あの人たちの行方 ~終末のアイドルの願い

    作者:長野聖夜

    ●流れ出したものは留まること無く
     人気の無いライブハウス。
     そこに集合した、数人の少女達。
     少女達はいずれも、猫耳だったり、小悪魔の様な耳をしたりしている。
     ――すなわち、淫魔。 
    「ニャン子は、最近どうかな?」
    「全然駄目にゃ……デビ子はどうにゃ?」
    「さっぱりです……。最近は怖い人達も一杯いますしね……」
     デビ子の息苦しさを感じる呟きに、集まっていた淫魔たちの間から、陰鬱な溜息が毀れ落ちた。
    「どうして……こんなことになっちゃたんだろうね……」
     ニャン子に問いかけた狐耳の淫魔、コン子が誰にともなく、小さく呟く。
    「あたい達は、ただ、楽しくアイドル活動が、出来ればよかっただけにゃのに……」
     アイドル活動は、凄く楽しかった。
     でも、情勢の動きが激しいこの時に、この場所で安心してアイドル活動を行える筈がない。
    「どうして、私たちは今まで、此処で安全に楽しく、活動出来たのでしょうか……」
     デビ子の、溜息。
     友達で、仲間だった、力ある淫魔達は、活動をやめて去ってしまった。
    「プロデュース活動を手伝ってくれていた、灼滅者の七不思議使いさん達も、どうして手伝っていたのか分からないって、手を引いちゃったし……」
    「それどころか、灼滅された子もいるらしいにゃ……」
     コン子の溜息に、ニャン子がそう返すと、辺り一帯に澱んだ空気がどんよりと広がっていく。

     ――まるで、留まることを知らない、濁流の様に。

     
    ●終末のアイドル
    「武蔵坂学園の皆さん! わたしのこと、助けてくれてありがとうございました!」
     クリスマスの準備が進み華やかな今日この頃。 
     クリスマスパーティの準備も進む学園の一角に準備されたイルミネーションに照らされたライブ会場。
     そのステージに立つワンピース姿の美少女。
    「歌って、踊って、エッチは禁止のアイドルを目指す、ラブリンスターです!」
     少女は笑顔を会場に集まった灼滅者達に向けた。
    「……実は、今日はお願いがあってこんな素敵な機会を作って頂きました」
     笑顔のまま、マイクを片手に告げるラブリンスター。
     少ししおらしい感じの彼女を、集った灼滅者達が見つめている。
    「わたしは、皆さんのおかげで助けてもらえました。迷宵さんや鳴歌さんみたいに、エクスブレインに似た力もあるみたいです」
     今後、未来予測を担当する者として活動することもあるかも知れない。
    「でも、わたしから、無差別篭絡術の力は無くなってしまいました」
     故に、無差別篭絡術に掛かっていた、関東の七不思議使いや、淫魔達から、彼女の記憶は失われたままらしい。
    「お願いと言うのは、学園の皆さんに、その七不思議使いさん達や、淫魔さん達と接触して頂き、あの人たちをどうするか考えて欲しい、と言う事なんです」
     関東の七不思議使い達は、元々、ネットでやりとりするサークルの様な組織だったそうだ。
    「ですので、まだ大きな動きは無いようですが、朱雀門の関係者らしい方からも勧誘メールがあったと掲示板にもありましたので、出来れば早めに交渉して、皆さんに合流して欲しいと思っています」
     また、と1つ息をつく少女。
    「わたしの力の影響で、アイドル活動をしていた淫魔さん達は、活動をやめて、既に何処かに行っています。次に出会うのは、淫魔さん達が、何らかの事件を起こした時でしょう。ですから……」
     束の間躊躇う様にしつつ、間もなく灼滅者達に笑顔を振りまくラブリンスター。
    「皆さんには、無差別篭絡術と関係なく、わたしと同じで、アイドル活動を好きでしていた淫魔さん達についてを考えて欲しいんです」
     アイドル活動が好きで行動していた淫魔達は、まだ、秋葉原などで活動を続けている様だ。
     しかし、彼女たちの力は総じて弱い。
    「今までは、わたしが守っていましたが、今はもう……」
     笑顔が、僅かに曇る。
     彼女たちが無事だったのは、ラブリンスターの配下だったからに過ぎないのを知っているから。
    「……このまま放置しておいたら、他のダークネスさん達に倒されたり、最悪の場合は、支配されたりしてしまうかも知れません」
     もしかしたら、そうなる前に灼滅することになるかも知れない。
    「……それでも、他の組織のダークネスさん達に強制されて悪行を重ねるよりは、良い、と思っています」
     勿論、考え方は其々だろう。
     しかし、もし自分がアイドル淫魔達の立場なら、そう思う。
     それが……ラブリンスターなりのアイドル魂だった。

