クリスマス2015~スイーツ・デコレーション!

    作者:ライ麦

     とあるケーキ屋のショーケースの前で、桜田・美葉(桜花のエクスブレイン・dn0148)は足を止めた。時期的に、そこはクリスマス一色のディスプレイとなっている。定番のホールのクリスマスケーキは勿論のこと、ここではそれ以外のスイーツも色々と扱っているのだろうか。クリスマスツリーのようなデコレーションが施されたカップケーキや、アイシングでサンタやトナカイが描かれたクッキー。雪の結晶の模様が描かれた色とりどりのマカロンに、ツリーのようにプチシュークリームを積み重ねたスイーツもある。どれも可愛くて、綺麗で、見ているだけで心が弾んだ。
    (「クリスマススイーツって一口に言っても、こんなに色々あるんだ……どれも可愛くて美味しそう! それに……」)
     カップケーキにクリスマス風のデコレーションをするとか。クッキーやマカロンに何かを描くとか。何か、土台となるものにデコレーションするだけなら。
    (「不器用なボクでもできそう……! 何に、どんなデコレーションするかで色々とアイデアも膨らみそうだし……」)
     何より、こんなクリスマススイーツを自分の手で作れるというのは、考えただけでワクワクしてくる。
    (「そうだ! 折角だから、皆にも声かけて……一緒に、色々作ってみよう……!」)
     そう思うと、居ても立ってもいられなくて。美葉は早速、学園に向かって駆け出した。

    「あの、クリスマスに皆でスイーツデコレーション、しませんか?」
    「スイーツデコレーション?」
     美葉の呼びかけに、榛原・七月(廃墟と悪戯・dn0228)は首を傾げた。はい、と頷いて、彼女は詳しい説明を始める。
    「ええっと、具体的にはカップケーキとか、クッキーとか、マカロンとか……様々なスイーツの土台を、生クリームとかチョコペンとか、色々使って、思い思いにデコレーションするって感じで……。例えば、なんですけど」
     そう言うと、美葉はおずおずと作ってきたらしいカップケーキを取り出した。カップケーキの上に、抹茶で色付けした生クリームが絞ってあり、その上にアラザンが散らしてある。
    「これだけでも、なんとなくクリスマスツリーっぽくないですか?」
    「まぁ、確かに」
    「ええ、こんな感じで、色んなスイーツにクリスマスっぽいデコレーションとかできたら楽しいかなって……」
     色々あると思うんです、と美葉は続ける。
    「こんな風に、カップケーキにデコレーションするのもいいし、クッキーにアイシングとかチョコペンで何か描いてみるのも楽しそうだし……あ、何かメッセージ書き込んでも良さそうですよね!」
     瞳を輝かせ、ぱんっと手を叩く。想像しているだけでも、なんだかウキウキしてきたらしい。
    「その他にも、クッキーとかマカロンとか色々組み合わせてお菓子の家を作ってみるとか、プチシューを重ねてプチシュータワーを作ってみるとか……アイデア次第で、色々広がりそうですよね。土台になりそうなスイーツとか、デコレーションに使う材料とかは様々な種類のものを用意しておくので……後は、思い思いにデコレーションするだけです! お菓子作りには自信がない……って人でも、土台にデコレーションするだけならできそうな気がしませんか?」
     もちろん、腕に自信がある人とか、自信はないけど挑戦してみたいって人、何かこだわりがある人などはイチから土台となるスイーツ作ってもいいですよ、と微笑む。そのための材料も揃えておくらしい。
    「あ、材料の持ち込みも歓迎です! 用意してある材料でも、自分で用意した材料でも、色々使って……オリジナリティ溢れるデコレーションができたら、素敵ですよね!」
     そうしてデコレーションしたスイーツは、その場で食べてもいいし、誰かへのちょっとした贈り物にしてもいいし、お土産に持ち帰ってもいいし。デコレーションしたクッキーなら、オーナメントクッキーにして飾る、なんて使い道もあるかもしれない。
     話を聞いていた七月も、口を開く。
    「なるほど。確かに、楽しそうだよね。クリスマススイーツデコレーション」
    「はいっ!」
    「抹茶クリームと見せかけてワサビを絞るとか」
    「やめといてください」


