●ソロモンの悪魔・レラージュ
風に招かれ、差し込む陽。夜露に濡れた土を葉を煌めかせ、世界に夜明けを伝えていく。
熱が広がり始めても、身動ぎするは木々ばかり。かつては姥捨て山と呼ばれ人が入ることは少ない、動物たちも長い眠りについた山林は、静謐な空気に抱かれていた。
静寂に変わるのを嫌うかのように、木々はざわめき風は叫ぶ。紅葉は散り、地面に新たな彩りを与えていく。
新たに降り積もる葉が根の一部を覆い隠すほどになった時、不意に、腐葉土の一部が盛り上がった。
葉が滑り落ちた後に顔をのぞかせる、翡翠のように鈍く輝く三叉に分かれた角。光をいくつも映すルビーのような複眼と金色に光る瞳、鮫のように鋭き歯の口を持つ、左側半分が色彩なきプロテクターで覆われている禍々しき顔。鎧のように硬質な輝きを持つ深緑色の外殻からは四本の腕が伸び、それぞれに黒鉄色のガトリングを携える。逞しき体と四門のガトリングを支えるは、甲虫のように細くも硬い足。
直立する、人型と化した緑色のカブトムシと称せし存在は、体に張り付く葉を土を払うことなく眩い朝日へと視線を向ける。深く、白いため息を吐き出していく。
陽光が映し出していく町並みを二つの瞳に映した後、白が風に散らされた頃、それは再び腐葉土の中に身を伏せた。
山林は、再び静謐な空気に抱かれる。暖かな春の夢を見続ける……。
●夕暮れ時の教室にて
灼滅者たちを出迎えた倉科・葉月(大学生エクスブレイン・dn0020)は、真剣な表情で説明を開始した。
「強力なソロモンの悪魔たちが一斉に封印から解き放たれ、出現しようとしている。そんな、大変な予知がありました」
第二次新宿防衛戦で灼滅したソロモンの悪魔・ブエルを裏で操り、情報を集めさせていたのも彼らであったらしく、これまでブエルが集めた情報を元にして大攻勢をしかけようとしている様子。
最低でも、ソロモンの悪魔・ブエルと同等の強力なソロモンの悪魔が、総勢十八体。この戦力は現在活動が確認されているどのダークネス組織よりも強力である可能性すらある。
「しかし、つけ込む隙はあります。彼らは封印から脱出して出現した直後はその能力が大きく制限され、配下を呼び出すこともできない状態になるらしく……また、複数のソロモンの悪魔が同じ場所に出現すれば、他のダークネス組織に察知される危険があるため、一体ずつ別々の場所で出現しなければならないのです」
つまり、出現した瞬間こそが灼滅する最大のチャンスとなる。
「もちろん、ソロモンの悪魔たちも十分に理解しています。自分たちが出現する場所については慎重に決定するため、十分な戦力をその場所に送り込むことはできません。もし、十分な戦力を送り込めば、ソロモンの悪魔は別の場所に出現してしまうことでしょう」
襲撃に加わることができる灼滅者は、一つの襲撃地点に八名まで。この八人でソロモンの悪魔を灼滅するのが目的となる。
「……」
一呼吸の間を置いた後、葉月は地図を取り出した。
「皆さんに相手取っていただくのはソロモンの悪魔・レラージュ。場所はこの山林の中……かつて姥捨て山とも呼ばれていた場所です」
姿は四門のガトリングを携えている、人型と化した緑色のカブトムシといったもの。そして……。
「それ以上の情報はメモに記しておきました。それを元に、作戦を立てて下さい」
現地までの道順を記した地図などを手渡した後、葉月は瞳を伏せていく。
「正直な話をしてしまえば、この作戦は成功の見込みが薄い……失敗前提のものとなります。しかし、成功すれば多大なメリットがある……そんな内容になります」
