●復活せる大悪魔
冬の草原に夜明けが訪れる。
雪に覆われた地面に陽が差した時、雪を撥ねて一条の光が地面を走った。輝きは複雑に絡みあい、線を、文字を、記号を標す。引くべき図形、記されるべきものが全て揃うと、それは光が描く魔法陣となった。
輝きが目を灼かんばかりに強くなる。
と、突然魔法陣が光の刃で貫かれた。しかし陣から切っ先が見えるということは、地下から刃は突き刺されたのか。
次の瞬間、魔法陣は切り裂かれ、爆ぜた地中から何かが躍り出た。
羽毛に覆われ、長い嘴のある顔。両肩と胸には狼を模した黄金の装甲。紫の衣装の袖からは金属光沢を放つ手が伸び、光で出来たような剣を握っていた。
胸甲から腰へは独楽の軸の如くすぼまり、腰から下半身へは尾羽のように装甲が広がっている。膝までを覆う紫の服の裾から、足首へかけて細くなりながら何節も鋼が連なった先に、猛禽のごとく鋭い爪を備えた足。ふわりと紫の尾が揺れる。
陣がかき消えると同時に割れた大地を踏みしめたのは、鎧を纏い、鳥頭に鋼の四肢をもつ異形の騎士だった。
「拙者の力もこの程度か。――しばし何処かへ身を潜め、時を稼がねばならぬな」
嘆息する異形の騎士を照らし、朝日が中空へ昇ろうとしていた。
●針の穴を通すが如く
教室に現れた埜楼・玄乃(中学生エクスブレイン・dn0167)の顔色は悪かった。集まった灼滅者たちに資料を配ると危急を告げる。
「強力なソロモンの悪魔たちが一斉に、封印から解き放たれて現れようとしている」
教室にざわめきが広がった。
第二次新宿防衛戦で灼滅したソロモンの悪魔・ブエル。彼を操り情報を集めさせていたのも、封印から放たれる悪魔たちらしい。情報を元に大攻勢をかけようというのだろう。
「最低でもブエルと同等という、強力なソロモンの悪魔が一度に18体――これは現在活動が確認されているダークネス組織のどれよりも、強力な組織である可能性がある」
では、どうすべきなのか。
「強大とはいえ、隙がないわけではない」
解き放たれてすぐの悪魔たちは配下を喚び出せず、己の能力すら大きく制限されている。しかもソロモンの悪魔が同じ場所に複数現れれば、他のダークネス組織に察知される恐れがある。
そのため彼らは1体ずつ別の場所に現れる。迎撃に充分な人数を送り込めば察知して別の場所に現れるので、一地点につき8名までが限界だ。
「弱体化していてすら作戦が成功する確率は低い。だが18体のうち1体でも撃破できれば、戦果は大きい。極めて危険だが、またとない機会だ。灼滅を依頼する」
現れるのはソロモンの悪魔ナベリウス。
光り輝く剣でサイキックソードと似たサイキックを使う。また、鎧の両肩や胸甲にある狼の頭から魔法使いのサイキックや炎を放つので注意が必要だ。
出現する場所は一昨年『縫村委員会』による密室殺人事件が起きて、取り壊された家の跡地。村外れで人は寄り付かない。
「繰り返す。敵を1体でも減らすことが重要だが、極めて困難で危険な作戦だ。覚悟をもって臨んでくれと言わざるを得ないが」
言葉を切った玄乃が唇を噛んだ。
「何よりもどうか、全員が無事に戻って貰いたい」
参加者 | |
---|---|
久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057) |
長沼・兼弘(キャプテンジンギス・d04811) |
赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006) |
ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314) |
夜川・宗悟(彼岸花・d21535) |
戦城・橘花(今ここに・d24111) |
セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000) |
フェイ・ユン(侠華・d29900) |
●遭遇
その日、大悪魔と呼ばれる力をもつものたちが、一斉に封印から放たれる。
そして勝利は困難だと承知の上で臨んだものたちが、その前に立ちはだかる。
戦場の確認に、敵逃走経路の把握。万一に備えて撤退経路も確保。
できるだけのことはした。
「かんじきは正解だったな」
全身黒のスーツで、やはり黒い靴にかんじきを括りつけながら戦城・橘花(今ここに・d24111)が唸った。積雪は20センチほどだったが、足元の心配がないのは重要だ。
「いよいよですわね」
「悪だくみは阻止しないとね!」
白み始めた東の空を眺めて赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)が力強く呟くと、フェイ・ユン(侠華・d29900)が元気いっぱいに頷き返した。彼女の傍らには相棒の无名が寡黙に付き従っている。
殺気を放って人払いをしながら、いつも通りのニンジャ装束、口元を赤いスカーフで隠したハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)も明るく返した。
「敵は強大故、危険な戦いになるでござるが、必ず戦果は持ち帰るでござるよ!」
「鳥と思ったら機械なのか。似てるのが大悪魔にいるというのも、何だか気分がよろしくないが……」
美しい鳥の姿をしているセレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)は思わず吐息をつく。複雑な気持ちだが、大悪魔を葬る好機には違いない。なるべくならモノにして金星の一つを上げたい所だ。
「まあ、誰が相手でも解体して殺すだけだけど」
地図を畳んで、夜川・宗悟(彼岸花・d21535)が黒いファーコートの襟を掻きよせた。
夜明け前は冷え込みがきつい。怖い悪魔が相手だし、足引っ張らないようにしないとね――冷え冷えとうなじのあたりにまとわりつく予感は、口にせず。
だが待つのもあとわずか。
「アッセンブル!」
ジンギスカン鍋の形をした断罪輪をかぶった長沼・兼弘(キャプテンジンギス・d04811)がカードを解放し、仲間も次々と続いた。
半身たる翼猫・まーまれーどを傍らに行儀よく座らせ、久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057)が周辺から戦場の音を切り離す。
雪原に夜明けの光が差し込むと同時に、それは始まった。
雪を撥ねる光は見る間に魔法陣を形成し、光の刃に貫かれる。陣が切り裂かれ大地は爆ぜ、異形の騎士が姿を現した瞬間、奇襲は行われた。
「何者だ?!」
セレスの放ったダイダロスベルトが輝く光の刃で弾き返される。しかし呼吸を合わせたハリーが背後に回り込んで斬りつけ、正面からは鋭い爪の生えた狼の腕を振り上げて、戦いに際し黒い耳と尻尾が飛び出した橘花が殴りかかった。
「ここで消えろ」
血を捲いて吹き飛ぶ騎士へ无名のだんびらの一撃が叩きこまれ、フェイが『護神の篭手』を握り込んだ。退かぬ覚悟が力となる追い討ちの殴打。結界で縛める中も鶉のダイダロスベルトが突き刺さる。そこへ唸りをあげるチェーンソー剣を携えた織兎が飛びかかった。
「勝負だぞ~!」
深々と鎧を切り裂く後ろで、まーまれーどがコートを翻しながら後衛たちに加護を与える光を放つ。兼弘から意志ある帯が追いすがったが、既に体勢を整えつつある騎士は易々とかわしてのけた。
「いずれかの勢力が現れるとは思ったが、灼滅者が突き止めたか」
