琵琶湖・田子の浦の戦い~二者択一の先

    作者:緋月シン

    「さて、もう皆も知っているとは思うけれど、伏見城の戦いは無事に勝利する事が出来たわ。この戦いでスサノオ壬生狼組の被害が少なかった事もあって、天海大僧正は全軍を琵琶湖に向かわせ、安土城怪人との決戦に挑もうとしているみたいね」
     既に琵琶湖大橋では両勢力のダークネスがにらみ合いを始めており、小競り合いも始まっているようだ。
     天海大僧正勢力からは自分達が琵琶湖大橋で戦線を膠着させている間に、後方から安土城怪人の本拠地を攻撃して欲しいという要請が入っている。
    「と、ここまでは問題ないのだけれど……」
     そこで言葉を区切ると、四条・鏡華(中学生エクスブレイン・dn0110)は溜息を吐き出した。
     要請は協定に沿ったものであるため、何の問題もない。問題は、この戦いに呼応して、想定していない事件が発生してしまったということだ。
     第2次新宿防衛戦直後から行方をくらませていた軍艦島が、静岡県沖に出現し、田子の浦の海岸に上陸しようと近づいてきたのである。
    「軍艦島の出現が偶然ということはないでしょうね。おそらく、日本のご当地幹部であるザ・グレート定礎が、安土城怪人勢力と連携して作戦を行ったと想定されるわ」
     或いは、エクスブレインの予知と別系統の予知能力を持つ、刺青羅刹・うずめ様による作戦かもしれないが、どちらにせよ、武蔵坂学園は戦力を二分して対応する必要がでてしまったことに違いはない。
    「琵琶湖の戦いを優先するか、それとも、軍艦島の戦いを優先するか……。どちらが正しいかは、今のところ何とも言えないわ。だから、どちらの戦いに参加するのかは、実際に作戦に参加するあなた達の意思で決めてちょうだい」
     琵琶湖の戦いに関してだが、こちらに大勝利することが出来れば、安土城怪人の勢力を壊滅させる事も可能となるだろう。
     逆に敗北してしまえば、天海大僧正の軍勢が壊滅することになる。
    「天海大僧正勢力が壊滅する事は、致命的な問題ではないけれど、武蔵坂が協定を反故にして見殺しにしたという事になってしまうのは、今後のダークネス勢力との交渉などに悪影響を与えるかもしれないわね」
     田子の浦の戦いに関しては、こちらに大勝利することが出来れば、上陸しようとする軍艦島に逆侵攻して、軍艦島勢力を壊滅させる事が出来るかもしれない。
     逆に敗北してしまった場合は、軍艦島勢力が白の王勢力に合流してしまう可能性が高くなるだろう。
    「軍艦島勢力は、勢力規模としては大きくはないけれど、有力なダークネスが多く参加しているわ。この軍艦島勢力と、戦力は大きいものの有力な将が少ない白の王勢力が合流する事は、強大なダークネス組織の誕生を意味するため、阻止できるならば阻止するべきでしょうね」
     つまりどちらの戦いに関しても、参加し勝利する意味があるということだ。
     しかし戦力を二分して戦えば、両方で勝利できる可能性が上がるものの、両方で敗北する可能性も高まる。大きなメリットを得られる代わりに、大きなリスクをも抱える事になるだろう。
    「ただ、どういう結果が出たとしても、この戦いの結果が、今後の情勢に大きな影響を与えるのは間違いないでしょうね」
     先ほども述べたことだが、今回は、どの選択が正しいという事はない。どちらの戦場で戦うのかは、皆次第だ。
    「より良い未来に繋げるために……あなた達に任せるわ」
     よろしくお願いと、そう言い残し、鏡華は灼滅者達を見送るのだった。


