おひなさまの飾りかた

    作者:佐和

     古い屋敷の広い部屋に。
     大きな雛壇が設えられていた。
     お内裏様とお雛様。
     三人官女に五人囃子、隋臣そして仕丁。
     花や灯りや飾りの中で、雛人形は静かに佇む。
    「でもさ、この人形ってじーっと見てると何か怖くない?」
    「あー、光の加減とかかな?」
    「今にも動き出しそう、とか?」
    「そういえば、雛人形って女の子の身代わりなんだって。
     厄を引き受けるために作られるって聞いたよ」
    「うわー。じゃあ、この中に厄がいっぱい詰まってるってこと?」
    「そりゃ怖くも見えるわー」
    「動き出してもおかしくないよね」
    「そしたら女の子襲っちゃうよ」
    「やだー怖い」
     
    「で、本当に動いて襲っちゃうから怖い怖い」
     灼滅者達を前に両角・式夜(絞首台上の当主・d00319)がひょいと肩を竦めて見せる。
     その足元に座り込んだ八鳩・秋羽(小学生エクスブレイン・dn0089)は、もぐもぐぽりぽりと雛あられを食べています。
    「このお屋敷では、庭に面した広い座敷に雛人形を飾ってるんだ。
     最近の家では中々見れない豪華7段飾り。
     それを、庭を解放して、一般公開してるってわけ」
     そんな場所に集まってしまった噂が都市伝説となり。
     ある夕刻に本当に雛人形が動き出して人を襲い始めるのだという。
     まずは3体の仕丁が、次に右大臣と左大臣が、というように下段の人形から順に動いて、最後に最上段の2体が襲ってくる。
     1体当たりの強さは灼滅者達よりも弱く、1対1で確実に倒せる程度だという。
    「雛飾りを見に来てる一般人は、夕方だから数人程度。
     ESPで軽く追い払えるから大して問題にはならないよ。
     あと、動き出した雛人形は、倒すことで元の人形へと戻る。
     動き出してからつけた傷は、戻った時には消えてるから、安心だよね。
     だから問題なのは……」
     そこで式夜は苦笑して、ちょっと困ったように言う。
    「元に戻った後、散らかった雛人形の後片付け、かな」
     人形に傷はつかないものの、動いてしまったのは戻らない。
     つまり、襲ってくる雛人形を倒すと、雛壇からバラバラに転がり落ちた雛人形、という図が出来上がってしまうわけで。
    「ちゃんと片づけないと駄目……だよねぇ?」
     苦い表情で視線を向ける式夜に、秋羽はこくりと頷いたのでした。


    参加者
    両角・式夜(絞首台上の当主・d00319)
    エウロペア・プロシヨン(舞踏天球儀・d04163)
    淳・周(赤き暴風・d05550)
    壱越・双調(倭建命・d14063)
    アイナ・ロザリア(白薔薇纏う純愛人形・d18748)
    菊月・笙(神さまの愛し子・d23391)
    形守・恩(柳暗花明の鬼・d28676)
    氷川・紗子(高校生神薙使い・d31152)

    ■リプレイ

    ●春のやよいの このよき日
     簡素だが手入れの行き届いた庭を通って。
     障子の外された和室を見て、菊月・笙(神さまの愛し子・d23391)は藍瞳を輝かせた。
    「お雛様とか久しぶりに見ます!」
     奥の部屋へ続くのであろう襖は閉ざされていたけれども、庭との間を仕切るものはなく。
     訪れる人々は、その雛飾りを何に隔てられることなく眺めていく。
     笙もその例に漏れず。
     実家が和に親しみ易い神社という環境ではあったものの、男の子ゆえに残念ながら縁のなかった雛人形を、この機会にとゆっくり見つめた。
    「豪華7段飾りですか、凄いですね。私の部屋だと飾る場所がないですね」
     その横で、スマートフォンを手にした氷川・紗子(高校生神薙使い・d31152)が、感嘆の声を上げる。