    「今回の件ですが、わたし、出来る事なら皆さんと一緒に行きたいです」
     ラブリンスターが神妙に、けれども会場に集った全ての灼滅者達に届く声音で呟く。
    「迷惑を掛けてしまうのは、分かっています。でも……わたしは、見届けたいんです。武蔵坂学園の皆さんが、わたしと一緒にアイドルを目指していた淫魔さんや、手助けしてくれた七不思議使いの皆さんをどうするのかを」
     それが、組織の代表として歩んだ、自分なりのけじめであり、責任。
    「それに……」
     ――皆に忘れられたままは、嫌だから。
     その想いが、少女の決意を、その背を押した。
    「だから……どうか、よろしくお願いします!」
     それまでずっと笑顔を向けていた彼女が深々と一礼した時、その瞳から一粒の白い何かが毀れた様な、そんな気がした。


    ■リプレイ

    ●呼び出し
    『ねぇ、アイドルに興味ある?』
     それは、【TG】研所属の、竹尾・登による書き込み。
     アイドル発言が興味を引いたか、『ガラクタ』と言う七不思議使いが返事を書き込み、何人かがそれに続く。
    「それじゃあ、これ、見てみてね! 灼滅者組織、武蔵坂学園所属の性別不明アイドル、『いなづま チャンネル』!」
     URLをクリックすれば、ピンクのメイド服を着た性別不詳の中学3年生くらいの人物のライブが放送されていた。
    「いやはや、竹君、体を張っていますねぇ……」
     『都市伝説ハンター』を歌いだした彼に苦笑しつつ、紅羽・流希がウクレレギターを弾き、爆発音や、フラッシュアップ器具の演出を安藤・ジェフが担っていた。その映像が七不思議使い達の心に響いたか、書き込みが増えていく。
    「朱雀門に関するものはなさそうですね」
    「それなら、いいんだけれどね」
     レスを確認していたジェフに、備傘・峻輔が頷きつつ、『極楽本屋』のHNで書き込む。ライブ画像を見ている人達の中に、武蔵坂学園に対して関心を持ち始めた書き込みが増えてきたから。
    「掲示板運営者は、誰なのかははっきりとしないみたいだね」
    「そうだな」
     運営者は知らないと言う返事を見た比良坂・枢の呟きに、過去ログにヒットしないのも確認した三蔵・渚緒が首肯する。
     この七不思議使い組織の在り方は、武蔵坂学園に少し似ていた。
    「インターネットじゃ、情報が錯綜するだけだね。やっぱり、皆と会って話がしたいな」
     枢達に同意したのは、海北・景明。
    「そうですね。……その方が、お互いにとっても利益になると思いますし」
     ラブリンスターのことも含めた武蔵坂学園に纏わる全てのいきさつを書き込んだ、新城・七葉や、風間・紅詩が首を縦に振った。
    「まあ、これも沢山の秘密の一つって考えればいいんじゃないかな?」
     自分の想いを正直に綴った神凰・勇弥が軽く首を竦める間に、彼等の努力が報われる連絡が届く。会えるのなら、会いたいと言う熊谷・翔也等の書き込みにも、返事が来た。
     かくて、七不思議使い達とオフ会を開く算段を取りつけたのだった。

    ●オフ会
    「どんな怪談が聞けるか、楽しみだ」
    「そうね。相手も七不思議使いだもの。色んな怪談を知っているわよね」
     日章・宵が、セッティングした会場に向かいながら世間話に興じているのは、倉田・栞や、煌操・橙等、【百不思議七物語】の面々。
    「やあ、君達が僕達を呼び出した、武蔵坂学園の?」
     期待と不安を抱きつつ待っていると、30人程の集団が姿を現す。
     代表としてガラクタと名乗った少年に、笑顔を浮かべて初めまして、と居木・久良が挨拶した。
    「あなた達、来てくれてありがと。これ、お近づきの印よ」
     栞が久良の笑顔を引き取る様にぬいぐるみをプレゼントすると、彼等は其々の表情で其れを受け取った。
    「面白い話、聞かせてね」
    「お任せですよ! その代り、皆さんも一杯、面白い百物語、聞かせてくださいね~」
     アルルーナ・テンタクールの言葉に、其々に笑顔を浮かべる七不思議使い達を迎え入れ、オフ会が開催される。
     こういう時、趣味が同じ【百不思議七物語】を初めとした七不思議使い達は強い。
     御伽・百々が自慢の『彷徨う怨霊武者』を語れば、七不思議使いの一人が負けじと、『夜中に歩く大学の甲冑騎士』を語り。
     栞がコックリさんと一緒に流行った『ひとりかくれんぼ』を語れば、ある七不思議使いが、一度囚われれば、最後の1人が死ぬまでやり続ける『皆でソリティア』なる奇妙な話を語り。
     アルルーナが親友の社守・霊禍の物語と、自分の『蠢くアルラウネ』を合わせた話を作れば、七不思議使い達も、『鏡の中の私と太陽好きの吸血鬼』なる奇怪且つ軽妙な怪談を生み出した。
    「都市伝説トンカラトン。詳しくご存ぢの方ぁ、いらっしゃいやせんか!」
