琵琶湖・田子の浦の戦い~鬼火と二者択一

    作者:灰紫黄

     教室にはいつも通り、口日・目(高校生エクスブレイン・dn0077)の姿があった。黒板には少し丸い字で、連絡事項が書いてある。
    「集まってくれてありがとう。ちょっと話すことが多いから、注意して聞いて」
     先の伏見城の戦いは武蔵坂学園および天海大僧正の勝利に終わった。壬生狼組の消耗も少なく、天海は全軍で琵琶湖での決戦に臨むことになる。琵琶湖大橋ではすでに小競り合いも起きているという。
     天海大僧正からは、彼らが琵琶湖大橋で戦っている間、後方から安土城海神の拠点を攻撃してほしい旨の要請が来ている。この要請自体は協定通りであり、妥当なものだろう。
    「ただ、それだけじゃないのよね」
     琵琶湖決戦に呼応したのか、軍艦島も静岡県沖に出現、田子の浦海岸に上陸しようとしている。ザ・グレート定礎と安土城怪人による連携か、あるいは予知能力を持ったうずめ様によるものか。いずれにせよ、こちらも戦力を二分して対応する必要があるかもしれない。
     琵琶湖の決戦に大勝を収めることができれば、安土城怪人勢の壊滅もあり得る。だが逆も然り、敗北は天海勢力の滅亡を意味する。天海勢力の滅亡が直接に学園のダメージになるわけではないが、見ようによっては見殺しにしたととられかねない。今後の多勢力との交渉に悪影響を及ぼす可能性もある。
     一方で、田子の浦での戦いで圧勝できれば、軍艦島へ逆侵攻し、軍艦島勢力に大きな損害を与えることが可能だろう。彼らはそれほど大規模な勢力とは言えないが、有力なダークネスが多く、逆に戦力が大きく将の少ないセイメイとの合流は強大な組織の誕生となる。
    「どちらかに戦力を集中すれば確実に勝てるだろうけど、そうするともう片方が野放しになっちゃうの。難しいところね」
     戦力を二分すれば両方で勝利する可能性がある。だがそれはハイリスクハイリターン。同時に双方で敗北する可能性もあるのだ。両方とも情勢に大きな影響を与える戦いになるだろう。選択には、いずれ結果が伴う。
    「どちらへ向かうかは、みんなの選択に委ねるわ。言うのは簡単だって私も思うけど、後悔はないようにね」
     それから、と目は付け加える。
    「今回、田子の浦の方には前に遭遇した羅刹が出てくるわ。気性が荒くて危険な奴だから、戦うなら注意して」
     それぞれ、琵琶湖決戦では武者アンデッド、田子の浦ではキエンが敵となる。どちらも手強いが、特にキエンは凶暴だ。心して戦いに臨んでほしい。


    参加者
    水瀬・ゆま(箱庭の空の果て・d09774)
    カリル・サイプレス(京都貴船のご当地少年・d17918)
    シグマ・コード(フォーマットメモリー・d18226)
    久条・統弥(影狐抜刀斎・d20758)
    透間・明人(蜃気楼・d28674)
    エリザベート・ベルンシュタイン(勇気の魔女ヘクセヘルド・d30945)
    クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)
    茶倉・紫月(影縫い・d35017)

