富士の迷宮突入戦~戦力増強の代償は

    作者:泰月

     
     これは、予兆!?
     まさか、私の中にまだ、灼滅者の熾火が残っているとでもいうのか?
     ……だがこれで、私が尾行したあの軍勢の正体が判明した。
     あれは、軍艦島の大勢力。そして軍勢の向かった先は、白の王セイメイの迷宮!

     予兆を見たのも何かの縁だ、武蔵坂学園には連絡を入れておこう。
     その連絡で、灼滅者としての私は本当に最後。
     これより私は、混じり無きひとつの『黒牙』となる……!
     
    ●情勢
    「琵琶湖と田子の浦、お疲れ様」
     教室に集まった灼滅者達に、夏月・柊子(高校生エクスブレイン・dn0090)はまず労いの言葉をかけた。
     西と東、同時に起きた戦い。
     西の方、琵琶湖大橋の戦いは、安土城怪人の灼滅と言う大勝利に終わった。
     残党が本拠地であった琵琶湖北側の竹生島に立てこもっているようだが、カリスマである安土城怪人を失った事で離散した者も多い。
    「おまけに、どういう理由か『グレイズモンキー』が拠点に戻ってないらしくてね」
     安土城怪人に次ぐ実力者が行方不明。さらに献身的な癒しで支持を得ていた『もっともいけないナース』も灼滅されている。
     もう、組織としては殆ど体を為していない。遠からず、自壊するだろうというのが、エクスブレイン共通の見解だった。

     その分、灼滅者の戦力が少なかった田子の浦で果たした軍艦島勢力は、白の王セイメイと合流。
     エクスブレインとは全く違う予知能力を持つ『うずめ様』。
     現世に磐石の拠点を生み出す事ができる『ザ・グレート定礎』。
     ソロモンの大悪魔の一柱『海将フォルネウス』。
     セイメイと同じ『王』の格を持つ『緑の王アフリカンパンサー』。
     彼らの力は、セイメイのこれまでの失策を補って余りある力を持っていると言える。
     だが――だが、だ。
     大軍が動けば、それだけ隙も生まれ易い。
    「多くのダークネスを富士の迷宮へと招き入れた事は、セイメイの新たな致命的なミスと言う事よ。クロキバに迷宮の入り口を見つけられちゃったんだもの」

    ●セイメイ、また失策す
     闇堕ちしてクロキバとなった、白鐘・睡蓮(荒炎炎狼・d01628)は、富士の樹海で探索を続けていた。
     そしてついに白の王の迷宮を見つけ――先代達の意志を継ぐべく、挑もうとしている。
    「で、こっちにもその情報をリークしてくれたのよ」
     尤も、セイメイも無警戒ではなかったようだ。迷宮の入り口の性質により、数千人での攻め入る事は不可能。
    「とは言え、白の王セイメイだけでなく、田子の浦で討ち取る事ができなかった、軍艦島のダークネス達を討ち取れる好機と言えるわ」
     迷宮には、アンデッドもうろついている。そこを突破し強力なダークネスを灼滅するのは容易な事ではないが、やってみる価値はある。
    「侵入の機会は、おそらく今回一度きりよ」
     一度侵入を許す事になったセイメイが、何の対策も取らない筈がない。
     やり直しの効かない、ダンジョンアタック。
    「皆で相談して、何を求めて突入するのか決めてちょうだい」
     それと、迷宮には、内部から迷宮を破壊しようとすると外に弾き出される、という防衛機構がついているらしい。
    「それを逆手に取れば、危機的状況からの緊急脱出にも使えるわ。壁を壊して進むと言うような破壊工作も不可能だから、地道に迷宮を探索するしかないけどね」
     敵拠点に攻め込むには、戦力は多くない。
     成果をあげるには、目的を絞る事も必要かもしれない。
    「だけど、これまで様々な暗躍をしてきたセイメイを仕留められるかもしれない、またとない機会よ。セイメイを灼滅できれば、クロキバとなった白鐘さんを闇堕ちから救出することも可能だと思うわ」
     田子の浦の戦いの雪辱戦とも言える。
     今回の作戦は、非常に重要な作戦になるだろう。


