みかん? オレンジ? タンゴール?

    作者:るう

    ●静岡県、みかん畑
    「みかんとオレンジは、何が違うんやろなぁ?」
     たわわに実るみかんの果実を眺めながら、荒吹・千鳥(患い風・d29636)はふと、そんな疑問を口に出してしまった。すると……出るわ出るわ。
    「説明しよう! 『オレンジ』と呼ばれる柑橘類は幾つもあるが、大抵は皮の分厚いアマダイダイの各種品種を指すぞ! ちなみに私は静岡ネーブルオレンジ怪人だ!」
    「一方の『ミカン』は、マンダリンオレンジの近縁種で、簡単に手で皮の剥けるもの全般を指すでござる! なお日本で一般的なのはウンシュウミカンでござるが、それがしは駿府キシュウミカン怪人と申す! 学名からして異なる別種ゆえお間違えなきよう!」
    「そして、オレンジとミカンを掛け合わせたものを『タンゴール』と言うワ! アタシはウンシュウミカンの宮川早生とオレンジのトロビタから生まれた、清水清見怪人ヨ! 知名度は低いけど様々な品種の親になってるのヨ!」
     言いたいだけ言って颯爽と去っていった柑橘頭の三人組を見送って、千鳥は一つだけ明確に理解した。
     これは……灼滅せなあかん。

    ●武蔵坂学園、教室
    「それにしても、珍しい怪人が揃ったものです」
     西園寺・アベル(高校生エクスブレイン・dn0191)の話によると、柑橘類といえば静岡でもやはりウンシュウミカン。オレンジは辛うじて白柳ネーブルや森田ネーブルが栽培されているが、種のあるキシュウミカンは明治以降ウンシュウミカンに席巻され、清見も開発されたのが静岡なだけで栽培は愛媛や和歌山に譲ってしまっているらしい。
    「このご当地怪人三人衆はそんなウンシュウミカン一強の状況を打破すべく、一時的に手を結んで『シトラス団』なる同盟を結成しました。三人は、畑のミカンの幹にマジックで悪戯書きをしたり、ミカンの無人販売所に勝手に自分たちの柑橘類を並べたりといった悪事に精を出しています」
     恐ろしくショボい悪事に見えるが、相手はご当地怪人である。なんやかんやで大変な事にならぬよう彼らを灼滅するのが、今回の灼滅者たちの任務だ。

    「シトラス団の面々は、皆さんが聞こえよがしに柑橘類の話をしているだけで、必ずや現れることでしょう」
     ぶっちゃけ彼ら、登場の瞬間に皆でフルボッコにすれば勝てなくもない相手だ……とはいえ、こんな奴ら相手に死闘を繰り広げるのは、それはそれで馬鹿馬鹿しい。
     ならば。
    「今こそ手を組んでいるとはいえ、三人は心の底で、自身こそ今のウンシュウミカンの地位に相応しいと思っています……上手く彼らが仲違いするように仕向け、同士討ちを誘う事も可能かもしれません」
     一度関係にヒビが入ったら、シトラス団は皮に切れ目を入れた柑橘類のように、簡単にバラバラになる事だろう。そうなれば、後は各個撃破してやるだけだ。
    「もっとも、シトラス団もそこまで愚かではなく、うわべだけの言葉には惑わされません。強い熱意があるように見せかけるなり、十分な勉強をしてゆくなりして、彼らの結束を破るのです」


    参加者
    六乃宮・静香(黄昏のロザリオ・d00103)
    紀伊野・壱里(風軌・d02556)
    夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)
    明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)
    荒吹・千鳥(患い風・d29636)
    夜神・レイジ(熱血系炎の語り部・d30732)
    人首・ククル(塵壊・d32171)
    畑梛木・歩(高校生ご当地ヒーロー・d32496)