    ■リプレイ

    ●鬼炎と黄猿
     熱、熱、熱。キエンと対峙した灼滅者が感じたのはまずそれだった。キエンの体からは黄色い炎がにじみ、全身を干上がらせるような熱を放っていた。普通の人間では、サイキックを受けるまでもなく死に至るだろう。
    「貴様ら、灼滅者か。ここで軍艦島の雪辱を果たす。覚悟しろ!!」
     放たれる散弾のひとつひとつは鬼の顔。黄色い炎の妖が前衛のに食らいつく。攻撃対象が多くて分散するものの、それでも小鬼は前衛の全員に取り憑いた。
     田子の浦を選んだ灼滅者は少なく、戦況は厳しい。ここが限界線だ。負けられない。
    「あなたの相手は私です」
     透間・明人(蜃気楼・d28674)は光の盾を展開、キエンに殴りかかる。だが、熱波の壁に阻まれて命中には至らない。さらにキエンの体から起きる熱が陽炎となってその姿をゆらゆらと歪めている。動きの俊敏さと相まって捉えるのは難しい。
    「なら、止まれ!」
     狙うは速攻。早く攻め落とし、消耗を抑える作戦だ。シグマ・コード(フォーマットメモリー・d18226)が伸ばした腕の延長線上に影が伸び、巨大な黒い手が黄鬼を掴む。
    「そこです!」
     とん、と水瀬・ゆま(箱庭の空の果て・d09774)の足が地を踏む。瞬間、影が波打つ刃となり、黒手と入れ替わりに黄色のパーカーを切り裂いた。鮮血が飛び散るも、やはり蒸発。
    「どうした、こんなものかぁあっ!! ああ!?」
     叫べば熱気も増すような。地の底を揺るがすような咆哮だった。いくつもの戦場を乗り越え、灼滅者も力を付けている。攻撃は効いているはずだ。だが、それ以上に怒りが痛みを忘却させるのだろう。銃口がまた鬼を吐き出す。今度は散弾ではない。
    「させるか!!」
     紅盾を構え、クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)が射線に割り込んだ。牙を突き立てられ、熱が直接、全身の血管を通るような気さえする。それでも、足は一歩も退かない。それだけはしてはいけないと、そう誓ったから。
    「オメガインコさんの件……七不思議使いさんを操っていたのはあなたですか!」
    「貴様もいたか。俺はただの監視だったが……そうでなければ、八つ裂きにしてやったものを」
     癒しの光を飛ばしながら問うカリル・サイプレス(京都貴船のご当地少年・d17918)。九州の学校で起きた都市伝説事件に、キエンもいたのだ。おそらくタタリガミの機能試験のようなものだったのだろう。
    「貫け、行けっ!!」
     全身の神経を槍を握る手に集中し、久条・統弥(影狐抜刀斎・d20758)は駆けた。陽炎と熱波の中にさらに踏み込んで、螺旋の槍を見舞う。肉に穴を開ける感触。心地いいものではないが、敵を捉えた手応えはあった。
    「勇気の魔女は、鬼火も焼き尽くすよ!」
     エリザベート・ベルンシュタイン(勇気の魔女ヘクセヘルド・d30945)のエアシューズにはめられた石が輝いて車輪に魔力を充填、一気に加速した。脚はやがて真っ赤な炎を帯び、黄色い炎を文字通りに蹴散らした。
    「もっと、もっと燃えろ……」
     鬼火に反抗するように、茶倉・紫月(影縫い・d35017)の怪談蝋燭が変色。赤い火の花が咲けば咲くだけ、パーカーに焦げ跡を作っていく。
    「殺す、殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……っ!!」
     自らも傷付きながらも、傷付く灼滅者を前に殺意は温度を増していく。
     燃え尽きるのは、どちらか。

