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「はいどうも皆さんこんにちは。既に皆さんご存知かもしれませんが、伏見城の戦いは無事勝利する事ができました」
神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は赤いファイルを開き、事件の説明を始める。
「この戦いでスサノオ壬生狼組の被害が少なかったこともあり、天海大僧正は全軍を琵琶湖へ向かわせ、安土城怪人との決戦に挑もうとしているそうです」
そして現在琵琶湖大橋では両勢力のダークネスが睨みあいを始めており、小競り合いも始まっているらしい。
「そして天海大僧正は例の協定にも沿い、自分達が琵琶湖大橋で戦線を膠着させている隙に、後方から安土城怪人の本拠地を攻撃して欲しいとの要請が入っています」
この要請自体は特に問題が無いのだが、この戦いに呼応して想定していない大事件が発生してしまったのだとウィラは言う。
「第2次新宿防衛線から行方をくらませていた軍艦島が静岡県沖に出現し、田子の浦の海岸に上陸しようと近づいてきてしまっているのです。よりによって今」
当然、この軍艦島の出現は偶然ではあり得ない。
「おそらく日本のご当地幹部ザ・グレート定礎が、安土城怪人勢力と連携して作戦を行ったのかと思われますが……もしくは我々とは別系統の予知の力を持つ刺青羅刹・うずめ様による作戦の可能性も考えられます。とにかくどちらにせよ、武蔵坂はこの土壇場で選択肢を迫られています」
琵琶湖の戦いを優先するか、或は軍艦島の戦いを優先するか。
「どちらが正しいかは判りません。この作戦に参加する皆さんの意思で、決定して下さい」
そう言ってウィラはファイルをめくり、続いて今回の作戦の目的についての説明に入る。
「まず、琵琶湖の戦い。こちらの戦いに大勝利すれば、安土城怪人の勢力を壊滅させる事も可能となります。そして逆に敗北してしまえば、天海大僧正の軍勢は壊滅してしまうでしょう」
天海大僧正勢力が壊滅する事自体は致命的な問題にはならないだろうが、武蔵坂が協定を反故にして見殺しにしたという事実は、今後のダークネス勢力との様々な交渉に悪影響を与える可能性があるだろう。
「次に、田子の浦の戦い。こちらの戦いに大勝利すれば、上陸しようとする軍艦島に逆侵攻して、軍艦島勢力を壊滅させる事が出来るかもしれません。逆に敗北してしまえば、軍艦島勢力が白の王勢力に合流してしまう可能性が高くなります」
軍艦島勢力は勢力規模としては大きくはないが、有力なダークネスが多く参加している。
白の王勢力は勢力規模は多きいが、有力な将が少ない。
「この2つの勢力が合流する事は、強大なダークネス組織の誕生を意味します。阻止できるなら阻止するべきでしょう」
戦力を2分して戦えば両方勝利できる可能性があがるが、両方で敗北する可能性も当然高まる。相当大きなリスクを抱える事となるだろう。
「どういう結果が出たとしても、この戦いの結果が今後の情勢に非常に大きな影響を与える事はまず間違いないでしょう」
そこまでの説明を終え、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
「説明は以上です。今回の戦いは、どの選択が正しいという事はありません。どちらの戦場で戦うかは皆さんにお任せします。悔いの残らない選択をしたら、後は全力で事に当たるだけです。お気をつけて。皆さんが無事に、全員で帰ってくることを願っています」
参加者 | |
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泉・星流(箒好き魔法使い・d03734) |
相羽・龍之介(焔の宿命に挑む者・d04195) |
天雲・戒(紅の守護者・d04253) |
