暴力と血の匂いを漂わせ

    作者:波多野志郎

     ――結局のところ、この世の真理はただ一つ、全てをねじ伏せられる力があるかどうかだ。
    「まぁ、その手始めってかさ?」
     その青年は気楽な口調でそう言った。黒いスーツ、黒いシャツ、黒いネクタイ――どう見てもまともな趣味ではない。
     その足元には四人の男達が転がっていた。誰もが暴力を生業にして生きてきた、そんな連中だ。しかし、目の前の青年の前にたやすくねじ伏せられたのだ。
    「ま、こいつを使うまでもなかったが……うん、いいセン言ってんじゃないの? 人間にしてはさ?」
     男がポケットから取り出したのは紙の束だ――男達は知らない、それが護符揃えと呼ばれる恐ろしい武器である事を。
    「俺、バカだからさ? 難しい事わからね。俺、マイペースだからさ、毎日馬鹿やって楽しくしたい訳よ?」
     両手を広げ青年は語り出す。男達は呻きながら青年を見上げた。暴力で生きてきた者を暴力でねじ伏せた相手は――まるで、幼子のように無邪気に笑った。
    「ムカつく奴踏み躙って、ストレス溜まったらそこらへんで発散して、自由気ままってやつをさ? あんたらも好きだろ? そういうの」
     青年の声に熱が帯びる。まるで夢を語るように血生臭い話を語るのだ――それは、本能が拒絶しかねないほどおぞましい光景だった。
     しかし、倒れた男達のように浴びるように暴力の味を知った者達は違う。まるで天から舞い降りた救世主のように神々しく映ったのだ。
    「な? あんた等も来ねぇ? 俺、あんた等みたいな人間は嫌いじゃねぇぜ?」
     満面の笑顔で青年が――黒曜石の角を持つ、血と暴力の主が言った。

    「……性根から捻じ曲がってなきゃ、いい奴なんだろうがね」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は渋い表情でそう切り出した。
     今回、ヤマトが察知したのはダークネス、羅刹の動きだ。
     そのダークネスはある歓楽街を根城にするゴロツキ四人の前に現れ、殴り倒して配下にしたのだ。いつでも楽しげな笑みを浮かべた黒づくめの青年は、その実とても危険な相手だ。
    「典型的な羅刹だな。暴力を好み、短絡的で思う様に暴れまわる。加え、その実力はかなり高い」
     それに加え、四人の配下もいる――厳しい戦いとなるだろう。
     羅刹達は歓楽街の片隅、使われていない雑居ビルの一階を不法占拠している。元は酒場だったからだろう、酒類は一切ないがテーブルやイス、ビリヤード台などの装飾は残っていて、連中はそれを利用して生活しているらしい。
    「呆れたもんだけどな。ま、夜になれば人目にもつきにくいし、ありがたいと言えばありがたい。お前達にはそこに夜に乗り込んで、こいつ等を倒して欲しい」
     店内はテーブルや椅子、ビリヤード台などがあるぐらいで動くのに少し邪魔になる程度だろう。光源などの問題もないので、思い切り戦っていいだろう。
     四人の配下は神薙使いのサイキックを使い、特に羅刹はそれに加え護符揃えのサイキックも使って来る。配下はさほどではないが羅刹はかなり強い――事前に情報から練った戦術と役割分担が勝敗を分ける事となるだろう。
    「未来予測による優位はある、が、それはあくまでお前達の勝率を引き上げるためのものだ。最後の勝敗を決めるのはお前達だぜ? 灼滅者」
     ぶっとばしてこい、灼滅者! そう拳を振り上げたヤマトを残し、灼滅者達は戦いの準備を始めた。


    参加者
    千布里・采(夜藍空・d00110)
    長門・海(浮沈戦艦・d00191)
    佐々木・侑(風・d00288)
    御貫・遥斗(討魔灯・d00302)
    セリル・メルトース(ブリザードアクトレス・d00671)
    真城・暁(黎明ラフメイカー・d01520)
    多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)
    牙神・京一(鉄槌の愛犬家・d02552)