    ●灼滅と増援
     炎の小鬼は時間経過とともに数を増やしていく。当然、灼滅者も打ち消そうとするが、消しきれない分は分裂、増殖を繰り返す。回復役がサーヴァント使い一人では足りず、他の仲間の手を借りれば逆に攻め手が足りず、その間にまた新しい火種が起きる。短期戦どころか混戦だ。
     お互いが自らの勝利を信じて、殴り、撃ち、切り結ぶ。一進一退、敵を追い詰めるたび、こちらも比例して傷が増えていく。
    「俺達は足止めだ。あとから増援が来る」
     クレンドの腕が変化した大剣と、キエンの銃剣が火花を上げる。フードの中、闇に光る炎の目がにたりと歪んだ。
    「三下か貴様は。それとも俺を馬鹿にしているのか? どちらにせよ、お前は寡兵を白状したな。くくっ、くははははははは!!」
     これまで怒り狂っていたキエンが、初めて笑った。可笑しくてたまらないらしい。クレンドの言葉が本当なら、それを敵に教える利点は微塵もない。もしこんな虚言で撤退させられると考えていたなら、笑いが止まらなくて当然だ。
    「くはははははっ!! 愉快だな灼滅者、踊れ踊れ!」
     回復よりも攻撃を重視していたキエンだったが、頻繁に回復を挟むようになった。散弾と交互に使用し、より長く灼滅者を苦しめようとしているように見えた。
    「このっ!」
     統弥は半身を炎に包まれ、熱と光にのまれそうになる。状況を打開するためには攻撃しかない。武器ごと寄生体が腕を飲み込み、生物剣となって鬼に喰いかかる。
    「マジで面倒くせェ……」
     大鎌を振り回し、毒づくシグマ。束縛も麻痺も、すぐに回復される。全てではないが、やはり狙った通りの効果は出せない。お互いにどんどん限界に近付いていく。向こうはそれでも良いだろうが、灼滅者側はそれでは困る。敵は、キエンだけではないのだから。
    「短期決戦を狙うには、考えが甘かったようですね……」
     明人の眼鏡には、炎で体積を減らしていくビハインドの盾が映っている。未だ攻めきれず、守りを固めるには回復はおろそかだ。
     攻撃と防御、回復をすべて満たそうとすれば天秤は釣り合う。攻撃に傾けねば、短期戦にはなるまい。結局のところ、リスクを負わずに短期決戦など不可能。そしてその中途半端さはキエンの好物だ。攻めきれぬうちに火が回る。
    「ははっ、はははははははは!!」
     増援がないと踏んだキエンはいくらでも粘る。それこそ死ぬまで。
     灼滅者の攻撃は確実にダメージを与えている。一年前の軍艦島や博多の時ならともかく、今の灼滅者にとっては倒せぬ敵ではない。向こうもそれを分かっているのか、戦い方はもはや時間稼ぎと嫌がらせだ。
    「ヴァレン、頑張って……」
     霊犬のヴァレンはようやく立っているという様子だ。カリルは後衛からみんなを支えようとするが、彼だけでは無理だ。悔しさで手に力が入り、爪が肌に食い込むほどに固く握っていた。
    「っ、当たって!」
     呪いの弾丸がキエンを捉える。それでもまだ致命傷にはならない。早く、早く、早く。早く倒さなければ。そう分かっているのに、それができないことも多分に理解していた。このままでは誰かが倒れる、失ってしまうかもしれない。それだけは嫌だと、ゆまの心は悲鳴を上げていた。
     応酬は続き、戦場は血みどろ。長期戦になりつつあった。そんな中、当たりを引いたのは紫月だった。
    「! なんとか、なった……?」
     苦し紛れにはなった鋼糸がキエンの左半身を切り飛ばした。偶然では、ない。序盤に命中精度を上げたことが今になって利いたようだ。長期戦にならなければ、運のいい一撃はなかっただろう。これも因果か。
    「これで終わりだよ! Aureole Lanze――貫け光条!」
     エリザベートの詠唱。魔力の光を束ねた槍は速度によってさらに激しい閃光を生み、一瞬のうちにキエンを穿った。それだけでは足らず、螺旋の光がパーカーごと体を消し飛ばす。
    「は、はははははははは!!」
     首だけになり、もはやそれすら消えかかっているというのにキエンは笑っていた。
    「何が可笑しい?」
    「いやな、皮肉と思ってな。――俺は足止めだ。じきに本体が来る……その言葉、そっくりそのまま返してやる」
     キエンの消滅も見届けぬまま、灼滅者達は弾かれたように海岸に視線を向けた。
     アフリカンパンサー、ザ・グレート定礎、うずめ様、大悪魔フォルネウス。筆頭たるダークネス達とともに、軍勢が田子の浦に上陸した。

