「そんな……無い」
ポツリと洩らした声の主が立ちつくすのには理由があった。
「ここに……干しておいた筈だ。それが、何故?」
良く洗って屋外で乾かしておいた枝が無くなっていたのだ。
「枝振りの良いのを見つける為にあんなに山の奥まで入ってとってきたのに……これじゃ、花餅が作れないか!」
ちなみに花餅とは葉の落ちた枝に紅白の餅をつけた正月飾りである。
「許さない……許さないもっちぃぃ!」
今から山に入ってもあんなに良いのが見つかるとも思えない絶望とか枝を持っていった何者かへの憎悪から小さく震えていた人影は異形に変貌すると空に吠えたのだった。
「一般人が闇もちぃしてダークネスになる事件が発生しようとしている」
君達の前にあらわれ、そう明かした座本・はるひ(大学生エクスブレイン・dn0088)はちらりと教室の隅を見た。
「こ、今回は花餅と言うことらしいが、わしに説明出来るじゃろうか? ううっ、わしのような引っ込み思案さんに情報提供者なぞ、荷が重すぎるぞい」
視線の先でブツブツ呟きつつ、もじもじしているのは、持戸・千代(大正浪漫チヨコレヰトモツチア・d33060)。
「と、言う訳で今回は花餅なのだが、通常ならば闇もちぃした時点で消えてしまうはずの人の意識を残したまま、問題の人物は踏みとどまるようなのだよ」
そこで、もし件の人物に灼滅者の素質があるのであれば、闇堕ちから救い出して欲しいと言うのがはるひからの依頼だった。もし、完全なダークネスになってしまうのであれば、その前にをと言うものでもあったが。
「それで、今回闇もちぃする一般人の名は花枝・晴紀(はなえだ・はるき)中学の三年生になる」
熊と遭遇するかもしれない山中へ赴き、花餅を作る為、必死の思いで枝をとってきた晴紀は、下準備をして干しておいた枝を盗まれたことで、全身にヤマアラシの如く餅を刺した枝で覆った人型のご当地怪人花モッチアへと変貌する。
「そして花モッチアは再び山に入って枝を確保し、洗って干したものを利用して枝を盗んだ犯人を捕まえようとするのだが――」
君達がバベルの鎖に引っかかることなく接触出来るのは、ちょうど花モッチアがそうして張り込みを始めた直後。
「接触方法を間違えれば、枝泥棒と勘違いして襲いかかってくるだろう」
もっとも、闇もちぃした一般人を救うには戦ってKOする必要がある為、戦い事態は避けられないのだけれど。
「隠れて見張っている花モッチアを見つけ、枝に興味を示さず何をしているのかと問うのがベストな接触方法だろう」
紅白の餅を刺した枝でハリネズミ状態になっている為、最初から花モッチアを探そうと思えば現地で隠れたご当地怪人もとい晴紀を見つけるのは難しくない。
「そして、闇もちぃした一般人に接触し人間の心に呼びかけ、説得することで弱体化させることも可能な訳だが、何をしているかと問うのは話しかけるいい切っ掛けになるだろう」
後はそのまま花モッチアの愚痴を聞いて心のモヤモヤを吐き出させてやるだけでも相応に効果があるとはるひは言う。
「ちなみに、接触場所兼戦場となるのは、晴紀の自宅の庭だ」
接触の時間帯は日没後になるが、家の明かりが届く距離の為明かりは不要、家族も留守で接触から一時間ほどなら人が通ることもない。
「戦闘になれば花モッチアはご当地ヒーローとWOKシールドのサイキックににた攻撃で応戦してくる」
ただし、シールドバッシュもどきでは盾を叩きつけるのではなく、身体を丸めて体当たりする形になるらしいが。
「苦労して準備したものを盗まれた胸中がいかほどのものか、ご当地ヒーローでない私には正確に把握しかねるが、敢えて言わせて貰おう。このような悲劇が起きて良いはずがないと」
故に晴紀のことをよろしくお願いすると続け、はるひは君達に頭を下げたのだった。
参加者 | |
---|---|
