油揚げを寄越せ!

    ●都内某所
     緑風・玲那(ラストフェザー・d17507)は、こんな噂を耳にした。
     『油揚げを供えないと襲い掛かってくる狐の都市伝説が存在する』と……。
     この都市伝説は稲荷神社を根城にしており、油揚げを供えなかった一般人に襲い掛かっているらしい。
     都市伝説は九尾の狐のような姿をしており、怨念の塊を弾丸の如く飛ばして攻撃を仕掛けてくるようである。
     しかも、怨念の塊は命中すると、相手の体に纏わりつき、『油揚げが食べたい、油揚げが食べたい』と呪文の如く繰り返し、全身を覆いつくそうとするようだ。
     そう言った事も踏まえた上で、都市伝説を灼滅するのが、今回の目的である。


    参加者
    若生・めぐみ(歌って踊れるコスプレアイドル・d01426)
    皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)
    諫早・伊織(糸遊纏う孤影・d13509)
    緑風・玲那(ラストフェザー・d17507)
    韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)
    魅咲・狭霧(中学生神薙使い・d23911)
    仮夢乃・流龍(夢を流離う女龍・d30266)
    鍵山・このは(天涯孤独のフォクシーウルフ・d32426)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「今回は九尾の狐のような姿をした都市伝説ですか……。曲亭馬琴の南総里見八犬伝では九尾の狐は瑞獣として登場していたのに……」
     魅咲・狭霧(中学生神薙使い・d23911)は複雑な気持ちになりながら、仲間達と共に都市伝説が確認された神社に向かっていた。
     都市伝説は神社を根城にしており、油揚げを供えない一般人に襲い掛かって、トラウマを植え付けているようだ。
    「狐と油揚げの組み合わせは色々とあるみたいですが……、まさか都市伝説もあるとは……」
     緑風・玲那(ラストフェザー・d17507)が、険しい表情を浮かべた。
     都市伝説がどういった噂から生まれたのか分からないが、とにかく厄介な存在である事は間違いなさそうである。
    「うーん、油揚げは美味しいけど、それをお供えしてくれないと怒ってくるっていうのは、困ったものだねぇ」
     仮夢乃・流龍(夢を流離う女龍・d30266)が、深い溜息をもらす。
     それが原因で参拝客も減っているため、やっている事が裏目に出ている気もするが、本物の稲荷神ではないので、当然なのかも知れない。
    「ちゃんと祀らないと、祟る神様って、確かにいるそうですけど、稲荷神は違いますよね……どこでどう間違ったんでしょうね?」
     若生・めぐみ(歌って踊れるコスプレアイドル・d01426)が納得のいかない様子で、仲間達に疑問を口にした。
     おそらく、それは都市伝説が本物の稲荷神ではないため。
     噂によって生まれた存在であるからだろう。
    「とりあえず、油揚げが……好きみたいだし……大量に持って行こうか……。せめて、狐変身が……出来ればよかったんだけど……」
     皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)が犬変身で、狐っぽい犬になった。
    「まぁ、油揚げおいしいからなぁ……。供えてほしい、てのは分かりますけど、むりやり供えてもらうもんでもありまへんやろ。……ってか稲荷寿司、はあかんのやろか?」
     諫早・伊織(糸遊纏う孤影・d13509)も何気ない疑問を口にしながら、犬変身で狐っぽくなった。
     そもそも、都市伝説は噂から生まれた存在。
     それ故に、噂に逆らう事が出来ないため、油揚げ以外のモノは受け付けないのだろう。
     そういった事を考えると、可哀想に思えてくるのだが、犠牲者が出ている以上、放っておくわけにもいかなかった。
    「さて、問題の神社はここだな。試しに、油揚げを供えてみるか?」
     流龍が都市伝説の確認された神社に辿り着き、油揚げを沢山詰めたタッパーを供えようとする。
    「あ、あぶらあげ……じゅる……(心の声:き、狐じゃないのに……食欲には逆らえないの……)」
     それに気づいた鍵山・このは(天涯孤独のフォクシーウルフ・d32426)が、反射的にじゅるりと涎を垂らす。
    「鍵山さんも油揚げ食べます?」
     玲那が袋の中から油揚げを取り出し、もふもふと食べ始めた。
     そこで玲那の脳裏に疑問が過る。
     狐っぽい狼である彼女に、油揚げをあげたら、どうなるか、と……。
    「き、狐じゃないもん! 狼だもん!!」
     その途端、このはがムッとした様子で、ぷいっとそっぽを向いた。
    『油揚げを寄越せ~!』
     次の瞬間、恨めしそうな声が、地の底から響き渡った。
     この様子では都市伝説が姿を現したのだろう。
     いまのところ、実態を確認する事は出来ないが、この近くにいる事は間違いない。
    「えっと、油揚げ、いっぱい捧げますから、満足したらじょうぶつ……じゃなかった、灼滅されてくれませんか?」
     すぐさま、めぐみがアイテムポケットから油揚げを取り出し、都市伝説に語り掛けながら一枚ずつ供えていく。
    『もっとだァ~。もっと、寄越せ~』
     しかし、それでも都市伝説は納得しない。
    「では、どうぞ……いっぱいありますから、安心してくださいね」
     そう言って、めぐみが油揚げを積んでいくが、都市伝説の声が止むことはない。
     それどころか、すべて寄越したとしても、足りないといわんばかりに、恨めしそうな声を響かせる。
    「ごめんなさい、こんなに食べるとは思わなくて……でも、そろそろ満足しましたよね。灼滅しますね」
     最後には油揚げが尽きてしまい、めぐみが申し訳なさそうに謝った。
    『駄目だァ~。他のヤツも油揚げを供えろォ~!』
     だが、都市伝説は決して自分の考えを改めず、仲間達が持っている油揚げまで要求した。
    「ここまで油揚げが食べたいっていう狐の都市伝説を相手するのは初めてだなー」
     そんな中、韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)が、持参した油揚げをはむっと食べる。
     どちらにしても、ここで大人しくなられると、戦う事が出来ないため、わざと怒らせた方がいいと判断したのだろう。
     その間に狭霧がサウンドシャッターを発動させ、都市伝説の恨めしそうな声が外に漏れないようにした。
    『油揚げを、もっと寄越せ~』
     次の瞬間、都市伝説が土の中から飛び出すようにして、狭霧達の前に姿を現した。