    ■リプレイ

    ●冬の風物詩
     長かったように思える残暑もどこへやら。辺りにはいつの間にか木枯らしが吹き、世間はすっかりと冬の様相を呈している。
     コートなり、羽織なり、どてらなりを着込んで道往く灼滅者たち。その斜め後方に慇懃に控えながらも、人首・ククル(塵壊・d32171)は腹に一物ありげな笑顔を浮かべていた。黒スーツに白手袋という、この中では随分と浮いた格好で、ククルはこの辺りでいいだろうかと話を切り出す。
    「そろそろ、暖房にあたりながら食べるミカンが美味しい時期でしょうか?」
    「ミカンか。そういやさ……」
     そんな風にククルに答えたのは紀伊野・壱里(風軌・d02556)。突如吹き付けた山風に思わず身を縮こませた後、困ったような顔を作って言葉の先を続ける。
    「……ばーさんにミカン贈ろうと思うんだけど、何がいいかな。種類がいっぱいあってわかんねーぜ……今年の出来がいいやつがいいんだろうけど……」
     それが全ての切っ掛けだった。
     次の瞬間、騒々しい三人組がどこからともなく現れる!
    「ミカン? いやいや、贈答品ならば高級品たる国産オレンジを忘れてはならない! 今なら私、静岡ネーブルオレンジ怪人のサイン入りオレンジを進呈するぞ!」
    「オレンジのボリュームとミカンの甘さを兼ね備えた清見もよろしくネ! じゃあ、アタシ清水清見怪人もサイン付きのをあげちゃうワ♪」
    「無論、それがしキシュウミカン怪人は、お歳暮ならばこそ伝統あるキシュウミカンを薦めるでござる! それがしの署名は……箱にいたそう」
    (「こいつらがシトラス団か? なんかこのままでも倒せそうな気もするけど」)
     彼らの騒々しい名乗りを醒めた目で眺め、夜神・レイジ(熱血系炎の語り部・d30732)は思わずそんな感想を洩らした。彼らがもっと邪悪な存在であったなら、今すぐ燃やし尽くそうとしていたかもしれない。
    (「けれど少し面倒な気もするし、三人をばらけさせるとするか」)
     そんなレイジの……いや灼滅者たち共通の心の内もつゆ知らず、シトラス団の面々は集団の中に見知った顔がいたのに気付き、大いに喜び胸を張る。
    「この前はオレンジとミカンの違い教えてもろて、ありがとなぁ」
     その『見知った顔』――荒吹・千鳥(患い風・d29636)はおっとりとした柔らかな顔の下に灼滅の意志を隠し、無警戒を装ってシトラス団に近付くと訊いた。
    「折角やし、今日も教えてくれへんやろか……この中から一つ贈るとしたら、どれにするのがええんやろか、って」
    「当然……『全部』以外の答えはなかろう!」
     自信を持って答えるオレンジ怪人。けれども、すかさず壱里が首を振った。
    「俺……知ってるんだぜ? 今、『当然』の後で本当は『オレンジに決まってる』って言おうとしたの」
    「な、何を馬鹿な!」
    「他の二人だって同じだろ? 柑橘怪人を名乗るのに一番相応しいのは自分だけ、ってな」
    「し、失礼ネ!」
    「そ、それがし達は三本の矢でござる!」
     三人の怒りが壱里に向きそうになった時、夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)が両者の間に割って入った。
    「何も、仲違いしろって言ってるんじゃないんです。ただ、皆さんの熱い思いを教えて欲しいだけなんですから」
     そう言って背中の大きなリュックを下ろし、取り出したのは……。
    「ミカン談義にはコタツが一番です。この中で存分にコタツ会議をなさって下さい……議題は、ウンシュウミカンに取って代わるのはどのミカンか、ですね」
    「確かに今はコタツを出す季節。そしてミカンはコタツの必需品ですけれど……これは」
     畑梛木・歩(高校生ご当地ヒーロー・d32496)が困惑した顔を浮かべるのも仕方ない。世の中に外出時もコタツを常備している奴がいるなどと、一体誰が想像しただろうか。
     ……ともあれ。
     危うく一触即発の事態は一瞬にして、皆がこたつに足を突っ込んで議論するという、実に牧歌的なシーンへと早変わりしたのである……ここ、道端だけど。

