カードバトルは世界を賭けて

    作者:るう

    ●放課後の教室
    「やっぱり彼女のマスターはアンタだったのか、風紀委員長……このレアカードを手に入れて、一体何をするつもりだ!」
     憤りに燃える少年の瞳を眼鏡の奥の冷酷な瞳で見据え、風紀委員長と呼ばれた少年は答えた。
    「知れた事を。世界から貴様のような不良を取り除き、全き秩序をもたらすのだ……ゆけ、ミレニア」
    「フェイラ!」
     二人の少年の命に従い、白と黒、妖精めいた二人の少女が激突する!
     ……が、膝をついたのは、白い少女の方だった。
    「判ったか! これが、彼女をただの道具としか見ていないアンタと、愛で結ばれた僕らの強さの違いだ!」
     戦いの最中だというのに熱い抱擁を交し合った少年と黒い少女を一瞥し、風紀委員長は踵を返す。
    「退くぞミレニア。……モユル、次に会った時が貴様の最期だ」

    ●武蔵坂学園、教室
    「幻のレアカードを巡る戦いが、淫魔の仕組んだものだったとはな」
     不破・九朗(ムーンチャイルド・d31314)の調査によれば、今、とある中学校を舞台にして、『全て集めると世界を支配できる、選ばれた者以外は存在すら知らないレアカード』を巡った戦いが行なわれている。
     彼らの中学を、ひいては世界を絶対秩序で統一せんと、『白霜の妖精ミレニア』を使役する風紀委員長。対するモユル少年は、『黒炎の妖精フェイラ』と契約し、その陰謀に独り立ち向かう!
     ……が、それらは全て、モユルを専属の護衛にするための、淫魔フェイラの策略だったのだ。須藤・まりん(高校生エクスブレイン・dn0003)はこう説明する。
    「モユル君は今までの戦いの中で、フェイラが負けるような事があればイフリートに闇堕ちするような段階になってるの。そんな時、フェイラがミレニアとの戦いでわざと負けるような事があれば……」
     淫魔の策略を挫く方法は、幾つか考えられる。
     一つ目は、問答無用でフェイラらを灼滅する方法。が、モユルの心が折れるほどの圧倒的な戦力差を見せつけなければ、モユルも闇堕ちしてしまうだろう。
     二つ目は、どうにかモユルからフェイラのカードを奪い取る方法。フェイラはカードからあまり離れられないという設定があるので、モユルの知らぬ所に持ってゆき密かに灼滅するのは容易い。もっとも、モユルがその事を察して闇堕ちせぬよう、上手く誤魔化す必要はあるが。
    「そして最後は、モユル君に自発的にカードを手放させる方法! フェイラへの執着が消えれば闇堕ちの心配もなくなるから、後はフェイラを灼滅するだけ!」

     フェイラらはモユルらに、カードは世界中に散らばっている、カードはカードによってしか傷つけられない、と吹き込んでいる。灼滅者たちが校内に乗り込む際、他のレアカードの使い手だとモユルらに信じさせるのは簡単だ。
     無論、フェイラ自身はそれが嘘だと気付くだろう。が、話の持ってゆき方次第では、彼女が灼滅者の嘘を指摘すれば自身の嘘にも言及しなければならなくなり、灼滅者たちとモユルの話に口を挟む事すら不可能になるかもしれない。
    「フェイラは辛うじて灼滅者二人に勝てるくらい、ミレニアを合わせてもその倍だから、モユル君の闇堕ちさえ防げれば戦いは楽に進むんじゃないかな?」
     もっとも問題は、その「モユルの闇堕ちを防ぐ」事なのだが。
    「流石にフェイラ、ミレニア、モユル君を全員同時に敵に回すと辛いと思うから、できる限り、モユル君が闇堕ちしないようにしてあげてね!」