    ■リプレイ


     ギィ、とその重厚なドアを開きその店内を見回すと真城・暁(黎明ラフメイカー・d01520)が小さく口笛を吹いた。
    「良いじゃん、雰囲気あるね! 楽しくやれそう♪」
     薄暗い店内には、乱雑にテーブルや椅子が置かれていた。重低音の音楽が鳴り響き、その中でビリヤード台に集まっていた五人がこちらを振り返る。
    「おい、ここは――」
    「あぁ、いいっていいって。お客様みたいだしよ?」
     すごむ一人の男を止めたのは、軽い調子の声だった。ガゴン! と快音を響かせ、キューで球を突き店内へと入って来た灼滅者達へその青年は視線を向け直す。
    「ほんま真っ黒なんやなぁ、角までとは、見事なもんや」
     千布里・采(夜藍空・d00110)がしみじみとこぼすように、その青年は黒づくめだった。
     そのスーツも、シャツも、ネクタイも、靴も――その頭に映える角さえも。
    「褒められた? ん、あんがとな。で? 殴り合いに来たんだろ? いいぜ、やろう」
     青年――羅刹の言葉に配下達が身構える。それを見て、御貫・遥斗(討魔灯・d00302)が一歩前に踏み出した。
    「シンプル上等。要するにこういうこった」
     遥斗がスレイヤーカードを振るう――そして手の中に出現しか妖の槍を構え、言い捨てた。
    「余計な駆け引きは無し、強い方が正しいってな!」
    「そうだね、実力行使でいくよ」
     長門・海(浮沈戦艦・d00191)が解体ナイフと刀を構え言うと、羅刹が人懐っこい笑みを浮かべポケットから護符揃えを引き抜く。
    「あ、うん。助かるわ、俺バカだからそういうわかりやすいのだと楽でいいや」
    (「バカで、マイペースで、自由気まま。それだけなら、好ましいんだけどなぁ」)
     その羅刹の態度に多嬉川・修(光の下で輝く・d01796)は複雑な想いを抱いた。自分もこの羅刹のような人間だからだ――この目の前のダークネスを放っておけない……そんな気がするのだ。
    「光あれ」
     だから、戦おう――そう修はバトルオーラをその身にまとった。
    「往くぞコマ、戦いの時間でござる」
     牙神・京一(鉄槌の愛犬家・d02552)が解除コードと共に金砕棒――ロケットハンマーをその手にし、霊犬のコマはジャラと六文銭を鳴らし低く身構え羅刹達をにらみつける。
    「おお、すっげぇな! そういうのもいいなぁ!」
    「真白なる夢を、此処に」
     セリル・メルトース(ブリザードアクトレス・d00671)が囁くように呟くとその手から一条の光が伸び、一本の槍――マテリアルロッドとなったそれを手に言い放った。
    「――さぁ、いこうか」
     静かな決意に満ちた声に、店内に緊張が走る――佐々木・侑(風・d00288)が頭を掻いて溜め息交じりにこぼした。
    「まー、気持ちはわからんでもないよ。毎日バカやって楽しみたいっつーんは俺も同じやな。それの方向性がちょっと違ったつー話やな」
    「んだよー、お前等もやってんじゃん」
     侑の言葉に羅刹が気楽に言い返す。そして、自分の胸を親指で指し示して言った。
    「ようは俺が気にいらねぇって話だろ? 何も変わねーじょん、問題ねーって」
    「あぁ、気に入らん奴をぶっ潰すっつーのんも一緒か。そうやな、俺はお前が気に食わんから潰しにきてんからな」
     クックック、と侑と羅刹が笑い合う。ふと、重低音の音楽が途切れた。曲と曲の切れ間だったのだろう。
    「ゴミ掃除に長々時間かけとーないし、ちゃちゃっとやろか」
    「おう、やれるもんならやってみろ」
     ドン、と音楽が再開した瞬間、灼滅者達と羅刹達の戦いの火蓋が落とされた。


