テナントと巨乳とネギマ(豚)?

    ●ダークネス
     ネギマと言えば、一般的には、串に鶏肉とネギ(地域によってはタマネギ)を交互に刺して焼いたものである。名古屋には、豚肉とネギで作るネギマがあるとか。
    「我こそはネギマ怪人! 豚肉を使った方のネギマで日本を支配する怪人である!」
     サングラスをかけた男が名乗りを上げた。パーカーの下のTシャツには、ネギマの3文字がある。見た目は人間だが、ネギマ怪人という名の通り、ご当地怪人だ。
     犬の散歩をしていた女性が「あの人は何を言っているのかしら?」とでも言いたそうに見ていたが、犬に引っ張られて去っていった。
    「今のはC……。いや、Dカップであるか。拙者が求めるのはEカップ以上である! しかし、巨乳を求めるだけでは、ご当地怪人らしさに欠ける。拙者にも、ご当地怪人としての矜持が少しくらいはあるのだ」
     少しだけなんだ。
    「例えば、巨乳美女が水着姿でネギマを売れば、ネギマの売り上げがアップするはず! 拙者が巨乳を求めれば求める程に、ネギマによる天下統一が近付くのであるな! よし、そういう事にしておこう。ネギマキングダムを築くのである!」
     自分で自分を納得させたネギマ怪人は、天下統一という大義名分を手に、巨乳美女を探しに行くのだった。

     ある日の東京。アルゲー・クロプス(轟雷ノ鍛冶士・d05674)が、カップルであろう少年少女を見かけた。少女(推定Eカップ)の方は、豚のぬいぐるみを持っている。
    「そう言えば、知ってる? 名古屋のネギマって、鶏肉じゃなくて豚肉らしいわよ」
    「そうなんだ。それは知らなかった」
     巨乳好きな怪人と何度か戦ったアルゲー(Gカップくらい)は、ふと思った。
    「……ネギマ怪人も、巨乳好きかも?」

    ●教室にて
    「ラグナロクでエクスブレインでアイドルと言えば、この私ですよね♪」
     そう言ってアイドルっぽいポーズをしたのは、ラブリン……のコスプレをした野々宮・迷宵(高校生エクスブレイン・dn0203)だった。
    「心なしか、ガッカリされてるような……。どうせ、このオッパイはニセモノですよ! 女の子の価値はオッパイで決まるんじゃないんですよ!」
     意地を張りながら黒板に地図を張って、予知の話。
    「アルゲーさんの予想通り、ネギマ怪人と言う巨乳好きなキングダム系怪人がいました。ネギマ怪人は、巨乳美女を集めてネギマキングダムを作ろうとしています。豚肉を使ったネギマみたいですけど、ネギマはくれません」
     日本各地に出現したキングダム系怪人だが、ご当地怪人の派閥やグループというわけではない。いずれも単独行動だった。
    「敵との接触場所は、ショッピングモール内のテナント募集中のエリアです。皆さんが行く時には誰もいません。敵の技は、ご当地ビーム・ご当地ダイナミック・蹂躙のバベルインパクト・尖烈のドグマスパイク・衝撃のグランドシェイカーです」
     敵が使うバベルブレイカーは、巨大なネギマのような形状。串のような杭が飛び出す。
    「Eカップ以上だと、攻撃されにくくなるみたいですよ。ニセモノのオッパイでも、巨乳だと思わせられそうですね」
     迷宵がニセモノのオッパイを揺らしてみると、ちょっとズレてしまった。
    「『隠れ巨乳なんです』と言い張るだけでも大丈夫だと思います」
     男の娘の場合も同様。男の娘じゃない男性の場合は、巨乳を装っても無駄だろう。
    「『これは偽乳』『本当は貧乳』なんて言えば、巨乳として扱われなくなるはずです」
     巨乳だと言った後に巨乳じゃないと言ったり、その逆も可能である。
    「敵の灼滅をお願いします。サイキックの活性化や装備品の確認も忘れずに、ですよ♪」


    参加者
    黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447)
    経津主・屍姫(無常ノ刹鬼・d10025)
    朝倉・くしな(初代鬼っ娘魔法少女プアオーガ・d10889)
    笹川・瑠々(平坦系はいてない狂殲姫・d22921)
    神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)
    石神・鸞(仙人掌侍女・d24539)
    ラウラ・クラリモンド(咲く薔薇散る薔薇・d26273)
    夜坂・満月(超ボタン砲・d30921)