    参加者
    神坂・鈴音(魔弾の射手は追い風を受ける・d01042)
    メリーベル・ケルン(プディングメドヒェン・d01925)
    風真・和弥(風牙・d03497)
    ゲイル・ライトウィンド(ホロウカオシックコンダクター・d05576)
    山田・菜々(家出娘・d12340)
    高嶺・円(蒼鉛皇の意志継ぐ餃子白狼・d27710)
    不破・九朗(ムーンチャイルド・d31314)
    荒谷・耀(護剣銀風・d31795)

    ■リプレイ

    ●第三のマスター
     放課後の教室には、誰もいなかった。
     恐らく最後になるだろう戦いを前に、頬杖を突いて教室の扉を眺めるだけのモユル。そんな少年を元気づけるかのように、フェイラは急に彼の背に飛びつく。
     そうだ。
     自分には彼女がいるじゃないか。
     少年は決意を新たにする。そして、今度は扉を意志の篭もった瞳で睨めつけた時……音を立て、その扉が勢いよく開かれた!
    「見つけたっすよ……フェイラ」
    「「何あれ?」」
     つかつかと歩み寄ってくる謎の着ぐるみ少女(煌びやかな飾りがひらひらしてる)をしばし呆然と見つめ、それから思わず顔を見合わせるフェイラとモユル。これでも普段の山田・菜々(家出娘・d12340)と比べれば、芋ジャージじゃないだけレアリティ高いのだけど。
    「ちょっと、何なの……」
     フェイラが何やら言おうとした瞬間さらに、機先を制して入ってくる男!
    「何、とはお言葉だな。俺のレアカード、『着ぐるみ妖精ナナ』に対して」
     その額には真紅のバンダナ。振り向くように見せつけたジャケットの背には……風をあしらった紋が輝く!
    「俺は風真・和弥(風牙・d03497)……アンタと同じ『マスター』だ。アンタを見込んで、折り入って共闘を頼みたい」

    ●賢人の円卓
    「カードを真に愛する仲間と出会えた事に、感謝するよ」
     和弥の仲間だという少年の眼鏡の奥の瞳は、モユルには随分と無感情に見えた。けれども不破・九朗(ムーンチャイルド・d31314)と名乗ったこの少年の差し出した手は、その表情よりもずっと暖かい。
     軽く驚いた表情を作ったモユルへと、鶴の翼のような帯束を舞わせた巫女が微笑んだ。
    「あるじ様は、お熱いご自分の気持ちを厳しく律される方ですから」
    「やめてくれ、ヒカリさん」
     九朗の語調に僅かな戸惑いと照れを感じ取り、レアカード『神薙ぐ翼の巫女ヒカリ』に扮した荒谷・耀(護剣銀風・d31795)は、再び穏やかな笑みを浮かべる。
    「ですから私は、信じております――あるじ様の判断は、常に、私自身の身よりも尊いという事を」
    「わ、わたしだって信じてるんだよう!」
     負けじと『マスター』に抱きついたのは『蒼沿のマトガ』……高嶺・円(蒼鉛皇の意志継ぐ餃子白狼・d27710)の扮するレアカードだ。しきりに栗色の尻尾を振って、忠誠の喜びを表現する彼女は、ゲイル・ライトウィンド(ホロウカオシックコンダクター・d05576)の腕をしっかりと取った。
    「マスターがわたしを使ってくれるなら、どんなに危ない事だってやるんだからね!」
     おお、役得、役得。
    (「いやー、偶にはこういうのもいいですね……おっといけない」)
     思わず伸びそうになる鼻の下を慌てて引き締めて、ゲイルはダークで厭世的な雰囲気を自身に纏わせる。何故なら今の彼は……漆黒の堕天使たるカードマスターだから。柔らかい女の子の感触を楽しんでないで、ちゃんとくーるあんどせんしてぃぶな狩人にならないとね。
    「俺は、あの白き翼……ミレニアを狩らねばならない」
    「「ミレニアを……!?」」
     同時に勢いよく立ち上がったモユルとフェイラの後ろで、椅子が後ろの机にぶつかり大きな音を立てた。片や、あの風紀委員長に世界を明け渡さずに済むのかという喜びで。片や、そんな事をされてしまったら、全ての計画が水の泡になってしまうという恐怖で。
    「待って……? 本当に貴方たちもマスターなの……?」
     どうにかモユルから灼滅者たちへの不信感を膨らませようと、そんな事を訊いてみるフェイラ。けれどもメリーベル・ケルン(プディングメドヒェン・d01925)はさも当然のように、こんな風に断言してみせた。
    「美少女マスターのこの私がそうだと言うのだから、疑う必要なんて何もないわ!」
     ……しばしの沈黙。
     それに耐えられなくなったのか、メリーベルは少しばかり視線を泳がせて、それから一枚のカードを高く掲げる。
    「す、鈴音さんからも説明してちょうだい!」
     するとどうだろう、彼女の腕から這い現れて蛇が、見る間に一人の女性へと変身する!
    「どうやらマスターがお望みのようだから、こうして召喚されてきたわ」
     蛇――神坂・鈴音(魔弾の射手は追い風を受ける・d01042)は口元を吊り上げると、深々とモユルにお辞儀した。
    「私は『知恵の蛇、鈴音』……私の知恵を授かりたいのは、一体どなたなのかしら?」