コートを揺らめかせて死角から音もなく斬りかかった宗悟から、素早く距離をとる。
不意討ちしてすら、攻撃の全ては当らない。
悪魔ナベリウス。
大悪魔の称号に恥じぬ力を持っているようだった。
●仕合
侮っていたつもりはない。それでも、ナベリウスの瞳にバベルの鎖が集中する間にみるみる傷が回復するのを見れば、心中穏やかではないのも事実だった。
仲間を鼓舞するように織兎が声を張り上げる。
「みんな無事で帰ること、目標にね!」
織兎のほうを向いたナベリウスが、織兎が首から下げたお菓子を見て訝しむように首を傾げた。甘いものに目がないというケルベロスの伝承は、彼には通じないらしい。
ナベリウスの鎧についた黄金の狼の頭を眺め、橘花が眉を寄せた。
「……ケルベロス? それともネビロスか?」
「その問いに答える意味はあるまい」
返答と同時、耳を聾するモーター音が響かせて織兎がチェーンソー剣で斬りかかった。躱そうとしたナベリウスの足どりが不意に鈍くなる。もう一度後衛たちに向かって尻尾のリングを光らせるまーまれーどの支援を受けながら、兼弘は警戒色に輝く交通標識を振り上げた。前衛たちに加護をかける。
宗悟から生みだされた夜霧が後衛たちの気配を拭い去っていく。ナベリウスの足を狙ってハリーが十字架を叩きつけたが、後に続いたフェイの炎をまとった蹴撃はぎりぎりで躱された。彼女に代わって追いすがった无名のだんびらが毒を仕込んで突きこまれる。
ナベリウスに十字架をしたたか打ちつけながら、セレスが油断なく戦場を視野に入れて確認する。万が一、闇堕ち結界でも仕込まれていたら大変だと思ったが、幸いそんな気配はなかった。
螺旋を描く鶉の槍の一撃を避けたナベリウスへ、橘花は『殲術爆導索』を疾らせた。狙いは狼の頭を模した鎧。破壊できれば敵戦術の半分を封じられる。
「ぶっ潰す!」
激しい残響音をたてて激突。しかし狼の頭に被害が及んだ様子はなかった。
「この身全てで拙者。だが尽力するのは悪手ではない」
「大きな攻撃来るよ! みんな気をつけて!」
「ままれ、橘花ちゃんのとこ行ってこい! 頑張ろうな~」
挙措を見定めたフェイの警告は正しかった。狼の口から紅蓮の炎が噴き出したのだ。
狙いは後列、恐らくは癒し手だ。咄嗟に兼弘はフェイが、宗悟は織兎が庇う。ハリーへは間に合わなかったが、橘花の前にはまーまれーどが立ち塞がった。
続く一分で徹底的に足まわりを狙われ、自身の命中精度を上げる策に出た灼滅者たちに、ナベリウスは独りごちた。
「我が手の内は見透かされておるようだな。これは死地と言っても過言ではない」
「大悪魔がそこらの灼滅者に尻尾を巻いて逃げるか。どうせ他のが生きてたらそいつが模倣体でも作ってくれるんだろうから、無理すればいいのに」
警戒されたのだろうか。ここで逃がしてなるものかとセレスが挑発する。
「まあ負け犬、鳥にはそんな根性はないか」
セレスの嘲りを、ナベリウスは冷静に受け流した。
「だがわずかでも拙者の獄炎が残れば――汝らには少しばかり熱かろうな」
「これは……!」
「熱っつ!」
言葉の終らぬうちに、ハリーが、織兎が、彼の相棒であるまーまれーどが勢いを増す炎にまかれ、苦悶に身を捩った。
灼滅者と悪魔、それも大悪魔と称されるものとでは炎ひとつとってもダメージ量が段違いだ。慄然としながら宗悟はハリーに癒しの矢を、兼弘は織兎へ意志ある帯を放った。癒し手なればこそ、矢にも帯にも炎を打ち消す力が宿る。
灼滅者の一連の動きはナベリウスの予想にもあった。声をかけあう連携の齟齬のなさといい、戦術といい、もう少し火力があれば自分を押しきれただろう。
だが、やらせるつもりはない。
●覚悟
炎、剣光、そして氷の地獄。灼滅者の読み通り、ナベリウスは列攻撃を後衛、前衛と揺さぶるように交互に仕掛けてきた。攻撃がどちらへであれ、傷が嵩むのは庇い手だ。