    参加者
    月雲・悠一(紅焔・d02499)
    明鏡・止水(高校生シャドウハンター・d07017)
    阿久沢・木菟(八門継承者・d12081)
    エルカ・エーネ(うっかり迷子・d17366)
    リアナ・ディミニ(不変のオラトリオ・d18549)
    戦城・橘花(今ここに・d24111)
    神之遊・水海(雪雪真白うなぎパイ・d25147)
    凪野・悠夜(闇夜に隠れた朧月・d29283)

    ■リプレイ


     琵琶湖大橋上での戦いは、かなりの混戦模様となっていた。
     ただし混戦ではあるものの、どちらが優勢かは明らかだ。ついでに言うならば、それがどちらの勢力なのかは言うまでもないだろう。ここで優勢に戦えているようならば、最初から援護する必要などはないからだ。
     とはいえ。
    「本拠地狙えとは……ったく、火中の栗ってのはこの事か。ここを切り抜けたら、天海には文句の一つも言わないといけないな」
     その光景を眺めながら、月雲・悠一(紅焔・d02499)は溜息を吐き出した。
     位置関係としては、安土城怪人達の後方からの襲撃となるが、それで危険度が変わるわけでもない。
     正直に言ってしまえば、ダークネスで潰し合うなら好き勝手にしてろ、というところなのだが――。
    「ま、天海に対しては多少の借りもある。 義理は通さなきゃ……俺達が人である為にも、な」
     そう思い、それでも目の前のみに集中することが出来ないのは、今回は同時に別の戦場も展開されているせいだろう。どうしてもそちらも気にしてしまい……だが。
    「軍艦島の動きも気になるけど、なるようになると思うの! こっちは協定通りにいこー」
     神之遊・水海(雪雪真白うなぎパイ・d25147)の言葉に、凪野・悠夜(闇夜に隠れた朧月・d29283)が頷く。
    「琵琶湖だけじゃなく田子の浦まで……都合よく事が進むとは思ってないけど、なかなか難しいね。田子の浦は他の人に任せて、僕らは琵琶湖でやれる事をしっかりやらないと……だね」
     戦力的にはこちらの方が多いとはいえ、それは油断していいということではない。むしろ先のことを考えれば、最初にどれだけ勢いを付けられるかが大事だろう。
    「しかしアレでござるな。人間五十年、と思ったら5年も待たずに諸行無常とは夢にも思わんかったでござろうなぁ」
     と、ふとそんなことを呟いたのは阿久沢・木菟(八門継承者・d12081)だ。
    「敵は琵琶湖にあり、で言っておくべきなのでござろうか? 本物に取っておくべきでござるかな?」
     今回自分達は別の敵を狙うつもりだが、安土城怪人を狙おうとしている者は多いと聞く。勿論それでも倒せるかはまた別の話ではあるが、皆そのつもりで来ているはずだ。
     周囲の戦意が高まっていくのを肌で感じながら――。
    (「誰であろうと関係ない。今はただ目の前の仕事を果たすのみ」)
     それでも戦城・橘花(今ここに・d24111)は、静かに息を吐き出す。
    (「あぁ……ここへ攻め込むことを、どれだけ待ったでしょうか」)
     リアナ・ディミニ(不変のオラトリオ・d18549)が今日ここに来た理由は、一つだけだ。しかしそのためにやらねばならぬことがあるというのならば――。
    (「天海さんも安土城怪人も興味ありませんが、目標の為に、まず目の前の敵をねじ伏せましょう」)
     その前に、それを実行するだけのことである。
     不意に戦場に動きが生じたのは、その時だ。
     否、それは正しくはない。
     何故ならば、それを生じさせたのは自分の仲間達だからである。鬨の声をあげ、次々と襲撃を仕掛けていくその姿を視界に収めると、互いに顔を見合わせ、頷き合う。
     自分達も一歩を踏み出せば、後は続くだけだ。本陣に向け、勢いのままに地を蹴った。