    参加者
    七瀬・遊(烈火戦刃・d00822)
    無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858)
    狗神・伏姫(GAU-8【アヴェンジャー】・d03782)
    黛・藍花(藍の半身・d04699)
    森沢・心太(二代目天魁星・d10363)
    ホテルス・アムレティア(斬神騎士・d20988)
    月影・黒(吸血鬼と大蛇・d33567)
    シエナ・デヴィアトレ(ディアブルローズルメドゥサン・d33905)

    ■リプレイ

    ●隠された迷宮へ
     富士の裾野に広がる樹海。
     その中に幾つか点在する風穴の1つの前に、多数の灼滅者達の姿があった。
    「この風穴って、地図に載ってないな」
     地面に空いた大きな穴を見下ろして、七瀬・遊(烈火戦刃・d00822)が呟く。
    「この風穴自体、セイメイが隠していたみたいだね」
    「それも、今日で終わりにしてやりましょう」
     穴の中に飛び込んだ無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858)とホテルス・アムレティア(斬神騎士・d20988)は、靴底に施した細工のおかげでほとんど足音を立てずに着地する。
     とは言え、この風穴自体がセイメイの迷宮、と言うわけではなかった。
     風穴を10分ほど進んだ所にある『氷柱』のある壁。
     二重写しのようになっている壁に飛び込んだ先が、セイメイの迷宮である。尤も、壁に飛び込む事になる入り口も、ばれてしまえば意味は無い。
    「貧すれば鈍するということでしょうか……、余裕は常に持っていたいものですね」
     淡々と呟いて壁に飛び込む黛・藍花(藍の半身・d04699)の後に、瓜二つの姿のビハインドが微笑みを浮かべて続く。
     飛び込んでみると、迷宮の内部は壁も天井も床も、ぼんやりと淡く輝きを放っていた。「……多少薄暗いけど、見えない程じゃないな」
     月影・黒(吸血鬼と大蛇・d33567)が周囲を見回して呟く。
     目が慣れてくれば、照明は不要だろう。
    「通信はどうですか?」
    「ダメだの。電波が取れんようだ。ま、予想の範囲かの」
     シエナ・デヴィアトレ(ディアブルローズルメドゥサン・d33905)の問いに答えて、狗神・伏姫(GAU-8【アヴェンジャー】・d03782)は雑音を吐くだけの無線機を荷物にしまいこむ。
     これから目指すのは迷宮の下層だ。地形的な問題なのか、何か仕掛けがあるのか判らないが、この時点で通じない通信に期待は出来ない。
    「明かりが要らないだけ、良しとすべきですね。何が起こるか分かりませんし、気をつけていきましょう」
     久しぶりの不死王の迷宮を警戒しながら、森沢・心太(二代目天魁星・d10363)は長い棒を担いで、先頭で下りの道へと駆け出した。

