クリスマス2015~星と雪と温泉と

     12月といえば、やはりクリスマス。
     街に流れるBGMが、目に映る店先の飾り付けが、それを教えてくれる。
     もちろん、我らが武蔵坂学園とて、例外ではない。
     度合いこそそれぞれ違えど、誰もが普段と違う雰囲気を感じている日々……初雪崎・杏(高校生エクスブレイン・dn0225)が、とある教室に生徒たちを集めていた。
    「見えるぞ、皆の未来が……いや、見えないな。湯煙しか!」
     かっ、と目を見開く杏。いつになくハイテンションだ。
     無理もない。今日のお知らせは依頼ではなく、クリスマスのお誘いだからだ!
    「湯煙と言ったからには、私が提案する場所は温泉だ。もちろん今年も貸し切りだぞ」
     ルールはただ1つ、水着着用! あとは公序良俗に反しない範囲で、思う存分羽を伸ばそうじゃないか!
     岩の仕切りを満たす濁り湯、そして空には星と雪。
     戦いの疲れを癒し、互いの心の距離を縮める、魔法の空間。体を包むあのぬくもりを想像しただけで、ふにゃりと顔がとろけそうだ。
    「友達同士でわいわいやるもよし、戦友の背中を流してやるもよし、仲間と裸の付き合いをするもよし(水着着てるけど)、そして恋人同士で過ごすもよし、だ」
     ちゃんと混浴だから安心してくれ、と杏は付け足す。
     会場となる温泉では、クリスマス限定のライティングが行われ、花火が打ち上げられる。皆の思い出に、彩りを添えてくれるだろう。
     ちなみに当日は、雪がちらほらと降る予報だ。露天風呂から眺める景色は、クリスマスに相応しいものになるに違いない。
     なお、売店にはジュースやフルーツ牛乳、お風呂アヒルなど、温泉&お風呂グッズが完備されているという。
    「どう楽しむかは、皆次第だ。お風呂もそうだが、お湯につかるとなぜだか色んな考えが頭を巡るものだ。今年の出来事を振り返り、未来へ思いをはせるのも悪くないな……うん」
     自分も水着の準備は万端だ、と杏が張った胸に、生徒たちの視線が集中した。
     それに気づくと、杏は両腕で胸を……大きなふくらみをガード。
    「み、水着! 水着だから見られても気にしないからな!」
     いや、水着じゃその大きさは隠せないよ……生徒たちは、思った。
     ともあれクリスマスは、特別な思い出をくれる、素敵な日。
     さあ、温泉、行こう!


    ■リプレイ

    ●聖夜、湯と共に
     温泉を、クリスマスカラーのライトが照らしている。
     空には冬の星が瞬き、花火の前の静けさといった趣。
     湯煙の中、皆が聖夜を堪能していた。
     そして、杏も湯に体を浸していく……。

     環奈の髪を、優しく撫でるエイナ。こうして2人寄り添うだけで、暖かさも倍。
     ぎゅっ、としたら、より一層。
    「エイナさんって温泉、初めて?」
    「書籍とかで見た事はありますけど……ひゃっ」
     見れば、環奈の手が、エイナの胸に触れていた。
    「エイナさんってスタイルもよくて、綺麗だよね。羨ましいな」
    「……も、もう~」
     甘える環奈に戸惑いながらも、その頭を撫で返すエイナだった。

     こわばった体を伸ばす香に、思わず見とれる蓮太郎。
     けれど、香からテストの結果を聞かれると、
    「そ、それが~……」
    「あら、赤点も減っ、て、……1点?」
    「……数学、てんでだめで……」
     しょんぼりする蓮太郎に、香が提案する。
    「じゃあ、クリスマスプレゼント代わりに一緒に勉強しましょうか。……嫌?」
    「とんでもない! よろしくお願いします、先輩!」
     一転、張り切る蓮太郎だった。

     前に2人で温泉を楽しんだのは、いつぞやの戦争の後。
     彩歌から言われ、悠一が懐かしく思っていると、彩歌の体が寄りかかってくる。
    「今日は、くっつきたい気分なんです。いいですよね、クリスマスなんですから」
     悪戯っぽい彩歌のささやきに、悠一は、湯の下、彼女と手を重ねる。
    「まあ、クリスマスだったら、仕方ないよな……」
     そう、聖夜くらい、のんびり過ごしてもいいだろう。