     当たり前の話ではあるが、本陣に向かえば防衛のために敵が出てくるのは、当然のことだ。
     もっともそれは想定通りのために、何の問題もなく――。
    「灼滅者、だと……? クソがっ、手を組むだけじゃなくこんなことまでしてくるたぁ、やってくれんじゃねえか……!」
     そう叫びながらこちらに向かってくるのは、事前の情報通りに羅刹だ。
     だが……或いはだからこそ、皆はその足を止めることはなかった。この先の戦いも見ているからこそ、ここで時間をかけるわけにはいかないのだ。
     逆に勢いを増すと、地を蹴り一気に近付く。
     踏み込み、真っ先に飛び込んだのは水海だ。
     今回の敵は、天海大僧正勢力から離脱した羅刹であるらしい。
     故に。
    「天海さん意外といい人? なの。そんな天海さん裏切るだなんて不届きだよねどっせい!」
     別に裏切った理由はそこではないのだが、水海にすればどうでもいいことである。いつも通りに殴り飛ばすだけであり、つまりすることはその通りのことだ。
     振り抜くのは、異形巨大化した腕。
    「お仕置きなのー!」
     勢いのままに叩き込んだ。
     今回の作戦は先に述べたように速攻であり、ならば息を吐かせる暇もなければ吐く暇もない。
     吹き飛んだ敵の先、そこには既に悠夜が回り込んでいる。
     死角から放たれた斬撃がその身を斬り裂き、その時にはもう次の者がその場には迫っていた。
     明鏡・止水(高校生シャドウハンター・d07017)だ。
     それに合わせるように敵の拳が放たれるが、止水はそれをギリギリのところで見切り、さらに踏み込む。影を宿し、殴りつけ――瞬間、敵の身体が沈んだのは、別の方角からも攻撃を受けたからだ。
     橘花である。
     死角からの斬撃は、一度別の方角を挟んだことでより効果的にその身を襲い、体勢を崩したところを、木菟が良心回路と共に飛び込む。
     良心回路が肉球で殴りつけた直後、流星の如き蹴りが叩き込まれた。
     だが敵もただではやられないとばかりにその拳を振り抜き――しかしそれは、プリムラによって阻まれた。
     それと同時、猫魔法が叩き込まれ……再度、その身が膝から沈む。
     だがそれは前方からの衝撃が原因ではなく、死角からの斬撃が理由だ。
     エルカ・エーネ(うっかり迷子・d17366)である。
     体勢を整える暇を与えることなく、続きリアナが飛び込み、その手に持つは斬穿改式。穿ち、貫き――抜けた先。羅刹の視界に映ったのは、揺らめく焔。
     直後、迫っていた戦鎚が叩き込まれ、振り抜かれる。
     轟音と共に吹き飛んだ敵が動かないのを確認すると、悠一は一つ息を吐き出し……皆へと視線を向けると、頷き合う。
     今倒したばかりの敵へは、一瞥のみを残し、前へ。後は省みることなく、そのまま駆け出した。