御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806) |
黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643) |
一宮・光(闇を喰らう光・d11651) |
神音・葎(月黄泉の姫君・d16902) |
四季・彩華(白き探求者・d17634) |
琶咲・輝乃(あいを取り戻した優しき幼子・d24803) |
櫻井・聖(白狼の聖騎士・d33003) |
持戸・千代(大正浪漫チヨコレヰトモツチア・d33060) |
●まずは訪問
「花餅……正月飾りですね」
「モッチアは何度か救出しましたけど、ほんと多いですねぇ」
神音・葎(月黄泉の姫君・d16902)に苦笑して見せつつ、黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)は吐息を白く曇らせた。
「今回は珍しく、堕ちる理由も理解できる感じですかね……?」
「一年の大切な時節に斯様な事件が起これば怒りも倍増というものでしょう」
はるひの説明を思い出して独言すれば、さもありなんと葎は頷き。
「だね」
短く肯定したのは、琶咲・輝乃(あいを取り戻した優しき幼子・d24803)。
(「せっかく大変な思いをして用意したものがなくなっていたら、ボクだって怒るよ」)
もっとも、盗難被害にあったと思わしきこれから会いに行く相手に理解を示した灼滅者は他にも居り。
(「枝だってきちんとした用途があって用意した物、勝手に持っていっていいはずがないよね」)
胸中で仲間に同意しながら四季・彩華(白き探求者・d17634)は呟く。
(「本当なら闇堕ちしてしまうのも不幸な出来事のはず」)
そう、まだ話しに聞くだけの人物の不幸は枝を失っただけではなかったのだ。
「盗人は報いを受けるべきだがそれはそれ、縁起物に殺しなど似あわんだろう」
「そうだよね、ちゃんと救ってあげよう」
「ええ。大事に取っておいたものを勝手に取られると腹が立つのはわかりますが、周囲に被害を出すまで暴れるのは良くありませんし」
御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806)とその言葉を肯定する彩華のどちらか、あるいは両方へ頷きながら、一宮・光(闇を喰らう光・d11651)は落ち着いて貰わないとと続け。
「うう、おこじゃろなあ。激おこもちぃじゃろなあ……」
一同が件の人物の自宅へ向かう中、端っこでビクついていた持戸・千代(大正浪漫チヨコレヰトモツチア・d33060)はポツリと漏らす。
(「引っ込み思案さんのわしは上手く説得出来るじゃろうか」)
もじもじしつつ、そこから奇声を上げつつ「不安じゃぞい」とか口に出して叫び身もだえする辺りまでがワンセットである。
「あ、そこみたいだよ、うん」
もっとも、そうこうしているうちに目的地に着いてしまったのだが。櫻井・聖(白狼の聖騎士・d33003)の示す先の民家、門の所にかかった表札には「花枝」と書かれており。
「あ、あそこ――」
輝乃が示した先の物陰からは紅白の餅を刺した枝の群れがはみ出ていた。
●接触
「どうかしたんですか?」
「っ」
いちごが声をかけると、そのご当地怪人は弾かれたように振り返った。
「はぁ、驚かさないでくれもちぃ」
嘆息しつつも警戒せずほうと息を吐いたのは、自分から話しかけてきたことでいちごは枝泥棒ではないと断じたのか。
「そんなに必死にどうなさったのですか」
「必死に?」
「はい、こんなに寒いのに屋外に佇んでいらっしゃいますし」
続いて話しかけた葎は、問い返してきたご当地怪人花モッチアに頷きを返すと補足し。
「およよ? どうかしたのかえー?」