    ■リプレイ

    ●ショッピングモールにて
     ネギマ怪人がいたのは、テナント募集中のエリア。
    「アルゲーさんの予想が、また当たったみたいですね。アルゲーさんの為にも、ちゃんと倒さないと……」
     夜坂・満月(超ボタン砲・d30921)のRカップに耐えられず、ボタンが吹っ飛んだ。
    「巨乳美女が水着姿でネギマを売るのに相応しい場所を探していたら……。巨乳だとボタンが飛ぶという伝説が真実だと確認されたのである!」
    「こ、今度は水着で販売員ですか。農作業よりはマシなのかもしれませんが、恥ずかしいですし、やっぱりやりにくいと思いますよ」
     満月は以前、巨乳であれこれしようとした太ネギ怪人と戦っている。
    「許されざるダークネスの気配を、妾の巨乳崇拝者レーダーが感知したのである。よって、妾ここに光臨」
     小学生のような体格の笹川・瑠々(平坦系はいてない狂殲姫・d22921)は、はいてないのにライドキャリバーの古鉄丸の上に立っていた。
    「巨乳を奉ずる者は、全て駆逐し殲滅し散滅し灼滅する」
    「拙者を灼滅……であるか。灼滅者か?」
    「『完璧な平面(パーフェクトフラット)』笹川瑠々、18歳じゃよ。今後成長する余地すらないが故の完全で完璧な平面!」
    「合法ロリ……であるか。ロリ巨乳は好きなのだが」
    「ところで、ネギマとおっぱい、どっちが大事なのかな?」
     経津主・屍姫(無常ノ刹鬼・d10025)は唯一の男性。男の娘とも言う。鍔姫は女武者のようなビハインドだ。
    「無論、ネギマも巨乳も最重要である!」
    「ネギマが目的なのか、大きいおっぱいが目的なのか、ハッキリさせなさい!!」
     頭をかかえた神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)が、スレイヤーカードの封印を解除。
    「Das Adlerauge!!」
     有翼の人魚のようになって殺界形成。淫魔らしく(?)服らしい服は着ていない。エアシューズは、尾びれ用に改造済み。
     石神・鸞(仙人掌侍女・d24539)は、くーるびゅーてぃーなサボテンメイドだ。一般人がいる階ではクールビューティーな人間形態だったので、今とは別人のようだった。
     普段はメリハリのあるサボテンボディーが、サラシで平らになっている。
    「少しきついですね(形が崩れるので、あまりやりたくないのが正直な所ですが)」
    「そこの2人は、拙者よりもダークネスらしい見た目だな……」
    「一応、近所迷惑にならない様に、戦場内の音を遮断しておきますね」
     ラウラ・クラリモンド(咲く薔薇散る薔薇・d26273)が、サウンドシャッターを発動。彼女も人造灼滅者だが、人間の姿だ。
    「ネギマで検索すると、別物が先に出てきてしまうんですよ。そんな名前の怪人の貴方に、ちょっとイラッとします」
     ぺったんこな黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447)が無表情で言った。
    「と言いますか、名古屋の焼き鳥系なら手羽先じゃありません?」
    「鶏には乳がないからな」
    「困った時は殴って解決! 鬼っ娘魔法少女プアオーガ!」
     朝倉・くしな(初代鬼っ娘魔法少女プアオーガ・d10889)は璃羽と同い年だが、小学生の頃から出るところは出てる。
    「ネギマを頂きに来まし──」
    「持ってないが」
    「持ってないですとっ?!!」
    「これなら、持っているがな!」
     怪人が召喚したのは、巨大なネギマ(鶏肉ではなく豚肉)のような形のバベルブレイカーだった。