    ●都市伝説
    「おっと、出たな狐野郎! かなりでかいな! 尻尾の数が多いのが大きく見えるだけか!? どちらにしても、気合を入れていかないとまずそうだな!」
     それを目の当たりにした流龍が、スレイヤーカードを構える。
     都市伝説は巨大な狐の姿をしており、禍々しいオーラを身に纏っていた。
    (「……というか……七不思議使いがいたら……この狐……飼えるんじゃ……?」)
     零桜奈がそんな事を考えながら、都市伝説に視線を送る。
     おそらく、この場に七不思議使いがいたら、もう少し違った展開になっていた事だろう。
     しかし、七不思議使いがこの場にいない以上、都市伝説と戦うしかなさそうだ。
    「まずはこの蹴りを受けてみろぉーっ!」
     その間に流龍が都市伝説めがけて、グラインドファイアを放つ。
     それに気づいた都市伝説が恨めしそうな声を上げ、怨念の塊を飛ばしてきた。
     すぐさま、流龍が横に飛んで攻撃をかわしたものの、そのまま勢い余って、すってんころりん。
     ゴロゴロと転がりながら、ブロック塀に激突した。
    「……油揚げ……美味しい……なの……」
     一方、このはは流れ弾を食らうような形で怨念の塊が命中し、何かに取り憑かれた様子で油揚げを食べ始めた。
     この様子では、ずっと油揚げを食べずに我慢していたのだろう。
     自分の意志では止める事が出来ず、口の中に押し込むようにして、油揚げをもふもふと食べている。
    「どうやら、戦うしかないようですね」
     そんな中、狭霧が都市伝説を見つめて、残念そうに溜息を漏らす。
     この様子では都市伝説も引くに引けない状況になってしまっているのだろう。
     どちらかが倒れるまで終わらないと言わんばかりに、都市伝説が鼻息を荒くした。
    (「ほんま……油揚げに飢えはったんやね……」)
     伊織が色々と察した様子で、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
     おそらく、この神社にはしばらく油揚げが供えられていなかったのだろう。
     そう思ってしまうほど、都市伝説は油揚げに飢えていた。
    「久々に堅苦しい依頼ではないので、気楽におふざけといきましょうか!」
     そう言って玲那が両手に手甲を装備しながら、殺界形成を発動させる。
    『油揚げを……寄越せええええええええええええええええええええ!』
     それでも、都市伝説は怯む事なく、再び怨念の塊を飛ばしてきた。
    (「油揚げを……寄越せえええええええええええええ」)
     その途端、彩蝶が油揚げに飢えたケモノと化し、零桜奈に覆い被さるようにして飛び掛かる。
    「……うわっ!」
     それと同時に零桜奈が尻餅をつき、彩蝶の胸に挟み込まれた。
    「んんっ!」
     これには零桜奈も驚き、起き上がろうとしたものの、間違って彩蝶の胸に揉んでしまい、ハッとした表情を浮かべる。
    「ひゃんっ!?」
     その影響で彩蝶が我に返って、恥ずかしそうに胸元を隠す。
    「荒ぶる蒼炎よ……薙ぎ払って!」
     その間に、このはも何とか我に返り、今まで油揚げを食べていた事を誤魔化すようにして、都市伝説にレーヴァテインを炸裂させる。
    『ウガアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
     次の瞬間、都市伝説が断末魔を響かせ、弾け飛ぶようにして消滅した。
    「恐ろしい都市伝説だったな……」
     流龍が転がりすぎた反動で目を回し、気持ちが悪そうに口元を押さえる。
     何とか最悪の事態は回避したものの、何かの拍子にリバースしそうなほど危険な状況だった。
    「……あ、油揚げに……釣られてしまった……なの……」
     このはもションボリとした様子で肩を落とす。
     それでも、まだ油揚げが食べ足りなかったのか、妙に落ち着かない様子である。
    「とりあえず、余った油揚げはお供えしておきますかね」
     そう言って、めぐみが余った油揚げを供える。
     その途端、このはが油揚げをガン見。
     思わず『ちょうだい!』と言ってしまいそうになったが、そんな事をすれば余計に狐扱いされてしまうため、寸前のところで首を振り、自分の気持ちを偽った。
    「もう、暴れないでくださいね」
     狭霧も同じように油揚げを供え、ゆっくりと両手を合わせる。
     そして、灼滅者達は玲那の誘いで、そのまま食事に行くのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年2月3日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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