●略して『とり☆ゾン』
ここはHAKABA!
そう、JINSEYの終わりを過ごすHOME!
いきとしいけるものみなひとつENDINGがある!
だがみないつかは同じHAKAにGOAL!
「あの、その外れ切ったラップ調やめてもらってもいいですか」
すみませんでした。
撮りなおします。
ここは焼け残った堕天使たちの眠る偽りの楽園。
そう、永遠の螺旋階段が尽きたとき誰もが訪れる新世界。
迷える子羊たちはみな終末の声を聴くことだろう。
だがその時は堕天使と天使は同じゆりかごの中で揺れる。
「その嘘メタル調もやめてもらえませんか」
すみません調子乗ってました。
普通に行きます。
ここは はかば だよ。
じんせいの おわりに くるところさ。
わかりやすくいえば しんだらはいるばしょ かな。
いきていれば いつかはしぬ。
どんなひとも おわるときはいっしょさ。
「あなたの普通ってファミ的なアレなんですか? ぶっ殺しますよ?」
ごめんなさいもうしません。
暫く黙ってますんで。
「そんなわけで私は墓場へやって来た。もう分かっていると思うが、死んだ人たちの骨が眠っている場所だ。私がここで何をしているかと言うと……そう、フフ、何をしてると思います?」
そのムカつく論調やめてもらえませんか。
「すみませんでした。墓場で虚空に向かって話しかけるのが趣味なんです」
変わったご趣味で……。
アッ、てことはこれ地の文と台詞による会話じゃないんですね!? お互いの独り言なんですね!? よかったあ! メタネタが賛否両論別れる昨今――。
「あれ、あそこにいる人は誰だろう。知り合い?」
え、誰ですか?
「ほらあの、そこらじゅうの墓石の後ろから一斉に飛び出してきて一列に並んだかと思うと中腰のままタイミングをずらしながら腰を縦方向に回転させてるチューチューゾンビの皆さんが」
それゾンビって分かってるじゃないですか!
「アッ、本当だゾンビだ! 見るからにZONBI!」
逃げてー! 良く分からない一般人の人逃げてー!
あっ……。
――かくして、一般人の人は何処からともなく現れたゾンビにぶっコロガされてしまったのでした。
●日常系死後アニメ『とり☆ゾン』
……以上、エクスブレインこと須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)による一人二役の現場再現コント……じゃなかった説明でした。
「まあこういう感じで、眷属のゾンビがうじゃーって出てうヴぁーって暴れてるの。それをね、どぎゃーんって殴ってぐわしゃーってやっつけるのが皆の役目、オーライ?」
説明し過ぎて脳が疲れたのか『これはペンですか?』のポーズでやけに大雑把な説明をし始めた。
「要するに……沢山いるゾンビ倒せばいいの!」
眷属。
まあいわゆるダークネスが生み出すモンスター的存在である。
その中でも今回はなんやかんやあって眷属だけが残ってしまったはぐれ眷属。
それが今回の相手である。
「数はちょっと分からないかな。沢山いるってことだけは分かってるから。お墓の中を凄いどわーって暴れまくる必要が出てくると思うの。持久力も使うから、その辺色々考えないとね!」
須藤ノ海関ことまりんちゃんは現地までの地図やなんかを束にして手渡しつつ、いつものポーズで締めくくった。
「あとはよろしくね。がんばって、みんな!」
参加者 | |
---|---|
陰条路・朔之助(雲海・d00390) |
西条院・水菜(退魔の姫巫女・d01189) |
白・朔夜(迷い込んだ黒兎・d01348) |
字宮・望(穿つ黒の血潮・d02787) |
ベルトラン・モンストルレ(カレドニアの聖域守護者・d03312) |
鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365) |
武月・叶流(藍夜の花びら・d04454) |
木島・京(高校生シャドウハンター・d05919) |
●大群襲来
夜。
墓場でのことである。
長く深色髪の女、武月・叶流(藍夜の花びら・d04454)は刀の鍔を親指で押した。
鞘の内側を擦る音を聞きながら目を閉じる。
金擦音に混じり土を割る音がした。
低いうなり声と砂の落ちる音。
小指から順に柄を握り込み、叶流は一気に刀を抜いた。
