名古屋七大決戦~決戦! 緑の王

    作者:聖山葵

    「うずめ様は言いました。盟主は現れませんでしたと」
     6人の盟主候補の全てが、灼滅者によって救出された頃、南アルプスを抜け濃尾平野へと歩を進めていたダークネス達を前に、うずめ様がそう宣じた。
     長い敗走の旅を耐え抜いたダークネス達に、失望の表情が浮かぶ。
     灼滅者の裏切り者、闇堕ち灼滅者。
     その中でも、ダークネスの盟主となる事を望み、その為の試練を受けた筈の者達が、全て、灼滅者に戻ることを選んだというのは、彼らにとっても衝撃の事実であったろう。

    「うずめ様は言いました。灼滅者は追討軍を送ってくるだろうと」
     拠点も持たぬ敗残の徒である彼らに、武蔵坂学園を正面から迎え撃つ戦力は無い。
     頼みの綱は、うずめ様の予知能力であるが、それも、武蔵坂学園が持つという予知の力の前では充分な力は発揮できない。
     敵は、うずめ様の予知に掛からない作戦を予知する事ができるのだから。

    「万已むを得ない。いざ、決戦の時。戦い勝たねば生き残れまい」
     日本のご当地幹部、ザ・グレート定礎が、皆の心を代弁する。
     この危地を脱する事ができねば、この濃尾平野に、無残に屍を晒すことになるだろう。

    「楢山御前、あなたと轡を並べて共に戦う時が来ようとは思いませんでしたぞ」
    「それについては、おばちゃんも同感ねぇ。まぁ、白の王を灼滅されるなんて、予想外の事が起こったのだから、そういうこともあるわ。ところで、ソロモンの大悪魔のお二人はどうするの?」
     北征入道の言葉に頷いた楢山御前は、新参の大悪魔達を振り返る。
    「あなた達は客人だから、ここから脱出するのなら、出来る限り助けてあげるわよ」
     その御前の言葉に、ソロモンの大悪魔・ザガンが首を横に振った。
     ザガンに同意するように、フォルネウスの力を継いだ、海将ルナ・リードが言葉を継ぐ。
    「逃げて生き延びる確率と、戦って生き延びる確率に違いはないのではなくて? それに私達が逃げれば、他の大悪魔達の計画も狂ってしまうわ」
     楢山御前は、そう、と頷くと、最後の一人、緑の王・アフリカンパンサーを見た。

    「ボクもここで戦うよ。この日本で、グレート定礎の傍以上に安全なところなんて無いんだから。それに、ボク達の危機を知れば、アメリカンコンドルも駆けつけてくれる。それまで、ボク達はなんとか耐え抜けばいいんだ」
     自分に言い聞かせるようにそう言うアフリカンパンサーに、ザ・グレート定礎が言葉をかける。
    「濃尾平野は、古き盟友であった安土城怪人の拠点であった場所、地の利は無いわけでは無い。灼滅者達が驕り油断するならば、勝機は充分にあるだろう」
     こうして、竹生島の敗残兵を吸収した、富士の迷宮のダークネス残党軍は、名古屋市を望む郊外に陣取り、灼滅者達の追討軍を迎え撃つ準備を始めたのだった。
     その喧騒の中、
    「うずめ様は言いました。ここが決戦の地であると。そして、更に言いました。この戦いは決戦とはなりえないだろうと……」
     うずめ様の最後の予知は、誰にも聞かれる事無く口中に消えたのだった。

    「盟主候補になっていた六名の全員救助完了、祝着至極。富士山と竹生島の残党戦力もこれは想定外だったことだろう。皆の活躍と絆がもたらした勝利と言ったところか」
     その甲斐もあり、うずめ様の予知を掻い潜って逃げ延びていた残党勢力との決戦を挑む事が可能となったと座本・はるひ(大学生エクスブレイン・dn0088)は明かした。
    「この決戦で上手く事を運べれば敵の陣中にある七体の有力なダークネス全てを灼滅することも可能だろう。まさに千載一遇の好機」
     もちろん、敗走する残党とは言え相手は強大な力を持つダークネスだ。
    「そう簡単に灼滅させてくれる筈もない。だが、君達が力を合わせて望めば、可能性はある。少年っ」
    「あ、うん」
     はるひに視線を向けられ、答えたのは、鳥井・和馬(中学生ファイアブラッド・dn0046)。
    「さて、君達に挑んで貰うのは、緑の王、アフリカンパンサーとその軍勢となる」
     有力なダークネス達は各が軍勢を率いており、これを突破しない限り灼滅は不可能とはるひは言う。
    「アフリカンパンサー旗下のダークネスは、アフリカンご当地怪人を筆頭にペナント怪人、レプラコーン、いけないナースの混成軍。しかもザ・グレート定礎の力を分け与えられ、強化されている」
     その上、アフリカンパンサー自身も『王』の一人である為、その実力は高いと想定される。
    「これに少人数で挑むなどまさに自殺行為だ。よって、多数の灼滅者の手により有力敵配下の軍勢を蹴散らして道を切り開き、そこへ少人数の本隊が突入するという戦法をとる」
     君達本隊がアフリカンパンサーへ食いつけるかは、支援の灼滅者次第。
    「もちろん、うまく切り込めたとしてもアフリカンパンサーに勝てなくては意味がない」
     双方の行動が首尾良く運び、ようやく勝利の目が見えてくると言うことなのだろう。