ですのでと、真剣に灼滅者たちを見据え締めくくった。
「どうか、ご武運を。何よりも無事に帰ってきて下さいね? 約束ですよ?」
参加者 | |
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日向・和志(ファイデス・d01496) |
藤谷・徹也(大学生殺人機械・d01892) |
氷霄・あすか(高校生シャドウハンター・d02917) |
霧島・絶奈(胞霧城塞のアヴァロン・d03009) |
須野元・参三(絶対完全気品力・d13687) |
黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134) |
刃渡・刀(伽藍洞の刀・d25866) |
ローゼ・クエーレ(常闇ノ桃鴉・d33895) |
●静謐に沈む山林にて
目覚め始めた世界の中、朝露に濡れた緑が木漏れ日を浴びて輝きを放つ。色鮮やかに煌めく葉は、草は風を浴び、体を震わせざわめいた。
土と草が交じり合う自然の香りに満たされた、今はもう足を運ぶ者も少ない山林。足音を立てぬようより柔らかな土を選び、時に木々の影に身を隠し……低い姿勢を取りながら、灼滅者たちは歩いていた。
日向・和志(ファイデス・d01496)は先頭を歩く霊犬へと視線を送る。
頷き返した霊犬は歩調を速め、大樹のたもとへと到達。振り向き、小さく首を横に振る。
静かな息を吐きながら、和志は仲間と共に霊犬の残した道を辿った。
朝日を浴びてなお暗い木々の影、腐葉土の隙間へと隙なく視線を走らせながら。
不自然に盛り上がっている場所などないか? 自分たち以外の気配はないか? と、常に警戒のアンテナを張り巡らせながら。
山林を進み始めてから三十分ほど。未だ、不自然さを感じる場所はない。静謐な空気が、ジワリ、ジワリと灼滅者たちの神経を蝕んでいく。
表情を変えることなく、藤谷・徹也(大学生殺人機械・d01892)は身を隠す大樹の向こう側を。眩い陽射しの隙間を、時には来た道も……様々な場所に視線を走らせ、結果を仲間たちへ伝えていく。
氷霄・あすか(高校生シャドウハンター・d02917)もまた背の低い木々の隙間を見つめ、時には大樹を見上げ、何もないことを確認。
情報を共有し、再び歩を進めていく。
変化が訪れたのは、それから更に三十分ほどの時が経った後。
恐らく最も朝日を浴びる事ができるだろう場所が、エメラルドグリーンに煌めいた。
即座に霧島・絶奈(胞霧城塞のアヴァロン・d03009)は仲間を呼び止め、大樹の側に身を隠す。
煌めきの生じた腐葉土の隙間を、目を凝らして見つめていく。
灼滅者たちが視線を向ける中、不意に、腐葉土がうごめいた。
紅葉に染まりし落ち葉が、土が、朽ち果てた枝が盛り上がり、顔を覗かせていく。
翡翠のように鈍く輝く三叉の角、深緑色の外殻。左側半分を隠すプロテクターに、ルビーのような複眼と金色に光瞳。黒鉄色のガトリングガンを四門携えている異形……ソロモンの悪魔・レラージュが。
「客人か」
体に付着した汚れを揺さぶり落としながら、レラージュは灼滅者たちが隠れている方角へと視線を向けてきた。
返答せず、灼滅者たちは身構える。
身構えることなく、レラージュは目元を細めた。
「まあ待て、客人。そういきり立つな。せっかくの出会い、たとえそれが戦だとして……ただ争うだけではつまらぬだろう?」
空を仰ぎ、翡翠の角を輝かせていくレラージュ。
