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廃墟の神社を探索する一人のオッサン。
彼は、この神社に伝わる都市伝説を調べていた。
「聞いたことがあるだろうか。この神社には七人の巫女さんがおり、なんやかんやあった彼女達は今もこの神社を守るべく不審者を撃退しているという……ハッ!?」
オッサンは野生動物さながらの反応速度で振り向く。
神社の隅っこに置かれた巫女服を発見。
オッサンは迷うことなく服を手に取ると、その場でいっぺん全裸になってから巫女服を着込んだ。
「うむ、ばっちりだ!」
バリバリの不審者だった。
『神社を踏み汚す者、赦すまじ……』
「誰だ!」
巫女服を着たオッサンもとい不審者がずばっと振り向く。
巫女さんの集団を発見!
「これは……やはり噂は本当だったのか! ここが探し求めた都市伝説、巫女巫女ファンタジあべし!?」
オッサンの額にスコーンと刺さる矢。
続けて薙刀の強烈な連撃がコンボで決まり、オッサンはみるみる八つ裂きにされたのだった。
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神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)の説明はこうである。
とある廃神社に踏み入ると、巫女さんの集団に襲われる。
そんな都市伝説が実体化してしまったらしい。
無論これは『実体化した都市伝説』。
巫女さんに感情とか無いだろうし、前世のどうのこうのも、幽霊的な要素もないだろう。純粋なエナジー体といってもいい。
だが化物は化物。
興味本位で踏み込んだ人間を次々殺してしまうというからさあ大変。
これ以上の被害が出ぬうちに、乗り込んでやっつけてしまおうじゃないかという話なのであった。
巫女さん戦力は全部で7人。
弓使い、薙刀使い、刀使いの三つに分かれ、割とバランスよく攻めてくるらしい。
「とはいえ、皆が力を合わせて戦えば勝てない相手じゃない。皆、ひとるよろしく頼むぜ!」
参加者 | |
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六乃宮・静香(白と黒のロザリオ・d00103) |
鵺鳥・昼子(トラツグミ・d00336) |
陽乃下・のどか(ぷにたまいちご・d00582) |
ロロット・プリウ(ご当地銘菓を称える唄を・d02640) |
神凪・朔夜(清廉なる烈風・d02935) |
桜川・るりか(中学生ダンピール・d02990) |
杜之宮・摩耶(寧静なる癒し手・d03988) |
風祭・爆(武蔵野の魔神・d05984) |
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山中に残る廃神社。
といっても、鳥居のようなものは無く、神社じみた建物をそう呼んだだけのものかもしれないが……。
「たのもーう!」
桜川・るりか(中学生ダンピール・d02990)は斬艦刀ふりふり、屋内へと踏み込んで行った。
「あれ、まだ出ないのかな。空気読んでるのかな?」
「空気って……」
若干まごつきながらも後に続く六乃宮・静香(白と黒のロザリオ・d00103)。
「確か、巫女さんの都市伝説なんでしたよね」
「あー、なんか清純なイメージあるよね。戦う分には関係ねーけど」
頭の後ろで手を組む鵺鳥・昼子(トラツグミ・d00336)。
彼女の後ろから陽乃下・のどか(ぷにたまいちご・d00582)がひょっこりと頭を出した。
「わたしは結構見てたよ。巫女さんバイトにも憧れたりして。高校生になったらできるかな」
「そういう認識、だよね。分かってはいるけど」
神凪・朔夜(清廉なる烈風・d02935)が俯きつつ頭をかいた。
「僕の場合は肉親や尊敬する人達だから、妄想の標的にされるのはチョット複雑かな」
「そういう情報は人の口に乗りやすいんでしょう。なんで廃墟に巫女さんなのか分かりませんけど……そういうのはイメージがものを言いますし」
昼子さんみたいに、と呟くロロット・プリウ(ご当地銘菓を称える唄を・d02640)。
「何にせよ」
屋内に踏み込み、杜之宮・摩耶(寧静なる癒し手・d03988)はぐっと腕組みをした。
「本物ではないとはいえ巫女が人を傷つけることを許すわけにはまいりませんわ!(美少女揃いとは惜しい、実に惜しい!)」
「摩耶さん本音漏れてる。漏れ出てる」
「あら、失礼……」
口に手を当てる摩耶。
その横でのどかがきょろきょろと辺りを見回した。
「もうそろそろ出てきそうなものなんだけど、何か足りないのかな。とっかかりみたいな……」
「なんだそりゃあ」
ずしずしと身体を揺らす風祭・爆(武蔵野の魔神・d05984)。
ごつごつのスキンヘッドをキラリと光らせ、顔をゆがませて笑った。