    ■リプレイ

     【三鷹北1―5】の皆と一緒に。想々は、小さなマカロンを山にしてツリー風に重ねていく。ホイップクリームを接着剤に一つずつ慎重に。ツリーが出来たらチョコペンやチョコスプレーで飾り、アラザンを振り掛け、天辺には星型のチョコを。
    「……ボク、は……プリン、に……しようかな」
     扶桑は用意されたプリンを見てちょっと考えた後、もう少し大きい方が……と、小さめのホールケーキくらいのプリンを作り始めた。
    「わぁ、扶桑さんはイチから作るんや……すごい!」
     想々は感嘆の声を上げる。プリンができたら、ホイップクリームを滑り止めにしてフルーツを並べ、真ん中には砂糖菓子人形を。クリミアは大きなパンケーキに苺ジャムを塗って積むこと5回、それをチョコ生クリームで覆い(隙間が多いのはご愛嬌)、側面は皿に根っこの様に流して、上面にはモカパウダーを木の切り口の様にかける。隙間には茸の砂糖菓子を挿して。
    「ブッシュドノエルならぬ『12月の切株』完成……素材は問題無いから美味しいと思うけど……二人はどう?」
     とメモワープロに打ち込んで覗き込む。皆の力作はどれも美味しそう。感想を言い合いながら、皆で美味しく頂いた。

     黒斗は甘さ控えめのガトーショコラに粉砂糖をまぶしまくる。横に生クリームを乗せ、その上にミントの葉と、赤い球状の砂糖菓子を置いて。最後にバニラアイスを添えて完成。
    (「これは昴にあげるものだし、口に合うと良いな」)
     と思いつつ、甘いもの好きとしては隣で作られている力作が気になって。チラリと視線を向けた。昴はロールケーキを使ったブッシュドノエル作りに取り組んでいる。ココア生地のロールケーキの端を切って、上に載せて切り株っぽく。生クリームに湯煎したチョコを入れて混ぜて、全体に塗ったら表面を木の幹のようにフォークで整えて、チョコペンで年輪を描いたら軽く粉砂糖をふって雪に見立てて。後はクリスマスっぽい飾りを乗っけて完成!
    「……昴の、ホント美味しそうだなあ」
     黒斗の目が輝いている。昴は小さく笑うと、
    「折角作ったんだし、味見してみるか」
     と差し出した。
    「良いのか!? じゃあ遠慮なく!」
     黒斗も自分のケーキを渡しつつ、昴のケーキを一口。あまりの美味しさに悶絶する。フォークが止まらない。幸せそうな黒斗の様子に、昴も目を細めた。
    (「丸一個食べそうだけど、また作れば良いさ」)