    ●盟約への要請
     灼滅者たちの話を聞き終えたモユルの額に、大粒の汗が滲んでいた。
    「アンタ達もマスターだって事は確かみたいだ……済まないな、一瞬でも疑っちまって。けれど……」
     その後の言葉をどう紡ごうか。視線は、灼滅者たちから外れたままだ。
     彼の脳裏で、先程のメリーベルの――実質は鈴音の提案が繰り返される。
    『風紀委員長さんを倒したら、私たちの手で全てのレアカードを闇に葬りましょう?』
     それが意味するのはフェイラとの別れ。二度と手に入れる事のできないだろう力。
    「モユルさん……耳を貸す必要なんてないわ。この人たちは、モユルさんからあたしを取り上げようとしてるだけかもしれないんだから……」
     フェイラの瞳が涙に潤む。モユルの心が揺れ動くのが、傍から見ていてもよくわかる。
     果たしてどちらに転がるものか、誰にも未来は判らない。恐らく、モユル自身にも。
     だから、もう一押し……メリーベルが衝撃の『事実』を明かす。
    「もしも誰かが全て集めてしまえば、世界のリセットが始まってしまうわ!」
    「聞いた事ないわ!」
     これにはフェイラが声を上げた。灼滅者たちの言葉が彼女がモユルに吹き込んだのと矛盾するのなら、絶対にモユルはフェイラを選ぶはずだから……けれども。
    「ふむ。君は少々記憶に混乱があるみたいだね」
     デッキを整えながら九朗が呟いた。
    「確か『カード』は、『あちらの世界』から召喚されて来るんだったか……」
    「ヒカリのマスターさんの言う通りっすね。でもその時、力や記憶の一部が抜け落ちてしまう事があるっす……だからマスターの力で補って貰うわけっすけど」
     ちらりと菜々がアイコンタクトすると、和弥は重々しく頷いて言葉を引き継いだ。
    「例えば俺は、その補う能力が高いらしい……『起動(イグニッション)!』」
     取り出した『ナナ』とは別のカードを机の上で横に倒したのに合わせ、和弥の全身は光に包まれて、神々しい戦闘衣装に変化する!
    「……という感じにな。けれど俺は、それで世界を守れるのなら、いつこの力を捨てて、普通の大学生に戻ったっていい」
    「とか何とかカッコいい事言ってる割に、マスターは頼りにならないっすけどね」
     しんみりと重くなっていた空気を、菜々の茶々がぶち壊した。その上意味もなく、頼りになる私のカードになるなら、別にそれでも構わないのよ、とない胸を張るメリーベル。
     嘘だ……そう口を動かそうとして、フェイラは再び口を閉じた。灼滅者たちの主張が乱暴なのは確かだが、こう言われてしまえば彼女には、それを覆す事ができぬから。
    「『カード』とは『世界』。全てのカードが集まれば、『デッキ構築』が始まり世界が『リセット』される……これは常識。無論、デッキの所有者はその世界を『支配』する」
     鈴音の論理は紛う事なく、一つのデュエリストの神話であった。ゆえにフェイラに出来るのは一つ……そっとモユルに寄り添いながら、敵が次のボロを出すのを願うのみ。
     モユルは、彼女の感触を背に感じながら、蒼白な表情で一つだけ訊いた。
    「マスターはそれでもいいかもしれない……でも、彼女らはどうなんだ……?」
    「もちろん……残念じゃないって言ったら嘘になる」
     円は、初恋の彼――ロード・ビスマスの事を思い出しながら答える。カードが主人と別れるとしたら、きっと同じような落胆を味わうはずだから。
    「でも……もしもマスターが本心からそれを願うなら、どんな決断でも受け入れたい。だって、それがわたしの喜びでもあるんだから」
    「あるじ様のご指示とあれば、喜んで生贄となるのがカードの務めです。何故、それを拒む事などあるでしょうか?」
     耀の言葉はモユルへの答えと見せかけ、フェイラから見れば明らかに、自分への宣戦布告に違いなかった。が、せめてそこに皮肉げな嘲笑でも浮かべていればフェイラも付け入る隙はあったのだろうが、聖なる巫女はいつでも柔和で献身的で、フェイラに対してすらも友好的な笑み。
    「世界の滅亡……貴様には、その罪を愛する者に背負わせる覚悟はあるのか」
     ゲイルの漆黒のコートがひるがえった。彼の指には、一枚のカードが挟まっている。
    「俺は決めた。罪を背負う宿命(さだめ)を持つのは俺一人でいい……こいつに罪は負わせない」
     そしてメリーベルもカードを掲げる。
    「カードの悪用を防ぐのが美少女マスターの務めと、私は考えて……」
     ガラガラガラ!