    ●決意と覚悟
     ダークネスの軍勢の背後で、軍艦島が沈んでいく。軍艦島を動かしていたサイキックエナジーをすべてこの戦いに投入したのだろう。総攻撃に転じるつもりらしい。
    「スイミングコンドル号は……あっちです!」
     カリルの指差した先には、スイミングコンドル号の姿が。軍艦島とは少し離れたところに泊まっており、ちょうど、中からダークネスが出撃してくる。
    「あれは、アメリカンコンドル……」
     と紫月。流石にその声には少しの動揺が混じっている。
     配下を引き連れた有翼のご当地怪人。その姿を見間違えるはずもない。ご当地怪人を束ねる、ご当地幹部なのだから。
    「これは、まずいですね……」
     眼鏡をくいと直し、明人が呟いた。アメリカンコンドルと怪人は正面から灼滅者と交戦せず、背後に回り込もうとしている。挟み撃ちだ。
    「俺達がみんなの退路を守るんだ」
     挟撃が成功すれば、こちらは退路を断たれて全滅だ。クレンドはビハインド、プリューヌはすでに傷付いていた。他の仲間も状況はほぼ同じ。
    「うん、やろう。それがボクらのできることなら、それをすべきなんだ」
     胸の前で拳を固く握るエリザベート。すでに疲労困憊、それでもまだ倒れてはいない。たとえ困難でも、守るべきものがある限り正義は折れないと信じている。
    「ええ、私もここにいるみなさんを守りたいです」
     できれば戦いは避けたかったが、もう不可能だ。だが、不思議とゆまは微笑んでいた。絶望からではない。この場でもまだできることがあるという、希望ゆえに。
    「しゃあねぇな……やってやる」
     不敵に笑むシグマ。こうしている間にも包囲網は着々と狭まっている。決断に猶予はない。しかし迷いもない。
    「ああ、行こう!」
     統弥を始め、灼滅者は一丸となって動き出した。狙うはアメリカンコンドル。その翼が仲間を切り裂く前に、邪星を討て。

