
●ダークネス
ドジョウはコイ目ドジョウ科の魚で、意外とカルシウムが豊富。ウナギの9倍らしい。
ドジョウすくい踊りの安来(やすぎ)節で有名な島根県安来市では、ドジョウの養殖が盛ん。市の魚もドジョウだ。
「アイドルがエロいドジョウすくいをしたら、ご当地アピールの効果があるんじゃないでしょうか!」
誰かが聞いているわけでもないのに、サングラスをかけたヒョロい男が言った。
ドジョウと書かれたTシャツの上に、パーカーを着ている。見た目は人間だが、ご当地怪人だ。ドジョウ怪人と言う。
「ドジョウをニュルニュルッとさせて、胸の谷間からドジョウが『チワっす』です! 貧乳は貧乳でいい感じですね。ウナギではなく、ドジョウでニュルニュルしてエロエロな時代が到来するのですよ!」
なお、ドジョウは後で美味しく頂く予定とか。
「ドジョウアイドル──略して『ドジョドル』をプロデュースして、ドジョウキングダムを築き上げてみせます! ドジョドル、カミングスーン!」
「うげっ。クレーンゲームでウサギのぬいぐるみをゲットするつもりが、ウナギのぬいぐるみを獲っちゃったわ。ウナギなら持ってるんだけど……」
「これ、ウナギじゃなくてドジョウじゃない?」
「あら、そうね。ドジョウと言えば、島根県の安来市が有名だった気がするわ!」
その言葉を聞いたジェルトルーデ・カペッレッティ(幼きアッセディグイーダ・d26659)は、エクスブレインに話してみることにした。
「どじょう怪人が、いるかも!」
不思議なポーズをする彼女を見たエクスブレインは、サイキックアブソーバーの前で、不思議ポーズを再現してみた──。
●教室にて
「私、『ブレイズゲート台風』。武蔵坂学園に通う、高校1年生です」
野々宮・迷宵(高校生エクスブレイン・dn0203)は、アイドルっぽい格好をしていた。
「エクスブレイン業界でトップアイドルだった(かもしれない)私だけど……。『無差別籠絡術』って言う巨乳アイドルの出現で、トップから陥落しちゃったんだ。そんなこんなで、予知の時間です」
迷宵が黒板に張ったのは、島根県の地図だ。
「ジェルトルーデちゃんのおかげで、ドジョウ怪人の活動を掴むことができました。島根県のキングダム系怪人です」
日本各地に出現したキングダム系怪人だが、ご当地怪人の派閥やグループというわけではない。いずれも単独行動だった。
なお、ドジョウ怪人はドジョウをくれない。これも、キングダム系怪人の特徴である。
「ドジョウ怪人は、ドジョウアイドル──略して『ドジョドル』をプロデュースして、ご当地の支配を企んでいるみたい」
ドジョウをニュルニュルさせてエロエロなアイドルらしい。
「女の子が、えっちなドジョウすくいをさせられちゃうかも……。そうなる前に、ドジョウ怪人をやっつけて! ここにある高校の中庭に行けば、敵がいます」
接触する時間帯は放課後。普段であれば部活動をしている生徒がいるのだが、当日は部活動停止期間とかで人がいない。怪人(女子高生をスカウトするつもり?)は、そのことを知らないのだろう。
「人払いはしなくても大丈夫そうだね。敵のサイキックは、ご当地キック・リングスラッシャー射出・セブンスハイロウです」
ドジョウのような形のリングスラッシャーを使うが、リングスラッシャーには実体がないので、ニュルニュルはしないはず。
「サイキックの活性化や装備品の確認、気をつけて。行ってらっしゃい!」
| 参加者 | |
|---|---|
![]() 黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447) |
![]() 篁・アリス(梅園の国のアリス・d14432) |
![]() 東・啓太郎(独り歩き・d25104) |
![]() 果乃・奈落(果て無き殺意・d26423) |
![]() ジェルトルーデ・カペッレッティ(幼きアッセディグイーダ・d26659) |
![]() イサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082) |