     状況は乱戦と、相変わらずそう言うべきものであるが、灼滅者の介入によって、戦況は完全に天海大僧正勢力側へと傾いていた。
     しかも灼滅者側は初戦を速攻で終わらせており、その勢いは留まることはない。皆はそのまま、この場に居る敵の主力を倒すべく動いており……どうやらその多くは、事前に聞いていた通り、安土城怪人を狙うようであった。
     だが勿論全てがそうだというわけではなく――。
    「ふぇーんふぇんふぇん!」
     水海達が何を探しているのかは、その特徴的な鳴き声を真似している時点で、改めて言うまでもないだろう。
     とはいえ当然ながら、それは別にふざけているわけではない。
     まあ、そうして鳴き声を上げていれば、仲間がいると思ってやってくるんじゃないか、という思考が実際にはどうなのかは別にして、ではあるが。
     ともあれ、索敵をきちんと行なっているのは確かだ。ただし狙っているのはグレイズモンキーのみであり、他の敵に用はない。
     消耗を避けるためにも、他の敵は無視し進んでいく。それでも警戒は忘れず、次の戦闘に備え、ポジションを移行しながら――。
    「フェン、フェン、フェン!」
    「あ、見つけたの!」
     先ほどの鳴き声に釣られたわけではないだろうが、そうしているうちにその姿を捉えた。ただ、向こうはこちらを認識しているわけではなく、何処かへ向かおうとしている途中のようだ。
    「あの方角……安土城怪人の方に行こうとしてるのかな?」
     他の皆が向かっている方向を考えても、その可能性が高いだろう。
     だがこちらの狙いがグレイズモンキーである以上、それをさせるわけにはいかない。速度を上げ、一気に距離を詰めると、回り込むようにして、その先に出た。
     そして。
    「ふぇ……ふぇーんふぇんー??」
     今度その鳴き声を上げたのは、エルカである。とはいえこちらは、意思疎通を図るためであり、偶然にしてもなんか伝わったら楽しいねっ、とか思ってのものだが――。
    「……フェン、フェフェ~ン?」
     やはり上手く伝わることはなかったようだ。首? を傾げ、困惑している様子が伝わってくる。
    「やっぱり無理だったかぁ……残念」
     しかしともあれ、ここには和みに来たわけではなければ、もふもふしに来たわけでもない。
     戦うべき相手を前にして、リアナは小さく息を吐き出した。今回は、そのためにこそ、ここに来たのだから……否、より正確に言うならば。
    「恭也さんへのケジメ……自己満足ですが」
     ――あの猿を討つことで晴らしたい。
     それが、リアナが今回、ここに立った理由だ。個人的なものではあるものの、それは因縁とするには十分でもある。
     皆が何故ここに居るのかは、それぞれではあるだろうが――。
    「ほら、サッサと始めようじゃねぇかッ!」
     戦闘時の貌に変わった悠夜の言葉に、悠一が頷く。
    「そうだな。ま、あまり余裕があるわけでもないしな」
     確かにこちらが優勢ではあるものの、まだ勝負が決まったわけではない。目の前のグレイズモンキーを始め、主だった幹部は全員健在なのだ。
     周囲からの乱入がないとも言い切れず、早く始めてしまうに越したことはない。
     皆が構え――。
    「フェンフェフェ、フェーン!」
     グレイズモンキーの叫びと同時、戦闘が始まった。


     単純な戦力で言えば、灼滅者側はグレイズモンキーより劣ってはいないが勝ってもいない、といったところだろう。
     それは決して悪いことではない。悪いことではないが――。
    「ちっ……!」
     リアナへの攻撃を庇い吹き飛ばされた悠一は、舌打ちを漏らしながら体勢を整えると、即座に回復を飛ばしてきた止水に片手を上げて礼を言い、その手の戦槌を握り直した。
     状況としては、一進一退の攻防を繰り広げている……などと言ってしまえば聞こえはいいが、要は攻めきれていないだけだ。
     先ほど安土城怪人からの撤退命令があった際なども、グレイズモンキーは、フェン、フェン、フェーーン! などと言って安土城怪人の方に撤退しようとしていたが、危うくそれを許すところだったのである。
     せめてあと三……いや、二チームほどこっちに回ってくれたら――。
    「ま、言っても仕方のないこと、か。それに……」
     あっちもあっちで大変そうだしな、と呟き一瞬だけ視線を向けた先、どうやらそこは今まさに、本番を迎えようとしているところのようであった。
     すぐに視線は戻したが、そこで何があったのかなどは確認するまでもないだろう。何せ最早視線を向けるまでもなく、その威容を視界に捉えることが出来るのだから。
    「あー、うん、そうだよねー。この状況になったら、使って当然だよねぇ」
    「だな」
     皆も目の前の敵に集中しようとはするのだが、どうしてもそちらが気になってしまうようだ。
     しかしそれも当然だろう。
     何せ、それほど離れていない場所に、巨大化した安土城怪人が居るのだから。おそらく向こうがその気になれば、こっちまで攻撃が届くに違いない。
     グレイズモンキーすらも一瞬そちらに気を取られ……だが。
     その隙を見逃さず、リアナは飛び込んでいた。そのまま殴り飛ばし、直後、流し込んだ魔力が爆ぜる。
     グレイズモンキーの身体が僅かによろけ……そこでまだ呆けているほど、間抜けな者はそこにはいない。
     一瞬で意識を切り替え、次の一瞬で橘花の手元から放たれたのは、殲術爆導索。その意思に従い伸びたそれは違うことなく敵の身を貫き、当然のようにそこで終わりはしない。
     続いたエルカの手にあるのは銀色のクロスグレイブ。叩き付け、プリムラが猫魔法を叩き込み、ほぼ同時にそこへと飛んできたのは、水海が放った風の刃。
     斬り裂き――もう一つの、斬撃。悠夜より鈍色の刃が落とされ……お返しとばかりに、悠夜の身体が吹き飛ばされた。
     だが即座に止水より癒しの力を込めた矢が放たれ、追撃をしようとしたその前に良心回路が躍り出る。
     庇い、防ぎ、その間に前に出ていた木菟が、白光の斬撃を振り下ろす。手応えを得ながら下がり、入れ替わるように前に出た悠一が、弧を描くように振り回した戦槌を、その勢いのままに叩き込んだ。
     グレイズモンキーの身体が吹き飛ばされ、しかしそこで悠一が舌打ちをしたのは、今のが致命には程遠いということを理解していたが故であった。
     或いは、やはり、と言うべきかもしれないが……八人では、どうしても決定打に欠けるのだ。
     今のも、もう少し戦力が足りていれば、そのまま押し切ることも可能だったかもしれないのに……。
    「……ふぅ」
     しかし浮かんだ思考を、息と共に吐き出す。皆精一杯頑張っているのだ。ここでそんなことを言ったところでどうなるわけでもなく……ひたすらに頑張るしかないのである。
     改めて気を引き締めると、再度飛び込んだ。