     撫桐・娑婆蔵が、見切り付きで決めてみれば、知らん! と冗談交じりのヤジが飛んで笑いが弾けた。
    (此処まではうまく行っている様だな)
     その様子を冷静に観察しながら、片倉・純也が小さく頷く。
     ひとしきり懇親会が進んだところで、ふと、ガラクタが神妙な表情になって、その手に持つ扇子で自らの肩をトントンと、叩いた。
    「いや~、面白い話だった! 武蔵坂学園の人達って、皆こんな感じなの?」
    「はい。皆が皆じゃないですけれど、こういう楽しい人が、武蔵坂学園には沢山います」
     答えたのは、七不思議使いに憧れて、魂の改鼠を行った草那岐・勇介。
     ガラクタが、他の七不思議使い達の代表として話を続ける。
    「でもさぁ、君らだってこの話の為だけに、僕等を誘った訳じゃないだろ? 朱雀門とか言う所のことも気にしてたみたいだし。それに、ラブリンスターってのが、僕達も関係あるって話もあったよね」
    「はい。ラブリンスターさんは、貴方達がプロデューサーとして協力をしていた方のことです。最も、彼女との絆が奪われたから、貴方達は、彼女のことを忘れてしまっている様ですが」
     改めて説明するエリカ・ブリントンに、ガラクタが僅かに顔を顰める。
    「記憶にないんだよね。悪いんだけど」
    「朱雀門からの勧誘に関しては、どう思っているんだい?」
     問いかけたのは、日下部・颯太。
    「まあ、其々なんじゃない? 僕達だって一枚岩じゃないし」
     周囲を見回しながらの彼の呟きに七不思議使い達が頷いた。
    「なんか、そう言う所、似ているな、俺達の学園に……」
     鈍・脇差の呟きに、そうかもね、と苦笑を零す七不思議使い達。
    「でも、其れならば尚更朱雀門への加入はお薦めしませんね。彼等が求めているのは純粋な戦力となる殺伐とした都市伝説でしょうし、加入すれば型に嵌められてしまいますから」
     睦月・恵理の忠告に、扇子で軽く机を叩くガラクタ。
    「そう言う生き方が好きな人もいると思うよ」
     僅かに訪れた沈黙を破ったのは、師子凰・天摩。
    「アンタらも、割と其々に好きな様に考えて行動しているんすね。ところで、最近心に何処か穴が空いている様な、そんな感じはありやせんか?」
    「僕はあるかな。皆は、どうよ?」
    「まさか、その穴を埋める為に、淫魔達を灼滅したのか?」
     問いかける桃野・実に、何人かが肩を強張らせ目を逸らすのを、ガラクタが擁護する。
    「そう言う奴もいるだろうけど。僕だったら、生きる為に必要なら灼滅するかな」
    「それが人殺しだと分かったうえでか?」
    「仕方ないでしょう! 私達だって、ダークネスになりたくない!」
     金切り声を上げたのは、七不思議使いの少女。
    「癒しを得る為に必要だっていうなら、ブレイズゲートを案内する。だから、そいつらには手を出すな」
    「ラブリンスターは、アイドルを目指して必死になって戦っているわ。だから、彼女の力になれる人が今は1人でも多く必要なのよ」
     実の怒りと、アリエス・オデュッセイアの説得に考える表情になるガラクタ達。
    「私達としては、武蔵坂学園に来てほしい。けれども、其れを強制することは出来ない」
     セレス・ホークウインドが現在のダークネスの勢力分布を分かりやすく図解した資料を渡し、ガラクタが回覧した。
    「俺達は、其々の自主性を重んじている。だから、この話を此処にいない仲間達にも知らせて、来たいと言う奴には、武蔵坂の門を叩いて欲しいと伝えて貰えないか?」
    「後、朱雀門は、ヴァンパイア主体のダークネス連合組織だから、本当に気を付けてな!」
    「ああ、分かったよ。その後、僕はそっちに合流するから」
     脇差の問いと、真月・誠の忠告にガラクタが頷くのに続けて、その場にいた七不思議使い達の半分くらいが手を上げ、武蔵坂学園に行きたい、と言ってくれた。
     後の者達がどうするのか。
     それはきっと、彼ら次第なのだろう。

    ●終末の少女の想い
    「皆さん、休憩しましょう!」
     休憩を告げる白金・ジュンに、灼滅者達が肩の力を抜く。
     ジュンの提案だった『ラブリンライブ!』のリハーサル。踊り手達の合わせも見事に嵌り、確かな手応えを感じていた。
    「皆さん、ありがとうございます!」
     少女の一礼に、ライブの賛同者達も其々に頷きを返していた。彼女の同行に、反対を申し立てた者は、極僅か。更にジュンの提案にも多くの者達が賛同している。
     休憩を取るラブリンの傍に、天雲・戒が近づき会釈した。
    「どうしてアイドル目指したのかって聞くつもりだったけど、聞くまでもなかったみたいだな。リハーサル見てて、凄く思った」
    「ありがとうございます!」
