てくにかるゾンビアクション

    作者:のらむ


     とある企業が、需要が全くない森の真ん中に遊園地を造ろうとしていたそうです。
    「ウーー……ウーーー……」
     なんでそんな場所にそんなものを造ろうとしたのかは全く不明だが、とにかく造ろうとしていた。
    「ウーー……ウウウウウ…………」
     しかし様々な大人の事情が交錯した複雑な理由によりその企業は倒産。建設途中のその遊園地は完全に放置されてしまったそうで。
    「ウウウウウウウウウーー」
     ただ人はいなくなったみたいですけど、そこに彷徨いこんだゾンビ達が結構沢山騒いでいるらしいですよ。
    「ウー……………………ガッ!!!!」


    「はいどうも皆さんこんにちは。今回私が予知したのは、とあるはぐれ眷属のゾンビ共の存在についてです。幸い今のところ犠牲者は出ていませんが、今の内に奴らをギッタギタにしてきて下さい」
     神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は赤いファイルの上で炭酸飲料の蓋を開けつつ、事件の説明を始める。
    「場所は、とある森の奥に建てられた建設途中の遊園地の廃墟。中途半端な段階で放棄されてしまった為、この場所にある施設というか場所は、体感型ゾンビシューティングアトラクション、超巨大フライングカーペット、荒れまくった資材置き場の3つのみです」
     ゾンビ達はそれぞれの場所に思ったより割と沢山の数がいるらしい。
     ちなみにこの施設は完全な廃墟の為、好きに暴れまわっても問題ないとウィラは説明した。
    「ゾンビ達はそこら辺にあるものを投げたり振り回したり、噛みついてきたり、近接武器やら銃やらで攻撃したりしてきます」
     そこまでの説明を終え、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
    「とりあえず説明はこんなところですが……ええ、このゾンビ達、やたら弱いです。それはもう弱いです。はい、弱いです。ですので皆さん是非格好つけて、テクニカルにゾンビ共を蹴散らしてきてください。安すぎも高すぎもない、いい具合のお菓子でも買って帰りを待ってます」


    参加者
    エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・d04722)
    白石・作楽(櫻帰葬・d21566)
    白波瀬・千尋(黒装白刃・d23397)
    伏木・華流(桜花研鑽・d28213)
    御巫・夢羽(明日もいい日でありますように・d28238)
    藤原・漣(とシエロ・d28511)
    ヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821)
    秋山・梨乃(理系女子・d33017)

    ■リプレイ

     さあ始まりましたてくにかるゾンビアクション。
     いい感じの時間にやってきたいい感じの灼滅者達は、いい感じに散って行くと各々いい感じに戦闘を始めるのだった。


     こちらは体感型ゾンビシューティングアトラクション場。
     コスプレではないマジのゾンビ達がひしめくこの場所で、灼滅者達は如何にして戦いを行うのだろうか。

    「うわぁ、本当に街みたい……凄くリアル。遊園地の目玉になる筈だったというだけあるね」
     白石・作楽(櫻帰葬・d21566)は精巧に再現されたゴーストタウンを眺めつつ、ゆっくりとその中に足を踏み入れた。
     慎重に歩みを進めると、建物の影に佇むゾンビの姿を発見した。
    「神風よ、疾く奔れ……」
     作楽が放つ風の刃がゾンビの全身を切り刻むと、そこに突撃したビハインドの『琥界』がゾンビを叩き伏せた。
    「中々良い出だしね、琥界。この調子で……ん?」
     物陰から出て琥界にそう投げかけた作楽は、周囲に複数の敵の気配がある事を逸早く感じ取る。
    「琥界、構えて!」
     作楽は瑠璃水晶の縛霊手『花色姫法帖』に己の霊力を込めると、次の瞬間大量のゾンビが作楽達に襲い掛かる。
    「古に綴られし数多の想いよ……迷える死霊をその地に縛れ。……琥界、お願い!」
     そして作楽が創り上げた巨大な結界がゾンビ達の動きを封じると、琥界は霊力の塊を次々と撃ち出し、建物をも破壊する程の威力でゾンビ達を仕留めていった。
    「弱いと名言されるだけあって、歯ごたえのない連中だね……ん、まだいるみたい」
     作楽が眼を細め見据えた先では、巨大な処刑斧を構えたデカゾンビがこちらに突撃してきている所だった。
    「合わせるよ、琥界。ぶっつけ本番だけど、まあ多分どうにかなるよね」
    「ウガーー!!」
     デカゾンビはその巨大な刃で作楽たちを纏めて薙ぎ払おうと斧を振るうが、
    「そんな温い攻撃が、当たるとでも思ったか」
     ふわりと空に跳びあがった作楽と琥界はその斬撃を避け、デカゾンビの巨体を見下ろす。
    「折角だし、トラウマダブル攻撃とかもいいね……行くよ!」
     琥界が己の顔を晒しデカゾンビの魂を直接蝕むと、作楽は影の桜吹雪でデカゾンビの巨体を包み込む。
     美しき花びらの一枚一枚が屍の魂を喰らっていき、気がつくとその巨体は地に倒れ伏していた。
    「人非ざる身の上となった悪夢ってどんなものかな? 話ができないのが残念」

