●伏見城の戦い~我この地平穏へ
京都市に建築された伏見城。
傍目から見れば何の変哲も無い城なのだが……その伏見城の城壁には、様々なペナントがたなびいている。
各地名産品のペナントや、鬼の絵、画数の多い漢字のペナント。
鎧・武器のペナント等々……様々なペナントがたなびき、正しく戦前の血気余る雰囲気と、もはや勝利は手中にあり、と言った感じ。
そして、その中の一つ、刀が記されたペナントを掲げた、鎧武者のアンデッド達は。
『はははは! これで我等は勝利したも同然!! さぁ野郎共、行くぜぇ!!』
と、鎧武者達は勝利を確信しながら、意気揚々と進み始めるのであった。
「皆、集まってくれたな? んじゃ早速だが、説明始めるぜ?」
と、神崎・ヤマトは、集まった灼滅者達に軽く手を掲げ、そして説明を始める。
「今日集まって貰ったのは他でもない。安土城怪人との決戦準備を行っていた、天海大僧正の勢力から連絡が入ってきたんだ」
「これによると、決戦準備が整う前に、安土城怪人が侵攻を開始し、京都周辺に攻め寄せてきたようで、彼ら安土城怪人勢力は、京都の伏見区に城を築き、戦力を集めている様なんだ」
「この侵攻が成功した結果、安土城怪人勢力は覇気に溢れていて、このままでは天海大僧正の勢力は滅ぼされかねん」
「これに対し天海大僧正は、全力で伏見城を攻略し、攻略成功と共に琵琶湖の敵拠点へ攻め込む作戦を行うようなんだ。敵が戦力を分けたのならば、各個撃破する好機という事の様だな」
「伏見城の攻略は、天海大僧正勢力で行う為、俺達武蔵坂学園には、伏見城の攻略に成功した後、琵琶湖拠点に攻め込む助力を頼みたいんだ」
と、そこまで言うとヤマトは。
「伏見城へは、天海大僧正の軍勢の精鋭である、スサノオ壬生狼組が豆乳される様だ。この戦いは、ほうっておけば痛み分けになりそうだ」
「伏見城は落城するが、スサノオ壬生狼組は壊滅……伏見城から撤退した安土城怪人勢力のダークネス達は、琵琶湖に向かい合流する、という流れになる」
「天海大僧正の要請に従うと、伏見城の戦いに最初から助力する必要は無い。が、ここで助力することで、伏見城から脱出するダークネスを減らす事が出来れば、琵琶湖の戦いで有利になるかも知れないんだ」
「また、壊滅する筈のスサノオ壬生狼組が生き残ってしまうと、琵琶湖の決戦に援軍として参戦してくれる可能性もあるな。つまり助力の方法は、現場の判断に任せるが、琵琶湖の援軍を防ぐことに十分なメリットがあると言えるんだ」
と、そこまで言うとヤマトは。
「今回、皆に担当して貰うのは、鎧武者のアンデッド達になる。彼らは6体ほどのグループとなり、威風堂々、我等に勝利は間違いない、という気鋭の元、その手に持った刀を振り回して攻撃してくる」
「また、仲間同士の結束がとても強く、仲間の不利な状況に対してはカバーリング等も行う様なので、その辺りを見越した上で作戦を考えた方がいいだろう」
「尚、伏見城の中で戦う場合は、敵の戦闘能力はブーストされる様だ。ただ伏見城に攻め込めば素早く敵を撃破する事が出来るし、更に余力がある場合、レプラコーンやいけないナースなどの、非戦闘要員のダークネスを灼滅する事が出来るかもしれん。また、誰かが天守閣を制圧した場合、城内の敵の戦闘能力のブーストも解除されるようだぞ」
そして、最後にヤマトは。
「協定とは言え、ダークネス同士の抗争に手を貸すのはあまり気分は良くないが……まぁやらなければならない時もあるだろう。という訳で、皆、宜しく頼むな」
と、肩を叩いて皆を送り出すのであった。
参加者 | |
---|---|
氷霄・あすか(高校生シャドウハンター・d02917) |
武神・勇也(ストームヴァンガード・d04222) |
紅羽・流希(挑戦者・d10975) |
富山・良太(復興型ご当地ヒーロー・d18057) |
赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118) |
ファムネルエルシス・ゴドルテリアミリス(わんわんにゃぁにゃぁ・d31232) |
風見・春香(クライミースマイリー・d33760) |
アクレルド・ガージウェー(赤い忠犬・d35934) |
●伏見の郷に
京都府、京都市。
突如として建築された巨大な城、伏見城。
何の変哲もなさそうな城なのに、その城壁に意気揚々とたなびくのは、様々なペナント。
……そんなペナントの張られた城を、集められた灼滅者達は見上げていた。
「……しかし、ほんとうにお城が建ってるわね……」
「そうだねぇ……ある意味、一夜城とも言われる墨俣城みたいだな、と思いましたよ」
氷霄・あすか(高校生シャドウハンター・d02917)に、富山・良太(復興型ご当地ヒーロー・d18057)が笑う。
ある意味、突如としてできあがった城だから、それもあながち間違いでは無い様な気もする。
だがしかし、この事態をこのまま放置しておくわけにも行かない……伏見城の中に居るのは、意気揚々、戦前の血気を余らせている安土城怪人の配下のダークネス達。
このまま時が経てば、彼らが天海大僧正の勢力を大幅に上回り、滅ぼすことなんて訳もないだろう。
「地獄合宿の時は天海大僧正に攻撃したんだけど、まさか助けに行く時が来るなんてね……まぁ、どうでもいいか」
と風見・春香(クライミースマイリー・d33760)が肩を竦めると、それに武神・勇也(ストームヴァンガード・d04222)、赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)、紅羽・流希(挑戦者・d10975)らも。
「一度支援を受けている以上、返さなければ以後の行動に支障を来す、といったところだろうか……ま、いきなりこんなものを立てられたのでは、迷惑この上ないというのが本音に近いがな」
「ああ……約束を、果たす時、だな」
「そうですねぇ……しかし城攻めですか……昔の戦人も、こんな風に戦っていたのでしょうかねぇ……?」
そんな仲間達の言葉に、アクレルド・ガージウェー(赤い忠犬・d35934)が。
「……戦争ははじめてですが、焦ってはいけませんね。冷静に、護るべきもの、私に出来る最善の行動を判断するんだ」
と、ぐっと拳を握りしめる。
それにファムネルエルシス・ゴドルテリアミリス(わんわんにゃぁにゃぁ・d31232)が。
「まぁ、精一杯がんばるんだわん!」「そうにゃ。頑張るにゃ!」
左手の犬のぱぺっとと、右手の猫のパペットが、それぞれ気合いを入れる。
そして、あすかが。
「そうね。できた所で悪いけど、落城して貰いましょうか」
と告げると、勇也、春香も。
「そうだな……僧正との協定の履行となるか、って所だな」
「ええ。安土城怪人の灼滅を狙いましょう。壬生狼達にも特に恨みはないけれど、ほどほどに削れて貰えれば嬉しい所ね」
……と言い、気合いを入れて……そして灼滅者達は、姿を潜めながら、伏見城へと侵入していくのであった。
●時の境目
そして、伏見城の中を、息を潜めて歩く灼滅者達。
周りには、剣戟の重なる音や、悲鳴、怒号が響き渡る。
仲間達に加え、天海大僧正勢力のスサノオ壬生狼組が加わり、伏見城は……まさしく戦の最前線。
そんな中、良太らの執った作戦は……スサノオ壬生狼組を泳がせておき、ある程度消耗してから突撃するというもの。
あるスサノオ壬生狼組の後を追跡し……そして、壬生狼組は。
『居たぞ! あいつらを倒すぞ!!』
と、目の前に現れた鎧武者アンデッド達に戦を仕掛けていく。
壬生狼組と、鎧武者アンデッドの数は6対6。手数としては同じ数。
しかし……鎧武者アンデッドは、相互に強い絆で結ばれており、壬生狼に対し、互角以上の戦いを繰り広げる。
……とは言え壬生狼組の方だって、強い絆と共に立ち向かう気合い。