     女の子のための飾りとはいえ、確かに、この大きさを置ける家は少ないだろう。
     カシャッと響いた電子的なシャッター音は、それが唯一、この雛壇を紗子の部屋に収める手段であるかのようだった。
    「私が生まれた国の人形達と違った繊細さがあって、素敵ね」
     アイナ・ロザリア(白薔薇纏う純愛人形・d18748)も、じっくりと緋色の壇に佇む雛人形を眺める。
     話に聞いたことはあったけれども、実際に目にするのは初めてで。
     フランス人形とは異なる、静かで楚々とした様子に、アイナの金瞳は奪われていた。
    「出来ればこのまま、暴れて欲しくないのだけれど……」
     ぽつり零れた声を拾い、壱越・双調(倭建命・d14063)が苦笑する。
    「去年、私の婚約者が襲ってくる雛人形と闘ったそうですが、縁とは繋がるものですね」
     聞いた話を今年は自分が体験する、という巡り合わせに奇妙な縁を感じていると。
    「日本の人形は、よく暴れるの?」
    「そういうわけではない、と思いたいですね」
     こくりと首を横に傾げたアイナに、双調の苦笑が深まった。
    「俺、この間、ゴシック風の着物着たお雛様とか見かけて、最近の日本文化すげぇなって思ったねぇ」
    「むむ、それは1度見てみたいものじゃな……」
     両角・式夜(絞首台上の当主・d00319)とエウロペア・プロシヨン(舞踏天球儀・d04163)はそんな言葉を交わす。
     時代と共に、お雛様は様々な姿を見せているようだ。
     でも今は、目の前に飾られた古式ゆかしい雛人形を眺めて。
    「雛祭り……昔はひいな遊び、といったのじゃったか?」
     ふむ、とエウロペアが呟くと、形守・恩(柳暗花明の鬼・d28676)がにこりと笑った。
    「雛は古くは、女子の遊び遊具だとか。
     それが身代わりとなったンは何時じゃろうか?」
    「お炊き上げとか人形送り……とはちょっと違うか?」
     淳・周(赤き暴風・d05550)も考え込むように首を傾げる。
     作法や謂れは違うが、どれも似た日本古来の風習。
     人に似せたものに人の厄を引き受けさせて、身を守る習わし。
     それらの中で一際豪奢に変わっていったのが雛祭りであるかもしれない。
     だから恩は、だんだんと夕暮れの陽に染まっていく雛人形を見やって。
    「欲しいのぅ。そんな雛たちの姿と見目と……噺が」
     その切れ長の青瞳を、さらに細めた。
    「化け狐共には階級が。そして階級と共に姿が大きくなる……あのやうに」
     そして艶と微笑む口元から、零れ落ちるは百物語。
     ぼんやりと現れたもふもふの狐の群れは、静かに他の物見客を立ち去らせ。
     その場に動く者は灼滅者達のみとなる。
    「お見事お見事。怖いねぇ」
     その手際に式夜がにやりと笑って見せれば、ほほ、と笑みが返されて。
     そしてさして間を置かずに、雛壇の下の方で、かたり、と傘がさらに笠が動いた。
    「まぁ、お雛様が動くのもホラーの領域だけど!」
     言って雛人形に向き直る式夜の前で、3体の仕丁が立ち上がる。
     それを見据えて、淳・周(赤き暴風・d05550)が胸の前で拳を合わせた。
    「厄ため込んで動き出した人形の厄の大掃除、頑張るとすっか!」

    ●かすかにゆする 春の風
     動きを揃えて飛びかかってくる仕丁に向けて、周は拳を一度開いて横薙ぎに振るう。
     生れ出た炎の奔流は壁のように広がって、3体を纏めて包み込んだ。
     その輝きに戦いの開始を見て、紗子はサウンドシャッターを発動させて。
     サファイアブルーの煌めきと共に双調が放った斬撃は、狼の舌を思わせる滑らかさと牙を思わせる鋭さとで、獲物を抉る。
    「さぁ、私と死の円舞曲を踊りましょう?」