    「さて、皆予想以上に好き勝手に散っていったが……まあ、俺もストレス発散も兼ねて楽しませてもらうとしますか」
     堂々とアトラクション場に躍り出たヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821)は、周囲に蠢くゾンビ達に目をやり、赤き居合刀『赤雷』を構える。
    「行くぞ赤雷、思う存分斬り捨てろ」
     言い放つと同時に駆け出すヘイズ。圧倒的な機動力で戦場を駆け、ゾンビ達の懐に一瞬にして潜り込む。
    「そんな動きで俺は捉えられないぞ」
     次々と放たれる居合いの斬撃。ゾンビ達はヘイズの姿を確認する事もなく、斬り捨てられ消滅していく。
     己に浴びせられる返り血は気にも留めず、ヘイズは坦々とゾンビを斬り続けた。
    「死体なだけあって、遅いな……だが、鬱憤晴らしには十分な数だ」
    「ウガーー!!」
     ゾンビを斬り捨てたヘイズの背後から一体のゾンビが迫るが、ヘイズは冷静に白銀の拳銃『XthS』を取り出し引き金を引く。
    「残念でした……」
     振り返る事すらなく放たれた弾丸は精確にゾンビの眉間を撃ちぬき、ゾンビの身体はバタリト崩れ落ちる。
    「これじゃあまるで害獣駆除……いや、ゾンビだから害死体? うーん? ……まっ、どうでもいいか殺すんだし」
     そして居合刀を構えなおしたヘイズ。と、その時。近くの西洋風の舘から巨大な咆哮が響き渡り、その壁をぶち破って1対のデカゾンビがその姿を表した。
    「ウガァァァアアアアア!!」
    「うるさくてデカいだけだな。大した敵じゃあない」
     そう言って居合刀を構えなおしたヘイズは、一気にデカゾンビとの間合いを詰める。
     そんなヘイズに向けデカゾンビはライフルから一発の弾丸を放つが、
    「無駄だ」
     音速の弾丸を容易く斬りおとしたヘイズは、デカゾンビの巨体を蹴り上げ宙に浮かす。
    「骨の一片も残しはしないさ」
     そう言いヘイズが放った斬撃の嵐は、デカゾンビの巨体を徹底的に切り刻み、跡形も無く消し飛ばす。
    「何だもう終わりか……」
     ヘイズは刀を振るい血を払うと、静かに納刀するのだった。


