏を箸でひょいっと屋台の上に放り投げる。
     それを屋根で周囲の警戒も兼ね見張っていた、八千華のウイングキャット・イチジクは前足で器用にキャッチ。美味しそうに食べていた。
     そうして皆が美味しく食べる中、プラチナチケットで常連客の振りをした雪風・椿(南海闘姫・d24703)は、
    「やっぱオヤジさんのラーメンは最高だね。夜中で屋台じゃなけりゃ週4くらいで通うんだけどな。オヤジさん店開きなよ店」
     ラーメンを楽しみながら親しげに話し掛ける。それにオヤジは、
    「嬉しいこと言ってくれるね。屋台は屋台で気楽だから好きなんだけど、そう言って貰えると喜んじゃうよ。これからも御贔屓に。つーわけでこれおまけっと」
     替え玉をプレゼント。
    「ありがと! 美味しいし食べ応えもあるし、やっぱオヤジさんのラーメンは最高だよ!」
     特盛りにトッピングがチャーシューに煮卵、ネギ多めの白菜とキャベツの野菜あんかけを気持ちの良い勢いで食べていた椿は、替え玉追加で更に勢い良く食べていった。

     こうして他のお客と共に、和気藹々と美味しく食べていく。楽しいひと時であったが、それが壊される時がやって来る。

     屋台の屋根で見張っていたイチジクが八千華の足元に降り立ち、警告の鳴き声を上げる。
    「来たみたいだよ」
     八千華の視線の先には、怪人が剣呑な気配を撒き散らしながら近付いて来るのが見える。
    「やれやれ、おちおちラーメンも食わせて貰えないのか」
     一正は空になった丼に小銭で代金を入れ屋台のカウンターに着地するように投げると、一般人を庇う事も考慮に入れ周囲の片付けに動く。それは灰音も同様で、
    「オヤジさん、これ片付けるのここで良い?」
     オヤジが切なくならないよう、机やいすなどが出来るだけ傷付かないよう気を付けて回収していく。
     それにオヤジやお客は制止の声を上げようとするが、
    「危ないですから逃げて下さい」
    「チョイ大人しくしとってくれな」
     御調は避難させる為に誘導に声を上げ、衛は怪力無双を使い重たい物も手早く屋台に収めていく。
     その間、他の灼滅者達は怪人の前に立ち塞がる。
    「貴様ら灼滅者か。さては塩ラーメン駆逐の邪魔をしに来たな!」
     塩ラーメン駆逐で頭が一杯の怪人だったが、さすがに目の前に灼滅者が現れればバベルの鎖の効果もあり状況に気付く。
    「焼き払ってくれる!」
     短気な怪人は問答無用でビームを放つ。屋台に向かって放たれたそれを、健気に受け止めるクロ助。そこへ間髪入れず、
    「クロ助になにすんだ!」
     実のスターゲイザーが怪人の脇腹に減り込む。ぶっ飛ばされた怪人に即座にクロ助の六文銭射撃。これにより怪人の動きが僅かに止まる。
     その隙に灼滅者達は一斉に怪人へと突撃した。
     この時点で、お客はパニック状態だったが、幸い御調がラブフェロモンが使えたので、それにより避難は何とか進む。
     その間、一正は屋台荷物の軽い物をテキパキ運び、灰音はそれが傷付かないよう収納し、時間のかかりそうな重たい物は怪力無双を使う衛が担当する。
     それに気付いた怪人は、
    「味噌ラーメンなんぞ入れる器も調理器具も吹っ飛ばしてくれる!」
     再び屋台にビームを放とうとするが、
    「器や調理器具にとっては塩も味噌も関係ないだろ!」
     仙は怪人の攻撃より速く踏み込み、黒死斬を放つ。急所を切り裂かれ動きが鈍った所に八千華は、
    「塩だっていいじゃないですか、滅びろなんてとんでもない!」
     屋台の傍から押し出すようにして閃光百裂拳を放つ。殴り飛ばされた所にイチジクの猫魔法が叩き込まれた。
    「おのれ!」
     怪人は怒りに声を上げながら、避難する一般人達を人質に取ろうとする。しかし、
    「お前の相手は俺たちだろ? ちゃんと遊んでくれよ」
     椿がエアシューズを使い高速移動し立ち塞がると、炎纏う蹴りを叩き込む。
     焼かれながら蹴り飛ばされる怪人。
    「貴様らっ!」
     激怒し、抑えに動く灼滅者達に攻撃を重ねてくる。人数が少ない分不利だったが、それも避難が完了するまで。
     全員が揃う中、反撃が始まった。

