琵琶湖・田子の浦の戦い~灼滅の選択

    作者:小茄

    「伏見城の戦いは、勝利を収める事が出来ましたわ。この戦いでスサノオ壬生狼組の被害は少なかった様で、天海大僧正は全軍を琵琶湖へ進ませ、安土城怪人との決戦を行おうとしている様ですの」
     有朱・絵梨佳(中学生エクスブレイン・dn0043)の説明によれば、既に琵琶湖大橋では両勢力のダークネスが一触即発の状況であり、小競り合いが始まっている様子もある。
    「で、天海大僧正勢力が敵の主力とにらみ合っている間に、我々には安土城怪人の本拠地を攻撃して欲しいと言う要請が入っていますわ」
     協定に沿った要請であり、これに応じる事自体は問題無い。
     ただ、第2次新宿防衛戦直後から行方をくらませていた軍艦島が、静岡県沖に出現し、田子の浦の海岸へ上陸を試みようと接近中なのだと言う。
    「このタイミング、偶然ではないでしょう。恐らく、日本のご当地幹部である『ザ・グレート定礎』か……エクスブレインの予知と別系統の予知能力を持つ、刺青羅刹・うずめ様か、いずれかが安土城怪人勢力との連携を図って発動した作戦と考えるのが妥当ですわね」
     何にしても、武蔵坂学園としては戦力を二分し、この状況に対応せねばならない。
    「琵琶湖の戦いを優先するか、軍艦島の戦いを優先するか、現時点で何が正解とは明言出来ませんわ。ひとまず、あなた達の判断でどちらの戦いに参加するか、決めて下さいまし」
     
    「琵琶湖の戦いで決定的な勝利を収めれば、安土城怪人勢力を壊滅させる事も可能ですわ。当然、逆に敗北を喫すれば、天海大僧正の勢力は壊滅を免れないでしょう」
     戦力不足で天海大僧正の勢力が壊滅すれば、武蔵坂は協定を守らず、共闘相手を見殺しにしたと言う印象を与えかねない。
     今後のダークネス勢力との交渉において、悪影響が生じる可能性は有るだろう。
    「そして、田子の浦の戦いに大きな勝利を収めれば、軍艦島に逆侵攻し、これを壊滅させる事も可能かも知れませんわ。敗北すれば、軍艦島勢力は白の王勢力に合流してしまう可能性が高いですわね」
     軍艦島勢力は規模こそ大きくないものの、有力なダークネスが複数所属している。
     これと、戦力は大きいが束ねる将を欠く白の王勢力が合流すれば、強大なダークネス組織となる事は想像に難くない。
    「戦力を二分し、両方の戦いで勝利を収める事が出来れば、我々としては万々歳なのだけれど……当然、2兎を追って1兎も得られない危険も出てきますわ」
     どうあれ、この局面が今後の情勢を大きく左右する事だけは、間違いないだろう。
    「さっきも言った通り、今は貴方達の判断と決断に委ねるのが最善手ですわ。どちらの戦場に向かうか、皆で決めて下さいまし」
     絵梨佳はそんな言葉で、作戦の説明を締めくくるのだった。


    参加者
    新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)
    神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)
    椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)
    武野・織姫(桃色織女星・d02912)
    神崎・摩耶(断崖の白百合・d05262)
    風輪・優歌(ウェスタの乙女・d20897)
    比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)
    合瀬・鏡花(鏡に映る虚構・d31209)