     こちらは超巨大フライングカーペット。
     とにかく凄く回ってる。その一言に尽きるこの場所に、何故か多くのゾンビ達が乗り騒ぎまくっている。

    「ここが私の担当場所だな…………本当に凄く回っているな」
     秋山・梨乃(理系女子・d33017)はやたらと回転するフライングカーペットの上に綺麗に着地すると、バランスを取りながら周囲のゾンビを見やる。
    「お姉ちゃんに聞いた話によると、とにかく攻撃すれば良いらしい。ならば、ここは列攻撃で薙ぎ払うのが効率的なのだ」
     梨乃は装着したバベルブレイカーを駆動させると、ゆらゆらと動き回るゾンビ達の中心まで一気に飛び出した。
    「纏めて吹き飛ばしてやるぞ」
     床に突き立てられた杭から巨大な衝撃波が飛ばされ、全身を打ちつけられたゾンビは次々とカーペットの外へ墜落していった。
    「……しかし、効率重視だとメイド服になるのが……なんというか、シュールだ」
     何気にメイド服を着ていた梨乃はスチャッと体勢を立て直すと、カーペットの動きに合わせて動くエキセントリックなゾンビの集団が接近してくる。
    「……シュールなのは、私だけでは無かった様だ」
     梨乃は全身の魔力を集中させながらゾンビ達を待ち構えると、
    「ウガーー!!」
    「私に触れると思うな」
     梨乃が放った高速の回し蹴りが飛び掛かるゾンビ達の顔面を蹴り飛ばし、そして吹っ飛ばした。
    「……というかこの服思いきりスカートではないか! うう、しかし相手はゾンビだ。気にせず行こう……」
    「ウガァァアアアア!!」
    「今度は何だ、やたらとデカイゾンビがこっちに来るな。まあ何とかなるか」
     カーペットの棒的な所から飛び降りたデカゾンビがズシンと梨乃の前に降り立ったが、梨乃は冷静に魔術を詠唱する。
    「凍り付け」
     そして放たれた氷の魔術がデカゾンビの巨体を氷像へと変え、粉々に砕け散っていった。
    「これだけの広さがあれば、回っていても案外戦えるものだな」

    「……さて、こういうアトラクションは猫同伴OKだったかな」
     超巨大フライングカーペットの前に訪れた伏木・華流(桜花研鑽・d28213)は、ウイングキャットの『サクラ』をちらりと見やる。
    「猫は動体視力とかバランス感覚良さそうだし、アトラクションが高速回転していても問題ないだろうか。それじゃあ、行くとするか」
     帽子が飛ばない様深く被りなおした華流は、サクラと共にカーペットの上にぴょんと飛び乗った。
    「サクラも無事乗れたか……? ああ、なるほどそういえば羽が生えていた」
     そんな華流達の前に姿を表したのは、おぼつかない足取りで刀を構えるゾンビ達の集団。
    「そんな動きでどうして乗ろうとした。……容赦はしない、一気に決めさせて貰うぞ」
     華流は自らの両脚にどす黒い影を纏わせると、ゾンビの正面から一気に突撃する。
    「まずは一体」
     放たれた影の蹴撃はゾンビの刀をへし折ると、そのまま顔面を抉り座席の角へ叩き付けた。
     サクラはゾンビ達が弱すぎる事に気付いているのか、ふわふわと漂いながら欠伸をしている。が、華流は気にせずそのまま攻撃を続ける。
    「私1人で何とかなるだろう、間違いなく。ただ、足元が動き続けるのはなかなか厄介だな」
     華流は振り落とされない様気をつけながら、己の魂から呼び起こした影で弾丸を形成していく。
    「一撃必殺、という奴だ」
     物凄い勢いで射出された影の砲弾はゾンビ達の身体を一瞬にして抉り、跡形も無く消し飛ばした。
    「そろそろこの足場の悪さにも慣れて来たな……数も多い、一気に片づけてしまうとしよう」
     華流は縛霊手に己の霊力を込めると、ゾンビが密集している地点の中央に躍り出る。
    「中々楽しいアトラクションだった。これで締めとさせてもらおう」
     そして創り上げられた眩く巨大な結界が、ゾンビ達の全身を蝕み次々と蒸発させていった。
    「これだけの施設なら、灼滅者向けに開業とか……無いな」
     華流は高速回転するカーペットから飛び降り、スタスタと歩き去っていくのだった。