    「アフリカンパンサー達を追いつめることが出来たのは君達の力だ。だが追いつめられた獣は危険な相手となる。少年、皆、無事でな」
    「うん」
     真剣な表情で言い終えたはるひの言葉に和馬は頷き、君達と教室を後にするのだった。
     


    参加者
    ジュラル・ニート(デビルハンター・d02576)
    淳・周(赤き暴風・d05550)
    皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)
    紅羽・流希(挑戦者・d10975)
    マリナ・ガーラント(兵器少女・d11401)
    久瀬・雛菊(蒼穹のシーアクオン・d21285)
    田中・良信(宇都宮餃子の伝道師・d32002)

    ■リプレイ

    ●始
    「落ち武者狩り的展開なはずなのになんかものっそハードモードな件」
     標的の率いる軍勢を見たジュラル・ニート(デビルハンター・d02576)がぼそりと漏らせば、傍らでナノナノの軍師殿も相づちを打つように鳴く。
    「むぅ、確かにあれは少々難儀しそうやなぁ」
     小さく唸った久瀬・雛菊(蒼穹のシーアクオン・d21285)の手にはスレイヤーカードがあり。
    「けど……」
     振り返れば、応援に駆けつけてくれた灼滅者達の姿がある。
    「30人集まれば突破が可能だってんなら、倍近く居りゃ届く筈! それに、逃がしたら何が起こるかわかったもんじゃねえ」
     絶対に仕留めると決意を込めて淳・周(赤き暴風・d05550)が一歩足を前に踏み出せば、皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)もこれに倣い。
    「田子の浦では……随分と……世話になったし……。今度こそ……倒させてもらう……」
    「そうですね、ここで仕留めなければなりません……」
     同意したのは、紅羽・流希(挑戦者・d10975)。ちらりと応援に駆けつけた【TG研】の面々の方を振り返り、頷き。
    「やってやるおっ、かーなーり昔にぶっ飛ばされた恨み、ここで晴らしてやるんだおっ」
    「今度こそ滅ぼすよ、アフリカンパンサー!! ボク的にその胸は生かしておけない!」
     マリナ・ガーラント(兵器少女・d11401)もふんすと拳を握り、法子が明らかな私怨を混ぜつつに気炎を上げれば。
    「変身!」
    「ソノ死ノ為ニ……対象ノ殺戮ヲ是トスル」
     前で、後ろで、スレイヤーカードの封印が解かれ。
    「和馬は俺達から離れてサポートの纏めを頼む。連絡等あったら双方を繋いでほしいんだ」
    「うん、わかった」
    「あ、あと、皆に感謝を伝えといてくれな!」
    「ああ、それはいいね。ボクの分の感謝も伝えておいてくれるかな」
     鳥井・和馬(中学生ファイアブラッド・dn0046)に指示しつつ田中・良信(宇都宮餃子の伝道師・d32002)の付け加えた言葉へロードゼンヘンド・クロイツナヘッシュ(愛と殺意・d36355)が乗っかる。
    「わかった。みんなが感謝してるって伝えておくね? それじゃ、みんな気をつけて」
     言葉を残して少年が下がった後だった。
    「やあっ」
    「ペナばっ」
     佳奈美の跳び蹴りを食らっったペナント怪人が悲鳴をあげてよろめき。
    「っ、よくもやっカバベっ」
     すぐ隣にいた頭部がカバのアフリカンご当地怪人がキリカの射出した帯に貫かれ、仰け反る。
    「富士の迷宮でのリベンジ、自分の手で出来ないのはザンネンだけどね!」
     それは本隊に任せると言う事なのだろう。
    「いくよっ」
     戦端は開かれた。真っ白な九尾の狐と化した彩蝶が前に飛び出しながら白光を放つ斬撃を繰り出し。
    「キリンベっ」
    「よっしゃ、とうとうか。決戦と聞いちゃ、黙ってられねぇ! いくぜ汾陽」
     キリンのご当地怪人が薙ぎ払われる様を見た宵月はウイングキャットに呼びかけると己の影を敵に向けて伸ばした。
    「うぐ、仕掛けてきたペナ?! だがその程ペンなぶっ」
     地面から顔を出した影が身構えたペナント怪人を一呑みにするが、このまま灼滅者達の一方的な攻勢とはいかない。
    「……く、くそっ、やられっぱなしで居ると思うなダチョッ! 応戦するダチョ!」
     躍り食いされるペナント怪人の名が思い出せなかったのか、一瞬沈黙しつつもすぐさま我に返ったアフリカンご当地怪人を始め、十数体のダークネスが反撃に転じたのだ。
    「人の故郷で勝手に決戦なんてするなよなぁ、と。さて、僕の役割は血路を開く事、か。やってるよ。わんこすけ」