    ■リプレイ


    「背後からの奇襲?! 大した数ではないはずだ、討ち取れ!」
    「安土城怪人様の大恩に報いる時は今ぞ!」
     陣には相当数のダークネスが待機していたものの、百人を超える灼滅者の急襲によって、大混乱の状況であった。
     当然ながら、琵琶湖大橋で前衛と対峙している天海大僧正軍も、この機を逃す筈は無い。
    「む? お前達、何をしている!」
     陣近くで刀剣怪人が見とがめたのは白衣を纏った少女の一団。
    「負傷者だから、手当を」
     新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)は、特に表情を変える事なくそう答える。
     彼女らの纏う、やや露出多めのナース服は、いけないナースに扮するための衣装だ。
    「ふぅむ……」
    「見れば解るでしょ、怪我人が一杯出てるのよ」
     同様にナース服姿の神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)が、比良坂・柩(がしゃどくろ・d27049)を支えるように肩を貸しつつ、強い口調で言う。
    「不覚を取ったよ。思ったよりも敵の数は多いみたいだ」
     これに頷きつつ、柩も自然な口調で報告する。
     灼滅者の中でも闇に近しい生立ちの彼女には、ダークネス寄りの立場を演じる事も、さほど難しくは無いのかも知れない。
    「君もこの様な所で油を売っていないで、仲間を助けたらどうかね?」
     そう言う意味では、彼女もまたそんな一人かも知れない。
     ダークネスとしての彼女こそが真であり、灼滅者としての自分はそれを封印する表面上のものに過ぎないと理解している合瀬・鏡花(鏡に映る虚構・d31209)。
    「い、言われぬでも解っておるわ!」
    「あなたも怪我したらわたし達が治しますからねー」
     足早にその場を立ち去る怪人に、手を振りつつ言うのは、武野・織姫(桃色織女星・d02912)。
     父は厩務員。将来の夢は騎手という馬になじみ深い彼女だが、そのナース姿を馬子にも衣装とは言わせまい。
     彼女達を初め、8人の能力者は皆女子。
     しかもいずれ劣らぬ美少女達なればこそ、いけないナースに変装して敵陣に忍び込むと言う作戦も現実味を帯びたのだから。
    「これぞ美少女班の実力だな」
     フッと不敵な笑みを浮かべる神崎・摩耶(断崖の白百合・d05262)。
     全くもってその通りなのだが、自称した途端に残念感が漂ってしまうのは仕様だろう。
    「さぁ、私達の標的を見つけませんと……」
     こちらも手製のナース服に身を包んだ風輪・優歌(ウェスタの乙女・d20897)は、怪しまれない程度に周囲を見回し、一行が担当すべきダークネスの姿を探す。
     情報によれば、この辺りに居るはずだ。
    「そこのなぁす達、何か捜し物で御座るか?」
     と、頭上から掛かる声。次いで、目の前にスタッと降り立つ黒装束の女。
    「あっ。くノ一様をお手伝いするように言われてきたんですけど、迷っちゃって……てへ♪」
    「ふむ、拙者の手伝いで御座るか。確かに今は猫の手も借りたい状況、それは渡りに船で御座るな」
     とっさにドジっ子を装う椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)。くノ一はその言葉を聞いて、ふむふむと頷く。
    「それと……もっともいけないナース様は今どちらに?」
    「ん? あちらに居られるはずで御座るが」
     鏡花の問い掛けに、陣内の一角を指差すくノ一。
    「……ところで」
     が、灼滅者達に歩み寄って足下に屈み込む。
    「其方、なぜ下にレオタードを? 其方も、其方も、下着をつけているで御座るな?」
    「えっ?」
     思わずスカートの裾を抑えつつ、顔を見合わせる一同。
    「いけないナースは、一切の下着を付けないもので御座ろう?」
    「ええっ?!」
     そんな話は初耳だ。
    「……と言うのは、冗談で御座るが」
     立ち上がったくノ一は、数歩後ずさって元の位置に戻る。
    「淫魔を装いいけないナース様を狙うなど、大それた謀略で御座るな。しかし拙者の目は誤魔化せぬぞ。蛇の道は蛇。淫魔の道は淫魔で御座る」
     心なしか楽しげな口調で賛辞を述べると、くノ一は手裏剣を手に身構える。
    「大した眼力だな。だが、我々の狙いは元よりお前だ!」
     剣を抜き放った摩耶は、そのまま居合斬りの様に素早く切り払う。
    「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ……いや、お馬さんは撃っちゃだめですが!」
     織姫はそれもズバリ、名牝の名を冠したScarlet†Ribbonを放ってこれを援護する。
    「ほう……! それは光栄な事で御座る! ならばここで討ち果たしてくれるまで!」
     くノ一は飛び退ってそれらを躱すと、お返しとばかりに無数の手裏剣を放つ。
     彼女を第一の標的と定めた灼滅者達。そして安土城怪人を護るために身を挺さんとする淫魔。
     両者の思惑は結果的に一致し、食うか食われるか、生か死かの戦いが幕を開けた。


