ネズミの王国

    ●千葉県某所
     下水道にネズミ達が作った王国があると噂された事があった。
     この王国にはネズミの王様がおり、その命令に従って手下のネズミ達が悪さをしていたらしい。
     そのため、この辺りの地域ではネズミによる被害が多く、色々と問題になっていたようである。
     それがキッカケとなって、生まれたのが今回の都市伝説。
     すなわち、ネズミの王様である。

    「ネズミの王様って、やっぱり猫に弱いのか?」
     そんな疑問が浮かびつつ、神埼・ヤマトが今回の依頼を説明した。

     今回倒すべき相手は、ネズミの姿をした都市伝説。
     コイツは魔法のステッキを使って、自由自在にネズミの群れを操る事が出来る。
     おそらく、お前達が行く頃には、下水道の点検に来た業者が襲われている頃だろう。
     そのまま、放っておけば骨と皮。
     だからと言って、助けるためにはネズミの群れを相手にしなければならない。
     まあ、都市伝説を倒しちまえばいいんだが、大量のネズミを盾代わりにして身を守るから、倒すのは困難。しかも、かなり不衛生。
     その上、都市伝説は例え魔法のステッキがなくとも、鋭い牙で噛み付き相手をマヒさせる事が出来るから、くれぐれも気をつけてくれ。


    参加者
    国崎・るか(アンジュノワール・d00085)
    壱乃森・ニタカ(妹は魔法使い・d02842)
    スィン・オルタンシア(ピュアハートブレイク・d03290)
    赤威・緋世子(赤の拳・d03316)
    楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)
    木乃花・春香(小学生魔法使い・d08901)
    天城・兎(公道の白兎・d09120)
    上倉・隼人(伝説のパティシエ・d09281)

    ■リプレイ

    ●ネズミの王国
    「ハハッ! 下水のネズミ退治とか、もうフツーに普通のお仕事じゃね? イヤま、普通のネズミは王国とか作らンけど……」
     妙に甲高い声で笑い飛ばした後、楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)が都市伝説の確認された下水道にむかう。
     都市伝説は下水道の内部にネズミの王国を作っており、苛税する事で悪事を働かねば、生きていく事さえ難しい状況にしていたようである。
    「業者さんを助けてあげないと……! 沢山のネズミさんに食べられちゃうなんて嫌だよ~」
     思わず想像してしまい、壱乃森・ニタカ(妹は魔法使い・d02842)が青ざめた表情を浮かべた。
     その上、下水道の中はやけにジメジメしており……、とてもクサイ。
    「……ネズミかぁ。ハムスターとかは可愛いんだけど、こういうところのネズミは不気味だぜ。ま、早いところ駆除して業者を助けてやらねぇとな!」
     自分自身に言い聞かせながら、赤威・緋世子(赤の拳・d03316)が通路を進んでいく。
     通路を進んでいくたび、生臭さが増していき、足元が妙にヌメヌメしており、滑りやすくなっていた。
    「ネズミさんを見てるだけなら、可愛いと思うんですけど……束になって掛かってこられると、ちょっと怖いですよねぇ……。このままだと業者さんも大惨事ですし、頑張らないと、ですねぇ」
     警戒した様子で辺りを見回しながら、国崎・るか(アンジュノワール・d00085)がゴクリと唾を飲み込んだ。
     そうは言っても、正直怖い。
     下水道に入った時から、妙な視線は感じていた。
     しかも、複数!
     間違いなく、これは危険な状態。
     うかつな発言をすれば、死亡フラグがドミノの如く立ち並び、連鎖的に倒れていくような状況。
    「ネズミもネズミなりの苦労があって必死に生きてるんだろう。だがしかし、野放しにしてはおけない。何故なら奴らは……厨房の敵だからだ!」
     そんな事とは露知らず、上倉・隼人(伝説のパティシエ・d09281)が叫ぶ。
     パティシエ見習いとして、ネズミとはお友達になれない。
     その気持ちを言葉に込めて!
     それと同時に隼人に向けられたのは、凄まじい殺気。
     おそらく、ネズミ達もパティシエ達と死闘を繰り広げ、多くの仲間がネズミ取りの犠牲になったのだろう。
     暗闇の中で光る無数の目に気付いたるかが、涙目になりつつそちらを指差した。
    「……えっ? 何もいないけど……?」
     るかが指差した方を確認した後、木乃花・春香(小学生魔法使い・d08901)が不思議そうに首を傾げる。
     この手のお約束。後ろを見たら、誰もいない。
     だが、前を見た途端に後ろには……。
     そんな状況を目の当たりにして、るかが必死に後ろを指差すが、春香が振り向く頃には……いない。その繰り返し。
    「一体、どうしちゃったんですか? 何もいませんよ、何も……!!!!」
     歩いている途中で立ち止まり、スィン・オルタンシア(ピュアハートブレイク・d03290)が唖然とした表情を浮かべた。
     暗闇の中でいくつもの目が怪しげな光を放っている。
     その下には、あられもない姿で倒れる業者のおっさん。
     生きながら辱めを受けたのか、モザイクなしには見られない状態になっていた。
    「ニタカ、チーズもってきたよ。これをこうして……はい、出来た」
     視線のやり場に困りながら、ニタカがウサギ型ポーチからチーズの包みを出して優しく叩く。
     その途端、チーズが増えた。
     るかも同じようにして、チーズを増やす。
     続いて春香もチーズを増やし、あっという間に山が出来た。
     それはネズミ達にとって、金塊の山。
     そのため、我先にとばかりに走りだし、まるで川のような大移動。
    「うっ……、吐きそう」
     胃袋の中から何かが大移動してきたような感覚に襲われ、天城・兎(公道の白兎・d09120)が口元を押さえる。
     だが、これで業者のオッサンは解放された。
     ……後は助けるのみ!