    「今年最後のお祭、しっかり楽しみやしょう」
     ギィが、【天剣絶刀】の皆を見渡す。
    「き、際どい水着って言われたけど、これでいいのかな?」
    「うん、可愛らしいっすよ」
     水着で恥じらうアウグスティアに、ギィも満足げ。
     そこにやんわり釘を差すのは、白ビキニの妃那。
    「公共の場ではそれ相応のマナーがあるんですから。過度なスキンシップはいけませんよ」
     積もった雪を見つけると、妃那は雪兎作りに取り掛かる。
     アウグスティアも、ゆっくり汗を流す。人が多めで、若干恥ずかしさはあるけれど。
    「誘ってくれてありがとう♪」
     セクシービキニをアピールするのはミュリリだ。
    「この1年、おつかれさまっした」
    「こちらこそ、ありがとう」
     ギィに引き寄せられ、ミュリリも抱き返す。
     2人が戯れる後ろから、ギィの頭を胸で挟むようにしたのは、友。
    「君がモテているのは良い事だが、もっとお姉さんに甘えてくれ。それとも、物足りないか?」
     お姉さんの魅力を分からせてやろう、と、友が意気込む。
     ゆったり過ごしつつも、明日等がギィに目を光らせていると、
    「次は明日等さんっすね」
    「あ、あまりくっつかないでよ、こんな場所で! でも、人目がなければいいってわけでもないんだからね!」
     明日等がまくしたてる。
     けれど、ギィの愛のささやきは、まだまだ続く……。

     【第3忍者】のひらりが、絶奈の肢体に見とれていると、
    「フルーツ牛乳いかがっすか~?」
     さすらいの牛乳売り、もとい誠が来る。
    「おっちゃん、一本くださいなーっ♪」
    「喜んで! ぐふふ……」
    「にしても天瀬さんってグラマラスですよね。男性が見たら理性を蕩かされるんじゃないでしょうか?」
     絶奈が言った先から、誠が、
    「おっと、岩風呂の窪みに足が『たまたま』引っ掛かったぁ!」
     しかし誠のラッキースケベの企みなどお見通し。ひらりと絶奈が、湯に引きずり込む。
    「ごぼぉ!? あつッ!?」
    「では、雪中ダイブはいかがですか?」
     せーの、で積もった雪の中へ。
     奇声を上げる誠をよそに、フルーツ牛乳を堪能する女性陣だった。

    ●湯に溶けるは雪と心
    「私たち、そろそろ出会って一年なんですよ」
    「そうだな……クリスマス直後くらいだったっけか」
     耀から告げられ、威司が記憶の糸をたぐる。
     つまりこれが、2人で過ごす初めてのクリスマス。
    「また、来年も一緒に過ごそう。な?」
    「はい、喜んで」
     耀の肩に腕を回し、抱き寄せてキスをする威司。
    「でも、来年だけじゃ、嫌ですよ? 再来年も、その先も」
    「確かにそうだ。これからもよろしくな」

     夕陽と雛のそばに、子供向けのシャンメリーを乗せた桶が浮かんでいる。
     そのピンク色の炭酸が、グラスを満たす。
     岩風呂の縁に腰掛ける雛の膝の上、夕陽は頭を乗せて、
    「こうやってゆっくり過ごせるのは、いい事だな」
    「そうですねぇ」
     夕陽の手が、雛の頭を撫でる。
     炭酸の弾ける音と、湯気と星空、そして恋人。
    「メリークリスマス、ひぃ」
     重ねた唇は、甘いストロベリーの味。

    「テディったら、かーわいー……♪」
     水着の双子に挟まれ、赤面するテディにタバサが抱き付く。
    「程々にね? タビー」
     フェリシアの念押しを、タバサは聞いているのか否か。
    「わ、わ……こんなとこであまり……」
    「大丈夫、ヘンな事しないからっ。だぁいすきぃ……♪」
     キスするタバサとテディを見ていたら、フェリシアも感情がこみ上げてきて。
    「タビー、ずるいですっ」
     タバサを押しのけ、テディに抱き付く。
    「も、もぉ、2人とも……」
     タバサとフェリシアに振り回されながらも、テディもちゃんと思いを口にする。
    「……僕も、2人のこと好きだからね…?」