「都市伝説だか巫女さんだか知らねェがバケモンはバケモンだ。正義の灼滅者サマが天誅をくれてやるぜ! グワーッハッハッハッハッハ!」
爆はおもむろにガトリングガンを取り出すと、唐突にバレットストームをぶちかました。
「オラオラァ! とっととでてこねえと焼野原になっちまうぞォ!」
「ななな何やってるんですか!?」
「とめろー、その悪人ヅラをとめろ!」
『悪人どもよ許すまじ!』
「巫女さん出てきちゃった!? やばいどうしよう!」
『近年まれにみる悪行、生かしては返しません!』
「あ、だめですねこれ言い訳できませんね」
「仕方ないね……」
「あとで全力で謝ろう。と言うわけで……行くぜ!」
なし崩し的ではあるが。
スラップティックではあるが。
いきなり炎上を始める神社の中で、昼子たちはスレイヤーカードを抜いたのだった。
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「片っ端から地獄に落としてやるぜ、くたばれぇぇぇぇ!!」
ガトリングをターミネーター持ちし、右から左へ薙ぎ払うように乱射する爆。
『何と言う横暴!』
『負けてはなりません!』
巫女さんたちも弓に矢をつがえ恐ろしい速度で連射をしかけてくる。
どう考えても爆の方が悪役なのだが、この際細かいことは言っていられない。
と言うか大量の矢が飛んできているのでそれどころではない。
飛来した矢が刺さった傍から清めの風を展開させていく摩耶。
「オッサンの時にも思いましたけれど、もしかしてあの人達いいひとなんじゃ」
「状況的に否定しづらいですけど違います! 巫女と言うのは……そう、私のような清純な乙女のことを言うんです!」
静香が刀の柄を握って迎撃を開始。
後ろからひょこっと顔を出しつつ目を細める摩耶。
「それは自分で言ってはダメなセリフでは」
「銃声がうるさくて聞えません! その巫女の座と名前、奪い取ります!」
「奪い取ったら清純じゃないのでは。あとたしか静香さん神道ではなくて……」
「崩闇血染、闇を緋の刃で切り裂きましょう」
摩耶のセリフを途中キャンセルしつつ、多分一番清純から遠い感じのセリフと共にヴァンパイアミストを放った。
何処からともなく現れた霧を掻い潜り、巫女の一人が刀を翳して飛び掛ってくる。
「ここは任せな、いくぜ! ショーダウンだ!」
解除コード認証。昼子はコスチュームチェンジをかけると、斬艦刀を虚空から引っこ抜いた。
巫女と昼子の剣がぶつかり合い、衝撃で昼子の踵が床を削った。
「パワーあるな……上等だぜ、力比べするかぁ!?」
巫女の腹に踵をつけ、思い切り蹴り飛ばす昼子。
突き飛ばされた巫女を追いかけ、無理矢理戦艦斬りを叩き込む。
よろけた所にえいやーと言って切りかかるるりか。
レーヴァテインで巫女を消滅させると、振り切りポーズのままちょっとニヒルな顔をした。
「ボクにお菓子とお肉をくれるような都市伝説は……ない。わかってるよ」
目尻がキランと光る。
「音声をゼロにしたらかっこよかったんだけどねー」
等といいつつ、のどかはマテリアルロッドを振りかざした。
「朔夜くん、一気にぶわーってやっちゃおう!」
「ぶわ? あ、何となくわかった」
朔夜は同じようにマテリアルロッドを掲げると、のどかのロッドを交差するように合わせた。
「視聴者にも分かりやすい感じでいくよー、だぶるヴォルテックス!」
突如とした起こった竜巻が独楽のように荒れ狂い、互いに反発し合いながらも巫女たちを蹂躙した。
弓兵たちを庇って前に出た薙刀巫女たちが竜巻に晒されてよろめく。
「ナイスですよ、それじゃあ早速……!」
ロロットはよいしょと言ってギターを振り上げると、巫女に向かってジャンプ。
「すみません!」
オルタナティブクラッシュ炸裂。
巫女の薙刀ごと圧し折り、特に意味のない爆発と共に巫女を葬ったのだった。
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天井や壁が焼け落ちていく。
別にバレットストームの所為とかじゃなくて、『実体化都市伝説』が全体的に弱って来ているための背景効果だと思って頂きたい。
そんな中で、巫女の一人が額の汗を拭った。
頬に張り付いた髪をそっと指でどける。
『ただの侵入者かと思っていましたが……どうやら本気で戦う必要があるようですね、皆さん』
『はい!』
薙刀を握った巫女が背中を合わせて頷き合う。
『すみません、ちょっとだけシリアスタイムです!』
巫女たちは驚くべき速度でのどかとるりかへ接近すると、上段と下段へ同時に刃を走らせる。
それぞれロッドと斬艦刀で受け止める二人。
「急に動きが良くなった!」
「ううん、わたしたちが弱ってるんだ……」
「えっ」
「お腹、すいたから」
くきゅーと二人のお腹から音がした。
乙女にあるまじき音声に、くっと顔を反らすのどかとるりか(無駄なシンクロ)。
「るりかちゃん、このあと甘い物食べようね」
「お肉もね!」
「そうだね!」