    ●ネズミの群れ
    「や、やるしかないですよねぇ」
     覚悟を決めた様子でスレイヤーカードを解除し、るかがバトンのようにクルクル回って落ちてきた日本刀をキャッチする。
     その間にネズミ達がチーズを奪い、他のネズミに奪われる前に、猛ダッシュで都市伝説のところに持っていく。
    「うー……、やっぱり臭い、臭い、臭い!」
     イライラした様子で、兎がネズミに攻撃を仕掛けていく。
     しかし、ネズミ達もそう簡単に倒されるつもりがないらしく、チーズを口に咥えたまま素早い身のこなしで攻撃を避ける。
     そのたび、ネズミの体についたヘドロが飛び、兎のイライラが積立式に募っていった。
    「ううん、清潔感は到底ありませんね……。速攻で倒してお風呂ですっ! 臭いが完全に取れるまでー!」
     今にも泣きそうな表情を浮かべ、スィンが夜霧隠れを発動させる。
     この時点で自分の体が程よく……いや、むっちゃ臭い。
     その事実を認めたくないほど臭い。ある意味、ヘドロの化身。臭いのモト。
     考えるだけでも、憂鬱になる。
    「うりゃー! まずは道を物理的に切り開くぜー!」
     目の前にいたネズミに戦艦斬りを叩き込み、緋世子が先陣を切って突き進む。
     その途端、ネズミの群れが次々と飛び掛かってきたが、気にせず突っ込んでいく……のは無理だった。
     痛い……、地味に痛い。タンスの角に小指をぶつけたような感覚。
     ネズミなりに必死。ここで失敗すれば、お仕置き、丸焼き、丸かじり。
     そんな未来を回避すべく、全力で特攻。そして、玉砕。
    「かかってこい! まとめて大掃除だ!」
     ネズミの群れを迎え撃ち、隼人が次々と攻撃を仕掛けていく。
     それと同時に生ゴミにも似た臭いが辺りに充満し、思わず吐き気を催した。
    「小さな動物さんに酷いことしたくないけどごめんね!」
     申し訳なさそうにしながら、ニタカがセイクリッドクロスを発動させる。
     色々と思うところはあるのだが、ここで躊躇えばその分、仲間達が犠牲になってしまう。
    「業者のオッサンを安全な場所まで運んでおいたぜ。……たくっ! 手間が掛かりやがる」
     ブツブツと愚痴をこぼしながら、盾衛がネズミを倒していく。
     それでも、ネズミは怯まない。
     おそらく、例えここで逃げたとしても、待っているのは死だと言う事を自覚しているためだろう。
    「あ、あれは……都市伝説!?」
     ハッとした表情を浮かべ、春香が都市伝説に視線を送る。
     都市伝説はネズミ達の死骸が山のように積まれた上に立っていた。
     血のように赤い瞳をギラギラさせて……。

    ●都市伝説
    「それじゃ、行かせていただきますよぉ」
     迷う事なく都市伝説に狙いを定め、るかがレーヴァテインを放つ。
     それと同時に、都市伝説が高々と魔法のステッキを掲げ、盾代わりにしてダメージを防ぐ。
     しかも、魔法のステッキを使って、周りにいたネズミ達まで嗾けてきた!
    「……本当にしつこいなぁ」
     ネズミの群れを眺めて、げんなりとした表情を浮かべ、春香がマジックミサイルを撃ち込んだ。
     それでも、ネズミの群れは怯まない。
     まるでレミングスの大行進。
     本当は怖くて、怖くて仕方がないのだろう。
     ネズミ達の瞳を通じて、その恐怖が伝わってくる。
    「ファンシーなステッキを持ってるようだが、こっちの炎を防いでみな!!」
     都市伝説を挑発しながら、緋世子がレーヴァテインを使う。
     再び、都市伝説が魔法のステッキを使い、ネズミ達を盾代わりにした。
     だが、次はない。ネズミ達の数が足りず、盾にもならない。
    「本日出弾大解放、ジャンジャンバリバリ玉屋で鍵屋だ、ハッハァ!!」
     それに気づいた、盾衛が高笑いを響かせて、バレットストームを発動させた。
     次の瞬間、ネズミ達が悲鳴をあげて、パタパタと足元に落ちていく。
     そして、もう都市伝説を守るものは存在しない。
    「一気に畳み掛けちゃいますよっ♪」
     そのまま都市伝説に突っ込んでいき、スィンがジグザグラッシュを叩き込む。
     それに合わせて、都市伝説が魔法のステッキでガードしたが、完全に攻撃を防ぐ事が出来ずにポッキリと折れた。
    「俺流奥義……喰らいやがれ!」
     その隙を逃す事無く間合いを詰め、隼人がデスサイズを放つ。
     都市伝説は捨て身の覚悟で隼人に襲いかかってきたが、体に触れる事さえ出来ずに真っ二つ。
     自らの最後を悔いつつ、跡形もなく消滅した。
    「このネズミさん達は操られてただけなのに……、可哀想な事しちゃったなぁ」
     都市伝説が消滅した事を確認し、ニタカが山のように積まれたネズミ達の死骸に視線を送る。
     だが、この辺りに住む者達にとって、ネズミは単なる害獣。
     生活に影響が出るほどの被害を出していたのだから、遅かれ早かれ駆除される運命にあった。
    「とにかく、風呂だ。風呂、風呂」
     だんだん気持ちが沈んできたため、兎がパッと気持ちを切り替える。
     冷静になってみると、とにかく臭い。
     生ゴミを身に纏ったような嫌悪感。
     このままだと、しばらく臭いが取れないかも知れない。
     そんな想像をしてしまうほど、臭くて臭くて仕方がなかった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年10月2日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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