     何故自分も【花園】の輪の中にいるのか。
     そんな京香の疑問は、りんごに撫でられた途端、溶けて消える。
    「貴女もわたくしの妹になりますか?」
    「……りんごお姉さま」
     うなずいたそばから恥ずかしくなって、そっぽを向いてしまう京香。
     微笑むりんごは、緋頼の視線に気づく。
    「貴女もあとで愛でてあげますからね?」
    「待ってますからね……きゃあ」
    「相変わらず花園は花園ですね!」
     悠花が、緋頼に後ろからハグ。するとすぐさま抱き返される。
    「肌綺麗ですよね、悠花さん」
    「緋頼さんもですよ! 秘訣は睡眠と、お水!」
     褒められ喜ぶ緋頼を、何やら誘うように、タシュラフェルが胸を強調している。
     緋頼を迎えると、
    「触ってもいいのよ? ふふ、いっぱい愉しんでね……♪」
    「皆さん、やりすぎはダメですよー?」
     りんごが優しく釘を差す。
     皆が戯れる様子を、温かい眼差しで眺める水鳥。
    「水鳥さん、おいでおいでー」
    「ん……? なに……?」
     悠花に手招きされ、水鳥が近づくと、そこで待っていたのは当然のごとくスキンシップ。
    「……ええと……あっ、その……」
     断れない性格もあって、水鳥はされるまま。本当は嫌いではないし。
    「水鳥の肌は真っ白くて、素敵ね……」
     タシュラフェルまで加わって、まさにここは花園……!

    「今年も命がありました。生きているって、すばらしい」
     キャロルに後ろから抱き締められつつ、狛も思う。
    「救えなかった命の分も、わたくし達は生きている……貴方が支えてくれたから」
    「それは、ぼくも同じですよ」
     思いを交わす狛とキャロルの肌に、白い粒が溶ける。
    「雪が降ってきましたよ、キャロルくん」
    「まるでナノナノみたいですね♪ ぼくは、コマちゃんのナノナノとしてずっとそばにいますよ……」

    (「すっごく嬉しくて……ちょっぴり恥ずかしいですね」)
     頬を染めるアリスに、霙が熱い視線を注ぐ。
    (「どうしても胸元に目が……僕はなんて破廉恥な娘なんだろう……!」)
     気づくアリスだが、霙ならば構わないとも思う。
     その時、夜空に咲いた花火が、霙に夏の夜を思い出させる。
     照れて上気したアリスの頬は、あの時とはまた違う美しさ。
     来年の聖夜も一緒に……2人の思いは、1つ。

    ●雪・月・花火
     周りの人の多さに、姫歌が蕾羅の後ろに隠れる。
     その途端、振り返った蕾羅が、姫歌を抱きしめた。
     驚いた反面、姫歌がどこかほっとしていると、再び花火が上がる。
    「あ、あの、誘ってくれてありがと、蕾羅っ」
     どぉん。
    「何か言いましたかぁ?」
     花火に声が掻き消されたと知り、ぎゅっと抱き付く姫歌。これなら、思いはどこにも行かない。
    「来年も一緒にクリスマス過ごしましょうねぇ~」
     蕾羅が、微笑んだ。

     巳桜とサズヤ、そしてアヒルの隊長も気持ちよさげに浸かっている。
     雪もライトも、ロマンチックで綺麗。
    「……巳桜も、綺麗」
    「あ、ありがと……」
     真っ赤な顔を隠そうと口まで沈んで、巳桜がお湯をぶくぶく。
    「大丈夫……? おぉ……花火」
     サズヤの注意が逸れた隙に、巳桜は思い切って腕に抱きつく。
     そして2人、色とりどりの花火を見上げ、
    「……来年も、良い一年を、一緒に過ごそう」
    「ずっとずっと、ね?」