    ●駆逐系怪人を駆逐せよ
    「邪魔だ犬っコロ!」
     味方の庇いに動くクロ助に怪人が苛立たしげに声を上げ、それに実は静かに怒る。
    「なんなワシのクロ助になんのようなん? 用あるんやったらワシに言わんとあかんやろ」
     実は踏み込むと同時に怪人を掴み体勢を崩させる。前のめりに動きが止まった瞬間、背後に回り首に腕を巻き付けると音がするほど捩じり、そこから裏投げの要領でご当地ダイナミック。地面に叩き付け爆発させる。
     吹っ飛び地面に激突した怪人にクロ助の斬魔刀が。そこに踏み込んだのは仙。
     レッドストライクで頭をぶん殴る。その勢いに怪人は目を回しながら叫ぶ。
    「味噌ラーメンによる世界征服の邪魔をするな!」
     それに仙は挑発で返す。
    「とん汁なら許せるけどラーメンで味噌は無いね。和食同士の相性の良さを思えば外来のラーメンはお呼びじゃないよ」
     これに怪人は激怒し殴りかかろうとするが、その隙を突いて灰音はクルセイドソード・騎士剣を手に踏み込む。
    「味噌ラーメンもラーメンライスにしてやんよ!」
     王剣を思わせる騎士剣は非物質化すると怪人の魂を斬り裂いた。
     苦痛に絶叫する怪人。そこへ間髪入れず八千華は追撃を入れる。
    「当ったれーっ!」
     バベルブレイカーのジェット噴射で一気に距離を詰め貫き穿つ。
    「貴様!」
     貫かれたまま怪人はオーラの塊を叩き突けようと手に収束。だがそれが放たれるより早くイチジクが肉球パンチ。怪人の動きが止まった瞬間、八千華は飛び退き距離を取る。
     そこへ影を放ったのは御調。
    「開きて閉じよ、暝き檻よ」
     御調が告げると同時に影は足元から跳ねるように伸び上がり、一気に怪人を飲み込む。
    「味噌ラーメン以外すべて邪魔だ!」
     トラウマが刺激され叫ぶ怪人に、
    「闇雲にただ相手を排除するだけでは向上などありません。お互いの良さを認めてこそ美味しい物は出来るのですよ」
     御調は諭すように告げる。だが怪人は憎悪の眼差しを向け御調に襲い掛かろうとした。
     しかし、それを止めるように、
    「させるか! いったれぇぇぇぇ!」
     衛はオーラキャノンを放ち迎撃。それに動きが止まった怪人へ、椿は追撃を放つべく踏み込む。
    「ラーメン好きとしちゃお前を応援したい気持ちもあるが、味噌ラーメンしか許さないって言うのはラーメン好きとしては絶対許せないな」
    「ほざけ! 味噌以外不要だ!」
     怪人は迎撃するべく掴み掛ろうとするが、椿の踏み込みの方が速い。先手を取り掴み体勢を崩した所で、足を払い喉を掴みながら後頭部を地面に叩き付ける。
     丼型の頭の一部が砕け散る怪人。よろめきながら起き上った所に、一正はバベルブレイカー・茨木一本角を手に踏み込む。
     羅刹の角を加工した杭が高速回転。怪人に突き刺さり肉を抉り捩じる。それにより動きを麻痺させられながらも、怪人は憎悪の声を上げた。
    「味噌以外のラーメンなどいらん! 駆逐の邪魔をするな!」
    「ああ成程。つまり、君はこう言いたいんだね」
     一正は静かに断言するように告げる。
    「味噌以外を駆逐しないと味噌は頂点に立つ事はないっ、てさ。暴力に頼らなければ味噌ラーメンはトップに立てないと、心から思っている。つまり、君が一番味噌ラーメンを愚弄しているね」
