貧乳は人に非ず!

    ●都内某所
     冨合・英瑠(天真爛漫応援少女・d26944)は、こんな噂を耳にした。
     『貧乳は人に非ずという教義を掲げる宗教集団が現れた』と……。
     この宗教集団の教祖は都市伝説で、近所の教会に信者達を集めて、貧乳女性をゴミ扱いしているようである。
     そのため、貧乳女性が抗議に来ているものの、あっという間に返り討ち!
     恥ずかしい恰好のまま、外に放り出されて笑いモノにされているようだ。
     また、信者達は貧乳狩りと称して、街をウロついている。
     まずは彼らを撃退し、都市伝説がいる教会に突入する必要があるだろう。
     信者達の出没ポイントや、教会の位置などは現時点で特定しているため、戦う事だけ考えていれば、何の問題もない。
     ただし、信者達は貧乳に対して容赦がなく、有り余る欲望をぶつけてくるので要注意。
     都市伝説自身も不自然な光を放って攻撃を仕掛けてきたり、刃物状の衝撃波を飛ばしてくるため、油断をしないようにしてほしい。
     そういった事も踏まえた上で、都市伝説を灼滅するのが、今回の目的である。


    参加者
    笙野・響(青闇薄刃・d05985)
    成田・樹彦(サウンドソルジャー・d21241)
    冨合・英瑠(天真爛漫応援少女・d26944)
    照崎・瑞葉(死損ないのディベルティメント・d29367)
    深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)
     

    ■リプレイ

    ●住宅街
    「それにしても、傍迷惑な都市伝説がいたものですネ。女の人の魅力は胸の大きさだけじゃないと思うんですヨ☆」
     冨合・英瑠(天真爛漫応援少女・d26944)は無意識の胸を揺らしながら、仲間達と共に巨乳狩りをしている信者達を捜していた。
     信者達は『貧乳は人に非ず!』と断言しており、貧乳女性に対して言葉には出来ないような酷い事をしているようである。
     そのため、貧乳女性達は信者達に襲われる事を恐れ、胸に詰め物をしているようだ。
    「……うふふふふ、うふふふふふふ……。どうやら、都市伝説や信者達よりも先に倒さなきゃいけない相手があるようだね」
     笙野・響(青闇薄刃・d05985)がこめかみを激しくピクつかせ、拳をぶるりと震わせた。
     普段であれば、怖い笑顔を浮かべて、スルーしているところだが、依頼の事で気が立っているため、理性を抑える事が出来ないようである。
    「……えっ? そんな人が何処にいるんですか?」
     しかし、英瑠はまったく気づいておらず、ハテナマークをピコピコさせて、キョロキョロと辺りを見回した。
     おそらく、自分以外の誰かが原因だと思っているのだろう。
     まったく悪意がないため、その元凶が自分であるという自覚がないようだ。
    「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……。そこまで言うんだったら……、教えてあげるわ!」
     次の瞬間、響が大魔王の如きオーラを纏い、英瑠めがけて拳を振り上げた。
    「まあまあ、落ち着いて。ここで仲間割れをしても、何も得をしないから」
     それに気づいた成田・樹彦(サウンドソルジャー・d21241)が、響の腕をガシィッと掴む。
    「その怒りは仲間にではなく、信者達にぶつけないと……」
     そう言って樹彦が、苦笑いを浮かべる。
    「そ、そうね。うっかり殺しちゃうかもしれないけど、それだけの事をしたんだからいいわよね。むしろ、死ぬべきだわ」
     響が壊れ気味に答えを返す。
     貧乳を否定した時点で、デストロイ。
     例え、そこに正当な理由があったとしても、知った事じゃないと言わんばかりに殺気立っていた。
    「今回の戦いは灼滅者と、都市伝説の戦いじゃない。これは……聖戦よ!」
     そんな中、照崎・瑞葉(死損ないのディベルティメント・d29367)が、キリリッとした表情を浮かべる。
    「お胸がちっちゃいことをけなす人達は、なんとしても懲らしめないといけませんっ!」
     深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)も真剣な表情を浮かべ、自分自身に気合を入れる。
    「ヒャッハー! 貧乳狩りだあああああああああああ!」
     次の瞬間、世紀末スタイルの信者達が現れ、樹達のまわりを囲むのだった。