    ●探索は数だよ?
    「ふっ」
     ボキンッと音を立てて、ホテルスの宝剣が骨を断ち切る。
    「ウ……ァ」
    「大人しく……しろっ」
     まだ動こうとするスケルトンの頭を理央が掴んで、壁に叩き付けて粉砕した。
    「させません」
     2人の背後で斧を振り上げるスケルトンに、壁を蹴った心太が鬼の拳を叩き込む。
    「トドメです」
     体の半ばを砕かれた所に藍花の裁きの光に撃ち抜かれ、白骨が崩れ落ちた。
    「ふむ。やはりこの程度なら、転移は起きないようだの」
     何も変化が起きない迷宮を見回し、伏姫が口を開く。
    「色は少し判り難いが……足元も壁も特に変化はなさそうだな」
    「……壁の奥に何かあると言う事もなさそうです」
     黒が更に周囲に目を凝らし、シエナは壁に耳を当てて音を探るが、どちらも共に何も変化はないという結論になった。
     要するに、今来た道は唯の行き止まりだったと言う事になる。
     8人が来た道を引き返すと、後ろから来ていた他のチームの姿が見えた。
     ホテルスが蛍光塗料で壁に×を書きながら、念の為に声を出さずに手の動きで行き止まりであった事を告げる。
     頷いた他チームが少し先の横道に入るのを見送ってから前に進むと、先行したチームが別の横道から出てくる所に出会った。
     そんなやり取りも、初めてではない。
    「……もしかして、正解のルートって一本道になってるのか?」
    「今の所、迂回路もなさそうな様子だしの」
     遊も、彼がマッピングした地図を確認する伏姫も、少々拍子抜けと言った様子だ。
     横道や小部屋には何もなく、結局続いているのは1つの道のようだった。
     こうなると、迷宮内の同じ通路に複数のチームが存在する事にもなり、敵に見つかるリスクが高まる可能性がある筈だったが――それも問題なかった。
     何しろ37チームのほぼ半数、18チームが迷宮の下層を目指していたのだ。それだけが同じ通路に集まれば、リスクを軽く越える。
    「慎重さは捨てませんが、大胆に進んで良さそうですね」
     呟いた藍花の前で、振り向いたビハインドが笑顔で頷く。
    「そういや皆、朝飯食ったかー? 七瀬家特製肉巻きおにぎりあるぞ、美味いぞ!」
     遊がマッピングの片手間に、おにぎりをぱくつく。
     そんな余裕の行程も、永遠には続かなかった。
    「……? 何か変な匂いがするな」
    (「この生臭さ……死臭?」)
     匂いに気を配っていた黒と理央が、道の先から漂う生臭さに気づいた。理央はそう言う類の匂いに似ている事にも気づいたが、まだ確証がなく胸中で呟く。
     しかし、生臭い匂いは進む内にどんどん強くなり、鼻につく食欲を削ぐ、強烈な生臭さにまで発展した。
    「ゾンビもいたから、生臭いのは仕方ないとしても……これは異常ですね」
     あまりの強烈な匂いに、シエナが思わず顔を潜める。
     だが、その表情は最下層に着いたところで、更に曇る事になる。
     彼女だけではない。
     恐らくは最下層に辿り着いた誰もが、少なからず不快感の類を覚えただろう。
     セイメイの迷宮、最下層。
     セイメイの研究成果があると予知されていたその場所は、ドーム球場が幾つか入りそうな広大な空間で――そこに大量の、数え切れない『死体』が集められてられていた。
    「これが……セイメイの研究だと言うのですか。こんなものが、ありとあらゆるダークネスが賛同を示すグローバルジャスティスの研究と同じなのか」
     ホテルスの声に怒りの色が滲む。
    「恐らく何かを作っているのだろうとは思っていたがの……新たな生命かとも思っていたが、これは真逆だの」
    「融合アンデッドでも作ろうとしてたのかな」
     考え込む伏姫に、理央が驚いた風なく返す。
    「……途中のアンデッドに比べると、この人達、死んでから、まだ日が余り経っていなさそうだな……」
     遊にしては歯切れ悪く言いながら、匂いを堪えて目の前の光景にカメラを向ける。
    「噛まれたような傷がある人が多いですね。ゾンビにやられたのでしょうか」
    「これは流石にダミーの可能性はなさそうですが……」
     此方も匂いを堪えて、心太が検分し藍花が傷をカメラに残していく。
     その直後、死体の山から微かな音がした。
    「物音が……何かがいます」
    「お、おい、離れろ!」
     音に気づいたシエナの言葉とほとんど同時に、少し離れて全体を見守っていた黒が警告の声を上げる。
     時を同じくして、他のチームでも同じような声が上がり死体だと思っていたものの中から、次々とゾンビが立ち上がり始めていた。