更に二人から遅れ、勇気を振り絞った千代が、通りすがりさんを装って声をかけた。
「話して楽になるかはわかりませんが、私でよければお話聞きますよ?」
「そう、もちぃな……今だ現れないし、誰かに聞いて貰うのもいいもちぃか」
いちごが促したこともあり、少し迷ってからご当地怪人は語り始める。
「まず、こうして張り込んでいた理由もちぃが――」
「ふむ、ふむ……」
要約すればはるひから聞いた話の通りだが、千代達は相づちを打って愚痴混じりの経緯を聞き。
「成る程。この寒い中苦労したのが台無しになったか。それは悲しいな」
「ああ。あの苦労がなんだったかと思うもちぃとな」
「おおう、それは難儀だぞい」
「それは災難でしたね……」
白焔の言葉を花モッチアが肯定すれば、幾人かの灼滅者が同情してみせ。
(「ふむ、この調子……ですね」)
効果は、徐々に現れていた。光が見る限り、すぐ側にいるご当地怪人の威圧感が徐々に弱まっているのだ。
「辛いよね、頑張って用意した物を無断で盗まれて」
「熊除けの鈴を持って一体何のためにあの時山に入ったかと思うと……もちぃ」
「うん、君のつらい気持ちはよくわかる。だからさ、思う存分溜まった鬱憤を吐き出して欲しい」
自身の言葉にここではない何処かを見て拳を握りしめる花モッチアに、彩華は促す。
「すまないもちぃ。ならお言葉に甘えて……」
そこから、花モッチアは更に色々と語った。
「晴紀は正月を大事にしているんだね」
「え」
「だって、花餅が好きだってことはそういうことでしょ?」
「……それもそうもちぃな」
輝乃に指摘され驚いた顔をするも、投げかけられた問いで納得したのか、納得した様子で微笑む。
「好きなものだから大事にできる。それは、とてもいいことだよ」
輝乃はそんなご当地怪人に頷きで応じ。
「ですよね、それと……新しい枝探す手伝いをしましょうか?」
「おお、それぞい!」
仲間の言葉に食いついたのは、隅っこで再びもじもじしていた千代。
「わしらで手伝える事があればよいと思っておったが、わしは引っ込み思案さんじゃし、そもそも良い案が思いつかなくてのぅ」
引っ込み思案の言葉の意味を辞書で引きたくなるぐらい引っ込み思案要素が行方をくらましてしまっていたが、場の空気に乗せられたのだろう、きっと。
「それは……いや、いくら何でも会ったばかりの人にそこまでして貰う訳にはいかないもちぃよ」
急な申し出に面を食らいつつもご当地怪人は遠慮しようとするも。
「いいえ、協力させて下さい。その代わり……少しお話を聞いて頂けますか?」
首を横に振った葎は、花モッチアに問う。好機だったのだ闇堕ちを説明する為の。
「キミは自分の中に黒くて暗い感情が芽生え始めてるのに気づいてるかな?」
「どういう事、もちぃ?」
聖の唐突な話の切り出しを訝しんだところでが再び口を開く。
「もし盗人を捕らえたしたら、どうしていましたか? 力に訴えたいと、思いませんでしたか?」
「もちぃ、そ、それは……」
「そいつはキミの体を乗っ取って花餅を利用して世界征服をしようとしてる怪人なんだよ、うん。だけどキミが危険をおかしてまで枝を取りに行ったのはそんなことのためじゃないはずだよ」
怯むご当地怪人に聖は訴え。
「窃盗は良くない事だ。やった者は反省せねばならないな。だが、それとは別の問題もある」
「これ以上進むと、あなたは人間ではなくなってしまいます。それを止めたいのです」
「それに花餅についてボクに教えてくれたキミはそんな奴じゃないはずだから負けないで!」
白焔の言葉を挟む形で二人は主張し。
「戻れなくもちぃ? うっ……」
頭を押さえ、蓑のように首から下を花餅で包んだご当地怪人が額に手を当て蹌踉めいた直後だった。
「大丈、うわぁっ」
花モッチアに駆け寄ろうとしていちごが躓いたのは。
「わあっ」
巻き込まれた彩華も悲鳴をあげてバランスを崩し。