     横向きに撃ち込まれるご当地ビームの驟雨に晒されながらも、のんびりとした口調のまま断裁鉞で一本の光線を受け止めた鎗輔は、肩にのせた霊犬を横目で一瞥し。
    「『我、これより修羅に入る!』ってね」
     口を開くが早いか、高速移動で敵陣へと突っ込んだ。
    「んむ、早速始めたみたいですね。では園観ちゃん達も行きましょうか」
    「そうですね……」
     遥香へ相づちを打った清美は同じ【TG研】の良太へと目を向け。
    「わかりました。秋山さんの命令なら……」
    「えっ、何か誤解してませんか?」
     何故か悲愴な顔をした良太に待ったをかけた直後。
    「二人とも、遊んでる場合じゃ……」
    「あ、そうでしたね。では――」
     登に制止されて我に返った清美が全砲門を開放したクロスグレイブで前方の敵へ光線を乱射すれば、同じクラブの者同士だけあって、息のあった連係を見せ、攻撃を仕掛けて行く。
    「……夕月」
    「お手伝いにきましたよー。やれるだけやってみますから、その後はお願いしますねー?」
     流希へ片手をあげて見せた夕月は前線に視線をやるとダイダロスベルトで反撃に晒される味方を包み、癒やす。
    「いきなり、これか……参ったね」
     ただ、鎗輔は膝をついたままであり。良太の勘違いもある意味では間違ってはいなかった。数の上で優位なのは敵側。ただでさえ熱烈歓迎が待っているところへ敵意を自分に集めて見せたのだ。
    「手が回らない……」
     癒しの力を込めた矢を味方へ撃ち出しつつ空煌は顔をしかめ。
    「わたしも反撃にうつりましょ~う♪」
    「やらせませんグース、くっ」
     高速移動から力強く地を蹴り唐竹割りに振り降ろすレプラコーンの斧の前に飛び出した狛は衝撃に若干沈み込みつつも真後ろの灼滅者を守り通し。
    「きゃあっ」
     一撃を見舞ったばかりで隙だらけだったレプラコーンが吹っ飛ばされる。
    「この数では劣勢も仕方ないのう。じゃが、本隊を通すだけなら出来よう。まずは敵の守りの突破じゃな」
    「ああ」
     前を見据えオーラを収束させた両手を敬厳が前へと突き出せば、拳に宿した雷を弾けさせつつ矜人が低い姿勢で地を蹴る。
    (「露払いってのは派手さはないが、大事な仕事だからな」)
     狙うは標的と本隊との間に立つダークネス。
    「――さあ、ヒーロータイムだ!」
    「がばっ、びゃ」
     アッパーカットで打ち上げられたカバの怪人が放出されたオーラの流れに呑まれ。
    「ペナばっ」
     更に奥にいたペナント怪人がペナントの中央を鏡花に詠唱圧縮された矢で撃ち抜かる。
    「私に御膳立てさせるんだからしっかりとした結果は残してくれるんでしょうね」
     一瞬、零桜奈に向けられた鏡花の目はそう語り。
    「覚悟するペナっ!」
    「はっ、覚悟すんのは……てめぇもだろっ!」
    「ペナっ」
     跳躍から蹴りを放ってくるペナント怪人へジェット噴射で飛び込んだ智巳はキックを貰いつつもペナント怪人の身体を殲術道具の杭で貫き振り払って吹き飛ばす。
    「何というか、これはかなりきついね?」
    「否定はしないが、道は出来つつあるぞ」
     交通標識を黄色標識にスタイルチェンジさせたロードゼンヘンドが口元を綻ばせたまま前を見れば、痛いの痛いの飛んでいけとばかりに治療するいけないナース達がダークネス達の負った傷を消して行く様子に顔をしかめつつも、流希が敵陣の一点を示し。
    「随分敵の数が減ってるお」
    「攻撃の一点集中とサポートの面々の陽動の結果って奴ですかね」
    「おそらくな」
     斬撃を振り下ろそうと構えるマリナ、夜霧を展開するジュラルへ首肯した流希の見つめる先で、ペナント怪人とアフリカンご当地怪人が数体、悲鳴をあげた。
    「折角皆して集まってきたところ悪いけど、変な真似はさせないんだよ! ……前のクロキバさんの為にも、ここはっ!」
     怪人達が巻き込まれたのは、毬衣によって構築されていた霊的因子を強制停止させる結界。これに桜夜の構築した同じ除霊結界が重なり。
    「桜」
    「解っている」
    「うぐっ、それ以上はや゛ザっ」
     結界を踏み越えて肉迫しようとしたサイ頭の怪人は桜に死角から足の腱を斬られ蹲る。
    「蒼香姉ちゃん」
    「これで少しは敵の動きも鈍ると思います、零桜奈くんによろしくお願いしますね?」
    「あ、うん」
     見知った顔に伝言を頼まれた和馬が頷き。
    「キリンべっ」
    「今」
     指輪から放った魔法弾で怪人にたたらを踏ませた深月紅は片目で紅く泣きながら横に飛び。
    「りんびっ」
     深月紅自体を目隠しにする形で放たれた一撃に怪人が消し飛んだ。