    ●克つ意志
     突如開かれた扉の向こうに佇む、冷酷な瞳の少年と少女の姿!
    「風紀委員長!」
     思わず浮き足立つモユル。一方の風紀委員長は淡々と、腕を彼の後ろのフェイラへと伸ばす。
    「モユル……貴様は以前、『愛』と言ったな? だが、それは『迷い』の美化に過ぎない事を解らせてやろう……」
     既にミレニアは動いている。その身に纏うのは氷の旋律。全てを凍てつかせて砕く歌が、過たずにフェイラの心臓を狙い……。
     けれども、即刻敗北してモユルの闇堕ちを目論むフェイラの狙いは……一人のマスターの手により打ち砕かれた。
    「アンタ……マスターがカードへの攻撃を守るのか!?」
    「ああ。コレを手に入れておいて正解だった」
     纏った魔術師のコートを棚引かせ、九朗はミレニアの攻撃を受け止めたまま答える。さらにその手には『炎蛇剣Ontologie』。
    「結論は、ミレニアを倒した後でも構わない。……じゃ、ヒカリさんよろしくね」
    「お任せ下さいあるじ様。あるじ様にばかり任せてなどいてはレアカードの名折れ。参ります……暗雲切り裂く一迅の風……神をも薙ぐ刃、その身に受けよ!」
     耀が九朗に答えると同時、鶴翼がいっそう広がると、巻き起こる旋風がミレニアを裂く!
    「今よ! 私たちも天才美少女さを見せてやらないといけないわ……ええと……とりあえず妨害カードは使っておくので後はよろしく!」
    「それがご主人様の命令とあらば。行くわ……黒・魔・導・烈・波!」
    「えっ何その技」
     自分のカードの能力も知らない天才美少女メリーベルに代わって説明するなら、鈴音の両手から広がった魔法陣からミレニアへと降り注がれた星型の魔弾は、実は単なるマジックミサイルだったりするのだが。
    「ミレニア……フェイラのためにも、この戦いから退場して貰うっすよ! おいらにも指示を、マスター!」
     菜々の全身にも魔力が満ちる! その直後、和弥の手の中に現れる二振りの刀!
    「お前の力を借りさせて貰うぞ、ナナ! 俺たちの間の絆が揺るぎないからこそ初めて使えるこのコンビネーションを……とくとその目に焼き付けておけ!」
    「もちろんっす! さあ、いくっすよー……!」
    「ば……馬鹿な!? マスターがカードの力で戦うなど、聞いた事がないぞ……!?」
     冷静さを完全に失い狼狽する風紀委員長を、ゲイルは怜悧な瞳で貫いた。
    「聞いた事がない? カードの真の力を引き出せもしない下郎めが。このまま押し切らせて貰う……『ソードポゼッション』」
     ゲイルの指先から光がほとばしると同時、円の手の中に蒼虹色の剣――沖膾蒼鉛が飛び込んでくる!
    『あの白い方を止めなければいけないのですね?』
     声色を使う円の姿が、少女から餃子白狼へと変化した。剣の力で進化した姿、この通り、とくとご覧あれ!
     そして……その剣が振り下ろされた後。
    「何故だ……世界はもっと、秩序に溢れなければ……なら……ぬ……のに……」
     愕然と膝をつき、そのまま倒れた風紀委員長の手の中から、白い少女のカードが零れ落ちた。