その気合いと共に、鎧武者に引けを取らない戦いを繰り広げる。
そんな鎧武者アンデッドと、壬生狼組との戦闘を、姿を隠しながら監視。
激しい戦いを監視し、経過する事十数分。
『ぐ、っ!』
と、壬生狼組の一体が崩れ墜ちる。
額に一筋の汗を零す壬生狼組……とは言え、鎧武者アンデッドも、少しずつ疲弊してきている。
でも……まだ、灼滅者達はぐっと堪える。
次に倒れたのは、鎧武者アンデッド。
『良し、次なる相手は、こいつだ!』
と壬生狼組のリーダー格の男の号令に従い、次の鎧武者アンデッドへ集中攻撃。
……対し鎧武者アンデッドは、ある程度等しいダメージを与え作戦。
更に経過する事、6ターン。
『こいつで、決めるっ!!』
『グゥゥア!!』
と、一閃が交差し……共にその場に崩れ墜ちる。
2体を倒した、その瞬間に。
「……それでは、介入開始と行くか」
と流希の呟いた言葉。
それに。
「ええ……いきますよ、わんさん、にゃあさん」
「ああ……行こう」
ファムネルエルシス、碧も頷き……そして姿を隠していた灼滅者達は、一気に両者の間に登場。
「通りすがりの灼滅者さんじょー。悪いけど灼滅させてもらうわね」
と、春香が宣言しながら、グラインドファイアの一撃を鎧武者アンデッドに叩き込む。
突然の不意打ちの一撃に、鎧武者アンデッド……少し混乱。
いや、混乱しているのは鎧武者アンデッドだけでなく、壬生狼組達も。
『……お前らは、何者だ!』
と。
それに良太と勇也が。
「助太刀に来ましたよ。琵琶湖へ行く戦力は一人でも多く減らした方が良いでしょうからね」
「そうだ。俺達は、僧正からの依頼による増援だ」
と、短くも端的に告げる。
そして、その言葉と共に、アクレルドが壬生狼組達に、イエローサインで回復しながら。
「私達の敵は、そこの鎧武者アンデッドです……あなた達が、私達に危害を加えないという事であれば……私達の敵と、あなた達の敵は、同じです」
……そんな灼滅者達の言葉に、ちょっと顔を見合わせるスサノオ壬生狼組。
対し、敵と言われた鎧武者アンデッド達は。
『オマエラ、殺シテヤル!!』
と、意気揚々と武器を構え、灼滅者達もターゲットとして、攻撃を開始。
一撃一撃、かなり重い一撃……確かに、これと真っ正面から戦うのは、中々に骨が折れる事だっただろう。
しかし既に最初六体居た鎧武者は2体が倒れ、後四体。
……そしてその四体も、まあまあ疲弊しているからこそ、互角な戦いとなる。
鎧武者アンデッドらの攻撃を、良太とビハインド、中君と、碧とビハインド、月代の四人でそれぞれカバーリングしながら、壬生狼組に微笑む。
……そんな灼滅者達の行動に、壬生狼組は大体理解した様で。
『お前達は、灼滅者か……何故、加勢する?』
と、リーダーが問いかけると、それに良太、流希が。
「新宿では助けられましたからね。これは、そのお礼ですよ」
「加勢が今頃になったのはすまない。しかし俺達は弱いんでね。こんな感じの戦い方しか出来ないんだ。その代りと言っちゃなんだが、後で文句は聞くさ。今は、目の前の敵を倒すことに集中しよう」
と、二人の言葉に……リーダーは。
『フン……好きにしろ』
と言いながらも、仲間達に軽く頷く。
こいつらには攻撃をするな、と言う指示と理解し、壬生狼組達も、鎧武者アンデッドに改めて向き直る。
……4対4から、一気に4対12と、圧倒的な数の差に代る。
そしてファムネルエルシスが。
「ゴドルテリアミリス家が長子、ファムネルエルシスの名において命ずる……顕現せよっ!」
と宣告すると共に、犬ぱぺっとから伸びるケルベロス状の影の刃、残影刃を放つと、同時に春香がDMWセイバーの一閃。
更にあすかがイカロスウィングで相手に捕縛をばらまき、その体力を削り奪う。
勿論、勇也、流希の二人は、最前線に出てクラッシャー効果を身に纏い、鏖殺領域とティアーズリッパーの連続猛攻を嗾けていく。
