プールで危険なマッサージ!

    ●都内某所
     柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)は、こんな噂を耳にした。
     『プールで危険なマッサージをする都市伝説が存在する』と……。
     この都市伝説は都内某所にある室内温水プールに出没しており、老若男女関係なく危険なマッサージを施して、色々な意味で一般人達を天国に送っているらしい。
     しかも、都市伝説は普段スキンヘッドの一般人に扮しているため見分ける事が難しく、危険を覚悟で襲われる必要があるようだ。
     ただし、都市伝説の触手には麻痺効果があり、身体の自由が利かなくなるので要注意。
     また、催淫効果のある触手を使って襲い掛かってくるため、例え相手が屈強な漢だとしても甘い声を上げてしまうほど。
     そういった事を踏まえた上で、都市伝説を灼滅するのが、今回の目的である。


    参加者
    天津・蒼馬(ラプチュラスブルー・d01357)
    柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)
    深草・水鳥(眠り鳥・d20122)
    間・臨音(マジ狩るリンネ・d21208)
    井之原・雄一(怪物喰いの怪物・d23659)
    咲村・菫(ハナの妖精さん・d28400)
    守穴戸・香登(アンビバレンツワーウルフ・d34340)
    神代・蓮(神に愛された無頼漢・d36326)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「俺が聞いた時は、まだマシだったのに……。誰だ、尾ひれをつけたのは!」
     柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)は事前に配られた資料に目を通し、思わずツッコミを入れながら、仲間達と共に都市伝説が確認された室内温水プールにやってきた。
     都市伝説はスキンヘッドの男で、プールの利用者に対して、危険なマッサージを施しているようだ。
     しかも、獲物を見つけると身体中から触手を伸ばし、相手を麻痺させて自由を奪い、催淫効果のある卑猥な触手を使って、色々な意味で天国に送っているらしい。
     その上、相手が屈強な漢だったとしても、子猫の如く声を上げてしまい、触手の虜になってしまうようである。
     そんな噂を聞いてしまったためか、高明は鳥肌が立っており、嫌な汗が止まらなかった。
    「初めてがこれって、気の毒に……って言われたんやけど、何でや? 高明の兄さんも、えろう怯えてる感じやし?」
     守穴戸・香登(アンビバレンツワーウルフ・d34340)が、不思議そうに首を傾げる。
     どうして、高明が怯えているのか分からないため、頭の中がハテナマークでいっぱいになった。
     そもそも、マッサージをされるだけなので、怯える要素はないのでは、と言うのが正直な感想であった。
     もしかすると、凄く痛いマッサージなのかも知れないが、高明ならば耐えられるような気がした。
    「……高明、ヒーローたる俺が来たからには、もう大丈夫だ。大船に乗ったつもりで居るが良いさ」
     そんな空気を察したのか、天津・蒼馬(ラプチュラスブルー・d01357)がキリリとした表情を浮かべる。
     正式な依頼は今回が初めてではあるものの、都市伝説が相手ならば、それほど恐れる事もなさそうだ。
    「最近、肩が凝っていたので、こういう都市伝説は助かりますね」
     咲村・菫(ハナの妖精さん・d28400)も、何やら勘違いした様子で答えを返す。
     おそらく、都市伝説の説明が遠回しに書かれていたため、マッサージをするだけという認識なのだろう。
     唯一、その説明を理解する事が出来た高明は、都市伝説に遭遇する前から震えが止まらなくなっていた。
    「最近、デスクワークやりすぎて、首と肩が痛いので、本当に助かりますね」
     深草・水鳥(眠り鳥・d20122)も、すっかり勘違いをした様子で答えを返す。
     その間もピコンピコンと警告音の如くフラグが立っているものの、それに気づいているのは高明だけのようである。