鳳翔・音々(小悪魔天使・d21655) |
斎倉・かじり(筋金入りの怠けもん・d25086) |
影龍・死愚魔(ツギハギマインド・d25262) |
刃渡・刀(伽藍洞の刀・d25866) |
イサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082) |
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天海大僧正の軍勢と安土城怪人の軍勢が一堂に会する、琵琶湖大橋。
膠着状態にあるこの戦場に現れた多くの灼滅者達は、安土城怪人の軍勢の背後より姿を表すと、一気に進攻を開始した。
そしてこの場に集まった8人の灼滅者達も、一斉に行動を開始した。
「助けてもらったんだ、ならこっちもきっちり約束は果たさないとね」
「(天海と共闘ですか……まあ、組織に属している以上は致し方ないですね。仕事は仕事として、割り切って頑張りましょう)」
今回の戦いにおける相羽・龍之介(焔の宿命に挑む者・d04195)と鳳翔・音々(小悪魔天使・d21655)のモチベーションは相当違っている様であった。
既に各所で戦闘が始まっている中、灼滅者達は戦場に足を踏み入れる。
「天海大僧正勢力の軍勢も合わせると、戦力はそれなり。十分に勝機がありますね」
「ま、油断はできないけどね。相当重要な戦いになるだろうし、気張って行かないとな」
刃渡・刀(伽藍洞の刀・d25866)と斎倉・かじり(筋金入りの怠けもん・d25086)がそんな事を話していると、灼滅者達の前方から赤い巨躯が突撃してくる。
「我が名はクレイグ……貴様等をこれ以上本陣へ近づける訳にはいかぬ」
灼滅者達の前に立ち塞がるソロモンの悪魔クレイグ。全身から発せられる熱気がじりじりと灼滅者達を包む。
「ソロモンの悪魔……何故今、貴様等が出張ってくる?」
「協定の為……というのもあるけど、大悪魔達の暗躍も相当きな臭いよね……とにかく今は、戦うしかないけれど」
イサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082)と泉・星流(箒好き魔法使い・d03734)が目の前の悪魔を前にそう呟き、得物を構える。
「それじゃあ、早速始めようか。お互い時間を浪費するのは本意じゃないだろうし」
影龍・死愚魔(ツギハギマインド・d25262)が大鎌の切っ先を向けそう言い放ち、
「ソロモンの悪魔クレイグか。倒せば相手の戦力ダウン、かつこちらの士気が上がる。なら、結論は1つだ。行くぜ竜神丸、GOだ!」
天雲・戒(紅の守護者・d04253)がライドキャリバー『竜神丸』と共に突撃する。
「無知なる灼滅者共。貴様等はこの鉄槌で打ち砕いてくれよう!!」
そして戦いが始まった。
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「燃え尽きろ」
クレイグが放った黒き炎が、一瞬にして灼滅者達に迫る。
「悪いですが、こちらもそう簡単に通す訳にはいきません」
そこに飛び出した刀が黒炎を受け止め、流れる様に放った蹴りで足元を打つ。
「炎の魔術か。確かにその威力は厄介だね」
龍之介は縛霊手から放った霊力の塊で刀の傷を癒すと、そのままクレイグの懐まで接近する。
移動しつつ片腕を獣化させた龍之介は、その首筋を狙うように飛び掛かった。
「俺達の目的は安土城怪人の撃破だ。お前達の目論見は知らないが、好きな様にはさせない」
そして放たれた銀爪の一撃が、クレイグの堅牢な皮膚に鋭い傷を刻みこむ。
「……ゴアァァァアアアアアアア!!」
「グ……まだまだ、この程度じゃあ」
クレイグが放った咆哮に吹き飛ばされた龍之介だったが、そのままなんとか体勢を立て直すと足元の影を伸ばす。
「肉も魂も、全て喰らい尽くす」