     バラララララララララッ、羅刹が符を展開し、配下達も我先にと前に出る。そんな相手に対して灼滅者達の陣形はこうだ。
     前衛のクラッシャーにセリルと暁、ディフェンダーに修と京一、侑のサーヴァントであるライドキャリバーのシェリー、中衛のキャスターにコマ、ジャマーに遥斗と海、采のサーヴァントである霊犬、後衛のスナイパーに采と侑といった布陣だ。
    「あ、んじゃ先手もらうな?」
    「喧嘩やったら、いつでも買ったるわ」
    「お、かっけー」
     采の啖呵に羅刹が笑い、腕を振り回すとヒュオン! と符が五芒星型に符を展開――その攻性防壁を前衛へと叩き付けた。
    「こんな所で遊んでる悪い子達には、きついお仕置きしなきゃね」
     修が薙ぎ払うように巨大化したその拳を振るった――その鬼神変の一撃は羅刹へと振り下ろされるが、羅刹はそれを自身が繰り出す風によって相殺、軌道を逸らす。
     ガゴン! と盛大な破壊音と共にビリヤード台が砕け散ると、羅刹は今にも泣きそうな表情で呻いた。
    「あー……気に入ってたんだけどなぁ。どっかからかまたかっぱらって来るかー、面倒だなぁ」
    「それは泥棒でござるよ! 」
     京一がロケットハンマーを足元へと叩きつける。ズン、という大震撃の振動に配下達が体勢を崩すとコマがその口に加えた斬魔刀が一人の足を切り裂いた。
    「援護よ」
     海が解体ナイフを横一閃に振るうと、夜霧が中衛の仲間達を包む。それを受けて遥斗が踏み込む。闘気を雷に変え、その拳にまとうと地面スレスレから一気に拳を上へ突き上げ、配下の顎を打ち抜いた。
    「さて、月並みだけどお前等の相手はこの俺だぜ?」
     それに配下が怒鳴り返そうとしたその時だ。
    「ぐお!?」
     不意に配下の一人が呻く。いきなり足に激痛が走ったからだ――見れば、そこには机の下を潜り抜け間合いを詰めた霊犬が刀を振るった直後だった。
    「ようやったで?」
     見えなくても采にはそれが自分の霊犬の活躍だとすぐにわかる。既に漆黒の弾丸を完成している――すぐさま、デッドブラスターを配下へと撃ち込んだ。
    「ぐ、あ……ん、だ、と」
     膝から崩れ落ちた配下を見て、羅刹が溜め息をこぼす。チリ……、と確かに含む殺気の気配に暁が笑った。
    「仲間がやられりゃ腹が立つかい?」
     音もなく影を宿したガンナイフを暁は薙ぎ払う。そのナイフの切っ先が胸元を浅く切り裂くと、羅刹は暁を睨みつけた。
    「あいつ等は、俺のだぞ? 潰すのも、倒すのも、殺すのも俺だけの権利だっての」
    「ちゃうちゃう、そこが差や」
     侑がバレットストームを叩き込む。その横ではシェリーが配下の一人へと突撃するのを確認して、視線を羅刹に戻す。
    「俺はガッコのセンセーやないねんから態々正したろうとも思わん。アホでも自分が悪い事してるつー事ぐらいは理解してるやろ?」
    「ああ、お前だってそうだろ?」
    「俺とお前の決定的な違いは俺の方が遥かにワガママやっつーことや」
     侑が言い切ると羅刹はキョトンと目を丸くした。それに乗ってきた侑が続ける。
    「俺はな、俺だけやのーて俺の周りもみんな楽しないと嫌やねん。で、家族や友達以外が嫌な思いしよーとしったこっちゃない。そーゆーワケやから、品行方正にお前をぶちのめす」
    「あー、そりゃあ俺と違うなー」
     羅刹は素直に認める――そして、強く否定した。
    「でも、俺の方がワガママだからな! 俺は俺が楽しいのが最高だから!」
    「いやいや、俺の方やて!? 一人なんて器のちっこい事言わんから!」
    「……何をやってるんだか」
     マテリアルロッドを横に薙ぎバベルの鎖をその紫色の瞳でに集中させセリルは舌戦を繰り広げる二人に苦笑する。
     俺の方がワガママだしー、いやいや俺かてな? と切りがなさそうなやり取りを見てセリルが口を挟んだ。
    「勝った方がよりワガママって言うのは、どう?」
    『…………んじゃそれで』
     舌戦はここに終わりを告げ、配下達が待ってましたと神薙刃を撃ち放つ――戦いが再開された。


