建築された伏見城の城壁を見て、黒曜石の角を生やした大男が頷いた。城壁には様々なペナントがたなびいている。
「ご当地怪人に、鎧武者、羅刹、随分沢山のやつらが集まったな」
「白菫、そこに居たのか。なっはっは。この城は良い所だぞ」
そこに、ぞろぞろと男羅刹達も集まってきた。いけないナースの肩を抱いてにこやかな笑顔を浮かべている者もいるようだ。
「おお、白藍達か。その通り、こちらに付いてよかったぜ」
大男達は笑いあう。
「これはもう、勝ったも同然だな」
「とは言え俺達は所詮裏切り者。ここからどうするか?」
「それはもっともだ。うん。そこでだ、安土城怪人勢力内部に食い込んでいくためにも、ここで戦果を上げてやろうじゃねぇかよ」
もはや自分達の勝利を確信し、天海大僧正から離反した羅刹達は高らかな笑い声を上げるのだった。
●依頼
「安土城怪人との決戦準備を行っていた、天海大僧正の勢力から連絡が入ったんだよ」
千歳緑・太郎(中学生エクスブレイン・dn0146)が皆の顔を見て話し始めた。決戦準備が整う前に、安土城怪人が侵攻を開始し、京都周辺に攻め寄せてきたと言うのだ。
「攻め寄せてきた安土城怪人勢力は、京都の伏見区に城を築き、戦力を集めているようなんだ。安土城怪人勢力は覇気に溢れていて、このままでは天海大僧正勢力は、滅ぼされてしまうかもしれないんだ」
ざわめく灼滅者達に向けて、天海大僧正側の戦力の説明もされる。
これに対して、天海大僧正は、全力で伏見城を攻略し、攻略成功と同時に琵琶湖の敵拠点に攻め込む作戦を行うようだ。
「敵が戦力を分けたのならば、各個撃破する好機。伏見城の攻略は天海大僧正勢力で行うので、武蔵坂学園には伏見城の攻略に成功した後、琵琶湖の拠点に攻め込む助力をお願いしたい、と言うことなんだよ」
次に、今回の事件、天海大僧正からの援軍要請に対して、武蔵坂学園の戦略について説明された。
伏見城へは、天海大僧正の軍勢の精鋭であるスサノオ壬生狼組が投入される。
この戦いは、放っておけば痛み分けとなりそうだ。
「伏見城は落城するけど、スサノオ壬生狼組は壊滅。伏見城から撤退した安土城怪人勢力のダークネス達は、琵琶湖に向かって合流するという流れになるはずだよ」
天海大僧正の要請に従えば、伏見城の戦いに最初から助力する必要はない。だが、ここで助力する事で、伏見城から脱出する安土城怪人勢力のダークネスを減らす事ができれば、琵琶湖の戦いで有利になるかもしれない。また、壊滅する筈のスサノオ壬生狼組が生き残れば、琵琶湖の決戦に援軍として参戦してくれる可能性もあると言うのだ。
「助力の方法は現場の判断に任せるけど、琵琶湖への合流を防ぐ事には充分なメリットがあると思うよ」
顔を見合わせる灼滅者達。
太郎は続けて、この班が戦うダークネスについて話し始めた。
「皆には、8体の羅刹達を相手にしてもらいたいんだ。羅刹達は戦果を上げて安土城怪人勢力内部に食い込もうとしているようだね。白菫と言う羅刹を筆頭に、白藍、白藤、白花、白磁、白練、白梅、白鼠と、何となく似た名前同士仲良くしていた集団みたいだよ」
スサノオ壬生狼組と一緒に戦う場合も、撤退する所を襲撃する場合も、この羅刹達と戦う事になる。戦いとなれば、羅刹達は神薙使い相当のサイキックを使って攻撃を仕掛けてくるだろう。白菫と白藍は特に攻撃力が高く、白梅、白鼠は回復のサイキックを持っている。
スサノオ壬生狼組は、全滅するまでに敵を半分まで減らす事ができる。したがって、撤退する所を襲撃する場合、ダークネスの戦力は半減となる。
途中で救援する場合は、タイミングによって戦力が変わるはずだ。
これに加えて、伏見城の中で戦う場合、敵の戦闘力の上昇が見込まれる。
それは、10%程度だという。