    ●ゾンビゾンビゾンビ
     死体の中から、動き始めたゾンビ達。
     生者の気配に誘われたか。だが、動き出した原因よりも問題なのは『数』だ。
     はっきり言って数え切れる数ではないが、死体だと思っていた半分近くがいまや立ち上がって動き出している様に見えた。
     これまでの探索では灼滅者にあった数の優位が、逆転したのは明らかだ。
     だが――灼滅者達は、誰一人逃げようとはしなかった。
    「これがセイメイの研究成果なら、破壊するまでです」
     ゴルフクラブを振り上げて向かってくる老人のゾンビを、心太が飛び出し雷を纏った拳で顎を打ち上げて殴り飛ばす。
    「そうだの。漸く此処まで漕ぎ付けたのだ。この好機、逃してはならぬな」
     触れれば斬れそうな殺気を隠さず、伏姫は向けた銃口から爆炎の弾丸を放ちツナギ姿のゾンビを炎で包み込んだ。
     霊犬・八房は六文銭をゾンビ達に浴びせかけ――ゾンビ達の足は止まらない。
    「これだけ多いと纏めてなぎ倒すってわけには行かないみたいだね!」
     オーラを纏った右の拳で敵のバットをへし折った理央は、左の拳を数発連続でジャージ姿のゾンビに叩き込んで、右のフックでその頭部を粉砕し殴り飛ばす。
    「ですがアンデッドダークネスではなく、全て一般人のようですね」
     ホテルスは破邪の光を纏った宝剣を振り下ろし、セーラー服姿のゾンビを袈裟懸けに斬り裂いた。
    「やってやれない事はなさそうですね」
     ビハインドの刃がブレザー姿のゾンビを貫くのを見届けると、ゾンビを縛っていた藍花の影が彼女の足元に戻っていく。
    「何体いるのか知らないが、1人3、40体も倒せば何とかなるんじゃないか?」
     黒が冷静に告げて、スーツ姿のゾンビを怨みの具現たる漆黒の大鎌で斬り裂き――ゆっくり倒れるゾンビを押し倒し、新たなゾンビの顔が現れた。

    「「「「「「「ヴァー」」」」」」」

     正確に数えられていたのは誰もいなかったかもしれないが、この時、動き出していたゾンビの数は5000体程もいたのだ。
     数体程度では、倒しても倒しても、ゾンビの後ろにまだまだゾンビである。
    「回復は任せてください」
     そう告げるシエナの構える大きな擦弦楽器から、咆哮のような力強い音が響き、前で戦う仲間に力を与えて傷を浄化する。
     その横にゾンビが迫っていたが、ライドキャリバー・ヴァグノジャルムの鋼の機体がゾンビの歯を阻んだ。
    「大量のゾンビは、ゲームの中だけにして欲しいぜ」
     歯を砕かれたゾンビは遊の影の刃に切り裂かれ、ゆっくりと崩れ落ち――。
    「ヴァ゛ァ゛」
    「うぉぁっ!?」
     しぶとく腕を伸ばしてきたゾンビを、半ば反射的に遊が殴り飛ばす。
    「これで……っ!? ちっ!」
     鋏を無雑作に振り回して滅多切りにしたゾンビに動かれた黒も、咄嗟にゾンビの胴体を蹴って反動で距離を取る。
     どちらのゾンビも、それで動かなくなった。
    「今ので倒れた……?」
    「どういうことだ?」
     2人揃って、胸中で首を傾げる。
     どちらも、その前の攻撃で倒れていたゾンビが僅かに動いただけか、それとも――。
    「……確かめてみます」
     呟いて、心太はサイキックを使わず、迷宮探索で出番がなかった長い棒をゾンビへ全力で振り下ろした。
    「イ゛ッ」
     苦悶のような呻き声が、ゾンビの口から漏れる。棒に叩かれたその腕は、おかしな所でポッキリ折れていた。
    「えっと……効いちゃいましたね?」
     心太が驚きを隠しきれずに、呟く。
     当然だろう。効くはずのない攻撃が、効いたのだ。
    「ふむ。どうやら、こいつらはバベルの鎖の守りがないと見るべきかの。だとすると、他の能力もないかもしれんの」
    「情報の伝播、ですか……!」
     戦いながら推測を巡らせていた伏姫とホテルスが、そこに気づいた。
     バベルの鎖がないとしたら、このゾンビは報道されれば広まってしまう存在だ。
     もしこのゾンビが大量に地上に出現していたら――。
    「日本中が大パニックもあり得ますね」
    「それがセイメイの計画だったと言う事でしょうか?」
     シエナと藍花が、共に表情を変えずに呟く。
    「要するに、ますます逃げるわけには行かなくなったって事だね」
     そう結論付けて、理央はゾンビに飛び掛ると、その頭を掴んで首を引き千切る勢いで投げ飛ばした。