     ガゴン! とシェリーの放つ弾幕が机を椅子を粉々に打ち砕く。
    「ナイスやで、シェリーちゃん!」
     その銃弾の雨に動きが止まった配下へ侑がデッドブラスターの漆黒の弾丸を撃ち込む――膝が崩れたそこへ、逆手に構えた解体ナイフを眼前に突き出した海が叫んだ。
    「毒ガスミサイル発射」
     毒の風が渦巻き、配下達を飲み込んでいく。それにまた一人、配下が崩れ落ちた。
    「コマ、じゃんぷでござる!」
     京一の横回転しながら配下へとそのロケットハンマーを叩き込む――そして、そのハンマーの軌道を飛び越え、コマが斬魔刀を振るった。ガゴン! と鈍い打撃音がして配下は膝を揺らす。それでも耐え切った配下へとセリルがその槍を繰り出した。
    「此処で、断ち切る!」
     ドン! と配下を魔力の爆発による衝撃が撃ち抜いた。それに、ゆっくりと最後の配下が崩れ落ちる。
     それを見て、遥斗が羅刹と向き合い言い捨てた。
    「自由ってなあ楽じゃねえ。痛えのも、苦しいのも自由の内さ。でもな、だから面白い。そうだろ?」
    「ああ、だよな。今、ちょっとワクワクしてんぜ?」
     遥斗の言葉に羅刹はそう笑みで返す。それに、遥斗はクルリ、と槍を旋回、小脇に構えと続けた。
    「俺と手前は同類だ。だからよお、賭けようぜ、てめえの拳にてめえの意地と命をよっ!」
    「あぁ、本当に楽しい夜だぜ!? 必ず、お前等を踏み躙ってやらぁ!」
     羅刹が符を放つ――五星結界符の攻性防壁を叩きつけるその一撃を暁が影を宿したガンナイフの一閃で相殺、死角へと回り込む。
    「惜しいなァ、やるじゃんか♪」
    「殴られた時に褒めろよな!?」
     繰り出された暁の黒死斬の一撃を受けてなお、羅刹は動きを止めない。そこへ修の神薙刃が放たれた。
    「させっか!!」
     羅刹はそれを横にあった椅子を足場に跳躍――その着地点へと采は影を放ち、言った。
    「おこしやす」
    「お断りだ、ちくしょう!?」
     ゾブ! と影が着地直後の羅刹を飲み込み、霊犬がそこに六文銭を射撃する。
    (「……本当、わからない奴ね」)
     戦況を見極めながらセリルが溜め息をこぼした。羅刹は強い――残り一人になってなお、八人と三体の猛攻に耐え切るのだ、弱いはずがない。
    (「何も考えず、何にも縛られず……其れは尊い事でもあるのかも知れない」)
     羅刹は終始笑顔だ。この状況さえ、子供が遊びに興じるように楽しんでいる。戦いたいから戦い、踏み潰したいから踏み潰す――それは成長すれば誰もが忘れてしまう、無邪気とも言うべきものなのかもしれない。
     だが、羅刹は子供ではないのだ。大人さえ問題にならない、恐ろしい力を秘めているのだ。
    (「けれど、何も顧みず好き勝手にする事とは、別の話だ」)
     止めなくてはいけないのだ――この憎らしいほど自由な暴力を。
    「ひゃっはー!」
     羅刹がその拳を振るう。巨大な異形化した拳――鬼神変の一撃を修へと放った。
     ガゴン! と音楽を掻き消すほどの轟音が鳴り響いた。それに羅刹が目を丸くする。
    「あらあら、相殺されたか」
    「……似てる気がして、色々考えたんだけど、俺もバカでね。良く判らなくなった」
     ググ……! と修も鬼神変の拳でその一撃を受け止めていた。真っ直ぐと、よく似た二人の視線が交差する――そして、もう一人の自分へ修はしっかりと告げた。