    ●最も由緒正しき柑橘
    「やはり見栄えのよいオレンジが……」
    「それなら甘さもある清見の方が……」
    「お歳暮は何より伝統でござろう……」
     誰がどう見ても平行線の会議の中に、歩の疑問が一石を投じた。
    「そういえば、何故この中でネーブルオレンジ怪人さんがリーダーを務めていらっしゃるのでしょう?」
    「それは……柑橘類の知名度としては彼が一番だから、当たり前だワ……」
     答える清見怪人の口調はどことなく悲しげで、抱いている不本意さを見て取れる。キシュウミカン怪人も黙って空を見上げ、何かに思いを馳せていた。
     勝機アリ、と見て歩は言葉を続ける。
    「ですが、ネーブルオレンジさんは本来、米国産では? 清見さんは日米ハーフですし、歴史では、確か日本で最初に広まったというキシュウミカンさんに軍配が上がりそうなものですが……」
    「待て待て待て! 私も清見怪人も、日本で生まれた品種だぞ! それに対し、キシュウミカンこそ中国伝来と言われていよう!」
     歩の言葉を遮ったオレンジ怪人へと、キシュウミカン怪人は苦虫を噛み潰した声色で答えた。
    「それがしは、身も心も日本ミカン……しかし原産地の事を言われれば、それがしに返す言葉はござらぬ……」
     悔しげに屈辱に耐え続ける彼の姿は、一つの武士道を感じさせる。そんな彼に千鳥は声を掛け。
    「キシュウミカン怪人はんは、誰が何と言おうと日本男児や。男前や。ウンシュウミカンの牙城を崩せるミカン代表は、あんただけやろな」
    「ちょっと……アタシじゃ無理って言いたいワケ!? 失礼しちゃうワ!」
     食って掛かろうとする清見怪人……けれどもその鼻先を、艶やかな着物の袖が撫ぜた。
    「ここは日本です。積み重なった歴史と想いこそが第一では?」
     立ち上がり、そう言って三人の顔を見回すと、六乃宮・静香(黄昏のロザリオ・d00103)は再び今までのように控えめにコタツに戻る……入れ替わりに、明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)が丁寧な物腰で語り始めた。
    「キシュウミカンといえば、江戸時代には種が多い事から『子宝運』をよくする縁起物として重宝されていますね」
    「うむ……どちらかと言えばウンシュウミカンの縁起が悪いだけでござろうが、縁起物と言われて悪い気はしないでござるな」
    「種なら清見にだってちょっとはあるのヨ!」
    「無論、ネーブルオレンジにもあるぞ!」
     騒々しい二人の怪人を手で制し、一羽はもう片方の手で眼鏡を抑えながら、さらにこのようにも言葉を付け加える。
    「それに、かの紀伊國屋文左衛門が一財を築いたという伝説のミカンも、キシュウミカンだと言うではありませんか。そのような伝説が登場するほどに流行っていたキシュウミカンこそ、日本を代表するミカンといえるのではないでしょうか?」
     歩も再び次のように説いた。
    「キシュウミカンは朝廷に献上されていたとも、現存するキシュウミカンの最古の木は天然記念物にされているとも聞きます」
    「お前、この中では一番歴史が古いんだろ? それを大切にしてるんだろ?」
     レイジの問いに、キシュウミカン怪人は少しばかり照れたかのように顔を橙色に染めるとゆっくりと頷く。
    「やっぱりな……昔からあるものを変わらずに今に受け継ぐ事って、俺はすげー偉大だと思うぜ!」
     レイジの賞賛がわざとらしいほど大袈裟だった事にも気付かぬくらい、怪人たちの間には動揺が広がっていた。何故、キシュウミカンばかり……。
     だが、それは必然であったとも言える。圧倒的な知名度を誇るウンシュウミカンを打倒するには……正統性、すなわち歴史で戦うほかはない!
     そのように静香が主張をすると、他の二人は不服そうに抗議した。
    「た、確かに歴史は重要だが……果物は味だ! 味はどうなのだ!」
    「そ、そうヨ! アタシの魅力をみんなが知れば、世界の人々がイチコロだワ!」
    「では……ちょうどここはコタツの中。食べ比べ大会と参りましょうか」
     ククルが貼りついたような笑みで恭しくお辞儀をすると、三人は望むところといきり立った。
     肩を竦める静香。こんな事、争うほどのものではないと思うのはきっと、彼女が彼らにそこまでの愛を注いでいないから。
    (「彼らの愛はまるで、信仰ですね」)
     そっと、手の中でロザリオを握る。彼らの強烈な『愛』を前に、自らの信ずる愛を見失わないように。