     笑顔で頷いたラブリンスターに手作りのマカロンを渡す、アリス・クインハート。
    「ラブリンさんの事……無事に助けることが出来て良かったです……」
     そう言えば、とレイラ・サジタリウスが軽く首を傾げた。
    「私達はこれからもずっとラブリンスターと呼ぶことになりますけど、学園の出席簿にはフルネームですよね。どうなるんですか?」
    「ラブリンスター・ローレライになるそうです」
    「長い、ですね」
     ミルフィ・ラヴィットが微苦笑を零すと、【星空芸能館】の代表である星野・えりなが、胸を撫で下ろしつつ嬉しそうに微笑んだ。
    「でも、本当に良かった。私、あの時、目の前で救えなかった事を、ずっと後悔していましたから……」
     タカトに彼女が連れ去られる時のことを思い出すえりなを労わる様に、ありがとうございますと、元気よく答えてくれた。
    「ただ……淫魔さん達を守る力がもうわたしにないのが、少しだけ、悔しくて」
     僅かに笑顔を曇らせる彼女に軽く首を横に振るのは、綾町・鈴乃。
    「ラブリンスター様にとって、アイドル淫魔さんはお友達ですか?」
    「はい。一緒にアイドルを目指した淫魔さん達は、お友達だと思っています」
     頷きを受けて、ニッコリと笑う鈴乃。
    「それなら、すずのにとっても、お友達です」
    「わたしも、少し質問してもいいですか?」
     鈴乃の傍にいた、色射・緋頼が、少しだけ神妙に問いかける。
    「何ですか?」
    「記憶があれば、でいいのですが。ダークネスにとって、人と灼滅者はどの様な存在なのでしょうか? ……他のダークネスとも共存を考えて行きたいのです」
     尋ねる緋頼に、ラブリンスターは、軽く首を横に振る。
    「わたしにとっては、皆さんは大事なファンで、お友達です。勿論、わたしの歌を聞いて、喜んでくれる皆さんも。でも……多分、其々のダークネスさんによって違う考えがあると思います」
    「あの日、貴方は言いましたね。私達の、人の営みを夢の様だと」
     緋頼への回答に相槌を打ちつつ、尋ねるのは百合ヶ丘・リィザ。
    「アイドルとして目指すところと同じだと言った貴方の感性は……他のアイドル淫魔とやらにも、共有し得るものなのでしょうか?」
    「好きでアイドル活動を続けている淫魔さん達は、きっと、何処かで同じ様に考えている、と思っています。だから、皆さんがどうするのかを、見届けたいんです」
    「君の目の前で俺達はあいつらを殺すことになる」
     それまで椅子に黙然と座っていた、水城・恭太朗が口を開いた。
     そもそも全員を救うことなんて出来ない。其れが現実。
    「一緒に行けばきっと君は、いつか俺達を、そして自分を恨むことになるだろう」
    「そうかも知れません」
     ラブリンスターは笑顔を捨てない。それが、彼女なりの強さ。
    「それでもわたしは、皆さんを信じていますから。きっとアイドル淫魔さん……わたしのお友達だった、皆さんにとって一番いい選択をしてくれることを」
    「何時か、彼女達と一緒にアイドルとして立つためにも」
    「……どんな形になっても、頑張りましょう」
     彼女の決意を見抜いた狩野・翡翠が頷きかけ、氷美・火蜜が手を差し出すと、終末の少女は、笑顔でその手を握り返した。

    ●集合の絆
     幾つかの拠点を訪れ、淫魔達をライブに誘う活動の中心を担ったのは、【星空芸能館】の風輪・優花や、村本・寛子。
     綺羅星・ひかりが横の連携を取りやすくする様尽力し、椎那・紗里亜の手作りのパンフレットで活動内容を広報する。彼女達の活躍の甲斐あって、交渉は捗り、更に今までの努力が報われる者達が、ちらほらと現れた。
     灼滅者が絆を結んだアイドル淫魔達と交流のあった者がいる拠点が判明したから。
     初花を気にしていた若生・めぐみや、神夜・明日等や、風真・和弥達も、それ故に拠点の1つを訪れていた。
    「俺は、お前たちのアイドル活動を応援したい」
    「今度戦いになってからでは、手遅れだもの……」
     初花の様にアイドルを目指す淫魔達と戦いたくないからと、真心を持って自分の意志を伝えるが、それでも不安や戸惑いを覚える淫魔達の心を押したのは、フィオル・ファミオール。
    「争ってばかりじゃ変わらない。キミ達を学園に迎え入れることは出来ないけど……何かあれば手を伸ばす。耳を傾ける。だから、見に来てよ、ラブリンライブ!」
     他にも、上代・絢花や、一橋・智己はニナと言う淫魔の知り合いのいた拠点で彼女の話を通して淫魔達の信頼を得、同行していた日向・一夜が、淫魔達との絆を結ぶためのライブを開くことを伝えて、ライブ会場に行くことを約束させた例もある。
     ふわりんスター、佐藤優子。鈴木・レミや、イフリートの着ぐるみ姿の垰田・毬衣、東雲・菜々乃達が彼女と繋がりのある淫魔のいるライブハウスに向かい、彼女の話をして淫魔達と交流し。