    ●死闘のなかに
    「アフリカンパンサーか……」
     ワルゼーの視界に映るは、巨大な骨から極太の光線を放つご当地幹部。
    「知識の鎧っ」
    「やってくれるじゃねぇの、だがな」
     みんとの声に従い、盾となったビハインドが一瞬で消滅し、庇われた周が伸ばした影を触手に変えてアフリカンパンサーの横に居たペナント怪人を引き倒す。
    「途方もない強敵には違いない、しかし培ってきた我々の実力、そろそろヤツに届くはず……」
     眼前で繰り広げられる戦いがあるかこそ強さも理解出来るが、信じても居た、だから。
    「じゃあ教祖、爆発してみようぜ? 背中に大量の爆竹を背負い、機を見て点火。名付けて、システマハリケーン」
    「そうだな。そして、ヤツへ届く道のり、我々が切り拓……って誰がするか!」
     ファルケの提案にワルゼーはツッコんだ。
    「王が前に出ているのなら、逃す手はありませんねぇ? ご当地への執念は、私たち学園のヒーローだって負けてませんから!」
     菖蒲は敢えて二人を見ず、両手に収束させたオーラを撃ち出した。
    「あ」
     高速移動していたレプラコーンの一体がオーラの中に消え。
    「あの眷属居ないし、アガルタの口開いていない。パンサーの回りのダークネスも減ってるです……けど」
     最初に周囲を確認したからこそ、ユエファには解る。今だ灼滅者達側の方が分が悪い、と。
    「喰らうペナっ」
    「きゃあ」
     先陣を切って戦っていた佳奈美がペナント怪人に蹴り飛ばされ。
    「闘うって、決めたんだもん。だから、ま……だ」
     片手を付き起きあがろうとするも、途中で崩れ落ちる。何体かのダークネスが倒されては居たが、灼滅者側にも被害は出ているのだ。それは、ユエファ自身も例外でなく。龍の翼の如き高速移動で突っ込み銀雷で斬られたご当地怪人達をは引きつけることに成功したものの、ユエファは集中攻撃に遭っていた。
    「はい、これで大丈夫ですの」
    「ありがとございます……よ」
     数の差はそのまま火力の差に直結する。ダークネスと言うだけで灼滅することに抵抗を覚えるシエナにとって、味方の回復に手一杯な状況にあるのは幸か不幸か。
    「……とは言え、送り出すくらいのことは出来そうだね」
    「そうでござるな、ならば拙者らは――」
     同意したサーニャは断斬鋏でキリン頭の怪人のたてがみを切り取り鋏に喰らわせると頬に滲んだ血を拭い、殲術道具を構えた。
    「本隊を少しでも先へ進ませるでござるよ。彼らならきっと勝てるって、信じてる!」
    「やっぱりそうなるよね。じゃあ、いろはも」
    「ペナばっ」
     炎を纏ったいろはの蹴りが肉迫してきたペナント怪人の側頭部に叩き込まれた。
    「名乗りなよ、それが戦の作法ってやつじゃないかな?」
    「うぐぐ、喧しいペナっ! 名乗っても数が多いから覚えて貰えない俺の悲あべっ」
     呻きつつも抗議しようとしたペナント怪人は、最後まで言えずにウロボロスブレイドで蒼に斬り刻まれる。
    (「此処が、正念場、です、ね」)
     アフリカンパンサーへと至る突破口は徐々に出来上がりつつあったが、戦力差を考えれば気づかれたら終わりだろう。だからこそアフリカンパンサーの配下達の注意を引き付けようとする灼滅者達は蒼の他にも居り。
    「良い度胸カバッ」
    「数で押しきりましょ~♪」
    「くっ」
     注意を引けば、攻撃は当然そこに集中する。
    「これでどうだ、立てるか?」
     ボロボロの仲間をegregoroiで包み込み、傷を癒しつつカノンは問い。
    「さっさと倒れるペナっ」
     答えが返るよりも早く、追い打ちをかけようとしたペナント怪人が光線を放つ。
    「ユキ、油断すんなよ?」
    「……うん、大丈夫」
    「なら、良いけどよ……」
     後方の由貴を気遣い、返ってきた声に若干脱力しつつも和希は分け与えられた小光輪を盾に飛んできた光線を逸らし、地を踏みしめる。
    「この程度? あたしら、なめんといてぇな!」
     朱那が足下に撃ち込んだ杭を起点に衝撃が広がり、眼前で展開される連係攻撃に続くべく和希が拳を握り締め前へと飛び。
    「こしゃくなダチョばっ」
     迎え撃とうとしたアフリカン怪人が衝撃にたたらを踏む。
    「怯むな、撃つペナっ」
     それでも灼滅者達の攻撃を免れたペナント怪人達がビームを放ち。
    「「ペナびゃっ」」
     ビームを撃ちだした姿勢のまま、何体かが乱射する光線に薙ぎ払われた。
    「こうも数が多いと厳しいですね。えりなさん、大丈夫ですか?」
     クロスグレイブの全砲門を解放したまま紗里亜が同じ【星空芸能館】のえりなの方を見れば、天使を思わせる歌声で仲間を癒やしつつ頷く姿があり。
    「じゃが、正念場はここからじゃろうな。紅羽先輩達を無事送り出せると良いのう」