開眼。
刀身の軌跡が弧月を描き地中より湧き出たゾンビの群を薙ぎ払った。
それを切欠にしてか、周囲から大量のゾンビが沸き出してくる。
叶流と背を向け合い、陰条路・朔之助(雲海・d00390)はにやりと笑い、己の掌を殴った。
「よっしゃ、行くぜ相棒!」
空気の爆ぜる音と共に、彼の頭上に剣の柄が現れる。
同じく背中を向け合っていたベルトラン・モンストルレ(カレドニアの聖域守護者・d03312)がカードを頭上へ放った。
「En Avant!」
額の前で輝きと共に現れる剣の柄。
二人は同時に剣を抜くと、二人同時に眼前の敵を切り捨てた。
「我が名はベルトラン。聖域の守護者にして不浄の屠殺者! 我が一撃を見よ、そして――」
二体目が正面から飛び掛ってくる。
ベルトランは横一文字に閃かせ相手を上下に分割する。
「絶望せよ」
「キメキメだなベルトラン。こっちも負けてられねえな、っと!」
横合いから襲い掛かろうとしたゾンビの腹を蹴飛ばし、豪快に斜め切りする朔之助。
低いうなり声と共にゾンビの門松割りが出来上がった。
その、一方。
「ひっ! こ、来ないでー!」
白・朔夜(迷い込んだ黒兎・d01348)はフードの耳をぱたぱたさせながらゾンビの手から逃げていた。
滑り込むように味方の間に入って身を丸くする。
間に割り込んだナノナノがシャボン玉を飛ばしてゾンビを跳ね除ける。
「あ、ありがとうナノナノ……」
「このっ!」
シャボン玉で仰け反ったゾンビを鬼神変で殴る木島・京(高校生シャドウハンター・d05919)。
ゾンビが墓石を薙ぎ倒しながら吹き飛ぶが、構っている余裕は無かった。なぜならすぐ後ろから別のゾンビが組み付いてきたからだ。
歯を食いしばって振り払い、裏拳で弾き飛ばす。
だがそうしている間にも横から別のゾンビが飛び掛って来た。
「ど、どれだけいるんだこいつ!」
まるで煙や灰を払うように鬼神変の腕を振り回す京。
そんな時、後ろからぬっとバスターライフルの銃口が突き出てきた。
ゾンビの顔面に当たり、即座に発砲。
上半身だけが吹き飛んだゾンビが膝から崩れ落ちていく。
リロードしつつ首を鳴らす字宮・望(穿つ黒の血潮・d02787)。
「とにかく一掃すればいいわけか。折角だから、派手にやるとしようかな」
京の脇を抜けて走り出し、バスターライフルを水平に構えてビームを流し打ちした。
ゲームの的のように次々と倒れていくゾンビ。
帽子の下で目が動く。背後で足音。数三つ。
望は両足でブレーキをかけつつライフルを振り上げ、身体を捻りつつ前後反転。背後から襲い掛かるゾンビにビームを連続で叩き込んでやった。
短く息を吐く望。その肩が誰かにぽすんと当たった。
「夜の墓場って……」
鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)だった。
なんだかぼうっとした目をしている。恰好はと言うと、黄色いローブのようなものに身体を包む妙に地味な様相である。
「なんだか興奮しますわね」
「はっ?」
「というわけで」
幽魅は自らの襟首に手をかけると、見事な早脱ぎでローブを脱いだ。天に舞うローブ。
下から現れたのは、なんと半裸の……いや九割裸の読魅である。目を瞑って微笑む読魅。
「どうみても、変態ですわね」
「分かってるなら何故……」
丸くなって屈みつつ顔を上げてくる朔夜。
「そして墓場にちなんでパッションネイト盆踊りですわ! 御存知? 墓場でゾンビが盆踊りし続けるだけという映画が昔……」
「もう、真面目にやってください!」
自分にヒーリングライトをかけつつ、西条院・水菜(退魔の姫巫女・d01189)は口をとがらせた。こほんと咳払い。
「どうか、刹那の衝動に流されないで下さいませ」
「一夜の情動……?」
「刹那の衝動です!」
序盤のうちは幽魅に若干引きずられ気味の水菜であった。
というわけで。
若干ばたばたしつつも。
ゾンビラッシュ、スタートである。
●灼滅者はひとりじゃない
「ま……けるかぁ!」
京は叫びと共にゾンビの足首を掴み取り、異形巨大化した腕でぶん投げた。
墓石を五つ飛び越え、後続のゾンビが巻き込まれて転倒する。
とにかく大量に湧いてくるゾンビだが、個体ごとでみれば雑魚だ。京なら片手でも相手できるだろう。