「兼弘くん、お願いするよ!」
白い羽を飛び散らせてまーまれーどが消し飛び、織兎が苦悶に顔を歪める。フェイの要請に応じ兼弘が前列へ出たが、織兎が動くより早くナベリウスが雪を蹴った。
「沈め、灼滅者!」
「そっちだ、備えろ!」
兼弘の警告は間に合わず、織兎は光の刃に深々と切り裂かれて雪の上に崩れ落ちた。
庇い手を引き受けた以上覚悟はしていたけれど、予想以上に一撃が重い。仲間の安否を想いながら、織兎の意識は途絶えた。
それが戦線崩壊の序章になった。
无名が消し飛んだのは次の一分だった。消しきれない炎が身を焼く。
かつて自分が救われたように、今度は自分が仲間を守らなければ。その想いが傷ついたフェイの身体を動かし、ダメージディーラーである鶉を守ろうとしていた。
次の標的はフェイ。ナベリウスが詠唱圧縮した魔力を矢の如く撃ち放つ。
一人、また一人と倒れていく中、ハリーは懸命にナベリウスの動きを注視した。二人の庇い手を失った灼滅者が回復に走ると同時、ナベリウスも気合いで状態異常を消し飛ばす。全ては消えないだろうが、足止めや捕縛を再びさっきまでの状態に積み上げるのは困難だ。
「光刃が飛ぶでござるぞ!」
ハリーの警告と同時、兼弘をかすめた光刃はしたたかに宗悟をとらえ、胸から腹腔まで切り裂いた。癒し手の自分が倒れたらどうなるのか。思わず呻きが漏れる。力の抜けた宗悟の身体は着弾の勢いで雪原を滑っていき、動かなくなった。
簡単に止めが刺せない場所になったことに安堵し、セレスはダイダロスベルトをナベリウスへ疾らせた。引き裂かれたナベリウスが十字架で殴りかかるハリーの一撃にたたらを踏み、橘花の鎌にざっくりと斬りつけられる。
炎を噴き上げる鶉の回し蹴りをバックステップでかわしきったナベリウスの怒りを誘おうと、兼弘がゼロ距離でビームを仕掛けた。
「ワンインチだ!」
躱す暇も距離もない。肩から白煙を噴き上げながらも、回転しざまのナベリウスの胸甲で狼の口が光を放った。氷結の魔法が前衛を襲う。
「きゃぁぁっ!」
前衛を狙った熱を奪う魔力に晒され、鶉が崩れ落ちる。氷は兼弘の身体をも蝕み、ばきばきと音をたてて四肢を凍らせていった。苦痛に呻く兼弘に肉薄するナベリウスへハリーが横から組みつき、サイドスープレックスの要領で投げ飛ばす。
「ニンジャケンポー、逆落としでござる!」
「ぐお!」
雪の上を転がった悪魔に、セレスが頸を折らんばかりの延髄切りを喰らわせる。
もはや傷が浅いのはセレスのみであり、残された者たちもひどく息を乱していた。
「死を望むほど愚かでもなかろう。力の差を知ってもまだ抗うか」
「悪いが負けられねえ!」
全身から滴る血が雪を朱に染める。それでも兼弘はナベリウスに応じた。撤退不可能なら――堕ちる覚悟は、している。
「よかろう。確と敗北を味わうがいい」
兼弘に歩み寄ろうとしたナベリウスは、ふと足元を見下ろした。猛禽のような鋼の足に、鶉が朦朧としながらしがみついていた。
動じない表情の裏で、倒れていった庇い手たちへの想いでずっと胸が痛んでいた。
だから勝たねばならない。
「……それでも、勝ちますよ」
「くどい。ならば望み通り、死するがいい」
躊躇なく光の剣が上段に掲げられる。今あの斬撃を受ければ生命はない。
「やめろ!」
怒号と共に兼弘が飛び出しかける。その足が、止まった。
●決着
爆発的に噴き上がった禍々しい気配。歓喜に満ちた闘気を察し、素早くナベリウスが跳び退る。跳ね起きた鶉が弾けるように地を蹴った。
「堕ちたな、灼滅者!」
「皆さん、一気に追い詰めますわよ!」
もはや灼滅者ではあり得ない力でナベリウスへ蹴りかかりながら、鶉が咆哮する。