    「行くよ、ノエル」
     七葉はウイングキャットのノエルに近接戦闘を指示しつつ、自らは旋律を紡ぐ。
    「リンフォースも前へ!」
     明日等もこれに呼応する様に、ダイダロスベルトを放ちリンフォースを前衛へ進ませる。
    「一気に行きましょう。短期決戦です」
     更に間髪を入れず、レイザースラストを仕掛ける紗里亜。
    「っ、さすが武蔵坂の灼滅者。見事な連携で御座るなっ!」
     怒濤の勢いで襲う攻撃を紙一重で躱し、巧みに手甲で受け流すくノ一淫魔。
     それでいて防戦一方ではなく、精妙な狙いで投じられる手裏剣が灼滅者の出足を鈍らせる。
    「新城、ここはボクが」
    「ん、任せる」
     とは言え、それも灼滅者達の予想を反する事では無い。柩と七葉は互いに連携を取って、効率的に傷を治癒してゆく。
    「モラル、皆を庇うんだ。優歌、行くよ」
    「はいっ」
     蛇の如くブレイドを撓らせる鏡花。その呼びかけに応じた優歌は、側方から回り込む様にして巨大な十字架を振り下ろす。
     ――ドゴッ!
    「うぐっ!?」
     同時攻撃を回避しきれず、手甲でこれを受け止めるくノ一だが、その衝撃の大きさに思わずよろめく。
    「そこだ」
     柩の手の平から放たれる、眩い光。
    「ぐ、うぅっ!」
     悪しき物を滅する裁きの光条が、くノ一の身体を正確に貫く。
    「逃がさないよ?」
    「し、しまっ……!」
     体勢を立て直そうとする彼女に対し、間髪を入れず七葉のベルトが絡みつく。
    「今度は外さないわ」
     更には狙い澄ました明日等の氷弾が、くノ一の肩へ突き刺さる。
     心の臓を狙ったそれを、とっさに身体を捩って逸らした結果だ。
    「さ、さすが……やるで御座るな。こうでなくては、面白くないで御座るよ!」
     ――ヒュッ!
     深手の痛みを隠しきれない様子で、それでもくノ一の戦意は衰えては居ない。みたび手裏剣を放つ。
    「っ――爆炎!」
     紗里亜はそれがこれまで放たれた手裏剣とは違う形状であるのを見て、後衛に注意を喚起する。
     バンッ! と爆音が響き、炎と黒煙が灼滅者達を呑む。
    「う、ぐ……がはっ!」
     同時に、地面を彩る鮮血。
     紗里亜は手裏剣の行方を目で追うような事はせず、代わりに八卦妖槍でくノ一の腹を深く貫いていた。
    「まだまだ、で御座るよ……安土城怪人様の元へは、行かせないで……御座る」
     しかしくノ一は、槍の柄を掴みホールドしたまま、再び火薬付きの手裏剣を手に取る。
    「悪いが、ここで時間を費やす訳にはいかんのだ!」
    「介錯、しちゃいます」
     摩耶の剣がくノ一の腕に振り下ろされると同時、織姫の手から放たれた魔法の矢は、寸分違わずくノ一の心臓に突き刺さる。
    「く……無、念っ」
     ドサリと倒れ伏す淫魔。
     灼滅者は一先ず、第一の標的を討ち果たした。