    「「いやー、四季関係なくプールできるって、すごいよなー。しかも、マッサージしてくれるオプション付き! まあ、言葉に(意味深)がつくのは、理解しているけど……。ただ単に危険でも、それはそれで困るかな……」
     井之原・雄一(怪物喰いの怪物・d23659)が苦笑いを浮かべて、室内温水プールに入っていく。
     室内では既に利用者達が襲われており、あられもない姿のまま触手に襲われ、野太い声を響かせていた。
    「……ちょっと、用事を思い出した」
     それを目の当たりにした神代・蓮(神に愛された無頼漢・d36326)が、気まずい様子で踵を返す。
     ある程度、覚悟はしていた事だが、必要な過程をいくつか飛ばしている事は確実だった。
     おそらく、蓮達が立て続けにフラグを立てていったせいで、攻略ルート的なモノが短縮されてしまったのだろう。
     そう言って意味で正解の選択肢を選んでいたのかも知れないが、室内に入っていきなり身悶えしているオッサン達に出くわしたため、本能的にそっとしておいた方がいいと判断したようである。
    「……って、ここで帰ったら、何のために依頼を引き受けたのか、分からなくなりますわよっ! それよりも、ほらっ! あっちでイケメン達が触手に絡まって、大変な事になっていますわよ! 特に、あのイケメンのお尻! キュッと締まっていて、いかにも触手を誘っているように見えますわ!」
     間・臨音(マジ狩るリンネ・d21208)がハイテンションで、都市伝説の触手に襲われたイケメン達をメモ帳に描いていく。
     イケメン達は襲われてから、だいぶ経っているのか、まるで子猫のようだった。

    ●室内の惨劇
    「す、凄いですわっ! まさにパラダイス! 皆様、大変素敵ですわよー! あ、ちょっと視線、こちらに頂けますかしら? その表情! ナイスですわよぅ! こ、これはどこを見ていいのか。ハアハアハア……!」
     臨音が興奮した様子で、メモ帳を埋めていく。
     しかも、イラストつきで、コメントがギッシリ。
     メモ帳を埋め尽くすほどの勢いで、妄想を書き記しているため、幸せ過ぎて悶絶死しそうな勢いであった。
    「……って、難波が恐怖を感じとる!」
     香登が驚いた様子で、霊犬の難波に視線を送る。
     難波は都市伝説に対して、吠えて、吠えて、吠えまくっており、その場から身動きが取れなくなっているようだ。
    「おやおや、まだ『お客さん』がいたのか。たっぷりサービスしますよ。あなた達が嫌だと言ってもね」
     都市伝説が含みのある笑みを浮かべ、身体中から触手を伸ばしてきた。
     触手にはマヒ効果のあるチンアナゴタイプと、催淫効果のある卑猥な触手タイプの2種類があり、真っ白な涎を垂らして、香登達に絡みついてきた。
    「ちょっ……、ま、待て! こっちにも心の準備が……いや、準備が出来たら、OKって意味じゃないぞ。こ、こら! そこは違うっ! いや、何処にも正解はないんだが……と、とにかく、止め……あひゃん!」
     高明が咄嗟に殺界形成を発動させ、間の抜けた声を上げる。
     一体、どこでフラグを立ててしまったのか分からないが、絶体絶命の大ピンチ。
     しかし、都市伝説はまったく気にせず、高明の全身……特に下半身をマッサージ。
     彼女持ちとしての意地で、最初は何とか耐えていたが、執拗に下腹部を攻められ、陥落した。
    「早く一般人達を避難させるんだ! 俺の事は気にせず、早くっ! 大丈夫、必ず耐えて見せるから!」
     雄一が自ら犠牲となって、都市伝説の触手を引きつける。
     その尻には、まるで尻尾の如く極太の触手が突き刺さっていた。
     それでも、雄一は耐え……いや、むしろ悦びすら感じているようだった。
    「な、何だかよく分かりませんが、ごめんなさい! とにかく、謝らせてください!」
     これには、菫も罪悪感を覚え、とにかく雄一に謝った。
     菫もスクール水着を着ているものの、それを目の当たりにしてしまったせいで、嫌な汗が止まらない。
     それでも、雄一の犠牲を無駄にするわけにはいかないため、触手から解放された一般人を連れて、一時的に避難した。
    「でも、雄一さん……凄く楽しそう。……と言うか、自分からおねだりしているようにも……見える、けど……」
     水鳥が不思議そうに首を傾げる。
     おそらく、目の錯覚だと思うが、雄一は悦んでいた。