そう呟き放った龍之介の巨大な影がクレイグの身体を包み込むと、その魂を蝕み大きな苦痛を与えた。
「攻撃は確かに強烈だけど、体力はそこまで無いみたいだね。一気に押し切ろう」
龍之介に続き影を伸ばした死愚魔が、膝を付くクレイグの全身を縛り動きを封じる。
「おのれ……!!」
力任せに影を引きちぎったクレイグが大槌を振り上げるが、
「おっと、そうはさせないよ」
星流はクレイグの攻撃のタイミングを測りダイダロスベルトを放つと、三連の刺突でクレイグの動きを妨害する。
「……それにしても、なんでザガンが安土城怪人に強力を? しかもフォルネウスが、このタイミングで攻めてきている軍艦島に何でいる?」
素早くクレイグとの距離を取りつつそう問いかける星流だったが、クレイグは静かに首を振る。
「生憎貴様等に渡す情報など唯の1つも持ち合わせていない」
「まあ、聞いて教えてくれればそう苦労しないか……自分で探り当てるしかないのかな」
そう呟き星流はクロスグレイブを構えると、その銃口に光を集めていく。
「ここだ」
そして放たれた光の砲弾がクレイグに直撃すると、その魂に蓄積された業ごと肉体が凍り付く。
「ソロモンの悪魔を放っておけないのも事実ですけど……まぁどんな強大な悪魔でも、アイムに比べれば大したことはないでしょう」
音々は右腕を覆う寄生体に殲術道具を取り込むと、蒼き腕でクレイグの脳天に魔力の一撃を叩きこむ。
「確かに召喚酔いの時間稼ぎならば大人しく隠れているだけでいい……何か目的があるのは明らかだが……」
イサは己の考えを巡らせつつも、得物を構えクレイグと対峙する。
「だがこの悪魔から得られる情報は何もない、か。口を割る様な相手ではないだろう……今は闘いに集中するべきだな」
そのままイサは銀剣十字のペンダントを掲げ力を込めると、光の刃が生み出され剣と化す。
「私に戦う意思が宿る限り、この刃は何度でも貴様を斬り裂く」
そして放たれた眩い光の斬撃が、クレイグの身体を一閃する。
「グ……灼滅者。多くの大悪魔を灼滅したその力量は、確かに本物の様だ……!!」
全身に業火を纏わせたクレイグが前衛に突撃するが、イサはひらりと身を翻しそれを避ける。
「炎に身を焦がすのは苦手でな……凍えていろ……」
そのまま背後から放った氷の蔦がクレイグの背中を貫きその身を凍えさせる。
「全身火達磨って見た目のインパクトはスゲーけどな! こんなんウチの炬燵の方が熱いぞコンナロー!」
クレイグの突進を真正面から受け止めたかじりは、邪念を遮る盾『印徳仙璽・三方巌』を大きく展開し、仲間達の傷を癒した。
「こっちの傷も決して少なくないが、勝てない相手じゃない! このまま勝ちきるぞ!」
戒はそう言いつつクルセイドソードを構え、クレイグの前に進み出る。
「いけ、竜神丸! 務めを果たせ!」
戒の呼びかけに応えた竜神丸がエンジン全開で突撃すると、クレイグの側面に回り込み一斉射撃する。
「小癪な……」
クレイグの意識が僅かに逸れたその隙に、戒は一気にクレイグに肉薄する。
「当たったらきついぞ……これでも喰らえ!!」
そして振り下ろされた見えざる刃が、クレイグの魂を砕きその力を奪う。
「グウ……!! 灼滅者、貴様等の力はこれほどのものか。油断をしていたつもりはないが……ここまでか……」
「その通り。ソロモンの悪魔、クレイグ。お前はここで俺達に倒される」
そう言い放った戒は両脚に爆炎を纏わせ、クレイグの頭上に飛び込んだ。
「これで終わりだ!!」
放たれた熱い跳び蹴りはクレイグの胸に突き刺さり、クレイグの巨体は炎に包まれながら地面へと叩きつけられる。
「申し訳ありません、ザガン様……グォォォォォオオオオオ!!」
クレイグの身体はそのまま燃え尽きていき、後には灰すら残らなかった。
「まずは第一目標、達成ですね。正直傷は浅いとはいえませんが、この状況で心霊手術は厳しいですね……体力に気をつけつつ、このまま安土城怪人を探しましょう」