    ●食べ比べ
     黄金色に輝く三種の果。
     まるで太陽のようなネーブルオレンジ。
     柔らかくジューシーな清見。
     そして、小ぶりでも甘いキシュウミカン。
    「どれも美味しそうなミカンですね、目移りしてしまいそうです」
     そんな炬燵の感想に気を良くし、怪人たちは我こそはと自らの果実を灼滅者らに勧める。
     が、これが決して『公正な品評会』ではない事は、最初から全て決まっていたようなものだ……炬燵が、彼らを何もかも『ミカン』扱いしていた時点で。
     オレンジを一房つまみ上げ、あるいは清見をスプーンで掬う灼滅者たち。どちらも、ご当地怪人が用意した最高の品だけに……美味い。
     ククルもそれを味わって……しかし。
    (「どれも――もちろんウンシュウミカンも――それぞれ良いところのある柑橘類。これに順位をつけるなど無粋というものではありますが……」)
     そんな思いなどはおくびにも出さず、取り出して剥いたのはマイキシュウミカン。
    「キシュウミカン……小柄ですが、味にも香りにも優れた種類です……ふむ、やはり素晴らしい。やや種が多めですが、それも縁起物と思えばまさに、隙なし、といったところでしょうか?」
    「そんな馬鹿な!?」
    「ありえないワ!?」
     昂ぶる気持ちを抑えられぬ怪人たちに、壱里の冷たい視線が突き刺さった。
    「確かにどれも、至高の柑橘類と言うのに相応しい価値がある……だけどこの世界では、消費する側が正義なんだ。消費者の立場で言わせて貰えば……キシュウミカンが一番素晴らしいミカンなんだぜ?」
    「歴史じゃなくて味で決めたいって言ってたのは誰だったっけな? その味が全てを物語ってるだろ……うん、やっぱりこれしかねーや! ……だよな?」
     レイジもキシュウミカン怪人の肩に手を当てた後、キシュウミカンの房に齧り付いてみせた。
    「む。かたじけない……」
     深々と頭を下げるキシュウミカン怪人。その控えめな態度をまた、静香が存分におだて上げる。
    「純粋な和の伝統は、素敵で素晴らしいのです。誇り高きは雅の調べ。日ノ本の柑橘の天下を取るは、その口調と謙遜する姿より明白ですね」
    「それが何故リーダーではないのか、自分には不思議でなりません。ひょっとして、ネーブルオレンジ怪人さんの何かしらの策に嵌められているのでは……?」
     そんな歩の言葉が遂に、ネーブルオレンジ怪人の逆鱗に触れた。
    「貴様! この私を卑劣漢扱いするとは、許してはおけん!」
    「アタシもヨ! この子たち、ちっともアタシの事構ってくれないんだもの!」
     その時、ゆらりと立ち上がったのは……キシュウミカン怪人だ。
    「お二方……それがしは非常に残念でござる。これほど明確な結果を出されてもなお受け容れられぬほど、お二方が恥知らずな方々であったなどと!」