    「私たち、今度、ラブリンスターと一緒にライブをやるっす! 一緒に着ぐるみダンサーズとレッツパーリィ!」
     手を差し出し、笑顔で告げたレミに心を開いた淫魔達に、
    「道は開かれている、行くも行かぬも君達次第だよ」
     そう告げた巴衛・円が、ラブリンスターのCDのサンプルを提示して、ライブに来る約束を取り付けた拠点もあった。
     叢雲・宗嗣が探していた、淫魔の知り合いを通して交渉した拠点もある。最初は渋い顔をしていた淫魔達も、共存の道を探る、成瀬・亮太郎の音楽や、助けになれることはあるかと尋ねた、真波・悠たちによって心を解し、ライブに来てくれることを約束してくれた。
     他にも、フレナディア・ヘブンズハートが現状を説明して状況を理解して貰い、行きたいけど何かあったら不安と言う淫魔達の為に連絡先を交換した、秋山・清美や、海川・凛音の例もある。
     この様に、ライブに来る淫魔達が集まっていく。

    ●記憶
    「少し話がしたいのだ」
     秋葉原のライブハウスで、そう告げたのは十文字・瑞樹。
    「! 灼滅者……?!」
     コン子の驚きと警戒に満ちた声に、他の淫魔達が裏口に殺到するが、九条・九十九が、九条・泰河と先回りして逃げるのを塞ぐ。
     ……彼女たちを、守る為に。
    「待ってくれ! 俺達は君達と戦いに来たんじゃない!」
     スレイヤーカードをラブリンスターに預けた志那都・達人が叫び、ラブリンスターに目配せをすると、彼女は彼のカードを、コン子達の方へと放り出した。
    「……?!」
    「私達は、あなた達にお願いがあって、此方を訪れています」
     目を瞬く淫魔達に、物腰柔らかに語り掛けたのは、優歌。
     武装していない灼滅者もいる。そして……確かに彼女のバベルの鎖は、香祭・悠花達、多くの灼滅者達に殺される危険を感じていなかった。
    「……話?」
    「はい。私達は、皆さんと共に歩みたくて、此処に来ました」
     コン子の問いかけに、えりながそう返す。
     ふと、ラブリンスターの姿が目に入り、コン子がさりげなく尋ねた。
    「あの……その人は?」
     彼女の問いかけに少女は痛ましげな表情になる。
    「この人は、ラブリンさん。昔、アナタ達を守っていた方です」
     沈痛そうに返したのは、高峰・紫姫。タカトに操られ、そのまま殺さざるを得なくなってしまった、彼女との絆を忘れていた淫魔のことを思い出して胸が痛む。
    「……そう、なんだ……」
     僅かにぼんやりと答えるコン子達。
     重苦しい空気が周囲を満たした。
    「ほらほら! あんま落ち込んだりせずに、じっくり話してこうでござるぜ」
     阿久沢・木莬の言葉に空気が僅かに和らぐ。
    「僕達は、やっぱり君達には、アイドル活動を続けて欲しいと思っているから」
     杉凪・宥氣がそう告げると、淫魔達が目を瞬いた。
    「確かに、アイドル活動は続けていきたいけれど……」
    「でも、いつ誰に襲われるか分からないから……」
     淫魔達の様子が、何に不安を覚えているのかを如実に表していた。
    「そんな皆さんの為に、私達は今日、提案をしに来たんです」
    「俺達、武蔵坂学園が、お前等の活動拠点を用意するって、提案をな」
     籠野・美鳥の話しを引き取り赤槻・布都乃が続けると、その場にいる淫魔達の間に、ざわついた空気が流れた。
     そんな様子の彼女達に、ジュンが告げる。
    「皆さん、この曲を聞いて貰ってもいいでしょうか?」
     彼が流したのは、ラブリンのCD。同時に本人に歌って貰い、淫魔達の反応を確認する。
    「……なんだろう……何か懐かしい感じ……」
    「実は……今は力を失っていますが、元々彼女が君達を守っていたのです」
     記憶が無いままに、引っ掛かるような何かを感じている淫魔達に、天鈴・ウルスラが説明すると、淫魔達が驚いた様に息を呑む。
    「一般の人達は、君達にとって家畜なのかな? それとも友達になれる相手なのかな?」
     泰・明彦が問いかけると、淫魔達が心外そうに、頭を横に振った。
    「なんで、ファンになってくれるかもしれない皆を家畜なんて思うの……?」
     コン子の呟きが、彼女達の心を過不足なく表現していた。
    「だったら、頑張って夢に向かっていくべきだよ!」
     そんな彼女達を激励したのは麻崎・沙耶々。
    「実はさ、ラブリンが僕達と一緒にライブを開こうとしているんだ。勿論、アイドルを目指している皆と一緒に歌いたいって。折角だし一緒に来て、やってみない?」 
     淫魔達の目にアイドルになりたいとの光を見た響庭・樹斉の呼び掛けに、淫魔達はおずおずと首を縦に振るのだった。
     
    ●ラブリンライブ!