「あとは、伏見城に攻め込み素早く敵を撃破する事ができて、更に余力がある場合は、レプラコーンやいけないナースなど、非戦闘要員のダークネスを灼滅する事ができるかもしれないよ。それと、誰かが天守閣を制圧した場合、城内での敵の戦闘力の上昇は無くなるからね」
説明を終え、太郎は皆の顔を見る。
「スサノオ壬生狼組については、無理に救出する必要は無いよ。まずは自分達の安全と、そして、琵琶湖に敵勢力が合流するのを防ぐ事を優先してほしいんだ。どう戦うか、良く相談して決めてね」
そう、締めくくった。
参加者 | |
---|---|
神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914) |
神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337) |
月見里・无凱(深遠揺蕩う銀翼の泡沫・d03837) |
ヴィントミューレ・シュトウルム(ジーザスシュラウド・d09689) |
夕凪・真琴(優しい光風・d11900) |
夢代・炬燵(こたつ部員・d13671) |
三和・悠仁(残夢の渦・d17133) |
猫乃目・ブレイブ(灼熱ブレイブ・d19380) |
●共闘する者達
到着した伏見城には、すでに二人のスサノオ壬生狼組の姿があった。
ダンダラ模様を白く染め抜いた浅葱色の羽織を着込み、狼の顔を持ち、日本刀を構え伏見城を見据えている。
「スサノオ壬生狼組はあなた達、二人ね? 私達も同行させて貰うわ」
ヴィントミューレ・シュトウルム(ジーザスシュラウド・d09689)が声をかけると、スサノオ壬生狼組は互いに顔を見合わせた。
「同行か」
「フン、勝手にするがいい」
そして、灼滅者達を一瞥し城へと向かっていく。
「あっさりしたものですね。壬生狼組の方々に同行するのは、とても心強いですけど」
二人のやや冷たいとも取れる様子に、夢代・炬燵(こたつ部員・d13671)が三和・悠仁(残夢の渦・d17133)にこそこそと話しかけた。
「まぁ、今は、それでいいのではないでしょうか」
悠仁は柔らかい口調で応じながら、思う。
(「端から信を置いてなけりゃ、どちらでも構わねぇし。……せいぜい利用して、利用されて」)
と。
「今はスサノオ達とは協力関係にあるし、こじれないよう注意ね」
さっさと先を行く壬生狼組達を追いかけるように神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)が皆を促した。
ついに約束の日が来たのだ。
戦うと決まったからには徹底的にやってやると、明日等は思う。
「……約束を、果たす時、ですね。……出来る事を、頑張りましょう」
ついに動き出したと、神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)も感じていた。
「こういう時のための同盟、ですよね」
夕凪・真琴(優しい光風・d11900)が微笑んで頷く。
今までからの交流で、もっとお話し出来ることがあると思っていたのだ。
「まずは戦闘に集中だね」
スサノオ壬生狼組に続き、白に足を踏み入れた月見里・无凱(深遠揺蕩う銀翼の泡沫・d03837)が、羅刹達の姿を確認した。
「なに?! ついに攻めてきやがったか!」
「落ち着け白藍、これはチャンスだぜ! 戦果を上げてやろうじゃねぇの」
「あ、ああ。そうだったな白菫」
白菫、白藍他だらだらと話し込んでいた羅刹達が、慌て始める。
「裏切り者め」
「覚悟ッ」
スサノオ壬生狼組二人が、日本刀を手に踏み込んでいく。
「さて、行くでござるよ! スサノオ壬生狼組殿達は、どうぞよろしくにござる」