「我が名はレラージュ、射撃と闘争を旨とするソロモンの悪魔。して、貴様らの名は」
「……」
強襲のために完全な状況を望んだ以上、半ばにて潰えても仕方がない。
刃渡・刀(伽藍洞の刀・d25866)は木陰に身を隠したまま、ビハインドの千鳥と共にゆっくりと二本の刀を引き抜いていく。
「私の名は刃渡・刀。あなたを灼滅しに来た者の一人です」
――握りしめた剣が、果たしてどこまで届くのだろうか。
身構える刀にならい、灼滅者たちは次々と名乗りを上げていく。
望む者が名乗りを上げ終えた時、レラージュは翡翠の角から光り輝く気弾を遥かな空に向かって撃ち出した。
「ならば始めよう、灼滅者たちよ。同胞と契りを交わしたこの生命、決して安くはないぞ」
●翠鎧の射撃手
震える足、早鐘のごとく打つ鼓動、霞む瞳。
深呼吸を繰り返し、硬く拳を握りしめ、須野元・参三(絶対完全気品力・d13687)は影に力を与えていく。
きりりと表情を引き締めて、レラージュに向かって影刃を解き放った。
ライドキャリバーのヴィネグレットが放つ機銃と混ざり合い、影刃はレラージュの元へと向かっていく。
誤ることなく人で言うなら右肩と思しき辺りに刃を突き立てるも、ボディに弾丸を撃ちこむも、全て硬質な音を立てて霧散した。
表情を変えることなく、レラージュは四門のガトリングを持ち上げていく。
徹也が参三とレラージュの斜線上へと立っていく。
轟音がいくつも鳴り響いた。
四門のガトリングから矢継ぎ早に放たれていく弾丸は瞬く間もなく前衛陣の隠れていた幹を消す。
大樹が倒れ始めていく中、前衛陣の……徹也を含む、攻撃役を守る防衛役の体をも貫いていく。
「……」
右腕から、左足から脇腹から……弾丸に貫かれた箇所が訴えてくる、鋭い痛み。歪んでいく視界、鉄の味がし始めていく口の中。
表情を崩すことなく、徹也は仲間たちに破壊の力をもたらすための陣を降臨させた。
「俺は任務をこなすのみだ」
「我とて同じだ。そして、それは相容れない」
交差する視線。
散る火花。
先に目をそらした徹也は、同様に仲間を守った者たちの様子を確認。
陣の力によって傷は塞がっている。行動にも支障はない。しかし、痛みは根深く残っている。
「……恐らく、これ以上和らげることは不可能。聞いていたとおり、治療は最小限のものになりそうだ」
「そうですわね、攻撃の機会は増えそうです。もっとも、治療の余地がない、と言うべきかもしれませんが……」
頷き、ローゼ・クエーレ(常闇ノ桃鴉・d33895)は痛みを紛らわすために深い息を吐く。
汗が頬を伝っていくのを感じながら、後衛陣を陣で抱いていく。
「それにしても……ガトリング四門は多すぎではありませんの?」
「数は力、故にルールが必要な時もある。だが、戦においてはその限りではない」
「行くよ……!」
直後、ローゼに守られていた黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134)が走り出す。
倒れた大樹を飛び越え、その向こう側に身を隠し……視界が悪いだろう左側面へと到達した。
呼吸を紡ぐ事もなく、槍を大上段から振り下ろす。
硬質な外殻に弾かれ、金属音を響かせた。
「そこ!」
鳴り止まぬ間に、あすかが魔力の弾丸を放っていく。
ガトリングに受け止められ霧散してしまったのだけれども。
「ふっ、いかに硬さに自信があるとして何度も何度も受けられるわけではあるまい」
口元を持ち上げ、参三は駆ける。
ヴィネグレットと共に。
正面へと踏み込んで、刀を袈裟に振り下ろす!