    「ステキなクリスマスにすべく、ミンナで豪華にデコしようっ!」
     【青春万華鏡】のボス、璃依の指令に、
    「デコレーションですか……久しぶりに、『あれ』の出番ですね」
     と佐祐理が取り出したのは、「注射器入りチョコレート!」。湯煎しておいたそれを、クッキーやケーキの表面に絞り出して模様や文字を書いていく。
    「ぴょっ、佐祐理せんぱいのちゅうしゃきこわいでち! おしおきされちゃうでちー! ひよ、良い子にデコレーションするでち……」
     フルフル震えるひよに、
    「……いやいやいや、これはちゃんとチョコで、薬とかではないですよ~、針もありませんし!」
     佐祐理は笑って注射器の先を見せる。
    「佐祐理くんの、注射器、何でも、使える……ます?」
     リヴィアが首を傾げた。皆の作り方を見ながら、自分でもデフォルメしたくま、うさぎ等を描いているが、注射器使うともっと上手く描けるのだろうか?
     耀はカップケーキに塗ったチョコのホイップの上に、真っ白なグラニュー糖をまぶして、上に砂糖のお人形を乗せる。
    「リヴィアさん、味見にお一つどうぞ」
     リヴィアは素直に受け取って、一口。
    「……甘い……おいしい……です」
     そう呟けば、手に持つくまのぬいぐるみ、くまーも万歳。
    「うむうむ、可愛くて美味しくて、大正義だなー!! これぞまさに、スイーツの才色兼備やー」
     皆の拘りのデコを褒めつつ、美味しそうなスイーツに囲まれて食いしん坊の血が騒いだ璃依はつい、味見という名の、つまみ食い通り越してガチ食べ。
    「わ、ボスがもうたべてるでち! おいしいでち?」
    「もー、ぼすってばくいしんぼさんなんですから。クリームほっぺに付いちゃってますよ?」
     苦笑してハンカチを差し出す耀に、
    「いやいや、サボってないぞ? これは味見という大事な役目なんだっ!」
     璃依は真顔で力説。
    「その証拠にアタシだってちゃーんとデコしたぞっ。じゃーん。アニマルドーナツーサンタバージョンー! どうだ、可愛いうさぎさんだろ」
     得意気な顔で皆のスイーツに並べたそれは、どう見てもお化けにしか見えなかったが。
    「みてみてでちっ! みんなのにがおえかいたでち! ひよ、がんばったでちー!」
     ひよもチョコペンで似顔絵を描いたクッキーを指差しながらぴょんぴょん飛び跳ねた。尤も、図工の成績はとても悪い彼女のこと、似ても似つかない絵だったが。
    「折角作ったの、食べるのが勿体ないですね……そうだ、神無月先輩。みんなで作品並べて、記念撮影しましょう!」
     耀の提案に、佐祐理は
    「えーと、えーと並べ方は、こうした方が」
     と良いアングルになるように口を出しながら撮影。
    「リヴィアせんぱいも、ピースするでちっ」
     ひよこの手で器用にピースしながら、ひよはリヴィアを促す。『ぴーす』って何だろう? と思いながらも、リヴィアは部員の真似っこをして写真に納まった。

    「クリスマススイーツ、とびきり美味しいのを作るから、完成したら一緒に食べよう? そうだ! 折角なら作ったスイーツを交換するのはどう?」
    「それいいね!」
     春兎の提案に、七月の瞳が悪戯っぽく輝いた。それに気づかず、
    (「七月君が作ったスイーツ……」)
     ほわわわん、と春兎は夢見心地な表情を浮かべる。
    (「というか、本音を言えば本人の方がおいしそ……ごほんごほん」)
     という思いはひた隠し、
    「ショタの心を掴むにはまず胃袋から!」
     キリッ、と調理に取り掛かる。シリアル、クリーム、フルーツ、小さく刻んだパンケーキ、プリン、マカロン……色々な土台や材料を組み合わせてパフェに。一番上にはクリスマス飾りと、猫さんチョコ&月のクッキーをトッピング。
    「どうかな、七月君!」
     力作を彼の前に置いてみれば、七月は
    「すごい……ありがとう」
     と目を輝かせた。
     一方の七月が作ったのはカップケーキに緑のクリームらしきものを絞って、天辺に星型チョコを乗っけただけのシンプルなもの。それでも喜び勇んで口にした春兎は盛大にむせて転げ回った。
    「ごめん。それ、ワサビなんだ」
     しれっと言いつつも、七月はそっと水とちゃんとデコしたカップケーキを差し出したのだった。