そして、ディフェンダーの良太は除霊結界、中君は顔を晒し、碧がDESアシッド、月代が霊障波と続いていく。
……灼滅者達の行動が一巡すると、更に壬生狼組も攻撃。
流石に数の差の前に、鎧武者アンデッドはみるみる内に体力が削られていく。
アンデッドのしぶとさで、どうにか耐える。
が、次のターンも同様に、あすかが除霊結界でパラライズを付与しつつ、ファムネルエルシスが猫ぱぺっとのマンティコア状オーラのオーラキャノン、春香がグラインドファイア。
その攻撃で、鎧武者アンデッド一体を潰す……そして、残る三体の反撃。
良太、碧、中君で、壬生狼組への攻撃をカバーリングし、そのダメージをアクレルドがイエローサインで回復。
「大丈夫です……回復は、任せてください」
と、アクレルドの力強い言葉に良太が。
「ありがとうございます。では、回復は任せました」
そう頷きつつ、九眼天呪法。
中君が霊障波、碧の神霊剣に月代が顔を晒すを、一体に集中してバッドステータスを叩き込んで行く。
壬生狼組は、そんな灼滅者達の動きに合わせるよう、武者鎧アンデッドを少しずつ、追い込んでいく。
そして追い込まれた武者鎧アンデッドへ、勇也と流希のクラッシャーが渾身の攻撃で、体力を削る。
数分の内に一体を倒し、残るは後二体。
二体となれば、互いに庇う事しか出来なくなる訳で……鎧武者アンデッドは、互いに背中合わせの体勢を取る。
それを、灼滅者、壬生狼組が、両側面から追い詰める。
逃げ場もなく……圧倒的不利な状況。
鎧武者アンデッドは、覚悟を決めたのか……その刀を大きくふりかざし、それぞれの目前の相手に、渾身の一撃を食らわせる。
……が。
「……させん」
と碧の刀が重なり、火花を散らす。
壬生狼組も、刀に刀が重なり、互いの力の応酬。
……勝ったのは、灼滅者と壬生狼組。
刀もろとも、その身体を横に引っ張られて、体勢を崩した鎧武者アンデッドに。
『これで、トドメだ!』
と壬生狼組、リーダーが頭上から一刀両断の一閃を喰らわせ、始末。
それに呼応するように、勇也も鎧武者アンデッドに叩きつけたレーヴァテインの一撃が、鎧武者を打ち倒した。
●戦の影に
「ふぅ……どうにか、倒せた様ですね……」
一端息を吐き、呟く流希。周りの灼滅者達も、一端は息を吐くと共に、構えを解く。
そして……改めて、壬生狼組に顔を向けて。
「……改めて、遅れたことは詫びよう。すまなかった」
と頭を下げる流希に、壬生狼組は。
『……恩には着ないぞ』
と一言告げて、そっぽを向く。
その瞬間……天守閣の方から、賑やかな声が聞こえる。
丁度その瞬間、仲間から天守閣解放した旨のメールが着信。
「……どうやら天守閣は解放されたようだな」
「そうね……でも、これ」
とメールを読み進めると、ダークネス達は撤退済みであった、という文章が。
「どうやら、ダークネス達は隙を突いて逃げてしまった様でだな……」
「そうね……敵の退路、遮断出来てなかったかしら?」
「かもしれないわね……退路遮断しておけば、事態は変っていたかも知れないわね……」
春香、あすかの言葉。そして壬生狼組は。
『……何にしても、敵戦力は多少は削れたはずだ。後は……いつ来るか解らぬが、その時に備えるとしよう。さらばだ』
と灼滅者達に告げて……その場から離脱。
そして……灼滅者達も。
「それでは、私達も帰るとしましょうかねぇ……」
「そうだね……みんな、お疲れ様でした」
流希、良太の言葉に頷きつつ、そして灼滅者達は、伏見城を離脱するのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年2月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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