     解除コードを囁くアイナの指先には冷気が纏い。
     辺りに絶対零度の痛みを振り撒きながら、ふわりと舞うように踊る。
     そこに流星の如く放たれた笙の飛び蹴りが、立傘をへし折り、それを持つ人形を倒す。
     雛人形1体ずつの能力は高くない。
     事前に聞いていたことが確かだと実感して、笙は小さく息を吐いた。
     その後ろで、姿を現すのはサーヴァント達。
     十二単を着た式夜の霊犬・お藤と、華やかな打掛を纏うエウロペアのウィングキャット・エイジア。
     華やかな衣装に目を瞬かせていると、そこにフラッシュが連続して光った。
    「可愛い! 可愛いよお藤!」
     先ほど雛壇を撮影していた携帯で霊犬を激写する式夜。
     あっという間に撮影枚数は雛壇の時のそれを追い抜きました。
     お藤は、布が幾重にも重なって戦闘に不向きな衣装に、重いとか動きづらいとか言いたげな目をしているように見えるが、式夜はそんな顔すらシャッターチャンスと言わんばかりにめっちゃ激写を続けていく。
    「エイジアと並んでも可愛いよっ!」
     さらには犬猫で並べさせられてのめっちゃ激写。
     お藤と顔を見合わせたエイジアは、その視線を主へと向けて。
    「ま、そう嫌そうな顔をするでない。ほれ、甘酒でも飲むがよいー」
     しかしエウロペアも止めることはなく、甘酒の瓶を取り出して掲げて見せる。
     なので代わりに笙が困ったように声をかけた。
    「楽しい雛祭りは、襲うてくる雛人形をどうにかしてからがええと思いますが……」
    「もちろん。分かってるって!」
     振り向いた式夜は、生き生きとした表情で言い切るものの、しかしその手に携帯を構えたままで。
     そこに仕丁が2体揃って襲い掛かり、沓台と台笠とを同時に叩きつければ、魔力の爆発が巻き起こる。
     あーれー、と吹っ飛ばされる式夜を見送ったエウロペアは、ふふっと微笑んだ。
    「実は襲いに来てるのではなく、案外わらわ達と遊びたいのかもしれんぞ?」
     そのまま笑みを1体へと向け、異形巨大化させた腕を振り上げて。
    「危ない遊び、じゃがの!」
     殴り飛ばせば、エイジアの肉球パンチが後を追った。
     程なくして全ての仕丁が倒れるが、戦いはまだ終わらない。
    「回復しますね」
     紗子の帯が式夜を覆って、その傷を消しつつ盾となり。
    「古井戸の寂寞、今此処に愛い姿と名とを紡ぐ。
     おいで。黄泉路井戸」
     紡がれる言霊に恩の姿が女性のものとなり、伸ばされた美しい白腕が癒しを招く。
    「次は右大臣左大臣ですね」
     そして、双調の声に意識を向けると、次の2体が動き出していた。
    「厄は焼いて祓うのがまあ一般的だよなー」
     弓に矢を番え構える2体のうち片方に、周が炎を纏わせた拳を叩き込む。
     その衣装に炎が燃え移るのを見て少し眉を潜めるが、戦いによる損傷は人形には残らないはずと憂いを振り切り、容赦なく次の一撃のためにと炎を操った。
    「厄を全部焼き飛ばしちまえ!」
     夕陽より赤く燃える炎を無表情に見ながら、アイナはその冷たい手を伸ばす。
     その指先から煌めいて見えるのは、今度は冷気ではなく鋼の糸。
    「大人しくして頂戴。貴方達をあまり傷つけたくないの」
     ぽつり呟く声に応えるように動いた鋼糸は右大臣を捕え、そこに双調の一撃が放たれる。
     倒れ、人形に戻る右大臣の向こうで、恩と笙の攻撃を受けた左大臣も動きを止めていて。
     だがしかし、次は5体が動き出す。
    「なかなかにハードな事ですね」
     昨年、婚約者が相対したという雛人形。
     その聞いた話も思い出しながら苦笑して、双調は、濃紺ベースのレトロフューチャーなエアシューズでとんっと地を蹴る。