    ●戦いの果て
     何十分、戦い続けただろうか。
     自分達の血と返り血の区別が意味をなくなってから、どれだけ過ぎたか。
     異臭に血の匂いが混ざって、混沌とした空気が充満している。
    「もう30体以上斬ったと思うぞ。数え間違えて……なければな!」
     黒が振り回した鋏が釣竿を断ち切り、釣り人姿のゾンビを切り裂く。飛び散った赤と布切れが、血の様な色の刃に吸い込まれて消えていく。
    「「ヴァー」」
     周囲で響き続けたゾンビの呻き声は、随分と少なくなっていた。
     他のチームの姿も、ゾンビの向こうにはっきり見える。あれ程蠢いていたゾンビも、その大半が灼滅されていた。
     探索には過剰と思えた戦力が集まっていなければ、ここまで戦えなかっただろう。
     あともう数分で、決着が着くか――と思われた、その時だった。
     ゴゴゴゴゴッ!
     突如、全員の足元が大きく震えだした。足元だけではない。天井も壁もだ。
    「これは……この空間全体から聞こえてきますね。地震でしょうか」
     音の出所を耳で探ったシエナが告げた直後、他のチームから撤退を促す声が響いた。
     何処かのチームに、上層に向かったチームからセイメイを灼滅したと無線で連絡が入ったらしい。無線が通じるようになったと言う事がその何よりの証明だろう。
     そしてこの震動も。
     要するに、創造主を失った迷宮が崩壊すると言う事だ。
     既に脱出を始めているチームもいる。その様子を見ていると、誰か1人迷宮を攻撃すれば、そのチームの全員が転移されるようだ。
    「案外、ベタなお約束ですね」
     淡々と言いながら、藍花が光の砲弾を足元に撃ち込む。
     直後、8人と3体のサーヴァントの足元が輝きを放ち――全員が光に包まれた。

     気づいた時には、窓から薄日が差し込む木造の床の上にいた。
     ほんの数秒に比べ、随分と明るい場所だ。
    「どうやら……どこかの高校のようですね」
     明るさに目が慣れたところで、一際背の高いホテルスが『Ⅱ-A』と書かれた札に気づいて呟いた。
     人の気配は全くしない。他のチームの姿も見当たらないと言う事は、同じ敷地内の何処かにいるのか、全く別の場所に転移させられたのか――。
     とりあえず、セイメイの迷宮からは無事に脱出できたようだ。
    「ま、何とかなったな。お疲れさ――おわっ!?」
     隣の肩を叩こうとした遊は、ソレが何故かそこにいたゾンビのものだと気づいて反射的に素手で殴り飛ばした。
     壁にべしゃっと叩きつけられる、スーツ姿のゾンビ。
    「ヴァー」
    「……罠にしては少なくないかの?」
    「僕達の転移に巻き込まれたって所でしょうかね」
     もう1体、学生服姿のゾンビを見やり、伏姫と心太が顔を見合わせる。
     なんにせよ、学園に戻る前にもう1働きしなければならないようだ。
    「さっさと倒して、さっさと戻るとしよう」
     拳に光を纏わせた理央の言葉に、全員が頷く。
     さっきまで戦っていたゾンビの大群に比べれば、どうと言う事はない。灼滅者達は2体のゾンビを文字通りたこ殴りにし、帰路に着いたのだった。

    作者:泰月 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月2日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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