「っ!」
刀は、右上側のガトリングに阻まれた。
ヴィネグレットは体の中心に鋼のボディをぶちかますも、レラージュは欠片ほども揺るがない。
「……いかにも」
両者を跳ね除け、レラージュは翡翠の角を輝かせていく。
「故に耐えてみせよ、暴いてみせよ。さもなくば、貴様らの勝利はない」
「仲間に攻撃は当てさせませんわ!」
飛び退く参三とレラージュの間に、ローゼは影で自らの体を包み込みながら飛び込んだ。
影ごと気弾に貫かれ、後方へと吹っ飛んでいく。
「っ!」
視界をかすませながらも体を丸め、転がりながら姿勢を正した。
「死ぬわけには参りませんの。だって大事な人を残しては逝けないですもの」
長い髪をなびかせながら、愉しげに笑うレラージュを見つめていく……。
程なくして、気弾に撃ちぬかれた霊犬が一時的な消滅へと追い込まれた。
レラージュの瞳に刀のビハインド・千鳥の姿が写り込んだ時、翡翠の角が輝いた。
四門のガトリングガンから幾つもの弾丸がばらまかれ、前衛陣を貫いていく。
千鳥が静かに、倒れていく。
「……」
数多の弾丸をあびながら、刀は消滅していくさまを痛みに歪む瞳で一瞥。
額から流れる血を拭うこともなく、倒れた大樹を足場に高く、高く飛び上がった。
口元を軽く拭いながら、頂点に達すると共に一回転。
足を真っ直ぐに伸ばし、レラージュの脳天目がけて落ちていく。
角を避け、無防備に思える頭を踏みつけていく。
欠片ほども揺るがず、立ち続けるレラージュの左側へと回りこみ、かろうじて残っていた切り株に身を隠し、柘榴は五芒星を描き放つ。殺意を込めた魔力の弾丸を。
虚空を貫いた弾丸は、外殻と外殻の間に潜り込んだ。
地面に根を張ったかのように、レラージュは動きを淀ませない。ただただ複眼にヴィネグレットの姿を写し、翡翠の角を輝かせていく。
「気弾が来ます、ご注意を」
警告しながら、絶奈は飛ぶ。
遠くの木に身を預けている倒木を足場にして。
もっとも朝日の注ぐ場所、レラージュへ向かって蹴りを放つ!
蹴りが角の向こう側へと突き刺さった時、光り輝く気弾が放たれた。
ヴィネグレットが撃ち抜かれ、一時的な消滅を迎えていく。
これにて、サーヴァントは全て消滅した。
瞳を細め、和志はポケットへと手を伸ばす。
誰もいないレラージュの背後へと視線を送りながら、正面に向かって駆けて行く。
――レラージュの背後で、銃声が轟いた。
和志は巨大な十字架片手に懐へと入り込み……。
「発想は悪くはない。だが、気配がなければブラフにもならんぞ」
「ちっ」
喉元に先端を突きつけた直後、ガトリングの一振りで跳ね除けられた。
ガトリングの砲身が和志へと向けられた。
「させません!」
すかさず刀が割り込んで、刃で虚空を切り裂いていく。
生み出せし光刃がレラージュを斜めに打ち据えた時、翡翠の角が輝いた。
刀が身構える暇もなく放たれた気弾が、左肩を貫いていく。
よろめきながらも退いていく刀の横、柘榴が左側面へと回りこんだ。
一跳躍で間合いの内側へと踏み込んで、虫のように細く硬い足へと槍の穂先を差し込んで……。
「っ!」
引き戻されたガトリングに阻まれた。
「発想は良い。だが、執拗に狙われれば注意も払うようになる」
「……」
柘榴は退き、距離を取った。
入れ替わるように、ローゼが縄状に変えた影を解き放ち――。
「っ! 参三様!」
――金の瞳に参三の姿が写り込んだことに気がついた。
影の縄が、此度初めて左上側のガトリングに巻き付いていく中、翡翠の角が闇を集めていく。
「っ、この……!」
参三は周囲に視線を走らせ、防衛役が間に合わないと判断。
すくむ足を叱咤し、悲鳴を呟きでかき消しながら、懐へと踏み込んだ。
振り下ろした刃は、レラージュの左肩へと食いこんでいく。
直後に放たれた漆黒の気弾は参三の脇腹を貫き、その意識を刈り取って……。
●一矢一殺
懸念は、攻め手の数が減ったこと。
光明は、先に影の縄が巻き付いたように……少しずつ、施し続けてきた呪縛が効果を現し始めてきたこと。
「良い、これでこそ闘争。貴様らが倒れるか、我が倒れるか……さあ、最後の戦いを始めようではないか!」
レラージュは笑い、ローゼをルビーの複眼に映していく。
