●
「お疲れ様! 伏見城の戦いでは無事に勝利することが出来たわね」
遥神・鳴歌(中学生エクスブレイン・dn0221)が集まる灼滅者たちに向かって言った。
「スサノオ壬生狼組の被害が少なかったこともあって、天海大僧正は、全軍を琵琶湖に向かわせて、安土城怪人との決戦に挑もうとしているみたい」
既に、琵琶湖大橋では両勢力のダークネスがにらみ合いを始めており、小競り合いも始まっているとか。
天海大僧正勢力からは、自分達が琵琶湖大橋で戦線を膠着させている間に、後方から安土城怪人の本拠地を攻撃して欲しいという要請が入っている。
「この要請は協定に沿ったものだから、問題は無いのだけれど、この戦いに呼応して、想定していなかった事件が発生したわ。
――第2次新宿防衛戦直後から行方をくらませていた軍艦島が、静岡県沖に出現して、田子の浦の海岸に上陸しようと近付いてきたの!」
「この忙しい時に!?」
灼滅者の言葉に、そうなのよ、と頷く鳴歌。
「軍艦島の出現……偶然、では、無いな?」
違う灼滅者の言葉に、またも頷く鳴歌。偶然ということはありえないだろう。
「恐らく、日本のご当地幹部であるザ・グレート定礎が、安土城怪人勢力と連携して作戦を行ったと想定されるわ。
或いは、エクスブレインの予知と別系統の予知能力を持つ、刺青羅刹・うずめ様による作戦かもしれない。
どちらにせよ、武蔵坂学園は戦力を二分するか否か、対応する必要がでてしまったみたい。
琵琶湖の戦いを優先するか、軍艦島の戦いを優先するか……。
どちらが正しいかは判断できないわ。
作戦に参加するみなさんの意思で、どちらの戦いに赴くかを決定して欲しいの」
鳴歌は言葉を続けた。
「琵琶湖の戦いに大勝利すれば、安土城怪人の勢力を壊滅させることも可能。
逆に、琵琶湖の戦いに敗北すれば、天海大僧正の軍勢は壊滅してしまうわね」
天海大僧正勢力が壊滅することは、致命的な問題ではないだろうが、武蔵坂が協定を反故にして見殺しにしたということになってしまうのは、今後のダークネス勢力との交渉などに悪影響を与えてしまうかもしれない。
「田子の浦の戦いに大勝利すれば、上陸しようとする軍艦島に逆侵攻して、軍艦島勢力を壊滅させることが出来るかもしれない。
逆に、田子の浦の戦いに敗北した場合、軍艦島勢力が白の王勢力に合流してしまう可能性が高くなる」
軍艦島勢力は、勢力規模として大きくはないが、有力なダークネスが多く参加している。
この軍艦島勢力と、戦力は大きいが有力な将が少ない白の王勢力と合流することは、強大なダークネス組織の誕生を意味するため、阻止できるのなら阻止したいところ――と、鳴歌は言った。
「戦力を2分して戦えば、両方で勝利できる可能性もあがるけれど、両方で敗北する可能性も高まるわね」
大きなリスクを抱えることになる。
どういう結果が出たとしても、この戦いの結果が、今後の情勢に大きな影響を与えるのは間違いないだろう。
「今回は、どの選択が正しいということはないと思うの。
だから、どちらの戦場で戦うかはみなさんにお任せします。
より良い未来につながるよう――そう願ってるわ。頑張って」
強く、しっかりとした鳴歌の声に、灼滅者達も頷くのだった。
参加者 | |
---|---|
ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125) |
木島・御凛(ハイメガキャノン・d03917) |
志賀野・友衛(高校生人狼・d03990) |