    ●貧乳狩り
    「小さい事は罪っ! ぺったんこは罪! まな板は、つ……ぐほはっ!」
     リーダーと思しきモヒカン頭の信者が叫んだ途端、瑞葉の必殺パンチを食らい、鼻血の海に沈んでいく。
    「お、御頭ァ!」
     これには信者達も腰を抜かすほど驚き、モヒカン頭の信者に駆け寄った。
     だが、モヒカン頭の信者は、たったの一撃で、ばたんきゅー。
     うわ言のように何やら呟いているが、意識を取り戻す事はなさそうだ。
    「お、おいこらっ! せめて、最後まで台詞を言わせてやれよっ! 御頭がどんだけ必死になって台詞を覚えていたのか分かっているのか!? ここが一番の見せ場だったんだぞ! 一体、どうしてくれるんだよっ! これじゃ、襲撃の指示も出せねーじゃねーか!」
     全身タトゥーの信者が、涙目になって瑞葉を叱る。
     しかし、瑞葉は問答無用で、爆裂アッパー!
     あっという間に、全身タトゥーの信者が宙を舞い、キラリと輝く星になった。
    「だから、何っ!? 例え、この教団が恵まれない子供達が住む孤児院に毎日のように寄付していたとしても、外国の戦災孤児や病気の子供達を救うための活動をしていたとしても、お腹を空かせたホームレスの人たちのために、炊き出しを定期的に行っていたとしても、必ず殺す。ただ、それだけ! 貴様らは狩られる側! そして、私は魔王だ! 括目し、絶望せよ! この世界の全ての貧乳女子の嘆きを背負って……私が来た……っ!!!」
     それでも、瑞葉は躊躇う事なく、信者達に対して言い放つ。
    「せ、正義の味方気取りかっ! そ、そんな事で、お、俺達がビビるとでも思っているのか」
     信者達があからさまに動揺しながら、警戒した様子で後ろに下がっていく。
     本音を言えば、このまま逃げ出したいところだが、リーダー格の信者が倒されてしまったため、引くに引けない状況のようだ。
    「まあ、僕は別にどっちでもいいけどね。逃げても、このまま戦っても……」
     樹彦が苦笑いを浮かべて、信者達に視線を送る。
    「そ、それはマジか、本当か! い、いや、ダメだっ! こっちだって、プライドがあるんだ! 御頭がやられて黙ってられるかっ! そ、それに……ここで帰ったら、教祖様に叱られる」
     信者達が身体をガタガタと震わせ、釘バットを握り締めた。
    「……誰だ! 私を貧乳じゃなくて、無乳とか言った奴は!! 貴様か! それとも、貴様か!! ええい、面倒だ! 全員歯ぁ食いしばれや!!!」
     それと同時に瑞葉が信者達に鉄拳制裁。
     ただでさえ、折れかけて信者達の心が、音を立ててポキポキと折れていく。
    「貴方達の考えは間違っています。……今、目を覚まさせてあげますからね……」
     樹が黒い笑みを浮かべて、信者達をジロリと睨む。
    「こ、こうなったら、ヤケだ! お前ら、やっちまえええええええええええ!」
     仮面を被った信者が逆切れした様子で、樹に飛びかかっていく。
     それは捨て身の攻撃、火の玉アタック!
    「……って、ちょっ! やめてくださいっ! そんな所、さわらないで、ひゃうっ!?」
     その途端、樹が恥ずかしそうに頬を染め、その場にペタンと尻餅をつく。
     しかし、信者達は興奮しており、ケダモノの如く勢いで、樹の小さな胸を触って、触って、触りまくった!
    「貧乳を否定しておきながら、有り余る欲望をぶつけるとか、ほんとは好きなんじゃない……?」
     響が皮肉混じりに呟きながら、信者達に当て身を放っていく。
     そのたび、信者達が『ぐはっ!』と声を上げ、重なり合うようにして、パタパタと倒れていった。
    「そ、そんなわけないだろ! 俺が……俺達が大好きなのは、この娘のような……おっぱいだ!」
     仮面を被った信者が、英瑠の胸を指差した。
    「それなら、好きなだけ見ていいですよ♪」
     英瑠がニコッと笑って、思わせぶりに胸を揺らす。
    「お、おおおっ!」
     仮面を被った信者は大喜びで顔を上下させていたが、響達に背後からドツかれて夢の世界にダイブした。
     そして、響は完全に戦意を喪失させた信者の胸倉を掴み、都市伝説が拠点にしている教会の場所を聞き出すのであった。