![]() クラリス・カリムノ(導かれたお嬢様・d29571) |
![]() 戒道・蒼騎(ナノナノ毛狩り隊長・d31356) |
●高校の中庭にて
「ドジョウ怪人、やっぱり、いた!」
ジェルトルーデ・カペッレッティ(幼きアッセディグイーダ・d26659)が、いたのポーズをしている。
「既に、半分もの県にキングダム系怪人が出現したか……」
イサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082)は、クールなポーズをしとく。
「全て駆逐されたとはいえ、この出現頻度は警戒すべきだろう……」
ドジョウ怪人は、サングラスをかけたヒョロい男。キョロキョロしている姿は、バベルの鎖がなければ通報されそうなくらいに不審者。
「あれが今回の相手ね……」
クラリス・カリムノ(導かれたお嬢様・d29571)の横にはドリームメアがいる。ローブに杖に魔導書のような本と魔法使いのようなナノナノだ。
「えーと……今回の相手は、一体何なのかしら……。都市伝説ではないのよね……?」
アイドルをプロデュースする都市伝説ではなく、ご当地怪人である。
「キャラが濃いのは何時も通りだと思うんだけど……何か嫌な予感しかしないわね……」
「おい、豚」
戒道・蒼騎(ナノナノ毛狩り隊長・d31356)が、つまみ食い防止の首輪をしたナノナノを呼んだ。食いしん坊な白豚は、ダイエットのせいで反抗的。ふて寝中。
「……駆逐してやる」
蒼騎が額の毛を引っ張ると、白豚の悲鳴が上がった。
東・啓太郎(独り歩き・d25104)の肩に乗るグルメは、小悪魔風のナノナノ。フォーク状の槍で地図をつついている。昨日の番組で、ご飯がおいしいと紹介されていた場所の様子。
その地図には、キングダム系怪人との戦いの記録が記されていた。
「北海道、宮城、静岡、大阪、広島、熊本。今日は島根……広島と島根で中国被り……あと四国と関東なんだから空気読めよ!」
「四国と関東がどうしたのか知りませんが、男子に用はないんで」
「あと四国と関東……!」
「……やれやれ」
食い下がる啓太郎を、果乃・奈落(果て無き殺意・d26423)が引きずっていった。
「このパイを、くらえ!」
「もごっ!?」
ぴょんぴょん跳びはねて、ジェルトルーデが怪人の口にお菓子を突っ込んだ。とある魚(ウナギ?)の成分のパウダーを使用したもので、とあるクラブで売っている。サクサク。
「このパイを、くらえ!」
「もごもごごふっ!」
「このパイを──」
奈落が、ジェルトルーデを担いで連れていく。
「……私が用があるのは、ドジョドルの素質を持つJKです」
「ドジョドルって語呂もどうかと思うのよ。やろうとしてることも『懐かしの映像特集』とかで出そうな奴だし」
篁・アリス(梅園の国のアリス・d14432)が言うと、怪人は「ちっちっち」と指を振る。
「新時代のニューウェーブですよ」
「貴方の言うドジョドルとは、こんな感じでしょうか」
黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447)の影業がセーターの中に入り込み、ツルペ……華奢なボディーに絡み付いて首元から出てくる。
「それだと、ヘビみたいですね」
影業だとは気付いていないようだ。
イサが小首を傾げた。
「ドジョウが女の子にニュルニュルすると、何が凄いのだろうか……? 分かるような分からないような……。えっち?」
「巨乳JK発見! これを胸の谷間に挟んでみてください!」
「何故かは分らんが、期待外れという気持ちがわいてくる」
ドジョウのオモチャ(ニュルッとしてヌメッとしている)を受け取ったイサは、触手ニュルニュルの経験あり。
「これはこれで可愛いものだな……。こら、奥に潜ってはダメだぞ」
谷間から顔を出すドジョウ(オモチャ)をツンツン。
クラリスの表情が曇る。
「ぬるぬるしていて気持ち悪いわね……」
「ニュルニュルしてエロエロ……きもちわるい!」
ジェルトルーデは、きもちわるいのポーズを披露中。
「ドジョウを扱った芸能なら、普通に安来節を推した方がいいんじゃないでしょうか。ドジョウすくいは、腹踊りと共に、一昔前の代表的なお座敷芸ですよ。当然、踊れますよね?」