不動峰・明(大一大万大吉・d11607) |
備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663) |
木元・明莉(楽天日和・d14267) |
高嶺・楠乃葉(餃菓のダンプリンフィア・d29674) |
上里・桃(生涯学習・d30693) |
●
琵琶湖大橋。
轟音と喊声がこの地を覆い、戦いの空気に満ち満ちている――その時、天海大僧正軍と戦う、安土城怪人軍の後方から鬨の声が上がった。
「何者だ!」
「本陣を防衛しろ!」
「討ちにゆけ!」
言葉が飛び交い、安土城怪人の配下達が散開した。
襲撃者達に向かって。
敵軍の布陣をマークし、他班と共有を済ませた灼滅者達が琵琶湖大橋へと続く路を駆ける。
そこへ一体の武者アンデッドが彼らの行く手を遮った。今にも太刀を抜き放とうとする敵の前に、狼耳をピンと立てた志賀野・友衛(高校生人狼・d03990)が出て注意をひく。
「天海大僧正との協定・要請に沿い、この戦、介入させてもらう!」
「寄手が童衆とは! 精鋭が一人、砂浄が返り討ちにしてくれるわ!」
続く名乗りで作られた七拍。この時、備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)の手によってサウンドシャッターが施され、跳びこんだ遮蔽物越しに木島・御凛(ハイメガキャノン・d03917)が冷気を生み出した。
砂浄が太刀を抜くよりも早く、灼滅者達が攻勢に出る。
敵の懐に踏みこんだ木元・明莉(楽天日和・d14267)、半身を捻り下方に引いた拳に雷気が宿った。
「先手を取らせてもらう!」
突き上げられた一打と昇雷。
「さっさと片付けるわよ」
刹那、間髪を入れずに御凛の冷気のつららと、不動峰・明(大一大万大吉・d11607)による高純度に圧縮された魔法の矢が次々と敵を穿ち、射抜いた。
間を狙って動いた友衛が、半獣化した腕を懐に跳びこむと同時に薙いだ。
灼滅者の連携が砂浄の初手を抑えている。
「さあ、気合入れて行こ!」
交通標識を掲げ、黄色標識にスタイルチェンジさせたミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)が声を張った。その目は注意深く、敵の装いに向けられている。片腕に巻き付いた鎖は途中やや緩やかに腰の鎌へ、太刀は反りが激しく両手で扱うものだ。
「星に願いを」
スレイヤーカードを解放した上里・桃(生涯学習・d30693)が重力を宿した蹴りを放てば、流星の煌きが弧を描く。
鋭く胴に入った攻撃に砂浄はよろめいた。
「高嶺さん!」
「任せるのよ」
応じる声がした時は既に――封印を解除し、チョコ餃子怪人『ダンプリンフィア』の姿となった高嶺・楠乃葉(餃菓のダンプリンフィア・d29674)が、ダンプリングドラグーン・Type-Axeを上段に構え跳躍していた。降下の勢いに乗り、砂浄を叩き斬る。
身長と同等の細長い巻物を鎗輔が振れば、閃雷が起こった。
「まずは、ここで勝ちをおさめないとね」
「戦は水ものという。油断せずにいこう」
鎗輔の言葉に頷いた明が続けて言う。連携を重ね、先制は灼滅者が取った。このまま、おしきるのが理想である。
「その勢い、いつまでもつか!」
抜刀した敵の居合。友衛を狙った抜き胴が、跳びこんできた霊犬のわんこすけに入る。
●
音を鳴らして鎖が走る。
微かな滞空に、弧を描く鎖鎌から黒き波動が放たれ前衛を薙ぎ払う――が、攻撃を予測していたミカエラの対応は早い。