     自身の招いた優しき風に桃色の髪を揺らし、心桜はちらりと開きつつある突破口へ目をやった。
    (「若干の取り越し苦労じゃな」)
     逃げる敵を追うつもりはなかったが、そもそも敵の方が優勢なのだ。例外は攻撃の集中する一点のみ。
    「流希兄ちゃん、もう少しで突破口、開けると思うから」
    「解った。……突破口が開き次第突入するぞ」
     和馬の声に応じた流希は仲間を見回し。
    「いよいよですか……長き戦いもひとまずの結を見ますかな」
     最初に口を開いたのは突入メンバーではなく、榮太郎。
    「何にせよ決戦であります。心置きなく戦っていただく為にも、露払いは我等に任されよ」
     俯いたまま両手に刃を持ち、なんてねと続けつつも前方へ飛び。
    「いいね……あたしも混ぜてくれよっ」
     別方向からは千尋が槍を回転させて突撃する。
    「本隊、援護します! 無茶はしてくれるなよ!」
     朱毘が更に続き。
    「本体が緑の王に辿り着ける様、私達が露払いさせていただきます。道が開きましたら、どうぞ先へ」
     良信達へ言葉を残すと、杭から広がる衝撃波を追いかけるようにしてサンテミリオンを担いだオリシアも駆け出す。
    「そこをどいて貰いますよ!」
    「がっ」
     遥音の生み出した風の刃がアフリカン怪人の胴を斬り裂き。
    「ペナぶっ」
     血しぶきと悲鳴、薄くなった敵の布陣が崩れたのは、まさにその直後だった。
    「今だ」
    「解ってる、続くおっ」
     前を行く数名の背を追いマリナは地を蹴り。
    「な、しまっ」
    「させんカばっ」
    「行かせげペナっ」
     本隊の意図に気づき声を上げたダークネス達の中、幾体かが突入を阻もうと向きを変え、無防備な背に一撃を見舞われ、転倒する。
    「悪いね……助かったよ、正直」
    「ありがと、任せときな」
    「しっかりやれよ、一発くらい入れて来い」
    「さぁ気張ってくださいね、ジュラルさん、淳さん!」
     礼を口にしたジュラルと周の背を御伽と鶉は見送り、視線を戻せば手傷を負った怪人達がむくりと起きあがる。
    「ぐうぅ、おんのれぇぇっ」
    「よくもやったペナなっ」
    「さて、では引き続きお相手願いますわ」
    「本当はアフパンと戦いたかったんだが、お前で我慢してやるよ」
     激昂する怪人達が一撃で倒れないことぐらいは解りきっていたのだろう。
    「あらら大変~♪ 行く手を塞」
    「そうはさせないであります」
    「きゃあっ」
     仲間と灼滅者達の攻防で遅れて一同の狙いに気づき行く手を塞ごうとしたレプラコーンにもヘイズの作り出した小妖怪の幻影が襲いかかり。
    「っ……くそっ、そいつらは任せたキリ」
    「おっと、そうはいかないぜ!」
    「はばっ?!」
     足止めされる仲間を見て迂回しようとしたキリン頭の怪人へ花音の解き放った冷たい炎が直撃し。
    「任せたよ! ここで逃がしたら何をしでかすか分からないし……アフリカンパンサーに引導を渡してきてよ!!!」
     邪魔者が一時途切れ、敵陣に空いた穴を抜けて行く灼滅者達の背に法子は声を投げ。
    「本隊の皆、ご当地の恥知らずの灼滅頼んだグース!」
     傷だらけの狛が倣い声援を送る。
    「ふざけるなゼブラ! パンサー様の元には――」
    「行って貰うよ」
    「ゼブべばっ」
     尚も行く手を塞ごうとしたアフリカン怪人が桃のS.C.E.I.L.から乱射された光線に灼かれて仰け反り。
    「もうそれは見切ったペナっ、さっさとそこを退ぺがっ」
    「前回と同じだと思ったか? 残念だったな!?」
     光線をかわしたペナント怪人は月吼のフェイントに騙され、杭の先端を背から生やして身体をくの字に折る。
    「ぐぁぺっ、うぐ……この程、度……」
    「あら大丈夫? すぐ治療するわね?」
     ただの一撃で倒される程弱くなかったペナント怪人は傷口をねじ切られながらもバベルブレイカーから解放されて立ち上がり、そこに現れたのは白衣のダークネス。
    「ここに来て新手か……腹立たしいが、今回の主人公はあいつらだ。今日は端役に甘んじてやんよ!」
     少なくとも目標の側まで本隊が到達するのは見届けたのだ。
    「うまく……いってれば、良いんだがな」
     ハンガーを杖代わりに膝をついた円は本隊が向かった先を一瞥すると、自身を癒やしつつ立ち上がる。
    「せやなぁ。なんやセイメイと秘密の研究してたみたいやけどぉ、何やってたか聞けるとええなぁ」
     相づちを打ったウニもといダークネス形態の丹は箒の上で魔法の矢を詠唱圧縮すると、前方のダークネス目掛け放つ。
    「これがウチのぉ精一杯!」
    「ぺんばっ」
     マジックミサイルは眼下に立つペナント怪人へと手傷を負わせ、尚も戦いは続く。応援に集まった灼滅者達は役目の半分を終えていた。