     朔之助は、傍らの嵐に問う。葵との生活を。
    「大丈夫だよ。毎日、一緒のお布団で寝てるし」
    「なにぃ!」
     嵐の答えに思わず声を上げる朔之助。
     今度は嵐が問う番だ。
    「で、朔の好きなヒトの方は?」
    「ああ……この後ちゃんと言おうと思うんだ、僕の気持ち。だから僕に力をくれるか?」
    「うん」
     嵐はそっと、朔之助の手を握る。当然、というように。
     冬空を彩る花火が、2人の横顔を照らす。

     藺生と背中を流し終え、灯夜が湯船に飛び込む。
    「あっちゃん、お風呂で暴れちゃだめだよ~」
     バタ足しようとする灯夜を、藺生が止める。
     次々開く花火を眺めながら、
    「もう来年、あっちゃんは中学生なんだね~」
    「いつまでも子供のままではいられないのさ~」
     藺生にも、進路のことがある。
     けれど、2人一緒なのは変わらない。
    「来年も仲良しでよろしくね」
    「ずっとずーっと、ね」

    「素敵な景色! 年末をゆっくりと過ごせるの幸せねー♪」
     上機嫌の黒曜を意識して、藍晶の頬が赤く染まる。
    「ゆっくり温泉に浸かるのは初めてなのだけれど。心が落ち着いていいものね。……こ、黒曜と一緒だからかもしれないけれど」
     そこに、どぉんと大きな花火。
    「あ……綺麗……」
    「ふふふ、藍晶も綺麗よ♪」
    「なっ……」
     ますます顔を赤くする藍晶を見て、黒曜が楽し気に笑った。
    「ホント、幸せね♪」

    「ふふふ、温泉~♪」
     【きねま】の面々と、温泉を堪能する曜灯。普段よりテンション3割増し。
     そんな曜灯の水着姿にドキドキの勇介へと、陽桜がお湯鉄砲を食らわせる。
    「めりーくりすますー♪」
    「ならこっちも、メリクリ!」
     すかさず応戦する勇介を見て、健が指摘する。
    「おい、顔赤いみたいけど大丈夫かー!?」
    「そ、そっかな、のぼせたのかな」
    「ゆーちゃん、えっちー。のぼせるとかしんじらんなーい」
     陽桜が、お湯鉄砲をたっぷり浴びせてやる。
     不意に健が夜空を指さし、
    「雪が舞い散る中の花火も、マジ綺麗なモンだよな?!」
    「ほんとだ、きれー……わわっ」
    「油断したなっ、陽桜っ」
     思わぬ勇介の反撃を受け、陽桜が楽し気に笑う。
    「じゃ、風呂上がりには、珈琲牛乳かフルーツ牛乳にラムネで乾杯と行くか!」
    「うん、大賛成よ」
     健の二次会の提案に、曜灯が即答する。
     もちろん、他の2人もノリノリで。

     美亜は思う。
     【SF部】の部長として、皆の姉として、妹達の発育を確認する義務がある、と。……まあ、優奈はほっといても来るけど。
     そんな美亜の邪念を察知した琥珀は、とっさに優奈のそばに退避……。
    「計画通りなのよ……あれ?」
     いない。すると突然、背後から優奈が出現……!
    「なっ」
    「夏の仕返しを今!」
     そんな賑やかな先輩たちを見遣りつつ、狗狸夢はリラックス中。犬耳もへにょんと垂れている。
    「……良いお湯、ね」
     そこへ優奈の、そして琥珀の魔手が襲い掛かる。
    「さあケモ耳モフモフさせれー!」
    「耳が、耳が私を呼んでるの」
     だが、狗狸夢の手にしたおもちゃの水鉄砲が、2人を撃ち抜いた。
    「血には血を」
    「ぬわー! ごぼぼ……」
     優奈、撃沈。
     赤面しつつ、女性陣のじゃれあいを眺めていたふちは、水着姿に目移り。
     平静を装ってみせても、内心では喜んでいる自分を嫌悪して、
    (「……あぁ神よお許し下さい」)
    「ふち、楽しんでいるか?」
    「ええ……」
     答えるふちに、女物の水着を手にした美亜が迫っていた……。