    「第一回、允允をもてなすの会~」
     円理の掛け声に続いて、ぱちぱちと拍手が起こる。しかし何故だろうか、いい予感がしない。現実逃避するように、允は底上げのバウムクーヘンの上にクリームとジャムを使って只管プチシューを積み上げていった。最後に星形チョコと哀愁顔ハムのマジパンを置いて、命名「星になったハム」。
     晴汰は汽車を作っていく。キャラメルを四角くくっつけて車両っぽく、車輪はマーブルチョコ。先頭車両はクッキーを繋げてチョコでコーティング、円柱型のチョコは煙突に。土台のスポンジにチョコで線路描いて完成!
     円理が目指すは可愛いお菓子の家。クッキーの壁は禍々しく垂れるチョコペンの窓がアクセント。板チョコの屋根にクリームと真っ赤なベリーソースかけ、マジパン製ハムスターを頂に配置すれば……なんと! 赤白マーブル混沌の沼で溺れるハムになった。どうしてこうなった。ファンシーな笑顔が何故かホラー感を醸し出す。命名は「呪いの家に捕まったハムの運命やいかに!」。
     成海は魔女の家を作る。クッキーの壁を竹墨入りクリームで塗りたくり、白いチョコペンで歪な特大蜘蛛の巣張巡らせ、扉からはマシュマロが溶けたおばけっぽいのがお出迎え。あっかんべーのイチゴソースがどろりと垂れて、オバケ屋敷の完成DEATH! 作品名は「祝☆ハムもオバケの仲間入り」。
    「俺、てっきり鮫っちさんは料理上手だと……」
     晴汰は青ざめた。一方で円理と成海は、
    「さめっちとは友情が芽生えそうな気がする」
    「貴方はやはり同士」
     ひしと堅い握手を交わしていた。允は机を叩く。
    「ねえどうして! スイーツってもっと夢のあるものでしょ! 何でそんな禍々しいオーラ出せんの!」
    「でも藤平先輩の汽車を間に置けば、良い感じに旅してるっぽいですよ」
    「旅っていうか、あの世への片道切符っていうか、うん……」
     晴汰の顔が引きつってる。允は空を仰いだ。
    「料理に関し破壊的センスを持つ二人、京とナル。奴等を引き合わせちまった事……それが俺の罪……饗しと言う名の裁きを受ける日が来たようだな」
     呟き、哀愁を帯びた目で晴汰を見る。
    「藤平……ハム助けるの手伝ってくれるよな。もう手遅れかもしんねーけど……」
     勿論。自分も同罪だと晴汰も頷き、二人で混沌の沼で溺れるハムをスプーンで救う。殆ど溶けかけて、ただのお化けになっていた。

     香が作るのは、大好物の焼き林檎。芯を抜いたら輪切りにしてフライパンへ。バターはしっかりめ、シナモン多め、砂糖は普通。キリカもカップケーキに抹茶クリームとクランベリーで柊を摸したデコしたり、チョコペンでサンタクロース落書きしたり。そのうちに焼きあがった林檎は、重ねて軽く形を戻して、バニラアイスを添えれば……。
    「赤白でクリスマスっぽい! ……まあクリスマスカラーって言ったらプラス緑って感じだけれどもね」
     呟く香に、
    「んじゃ、これでいーじゃん?」
     キリカはミントをバニラにそっと添える。
    「ほら、こんで香的クリスマスカラー揃ったんじゃね?」
    「うん、クリスマスって感じ? ふふ」
     香が笑い返す。キリカは身を乗り出した。
    「ね! ね! 食べてもい? 食べてもい?」
    「焼き林檎、一緒に食べる? じゃあ、その可愛い飾りつけのカップケーキ、私にもちょうだい」
    「ん? はい! アゲル! 食べよー?」
     ほい、と渡されたカップケーキに、香は歓声を上げた。
    「デコ、凄く上手で可愛い! 食べてしまうのは勿体無いかしら。食べるけれどもね!」

     かしこが選んだのはマカロン。先ずは上に生クリームを乗せて、桃色の子にはスライスした苺を薔薇の形に配置。緑の子には抹茶チョコの葉と抹茶パウダーでお化粧を。茶色の子にはたっぷりチョコを垂らしてオレンジを乗せよう。
     傍らの誠士郎がデコレーションするのはカップケーキ。クリームは普通のものから、抹茶味やきなこ味のものまで。それでカップケーキを覆い、ツリー型や星型のクッキーを飾る。クッキーもアラザンやデコレーションシュガーで飾り付け。楽しくてあれもこれも飾ってしまう。つい夢中になってしまうのはお互い様。顔を見合わせて、小さく笑い合った。
    「どうせだし交換しないかい?」
     かしこの提案に、誠士郎も頷いてお互いの作品を交換しあう。
    「うん、見た目だけじゃなく美味しく出来たな」
     微笑む誠士郎に、
    「……おや、先輩。口にクリームが付いているよ」
     かしこは近づいて拭いてあげる。
    「ああ、すまない」
     平然と拭いて貰うものの、どうにも照れくさい。