     これに怪人は声を上げることが出来ないほど激怒する。そして怒りのままに暴力を振るうも、そんな物に負ける灼滅者達ではない。終わらせるべく、一気に畳み掛ける。
    「クロ助、行くよ」
     実は大切な相棒に声を掛け連携を取りながら踏み込む。
     先行して実は距離を詰めると、怪人を掴み巴投げの要領で投げ飛ばす。宙に飛ばされた瞬間、クロ助の六文銭射撃が命中。怪人は受け身すら取れず地面と激突し爆発。更に宙に跳ね上げられ地面に激突した。
     そこに仙の追撃が入る。エアシューズで一気に距離を詰めグラインドファイア。炎に焼かれながら怪人は怒鳴る。
    「貴様ら何故邪魔をする!」
    「貴重な冬の癒しになるラーメンを壊そうとしてるのに黙っていられる訳がないだろ」
     呆れた様に返す仙。それに怪人が怒り襲い掛かろうとした所に、灰音の追撃が入る。
    「ぶっとばしてやんよ!」
     素手の間合いに踏み込むと同時に鋼鉄拳を叩き込む。文字通り鋼鉄の如き拳が腹に減り込み、怪人は苦痛に体を折り曲げた。
     そこへ即座に八千華とイチジクの連撃が入る。
    「さぁ大人しく散ってもらおうかな!」
     クルセイドソード・immortelを手に踏み込んでくる八千華を迎撃するべく怪人は体勢を整えようとしたが、横合いからイチジクに叩き込まれた猫魔法で動きが止まる。
     そこへ八千華は踏み込むとimmortelにサイキックエナジーを流し込み活性化。immortelは貪るように取り込むと、非物質化し怪人の魂を斬り裂いた。
     よろめく怪人。そこへ御調と衛の連携が入る。
    「白木先輩、援護しますね」
    「助かる!」
     衛は怪人へと踏み込み、御調は援護も兼ねジャッジメントレイを放つ。
     厳かに天に向け掲げられた右手が振り下ろされると同時、裁きの光条が怪人を撃ち抜く。その瞬間動きが止まった所へ、
    「ぶちわれろぉぉ!」
     衛は怪人の頭に向けクロスグレイブをフルスイング。怪人の丼型頭部を砕く。
    「ぐ、おっ……」
     もはや丼の形も残らない頭部を手で押さえながら、それでも敵意は薄れない。
     その敵意ごと怪人を撃ち砕く勢いで、椿は閃光百裂拳を叩き込む。
    「後悔の味って奴を教えてやるぜ!」
     放たれた無数の拳は、怪人に減り込み全身にひびを入れ、宙に浮かび上がるほどに殴り飛ばす。
     そこへ一正は止めの一撃を放つ。怪人を丸ごと呑み込むほどのご当地ビームが一瞬で灰へと変える。
    「我の張り方を間違えすぎたんだよ。もっと他の方面で頑張れば良かったのに」
     静かに呟いた一正の言葉が終わると同時、全ての灰は融けるように消え失せた。

     かくして灼滅者達は事件を解決した。
     全てが終わり、灼滅者達の事が気になって戻ってきた屋台のオヤジに追加注文をすると、ささやかな祝勝会を開き学園に帰っていく灼滅者達であった。

    作者:東条工事 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年11月26日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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