    「こいつだろ?」
    「おう、サンキューな!」
     蒼上・空が文月・咲哉に頼まれた照明器具を渡すと、咲哉が礼を一つ述べた。
    (貴方達のお蔭で、私は心から認められたから……!)
     光に照らされ前座の踊りを務める、リュシール・オーギュスト。
     並べられた椅子に腰かけ前座の踊りを見ている淫魔達に、姫条・セカイが、手作りのお菓子やケーキを手渡していた。【文月探偵倶楽部】の文月・直哉達は、緊張を解す淫魔達の様子に、安堵した様に胸を撫で下ろしている。
    「皆さん、本当にありがとうございます」
     コン子達を瑞樹達に任せたラブリンスターが、戻って来て一礼する。
    「一緒に、歌おうね」
     久成・杏子がそう言うと、ラブリンスターは真剣な表情で首肯した。
     少し肩を強張らせている彼女に、万事・錠が上着を掛ける。
    「大丈夫。一度聴いて惚れ込んだ音は、頭で忘れちまっても、ちゃんと体が憶えてるモンだぜ」
    「私達も一緒に歌うから」
    「ハコも一緒に頑張りますから!」
     レイラが頷き、武蔵坂の校門でライブを開いたこともある只野・葉子が少女の背を押す。勿論、それ以外のバックコーラスの者達も。
    「盛り上げは俺達、着ぐるみダンサーズに任せておいてくれよな!」
    「絆は再び結ばれるに違いない。その為に、俺達も力になる。だから、しっかり行って来いよ!」
     直哉と咲哉に促され、ステージに向かうラブリンスター。
     リュシールの前座やセカイの気配り、ライブ参加者及び、観客が少しでも楽しめるように、とサイリュームを配ったシグマ・コード達の働きもあり、舞台は良い空気に満たされている。
     灼滅派が何らかの行動を起こさない様、不動峰・明達、共存派の護衛や、シャル・ゲシュティルン達有志による影ながらの保護も、功を奏しているのだろう。
    「皆さん、こんにちは! 歌って、踊って、エッチは禁止のアイドルを目指す、ラブリンスターです!」
     そう言って舞台に立ち、笑顔を向けるラブリンスターの為に、サイリュームを振るって盛り上げるのは、ローゼマリー・ランケや、銀・紫桜里達、彼女のファン達。他の淫魔も、サイリュームを振るい始めて、会場に熱が灯る。
    「今日は、武蔵坂学園の皆さんが、わたしと皆さんの為に、こんな素敵な舞台を用意して下さいました! 精一杯頑張りますので、よろしくお願いします!」
     不意に、全ての照明が落ちた。間もなく、ステージライトがラブリンスターに集中し、八握脛・篠介や、救ってくれた者への想いを籠めた藍堂・ルイのギター、灯屋・フォルケのドイツクラリネットや、レミが務めるバック演奏と共に、歌い始めた。
     『ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート
     ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート
     ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート』
     歌が始まった時、ファンの喜びは更に高まった。
     それは、2年前に開かれたライブでも歌われた、『ドキドキ☆ハートLOVE』だったから。
    『あなたは覚えてないのかな?