「彩兄さ――」
「ぬおっ」
咄嗟に輝乃が手を伸ばしたのも被害を拡大させる。流石に二人分の体重を支えきれるはずもなく、おまけに千代まで巻き込んだのだから。
「ひゃ、んっ!? だ、大事ありませんか!?」
下敷きになりつつも、仲間の事を案じ声を上げたのは、葎。
「ごめんなさい、わざとじゃっ」
葎の胸をクッション代わりにしていた事に気づいたいちごが赤面しつつ慌てて起きあがろうと脇に手を退け。
「ひょいっ! ど、どこもんどるぞい!?」
「おぶっ、あ痛っ、アリカさんも止め」
千代のもっちあ(名詞)を掴んでグーで殴られる。さらにそこへお冠な様子のビハインドからポコポコ殴られるが、これはもう仕方ない。
「あんまりじゃぁぁぁ、あんまりぞい、兄者ぁぁ~!?」
「い、いちごさん……!? いちごさんになら……いいよ……じゃなくて!? 僕のせいじゃないから、断じて僕のせいじゃないからね!?」
惨事に混乱し、絡まる灼滅者達の中で支離滅裂な事を口走る彩華は、まだ気づかない。
「彩兄さんが……で、ボクが……なに、これ」
弁解しようとした輝乃も巻き込まれて呆然とし、他者の言葉がまるで耳に入っていなかったことなど。
●誰がこんな酷いことを
「ぷはっ、おのれっ! ようやくこのこの身体を」
手に入れられると思ったのにとか表に出てきたダークネスはきっと続けたかったのだと思う、だが。
「立てませんから、慌てずゆっくりどい……んっ……」
「えっ、あ、すまんもちぃ」
葎の股間に顔を埋めていた事に気づけば、流石に恨み言を口にしてる場合ではなく。
「ふぅ、酷い目に遭いました」
「全くもちぃな、いや、ご馳走様と言うべきかごめんなさいと言うべきか迷うもちぃけど」
カオスとラッキースケベに巻き込まれた面々に巻き込まれた他者に同意しつつも申し訳なさそうな顔をすると、花モッチアはそのまま頭を下げた。体型は花餅に隠れて解らず、女性声優が声を当てているかのような中性っぽい声ではあるものの、態度からすると元少年なのだろう。
「ともあれ……花餅のお話、もう少しお聞きしたかったのですが、こうなっては仕方ありませんね」
絡まった敵味方を解くのに協力した光は、一つ嘆息すると何とも言えない表情で身構えた。
「さて、お仕事と行きますか」
「か」
ただの一音で応じた白焔もこれに倣うと。
「しかし、俺は一体何もぢべっ、がっ」
いきなり光に捻りを加えた妖の槍の穂先を突き込まれ、身を守るものごと白焔に斬り裂かれた花モッチアが悲鳴をあげる。
「ちょ、いきなり何をす、んべばっ」
跳ね起きて抗議の声を上げようとしたご当地怪人は更に誰かから一撃を見舞われひっくり返る。
「て、輝乃?」
「話は後ね、彩兄さん」
お面で隠れない左の目で彩華を突き刺す輝乃が射出した虹色に輝く翼柄の帯は最初からご当地怪人を狙っていた、そう信じたい。
「あ、アリカさん。戦いが始まったみたいだし、そろそろ――」
いちごはまだポカポカ殴られていた、ジゴウジトク。
「うく、もちぃ……完全な状況であればっ」
「残念だけど、それを許す訳にはいかなかったんだ、うん」
約一名が自分のビハインドにお仕置きされている間も戦闘は続き、蹌踉めきつつも身を起こした花モッチアの前に片腕を半獣化させつつ聖は歩み寄る。
「枝が盗まれないようにしていたのは、こんなことをする為なのかな? 違うよね?」
呼びかけつつ距離を縮め、答えを待たずに、聖が地を蹴った。
「もべぢっ」
引き裂かれ、千切れ飛んだ花餅の残骸をばら撒きつつ、転がった先に待っていたのは、別の灼滅者による攻撃。
「べっ」
いや、待っていたと言うよりも見当を付けてそこに飛んだと言うべきか。踏みつけるような形で流星の煌めきと重力を宿した跳び蹴りが自宅の庭に横たわりまだ起きあがらない元少年へ突き刺さり。
「せいやぁっ」