    ●血戦と幹部
     アメリカンコンドルは震えていた。盟友ゲルマンシャークの仇を討つ機会が、ついに来たのだ。ここにいる灼滅者を全滅させれば武蔵坂学園に大きな損害を与えることができるだろう。
    「Oh、見ていマスカ、シャーク……今コソ憎き灼滅者ドモの首をユーに捧げまショウ!! ダアアアアァァァ、い!?」
     コンドルが黒翼を広げた瞬間、灼滅者の一斉攻撃が殺到した。カリルとヴァレンの連撃が、シグマの影の腕が、ゆまの魔弾が、紫月の火花が、クレンドとプリューナの盾が、エリザベートの槍が、明人と盾の体当たりが、次々に鳥怪人に命中した。
    「アメリカンコンドル、お前の好きにはさせない!」
     プリューヌトともに盾を構え、敵に立ちはだかるクレンド。背後に線が引いてある気がする。ここより先に敵を通せば敗北という、絶対の生命線が。足で楔を討つように、地面を踏む。
    「シィット!! 小賢しイ!」
    「あなたも人のことは言えないでしょう!」
     腹の星から放たれたビームを、ゆまが受け止める。左半身が光にのまれ、感覚もなくなるほどに焼き尽くされる。でも、まだ立ち上がる。
    「まだまだなのです、頑張りましょう!」
     カリルの霊縛手が軋み、装甲を開いた。秘められた祭壇が淡く輝き、ゆまを癒す。ヴァレンも同じく、回復を飛ばす。仲間が、敵を討つまで、あるいは撤退するまで、持ちこたえる必要がある。
    「当たれ、届け!」
     高速で羽ばたくアメリカンコンドルの背後に、光の帯が追いすがる。エリザベートの手から伸びたものだ。敵のターンに合わせ、指先で巧みにコントロール。ついに黒羽を切り裂く。
    「隙ありです」
     わずかにバランスを崩したアメリカンコンドルの正面に、明人が現れた。光の盾で殴るも、回避される。けれどその先に盾がいて、霊気を纏ってぶつかりに行く。
    「こんなものじゃ、ない!」
     キエン戦時もそうであったが、統弥の攻撃は明確な優先順位や選択基準がなく、精彩に欠ける。見切りは避けるものの、それ以外は行き当たりばったりだ。それでも、今ここで立って戦っているには十分だ。倒れるまで、攻撃し続けるのみ。
    「は、あんまし舐めんなよ?」
     シグマの大鎌から生み出される斬撃の波が、宙に浮かぶアメリカンコンドルを揺らす。列用の攻撃を敵単体に使うのは些か効率が悪いが、攻撃力を少し弱めるくらいならこと足りた。
    「やれることしないと、後悔するから」
     銀の帯の群れが敵めがけて伸びる。ほとんどはかわされるが、やがて一本は足を掠めた。これで仕留められるとは思っていない。でも、突破されれば、戦線は崩壊する。それだけでも、紫月には戦う理由になる。
    「イイでショウ、灼滅者。ここまで本気なら、真のディスペアというものをティーチしてあげまショウ。
     ―――ブラックマンデーショック!!」
     咆哮が聞こえた瞬間、灼滅者の視界は暗転した。アメリカンコンドルの全身から漆黒の光線が放たれ、視界を埋め尽くしたのだ。希望が絶望に変わり、自分の手から何もかもが零れ落ちていく……そんな幻が脳裏に浮かんでは消えていく。やがて、全てがゼロがになって、意識は断絶した。
    「Oh、脆いものデスネ」
     勝利を確信し、ゆったりと着地するアメリカンコンドル。それほどに、今の攻撃は絶対的だった。前衛は全て戦闘不能に陥ったのだ。
    「HAHAHA、残った灼滅者もスグにブラッドフェスティバルしてあげ、マ!?」
     漆黒の壁を突き破り、二つの影がアメリカンコンドルに迫った。予想以上の速度に、敵の表情に初めて焦りが生まれる。
    「やらせないよ」
    「いざ、勝負なのです!」
     それは闇堕ちした紫月とカリルだった。その存在感は先ほどまでとはまるで違う。殲術道具はエナジーとなって溶け、異形の存在と化していた。蝋燭の先端から鋼の糸が伸び、その上を炎が伝う。回避運動をとった黒い羽根に飛び乗り、何発も連打を放つ。
     閃光、衝撃波、あるいは漆黒の闇。三つの異形はくるくる回って、瞬くように戦いの渦となった。
    「オット、ここまでにしまショウ」
     待ったをかけたのはアメリカンコンドルだった。その視線は、撤退を始めた他の灼滅者に向いている。もはや挟み撃ちは狙えない。アメリカンコンドルの企みは阻止できたのだ。
    「どうやらタイムアップのようです。ユー達のファイティングスピリッツに敬意を払って、ミーはさっさと撤退しマース」
     アメリカンコンドルは配下に撤退を命じ、自身もスイミングコンドル号に戻っていった。
    「ソーリー、シャーク」
     と呟きを残して。
     アメリカンコンドルは白の王と合流するつもりはないのか、スイミングコンドル号はどこかへと去っていった。
    「では、お願いしますです」
    「んじゃ」
     闇堕ちした二人は限界を迎える前に立ち去った。力を制御できる時間には限りがある。この場にいては、仲間だって危ういから。
     まだ立てる者は、倒れた者を支えて撤退する。やけに冷たい海風が、背を叩いた。

    作者:灰紫黄 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:カリル・サイプレス(京都貴船のご当地少年・d17918) 茶倉・紫月(影縫い・d35017) 
    種類:
    公開:2016年2月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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