猫乃目・ブレイブ(灼熱ブレイブ・d19380)も、それに追随するように走り込み武器を構えた。
「……動きに合わせて、補佐しますね……」
壬生狼組の動きを見ながら蒼が声をかける。返事は無かったが、特に問題があるようにも感じられなかった。
「どう戦うのか、じっくり聞きたかったけれど、そんな時間もなさそうね」
ヴィントミューレが仲間達を見回す。
それでも、灼滅者達は何をするのか互いに理解している。こちらが壬生狼組に合わせて戦えば良いと、頷きあった。
伏見城内にて、八体の羅刹達との戦いが始まった。
●それぞれの戦い
「リンフォース」
明日等はウイングキャットのリンフォースを呼んだ。ディフェンダーとして前衛に送り出し、自らは後方からの狙撃に徹底するつもりだ。
見ると、壬生狼組の二人が同時に白菫に斬りかかっている。
すかさず、二体の羅刹が癒しの風を招き白菫を回復させた。あれが白梅と白鼠なのだろう。
やはり、回復役から潰していかなければ。
明日等はダイダロスベルトの帯を射出し、白梅の身体を貫いた。
「……あの二人が、メディックですね……」
続いて蒼も後方の敵二体に狙いを絞り、剣を高速で振る。剣筋はどんどん加速し、白梅と白鼠に迫った。
「くそ、何で俺達を狙う?!」
二体の羅刹は慌てて逃げ惑う。蒼は逃げる敵を追い詰め、二体まとめて斬り刻んだ。
「くそっ、俺達の生命線を絶つ気か?!」
白藍が灼滅者達に気付き、踏み込んで来る。
その周囲に激しい風の渦を巻き起こし、風は刃と化して明日等や近くの仲間達に降りかかった。
「させません」
炬燵が気付き、間に滑り込む。
「下がってください」
同時に、悠仁も仲間を庇った。
共に仲間のダメージを引き受けディフェンダーとして戦場に立つ。
「……ありがとう、ございます」
「助かったわ」
蒼と明日等がダメージを負った二人を見た。伏見城内で戦う場合は、敵の戦闘力が上昇すると聞いていた通り、それなりの攻撃力のようだ。
「大丈夫ですよ。ここにいる全員無事にこの戦いに勝利したいですね」
闇の契約を使いながら炬燵が微笑む。
ここを無事に乗り切り琵琶湖での本戦に勢いづけたいという思い。ディフェンダーとして、敵の攻撃から仲間達を守るという思いがこみ上げてくる。
「攻撃の目標は、合わせます」
傷を負ったもののまだ動けると判断し、悠仁はウロボロスブレイド『瞬刃閃舞』を白梅に伸ばし巻きつかせた。
縛り上げられ、斬り刻まれ、白梅がうめき声を上げる。
その時を見計らい、真琴が祈るように手を組んだ。
「傷を癒します」
浄化をもたらす優しきが風が炬燵と悠仁を包み込み、傷を癒す。
戦いが始まり、羅刹達も走り始めたようだ。
「さて、完封なきまで叩き潰してあげましょうか」
仲間と壬生狼組、そして敵の配置を確認しながら无凱は口の端を持ち上げた。
実際にはどうでも良いけれど、敵の根性が気に入らない。人として、もっとも愚かな行いが……裏切りなのだと聞いたことあるし。時には必然的なことでもあったりするので、なんとも言えないけれど。
縛霊手から祭壇を展開し、結界で白梅達後衛の羅刹を囲い込む。手足が思うように動かなくなった敵が顔をしかめ舌打ちをした。
「やはり、攻撃手と癒し手が要のようね」
予言者の瞳を発動させ、ヴィントミューレが呟く。
こちらが上手に連携できれば、味方の被害を抑えられるはずだ。常に戦況を見据えるように、視線を走らせる。
「ふむ。それでは拙者も、がしがし行くでござるよ」
ヴィントミューレの声を聞きながらブレイブが飛び上がった。
ダイダロスベルトの帯を射出し、皆と同じ目標を貫く。
集中攻撃された白梅の顔が苦痛にゆがんだ。
●彼を崩す
戦いは続く。
羅刹達もただ黙ってやられてくれる訳ではなかった。