だがいつまでもと言うわけではない。身体中に歪な裂傷や泥の混じった血がついている。殺傷ダメージが徐々に累積しているのだ。
灼滅者が持久戦を張る時に最も気を付けるべき要素。それが殺傷ダメージだと言っても過言ではない。
京は肩で荒い息をしながら、ぎらぎらと周囲を見渡す。
やみくもに敵を潰し続けた結果。仲間と離れてしまったらしい。三百六十度敵に囲まれている。
「こう、なったら……刺し違えてでも!」
「ちょーっと待ったァー!」
頭上より声がした。
三百六十度敵に囲まれているとは言ったが、頭上はその内ではない。
そんな、ある意味僅かな隙間を縫って、朔之助が天より飛来した。
「森羅、万象斬ッ!」
着地ど当時に大きく剣で薙ぐ。
ただそれだけで、周囲のゾンビたちが一斉に千切れ飛んでいくではないか。
それだけの気合。それだけのパワーがあったに違いない。
「待たせたな京、たまには仲間を頼れよ?」
「さ、朔之助……」
「そう、人は独りでは英雄になれないのだ。神ですら……フッ」
朔之助とは反対側にいつの間にやら現れたベルトランが、輝きと共に前髪を払った、
「憂の墓は人の跡。命の焔は神の業。長く寝りしこの闇に……」
じりじりと囲み込もうとするゾンビたち。
そんな光景を前に、ベルトランは静かに剣を掲げて見せた。
「聖なる光、導かん!」
瞬間、発光。
ベルトランの剣が巨大な光の爆発となり、周囲のゾンビたちを一斉に焼き払う。
「不死者滅ぼすべし……因果応報!」
煌めきの中で、ベルトランは豪華絢爛に笑った。
ヒロイックでヒューマニズム溢れる展開の途中で申し訳ないのだが。
「ふふふ、腐った死体の百や二百。わたくしに比べれば大したことはありませんわっ」
半裸もとい九割裸の幽魅が謎の盆踊りでゾンビの群を蹴散らしていく。
その光景たるや、ワイヤーアクションで無理矢理つくった自主制作ゾンビ映画の如く。
なんだか知らないが盆踊りながら進んで行くと接触したゾンビが『ギゲー』とか言いながら吹っ飛んでいくのだ。何この無双状態。
「わたくし、よく妹から『根性腐ってる』『妄想が糸を引いてる』『どう考えても闇堕ちから戻ってない』と言われますが……フフ、はたして腐っているのは根性だけでしょうか?」
「そ、そんな『どや?』みたいな顔でこっちを見られても……」
無双状態といえどもダメージは詰み上がってゆくもの。全身に刻まれた傷をなんとか癒すべく、朔夜がおどおどしながら後ろにくっついてはジャッジメントレイで回復を図っていた。
ちなみにその後ろからはナノナノがくっついてきていて、たつまきやらしゃぼんだまやらで朔夜を守ってくれている。
だが……朔夜がゾンビにびくつきながら左右にぱたぱたしていたり、ナノナノがくるくるしていたりで、はた目から見ると大中小の順番で並んだ謎の踊り行列にしか見えない。
哀れ朔夜。本人は真面目なのに。
と言うわけで、真面目な展開に一旦戻ってみたい。
「そこだ……ッ!」
望は墓石を駆け上がると、頂上を踏んでムーンサルトジャンプ。後ろから追ってきたゾンビの頭上をとると上下反転したままガンナイフを連射。
着地と同時に低く屈み、ゾンビの顎に銃を突きつけて引金を引いた。
天に舞い散る何かの欠片。
その瞬間、左右から同時にゾンビが飛び掛ってくる。望は当て間で右のゾンビに対応。銃を突きつける。反対側のゾンビがこれ幸いと限界まで開いた顎から……日本刀の切っ先が突き出てきた。
上方向に斬り進む刀。頭部を真っ二つにされたゾンビが崩れ落ち、後ろからは叶流が姿を見せた。胸にはHEARTのマーク。全身には大量の帰り血。
藍色の軌跡を描いて振り向くと、背後のゾンビへ大回転切りを叩き込んだ。
上下に分割されたゾンビが崩壊していく。
そんな叶流と望を外周からじりじりと囲まんとするゾンビたち。
流石に対応しきれぬかと思いきや……。
「現世を迷う亡者たちよ。黄泉の国へと、お戻り下さい!」
詠唱の如き声と共に、天に一縷の光が灯った。
かと思えば、一本の矢がゾンビの肩に突き刺さる。
何があったのかと頭上を見上げるゾンビ。
そして、事の大きさに目を見開いた。
そう、矢である。
二本の、三本の、いや十本、二十本、いやいや五十六十……それ以上の矢が次々と降り注ぐではないか。
ゾンビたちは降り注ぐ矢に圧倒され、まるで雨に崩れる雪細工の如くばたばたと倒れて行ったのだった。