    ●決戦!
    「???の姿は無いようですが、状況は厳しいまま……ですね」
     死角からの斬撃でついたウロボロスブレイドの血糊を振り払うと、炯は若干愁いを帯びた視線を本隊が消えた方向に向けた。
    「この分では本隊をサポートするのは無理でしょうか」
    「だけど、もう暫くは持ちこたえて居ないとちょっかいかけるの許しちゃいますからね」
     今だ相応の数を残すアフリカンパンサーの配下達を見る玲那に継戦能力大事と唯が続け。
    「静音さん、もう暫しメディックのフォローに回ることになりそうですね」
    「はい、緑風先輩」
     玲那の言葉に頷いた静音は傷だらけになった霊犬のクラージュが倒れた仲間を運び出す姿を横目で見ると指先に霊力を集め始めた。ここでアフリカンパンサーを援護しようとするダークネスを止める戦力がなくなれば本隊の勝つ見込みはなくなる。
    「だから、ここはオイラ達でっ」
    「きゃあっ」
     和馬の撃ち出した光の刃はレプラコーンの服を斬り裂きつつその肌に傷を付け、二の腕を傷つけられたダークネスの向こうでは、アフリカンパンサーと本隊の戦いが今まさに始まろうとしていた。
    「田子の浦では……一撃すら……当てれなかったが……今回は……当てさせてもらうぞ……」
    「ふふっ、できるかな、できるかな? こんな所まで入り込んできたのはすごいけど、お友達は大変そうだよ?」
     零桜奈の視線を真っ向から受け止めてアフリカンパンサーは首を傾げる。劣勢にあるのは紛れもない事実なのだ。
    「意地でも仕留めてみせる……仲間や弟分が活路を見出してくれたんだからな。前回は横槍が入ったから、仕留め切れなかったが、今回は違うぞ」
    「へぇ?」
     かわりに口を開いた流希が堀川国広を上段に構え。
    「いっくおー」
     別方向から振り下ろされた斬撃が始まりだった。
    「甘いよ、甘いよ!」
    「はあっ!」
     マリナの重い一撃が手にした骨に跳ね、一撃に反応した隙をつくように流希もしかけ。
    「おっと」
     名に冠したパンサーの如き俊敏な動きで飛び退いて二撃目もかわす。だが、そこまでだった。
    「こっちも行くぜ!」
    「うくっ」
     タイミングを合わせてギターをかき鳴らした周の放つ音波へまともに突っ込む事となり、微かに怯んだ所へ無言で零桜奈が斬りかかったのだ。
    「痛」
    「流石ご当地幹部ってとこかね」
     ジュラルは夜霧を展開しつつポツリと漏らし。
    「わたし達を忘れて貰っちゃ困るんよ」
    「にゃあっ」
    「っ」
     視界の中で雛菊の影が触手と化しアフリカンパンサーの足目掛けて這い寄るのと同時にウィングキャットのイカスミが猫魔法を放つ。
    「ボクを甘く見るな!」
     避けられないと見てか、猫魔法に自ら突っ込んでいったアフリカンパンサーが魔法を突き抜け巨大な骨を振るう。
    「餃子武者っ」
     良信の悲痛な声が響く中、一台のライドキャリバーが盾になり、宙を舞った。
    「さぁ、次は誰かな、だ」
    「んの前にこっちの番だぜ!」
     一撃を振り抜き、周囲を見回そうとしたアフリカンパンサーへ襲いかかったのは、周。良信の放った矢に超感覚を呼び起こされたのもあってか、紅蓮を宿したバイオレンスギターがアフリカンパンサーの頭部を捉え。