「もぢゃああっ」
鞘走らせた日本刀の一撃が花モッチアをすくい上げるように斬り転がす。
「ぐ、ううっ、くそっ、このまま終わらせるもちぃか!」
そんなご当地怪人が転がった先で跳ね起き、身体を丸めたのはダークネスとしての意地か。
「「させ」」
飛来する花餅で出来た巨大な玉へ即座に二人の灼滅者が反応し。
「きゃあ」
「うぶっ」
互いに庇おうとして衝突するが、いちごと葎なら仕方ないのだろう。
「っ」
代わりに一撃を受け止めたのは、聖であり。
「これぐらいで、どうにかなると思ったら大間違いなんだよ、うん」
勢いを失ったボロボロの花餅玉はぼてっと地に落ちる。
「もちっ、俺の一撃が……もべちっ」
ダメージのためか鈍い動きながらも玉から手足を出し起きあがろうとしたご当地怪人は、familia pupaを振り下ろされ。
「く、俺はこん、もぢゃっ」
声には出さずとも、好機を悟った白焔が輝乃の十字架戦闘術に合わせる形で死角から急所を斬りつければ花モッチアは再び悲鳴をあげ。
「う……うっ、まだもちぃ、俺は……俺はっ」
それでも何とか立ち上がるも、満身創痍。
「君がその力に目覚めたのは偶然じゃないかもしれない。だから――」
その闇を振り払って人々の為に使って欲しいと続けた彩華は片腕が巨大化させつつ振り上げ。
「っ、うおおぉぉもべっ」
咆吼を上げつつ迫り来る巨腕を見つめる元少年の花餅が光の伸ばした影に斬り裂かれる。
「お、俺は……」
その先を何と続けようとしたのか、それはダークネスにしかわからない。花モッチアを押し潰した腕が退いたあと、そこに居たのは気を失った状態の少年だったのだから。
●皆で一緒に
「これじゃ風邪ひいちゃうよね」
ボロボロの服のあちこちから覗く肌色を見て、輝乃が毛布を掛けつつ周囲を見回した時だった。
「おお、このパーカーをっ」
視線に背中を押される形になった千代が手にしていた白いゆったりサイズのそれを横たわる少年にかけられた毛布に重ね。
「後は目を覚まして下されば良いんですけど……」
「けど、時期が時期だから本当に寒いよね、うん」
幾人かが少年を見守る中、聖はポツリと漏らす。
「……んっ」
少年が弱々しく呻いたのはその直後。
「あ、気づいたみたいだね」
「俺は……」
「大丈夫?」
近くで聞こえた声に目を開けた少年が見たのは、お茶の容器と花餅を手に自分を覗き込む輝乃の姿であり。
「わあっ」
悲鳴をあげひっくり返るのは、片足を知らず知らずのうちに毛布の端にのせていたいちご。
「あ」
「ちょっ、うわっ」
丁度彩華と共に葎を挟み込む様な形で三者は倒れ込み。
「片付けの前にまずは救助か」
片手で顔を覆った白焔は嘆息すると割と危険な態勢の三人を助けるべく歩き出す。
「あれは」
「お話しすることが増えたね、彩兄さん。あ、それはそれとして――」
二度目だからか、割とすぐさま立ち直った輝乃は武蔵坂学園の事について少年に説明を始めた。
「それで君達のような……成る程な」
「だから、学園に来ないかっておさそいでもあるんですけどね」
説明されたことを咀嚼する少年に光は補足してみせ。
「どうじゃろ、皆で枝を探しにいかんかえ?」
話が終わったところで千代が提案する。
「いいのか?」
「さっきわしらで言い出したことじゃからのぅ」
どうじゃろうとびくびくしつつ振り返ると幾つか賛同の声が上がり、幾人かの同意者にとっての寄り道もこの時決定したのだった。
作者:聖山葵 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年1月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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