    「他の隊も、あらかた標的を倒したみたいだね」
    「えぇ、私達も有力敵を探しましょ。……コイツらを蹴散らしながらだけどっ」
     七葉の言葉に頷きつつ、槍の先端に生じさせた氷柱を放ち、武者アンデッドを貫く明日等。
     標的に定められていたダークネスは多くが討ち取られた様だが、陣内にはいまだ多くの敵が残存している。
    「それに、今のうちに治療と陣形の立て直しもしておきましょう」
    「ですね」
     紗里亜の言葉に頷く一同。
     陣内は広大だが、複数の軍勢や部隊が入り交じって、混乱のるつぼであった。
    「この感じだと、他のチームとの合流や連携は難しいかも」
     マジックミサイルで向かって来る敵を迎撃しつつ織姫。
    「あぁ、だが大勢は決したはず。後は有力な敵を発見すれば、自然と他班も集まってくるだろう」
     頷きながら、瀕死の武者を剣で貫く摩耶。
     多くの将を失い、指揮系統が麻痺している様子の安土城怪人軍だったが、その総大将が指令を下したのは、そんな折であった。
    『自分がここに残って敵を食い止めるので、全軍撤退せよ』
     安土城怪人の発した命令は戦場に響き渡り、これを聞いた配下達は、ある者はいそいそと、ある者は悔し涙を流しつつ、ある者は未練がましく戦いながら後ずさり、それぞれに戦場を離脱して行く。
    「……どうする? 大物の離脱を阻止する方に回るか、それとも」
    「安土城怪人の殲滅を優先するのはいかがでしょう?」
     皆を見回して問う柩に、優歌はさほど迷わずに提案する。
     もっともいけないナースが優先目標の一行だが、臨機応変と言うスタンスは維持していたのだ。
    「私もその案に賛成だよ。いい加減安土城にも消えて欲しいと思って居た」
     こちらも賛同して頷く鏡花。
    「あのけしからんナースは、他の隊が討つ事に期待するか」
     摩耶は少し残念そうに、しかし気持ちを切り替えた様に言う。