    「っ、この程」
    「逃がすか」
     縦の殴打に炎が咲いた次の瞬間、流希の影が踊った。
    「鬱陶しい、鬱陶し」
    「まだだおっ」
     再び襲い来る影触手をパンサーが振り払う間もなく、別方向からも影は伸び。
    「……帰ったら餃子焼き油をオイルに混ぜてやるな」
     仲間達の戦いを視界に入れつつ、良信は再び癒しの力を込めた矢を天星弓につがえた。
    「……当たれ」
    「くうっ」
     風の刃が激しく渦巻き、アフリカンパンサーの露出した肌に一筋の傷を刻む。
    「いくらか攻撃は当たってる筈なんだけどね」
    「ナノナノ」
     もう一度夜霧を展開するジュラルの声にナノナノの軍師殿が鳴いた。
    「雛菊……」
    「解ってるんよ」
     クロスグレイブが唸りを上げて死角から振り下ろされ、差し出されたガイオウガボーンロッドの表面を滑り。
    「甘いよ、甘」
    「にゃ」
    「ぶっ」
     攻撃をいなしたパンサーの顔面に肉球パンチが叩き付けられ、空気が凍る。
    「……何すんだバカ!」
     凍結は一瞬、表情が変わった時には既にアフリカンパンサーは反撃に転じていた。
    「いや、全く……強いね、本当に」
     ロードゼンヘンドからすればそれは何度目の味方の治療か。戦いは続き、尚も終わりの見える様子はない。
    「ナノ……」
    「なんだ、今回は捨て石というか捨て駒というか……すまんな軍師殿。仇は取るからな」
     これも計算の内ですとでも言うかの様に口元を綻ばせ、主の仲間を守った軍師殿が消滅し。
    「アフリカ、行った事はないけどさ、『雄大な大地に溢れる生命力!』ってイメージだ。きっと良い土地だろうなって思う」
    「っ」
    「だから不思議なんだ。何もこんな小さい島国からパワー奪わなくたって……理由でもあるのか?」
    「それって挑発のつもりかな、つもりかな? その豊かな土地からサイキックエナジーを奪ったのはこの国にあるサイキックアブソーバーじゃないか」
    「うおっ」
     言葉と共にぶつかり合った刃と骨は、良信のクルセイドソードが弾かれ仰け反る形で決着する。
    「もう黙るといいよ」
     そして、骨杖が振り下ろされる筈だった。
    「そうはさせないおっ」
     マリナが斬りかからねば。
    「むぅ、あとちょっとの所を」
    「おっおー、あの時マリナを殺さなかったのをここで後悔するといいんだおっ♪」
    「ふざけんな!」
     新たな挑発に敵意は向きを変え、アフリカンパンサーが骨を向け。
    「させん」
    「っ」
     ビームを撃ちだそうとしたパンサーへ落ちかかった断罪の刃が褐色の肌を斬り裂き。
    「今だ! 喰らいなアタシの曲を」
    「その首……もらい受ける……」
     周がギターをかき鳴らすのに合わせて零桜奈も風の刃を生み出しアフリカンパンサー目掛け突っ込ませる。
    「うくっ、このっ」
    「このままいっきに決めるんよ、たあっ!」
     連係しての攻撃がアフリカンパンサーを怯ませ、雛菊が地を蹴る。
    「っ、こんな」
     余力は殆ど残されていないからこそ乾坤一擲の連係はアフリカンパンサーの顔を歪ませるに至り。