    「だから、今は単純に思いっきり叩く事にしたよ。覚悟!」
     修が踏み込む。異形化したのとは逆の拳で抗雷撃を突き上げた。
    「が……ッ!?」
    「力の使い方、間違えたんや、あんたは」
     そして、そこへ采の影喰らいによる影がその身を飲み込み、霊犬とコマが同時に駆け込み左右から斬魔刀を振るった。
     それに続き、京一と遥斗が踏み込んだ。京一は真っ直ぐに、遥斗は倒れたテーブルを足場に、更にダブルッジャンプで高く跳躍、攻撃を繰り出した。
    「このちゃんす、逃さないでござる!」
    「これで終わりだ!燃え、尽きろ――ッ!!」
     ゴウ! とレーヴァテインの炎が羅刹を包み込む。ふらつく羅刹に、海が解体ナイフと刀を構え迫った。
    「使った方にも喰らった方にもトラウマが残る必殺技――」
    「んなもん、使うなぁ!?」
    「――あたご流格闘術ぶちかまし!」
     ザザン! と海が制止に構わず放ったトラウナックルの十字の斬撃に羅刹は、歯を食いしばって踏み止まる。
    「ほら、笑えって」
     暁がガンナイフを巧みに使い踏み込む――その零距離格闘が、羅刹の脇腹を深くえぐった。
    「ほれほれ、俺の方がワガママやって認めるか?」
    「それは嫌だなー」
    「そか、ならしゃーない」
     シェリーが羅刹に突撃、侑のガトリングガンの連射が正確に羅刹の足に集中する――そして、セリルが静かに囁いた。
    「一度だけで良い、自分の歩んで来た道を、振り返ってみなよ」
    「……ああ、楽しかったぜ?」
     無邪気に笑う羅刹に、セリルはわずかに目を伏せ――そして、言い放つ。
    「止まる気が無いのなら、力ずくでも止めてあげる」
     セリルの周囲で雪のように白い光が魔法の矢となり――射出された。羅刹は符を展開しそれを迎え撃とうとするが――符は白い矢に撃ち抜かれ、羅刹へと突き刺さる。
    「……ちぇ、俺の方が、ワガママ……」
     羅刹は苦笑し、膝から音もなく崩れ落ちた……。


    「今回もよお、頑張ったな」
     霊犬を抱きかかえると采がその頭を労うように撫でる。それに霊犬は尻尾を振ると、お返しに采を労うようにその首筋に頬を寄せた。
    「あの世では穏やかに、自由気ままに生きれるといいな」
     手を合わせる修に続くように、仲間達も自然と黙祷を捧げていた。本当に、ただ一つ食い違ってさえいなければ――そう悔やむ気持ちがこみ上げるのだ。
     ――もし、自分も闇に堕ちてしまえばああなるのだろうか、と。
     手を合わせ終わり、しかし、京一は静かに言い捨てた。
    「拙者としては、力というのは『道』を極めるためのものであって、暴力としてそれを無差別に振るうのはよしとはせぬ」
     その決意のこもった一言は、仲間達の心に刻まれる。
     何があろうとその最後の一線を越えてはならないのだ――それこそが、あの羅刹と自分達の明確な差なのだから……。

    作者:波多野志郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年9月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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