璃羽に言われた怪人が「もちろんです」と踊り始めたが……カクカクしたドジョウすくいだった。
「……そろそろ、いいだろう。殺すか」と奈落。
「変身!!」
グローブを握りしめたアリスが、スレイヤーカードの封印を解除した。その身を、赤いマフラー付きの戦闘服──月影が包み込む。
他のメンバーも武装を展開。
「灼滅者ですか……!」
怪人が召喚したリングスラッシャーは、ドジョウのような形をしている。
「カードでセルフプロデュースする点はアイドル的ですが、バベルの鎖はアイドル活動に不向きですね!」
●ドジョウ
リングスラッシャーが分裂した。まるで、ドジョウの群れである。
「仲間を守るのが私の役目だ」
イサが纏うアラウダ・アーラ(軽装の騎士甲冑)の背には、氷の翼が生えていた。
「お前も行け!」
白豚も盾に。投げられたように見えたのは気のせいか。
「……耐えましたか。少しは楽しませてくれるようですね!」
「変質者めー! きさまの好きにはさせないぞー!」
「変質者じゃありません。プロデューサーです」
「三千の梅の力を借りて! 今必殺の! 水戸六名木! 月影キィィィィィィックッ!!」
梅の力を帯びたアリスのキックが、怪人にヒットする。
「……灼滅者の攻撃、予想以上です……!」
「とりあえず、キックを入れておけばいいようだな……。それがドジョウの神髄……」
イサは、ソレアエ・フェッラータエ(凍気を噴き出している)でスターゲイザー。
「またしてもキックですか」
「皆、敵を蹴り出したわね……。私も蹴った方がいいのかしら……」
「またしてもキックですか……?」
蹴り技がないクラリスは、鬼神変で殴るべきなのか。
「とりあえず、エンチャント付与をしておくわ……。夜霧隠れ……」
純白雪銀のナイフが、銀色の刃から霧を発生させた。ドリームメアは仲間を癒す。
「ドジョウ型のリングスラッシャーかぁ……」
グルメと白豚が、よだれを垂らしている。ドジョウを食べたいのか。
「いやうん、友達に鹿型のリングスラッシャー使ってる子居るから、そこまで驚きはせんけど。リングってなんだろう」
グルメも、ふわふわハートを発動。啓太郎は、炎の蹴り。
「……またしてもキックですか……」
「まぁ、ご当地をプロデュースするのは分かる。その方法がずれているのも分かる……が、何でその方向に行ったんだ……」
呆れた様子の奈落が、敵の急所を見抜く。
「狙わせてもらうぞ」
チョコボロスブレイト(チョコレートの匂いがするバレンタインプレゼント)で斬りかかった。
「これは、リア充の臭い……!」
「ドジョドルは、流行らないと、おもうな!」
謎ポーズをした後、ジェルトルーデが敵に接近。小柄なので、武器が相当長く見える。
「フォースブレイク、フォースブレイクを、くらえ!」
「JKになったら、貴女も立派なドジョドルになれますよ」
「自分やドジョウ自体ではなくアイドルでアピールとか他力本願な時点で、ご当地怪人の在り方として間違っているのでは?」
「私はプロデューサーですからね!」
璃羽の攻撃が、敵のトラウマを具現化する。
「……『ドジョウをどうじょ』なんてオヤジギャグ、言わなきゃよかった……」
「ドジョドルか……。どうせなら、料理でアピールすればいいのにな」
蒼騎が繰り出したのは、鋼鉄の如き拳。白豚は、ドジョウをよこせと言わんばかりに、たつまきを発生させる。
「なかなかやるじゃないですか、灼滅者……!」
●ドジョドル
ドジョウ型リングスラッシャーが射出されると、グルメが飛び出して仲間を守る。フォーク状の槍で光の輪を捕らえようとするも、実体がないので捕らえられない。
「サンダァァァァッ! スマッシュ!!」
アリスが振り下ろす金獅子は、雷光を帯びた黄金の大剣だ。
「ていうか、なんでえっちなの前提なのよ」
「男が食い付くからです」
「触手状の生き物が這い回る感覚を教えてあげます」
璃羽の体に巻き付いた触手(影業)が、セーターの胸元を突き破り、怪人へと伸びた。
「今時、エロが売りなんて地下アイドルでも底辺の方じゃないですか。キングダムなんて無理です。そもそも、ドジョウよりウナギですよ、日本人なら」