白菫と白藍の攻撃力はやはり凄まじく、一撃が重い。回復役の二体は回復に専念しているし、白花達中衛の羅刹が風の刃を重ねて攻撃を集中させれば、それなりのダメージになった。
敵の攻撃が集中すれば、その都度、炬燵と悠仁、それにリンフォースが仲間を庇い負傷する。
真琴が癒すサイキックをジャッジメントレイに移行し仲間を支えていたが、それでは足りず炬燵も回復に回ることが多くなってきた。
「ここで戦果を上げれば大出世間違いなしだぜ、へへっ、沈め!!」
白菫が片腕を巨大異形化し、スサノオ壬生狼組に猛突進する。
勢いのまま振り下ろされた腕を、間に割って入った炬燵が受け止めた。
「フン、恩には着ないぞ」
スサノオ壬生狼組は炬燵に背を向け、さっさとその場を離れていく。
「かまいません。私は皆さんを守る盾として頑張ります」
とは言え、なかなか仲良く共闘とは行かないようだと思った。
「つれないでござるなあ。でもまあ、スサノオ壬生狼組殿達は、その、顔が可愛いでござるよな」
武器を構えたブレイブが、その背中を視線で追いかける。
「顔は、分からないけど。あの戦闘力はなかなかのものだよね」
无凱の言葉通り、壬生狼組が刀を振り下ろすと、中衛で風の刃を生み出していた白練が崩れ落ちた。手近な者から手当たり次第に斬り伏せていく戦い方のようだ。
それならば、彼らの攻撃の邪魔にならぬようにと、无凱は影を伸ばした。
敵の手を減らすため、さんざん白梅と白鼠の行動を邪魔するよう攻撃してきたが、そろそろ詰めだと感じる。
「あと一息で白梅が落ちそうよ。狙って!」
ヴィントミューレも同じ意見のようだ。
无凱の影が白梅を飲み込み、瞬間をヴィントミューレの魔法光線で撃ち抜いた。
「く、くそっ! 体が言うことを、きかねぇ!!」
「今はただ立ちふさがるものを倒すのみ!」
もがき苦しむ白梅に、ブレイブが炎の花を飛ばす。
赤く揺らめく炎から生まれた花は白梅の身体を焼き、抉り、消し飛ばす。
「やったわね。次は白鼠よ」
白梅の消滅を確認し、ヴィントミューレが白鼠を見た。
灼滅者達は頷き合い、攻撃を白鼠に集中させる。
「皆さん、頑張ってください」
真琴は傷を負った仲間へ向けて裁きの光条を放った。悪しきものを滅ぼし善なるものを救うと言う光は、灼滅者の傷を癒していく。だが、戦いが進むにつれ、癒せない傷も増えている。ちらりと壬生狼組の二人を見た。彼らもそれなりに傷を負っているようだ。こちらに余裕があれば癒してあげたいのだが、正直、そこまで手が回らない。
いや、と。真琴は思い直したように首を振った。
回復の手を失えば、敵は先細りになるはずだ。それに壬生狼組だって、すぐに倒れるほどではない。
「さあ、これで最後です」
戦場に悠仁の声がした。
どこか重苦しく、ともすれば禍々しいとさえ感じるガトリングガン『鈍色吐息』から撃ち出される無数の攻撃。ガトリングの連射で、白鼠の身体を蜂の巣にする。
あまりの勢いに、白鼠は吹き飛び、穴だらけになった身体を壁に打ち付けた。
「が、ぁ――」
回復する間も無く、白鼠も消える。
「……次は、白菫と白藍です……」
蒼が己の片腕を巨大異形化させた。
前衛の敵を叩くのなら、近い射程の攻撃も届く。
「了解よ。城攻めぐらいやってやるわ」
頷き、明日等は妖の槍を構えた。既に何度か壬生狼組の攻撃を食らっている白菫は、ぎくりと表情をこわばらせる。回復の術を失った事も理解したようだ。
二人は同時に走り出し、白菫との距離を一息で詰める。
その後ろからすばやく近づいてきたリンフォースが、援護するように猫魔法を飛ばした。
「ぬ、う?!」
一瞬、白菫がよろめいた所を見逃さない。
明日等が槍を突き立て身体を抉り、蒼が勢いをつけて腕を振り下ろした。
白菫の身体が砕け散る。
「お、おおおおー?! 白菫!! 白菫ェェェェェェ!!」