     こちらは荒れ果てた資材置き場。
     いい具合に荒れ果てたハードボイルドなこの場所でも、やはりゾンビ達は闊歩していた。

    「やれやれ、ここは穢れているな……」
     そんなハードボイルドな場所でハードボイルドな表情をしてハードボイルドな台詞を決めたのは、クレーンの上からゾンビ達を見下ろすハードボイルド藤原・漣(とシエロ・d28511)である。
     ナノナノの『シエロ』がなんかやる気なさげにパタパタとうちわを煽ぎつつ、風に揺れる髪で漣のかっこよさを演出していた。かっこいいかどうかは別だけど。
    「……エクソシストの仕事といきますか」
     一通りかっこつけ終えた漣はクレーンの上から飛び降りると、ゾンビを踏みつけ多分華麗に着地した。
    「死して尚、生にしがみ付く亡者共。このオレがまとめて浄化してやるぜ」
     よく考えたらもう少しかっこ付けた方がいいと思い直した漣はそんな台詞を言いながら、ゾンビ共を木材で思いきり殴り飛ばしていた。
    「こっからは、本気で相手してやる」
     木材を放り投げた漣が両手を掲げると、降臨した無数の十字架から光線が放たれ、地上のゾンビ達を纏めて焼き尽くしていく。
    「決まったな……さあ、次はどいつが相手……んん?」
     このまま最後までかっこつけて終わろうとした漣だったが、かっこつけて取り出しぶん回した十字架が、横でボーッとしていたシエロの顔面に突き刺さる。
     一瞬の間。そして顔面から十字架を引っこ抜いたシエロが、紅潮させた顔で漣を睨む。
    「ナノ~……!!」
    「いやいやいや違うって……これは違うって……ここまで結構かっこいい感じにいってたじゃん! よかったじゃん!! それでいいじゃん!! それなのになんでそんな所に居るんだよシエロ! 怒るのはむしろオレだブゴッ!! なんだお前ついに手ぇ出したな!! そっちがそう出るならこっちもそれなグハッ! 喋ってる途中で殴るな! ついに怒るぞ!!」 
     という訳で始まりました第1回漣VSシエロ殴り合い大会in荒れ果てた資材置き場。
     その勢いに乗ってついでに放たれたサイキックが、無情にもゾンビ達に降りかかるッ!!
    「これでも喰らえ!!」
    「ナノ!!」
     漣が放った無数の光線がゾンビ達の身体を貫き、シエロが放った竜巻が傷を負ったゾンビ達を巻き込み何処かへ吹っ飛ばしていった。
     2人(?)の喧嘩は中々終わりそうになかった。

    「うーん、もう皆結構派手にやってるなあ……ウィラ先輩も強調してたし、そんなに警戒する必要はないのかもしれないけど……一応、状況確認はしておこうかな」
     箒に乗って空を飛んだエミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・d04722)は高所から戦場を見下ろし、ゾンビ達の居場所をざっと把握する。
    「あの辺りは随分死角が多いね、もしかしたらゾンビ達が潜んでいるかも……よし、行こう」
     そして急降下したエミリオは箒から飛び降りコンテナ密集地帯に着地すると、魔術を詠唱しながら手近なゾンビに狙いを定める。
    「flechas de luz!」
     放たれた巨大な魔法の矢がゾンビの身体を貫通し、そのままコンテナに突き破る。
    「さあ、君達の獲物はここにいるよ」
     派手さを意識したその攻撃に気付いたゾンビ達が次々と姿を表しエミリオを取り囲むが、
    「(これってホラー小説ならゾンビに囲まれてDEAD ENDなんだろうけど)」
     そんあ考えが頭を過り、微かな笑みを浮かべるエミリオ。そしてそのまま杖を掲げると、周囲のゾンビ達に目をやった。
    「さてと? 覚悟は良い? ……vo`rtice!」
     魔術によって生み出された数本の竜巻がエミリオの周囲を旋回し、ゾンビ達の身体を吹き飛ばし仕留めていった。
    「これでこの辺りのゾンビ達は全部倒したかな? …………いや、違うかな。まだいるみたい」
     エミリオがそう呟いた直後、閉じられたコンテナを突き破り、ガトリングガンを構えたデカゾンビがその姿を表す。
    「ウガアアアア!!」
     デカゾンビが放った無数の弾丸がエミリオに襲い掛かるが、
    「当たりはしないよ」
     エミリオが冷静に放った雷の魔術がエミリオの身体を護り、弾丸を次々と消し飛ばしていく。
     そしてエミリオは静かに魔道書を開くと、己の中の魔力を最大限に引き出していく。
    「終わりだよ」
     エミリオが魔術を詠唱し終えると、デカゾンビの足元で巨大な爆発が巻き起こり、それに吹き飛ばされたデカゾンビは一瞬にして消し炭になったのだった。