     わたしは絶対忘れない
     だって 忘れるわけがない』
     歌に合わせてヒマワリ姿のミカエラ・アプリコットが回りながら、太陽の様な笑顔を浮かべる。
     直哉の軽快なダンスが、白い犬の着ぐるみ姿の志穂崎・藍の活気に満ちたステップが淫魔達の心に刺さり、何人かが無意識に軽くステップを刻んでいた。
     【星空芸能館】から来た者達と一緒に、ミルフィも、満更でもない様子でバックダンサーを務める姿が、盛り上がりを更に高める。
    『すれちがった だけだったのに
     あんなにビート わたしのハート』
     レイラや、杏子、或里・バンリ、シャオ・フィルナート、葉子達が心を籠めてバックコーラスを唄って少女をサポート。飾らないその様子が、淫魔達の胸の扉を叩いた。
    「ねぇ、あたい達と一緒に踊らない? 楽しいよ?」
     歌にのめり込む観客に向けて手を差し出すミカエラ達着ぐるみダンサーズ。
    「……うん!」 
     最初にそう頷いたのは、コン子。
     彼女の手を取って軽やかなステップを一緒に刻んだ。
    「上手ね♪」
     藍が頬を赤らめる淫魔に微笑み、ラブリンスターの歌がBGMに乗って益々盛り上がりを見せていく。
    『ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート
     あなたを わたしのものにしたい
     ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート
     だけど 何かが変わりそう』
    「あっ……」
     何か、チリチリと胸が焼けこげる痛みを、淫魔達は覚えた。
    『たとえ私が 告白しても
     あなたは変わらず ステキかな?
     確かめたいけど やっぱり怖い』
     笑顔を浮かべたラブリンスター。
     ――忘れられたままは嫌。皆と歩める光でありたい。
     その想いは、闇に生きるダークネス達にとっての光。
     その光に憧れて、彼女たちは一緒にアイドルを目指したから。
    『とめどなくなく弾けるハート あなたの笑顔でたちまちビート
     ドキドキ(ドキドキ) ドキドキ☆ハート』
     ドキドキドキドキ。
    「その気持ちは、そこに嵌っていた大事な欠片が見えなくなっているのかも知れません」
     自らの心の変化に不安げな淫魔の1人に声を掛けたのは、華宮・紅緋。
     紅緋の励ましや、歌のビートに載せられて、強く波打つ淫魔アイドル達の心音。
     それは、ずっと感じていた、欠けていた何かが埋まる様。
    『どうか どうか収まって
     この気持ち まだ知られたくない
     この気持ち まだ大切にしたい』
     気が付けば、会場の手伝いをしていた御剣・レイラを巻き込んで、淫魔達が、ラブリンスターを囲う様に舞台の灼滅者達と一緒に踊り、歌っていた。
    「……踊りって良いな。歌も、最高だぜ」
     人と化したラブリンスターと、ダークネスと、どちらにも属さぬ灼滅者。異なる道を歩む者達が、今、1つのことを輪になって成している。それは、どれだけの奇跡なんだろう、とレイチェル・ベルベットは、自分の胸が熱くなるのを、抑えきれない。
     巡業ちゃんこそ見つけられなかったものの、ライブを見に来ていたシャルロッテ・カキザキも溜息を一つ。
    「わたしは、記憶……絆は取り戻せないと思っていたわ。でも……」
    「巡業ちゃんがいたら、どんな顔しただろうな」
     彼女と一緒に巡業ちゃんを救った巽・真紀が、苦笑を零す。
    「沢山の助けたいって想いが、淫魔さんに届いておるからじゃ」
     友達になった淫魔が踊る姿を見ながら、望月・心桜が微笑んだ。
    「アンコール! アンコール!」
     夜鷹・治胡が、シグマや、羽柴・陽桜達がファンと作った
    『L・O・V・E・L・I・N !』
     の文字を掲げて声を張り上げる。
     ラブリンスターと淫魔達はそれに答えて、『ポカポカ☆トラストLOVE』と言う新曲を歌う。何時か、皆で歌うと決めていた新曲を。
     それを彼女達が歌い終わった時、灼滅者達から溢れんばかりの拍手と歓声があがり、ラブリンスターが瞳の端の白い滴と共に、透き通った心からの笑顔を浮かべていた。

    ●交渉の行方
    「確認しようかと思うてたが、その必要もなかったようやな。君達は、本当にアイドル活動を……」
    「うん。したい。私達は、心から」
     人と闇は共存できる。自分が信じていることを肯定するライブを見届けた四天王寺・大和に、仮の代表であるコン子が頷く。
     他の淫魔達も表情は色々だが、アイドルとしての活動を続けていきたい、その一途な願いは変わっていない。
    「本気でアイドル活動を続けたいなら、わたし達も助力を惜しまないの」
    「貴方達が人に危害を加えない限り、武蔵坂が積極的に灼滅することはありません」
    「ファンになってくれるかもしれない皆を、傷つけることはしないにゃ」