●灼滅エンドロール
「くらえっ!」
京の異形パンチでゾンビが吹き飛んで行く。
石段を壊してきりもみ回転するゾンビを、朔之助が真っ二つにぶった切った。
彼を中心に左右へ分断され、ごろごろ転がって行くゾンビ。
振りおろし体勢の朔之助を狙って後方からもう一体のゾンビが跳躍してくる。
が、彼の振り下ろした腕はいつの間にか肩から外れ、宙で虚しく回転していた。
きらりと光る斬弦糸。
「朔之助、うしろ!」
「ナーイス、京!」
ワンテンポ稼げた朔之助は、しっかりと力を籠め、後方からのゾンビをぶった切った。
「いいタイミングだ。後でジュース奢ってやる! 120円のやつな!」
「あ、100円自販機みつけてあるよ!」
「ナイス!」
ビッと親指をたてる朔之助。
ちなみに彼(彼女)のことをこれまであえて男性的に書いてきたが、それは朔之助が男前すぎるからという認識で取って貰いたい。
「正直、僕とキャラ被ってるんだよな……朔之助」
野球型の帽子を親指で押し上げると、望はバスターライフルを朔之助のほうへと向けた。
「ちょっと伏せてろ!」
「うおっ!」
リップルバスター乱射。
朔之助と京。そしてその周りに群がっていたゾンビたちを片っ端からどかどかと薙ぎ払って行く。
ちなみに、不謹慎だと言われないために述べておくが、この墓地はダークネスがゾンビトラップのために造った偽装墓地だと思われる。逆に、こんだけゾンビ湧いておいて普通の墓地だったら大変なことだ。
こきりと首を鳴らす望。すると正面から刀を振りかざした叶流がダッシュしてきた。目を見開く。
「伏せて!」
「僕もか!?」
咄嗟に身を屈める望。その上を派手に飛び越えて行った叶流が、ゾンビの群を月光衝で薙ぎ払った。
そう、今まさに望へ一斉に組み付こうとしていたゾンビたちをだ。
「危なかった……」
「でも、あと一息って所ね」
「回復はお任せあれ。なんとしても撃退しましょう!」
水菜が手を両手を合わせると、どこからともなく矢が現れた。
それを幽魅に向かって発射。
「ひゃぅ!? こういうプレイはちょっと……ハードすぎますわ」
「回復ですっ!」
お尻を抑えて親指を噛む(ついでに振り返る)幽魅に、水菜は肩をいからせた。
今更いうのもなんだが、癒しの矢ほど癒されている気のしない技はない。
だがこれに刺されることによって超感覚が目覚めるともされている。つまり……。
「ハッ……!」
幽魅は額をキュピーンと光らせて振り向く。同時に手を翳し、影縛りを発動させた。
「可愛い女の子を、見つけましたわ!」
「え、超感覚ってそういう意味じゃ」
「レッツ、触手プレイ!」
「やめてください!」
幽魅にビシビシと癒しの矢を連射する水菜。
やっぱり回復している気がしない。
さて、その一方。
「う、うわっ、やっぱりこないでぇー!」
朔夜が墓石の周りをぐるぐる走り回っていた。
バターになりたがっているわけじゃなく。
その後ろをゾンビの集団がぐるぐる回りながら追いかけているのだ。
逆回転して挟み撃ちしようという発想はどうやらないようである。
「な、ナノナノ助けて!」
「ナノォ!」
墓石の上にちょこんと立って(?)たつまきをおこすナノナノ。
一斉に薙ぎ払われるゾンビ。
しかし全てというわけにはいかない。
残ったゾンビは根気強く朔夜を追いかけ回し、やがて朔夜は小石に躓いてころりんと転倒した。
「わぁっ!」
お約束のようにゆっくり追いついてくるゾンビ。
と、そこへ。
「世にある日には常に憂患あり。その苦労は苦し……」
襲い掛かるゾンビを引き受け、ベルトランは不敵に笑った。
「フッ」
煌めく笑顔と共に、ゾンビは真っ二つに断絶されたのだった。
やがて、墓地に巣食っていたゾンビの群は全滅した。
これでもうこの地に訪れた誰かが襲われる心配もないだろう。
だが彼らは知らない。
勇敢に戦った、八人の灼滅者がいたことを。
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2012年10月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 9
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