天星弓から交通標識に持ち替え、列回復が飛ぶ。
「友衛、あとよろしくっ」
「ああ、任せてくれ」
尾を一振り、癒力をこめた矢。弓を引き絞る友衛の先には、攻撃手を庇いかつ鎖を掴み引く明がいた。
短期決戦。その目標は連携に厚みを加えている。
体を持っていかれるよりは、と鎖を緩ませた砂浄が飛び退き、それに追随するのが明莉だった。
その後ろを楠乃葉が取る。片脚と地を穿った斧を軸に、煌きと重力を宿した蹴りを放つ。
武者鎧が砕け、前のめりになったところを明莉の幅広い銀色の大刀が胴、頭蓋へと斬り上げた。
上段から下段へ、刃につく乾いた肉を払い様身を屈めたところに、桃の光輪が次々と敵の頭部に着弾する。
兜が落ち、砂浄の砕けた頭蓋骨は残り半分。
「これ程の力を持つとは! しかし貴様らが、安土城怪人様に餓狼が如く群がるのを、儂はよしとせぬ!」
一つとなった眼窩は虚であるはずなのに、覚悟が宿ったかのように、灼滅者達には見えた。
そこから更に二手、一人へと標的を絞った砂浄だったが、ことごとく守り手に邪魔をされる。
そして注意深く観察する灼滅者達は気付いていた。この敵には術式が実によく効く。
御凛がマテリアルロッドを回すと、その先端は魔術により起こされた雷。
「そろそろ倒させてもらうわよ!」
柄を両手で持ち、フルスイングした御凛が雷を飛ばす。鋭い線を描くそれの直撃後を狙って鎗輔が敵の懐に入った。
「おのれ……!」
怨嗟に濡れた声。
身を捻り旋回させた古書キックが敵の胴を真っ二つにした。
淡々と静かな表情を見せる鎗輔の目前で粉砕した砂浄が、塵となり地に積もる。鎖鎌が遅れて埋まるようにさくりと落ちた。
武蔵坂学園の進軍は続く。
安土城怪人の周囲を固めるのは、多数のアンデッド。そして精鋭と思わしき部隊。
「ゲリラ戦だね、まるで」
鎗輔の呟き。積極的に灼滅者を守ってきた霊犬のわんこすけが消えるのを目にしたところだった。
しつこさを感じるほどに、敵が灼滅者を討ちに向かってくる。
しかし、この時、武蔵坂学園の士気は高かった。目に見える範囲に仲間がいるということは心強くもあった。
敵を押しやり路を作る、そこに一班が入り、更に路を作る。長いように感じる時は短く。
その時、大音声が響き渡った。
撤退命令であった。
このまま戦っても勝ち目は無いと考えたのか、安土城怪人の命令は、自分がここに残って敵を食い止めるので、全軍撤退せよというもの。
それが、戦場に響き渡る。
畏れを纏ったミカエラが目前の敵を叩き伏せた。鋭く息を吐く。一瞬、静寂が訪れたのだろうか。音が遠くなった気がした。
次の瞬間には、嘆き、撤退に動く敵陣が迫り始める。
「行こう!」
ミカエラの声に、明莉が頷いた。
「伏見では取り逃がした。だからこれはもう加勢ではなく、俺達の闘い」
「今が好機――義理を返す時だ」
明が言う。
「倒しましょう」
そう言って、桃が駆ける。
逃げをうつ配下など敵ではない、が。
集う灼滅者達を迎えた安土城怪人の手には、チョコレート。
「!?」
チョコ。
「あれは……」
友衛が呟く。記憶から「それ」をすぐに引き出した。
「まさか、ここで巨大化フードを使わされるとは思わなかったぞ」
そういえば、そんなのがあった。
戦慄する灼滅者達。
チョコレートを食べた安土城怪人が、グンッ! と大きくなり始める。
「巻き込まれてしまう――! 一旦、下がろう!」
友衛の声とともに走ってきたところを駆け戻る。
「シリアスブレイカーにも程があるな」