    ●勃発! 柑橘大戦!
     柑橘の香りが爆発し、オレンジとミカンが交錯する! しばしの拮抗……次に吹き飛んだのはオレンジの方だ!
    「神梛木一刀流、畑梛木・歩。僭越ながら助太刀に参ります」
     名乗りを終えた時には既に、オレンジを輪切りにせんかという一撃が放たれた後。
     散る飛沫。オレンジ色の水滴で汚れた眼鏡を外すと、一羽は一言、解放の言葉を呟いた。
    「『さぁ、鮮血の結末を』」
     同時、飛び出る霊犬『スクトゥム』! 呆然とする清見怪人の足元を駆け抜けて……ネーブルオレンジ怪人に介錯の一撃を!
    「静岡ネーブルに栄光あれ!」
     爆発音が轟くと同時に、清見怪人が混乱から立ち直った。
    「まさか……アナタ達、謀ったわネ!?」
     怒りの清見ダイナミック! ……が、こちらは一羽自身にあしらわれる。
    「元より貴様なんぞに興味はない」
     それは、戦闘前の丁寧さとは無縁の凶悪な視線。動転した三流怪人の技など、三度受けたとて斃れはしない。その上ククルが恭しく付き添って、受けた僅かな傷すらも布帯を巻いて治療してしまう。
    「まさか!? このアタシの攻撃が……はっ!?」
     自らの運命を嘆こうとして……清見怪人は気付く。
     自身が、冷凍ミカンならぬ冷凍清見になろうとしている事に。
     彼女を凍りつかせた千鳥は周囲に護符を散りばめ、腕を鬼神のものと化し、巨大な鎚を振り上げている。かつては六六六人衆の所有物として数多の命を屠り、今は浄化され、多数のダークネスを誅してきた鎚が、今度は清見怪人をも打ち砕く時を待ち侘びているのだ。
     逃げねば……けれどそんな意思とは裏腹に、彼女の足はその場に釘付けになっている。
     にこりと、炬燵はいまだにコタツに入ったままで、彼女に意味ありげな微笑みを向けた。その指には、呪いの力を帯びて小さく光る指輪……清見怪人が灼滅されたのは、それから僅かの後のこと。
    「傷ついたミカンから腐敗してしまうのですよね……」
     残念です、と静香は嘆いた。こんなにも素敵な香り、そして、彼らの愛。
     けれどもそれは優しき愛ではなく、一線を越えてしまった偏愛。
     他を貶めねば得られぬ穢れた『愛』を哀しみ、静香は優しい微笑を作る。
    「その罪咎、ここで斬り払いましょう……そういう意味ではもう、腐っていますしね」
     刀がキシュウミカン怪人を向く。灼滅者たちは最初からこれが狙いだったと悟り、キシュウミカン怪人は刺し違える覚悟を決める。
     ごめんよ、と壱里は涙して武器を取った。
    「俺、頭悪いから、黄色かオレンジ色かくらいの違いしか判らなくてさ……」
     どれも個性的で美味いのに、灼滅しなければならなくて……。
     だが全ては、彼らの罪なのだ、その良さを悪戯じみた迷惑行為でしか伝えられなかった者たちの。
    「こいつで瞑れてジュースにでもなってろ!」
     レイジが吼えてバベルブレイカーを駆る。そして他の灼滅者たちの意志も続く!
     かくして蜜柑色の爆風が、辺りの全てを覆い隠す――。

    ●ミカンパーティー
     鈴の音と共に歩の刃が納まった。一羽も、再び眼鏡で自らを『封印』する。残された戦いの痕跡は……辺りに転がる、幾つかの柑橘類くらい。
    「弔いくらいにはなるやろかなぁ」
     そう言って千鳥はそれらを拾い上げた。いずれもご当地怪人が推していた実、美味しく食べられるものを傷むままにしておくのも勿体ない。
    「ではもう少し、コタツでゆっくりしましょうか」
     炬燵が問えば、泣きはらした壱里も、怪人たちにうんざりした様子のレイジも皆集まってきて、いつの間にか残らずククルに集められてきた柑橘類を前にする。
     今度は彼らに、新しい愛を。
     祈る静香の傍らで、炬燵は新たにマイウンシュウミカンを取り出してほくほく顔だった。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年12月3日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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