    「それにしても数が多いですね……確実に、着実に。全員仕留めるとしましょう」
     白波瀬・千尋(黒装白刃・d23397)は戦闘用のカッターを二本構えると、強く地を蹴り一気に戦場へと飛び出した。
    「痛みは感じないかもしれませんが……死しても続くその苦しみ、一瞬で終わらせてあげます……!」
     固い意思と共に振るわれる刃が、ゾンビ達の身に降りかかる。
    「1」
     ゾンビの背後から強襲した千尋は首筋に刃を突き立て、一気に引き抜く。
    「2」
     そのまま後ろへ飛んだ千尋はコンテナの壁を蹴り、反動で接近したゾンビの首を一瞬にして斬り落とす。
    「3、4」
     着地と同時に振り下ろした刃が右側面のゾンビの胴体を両断し、折れたカッターの刃を左側面のゾンビの頭に突き刺した。
    「5」
     そして迷うことなく背後に向けて突き出した二本の刃が、背後から迫っていた鉄パイプゾンビの胸を抉っていた。
    「今日は中々調子がいいですね」
     ブスリと刃を抜き取ると同時に背後でゾンビが倒れ、千尋は再び周囲を警戒する。
    「……隠れるつもりすらないですか。逆に清々しいですね」
     そんな千尋に突撃してくるのは、巨大なチェーンソーを持ったデカゾンビ。
     千尋は針を装填した超改造済のステープラーを構え、その銃口をゾンビの足元に向ける。
    「ごめんなさい。ちょっと痛いですが、我慢して下さい」
     放たれた二本の針がデカゾンビの足元を抉ると、千尋は二本のカッターを接続し一本の刀へと変形させる。
    「これで、終わりです……!!」
     振り降ろされた刃がデカゾンビの身体を一閃し、その一撃に仕留められたデカゾンビは大きな音を立てて倒れふし、二度と起き上がる事はなかった。
    「ここはこんな所でしょうか……他の皆さんの援護にも、向かわないといけませんね」
     千尋はカッターの替え刃を装着し、仲間たちの元へと向かうのだった。

    「こ、ここなら多分バレませんよね……皆さん随分派手にやってるみたいですけど、派手なアクションだけが華はないのです!」
     御巫・夢羽(明日もいい日でありますように・d28238)はなんとアグレッシブな事に重機の下に身を潜め、そこからゾンビ達を狙い撃つというある意味素晴らしい作戦を取っていた。
    「まずは狙いを定めて……」
     バベルの鎖を瞳に集中させる事によって、ゾンビ達の動きを正確に予測していく夢羽。
    「ふぅ……どんどん狙い撃っちゃいましょうか!」
     銃を撃つ感じのポーズでそう言い切る夢羽だが、放たれたのはリングスラッシャーであった。何故その様なポーズを取ったのだろうか。謎である。
    「当たって下さい!!」
     放たれたリングスラッシャーはいい具合にゾンビ達の急所を切り裂き、狙い通り次々と仕留めていく。
    「やった、上手くいった! この調子で沢山のゾンビ達を……」
    「ウガ」
    「……………………ウガ?」
     ちらりと後ろに目をやる夢羽。そこにはナイフを構えたゾンビが、襲うでもなく夢羽の側に陣取っていた。
    「ヒッ……いや、こっちに来ないでーっ!」
     そのまま夢羽は異形化させた鬼の拳でゾンビの顎先を殴り飛ばし、ついでに重機も横転させた。
     潜む場所が無くなり完全にその姿が現れる夢羽。そしてそれを取り囲むゾンビ達。
    「ウガーーーッ!!」
    「イヤーーーッ!!」
     若干涙目になりつつもなんだかんだゾンビ達の攻撃を器用に避け、盾のシールドでガードしていく夢羽。
    「ううーっ! 見つかるつもりはなかったのですけれどっ!」
     こうなってしまえば最早腹を括るしかないと、夢羽は苦手なゾンビを前に魔術を詠唱していく。
    「とりあえずもうこっち来ないで下さい!!」
     夢羽が魔術を詠唱し終えるとゾンビ達の足元に巨大な魔方陣が浮かび上がり、その魔方陣が光り輝くと同時にその肉体は凍結した。
    「せめて安らかに眠りなさい……なんちゃって。えへへ」
    「ウガ」
    「イヤーーっ!!」
     夢羽の死闘は、まだまだ続く様だった。

     そんな感じでゾンビ達を纏めて葬った灼滅者達。
     無事戦いを終えゾンビ共を殲滅し終えると適当に集合し、がやがやと学園へ帰還していくのだった。
     灼滅者達が次に相手するのは一体どんな敵か。ゾンビがダークネスが都市伝説か。
     それは分からないが、今はとりあえずゾンビの居ない学園へ戻り、戦いの疲れを癒すとしよう。
     ゾンビアクション、終わり。

    作者:のらむ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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