     古室・智似子の言葉を引き取った上里・桃へのニャン子の返事に、他の淫魔達が口々に同意する。
    「だったら、僕達からこういう提案をさせて貰うね」
     由井・京夜が、木本・明莉、アリス・バークリーや、ファルケ・リフライヤ等多くの者達と共に提案した意見をまとめたものを、淫魔達へと提示する。
     【星空芸能館】の案だった『新生ラブリンプロ』を、武蔵坂学園近辺に設立。
     これには、長姫・麗羽の様な、数多くの有志が協力する。
     アイドルとして活動する為の支援は欲しいが、武蔵坂近辺に住むのに怯えたり、或いは地方で活躍したい淫魔の為には、戒道・蔵乃祐発案の、殲術病院の跡地に西日本事務所を作り、其方に所属して貰う。
     彼女たちの所属の条件は、『新生ラブリンプロ』に管理も兼ねて自分達の行動を報告する事。
     加えて一般人に危害を加えないことの2つ。
     その代わりに、白臼・早苗や、待宵・露香を初めとした者達が七不思議使いの組織がやっていた様に口コミ等で広報し、何かがあれば、新生ラブリンプロ設立後、【星空芸能館】からの協力者である、海老原・藍や、来栖・清和、黒曜・伶、志賀神・磯良、砂原・鋭次郎等、連絡を取ったり警護することに立候補した者達を初めとした、数多くの同志と共に彼女たちを守る為に行動する。
    「どうして、そこまで……?」
    「やりたい事やっても被害出さないって言うなら、手伝ってもいいと思っている人は多いのよ」
    「爵位級ヴァンプが攻めてきた時に助けて貰った恩もありやすしね」
     コン子達の微かな疑問には、狗ヶ原・詩稲とギィ・ラフィットが答え、コン子達は、微笑んで信じるよ、と小さく頷いた。
    「ラブリンスターさんのこと、思い出させてくれた皆さんだから」
     そう言ったコン子と一緒に差し出された多くの淫魔達の手。
    「ふふ。同じ音楽好きとして、これからも仲良くしていきましょうね」
     ルゥ・イリヴァエルや心桜達が、差し出された手を優しく握り返した。
    「これで、灼滅者個人とお前達との個人契約成立だな!」
    「まあ、信頼関係をもっと築いていく必要がありますけれどね」
     手を握り合っている者達を見ながら、鹿・要心が叫び、浅山・節男が大仰に肩を竦めつつ苦笑する。
    「ドラミィちゃんにも、会って欲しいな。今のラブリンスターさんと、皆に」
     連絡が取れなかった友達になった淫魔を思い出しながら、今井・紅葉がそっと呟いた。

    ●可能性の光
     人とダークネスが手を握る光景を見ていた、神田・熱志が頭を振る。
    「ダークネスを討つための組織が、奴等の組織を作り支援するのはおかしい」
    「結局のところ、人とダークネスと言う種が対等の関係を続けるなんて出来はしないからな」
     羅喉・なゆたの、称賛と嘲りの籠められた呟き。
    「そうだね。世迷い事だ、こんなのは」
     吐いて捨てる様な、空月・陽太。
     何時か絶対に敵対する相手を、この場で放置などできはしない。
     けれども、共存派のラブリンスターの護衛や、ある事件を契機に ダークネスと自分達の在り方を見つめ直す四刻・悠花の様な者が、妨害してくるのは間違いない。
     それでも行動するべきか、迷った時。
    「あそこにいるのは、夢を捨てなかった奴等で、それは光だろ」
     輪から離れ姿を現したのは、新路・桃子と長久目・蛇目。
    「何が言いたい?」
     熱志の問いかけに、桃子が頷く。
    「このアイドル活動を通して、あいつらが灼滅者になれるかもしれないだろ、って話だ」
     そう。ダークネスから人となった、ラブリンスターの様に。
     呟きに合点した熱志が、1つ頷きを返した。
    「そうか。今回のこれは、ダークネスが光を得て灼滅者になる新しい可能性を示す為の実験になる、ということだな」
     勿論、その為には魂の癒しに関する研究を進めていくことも必要だろう。
     ダークネスとの共存を望まないにしても、彼らを撲滅した後に残るのは、魂を闇に食われた自分達同士の共食いでしかないのだから。
    「そういうことだ」
    「ラブリンスターさんの様に、ダークネスで無くなったアイドル淫魔さんが出た時には、正式に学園の一員にすればいいっすからね。それでも、今、此処で殺すんすか?」
     桃子の頷きを、蛇目に補足され、陽太が思わず目を逸らす。
    「もし、其れが出来なければ?」
    「その時は、僕達があの淫魔達を灼滅する。其れだけの話だろ」
     陽太の問いに答えるなゆたに頷くと、彼は殲術道具をスレイヤーカードへと納めた。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年12月28日
    難度:簡単
    参加:138人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 1/素敵だった 35/キャラが大事にされていた 5
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