     安土城怪人との戦いが佳境に入り始めているというのは、聞こうとするまでもなく聞こえてくる声や音で分かっていた。
     だからこちらもと、必死に戦い……だが。
    「グレイズモンキーよ、救援は無用。お前は生き延び、そして伝えるのだ」
     安土城怪人からの更なる命令を聞いた瞬間、グレイズモンキーが動いた。一瞬だけ安土城怪人の方へと視線を向けるも、即座に攻撃の手を止め、撤退に入ったのである。
    「っ、させるか……!」
    「ボスでござろう! ちょっとは行動原理説明してすっきりしてから消えろでござる!」
     すかさずこちらも追撃に入るも、グレイズモンキーが逃げる方が早い。咄嗟に止水が放った鋼糸がその身に絡むが、一瞬で千切られ、そのまま駆け出す。
     だがその一瞬の間に、リアナはKnight of raindropを射ち出しており――しかしそれは、寸でのところで空を切った。
     それでも諦めずに、つま先へと力を込め……だが、それを解き放つ代わりに、拳を握り締める。力を抜くと共に、大きく息を吐き出した。
    「……ここまで、ですね」
    「だねぇ。他の敵もとっくに撤退し始めてるし……このままだと、撤退する敵の波に飲まれそうかな」
    「それを回避するためには……あっちに行くのが一番、か?」
     それは、安土城怪人を攻撃している仲間の方だ。この状況であれば、そこに向かうのが最善だろう。
    「さんせーなの! いまいちすっきり出来なかったから、アレ殴ってすっきりするの!」
    「拙者達が到着する頃には終わってる気がするでござるが……まあ、異論はないでござる」
    「他のところから逃げるのは、少し厳しそうだしね」
    「うん、それで問題ないんじゃないかな」
    「そうだな。というか、それしかなさそうだし」
     そうと決まれば、さっさと移動するだけである。のんびりしていると、本当に飲み込まれかねない。移動を始め――リアナは一瞬だけ、グレイズモンキーの去っていった方へと視線を向けた。
     だがすぐに前方に戻すと、皆と共に駆け出すのであった。

    作者:緋月シン 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年2月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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