二人は同時に目を光らせた(無駄なシンクロ)。
「じゃあ、ひっさつ――!」
のどかは額に二本指を翳すと、炎の如きビームを発射。
空中に人の字を描くと、そこへ横一文字にレーヴァテインを打ち込むるりか。
「合体っ」
「大文字ビーム(文化名ということでクリアできるギリギリの技ネーム)!」
「からのー!」
返す刀で巫女へ斬艦刀を叩きつけるるりか。
全く同じタイミングでスタンピングキックを繰り出すのどか。
「戦艦斬りだいなみっく!」
「ぬか漬けキィーック!」
そんなぁーと言って消滅する巫女さん。
盛大なシリアスタイム終了のお知らせだった。
その一方。
「うおらあああああっ!」
昼子はギルティクロスを放ちながら突撃。
薙刀でガードした巫女に追い打ちの戦艦斬りを叩き込む。
巫女の眼前で受け止められる斬艦刀。
「固いなっ! でも……こういうのはどうだ!?」
あえて斬艦刀を手放す昼子。
不意を突かれた巫女の腕と腰を掴むと、無理矢理放り投げた。
「頼むぜ、ロロット!」
「任せて下さい!」
いつの間にか空中に跳び上がっていたロロットが巫女さんをキャッチ。
「古き良きシャルトルの力――メンチコフ・ダイナミック!」
フランスはシャルトル伝統の名菓、チョコレートケーキのようなスポンジをメレンゲでコーティングしたふんわりとした味わいを彷彿とさせる強烈な投げ技が炸裂。
巫女はふんわりと消滅したのだった。
「悪いな巫女さん。あんたも強かったぜ……」
虚空から現れる斬艦刀をひっつかみ、昼子は目を瞑った。
巫女と灼滅者の戦いもいよいよクライマックス。
「グヘヘ、テメェも血達磨に……いや火達磨になりやがれぇ!」
ブレイジングバースト。
つまり火炎放射である。
摩那は爆と火炎放射のマッチぶりに、どこかハイライトの無い目をした。
誰かモヒカンと肩パット持って来い。棘のあるやつな。
一方の巫女は壁を蹴りながらジグザグに飛び、背中の筒から取り出した矢に火を灯し、三本一気に発射。
「うぐおっ!」
そのうち一本が爆の腹に突き刺さった。燃え上がるシャツ。
「やりやがったな……倍返しだァ!」
ある程度接近した所で巫女の腹に拳を叩き込む爆。
くの字にまがる巫女を見て、摩那はますますハイライトが消えた。
「なぜでしょう、巫女さんに味方した方がいいような気がしてきましたわ……いえ、いえ、ここは灼滅者としてしっかりと」
防護符を取り出して爆へと投げてみる。
すると爆はそれを振り向きざまにぐしゃりと握り潰し……。
「グワーハハハー! こいつを待ってたゼェー!」
おもむろに頬張り、ぐしゃぐしゃ咀嚼して飲込んだ。
完全に目からハイライトが消える摩那。
「これで火矢も怖くねえ! くらえぇ!」
爆は巫女に暴力的過ぎてちょっと見せられない感じのパンチをしこたま浴びせると倒れた所に直接ガトリングガンの銃口をつきつけた。
「まだ油断はできねぇ、確実に殺……灼滅しねえとな! グヒヒヒ死ねえええええ!」
「死ねって言ってますわ!?」
神社の床ごと吹き飛ばし、爆は世にも悪そうな高笑いをあげたのだった。
巫女が次々と倒れていく。
長髪の巫女は飛来するセイクリッドクロスを巧みに回避すると、口に咥えた矢を弓に番えた。
よくねらって発射。鏃は朔夜の肩に突き刺さり、後ろ側へと貫通させる。
「つう……」
矢を握り、無理矢理引き抜く朔夜。
痛みに両目を瞑る。
「巫女さん相手だから穏やかにって思ってたけど…………ちょっと、本気出さねぇと駄目そうだな」
目を開いた朔夜の瞳孔はどこか炎を帯びていた。
護符を握って飛び掛る。
「喰らえ!」
轟雷発動。溢れる雷を拳ごと叩き込む。
よろめく巫女。
そのタイミングを正確に狙って静香が急接近した。
「…………」
目を細める。
咄嗟に矢を握り、振り込んでくる巫女。
静香はその矢をあえて肩に受けた。
無理矢理に抜刀。その勢いのまま巫女の胴体をぶった切る。
「――白刃散華」
灼滅する巫女を前に。静香は目を閉じた。
彼女の足元に、やや焦げ付いたお守りがストンと落ちた。
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後日談、というわけではない。
あれだけ燃えていた神社も灼滅したあとはただの廃墟に戻っていた。
実体化都市伝説というのは往々にしてそういうことがあるものである。
灼滅者たちはまず襲い掛かってごめんなさいと頭をさげ、この世にはじめから居なかった巫女たちに、彼らなりの祈りを捧げたのだった。
もう、この神社で巫女さん達が呼び出されることもあるまい。
この世に噂が、流れぬ限り。
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年9月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 9
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