    ●聖夜の魔法、雪の魔法
    「クリスマスにゆっくり過ごすのは初めてです。神田さんのお陰ですね」
     マリィアンナの感謝、その微笑みが、熱志を決心させる。
    「マリィアンナさん……あなたを離したくない。もっと深く繋がりあいたい」
    「神田さん……」
     目を丸くした後、マリィアンナは笑ってうなずいた。
     それを確かめ、抱き寄せる熱志。そして愛を誓うキス。
     唇を重ねながら、マリィアンナは祈る。
     これからもこの人と共にあれますように、と。

    「暁、どしたの?」
    「その、ユーリィが、あんまり綺麗なので……」
     小首を傾げるユリアーネに、暁はどきまぎ。
     何とか心を落ち着かせた暁は、湯の中、手を取り、
    「俺、きみが大好きなんだ」
     きみの悲しみを背負い、全力で守る。
     暁の告白に、ユリアーネは。
    「……私、一人じゃないんだね。ありがとう」
     暁の腕の中、ユリアーネは自問する。人とは違う身体で、こんな幸せを受け入れていいのかと。
     けれど、せめて今は。

     湯煙の中、謡の脳裏をよぎるのは、オルフェウスとの一件。
    「ボクは、あの時、裁かれるべきだったんだろうか」
     いつも強い謡が見せた弱気が、しかし、百花には少し嬉しい。
    「私は謡が生きてて嬉しかったわ。それが全てよ」
     貴女ならどう答えるの、と問う百花に、謡は、
    「答えは決まってる。そうだよね」
     謡が笑顔に変わる様を見て、百花は、満足そうに星空を見上げた。
     今まで以上に、綺麗に見えた。

    「……花月は、これから先ってどう考えてる?」
     舜に問われ、花月は、左手薬指の指輪を見た。
    「君さえ良ければ……でも、君のお祖父さんと戦わなきゃならないってのが……」
    「その話、あんまり気にしなくてもいいと思うよ。……まあ、強いけど」
    「おい、舜は諦めてほしいのかい?」
    「もう、そんな風に思ってなんてない癖に」
     舜に呆れられ、花月は少々むすっとしつつも、
    「君が嫌って言うまでは一緒にいるんだからな」

     【探求部】には、3組のカップル。
    「今回は皆さんお相手いますから、ある意味安心と言うか」
     真琴の隣でくつろぎながら、七波が言う。
    「この状況は何だか照れくさいね」
    「でも、こういうのって良いな」
     結衣奈の手を、明彦が握り、笑いかける。
    「こうしてクリスマスを迎えられるのは嬉しいです」
    「はい。今年も、統弥さんに沢山助けていただきましたね」
     さり気なくくっつく統弥に、感謝を告げる藍。それから、
    「そうだ、皆さんの馴れ初め、教えて欲しいです」
    「せっかくですし、色々聞いてみたいですね」
     統弥にも話を振られ、真琴は、無意識に周りを伺ってしまう。
    「えと、そういう話は意識してしまいますよ」
     皆が一通り語り終えたところで、結衣奈がグラスを配る。
    「それ、シャンパン……」
     結衣奈の告白に、皆が一瞬固まる。
     特に、結衣奈の悪戯好きを聞いたばかりの明彦は、警戒するけれど、
    「じゃなくて、りんごの炭酸ジュースだよ!」
    「うわ、ひっかかったなあ」
    「えと、今回はおいしいのだけですね」
     苦笑する明彦。真琴は、昨年のロシアンジュースを思い出してしまう。
    「じゃ、来年も探求心を忘れずに!」
     結衣奈の音頭で、乾杯。
    「今年も色々ありましたね」
     七波の言葉をきっかけに、今年の出来事を、皆で語り合う。
     そして最後は、皆で記念の写真撮影。
    「また一緒に温泉に来たいですね」
     笑顔の藍に、全員がうなずいた。

     天に咲く花、瞬く星。舞い散る雪に、昇る湯気。
     そして傍には大事な人が。
     温もりに包まれて、聖なる夜は、ふけていく。

    作者:七尾マサムネ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年12月24日
    難度:簡単
    参加:65人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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