     向かうは次の相手たる五人囃子。
    「雛人形の皆様には落ち着いて頂いて、雛壇に並んで貰いましょう」
     頑張りますよ、と誰かにそっと告げるように囁いて、天河渡りの回し蹴りを放った。
     次々と現れる敵に、笙も少し疲労感を見せながらも弓を構えて。
    「綺麗な雛人形ですね。すごく大事にされてきたのですね」
     そこに、紗子の声がふわりと届く。
     言われて改めて見れば、人形そのものや衣装に年代は感じるものの、それらは埃1つ被ることなく、欠片の傷もなく、整えられていて。
     誰かが大事にしているからこそ綺麗であることが伺えた。
    「せっかく綺麗なお雛様やから、楽しく鑑賞させて欲しいなぁ」
     思わず笙も呟けば、気づいた紗子が振り返って小さく苦笑して。
    「ちょっと攻撃するのはしのびないです」
    「特に女の子のものやもんなぁ」
     笙も苦笑を返しながら、でも、と続ける。
    「だからこそ、怖い想いのないようにせんと、ですよね」
     言って番えた矢を放てば、それは星のように空から人形へと降り注いで。
    「ごめんな」
     優しい呟きに紗子は微笑んで、そんな仲間を支援するように交通標識を振るう。
     そうして囃子が消え。
     次いで三人官女も打ち倒し。
     最上段の最後の2体を相手取る頃、恩がにこりと微笑んだ。
    「身代わりとして厄を引き受けた麗しき人形よ。
     うちと、うちの噺たちと来ぬか?」
     語りかけ、伸ばされる手の先で。
     双調が男雛に古代文字の書きこまれた白色の帯を射出して。
     周の振るう炎の拳が、女雛の身体を捉える。
    「身代わりなど終わらせ、美しいままで語り継ごう。
     厄なんぞ払って、無垢なままに愛でよう」
     彗星の如き笙の矢がお内裏様を貫き。
     アイナの鋼糸がお雛様の周囲を高速に煌めいて。
    「……共に、生きぬか?」
     七不思議使いたる恩の問いかけに、人形が振り向いたように見えた、その瞬間。
     式夜の斬撃とエウロペアの風の刃が、雛人形を切り裂いた。

    ●今日はたのしい ひなまつり
     そして辺りには夕暮れの静かな庭が残って。
     灼滅者達の前に広がるのは、和室に散乱した雛人形達。
    「よし、後はお雛様を並べなおさないとな!」
     式夜の声を合図にするように、皆は次々と和室に上がり、それぞれ人形に歩み寄った。
    「ええと、これは笛を持った五人囃子だから……」
     戦いの前に撮っておいた写真はこの時のためでもある。
     スマートフォンの画面と手にした人形を見比べながら、紗子は位置を確認する。
    「……これは?」
     アイナもそっと抱き上げた人形を手に、場所を教わるべく紗子に声をかけた。
     頑張って場所を記憶してみた笙は、一生懸命それを思い出しながら場所を探して。
    「この小鼓持ちはここですね」
    「いやいや笙くん、もう1つ隣だよ。ほれ」
     こちらも携帯で写真撮影をしていた式夜が、それを見せて指差す。
     大皮鼓と小鼓は見た目がよく似ているので、一見で覚えるのは難しいところ。
     間違い探しみたいな2体を見比べながら笑っていると。
    「式夜よ、わらわにも写真を見せてくりゃれ?」
     おっかなびっくりな手つきで人形を手にしたエウロペアが覗き込んできた。
     その一方で、慣れた様子で迷うことなく人形を戻していくのは双調。
     和風の古い品が多く残る実家は、津軽の旧華族。
     その品の中には雛壇もあったのだ。
     もちろん、男の子である双調自身のものではないが。
     雛飾りはしまいっぱなしでも傷んでしまうものだから。
    「そういや雛人形って、出すより片付けの方が大事なんだよなー。
     行き遅れるとかいう厄が……」