    ●舞い降りる金色
    「な」
     声を上げたのは、ロードゼンヘンド。
    「なっ」
    「何だ、あれ?」
     だが、最初であっただけで幾人もが声を上げる。金色に輝く何かが自分達の頭上を飛び越え、アフリカンパンサーの元に降り立ったのだ。
    「これは、ダヴィンチ・コード。グレートが大事に保管していた筈なのにどうして」
    「ダヴィンチ・コードだって?」
     一体何がと訝しんだ灼滅者達の疑問は、半ば呆然とするアフリカンパンサーの口から出た言葉で解決するも、一同からすれば想定外の展開だった。巨大化フードを取り出してパワーアップするのであれば想定はしていたし、不穏なそぶりを見せれば妨害に動くつもりでもあった。
    「和馬、そっちは――」
    「ゴメン、あまり長くは……もたないかも」
     何故援護の灼滅者達から忠告なり警告なりが来なかったのかと良信が振り返れば、見えたのは突破した時より追い込まれつつある味方の姿。箒に乗って上空に居た灼滅者も居たはずだが、落とされたのだろう。上空に姿はなく。
    「うん、わかったよ。グローバルジャスティス様の為にも、ボクが、ここで灼滅されるわけにはいかない。いくよ、灼滅者!」
     視線を戻すと、読んでいたダヴィンチ・コードから顔を上げたアフリカンパンサーは、瞳を輝かせて骨杖を構え、灼滅者達へと熾烈な攻撃を再開する。
    「なっ、それなりに手傷を与えていたはずだよな?」
    「ダヴィンチ・コードっちゅうもんが、そないに大事っちゅうことか」
     驚く良信へ若干ひきつった顔の雛菊が言うが、解ったことは一つ。戦況が悪化したということだ。
    「だけど……ぐっ」
     零桜奈の地斬疾空刀【瑠影】が悲鳴をあげた。ぶつかったガイオウガボーンロッドは殲術道具ごと零桜奈を叩き伏せ。
    「……まだ、やれる」
    「だけど、参ったねこれは」
     意志の力で無理矢理立ち上がった仲間を包み込むのは、ロードゼンヘンドのダイダロスベルト。
    「だからと、言って――」
    「遅いよ、遅いよ!」
     ロードゼンヘンドが味方を癒やす間も攻防は続く。振り下ろされた刃が空を切り。
    「だったら」
     炎を宿したギターが骨杖に跳ね上げられる。
    「っ、洒落になってねーぜ」
     傷が癒されただけでない、明らかに戦闘力が上昇していた。影が絡み付いて鈍ったはずの動きも元に戻っている。
    「それでも、こんな所で退けないおっ!」
    「うぐっ」
     それでも無敵では無かった。二人に合わせた刃がアフリカンパンサーの肌に傷を付け。
    「瞬殺の超攻撃力? 上等! 受けて立つぜ!」
     下手に回復しても攻撃の密度が下がるだけと見た良信がエアシューズを駆る。
    「おらあっ」
     パンサーを襲うは、紅を纏う足。
    「っ」
     繰り出された蹴撃が獲物を捉え。
    「今なんよ!」
    「っ、もう起きあがらせないよ!」
    「……くっ」
     雛菊の伸ばした影に絡み付かれつつも飛び上がったアフリカンパンサーの蹴りは、零桜奈の意識を刈り取る。
    「零桜奈っ! ここを頼む」
    「流希兄ちゃん!」
    「紅羽先輩!」
     駆け寄った流希が倒れた仲間を担いで応援の灼滅者達の方へと向かえば、【TG研】の面々が声を上げ。
    「さっさと倒れペがげっ」
    「本隊の戦闘の邪魔はさせんよ!」
     ワルゼーの突きが流希達へ襲いかかろうとしたペナント怪人を貫く。
    「あら、大丈夫? 今なっきゃああ」
    「こうも数が多いと一体倒すのも一苦労でござるな」
     怨恨系の怪談を語り終えたサーニャは悲鳴をあげつつも倒れた訳ではないいけないナースを見てポツリと零し。
    「流希兄ちゃん、こっちはオイラ達に任せて……そっちへの介入は出来る限りオイラも防ぐから」
    「解った。ここは――」
    「無理はするなよ、生きてりゃまた機会はあるんだからな」
     和馬の言葉に頷いた流希へ被せるようにかけられた円の声を背に。
    「これでっ」
     戻った先では激闘が続いていた。ぶつかるのはギターと骨杖。
    「ボクを忘れて貰っちゃ困るね」
     魔法の光線がバスターライフルの銃口から戦場を疾駆り、地には人影が一つ、横たわる。仲間が倒れ「回復の必要が消えた」からこそ味方は攻撃に徹すことが出来たのだろう。
    「うわっ」
    「軍師殿の仇とらせて貰おうかね」
    「うっ」
     無理な姿勢でバスタービームを避けたアフリカンパンサーの足にジュラルの影が絡みつき。
    「本当にしつこいね、しつこいね」
     パンサーは周囲を見回すとちらりと倒れた良信を見てから影を振り解いて飛びずさる。
    「ボクは知ってるよ、君たち灼滅者は、追い詰められると闇堕ちして戦闘力を上げるんだ。だから、ね、今は止めを刺す事はしないんだ。だって、ボクは命を司る王、絶対に生き延びなくちゃいけないからね」
     危険はおかせない、と言うことなのだろう。
    「逃が――」
    「じゃあね」
     伸びてきた影の触手を打ち払い、身を翻したアフリカンパンサーは走り去り。
    「パンサー様? 俺達も退くカバっ」
     将の撤退に気づいた配下のダークネスも撤退を開始する。
    「……戦力的に、追撃は無理かね」
     去りゆく敵軍を見たままジュラルの漏らした呟きは苦かった。
     

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年4月8日
    難度:難しい
    参加:8人
    結果:失敗…
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