    ●幻想の終わり
    「これで……白き翼は堕ち、全ては終わった」
     ゲイルの指が、カードをつまむ。カードは天井近くまで放り投げられて……ひらりと落ちてきたところを、ゲイルの剣に切り刻まれる。
    「これで……力の残滓が消えたらお別れだね」
     円の沖膾蒼鉛は既にその手にはなく、維持していた獣の風貌も、ゆっくりと消え、彼女を一人の少女の姿へと戻してゆく。
    「なあ……」
     モユルは蒼白な表情になって、灼滅者たちに訊いた。
    「このまま僕らが戦わず、永遠に戦いを終わらせない、というのはできないのか?」
     それなら誰かがカードを集めてしまう心配もないし、彼がフェイラと別れる必要もない。互いが、互いを裏切らない限りは。
     ……でも。
    「……無理だ」
     和弥は苦々しそうに首を振った。
    「お前はカードを使っている時、自分が自分ではなくなるように感じた事はないか? 必要以上にカードの力を補い続ければ、マスターの命に関わってくる」
    「そうしてマスターを失えば……カードの方も、『あちらの世界』に送還される事なく消えてしまうっす」
     同じカードの妖精として、そんなフェイラを見過ごせない、と菜々もモユルへと説く……だから。
    「美少女マスターの私からもお願いしてもだめかしら? ……残ったカードはあなたに預けるから、あなたの手で全てを終わらせてあげるのよ!」
     メリーベルに差し出される『鈴音』のカード。『ナナ』も、『ヒカリ』も、今はモユルの手の中だ。
    「ヒカリさんが僕を、フェイラが君を信じてくれたように、僕も君の事も信じよう」
     君は必ず、最も正しい判断を下してくれる。
     九朗の後押しに勇気付けられて……少年はごくりと息を呑む。
     そして、震える指に力を篭めて……。
    「……ん?」
     纏めて二つに千切ったレアカード。その断面を睨むモユルの顔が、やけに怪訝そうなものになった。
    「あれ……? このカード、全部、コモンの上に別の紙を貼りつけてないか?」
     げ、バレた。
     そんな顔がフェイラにありありと浮かび、即座に教室から飛び出そうとする!
    「暗雲切り裂く一迅の風……神をも薙ぐ刃……再び吹きてかの身を貫け!」
     耀ら、闇を纏った『カード』がフェイラを追う様子は、あまりに手の込んだドッキリに脱力し、闇に堕ちる気力など完全にどこかへと吹き飛ばしてしまったモユルには、最早見えていないに違いない。
     彼方で淫魔のヤケクソな命乞いと悲鳴が聞こえてくる。それに気付いてすらいない少年の顔を一度興味深そうに覗き込んで、鈴音は一言囁いてから再び蛇の姿になるとメリーベルの腕に這い上がった。
    「カードには力がある……でも、振り回されたりしちゃダメよ。もう、嫌というほどわかったと思うけど」

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月22日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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