    ●ネギマ
    「貧乳には退場願おう!」
     怪人がジェット噴射で突っ込んできた。巨大な串の如き杭が撃ち出され、ラウラが割って入る。
    「貧乳を庇った……!?」
    「巨乳好きの怪人さんですか。太ネギ怪人さんは、私の胸を巨乳と評価していましたが」
     ラウラも、太ネギ怪人と戦った灼滅者なのだ。
    「ネギマ怪人さんから見たらどうなんでしょう?」
    「ナイスな乳であるな!」
    「ネギマもくれないご当地怪人なんてっ! なんてっ! 仕方ないので解体しましょ。ヴォォォン」
     くしなが、チェーンソー剣で攻撃する。
    「これが灼滅者の攻撃……であるか」
    「焼き鳥は、職人さんの間では『串打ち三年、焼き一生』というらしいですね。当然、串打ちは完璧にクリアしていますよね?」
     璃羽に問われ、怪人は「もちろんである」とドヤ顔。
    「水着美女さんが焼きもするなら、キングダム作りは4年目以降になりますか……。まぁ、今ここで、詰まらない野望は終わるのですが」
     怪人の精神からトラウマを引きずり出す。
    「……串を手に刺すと血まみれになるのである……」
    「ボクのお姉ちゃんはすごいよー、大きいよー! お姉ちゃん跳ねてみて! ほーら、こんなに揺れて――敵はあっちだよ! 霊撃当てるのはあっちだよ!」
     鍔姫が霊撃。敵に。
    「乳ばかりを見ていたから、足がないのに気付かなかったのである」
    「ボクも実は巨乳なんだよ! カップは……ええと、G!」
    「何……!?」
     怪人が驚いた。
     鍔姫はもっと驚いていた。
     屍姫はジェスチャーで「いやいや、敵を騙すための口実だから……」と伝えてマジックミサイル。
     鸞は、ご当地の力を集束させている。
    「仙人掌流侍女式狙撃術でございます。サボテンビーム」
     その手から光線が飛んだ。
    「む……! ご当地ヒーローであったか」
    「静岡県は伊東市のご当地ヒーローです」
    「これで誘惑できなければ、サイレンの姿を持つ私の『存在意義』に関わります!!」
     性格まで淫魔化中の佐祐理が、高枝切鋏(いちきゅっぱ+送料)で攻撃を仕掛ける。
    「竹串じゃなくて、これで串刺しにして差し上げましょうか?(うふふ)」
    「串刺しにするなら、豚肉とネギにして欲しいのである」
    「キングダム系怪人さんは巨乳好きが多いのでしょうか? どちらにしても、ただの迷惑ですけど」
     ラウラはダイダロスベルトを撃ち出した。
    「男なら、巨乳が好きで当然である!」
    「せ、せめて、味とかサービスで勝負しましょうよ。巨乳で釣るのは、ちょっと違うと思いますよ(聞いてくれないと思いますが……)」
     満月が抗雷撃を繰り出すと、巨乳すぎるせいでブラ(黒)からこぼれ落ちそうに。
    「ポロリ希望である!」
    「巨乳崇拝者殺すべし慈悲は無い。伊達や酔狂でこんな角を付けたのではないぞ」
     メカメカしい古鉄丸が突撃し、瑠々は2振りの大鎌を手に走り出す。
    「今回の依頼で妾は……いや、今回の依頼も妾は……はいてない!」
     古鉄丸が目隠しになって、際どいところは見えない。
    「脅威! はいてない死閃永断衝ッ!」
     片方の鎌を空中に放り投げ、敵の横を走り抜ける瞬間に凶鳥の翼:因果を振るった。その後、投げた鎌をキャッチ。
    「穿いているかどうかよりも、巨乳かどうかの方が重要なのである!」