闇堕ちは勝てそうなら、とか仲間で闇堕ちの連携をしてなど、目的や状態を定めて出来るものではない。勝利するためではなく、避けえぬ敗北や悲劇、死を回避するものだ。あとを追って闇堕ちし助太刀しようと思っていたハリーは、出来ないと気づいて唇を噛んだ。
癒し手である宗悟までも倒れたのは痛いが、まだ他の者は戦える上、連携行動や戦術をしっかり組んできている。鶉の闇堕ちは数分で状況を一変させた。
鶉が疲れをまるで感じさせない素早い踏み込みで、槍をしならせ捩じこむ。凄まじい一撃は腰部装甲を貫通し、尾羽の装甲が一枚弾け飛んだ。その彼女の髪の色が徐々に変わっていることに、仲間は気がついていた。もはや一刻の猶予もない。
幸い、ナベリウスは動きが鈍くなってきている。巨大な十字架を振り上げたセレスが一気に距離を詰めた。たたらを踏んだナベリウスの頭部へ一撃、胸部を打ちすえ殴り飛ばす。
背後へ回りこんだハリーが背面に深々と斬撃を刻み、悪魔が怒りの声をあげた。
振り返りざま胸部装甲についた狼の口から、回避を許さない魔力の矢が放たれる。もはや避ける力もないハリーが勢い余って吹き飛び、代わって懐に兼弘が滑りこんだ。
半身の構えから放たれる、鋼すらも打ち砕く拳撃。胸部装甲を拉げさせ、兼弘が叫ぶ。
「今だ戦城!」
よろけるナベリウスが振り返った先には、踏み込んだ橘花がいた。上段に掲げた刃をぬらりと陽光が滑り落ちる。
「安心しろ。直に仲間も行く!」
刃は渾身の力を込めて振り下ろされた。その斬撃は今度こそ、ナベリウスを深々と抉り斬り裂く。腰の関節部で真っ二つに折れなかったのが不思議なほどの一撃で、遂に大悪魔は叩きつけられるように膝をついた。
「……無念だ。だが我らの全てを討ち果たすことは……出来ぬ。覚悟しておくが、よい」
それが最期の言葉になった。
がしゃりと音をたて、ナベリウスが雪の中に倒れ伏す。その途端、鋼は色褪せ黒い羽毛が飛び散り、時間が早送りされているように風化を始めた。錆び、朽ち、ざらざらと音をたてて砂粒と化すと、風にさらわれていく。
「大悪魔……ここに討ち取りました!」
鶉が勝ち鬨をあげた。
やっとのことでハリーが身を起こし、橘花が気合いを入れて己を癒す。兼弘が倒れた織兎とフェイの介抱を始め、セレスは宗悟を抱え起こした。
「じゃあボク……わたくし、は、そろそろ失礼します、ね」
たどたどしい口調で鶉が告げる。もはや意識を保つのも危ういのだろう。
「……学園は必ず探し出す。安心しろ」
やっとのことで絞りだした橘花の言葉に僅かに笑みをこぼして、鶉は軽やかに雪を蹴り、あっというまに見えなくなった。
誰も、言葉もなかった。
太陽がおびただしい血に染まった雪原を照らし出していた。
復活した十八柱の大悪魔。
灼滅者たちは少なくない重傷者を出しながらも、周到な作戦と熾烈な戦い、退かぬ覚悟でその一柱の打倒を成し遂げた。
――だが、赤松・鶉の行方は今、杳として知れない。
作者:六堂ぱるな |
重傷:久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057) 夜川・宗悟(彼岸花・d21535) フェイ・ユン(侠華・d29900) 死亡:なし 闇堕ち:赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006) |
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種類:
公開:2016年1月15日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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