     薫と雨、そして夢の3人は、それぞれの似顔絵をデコレーション。薫はクリーム大福を土台に。雨はチョコクリームでロングヘアを描いて、小さいピンクのマカロンをヘッドフォンに見立てる。そして顔を描いて完成。夢もチョコクリームで髪を作り、白い金平糖を髪ゴムにして顔を描く。
     雨はカップケーキを土台に。ちょっと大きめなのが薫、一回り小さいのが夢。まずはチョコクリームで髪を作り、それから、チョコペンで大好きな二人の笑顔を描く。上手にできるように、慎重に、慎重に……。二人は、幸せをくれる、天使みたいな存在だから。最後に、小さな天使の羽のクッキーを顔の下に飾って、できあがり。
     夢も人形クッキーに薫と雨の似顔絵をお絵かき。雨の分はチョコペンで髪と顔を描いて、お花の髪飾りもつける。
    「えへへっ、かわいくできたの!」
     にこっと笑って、薫の分に取り掛かろうとしてはたと立ち止まった。
    (「髪の毛どうやって描くの? おにーちゃんの色のチョコペンがないのー」)
     悩んだ末に、何とか折り合いをつけて。
    「はい、二人とも! 夢の特製クッキーなの!」
     と差し出した。
    「ほら、出来たぜお姫様。どうだ? 二人とも可愛いだろう」
     薫も得意げに完成品を雨と夢に見せる。
    「わ、二人が作ってくれたの、すごくかわいい……! 食べちゃうの、もったいない……! でもおいしそう……!」
     雨は感動してあわあわしながら、自身のデコカップケーキを差し出す。
    「うわぁ……! 二人のデコも素敵なの! えへへ、二人とも大好きなの!」
     夢は満面の笑みを浮かべ、薫は
    「雨のカップケーキもかわいいな。天使……か。そうなれてるといいな」
     と呟いた後、夢のクッキーに目を移して驚愕した。
    「って、なんでオレのクッキー髪の毛ないんだよ夢!?」
    「そ、それは未来予想図なの! 将来のおにーちゃんのクッキーなの!」
     夢は慌てて視線を逸らす。
    「将来の姿って、オレはハゲたりしないって! ……多分。こうなったら自分で描くからな!」
     悔し紛れに、さつまいもクリームで描き足した。

     ひよりはマカロンとクッキーで小さなマカロンタワーを作っていく。日々培った原稿のアシスタント力を発揮し、モミの木型や星型のクッキー土台にアイシング。カップケーキの土台にマカロンを貼り付けて……。
    「見て、姉様! 食べるのがもったいないくらいの出来栄えだと思わない? これならパパとママ、喜んでくれるかしら?」
     ぱぁっと笑みを浮かべて完成品を姉にお披露目。
    「ひ、ひよ。あなたいつの間にそんな器用な事を……。でも本当に素敵だわ。あなたが心を込めたのだから、きっと喜んでくれるわよ」
     ひなたもその出来栄えに頷いた。そして、
    「私もクッキーに動物を描いてみたのだけれど、どうかしら?」
     とデコクッキーを見せる。ひよりは首を傾げた。
    「姉様……それは……何? これは……犬?」
    「えっ、何って……猫ちゃんのつもり、なんだけど……。それにそれは犬じゃないわよ……一応、サンタクロースよ?」
    「え、あ、違うの……?」
     ひよりは目を瞬かせて姉のクッキーを眺める。前衛的というか何というか……。
    (「何事もそつなくこなす姉の意外な一面を見れるのは嬉しいけど、もう少し姉様に絵心を教えるのは妹の役目かしら……」)
     なんて思いつつ。それとは別に、内緒で姉に贈るメッセージクッキーも作っておく。姉の方も考える事は同じ。ひよりに贈るため、こそりとハートのクッキーにクリームを絞って、カラフルなチョコスプレーを少しふりかけて……。
    (「とても楽しくなってきたわ。ひよ、喜んでくれるかしら」)
     密かに笑みを浮かべる。

     各々の想いをデコレーションに乗せて。メリークリスマス!

    作者:ライ麦 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年12月24日
    難度:簡単
    参加:24人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 3
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