    ●巨乳
    「ネギマビーム!」
    「古鉄」
     瑠々が狙われたが、古鉄丸がガードする。
    「忍者倶楽部製Gカップですよっ!」
     くしなが持っているのは、やわこい胸当てだ。
    「ある淫魔からもいできたとの評判です。もちろん、2つセット!」
    「拙者はEカップ以上の巨乳が好きであるが……。女の体に付いていてこその乳である」
    「Eカップって、どれ位でしょ? 良く分かりませんが、私はそんなにないのかな? それなら──!」
     くしなが18歳の姿に変身。180センチと背は高く、かなりの巨乳だ。
    「巨乳はいい物である!」
    「おいどん、オーガバスターでごわす」
     サイズが合わない服をビリビリ破いて半裸になっても、恥ずかしくはない様子。自分の巨乳を持ち上げて、他のメンバーのと見比べている。
     璃羽も18歳化すると、劇的に巨乳化。
    「これくらいあれば満足ですか」
    「いい乳であるな!」
    「キングダムを作るなんて言わずに普通にネギマを広めるだけなら、売り子をして差し上げますよ(無駄な説得でしょうが)」
    「巨乳美女が売り子になってくれるなら、それはネギマキングダムの完成と言っても過言ではないな」
    「激辛ネギマ売りたいです」
    「拙者、激辛はちょっと……。それにしても、オッパイがいっぱいであるな!」
    「ほらぁ、Gくらい大きいとぉー、目立っちゃうでしょおー?」
     屍姫(男)が恥じらいの表情をして、くねくねし始めた。
    「最近の下着ってスゴイからぁー、着けるだけでこの通り、目立たない……!」
     鍔姫が霊障波を放ち、屍姫はブレイジングバーストで続く。
    「Gカップの胸囲が平らになるとは驚異的である」
    「仲間が女性ばかりでよかったわ!」
     胸に垂れた髪がずれると、佐祐理のバストが丸見えになってしまうのだ。怪人がガン見するのに気付いたのか、佐祐理は「うふふ」と微笑んで癒しの歌を披露。
    「隠しもパッドもありませんよ。この姿になったときのサイズは、測ったことはありませんけどね」
    「拙者が測ってやるぞ!」
    「真面目にネギマの宣伝をした方がよいのではないですか? 巨乳美女が水着姿でネギマを売れば良いと考えるのは、馬鹿げていると思いますよ」
     敵の急所を見抜き、ラウラが斬撃を繰り出す。
     満月は敵の死角から斬りかかった。
    「ちゃ、ちゃんとネギマで勝負してください! 胸や水着で客引きはダメです」
    「何を言うのだ、2人とも。キャンギャルのような物である。拙者の趣味という点が大きいがな!」
    「どうしても、判断材料が少ない初対面などでは、外見に印象が引っ張られてしまいます。とはいえ、あからさまに外見で判断するのは如何なものかと」
     鸞のオーラが、癒しの力に変換される。
    「女性の価値は胸だけでなく、内面の美しさにもあるのです」
    「内面よりも乳を重視する拙者である」
    「見えそうで見えない技術は日々進歩しておる。まあ、角度が違うと見えるかもしれん。巨乳崇拝者よ、乳にしか目が行かない者よ……」
     銃弾を放った古鉄丸の上に大鎌を置き、瑠々が凶鳥の翼:螺旋を振りかぶりながら跳躍。
    「これが、これが、これがチラリズムじゃ!」
     大上段から振り下ろした。
    「それでも拙者は巨乳が好きなのである! 怒りの一撃、受けてみよ!」
     杭が鸞に襲いかかる。「お任せください」と攻撃を受けた彼女は、胸の圧迫には耐えかねてサラシをほどいた。サボテンバストが揺れた。
    「乳を潰していたのか……!」
    「なんで、そんなに胸に拘るのでごわす?」
    「男だからである!」
    「巨乳の種類に好みとかあるのでごわす?」
    「大きい程好みであるな」
    「焼き豚でごわす?」
     くしな(18歳)が炎の蹴り。
    「拙者は豚ではないぞ!」
    「実は、ボクは男でしたー!!」
    「男ぉっ!?」
    「ふははは、その絶望する顔が見たかった……! もし生まれ変わったら、今度は真面目にネギマだけで頑張るといいよ、うん。二兎を追う者は一兎をも得ず、ってね! いくよ! 合わせて、お姉ちゃん!」
     屍姫がガトリングを連射し、鍔姫が霊撃を見舞う。
    「男の娘が実在したとは……!」
    「お肉、捌いて差し上げます」
     璃羽(18歳)は高速機動で斬撃。
    「……ここまでであるか……!」
    「む、胸だけで判断しちゃいけませんよ。巨乳好きの根性とかで復活されても困りますし、これでフィニッシュです」
     満月が地獄投げの体勢になると、Rカップが怪人の体に密着する。
    「幸福の感触である!」
    「じょ、女性の敵にトドメです!」
     投げ飛ばされた怪人は、どこか幸せそうな表情で消滅した──。
    「何時までも淫魔の姿でいたら、大変な事になってしまいます!」
     佐祐理の姿と性格が人間のものに戻る。ちゃんと服も着てる。
    「全く手のかかるド変態でした」
    「ささっと後片付けをしてしまいますね」
     メイドなだけあって、鸞は片付けが得意なのだろう。
     ラウラも片付けを始めた。
    「少し買い物をして帰るのもいいかもしれません。お土産とか」
    「ネ、ネギマを食べに行きたいです」
     満月も手伝おうとしたら、ボタンが飛んだ。
    「ボ、ボタンを探さないと……」
    「ネギマ食べたいでごわす」
     くしなは半裸のままだったが、璃羽は貧にゅ……元の姿に戻る。
    「名古屋コーチンの焼き鳥や手羽先も食べたいですね。帰りに、激辛手羽先も買います」

    作者:Kirariha 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月10日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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