     すっかり、触手の虜になっていた。
    「まあ、取り敢えず、お手並み拝見や。兄貴と、どっちが上手いか試してやるから、掛かって来いや!」
     香登が含みのある笑みを浮かべ、都市伝説を挑発する。
    「ほお……、いい度胸をしているじゃないか。だったら、望み通りに送ってやる、天国に、な!」
     それに応えるようにして、都市伝説が香登を襲う。
     しかし、香登は不感症。
    「なんや、全然コリ取れへんや無いかい!! 変なとこばっか撫でくさりやがって、このド下手!!」
     都市伝説がどんなに攻めても……、まったく感じない。
    「ば、馬鹿なっ! そんなはずは!」
     都市伝説が信じられない様子で、卑猥な触手で蒼馬を攻めていく。
    「は、初めてなんだ、優しくしてくれ……色々な意味で!」
     蒼馬が身の危険を感じ、都市伝説に対して言い放つ。
    「……断る!」
     だが、都市伝説は容赦なく蒼馬を攻め立て……、子猫に変えた。
    「んぅっ! そ、そんなとこ、触っちゃ……あ……も、もう……駄目……です……」
     菫も穴と言う穴を襲われ、グッタリとした。
    「……くそっ! 何で俺に……俺が……こんな声を……あっ……んんっ!」
     蓮も顔を真っ赤にしながら、ビクンビクンと身体を震わせた。

    ●都市伝説
    「そこまでだ、都市伝説!」
     次の瞬間、蒼馬が高いところに立って、格好良くポーズを決める。
    「い、いつの間に!」
     都市伝説が驚いた様子で、蒼馬をジロリと睨む。
    「俺が気絶したと思って油断していたようだな」
     蒼馬がクールな表情を浮かべ、ライドキャリバーのかなちゃん号に飛び乗った。
    (「クッ……、引き千切っても、まだ動きやがるのか……!」)
     その間も、尻で触手が蠢いているが、それを感じさせないほど、蒼馬はクールに決めていた。
    「ば、馬鹿なっ! あ、あり得ん! 俺のテクニックは神レベル! それを食らって、耐えられるなど……あってはならない事だ!」
     都市伝説が怒りに身を任せて、蒼馬に攻撃を仕掛けていく。
     蒼馬は、かなちゃん号に乗ったまま素早く避けると、都市伝説めがけて体当たりを食らわせた。
    「ま、まだだっ!」
     すぐさま、都市伝説が反撃を試みようとしたものの、既に蒼馬の姿はない。
    「隙だらけだから、攻撃しても……いいよね」
     それと同時に、水鳥が死角に回り込み、影喰らいで都市伝説にトドメをさした。
    「ぐわああああああああああ!」
     都市伝説はその現実を受け入れる事が出来ぬまま、断末魔を響かせて消滅した。
    「今日は良いもの見せて頂きましたわー。コレで今度の新刊の資料には困りませんわね♪」
     臨音が上機嫌な様子で、楽しそうに鼻歌を歌う。
     今年どころか、来年分までのストックが溜まったので、色々な意味で大満足。
    「あぅぅ……。な、なんだか、とっても疲れました……」
     それとは対照的に菫がベタベタになって胸を隠し、その場にぺたんと座り込む。
    「ある意味、強敵だったな、今回の敵は……」
     雄一が立派な尻尾を生やしたまま、何処か遠くを見つめる。
     おそらく、この尻尾……もとい、触手も消滅する事だろう。
     そうすれば、すべては夢。なかった事にしたい気持ちになった。
    「好きなやつの前でなくて良かった……。これで、もう大丈夫……だよな」
     蓮が気まずい様子で汗を流す。
     都市伝説は完全に消滅したものの、色々な意味で嫌な予感しかしなかった。
    「こんなヤツが二体も三体もいてたまるか。こっちからお断りだ」
     高明がライドキャリバーのガゼルにすがりつくようにして、さめざめと泣いた。
    「何や兄さんら、暗うなっとるけど泳いで吹き飛ばそ!」
     そう言って香登が苦笑いを浮かべ、高明達をプールに誘うのだった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年3月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 6
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