それを見た白藍が大声を上げた。他の羅刹達にも焦りの色が見える。
灼滅者達は互いに励ましあいながら、さらに攻撃を重ねた。
●白の羅刹達の最後、そして
回復役を失い、自分達をまとめていた白菫を失い、羅刹達は動揺した。
スサノオ壬生狼組の二人が、その隙を付くように中衛の羅刹達を斬り伏せていく。彼らを自由に戦わせ、自分達は彼らをフォローしながら、かつしっかりと目標を定め戦った灼滅者達の戦い方が功を奏したのだろう。
ここまでくれば、後は確実に仕留めていくのみだ。
「もう一息、頑張るでござるよ」
前衛の敵なら神霊剣が届く。
ブレイブが白藍にクルセイドソードを付き立てた。その一撃は、重い。
敵の霊魂と霊的防護を打ち砕くように、斬り伏せるのだ。
「は、ぁ、ああ」
震える白藍の身体から剣を引き抜く。
一番前で激しい攻撃を繰り返していた羅刹は、それで消えた。
気付けば敵も白藤のみ。
ヴィントミューレは鋭い裁きの光条を出現させる。
「この不毛な戦いを今こそ終わらせてあげるわ」
その光が、真っ直ぐ白藤に降り注いだ。
「受けなさい、これが貴方がたに与える洗礼の光よ」
「い、いや、だ。あ、ぁあ、ぁ」
逃れる術も無く、白藤も消え去った。
一時、静寂。
スサノオ壬生狼組が刀を納める音が響く。
「今回は私たちの勝ちね」
ヴィントミューレは、ぼそりと呟いた。
それぞれの無事を確認した灼滅者達は、天守閣を目指した。
途中城内を見たが、既に非戦闘要員達の姿は無く、どうやら避難した後のようだということが分かった。
「ここも空っぽ? 天守閣のダークネス達は撤退した後って事かしら」
明日等が誰も居ない天守閣を見回した。
「……敵を沢山逃がしてしまった、のでしょうか?」
蒼の言葉を否定する者は居ない。
「けれども、皆さんが無事で良かったです。スサノオ壬生狼組の方達も」
真琴がそう言うと、皆の視線がスサノオ壬生狼組の二人に集まった。
「いい戦いだったわね」
ヴィントミューレが話しかけたが、スサノオ壬生狼組は既に歩き始めている。もう少し話をしたいと思っていた者も居るのだが、どうやら彼らにその気は無いようだ。
「僕たちが出来るのは此処までだ。あとは、貴様たちで切り抜け」
无凱の言葉を聞いて、壬生狼組の二人がちらりと視線をよこす。
再び会い見えるときは……敵か味方か。神のみすら知らぬ。彼ら次第だ。
「取りあえず、ご武運をとてもいっておく」
「フン。敵も多く逃がしてしまった」
「完勝とは程遠い」
そして、スサノオ壬生狼組の二人は去っていく。
「撤退するダークネスを撃破するチームは居ないようですね。……敵の退路を遮断しておけば、もっと良かったかもしれません」
悠仁は少し残念そうに、がらんとした天守閣を見た。
「それでも、少ない損害で伏見城を制圧する事には成功したようでござるし。まあ、戦闘中に誰かが天守閣を制圧できていれば、もう少し有利に闘えたのかも知れぬでござるが」
いや、戦いは終わったのだと。
ブレイブは皆の顔を見て、武器を収める。
「うーん。壬生狼組の隊士服を羽織ってみたかったですね」
少々残念そうに炬燵が呟いた。サイズが合うなら、代わりに半纏を貸しても良かったのだが。なかなか打ち解けて仲良くとは行かない相手だったのだろう。
さて、ブレイブの言葉通り、伏見城の制圧には成功したのだ。
灼滅者達はそれぞれの無事を確認し、学園に帰還した。
作者:陵かなめ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年2月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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