     官女の持つ長柄銚子のバランスを取りながら周はふとそんな話を思い出した。
     その厄も一緒に燃やせてたら、綺麗な人形を長く飾って置けるのにな、なんて思いながら、手にした人形を上から2段目の右端に迷うことなく配置する。
     しかしまあ、この行き遅れの厄は、雛人形が傷まないようにきちんとしまうための教えのためのようなもの。
     来年も綺麗な雛人形を見るためにも、燃やせない厄であろう。
    「にしても見事な雛たち。大事にされて来たのだのぅ」
     元に戻っていく雛壇を眺めて、恩が嬉しそうに目を細めた。
    「壊れてなくてよかったです」
     紗子もほっとした様子で台笠を持つ仕丁を眺める。
     丁寧に抱え上げたそれはどこに置くのかとスマートフォンを操作し確認しようとすると。
    「5段目の向かって左よのぅ」
     眼鏡の下でにこり笑う青瞳。
     幼少から芸者を志す恩にとっても、雛壇は見慣れたもののようだ。
     お雛様を拾い上げたアイナは、じっとその顔を見つめる。
     襲って来たのが嘘のように静かに、澄ました表情を見せる人形。
     でも、愛され続ける人形には魂が宿ると言う。
     古くてもこれだけ綺麗に保たれ、様々な人に愛でられ続ける雛人形なら、きっと。
     そこに聞こえたのは、小物の位置を直しながら、笙が口ずさむメロディ。
     雛人形と共に親しまれてきた雛祭りの歌だが、アイナには初めて聞くもので。
    「クリスマスにはクリスマスの曲があるように、日本にも行事で歌があるのね」
     それに耳を傾けながら、真似るようにたどたどしく笙の音を追う。
     ふとお雛様を見下ろすと、その口元が微かに微笑んでいる気が、した。
    「これで最後、ですね」
     そこにそっと双調の手が伸ばされた。
     見上げるアイナに優しく微笑んでから、双調は視線で雛壇の最上段を示す。
     アイナは察して頷くと、優しくお雛様を譲り渡して。
     長身の双調が雛飾りを完成させるのを見つめた。
    「終わったの! なら、雛祭りの宴じゃな!」
     そして響き渡るエウロペアの声に、賛同の声が重なる。
     しかし、暮れる陽に時刻を見て、恩は穏やかに首を傾げた。
    「ここでは迷惑かのぅ」
    「なら途中で見た公園でいいんじゃん?」
     雛人形を楽しませてくれた家主に迷惑がかからぬように。
     周の提案に皆も頷き、一行は移動を開始する。
    「これ、俺が一等好きな和菓子屋のお気に入りなんだよねぇ。
     あ、甘酒が苦手な子にはジュースもあるからね」
     式夜が甘酒を見せれば、エウロペアも風呂敷包のお弁当箱を掲げて。
    「わらわはちらし寿司を拵えてきたのじゃ!」
     えっへんと胸を張って見せる。
     レシピとにらめっこして頑張ったそれは、形こそ不格好だが味はよくできたと自信満々。
    「ほれほれ、美味いぞー?」
    「おー、エウロペ頑張ったなー」
    「ぬわ! 撫でられた!」
     楽しそうにじゃれる2人に双調はくすくすと笑って。
    「私は菱餅、持ってきました」
    「僕は金平糖とひなあられ」
     笙も応えるように、色とりどりの粒が入った袋を見せた。
     次々出てくる初物にアイナの瞳が興味に輝く。
     それを見て悪戯っぽく笑った紗子が、ひょいと笙の袋から金平糖を1粒失敬。
     そっとアイナの口元に差し出した。
     広がる甘さにアイナの表情がふわりと綻んで。
    「優しい味……」
     初めての雛祭りは楽しく嬉しく過ぎていく。
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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