らしいと言えば、らしいが、と明。
「ほんっと、トンデモナイわね」
これだからご当地怪人は……と、御凛が後退しながらも位置取りで攻撃力の増したオーラキャノンをぶつける。他班にも下がりながら攻撃を行う灼滅者達がいて、すぐに踵を返していた。
「どこまで大きくなるの」
今スターゲイザーで攻撃したら大変なことになりそうだと思った楠乃葉が走る。蹴ったら後ろにコロンとして潰されるそんな未来。
「さて、生き残れるかなぁ」
鎗輔の言葉に、うわあん、と嘆きの声を誰かがあげた。
●
『武力で天下統一を成し、ゆくゆくは世界征服を行なう我が野望、ここで潰えさせるわけにはいかぬ』
轟く安土城怪人の声。周囲に『天下布武』と書かれた旗幟が大量に現われ、林立する。その、角度。
「前衛、気を付けろ!」
風を操り刃を作る明莉の声に、友衛が楠乃葉の元へと走った。ミカエラが御凛の前に出る。
旗から放たれた安土桃山天下布武ビームは、天下を武で統一する程の強力なもので、灼滅者の身を穿つとともに様々な加護が打ち砕かれていく。
そのなかを狙撃組が一斉に攻撃し、回復がとぶ。
武蔵坂側の人数が多い分、絶え間なく攻撃が行われていた。
態勢を立て直し、返す刃で前衛アタッカーが一撃を決めた次手、空が何かに覆われた――火縄銃だ。
ぞっとした。
その数、三千の幻影。
『全ての銃口がお前達を向いているぞ。怖かろう?』
後衛へと長篠式三千丁銃撃ダイナミックが、豪雨の如く降り注ぐ。
「っ!!」
銃撃音が、土煙が、聴力と視界を奪い体を貫く数々の弾。たまらず膝をついた。
「今、回復するっ」
友衛の青剣から癒しの力が放たれる。風に変換された祝福の言葉が、後衛を癒していく。
「あれだけの銃口が……」
微かに震え、桃もまた味方の防護を高める小光輪を飛ばした。
「私達、今、何人くらいいるのかし、らっ」
御凛が撃つ轟雷が安土城怪人の脚に直撃し、青い光が周囲を走った。目の端に映るやや離れた位置にいる灼滅者達も懸命に回復と攻撃を重ねている。
「楠乃葉っ」
ミカエラが怪人に背を向け、手を組んで身を屈めた。
「ん、行くの」
走った楠乃葉がミカエラの手を借りて大きくジャンプ。龍の骨をも叩き斬る強烈な一撃を与え、着地する。
リーチの長い交通標識を手に、畏れ纏うミカエラが横一文字に薙いだ。
明が破邪の聖剣を地に突き立てた。赤い血が伝う。
「……蜂の巣になるかと思った」
なっていた気がする。血だまりを作る灼滅者達が懸命に回復を飛ばし、呟いた明もまた剣に刻まれた言葉を風に変換し、後衛に癒力を注いだ。
『巡れ我が体内のサイキックエナジーよ』
安土城怪人の言葉とともに、延焼したり、凍った部分が消えていく。体内のサイキックの巡りを活性化させる自己回復。
「キュアかぁ」
「うわぁ……」
鎗輔と、思わずといった声をあげる桃。それでも攻撃と回復の手は休めない。
「なあ! グローバルジャスティスの目的ってなんだ?」
ミカエラに飛ばされ、抗雷撃を叩きこんだ明莉は叫んだ。
激震を背に担ぎ、そのまま脚部・石垣にしがみついて駆けあがろうとしても、少しの動きで落とされてしまう。見れば他の灼滅者も懸命にしがみついている時がある。
安土城怪人にしてみれば他愛なく払い落とせる。
灼滅者達の声は、怪人に届かない――届いていたとしても、声は、多すぎた。
『灼滅者よ、お前達は何故、これほどの力を持ちながら……!』
まてしても安土桃山天下布武ビーム。コンバットクロスボウ越しに仲間達が貫かれる様を目にする鎗輔。
これは、勝てる戦いのだろうか?