刀の呼びかけに灼滅者達は頷き、灼滅者達は更に戦場を突き進んだ。
●
移動の僅かな間にポジションを変更し、後衛が多めの編成となった灼滅者達は、安土城怪人の姿を探し戦場を駆けていた。
「ん? あそこに多数のダークネス達が……いたぞ、あの中心に安土城怪人がいる」
イサが指さした先には、多数のダークネスに護衛された安土城怪人の姿があった。
「おっと、ここから先は通行止めだぜ!!」
そのまま安土城怪人に接近しようとした灼滅者達の行手を、不良姿の羅刹が塞ぐ。
「この期に及んで邪魔を……そこを退くんだ」
龍之介がダイダロスベルトの一撃で胸を抉るが、不良羅刹は金属バットを手に灼滅者達に攻撃を仕掛けていく。
「おらおら死ねや灼滅者!! …………ん?」
移動を妨害する羅刹との戦闘から数分が経過したその時、戦場に巨大な号令が響き渡る。
それは安土城怪人本人が発した号令であり、自分がこの戦場に残り敵を食い止めるので、その隙に全軍撤退せよという内容だった。
「…………チッ!!」
その号令を聞いた不良羅刹は舌打ち一つを残し、そのまま脱兎の如く灼滅者達から離れていった。
「大将自ら殿を務める気みたいだね。でも、これは大きなチャンスだ」
星流が仲間たちに呼びかけ、灼滅者達は一気に安土城怪人へ迫る。
同様に安土城怪人を狙う多数の灼滅者達が、戦場の各地から突撃していた。
と、その時。安土城怪人が懐から小さな包みを手にする。
「……!! あれは、まさか……」
「まさか、ここで巨大化フードを使わされるとは思わなかったぞ」
戒がその存在に気付いた直後、チョコを口に放り込んだ安土城怪人の姿が、グングンとまさに城の如く巨大化していく。
「巨大化フード……安土城怪人もあの危険極まりない物を所持していた様ですね」
刀はサイキックソードを構えながら、安土城怪人の巨体を見上げる。
「武力で天下統一を成し、ゆくゆくは世界征服を行なう我が野望、ここで潰えさせるわけにはいかぬ」
安土城怪人が自身を取り囲む灼滅者達にそう言い放つと、『天下布武』と書かれた旗が大量の旗が現れ、そこから巨大なビームが射出される。
「これだけの人数が揃ってもこの威力……ですが、まだ倒れる訳にはいきません」
ビームに直撃した刀は何とか痛みに耐えきると、サイキックソードを勢いよく振るう。
「これだけ大きい的に、外しはしません」
そして放たれた光の斬撃が、安土城怪人の城壁を削り取った。
「まだまだ体力は有り余っている様ですね……追撃します」
そう言い拳を固く握りしめた刀は、ビハインドの『村正・千鳥』と共に安土城怪人へ突撃する。
そして千鳥が放った二連の斬撃が脚元を斬り、刀が放った重い拳が安土城怪人の胴体を僅かに揺らがせた。
「敵は強大だけど、こっちの数が多い分幸いにも攻撃が分散している。後はどこまで耐えきれるかだ」
「しぶとさなら俺達も負けてない。全力で行くぞ!!」
龍之介が放った銀爪の一撃と戒の放った鋭い刺突が交差し、安土城怪人に直撃する。
「……誰であろうと、目の前のこれはダークネス。手を抜く道理はないですね」
天海の宿敵安土城怪人を見据えた音々は、己の感情を殺し七不思議の力を解放する。
「『ムラサキカガミ』!!」
音々の呼びかけに応える様に現れ出でた紫色の少女は、全身から紫煙を放つと、天海大僧正の身体を包みその身体を蝕んだ。
その直後、灼滅者達の上空に無数の火縄銃の幻影が現れる。
「全ての銃口がお前達を向いているぞ。怖かろう?」
三千発の銃声が重なり、放たれた三千発の弾丸は灼滅者達の身体を精確に貫いていく。
「この程度で怖がってたら、灼滅者なんてやってられないってもんですよ……」
撃ち抜かれた肩を抑えながら音々はそう言い捨て、右腕の寄生体を操るとそこに巨大な砲身を形成する。
「ここです」
そして放たれた強酸の砲弾が安土城怪人の眉間に直撃し、その装甲を腐食させていった。
「巡れ我が体内のサイキックエナジーよ」