「ドジョウ1匹でウナギ1匹分の栄養があると言われるんですよ!」
「ドジョウ料理か。少しは活躍するようなら、豚にも食わせてやるか。そうでないならナシだぜ」
蒼騎もリングスラッシャーを撃ち出す。ドジョウを食べたい白豚も飛んでいき、しゃぼん玉を発射。
「なんなら、この豚をプロデュースしてみたらどうだ?」
「ドジョウがニュルニュルしてもエロくないですね」
「そういえば、魚は鮮度が命だったな……。凍えろ……」
姫騎士風のイサが冰槍「モリス・テンプス」を構え、妖冷弾を飛ばす。
「姫騎士とオークの時代から、姫騎士とドジョウの時代に!」
「この敵は、どう対処したらいいのかしら……?(敵も仲間もキャラが濃い人ばかりで、どうすればいいかわからないわね……)」
クラリスがおどおど。
「スク水姿のJSがドジョウと戯れるのもオツですね」
「私は、そんなえっちないやらしい真似は出来ないわ……」
肌を露出するのが恥ずかしいらしい。
「行くわよ」
優炎弓から放たれた矢は炎を纏い、仲間に癒しをもたらした。ドリームメアは、杖をくるくるさせてハートを飛ばす。
「正直、ドジョウで島根県の安来市が出てくる人はドジョウ系アイドルの素質めっちゃあるだろうし、お前はそっちを勧誘しに行くべきだったと思う」
啓太郎が言った。ジェルトルーデが見かけた少女(東京にいる)の事だろう。
「ドジョドルとか完全に深夜枠狙いじゃねーか。ゴールデンにお茶の間で流せる方向性狙おうよ」
グルメが暴風を起こし、啓太郎は寄生体で形成した剣を振るう。
「会員制有料サイトでの配信を検討していたのです」
「絶対に成功しないんだ、ここで後腐れも無く終わらせてやる。……真面目に相手するのも疲れそうだしな」
奈落の足元から伸びた影が、怪人を飲み込んだ。
「戦いが終わったら、ドジョウ鍋とか食いに行くか。……こっちをプロデュースした方が良かっただろうに」
「水着姿のドジョドルがドジョウ鍋を食べるエロ動画ですか……!」
「……」
「えっちなことなんて、させない!」
ジェルトルーデが、させないのポーズ。
「倒して、みんなで、どじょう料理、食べに行こ! 怪人さん、ちゃおちゃお!」
敵に肉迫した少女は、自分より大きい標識を振り回し、敵の急所に正確な攻撃を加える。
「ぐわはぁっっっ!!!」
怪人が地面に倒れ込む。その体が、淡い光に包まれ始めた。
「待て!」
声をかけたのは啓太郎だ。
「四国と関東のキングダム系怪人に知り合いは……!」
「私、友達いないんで」
友だちいない系怪人が消滅した……。
怪人がいた場所に背を向け、アリスがマフラーを翻す。
「ドジョウ怪人……恐ろしい変態だった。……でも別に、物のPRにはならない気がするのよね。だって、販促してるわけじゃないもの。近くにお店、あるのかしら?」
「食事に行くなら、俺も付き合うぜ。豚はドジョウ料理ナシだ」
「ナノッ!?」
「柳川鍋食べたいです」
璃羽のセーターには穴が開いたまま。
クラリスがドリームメアを抱きかかえる。
「……終始訳のわからないまま終わってしまったけど、今度はドジョウの料理を食べにいくのかしら……?(ついていってみよう……もう依頼の事は忘れた方が良さそうね……)」
「どじょう料理!」
ジェルトルーデは不思議なポーズをし、イサは小首を傾げて言う。
「ふむ……ドジョウ料理とは、どういう物なのだろうな? ウナギ料理のようなものなのだろうか……? 百聞は一見にしかず、だな……」
「……四国と関東……」
「ほら、行くぞ」
啓太郎は、奈落(実は大食い)に引きずられていた。
グルメが見ているスマホの画面には、明日の旅番組の内容が書いてあった。
| 作者:Kirariha |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年3月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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