傷の状態を考えれば、前衛陣は概ね一撃受け切れるか否か……といった所。
無論、それは自分も同じ。故に恐らく、レラージュは一人ずつ確実に潰してくるだろう。
「……」
倒れるまでに少しでも多くのダメージを、灼滅への道標を。
ローゼは断罪輪を握りしめたまま、自らをコマのごとく回転させていく。
赤き竜巻と化したまま、レラージュのガトリングと打ち合っていく。
砲門を一つ、斜めに切り落とした。
直後、翡翠の角から放たれた黒き気弾がローゼの額を打ち据えた。
倒木の中に吹っ飛び意識を失っていくローゼを横目に、あすかは影の弾丸を撃ちだしていく。
誤ることなく外殻の隙間に潜り込んでいくさまを見て、肩で息をしながらも口の端を持ち上げた。
「ようやく十発目……これで……」
拳を固く握りしめ、宿すは影。
レラージュの瞳に写るは、刀。
「確かに我の状況も悪い、楽しい事にな」
「限界まで……限界も超えて……!」
ただまっすぐに、刀はレラージュの懐へと歩み寄る。
翡翠の角が黒く輝いていくさまを横目に、二本の刃をクロスさせる形で振り下ろしていく。
左側の刃が胸元を斜めに切り裂いた。
直後、放たれた黒き気弾が刀を昏倒させていく。
残る防衛役は、徹也だけ。
攻撃役を勤める和志もまた,あいつ、狙われてもおかしくない状態。
「……大丈夫だ、押し切る……!」
痛みをこらえながら、和志は巨大な十字架片手に駆け出した。
血を滴らせながら懐へと入り込み、十字架の先端を突き出した。
「むっ」
先端は、レラージュの胸元にクリーンヒット。
このたび初めて、後方へとよろめかせることに成功し……。
「今です!」
絶奈が踏み込んだ。
炎を宿した右足で、レラージュの側頭部を蹴りつけた。
炎に抱かれていくレラージュに集う斬撃、打撃に弾丸。
揺れる瞳に写るは、和志の姿。
「後は託す」
徹也が斜線上に割り込み、黒き気弾をその身で受けた。
倒れていく様子を一瞥し、和志は帯を放っていく。
「まだだ、俺たちは負けはしない!」
「最後まで、死力を尽くしていこう」
後を追い、あすかが駆ける。
帯をガトリングで弾いたレラージュの懐へと入り込み、影を宿した拳によるアッパーカット。
顎をしたたかに打ち据えて、わずかに体を浮かばせる。
直後、右側面へと踏み込んでいた柘榴が拳を連打した。
「……」
殺意を込めた拳は一歩、二歩とレラージュを退かせ、残されていた大樹へと到達。
されど瞳に宿した光を消さず、レラージュは翡翠の角を黒く鈍く輝かせる。
和志だけを見つめ――。
「これで……」
左側から踏み込んでいた絶奈が、レラージュの体に杭を突き刺した。
「終わり、です……!」
トリガーを引くと共に先行させ、大樹に縫い付けていく。
角の黒が霧散する。
レラージュの瞳から光が消えていく。
「……」
絶奈が静かな眼差しを送る中、レラージュは笑った。
「見事。無念があるとするならば同胞との契りを果たせぬこと。そして……今の闘争を……スポーツなるものをこの目で観覧できぬことか……だが、それよりも……感謝する。この、心躍る闘争……を……」
瞳を閉ざすとともにエメラルドグリーンの粒子に変わり、レラージュは跡形もなく消え去った。
残された灼滅者たちは倒れた仲間たちへと駆け寄って、各々の治療を介抱を開始する……。
介抱を受け、目覚めた参三。
全治にはそれなりの時間がかかりそうだと伝える中、勝利の方を聞いてニヤリを笑う。
「ふっ、私達の手にかかればこんなものだな。さ、早々に帰還し祝杯をあげようではないか!」
見守る彼らに生まれていく、笑い声。
暖かな空気。
さあ、武蔵坂へと帰還しよう。勝利の報を届けよう!
良い未来へ近づいたと、この喜びをわかちあおう!
作者:飛翔優 |
重傷:須野元・参三(絶対完全気品力・d13687) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年1月15日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
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