敵の配下が退陣したとはいえ、本来ならば殲術再生弾が必要な戦いなのでは、と。
考え、彗星の如き威力を秘めた矢を射放つ。
「ま、やるしかないよね」
敵近くでは、連携に動く二人が。
「ミカエラさんっ」
「うんっ、行ってくる!」
身を屈め、手を組んだ桃の助力でジャンプしたミカエラが駆けのぼり、半獣化した片腕を思いっきり振ればくっきりと石垣に爪痕。
そんな彼女に向かって、桃が地上から癒しの矢を射放つ。
『グレイズモンキーよ、救援は無用。お前は生き延び、そして伝えるのだ』
(「ふぇんふぇん……」)
ミカエラが胸の内で呟き――目を瞠った。虚空では火縄銃による銃撃が行われる。
「走れ!」
明の声を耳にしながら、御凛が雷を安土城怪人へ次々と撃ちこむ。雷と火縄銃の、耳を劈く音。
後衛に位置する男子達は幸いであった。長篠式三千丁銃撃ダイナミックは術式、着用している物が回避力を高めている。
「蜂の巣はいやだしね」
淡々と鎗輔。
二度目の銃撃は、ほぼ回避に専念する明莉と明と鎗輔。
「後衛の助力に行ってくる」
「気を付けるのよ」
友衛が癒しの矢を放ちつつ背中越しに楠乃葉に声をかけた。同じく背を向けていた楠乃葉が答える。
体感したのは、戦場が広く、全体的に動線が長いこと。思い切って後衛の庇いに専念することにした。
楠乃葉の精度の上がってきたレイザースラストが安土城怪人へと向かう。
●
『まだだ、まだ倒れぬ。我が愛しき部下達が逃げ延びるまで、我は倒れるわけにはいかぬのだ』
怪人の富国強兵ヒーリング楽市楽座に、灼滅者達の嘆きの声があがる。
とはいえ、敵の回復行動は、態勢を立て直しつつ一斉に攻撃を仕掛けるチャンスでもあった。
「例え回復されてもこの一手、みんなの攻撃を合わせれば……っ」
御凛が冷気のつららをゆるす限り放ち続ける。
一方、やや後方。
「パターンがありますね」
桃がふと、気付いたことを言った。
怪人は順番に決まった攻撃と回復を行っている。
と、なれば次は――林立した旗に目を向け、仲間に伝えた。
間に鎗輔が霊犬を戦線に復帰させ、再びわんこすけが駆ける。
その数瞬後。
『我が命の輝きを見よ、天下布武ビーーームぅ!』
読みは当たる。安土城怪人の言葉通り、強烈な一撃を与えるビームが前衛を穿つ。
「行って!」
庇うミカエラに背を押された楠乃葉が敵の作った足跡に躓かないよう注意して、走り抜けた。
いつもならば武器を振る間合いを考えるところだが相手は大きい。ダンプリングドラグーン・Type-Axeを掲げ、体ごと突っ込む。
皆、必死だった。
怪人の体力はいつ尽きるのか。
安土城怪人の声が響き渡る。
空を覆う火縄銃の動きに友衛が癒しの矢を鎗輔に放ち、腕を射放った動作そのままに明莉へと向けた。
じり、と足を擦る。
『これが三段撃ち三段目。この銃撃を耐えられたならば、お前達の勝ちだ』
「木元先輩、支援する」
「頼んだっ」
並走する友衛が銃撃を受け、そして接敵した明莉が大刀の一撃。
撃ち抜かれて膝をつく鎗輔だったが、明の癒しのオーラがその身を包み、力を取り戻して手を伸ばす。
「勝ち、ね。本当、そろそろ終わらせたいよ」
彗星の如き威力を秘める矢を射放った。
「そこまで言うのなら、攻撃を仕掛けさせてもらいます!」
風のように流れて動く畏れを纏い、桃は集束させたそれを放つ。
「まだまだっ、あたいたちは立ってるよ!」
明莉に続いたミカエラが畏れを、下段から旋回するように安土城怪人へと斬り上げた時、ぐらりと、安土城怪人の足が揺れた。
怪人の足にしがみつく者がいる!
次の瞬間、巨体が揺れ、城が倒れていく。
「こ、こっちに倒れてくるわけ!?」
声をあげた御凛と明とわんこすけが走り、スライディングしてきた。
直後、響く轟音とともに麦色の大爆発が起こる。
近場にいた灼滅者達の叫び声。紛うことなき悲鳴。
「うえぇ……」
揺れるわ爆発するわ土やら砂を被るわで、人狼組が頭をぶるぶる振って汚れを払う。
安土城怪人は動かない。
「倒し、た?」
「勝てた、のか?」
明莉と明が同時に呟く。
「や、やったのよ」
と楠乃葉。
じわりと波紋のように、勝利という実感が皆の間に広まっていく。やがて、それは大きな声となった。
きっと今日は、様々なところで、様々な事があったことだろう。
だが、ひとまずは、今、この戦いの勝鬨をあげよう。
安土城怪人に勝利したぞ、と!!
作者:ねこあじ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年2月16日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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