    ●教会内
    「な、何故、お前達が、この場所に! 信者達は何を……んぐっ!」
     都市伝説が驚いた様子で声を上げる。
     それは都市伝説にとって、信じられない事だった。
     この場所を知っていのは、信者のみ。
     その場所を知っていると言う事は……。
    「信者達って……、この人達?」
     樹彦が都市伝説の前に、リーダー格の信者を放り投げる。
     その中には、モヒカン頭の信者もおり、だらしない恰好でグルグルと目を回していた。
    「ま、まさか、静かなる暴風のモヒ男を倒すとは……!」
     都市伝説が信じられない様子で目を丸くする。
     ただでさえ信じられない事が起こっている上で、信者最強だったモヒカン頭が倒され、その片腕である変態マスクまで倒されたため、嫌な汗が止まらなくなっていた。
    「貧乳を認めて泣いて謝るなら、許してあげなくもない、かもしれないかな」
     響が含みのある笑みを浮かべて、都市伝説の前に陣取った。
    「泣いて謝るだと!? ふざけるなっ! 謝るのは、そっちの方だ! ヒィヒィ泣きながら、土下座をして謝ったら許してやろう!」
     都市伝説が上から目線で、キッパリと言い放つ。
     どんな状況であっても、相手が貧乳であれば、迷う事無く強気で挑む。
     それが都市伝説にとって、最後の支え。
     例え、どんな事があろうとも、譲れない事だった。
    「……響さん! こんなヤツに話をしても、時間の無駄ですっ! 一緒にぎゃふんと言わせてやりましょう!」
     樹が響と連携を取りながら、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
    「ならば、返り討ちにしてやる!」
     都市伝説が叫び声を響かせ、刃物状の衝撃波を飛ばしてきた。
    「きゃっ☆」
     その一撃を食らって、英瑠の巨乳がポロリッ!
    「ハッハッハッ! いいぞ、いいぞ! いいぞォ! もっと、だ! もっと見せろおおおおおおおおおお!」
     都市伝説が不自然な光を放ちながら、高笑いを響かせる。
     ようやく、訪れた好機。
     しかも、ベストアングルで拝む事が出来たのだから、神的なモノに感謝をしても、バチは当たらない。
     そのまま、ビックウェーブに乗る勢いで、逆転のチャンスを狙うべきである。
    「刃物で服を刻んでから謎の光とか……最低ね」
     響が嫌悪感をあらわにしながら、都市伝説にフォースブレイクを仕掛けていく。
    「黙れ、貧乳! 黙れっ! 黙れ! 黙れィ!」
     都市伝説がイラついた様子で、再び刃物状の衝撃波を放つ。
    「目には目を! 恥ずかしい格好には、恥ずかしい格好です!」
     それと同時に、樹がズダズダスラッシュを放ち、都市伝説の服をビリビリに切り裂いた。
    「み、見るなあああああああああああああ!」
     その途端、都市伝説が恥ずかしそうに身体を隠す。
     それは都市伝説にとって、この上なく屈辱的な行為。
     あまりの恥ずかしさに立つ事さえ出来ず、その場に蹲ったまま動けなくなった。
    「……うるさい」
     瑞葉が都市伝説の胸倉を掴み、その顔面をボコってボコってボコりまくった。
     その間も都市伝説が何やら叫んでいたが、能面のような表情を浮かべたまま、跡形もなく消滅するまで殴り続けた。
    「何というか……、お疲れさま。さて……、帰ろうか」
     そして、樹彦は女の子にあるまじき凶悪な表情を浮かべる瑞葉を連れ、その場を後にするのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年4月5日
    難度:普通
    参加:5人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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