安土城怪人が体内のサイキックエナジーの巡りを活性化させると、灼滅者達から受けた傷が瞬く間に塞がっていく。
「いやー、むさ苦しいマッチョの相手をしたかと思ったら、今度はデカくて硬い城の解体作業とはなー」
かじりはクルセイドソードを軽く振りながらそう言うと、安土城怪人の巨体に目をやる。
「……でも俺はまだやる気十分だかかってこいや!! 行くぞクマゴロウ!!」
そしてかじりは霊犬のクマゴロウと共に、安土城怪人の身体目掛けて飛び掛かる。
「その瓦、まとめて叩っ斬る!!」
クマゴロウとかじりが滅茶苦茶に放った無数の斬撃が、安土城怪人の身体をズタズタに斬りつけていった。
「灼滅者達よ、お前達は何故、これほどの力を持ちながら……!」
「成り行きと巡りあわせとその他諸々が組み合わさった結果だ! 恨むなら天海のじーさんを恨んどけや!!」
そのままかじりは両脚に爆炎を纏わせると、物凄い勢いで突進する。
「さっきの牛野郎の如き突進技を喰らっとけ!!」
そして放たれた強烈な連続キックが、安土城怪人の身体を焼け焦がした。
「まだだ、まだ倒れぬ。愛しき部下達が逃げ延びるまで、我は倒れる訳にはいかぬのだ」
安土城怪人は決死の表情で自らの傷を癒し、戦場に立ち続ける。
「ザガンとは一体どういった経緯で……いや、もう言葉は届かないみたいだ。なら、倒すしかない」
「貴様が抱える野望ごと、打ち砕いてみせる」
星流が放った無数の魔法の矢が全身に突き刺さり、直後イサが突きだした『樹氷』の名を冠す槍が、安土城怪人の中心を貫いた。
「我が命の輝きを見よ、天下布武ビーーームぅ!」
天下布武の御旗から放たれたビームが再び灼滅者達に降りかかる。
「おっと、これは……」
死愚魔は降りかかるビームの軌道を冷静に見切り、足元の影を大きく展開する。
折り重なるように伸びた触手の影は精確にビームを打消し、死愚魔は傷一つないまま反撃に出る。
「このデカいのにどれだけ体力があるのか分からないけど……もういい加減、終わっても良い頃じゃないかな
片手に装着した縛霊手に霊力を込め、死愚魔は一気に突き出す。
「天下布武とか時代遅れな事言ってないで、いい加減倒れたら?」
放たれた重い打撃が安土城怪人の足元を打ち、同時に放たれた霊力の網が安土城怪人の脚に撒き付きその動きを妨害する。
「これが三段撃ち三段目。この銃撃を耐えられたならば、お前達の勝ちだ」
安土城怪人の声と共に三千発の弾丸が戦場に降りしきり、死愚魔もその一発を腹に喰らう。
しかしウイングキャットの『マオゥ』がすぐさま優しい光を放つと、死愚魔の傷が癒えその痛みも和らいでいった。
「ありがとう、助かったよ。……さて、これで無事耐えれた訳だけど……もういい加減終わりなのかな?」
大鎌を構え死愚魔が安土城怪人を見上げる。
その立ち姿は実に堂々としたものだったが、身体に刻まれた傷はその疲弊具合を表していた。
「……もう終わらせよう」
安土城怪人の元まで迫り、死愚魔が大鎌を振るう。
「まだ倒れないか。トドメの一撃……いや」
死の斬撃が安土城怪人の命を削り取った直後、その巨体がゆらりと揺れる。
「ダイナァッ、ミィーーーーーック!!!」
どこからか聞こえた大声と共に、安土城怪人の身体は地面へ一気に叩き落された。
麦色の大爆発が安土城怪人の身体を吹き飛ばすと、その巨体は二度と起き上がる事はなかった。
安土城怪人、灼滅。
勝利の歓声が戦場に湧きあがったのは、それからすぐの出来事だった。
作者:のらむ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年2月16日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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