     護る者の居なくなった安土城怪人に対し、灼滅者は分厚い包囲陣を形成しつつあった。
    「百人くらい居そうです……これなら!」
     撃ち漏らす危険も無いはず。織姫はリングスラッシャー握りつつ、確信めいた口調で呟く。
    「まさか、ここで巨大化フードを使わされるとは思わなかったぞ」
    「えっ? 巨大化……?」
    「フード……?」
    「皆さん、下がって!」
     懐から取り出したチョコを口へ放り込む安土城怪人。
     一行は、そして灼滅者達は、潮が引くように一斉に距離を取る。
     ――ゴゴゴゴ……。
     墨俣の一夜城の様に、短期間のうちに城が築かれたエピソードは数あれど、それは一瞬――みるみるうちに、目の前に城が聳え立ったのだ。
    「武力で天下統一を成し、ゆくゆくは世界征服を行なう我が野望、ここで潰えさせるわけにはいかぬ」
     安土城怪人の言葉が響くと同時、天下布武と記された無数の旗が顕現する。
    「っ……来ます!」
     ――バシュッ!
     旗から放たれたのは、無数の光の帯。
     城を取り囲む灼滅者達の前衛に、豪雨の如く降り注ぐ。
    「惑わせ、癒せ。ノエル、動けるなら回復を」
     七葉はたじろぐ時間も惜しむように、鏡花へラビリンスアーマーを纏わせる。
    「大丈夫かい?」
    「……あぁ、この程度!」
     同じく、柩のヒーリングライトを受けてよろめきかけた摩耶は体勢を維持する。
    「撃ち返しましょう」
    「えぇ、倍以上にして返して上げるわ」
     優歌の言葉に頷き、ともすれば距離感の狂いそうになる巨大な相手に、レイザースラストを放つ明日等。
    「いけぇっ! 撃ちまくれ!」
     どこからか響く灼滅者達の声と共に、無数の魔弾、実弾、影、光線が天守閣へ放たれる。
    「あれは……火縄銃!?」
    「全ての銃口がお前達を向いているぞ。怖かろう?」
     更なる反撃に、出現したのは無数の火縄銃。
     一挺一挺は単発だが、無数の銃がまるでマシンガンの様な銃声と共に弾の雨を降らせる。
    「くっ、今度は後衛!?」
    「巡れ我が体内のサイキックエナジーよ」
     巨大化した安土城怪人は、強大な火力で灼滅者達を圧倒したが――否、いかに巨大化した安土城怪人と言えど、百人を超える灼滅者の集中砲火に勝ろう筈も無い。
    「灼滅者よ、お前達は何故、これほどの力を持ちながら……!」
     二度目の光条が戦場を包み、灼滅者を呑み込む。
    「っ……敵も厳しいはずだ。もう一息だよ」
     祝福の風で、僅かでも体力を回復する鏡花。
    「グレイズモンキーよ、救援は無用。お前は生き延び、そして伝えるのだ」
     いまだ戦場に残っているらしい部下に命じつつ、二段目の火縄銃に火を噴かせる。
     それは依然として破壊的な威力を有していたが、同時に燃えさかる安土城怪人の断末魔をも予感させる物だった。
    「まだだ、まだ倒れぬ。我が愛しき部下達が逃げ延びるまで、我は倒れるわけにはいかぬのだ」
    「撃ち続けましょう、私達も」
    「撃て、もっと撃て!」
     かなりの復元力を誇る技、富国強兵ヒーリング楽市楽座もこの状況では焼け石に水だった。
     灼滅者達の攻撃は、優に回復量を上回るダメージをはじき出す。
    「我が命の輝きを見よ、天下布武ビーーームぅ!」
    「防御を!」
     みたび降り注ぐ光の雨。
    「みんな、頑張って下さい……!」
     織姫は必死にシールドリングを展開して味方を守る。
     サーヴァント達は既に倒れ、一行も満身創痍ではあったが、俯く者は居ない。
    「そろそろ終わりに、したいものだな」
     不敵な笑みを浮かべつつ、頬のかすり傷から滲む血を拭う摩耶。
    「行きましょう。恐らく次の一斉攻撃で……」
     紗里亜の言葉に頷き、一行は大胆に間合いを詰める。
    「これが三段撃ち三段目。この銃撃を耐えられたならば、お前達の勝ちだ」
     響く安土城怪人の声。
     それはもはや、全てを受け入れるような響きを有していた。
     降り注ぐ銃弾の雨をかいくぐり、痛みや流血さえも省みず、包囲の輪を縮めて行く灼滅者達。
     そしてその時は訪れた。
     天守がグラリと傾き、瓦や城壁、石垣が崩れ落ちてゆく。
     どこかの隊のご当地ヒーローが、ご当地ダイナミックを仕掛けようと言うのだ。
    「終わりだね」
    「はい」
     城壁の一角に突き刺していたダイダロスベルトを引き戻す七葉。優歌もまた、オーラキャノンを放ち終えると同時に、ふっと脱力し吐息を零す。
     ――ズズ……ンッ!!
     地響きのような音と大きな揺れ、派手な麦色の爆発。そして辺りを覆う砂埃。
     それらが止んで暫くすると、そこに残るのは物言わぬ瓦礫の山。
     ――ウオォォーッ!
     暫しの静寂を破って巻き起こるのは、歓喜の声と勝ち鬨。
    「……終わったね。お疲れ様」
     表情を緩めて皆を振り返る柩。
    「うむ。美少女は勝つ……いや、正義は勝つと言った所か」
     腕組みしつつ仁王立ちし、勝利の味を噛み締める摩耶。
    「良かったです。みんな、怪我はありませんか~?」
    「幸い、大丈夫な様だね。……これで天海との約束も果たせた訳だ」
     織姫の問い掛けに、一行を見回して答える鏡花。
    「これで、どれだけ戦果が上がったかな?」
    「少なくとも一勢力潰せたんだもの、悪くは無いわよ」
     歓声にかき消されそうになった七葉の呟きに、やや声を張りつつ応える明日等。
    「そうですね、離脱したダークネスもそれなりに居た様ですが」
    「えぇ……何か情報が得られるかも知れませんし、少し探してみましょう」
     相槌を打つ優歌の言葉に頷きつつ、早くも次の戦いを見据える紗里亜。

     ともかくも、灼滅者達は安土城怪人を灼滅し、その勢力を壊滅させる事に成功した。
     着実な戦果を上げ勝利に貢献した八人もまた、歓喜の渦に身を委ねつつ、凱旋の途につくのだった。

    作者:小茄 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年2月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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